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2019年8月31日 (土)

アメリカ経済を復活させるのは可能だろうか?

2019年8月26日
Paul Craig Roberts

 トランプがアメリカ企業に中国から出て、企業が放棄したアメリカ労働者に雇用を戻すよう命じたことに対し、読者から功績を認められて私は驚いている。アメリカ経済学者や、経済マスコミやワシントン政策当局は、グローバリズムとアメリカの雇用と技術を海外移転することに関する私のアメリカ景気悪化の分析に一度も注意を払ったことがなかったし、読者もそうだろうと私は思っていた。多くの読者が、経済学は彼らの理解を超えると言ってこられる。私の経済記事は、このウェブサイトで一番読まれていない。

 遥か遠くイランのPress TVを含め外国メディアが、ホワイトハウスに対する私の影響について、すぐさまインタビューを求めて私に連絡を取った時、私はまたもや驚いた。その全ては一体何を意味しているのだろう?

 第一に、誰かがトランプに私の最新コラムを見せて ( https://www.paulcraigroberts.org/2019/08/21/what-globalism-did-was-to-transfer-the-us-economy-to-china/ )、それでスイッチが入った可能性があると私は言いたい。だがトランプが企業に国に戻るよう命じたのは、彼の恫喝の単なるエスカレーションであり、彼の理解ではなく、アメリカ人のための良い仕事がないことや、彼らの実収入の下落を修正するための関税の無力さを反映している可能性もある。

 だが、ホワイトハウスで灯がついて、海外移転された雇用を元々所属しているアメリカに呼び戻す上で、どのように進むべきかトランプが示されたかもしれない場合、私はこの問題に対処したい。少なくとも、おそらく、かなり将来、経済思想の歴史家が、ポール・クレイグ・ロバーツとマイケル・ハドソンだけがアメリカ経済大国の崩壊について分かっていたと書くだろう。

 先に進む前に、要約しておこう。ソ連が不意に突然崩壊したとき、中国とインドは社会主義を断念し、欧米資本に彼らの経済を開いた。レーガンが自身否定していた目標である冷戦に勝ったためにロシアが崩壊したのではなく、共産党指導部の強硬路線分子が、アメリカを信頼する上で、ゴルバチョフが不注意で、ソ連帝国から余りにぞんざいに手を引くことを心配していたためだ。ロシアを領土侵略から守った帝国の解体を止めるため、強硬路線の共産党員がゴルバチョフ大統領を自宅拘禁した。これが崩壊を開始させ、ワシントン操り人形エリツィンを支配の座につけ、ワシントンがソ連を解体し、イスラエルと共に、ロシアの資源を盗むことになったのだ。

 最大の人口を持つ国のインドと中国が至った結論は、社会主義は崩壊に至るが、資本主義が富に至るということだった。世界で人口最大の二国の巨大な不完全就業労働力が、初めて外国による搾取に利用可能になったのだ。労働市場には、巨大な過剰供給労働が存在していたから、労働力は搾取された、すなわち生産への寄与以下しか支払われなかった。労働の供給過剰は、労働力は、企業の収益に貢献したよりずっと安く雇用されることを意味する。

 企業CEOや重役やウォール街は、利益を増やすこの機会に気が付いた。最初に中国に急入った企業は失望し、機会は見かけほど良くなかったという言葉が出た。だが中国は海外生産を儲かる事業にしようと努力し、製造業雇用が群れをなしてアメリカを去った。結果はアメリカ中産階級と、それによる州や市の課税基盤の減少だった。アメリカは繁栄を止めたが、経済的な損傷は、インフレーションや雇用やGDP成長のニセ報告と、資産の価格と不動産を支えた極めて大量の金の連邦準備銀行印刷で隠蔽された。

 傷を隠すことが困難になった時、中国はアメリカに余りに多くを輸出して、アメリカ労働者を傷つけたとして非難された。中国を非難する人々は、アップル・コンピュータやiPhoneや、ナイキの靴やリーバイ・ストラウスジーンズなどで構成される中国からの輸入の割合を見ようとはしなかった。アメリカ企業の海外生産は輸入の大きい割合を占めている。彼らが売るためにアメリカに戻る時、アメリカ企業の海外生産された商品やサービスは輸入として扱われる。

