イエメンは今やサウジアラビアの「ベトナム戦争」
2019年10月1日火曜日
BRICS
Multipolarity research centres所長 Paul Antonopoulos
サウジアラビアは何かがおかしいように見える。ワッハーブ派王国は、イエメンに対し、技術的、人口的、経済的に優位なのに、フーシ派が率いるアンサール・アッラー運動のイエメン人レジスタンスを完全に打ち破りそこねている。サウジアラビア王国が海も空も支配しているにもかかわらず、アンサール・アッラー運動は、サウジアラビアの前進に対し、守勢に立っだけでなく、サウジアラビア国内でも直接戦争している。
9月14日、イエメン人レジスタンスが、サウジ・アラムコ石油施設を攻撃し、何十億ドルも損害を与えた、その完全修復には数カ月を要する。だが高官や傭兵を含む何千人ものサウジアラビア兵士が捕虜となって、サウジアラビアは彼らの「ベトナム戦争」を経験しているという考えは確固たるものになった。
サウジアラビアは、ロシアやフランスやイギリスを上回る、世界で五番目に大きい軍事予算を持っているが、アンサール・アッラー運動を、権力の座から排除できずにいる。サウジアラビアが、モスクや市場、学校、病院、結婚式参列者や葬列を含め、イエメンで無差別に爆弾投下する中、イエメンは世界最大の人道的危機となった。1000万人以上のイエメン人が餓死するか飢餓の間際にある中、アンサール・アッラー指導者のアブドルマリク・アル・フーシさえ、この戦争で、かなり痩せている。
サウジアラビア国家予算は石油を源にしており、アラムコ社は、ほぼデンマークのGDP、歳入約3500億ドルで、世界最大の6社の一つだ。イエメンは、あらゆる開発指数の上で、サウジアラビアからはほど遠いのに、サウジアラビアは、イエメンの首都サヌアからアンサール・アッラー運動を排除できずにいる。
反抗してリヤドの要求に服従しないイエメンとそのインフラを攻撃するのに、サウジアラビアは、兵士約150,000人と、大半がスーダン人である傭兵を動員し、アメリカ兵器を装備した何百機というジェット戦闘機を使っている。サウジアラビア当局は、イエメンに対する戦争で、モロッコ、アラブ首長国連邦(UAE)とスーダンとも外交上連合している。これは、アンサール・アッラー運動もテヘランもそうでないと否定しているのに、リヤドがイラン代理人と考えている彼らを国境から排除しようという企てだ。
サウジアラビア率いる連合が攻撃を始めて以来、アンサール・アッラーは受動的なままではおらず、王国がアメリカ製パトリオット・ミサイル防衛体制を所有しているにもかかわらず、サウジアラビア南部の直接攻撃に、ロケットと無人飛行機を利用した。サウジアラビアは空軍、海軍が優位にあるが、この支配力を地上での成功に転換することができず、アンサール・アッラー運動に対する戦争で傭兵に頼っている。
人は金のために無用に死ぬつもりなどないが、死ぬ危険をおかすのをいとわないという人々もあり、大きな違いがある。土曜日、この理由ゆえに、アンサール・アッラー運動が、包囲し、待ち伏せで襲って、サウジアラビア連合の主として下級兵士とスーダン人傭兵と若干の高官も含め、1000人以上の兵士を捕虜にできたのだ。傭兵は金のためには戦うが、無駄死にするつもりはなく、それがアンサール・アッラー戦士に両側を挟撃されて、一団となって降伏した理由だ。
今や、確実にベトナム戦争との比較が可能になっている。ゴリアテがダビに対するよりも、リヤドにとって、ずっと有利なはずなのだから、ダビデとゴリアテのたとえより、遥かに深い。
サウジアラビアは、アラブ連盟と湾岸協力会議で、あらゆる政治的影響力を駆使し、介入する理由などない高価な戦争に何十億も投入し、劇的敗北を経験しているのだ。資源が限られ飢餓の間際のアンサール・アッラー運動は一体どのようにこれをすることができたのだろう? リヤドは、この当惑に対するの唯一の説明は、イランがアラムコに対する攻撃を画策し、何千という兵士たちを捕らえたのだと結論した。ベトナム人が彼らを打ち負かした際、アメリカがそれを否定し、ベトナムの勝利を、ベトナム人ではなく、ソ連と中国の功績にしたのに似ている。
