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2019年10月19日 (土)

敵意から友好へ: ブラジル大統領はなぜ彼の攻撃的な反中国行動を変えたのか?

2019年10月8日火曜日
Multipolarity research centres所長 Paul Antonopoulos
Infobrics

 DW Brasilとのインタビューで、マルコス・カラムル前駐中国ブラジル大使は、中国がブラジルでのインフラ事業の可能性に大いに関心を持っていることを明らかにした。ブラジルのヤイル・ボルソナーロ大統領は、2018年の選挙運動中、中国に対し、当初敵意を示していたが、両国関係に関わる莫大な金額や、苦闘する中南米大国の経済に、このアジアの国が提供できる支援の可能性を考えれば、彼の意見は変化したように思われる。

 ボルソナーロは、アメリカ大統領をおおやけに称賛し、考え方や信念を共有していることで「熱帯のトランプ」として良く知られている。だから選挙運動で、彼が「中国はブラジルで買い付けをしているのではなく、ブラジルを買っている」と言ったのは驚くには当たらなかった。

 環球時報は「ボルソナーロ新政権が中国市場に見切りをつけるとは考えがたい」と推測した。中国に対し、もう一つ重大な敵対心を示したブラジル大統領に警告メモも残した。「大統領選挙運動中の彼の台湾訪問は、北京を怒らせた。もし就任後、彼が台湾に対して基本原則を無視し続ければ、その代償は相当大きなものとなろう。この中国の島は、ブラジルにとって何の利益ももたらさず、これにボルソナーロと彼のチームが気付かなければならない」。

 中国、北京外交学院のマルカス・ヴィニシスス・フレータス客員教授はこう説明する。「中国がブラジルを見るとき、彼らは実際これから全て整備する必要がある遊園地として見ています。」 彼の評価は、ブラジルが、より広範な中南米地域に対して持っている支配的な地位にもかかわらず、多くの部門が低開発のままのブラジルの巨大な開発、インフラ機会に言及しているのだ。「中国が、ブラジルにとっての選択肢メニューを持っているのは疑いようがありません」と、ブラジルにとって興味がある、道路、地下鉄、鉄道、高架橋、空港建設での中国技術を彼は引き合いに出した。

 アグリビジネスから産物にいたるまで、更なる機会があるが、中国資本にとって最も魅力的な部門は、インフラと大規模事業、特にガス、石油とブラジル経済にとって、持続可能な成長と重要な基盤を保証する再生可能エネルギーだ。

 だが、両国間の重要な経済的関係や、中国がブラジルに提供できる機会にもかかわらず、ボルソナーロが北京をいらだたせるのを止めることはなかった。だから、アメリカ大統領の中国との貿易戦争のさなか、ボルソナーロは、トランプのあらゆる要求を受け入れるはずだだと想定されよう。だが6月、ブラジルのアミルトン・モウロン副大統領は、ブラジルは、ファーウェイが、ブラジルで遠距離通信に5G装置を提供するのを禁止する計画はないと述べ、ボルソナーロが選挙運動中に言った、あることが、大統領となった後は違うのを示唆した。

 これはボルソナーロ政権が、当初予想されていたものと異なった道を進んでおり、ブラジル大統領が、彼を批判する人々が良く言っているような、アメリカの完全な傀儡ではないことを示唆するだろう。今年早々、トランプがホワイトハウスへのボルソナーロ訪問の際、彼にファーウェイは安全保障上の脅威だと言ったが、ブラジル副大統領は、ブラジルにはファーウェイを信用しない理由はなく、ブラジルはその継続的発展を進めるために中国の技術を必要とすることを強調した。

 トランプが始めた貿易戦争に対する解決を北京が要求する中、杨万明駐ブラジル中国大使は、取り引き相手をいじめ、圧力をかけて、世界経済全体に影響を与えたと言って、アメリカを非難した。彼はアメリカが、市場の信頼を損ない、世界景気後退のリスクを増し、ブラジルのような新興経済を危険にさらしたと主張している。

 このシナリオで、ブラジリアと北京が国際協力と多国主義を擁護するのは重要だ。中国GDPは、2019年第二四半期‘わずか’6.2%で、1992年からの記録上最低の経済成長だ。このいわゆる経済「減速」は欧米メディアを元気づける良い餌となった。

 結果的に、トランプは中国との関税戦争がうまくいっていると宣言し、彼の保護貿易政策が、アジア大国からの企業の大脱出をもたらしたと言った。だが、もし措置がそれほど成功していたら、トランプは、パートナーが中国と取り引きするのを脅迫し続けないはずだ。ボルソナーロ政権は、この状況において、アメリカを支持するのはブラジルの利益にならないと見たのだ。

 中南米問題、特にキューバとベネズエラに対して、ボルソナーロは、大いにトランプ擁護の姿勢を続けるだろうが、彼はこの国における、強力な福音主義キリスト教圧力団体の権益のために、イスラエルに関連するものや、他の国際問題にブラジルを巻き込むのをいやがっていることを行動で示している。

 実際、ブラジルは、二大国間で進行中の貿易戦争から利益を得ていると主張することが可能だ。中国はアメリカからの購入を止めた後、供給不足を満たすため、この南米の国を選び、ブラジル大豆を絶えず大量注文している。中国バイヤーは益々ブラジル大豆を求めている。

 北京とワシントン間の緊張が増大すると、中国はアメリカ大豆輸入を止め、ブラジルに変えた。今のところ、ブラジルは、中国の要求に対応することが可能だったが、その供給は不足しつつあり、北京はその需要を満たし損ねる危険がある。貿易戦争が、どんな終わり方をしようとも、中国が逆戻りして、アメリカを大豆の最大供給国にすることはありそうもなく、ブラジルがその立場を強固にする好機だ。

 突然のひらめきのせいか、それともブラジル国内の強力な農業や他の重要な顧問の圧力の結果なのかにかかわらず、ボルソナーロは彼の中国言説を確実に180度方向転換した。中国に対するボルソナーロの当初の敵意と、トランプに対する彼の鮮明な支持のおかげで、去年専門家たちに疑問視されていたBRICSにおけるブラジルの役割の点で、エルネスト・アラウージョ外務大臣は、この組織でのブラジル議長職を完全に受け入れた。動機の理由が何であれ、このアジアの国が、ブラジルの経済状態を劇的に改善することができるので、ボルソナーロが、彼の中国政策敵意から開放性と歓迎へと確実に変えたことを示している。

記事原文のurl:http://infobrics.org/post/29453/

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 台風による雨で引き起こされる深層崩壊をテーマにした『ハリケーン』を読んだ。ネット書店の書評、納得できない。

 植草一秀の『知られざる真実』 イージスアショアより堤防強化優先順位はるかに高い

 国民の疲弊などなんのその。結局、属国は宗主国のいいなり。民生より戦争。イランが配慮を感じるだろうか?オマーンはイギリス軍基地を擁している。関連記事を翻訳したことがある。他の湾岸諸国とは一味違うオマーン

ペルシャ湾外に自衛隊検討 政府、米とイラン双方に配慮か

 原発マフィアと軍産複合体マフィア、ダム・マフィア、ほとんど同類のようだ。

日刊IWJガイド・土曜版「<新記事紹介>【特別寄稿】台風19号で続出した堤防決壊の原因は!? 国交省が省益のためにダムを優先し、堤防強化を後回しにしたためという驚くべき真相!?」2019.10.18日号~No.2591号~(2019.10.18 8時00分)

 

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