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2019年9月29日 (日)

ヨーロッパはなぜイランよりサウジアラビアが好きなのか?

2019年9月27日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook

 E3として知られる「ヨーロッパ超大国」が発表した共同声明は、フーシ派が、これら攻撃に関してしている主張を完全に無視して、サウジアラビア石油施設に対する攻撃では、イランに責任があると宣言した。確かに、それがイランとイラン核合意に対して急速に変わりつつあり、「テロ国家」としてイランを位置づける、アメリカとサウディアラビアとの同意を増しているヨーロッパの立場を示すのだから、E3がとった姿勢はイランにとっては後退だ。声明は「イランにこの攻撃に対する責任があるのは、我々にとって明らかだ。」「これらの攻撃はサウジアラビアに対してだったかもしれないが、それらはあらゆる国を懸念させ、大きな対立のリスクを高めている。攻撃は地域の安定と安全のための集団的取り組みの重要性を実証している。」と述べた。

 これは、まさに、ヨーロッパの中東におけるより大きな関与の明快な方策以外の何ものでもないが、サウジアラビア、イランのいずれを選択するかという話になると、ヨーロッパの利害関係が後者より前者にあることは、ほとんど否定しようがない。それ故、ヨーロッパは、はっきり、イランより、サウディアラビアが好みなのだ。

 E3にとって、サウジアラビアは巨大武器市場だ。サウジアラビアに売られたヨーロッパやアメリカ兵器がイエメンで使われ続けており、戦争で荒廃した国に莫大な損害を起こしているにもかかわらず、サウジアラビアへのフランスの兵器販売は、2018年には、ほぼ50パーセント急上昇している。フランスの主な商品は哨戒艇だが、10億ユーロに相当する兵器をサウジアラビアに売った。これらの艦船は、フーシ派に対する戦術で、イエメンで大きな人道的危機を引き起こしている責任があるサウジアラビアによるイエメン海上封鎖の中核だ。

 武器販売を弁護して、フランスのフローレンス・パーリー国防大臣は述べた。

「これらの国[サウジアラビア]との経済関係維持は、我々の安全保障の権益と、我々のエネルギー供給に重要な地域での存在感を維持することを意味する。それは対テロの戦いで、現地の我々の国民を守ることでもある。」

 この声明の重要な点は、イランとは明らかに全く一致しない、フランスの地政学的権益だ。実際、こうした権益の健全性は、兵器販売増大のための理想的状況である、これら地域における紛争の連続に依存しているのだ。

 イギリスについても、同じことが言える。最近、イギリスのボリス・ジョンソンはイランとの新たな合意を要求した。2015年の協定を「良くない合意」と呼び、ジョンソンは「もっと良い合意ができる一人の男、どのようにイランのような難しいパートナーを克服するべきか理解できる一人の男がいると思う。アメリカ大統領だ。」と述べた。ジョンソンはトランプを「トランプ取り引き」ができる「非常に非常に聡明な交渉者」だと表現した。

 フランスと同様、イギリスが、イランよりも、サウジアラビアが好きな理由は、王国に対するイギリスの武器販売だ。これらの販売が最近、ようやくイギリス裁判所によって違法と宣言されたが、イギリスがサウジアラビアのイエメンにおける人権侵害を保護した方法を含め、多くの重要なことを言っている。秘密裏に供給された証拠を「熟読すると」、「2016年早々」サウジアラビアに対するイギリス政策の内密の変更があったことを示していると裁定は述べている。「イエメンにおけるサウジアラビアによる過去のIHL[国際人道法]違反の審査がされないよう、決定、あるいは立場の変更があった。」実に重要なことに、2016年決定の指導権を握っていた連中には、現イギリス首相ボリス・ジョンソンも含まれており、シナリオ丸ごとが、イギリスの現在の立場を説明している。

 この裁定さえ、王国に売られたあらゆる種類の武器を対象としていない。特に、サウジアラビア空軍がイエメンで使う、ペイブウェイ爆弾やブリムストーン ・ミサイルやストーム・シャドウ・ミサイルなどの爆弾は、裁判所が禁止しなかった別のオープン・ライセンスの対象で、現在審査中にすぎない。従って、これら爆弾の供給は継続し、サウジアラビアがイエメンで大混乱を広めるのを支援し続けるだろう。

 ドイツは、公式にサウジアラビアへの武器販売をしばらく見合わせたが、ドイツ政府がどのようにして、フランスを含む間接的な手段によって、王国への武器販売を継続しているかを示す報告がある。最近、ホルムズ海峡で、必要となった際のアメリカとの共同軍事行動にドイツが合意した事実は、イランとの戦闘で、ドイツが実際にサウジアラビアを支持することを示している。イギリスも湾岸におけるアメリカが率いる軍事行動、イランに対するサウジアラビア防衛を強化することだけが狙いの行動への参加を検討している。

 兵器販売と軍事行動の約束を通して、E3は、依然「2015年の核合意に固執する」ことを話し続けているが、基本的に、サウジアラビアが、中東での主敵、すなわちイランに対処するのを助けている。

 イランに対して、明らかに、ヨーロッパがアメリカとサウジアラビア側についている今、起きる可能性が最も高いのは、現在のシナリオで、湾岸とホルムズ海峡における行動の脅威や、「トランプ取り引き」交渉を始めさせる圧力を阻止するのを支援可能なイラン唯一の同盟国中国と、ロシアとイランの、より大きく、より強い結びつきだ。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの対外、国内問題の専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/09/27/why-does-europe-prefer-saudia-over-iran/

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 英独仏首脳、イランを強く非難、擁護的な姿勢から転換
 一方この国の首相、国連演説で「サウジアラビアの石油施設に加わった攻撃は、国際経済秩序を人質にする卑劣極まる犯罪でした」と非難した、とブログ『私の闇の奥』で拝読。聴衆がまばらなわけだ。彼にはイエメンを爆撃するのは卑劣極まる犯罪ではないのだ。

 国営放送ラジオのFM深夜放送を聞いている。数日前、三浦綾子作の短編『貝殻』朗読を聞いた。エリート家庭に嫁いだ女性が、業者から付け届けの金品を平然と受け取るエリート一家に耐えきれず、自殺をしようと旅した先で、知能の低い純真な青年、安さんに出会う。旅館で薪割りをし、謝礼に二銭もらって、次の家にゆく無欲さ。彼の生き方を見て、エリート一家を出る決心がついたのだった。そして、再婚し落ち着いて、十年後、安さんに会いたくなって北海道を訪ねるのだが...。そこで、あの関西電力トップの不思議な説明だ。後で返せば済むなら、泥棒はいなくなる。

 一層衝撃的なのは、昨夜、IWJで拝見した岩上氏による海渡弁護士インタビュー内容。判決は、無罪結論ありきで強引に組み立てたあり得ない論理。忖度もきわまれり。海渡弁護士、関西電力トップの事件が、無罪判決の後に明らかにされたことを、非常に残念がっておられた。

日刊IWJガイド・日曜版「<昨日の岩上安身のインタビュー>『司法の歴史に汚点を残す判決だ!』福島原発刑事訴訟で東電元経営陣3名『全員無罪』!? 海渡雄一弁護士が一審判決の7つの誤りを指摘!」2019.9.29日号~No.2572号~(2019.9.29 8時00分)

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