リヤドがアンサール・アッラー運動から注目を逸らすことで、彼らは、その勝利をライバルの反アメリカ、反イスラエルの地域大国イランの功績と認めることができ、自分の面目を立てるのに役に立つ。そのため、地政学的、神政主義的、経済的理由から、サウジアラビア-イラン関係が伝統的にまずいので、これはイエメンへのアメリカ介入を合法化する助けにもなる。
もっと重要なのは、サウジアラビアが、対イラン軍事攻撃を正当化するよう、ワシントンを誘い込むことができるのだ。だがアメリカとイスラエルにとっては、彼らの介入を限定する上で、サウジアラビアとイラン間の「代理対立」をしかける可能性が望ましいだろう。サウジアラビアは世界的規模で原油の約15%を生産しており、世界経済に際立った影響を与え得るので、これは危険な冒険だ。
アメリカがベトナム侵略で見舞われたような資源と人的資源を消耗させる果てしない戦争で動きがとれなくなるのを避けることがサウジアラビアのためになるはずなのだが、サウジアラビアが、アラブ世界の最貧国から撤退する兆候はほとんどない。
サウジアラビアが続く挫折で身をもって学んでいる中、サウジアラビア、そして/あるいは、アメリカ軍事予算を、イエメンやイランの予算と比較するだけでは、この対立の最終結果を予測するのに十分ではない。捕虜になった1000人以上の兵士と傭兵が、リヤドの戦闘部隊には動機も、やる気もないことを示している。これは反帝国主義闘争に携わるのを確信しているアンサール・アッラー運動とは正反対だ。
もしサウジアラビアが、これ以上の経済的リスクと軍事的な恥を避けたいなら、イエメンから撤退し、より広範なサウジアラビア-イランという地政学ライバル関係において、この戦線での敗北を受け入れるのがサウジアラビアの基本的利益だ。約60,000人のアメリカ兵士の死を招いた18年もの関与後、アメリカが最終的に正気を取り戻し、ベトナム撤退を決めたのと全く同様、今リヤドは、ベトナムに対するワシントン政策よりずっと早く正気を取り戻し、イエメンの状況は維持困難で、勝てないことを認めなければならない。
記事原文のurl:http://infobrics.org/post/29415/
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サウジアラビアはともあれ、真っ赤なウソが堂々とまかり通るこの国、政治も大本営広報部も、すっかりおかしいように見える。
「日米の貿易協定が合意に至りました。昨年9月の日米共同声明に沿って、日米双方にウィンウィンとなる結論を得ることができました」
植草一秀の『知られざる真実』の最新記事は、郵政幹部による大本営広報部恫喝の話題。真実は報道するな!
ウクライナでのスキャンダルで、候補者への支持が変わっているのだろうか。孫崎享氏の今日のメルマガ題名は
米国大統領選での民主党候補はエリザベス・ウォーレンの可能性が一段と増大。サンダースは動脈閉塞の手術を受け選挙活動当面休止。→ウォーレンの立場を強化。トランプは自己への弾劾の動きと関連しバイデンのウクライナ・中国関与を激しく攻撃、バイデンに?
とうとう実弾使用。60年代末に、大本営広報部が称賛した「運動」、70年代に暴走したのを思い出す。
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中東の窓「イエメン停戦の可能性」という記事に、
blog.livedoor.jp/abu_mustafa/archives/5540958.html
サウディ皇太子がイエメン内戦終結に熱心になりつつあるとの記事を載せています(前者はロイター電が元)
という記述がありました。
信憑性は不明とのことですが、本当だと良いですね。
投稿: 和久希世 | 2019年10月 5日 (土) 15時25分