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2019年10月12日 (土)

クルド人に対する裏切りはアメリカ流

2019年10月9日 21:31
Finian Cunningham
スプートニク

 アメリカのドナルド・トランプ大統領は、シリアのクルド人に対する「裏切り」という超党派意見で、ワシントンでは徹底的に非難されている。だがクルド人を裏切ってきたアメリカの長い歴史を考慮すると、アメリカの名誉がトランプに汚されたと公言する芝居がかった態度は、様々な意味で、ばかげている。

 今週、北東シリアで、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が対クルド民兵軍事行動を開始することへのトランプによる明らかな正式承認が、アメリカで政治的嵐を引き起こした。

 同盟者のクルド人をトルコ軍攻撃のなすがままにしたかどで大統領を非難すべく、共和党と民主党の議員が結集した。リンゼー・グラムやマルコ・ルビオ上院議員などのトランプ支持者さえ、クルド人を見捨てる彼のあきらかな信条の欠如を非難した。

 トルコのシリア侵略の進路からアメリカ軍を撤退させるという大統領の決定が、いかに「クルド人を死なせる」ことになったかを、元アメリカ国連大使で、かつてトランプ信奉者だったニッキー・ヘイリーは遺憾に思っている。彼女や他の政治家や評論家は、クルド部隊を、シリアのジハード・テロ集団に対する戦いにおける、アメリカの重要な同盟者として称賛してきた。

 トランプの声明は、極悪非道な裏切り行為で、アメリカの高潔なイメージへの汚点だったので、ワシントンで一致している意見を我々は信じたくなる。


2019年9月8日、シリア、タル・アブヤド付近をパトロール時に、シリア-トルコの国境でみられたトルコ軍と米軍の車両。© ロイター / トルコ国防省

 ワシントンの殊勝ぶった騒ぎで、ばからしいのは、アメリカ帝国主義者の利益のために、クルド民族の人々が、何十年にもわたり、どれほど、たえず虐待され、ひどい仕打ちを受けてきたかに関する、アメリカ政治家やメディアによるびっくり仰天の否認や明らかな認識の欠如だ。

 エルドアンとトランプの下劣な取り引きが、何らかの形で、アメリカの名誉の未曾有の法外な過失だという、今週アメリカ・メディアが報道している概念は全く史実と合わない。

 クルド人の人口は約4000万人で、シリア、トルコ、イラクとイランをまたいで共同体があり、領土権を主張している。

 歴史的に、ワシントンは時に、ワシントンが承認しない現行政府を不安定にするため、クルド人を代理として徴用し、アメリカの権益にとって有用性がなくなったと感じるや否や、すぐさまクルド人を無情に無視してきた。

 1970年代、シャー支配下のイランがアメリカ同盟国だった時、ワシントンはイランの利益のため、バグダッドを不安定にすべく、イラク国内でクルド人を動員した。だがイラクとイランが1975年に一時的に和解した時、クルド人はイラク政権のなすがままにされ復讐された。


イラク、キルクーク州のイラク・クルディスタン兵士 ©スプートニク/ ドミトリー・ビノグラードフ

 1990年代初期、第一次湾岸戦争で、アメリカが、イラクで、かつての傀儡サダム・フセインを攻撃し、イラクに爆弾を投下し、灰燼に帰した際、当時のジョージ・ブッシュ大統領(父親)はクルド人にイラクに反抗するよう求めた。蜂起は、その後サダムに打倒され、クルド人は放置され、彼らの多くは雪に閉じ込められた難民キャンプで、死ぬにまかされた。ワシントンは、またしても、彼らの苦境から手を引いていた。

 だがアメリカ最悪の裏切りは、1988年、北イラク、ハラブジャ市のクルド人に対し、悪名高い化学兵器大虐殺を実行するのを承知の上で、米軍情報部が衛星情報と兵站を、サダムに提供したものだ。これは、アメリカが支援するイラクの対イラン戦争(1980-88)中のことだった。ワシントンは、サダムが、イランの前進を阻止するため化学兵器を使おうとしていたのを知りながら、最大5000人のクルド人民間人がサリンとマスタードガスで虐殺されたハラブジャ大虐殺を実行するのに律儀に決定的に支援したのだ。

 だから、アメリカがクルド人との何らかの高尚な関係を持っているという今週売り込まれた考え方は、アメリカ帝国主義に道義的な正義の外見を与えるため、政治家とメディアが耽っている巧みに作られた空想だ。トランプを傷つけるもう一つの方法でもある。

 秘密の政権転覆侵略として、ワシントンが違法に支援した戦争である最近のシリア戦争において、シリアのクルド部隊が、アメリカの汚れ仕事をするため代理人として協力したのは残念な事実だ。その汚れ仕事は、主に「ジハード・テロ集団と戦う」こととは関係がなかった。ほかの場所で、アメリカが、密かにこれらジハード戦士に武器や他の機器を与えていたのに、どうして、そのようなことがあり得るだろう?

 
ダーイシュの子供訓練キャンプ スプートニク/

 シリアのクルド人は、ワシントンによってダマスカスの主権政府を不安定にするため、シリア領土の一部を切りとるべく使われたのだ。クルド人がシリアに自身の自治地域を設立するのを手伝うという見せかけの下、アメリカは、実際は、彼ら自身の国を分断させるため、クルド人を代理人として使うことに関心があったのだ。

 トランプ大統領の明らかな裏切りで、シリアのクルド人が慙愧の念と嫌悪を感じたのは理解できる。トランプは裏切っていないと主張する。だが他の一体何に見えるだろう?

 だがクルド人に対するアメリカの裏切りの長い卑劣な歴史を考えると、善意を装ったワシントンの抗議は茶番だ。率直に言おう。アメリカ軍は、シリア領土を違法占領している。彼らは、ワシントンの政治指導者連中と同様、戦争犯罪のかどで有罪だ。アメリカ軍は犯罪的侵略者という不名誉なレッテルのもと、即座にシリアから撤退する必要がある。

 クルド指導部も責任も問われなくてはなならない。彼らも、クルドの人々が、またもやアメリカ帝国主義者の利益のために利用され、冒とくされるのを許したことを非難されるべきなのだ。

 シリアのクルド人は、するべきだったことを、今するべきなのだ。シリア軍と協力し、いわゆる彼らのアメリカ支援者を含め、あらゆる外国の敵から彼らの国を守るのだ。

 記事の見解や意見は、必ずしもSputnikのものを反映しない。

記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/201910091077000415-betraying-kurds-is-the-american-way/

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 国会中継、野党のまともな質問に、ぬらりくらり詭弁を弄する閣僚。教師間のいじめを連想。中途で食料買い出しにスーパーに出かけたが野菜の棚はガラガラ。ぶどうやリンゴでは食事になるまいと、やむなく冷凍食品を購入。停電になったらお手上げ。

 裁判所が、まっとうな判決を出すこともあるのに驚いた。

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