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2019年9月24日 (火)

ロシアとイランはいかにして敵の戦略を出し抜いたのか

2019年9月17日
Moon of Alabama

 過去数十年にわたり、ロシアとイランはいずれも、アメリカとその同盟国の常に増大する脅威に対し、自身を守る手段を開発する必要があった。両国とも彼らの状況に適した阻止のための独自の方法を見出した。

 アメリカとその同盟国のいずれも、彼らの戦略や軍事的手段を適応させて、そうした進展に対応することはなかった。アメリカが本当の状況を認識したのはやっと最近になってのことだ。石油輸出能力の半分の喪失は、とうとうサウジアラビアを目覚めさせるかもしれない。他のほとんどのアメリカ同盟諸国まだ眠ったままだ。

 NATOが東ヨーロッパに拡張し、アメリカが対弾道弾ミサイル条約から離脱した時、ロシアはアメリカの攻撃を阻止できるようにしておくため、対策を開発するつもりだと発表した。十年後、ロシアは約束を果たした。

 ロシアはアメリカが配備した弾道ミサイル防衛を破ることができる多くの新兵器を開発した。ロシアは防空システムやミサイル防衛や、レーダーや電子妨害手段にも力を入れて、アメリカ将官が「涙がでる」と言うほどのものにした。

 こうしたもの全てが、ロシアの極超音速ミサイルを提供するといって、プーチンがトランプをからかうのを可能にしたのだ。我々はこう分析していた。

アメリカは極超音速兵器を製造していると主張するトランプは間違っている。アメリカは、いくつか開発してはいるが、2022年以前に使えるものは皆無で、ずっと遅れる可能性が高いのだ。極超音速兵器はソ連/ロシアの発明だ。ロシアが今実用に供しているものは既に第三世代だ。このようなミサイルの開発では、アメリカはロシアより、少なくとも二世代遅れている。

1999年にユーゴスラビア軍がアメリカのF-117ナイトホーク・ステルス攻撃機を撃墜した時から、ロシアのレーダーにはステルス機が「見える」ことが知られていた。ロシアの防空とミサイル防衛は、シリアで、大量の無人飛行機や巡航ミサイル攻撃を阻止することができるのを証明した。サウジアラビアのアメリカ製の防空、ミサイル防衛システムは、フーシ派軍が発射する旧式ミサイルさえ迎撃し損ねている。

 昨日、アンカラでのトルコとイランの大統領との共同記者会見時、トランプにしたのと同じ様な申し出で、プーチンはサウジアラビアをからかったビデオ@38:20)。

Q:インフラを復活させる上で、ロシアはサウジアラビアを助けたり、支援したりするつもりでしょうか?

プーチン:サウジアラビア支援に関しては、自国民を守る場合を除いては、どんな種類の暴力も違法だとコーランにも書かれています。彼らと彼らの国を守るため、我々はサウジアラビアに必要な支援を提供する用意ができています。サウジアラビア政治的指導者は、イランがS-300ミサイル・システムを購入したように、エルドアン大統領がロシアの最新S-400トリウームフ防空システムを購入したように、賢明な決定をするだけで良いのです。こうした兵器は、あらゆるサウジアラビアのインフラ施設を高い信頼性で防御するでしょう。

イラン大統領ハッサン・ロウハニ:すると彼らはS-300かS-400を買う必要がありますか?

ウラジーミル・プーチン:決めるのは彼ら次第です。

 エルドアンとロウハニとプーチンの全員、このやりとりで笑った。

 アメリカ兵器を買わなければならないアメリカ同盟諸国はアメリカと同じ防衛投資戦略に倣っている。彼らは侵略戦争には最も有用な兵器システムを買ったが、敵が反撃能力を証明しても、必要な防衛用兵器システムには投資しなかった。

 それがサウジアラビアは、350機以上の最新戦闘機を保有しているが、1970年代にさかのぼる比較的わずかな中距離・長距離防空システムしか保有していない理由だ。

 サウジアラビアの防空システムは、特定の経済的、社会的センターを防衛できるだけなのだ。サウジアラビア国境の大部分と軍事基地は守られていない。

地点防空ネットワークの配置は、サウジアラビアのかなりの部分は戦略地対空ミサイルで防衛されていないことを示している。これらの地域を守るため必要とあらば戦闘機に期待できるが、全国防空体制の大きな空白の存在で、外国侵略者がつけこめる多数の脆弱性を残したままになっている。

