シリアとロシアによるイドリブ爆撃の対象は誰か?反政府勢力かテロリストか
2019年8月10日
Tony Cartalucci
New Eastern Outlook
北西部のイドリブ県内や周囲でシリアとロシアが再開した共同軍事行動を、イギリス、バーミンガム大学教授スコット・ルーカスは他の欧米マスコミと一緒に非難している。
ロイターはその記事「シリア軍が北西シリアで反政府派に対し軍事行動を再開」でこう主張している。
月曜日、シリア軍は、停戦協定の約束に従わなかったとしてトルコを非難し、北西シリアでのロシアが率いる作戦で軍事行動を再開し、何万人も根こそぎにし、何百人も殺害したと述べた。
ルーカスとロイターの両方とも、多くの他の欧米マスコミ連中やパーソナリティ同様、「反政府勢力」が実際、一体どういう連中で成り立っているかについて決して述べないようしっかり気を使い、その代わり、シリアとロシアが一般人や「穏健な反政府派」に対して戦争を行っているとほのめかそうとしている。
ジャーナリストのピーター・ヒッチンスに、シリアの反政府勢力が実際誰かについて説明するように頼まれ、ソーシャル・メディアへの投稿でルーカスはこう答えている。
やあ、ピーター! #シリアの状況は、北西だけでなく北東も皆、地元の評議会、地元の軍事集団やサービスを提供する地元活動家組織のクモの巣です。あなたは#イドリブや#ハマ州というように、特定の町や市を指定する必要があるでしょう。
ところが彼の主張を説明するためルーカスが使った写真は(人権・自由・人道救援財団)IHHが組織した会議のものだ。IHHはトルコが本拠で、決して「地元ではない」。
IHHは、人道的理念に隠れて、テロ組織の兵站支援ネットワークもつとめており、アルカイダとも直接つながっている。
IHHのテロとのつながりは最近のものではない。イスラエルのマスコミYnetよる2012年「報告:IHHは財政的にアルカイダにつながっている」と題する記事がこう報じている。
IHHのビュレント・イルディリム理事長は、悪名高いテロ集団と金融上提携しているかどで、トルコ当局に捜査されていると言われている。
金曜日、トルコの新聞日刊ヒュッリイェトは、イルディリムが彼の組織を通して、資金をアルカイダに移していたと報じた。
イスラエルを本拠とする対テロ国際研究所(ICT)の「IHH:ジハード主義の非営利の顔。詳細報告」と題する最近の報告書は、こう書いている。
IHH(人権・自由・人道救援財団)は135の国で活動しており、一見、もっぱら人道目標に献身的なトルコの非政府組織だ。実際は、IHHが、中東や東南アジアの紛争地域で、トルコ政府の隠れた部門として事業を行っていることを増大する証拠が示唆している。IHHは2012年からイスラエルにより、テロ集団と指名されており、ヨーロッパの検察官によってアルカイダの重要な兵站支援者として捜査されている。
紛争が2011年に始まった時から、現イスラエル政府の多くの連中が、トルコやアメリカや他の欧米諸国や、いくつかのペルシャ湾岸独裁国と共に隣接するシリアでのテロ組織支援に関与しているのに、イスラエルのメディアや政治機関がIHHをあばくのを助けているのは運命の皮肉だ。
まだ知られしものを描写して、シリア領内で活動して外国テロ集団を確認したから、ルーカスが「反政府勢力」がそれ自身、あからさまに暴力的であることを暴露していない一枚の写真を見つけることが可能だったことは、テロリストが、人道主義者のふりをして、シリアのイドリブ県にどれほど深く根付いているかを語っている。
戦略上の辛抱強さ
状況が逆転して、欧米が、アルカイダとその無数の関係団体による州全体の占領に直面していれば、総力戦が始まり、標的とされた地域が過激派戦士から完全に解放されるまで、終わらないだろう。一般人犠牲者は数えられないか、過小報告されるか、許し難い武装テロの要塞と対決する上で不可避だと歪曲されるだろう。
実際、ワシントンの目的は対テロ関連であるより、地政学的だったにもかかわらず、イラクやアフガニスタンでのアメリの戦争中、似たようなに言説が使われた。
戦略的な現実は、シリアで、ダマスカスと、その同盟国が、いかにうまく、ワシントンの代理戦争を切り抜け、打ち勝っているにもかかわらず、アメリカは強力な政治的、軍事的、経済的脅威のままだ。最終的にイドリブを、今、現地に強固に根付いている、外国に支援されたテロ勢力からもぎ取るには、戦略的な辛抱強さや、複数の「停戦協定」や、地政学的譲歩が必要とされるだろう。
シリア軍が、シリアのほとんどあらゆる他の人口の多い地域から彼らを押し出したので、テロ勢力はイドリブに集中している。アレッポの解放さえ実現するのに何年も要した。イドリブは県全体が、トルコ領内でも、トルコ軍に占領されたシリア領内でも、テロ組織に武器を与え、守っているトルコと国境を接している。
トルコは最近地政学的に目的を変え、ロシアに近づく兆しを示しているが、それはこの8年の紛争が作り出した緊張を元に戻す長期間の困難な過程だろう。
もしこのまだ危険な、命取りの紛争のさなかに、一縷の希望があるとすれば、欧米マスコミやスコット・ルーカスのような頑固な戦争宣伝屋は、彼らが2011年から援助し、けしかけてきたテロリストの本質をもはや隠すことが可能ではないことだ。