 イランGeoMilブログでアミールが文書化したサウジアラビア防空体制。

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 しかも、存在している防衛は一方向だ。赤い円は中心に配備されたアメリカ製PAC -2防空システムの理論的な対応範囲を示している。だがこれらシステムの実際の範囲は半円以下しか対応できない。レーダーは回転しないので、PAC-2とPAC-3システムは区域防御なのだ。彼らは120度の弧しか見えないのだ。サウジアラビアの場合、レーダーは攻撃の最もありそうなイラン方向の東を見ているだけだ。そのため、アブカイク原油加工プラントは、他のどの方向からの攻撃に対しても完全に無防備なのだ。サウジアラビア、アメリカのいずれも、どこから攻撃が本当に来たかわからないのだ。


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 シリアのフメイミム・ロシア空軍基地へのアメリカ無人機の群飛攻撃に対するロシアの経験が、短距離防空と電子妨害手段が大量の無人飛行機と巡航ミサイル攻撃に対する最良の防衛であることを示していた。

 アメリカはこのようなシステムを持っていないので、サウジアラビアは無人機と巡航ミサイルに対する短距離防空システムがない。アメリカは、いかなる適切なものも提供できないため、サウジアラビアは高度な電子妨害手段もない。

 サウジアラビアに必要なのは、多数のロシアのパンツィル-S1短距離防空システムとクラスハ-4電子戦システムだ。ロシアは少なくとも前者は提供するだろう。だがアメリカが、サウジアラビアがそれを購入するのを許すだろうか?

 サウジアラビアは、アメリカと同様、決して敵を真剣に受けとめなかった。サウジアラビアは、イエメンを灰塵に帰するほど爆弾を投下したが、決して反撃されることを予期していなかった。サウジアラビアは対イラン戦争をするよう、長い間アメリカに呼びかけていたが、自身をイランの反撃から守るための措置はほとんどとっていなかった。

 長期にわたる攻撃後、8月、イエメンからのフーシ派ミサイルの飛来の増加が警告された。サウジアラビアは警告を無視し、サウジアラビアの収入の半分という急所であるアブカイク加工センターを防衛する措置は何もとらなかった。

 対照的に、イランはロシアがそうしたの全く同様、非対称戦略に沿って兵器を開発した。

 イランは最新空軍を保有していない。攻撃的ではないので必要としないのだ。イランは長い間、アメリカやサウジアラビアや他の中東の敵を阻止する他の手段を開発してきた。イランは多数の自国開発の中距離弾道ミサイルや、ありとあらゆる中距離、短距離無人機や弾道ミサイルを保有している。イランは、2,000キロの射程内のどんな経済的、軍事的標的も攻撃できるのだ。

 最近イランは高価なアメリカ無人機撃墜を可能にした自前の防空システムも製造している。イラン・イスラム革命防衛隊航空宇宙軍のアミル・アリ・ハジザデ司令官が、それをどのように実現したか説明している(英語字幕ビデオ)。

 イランは友好的な他の国々の集団との関係を発展させ、訓練し、必要な防衛手段を用意した。これらの中には、レバノンのヒズボラ、様々なシリアの集団、イラクのPMG / Hashd、イエメンのフーシ派や、ガザのイスラム聖戦がある。

 これら集団のいずれもイランの完全な代理人ではない。彼らは全て自身の地方政治を行い、時には、より大きなパートナーと意見を異にする。だが、もし必要とあらば、彼らはイランのために行動をすることをいとわない。

 イランは自身が使うものとは違う同盟国専用の多くの武器を開発した。イランはそのパートナー自身が、それらの武器を作ることができるようにしている。イエメンのフーシ派が使う巡航ミサイルや無人機は、イランが自身の軍で使うものとは異なっている

 2019年7月、イエメンのフーシ派と提携する軍が展示した新無人飛行機とミサイル

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 アブカイクに対する最近の攻撃のようなものが起きた場合、イランには説得力ある否定論拠があるのだ。イランがイエメンの同盟者に、1,500キロ飛ぶドローンを供給したことは、レバノンやシリアやイラクや他のどこかの同盟者が、似たような手段を入手できることを意味している。

 アメリカがロシアの対抗戦略を想像し損ねたのと全く同様、サウジアラビアは長いこと、イランの対抗戦略を考慮しそこねたのだ。両国とも攻撃的戦略を変えねばなるまい。両国は本当の防御手段を(再)開発せねばなるまい。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2019/09/how-russian-and-iran-beat-their-opponents-strategies.html#more

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 植草一秀の『知られざる真実』 の今日の記事は 安倍対米隷属外交集大成の日米不平等FTA

 大本営広報部、不都合なFTAの真実は、隠蔽するか、ウソを言うだけ、決して真相は報じない。

 そもそも不吉な日付、911組閣の連中には、不幸の恒久化以外は期待していない。

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