それにもかかわらず、連中は試み続けるだろうが、ルーカスができたように、アメリカとその同盟国が、ダマスカスに対する、連中の代理戦争で使ったネットワークの更に多くをあばくのに成功するのに過ぎず、シリアでの政権転覆の取り組みを一層弱体化させ、将来、他の国に目標を定めて打倒する類似の試みを面倒にするだけだろう。
Tony Cartalucciはバンコクを本拠地とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
----------
お台場の五輪遠泳コース、大変な実態が報じられている。ほとんど『トイレアスロン』。首相や都知事、夏休み、あそこで泳いでもらいたい。
経費の実情を伺うたび下記記事を思い出す。一部を引用しよう。「悪貨は良貨を駆逐する」ことになっては困る。
ロバート・マクチェズニー『資本主義がインターネットを民主主義の敵にする』について語る
ロバート・マクチェズニー: 我々は絶対にこの戦いに勝てると思っています。私が指摘したどの問題についても、本に書いた他の全問題についても、あらゆる世論調査で、大部分のアメリカ人は我々の側なのが分かっています。このカルテルが我々を貪りつくすのを好む人はいません。プライバシー侵害は皆いやなのです。インターネットを、大企業が鉄条網を至る所に張る場所にしてしまっている厄介な著作権制限は嫌われています。人々は我々の側なのです。我々が直面している問題は、民意に、この番組で皆様が良くご存じの諸問題に対処しようとしない腐敗した政治制度です。私は楽観的です。そうならなかったら失望します。我々の仕事は、ただ人々の利益を結びつけ、こうした問題で我々が実際に勝てるよう、政治力を持たせることです。
二つ目の点については、これについては、既にこの番組で、皆様はクレイグと話しておられましたが、この国は途方もない人数の有能な人があふれています。この国は有能な人に満ちています。ここで不足しているのは、彼らを支える資金です。素晴らしいメディアの仕事をしている沢山の人々がいる事実は嬉しいことですが、彼らがきちんと食べられるようになって欲しいと思います。家族を持てるようになって欲しいものです。彼らの頭上には屋根があって欲しいですし、昼間の別の仕事や家事の残り時間で、ジャナーリズム活動をするというようなことを無くしたいものです。子供達を寝かせ着けた後、家を掃除し、会社での仕事に行くべく目覚めるよう床につく前、夜11:00に作業する人々が、報道や文化を担っていては、自由な社会は築けません。資金の保障がなければいけません。我々に必要な良いもの、文化、ジャーナリズムを生み出すことが出来る人々が、まともな報酬を得られるようにすべきです。
« キルギスタンでの危機:もう一つのカラー革命か、内戦か? | トップページ | モスクワ・ミッチ、秘密のロシア潜水艦とロシア嫌いという錯乱 »
「アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事
「ロシア」カテゴリの記事
- 余計者パベル・ドゥーロフ(2024.10.04)
- 失敗に終わったゼレンスキー訪米(2024.09.30)
- ウクライナ - ゼレンスキーの「勝利計画」茶番(2024.09.24)
- NATO、ロシアに宣戦布告:成功するだろうか?(2024.09.23)
「トルコ」カテゴリの記事
- ガザ地区で外国人傭兵を使っているイスラエル(2024.05.03)
- 岐路に立つトルコ:エルドアン時代は終わったのか?(2024.04.14)
- トルコ地方選挙、空爆:トルコや地域や、より広汎な世界への影響?(2024.04.09)
- トルコのウクライナ「支援」(2024.03.31)
- NATOとイスラエルの超強力なおとぎ話に勝てないロシアのハードパワーと中国のソフトパワー(2023.11.28)
「Tony Cartalucci/Brian Berletic」カテゴリの記事
- イランに罠を仕掛けたワシントン イランは餌に食いつくだろうか?(2024.09.29)
- 最近のレバノン・ポケベル・テロ攻撃は予測可能、予防可能だった(2024.09.22)
- 超大国として君臨すべく「超兵器」を探し求めるアメリカ(2024.09.11)
- 宇宙を拠点とする戦争:問われるアメリカの優位性(2024.07.22)
- 台湾海峡を「地獄の光景」に変えるワシントン計画が根本的に間違いな理由(2024.07.05)
「シリア」カテゴリの記事
- フィクション 歩きながら政治について語る二人のアメリカ人(2024.07.20)
- イスラエル・アメリカ関係の様々な神話やストレスを粉砕したイランの無人機攻撃(2024.04.19)
- アメリカは「中東で紛争を求めていない」と言いながらに中東に積極的爆弾投下するバイデン(2024.02.16)
- 中東でのアメリカ駐留を終わらせる(2024.02.08)
- 致命的なイスラエル空爆とアメリカ制裁の間で苦闘するシリア民間人(2023.08.15)
« キルギスタンでの危機:もう一つのカラー革命か、内戦か? | トップページ | モスクワ・ミッチ、秘密のロシア潜水艦とロシア嫌いという錯乱 »
コメント