 言い換えれば「中国製品輸入問題」は実際は、アメリカ企業の生産がもはや商品やサービスの生産に関与していない、従って彼らが購入したものの生産から収入を得ていないアメリカ人に売るために持ち帰った海外生産品なのだ。対照的に、海外生産する企業の株主は金がうなるほどある。

 インドはどこででも行うことができ、生産物はインターネットで送ることが可能なアメリカITやソフトウェア・エンジニアリング仕事を受けることで利益を得た。インドの教育と英語力が、アメリカ・ハイテク企業がアメリカ大学出身者を避けるため、労働ビザを活用するのを容易にした。

 最後に四半世紀後に結果として生じたものは、アメリカの製造と産業を支えたサプライチェーンと労働力の解体だった。かつて栄えた工場や工業団地は閉鎖され、潰される走りかコンドミニアムやアパートに換えられた。トランプがアメリカ企業をアメリカに戻すことができたら、それらはどこに行くのだろう?

 海外移転時代は、六カ月の景気後退では済まなかった。それは、熟練した経験豊かな労働者が年を取って、亡くなり、新しい参加者が誰も技能や労働規律を習得しない年月だった。現在、中国は完全に発展した製造・産業経済だ。アメリカはそうではない。

 アメリカ企業が国内に戻るためには、彼らはアメリカの開発半ば、あるいは未開発経済のために、中国の発展した経済を離れなければならない。もし彼らが突然これをするよう強制されれば、彼らは、製造と工業大国としてのアメリカをよみがえらせるために必要な、生産設備、労働力、サプライチェーンや輸送システムを再生できる前に、中国での彼らの生産を失うのだ。雇用統計を見れば、アメリカが製造と産業の仕事を生み出していたのは、何年も昔のことなのがわかる。

 四半期世紀にわたる、資本主義のアメリカ労働力からの逃避が、アメリカを、雇用が主に低賃金の国内サービス職から成り立つ国、半世紀前のインドに似たものにしてしまっている。暮らしてゆける賃金の仕事が欠如していることが、非常に多くの24-34歳のアメリカ人が独立した暮らしができず、親や祖父母と一緒に家に住んでいる理由だ。それは大学出身者が学生ローンを返済できず、負債奴隷に変えられている理由だ。

 これがアメリカ企業を中国からアメリカに戻すために、トランプがしなければならないことなのだ。移行は緩やかでなければならない。彼らがアメリカで生産するための必要条件を再現することができるよう、企業は中国に海外移転した生産を段階的に減らせるだけだ。この過程は、結果的に、未開発の経済に、開発をもたらすようなものだ。

 トランプ、すなわちアメリカ政府は、企業収入が負担をかけられる方法を変えることにより、コストがアメリカ人労働でアメリカ市場のために再び生産することに関連する彼らの労働(や規制や義務などの)コストの大幅増加に対し、企業に支払いをしなければならないだろう。国内市場のために、国内労働で生産する企業は、より低い税率になるだろう。アメリカ市場のために外国人労働者で、外国で生産する企業はより高い税率になるだろう。税率の差は、人件費の差を相殺するように算出可能だ。外国での販売のために外国で生産する企業は影響を受けないだろう。

 もし彼らがアメリカで製造するための条件を再構築できる前に、アメリカ企業に中国から出るようトランプが命じれば、企業は売上高と収入がなくなり、潰れるだろう。

 トランプがアメリカ企業に中国を去って、国に戻ることを命じることができるか否かについて、疑問がおきる。トランプの命令は、単なる美辞麗句であるかもしれない二つの理由がある。一つは、企業は、低コストの労働力から生ずる彼らの既存の利益に満足していて、コスト節減を失うつもりがないことだ。あらゆる国で活動している、アメリカのグローバル企業は、アメリカ選挙に干渉する富を持っている。もしトランプがグローバル企業に反対して動けば、彼は他グローバル企業から選挙運動資金を受け取れないだろう。その代わり、彼の競争相手が受け取るだろう。

 トランプは海外移転取り引きは、アメリカ国民ではなく、企業だけのためにうまく機能していると主張することができる。「自由市場」主義の経済学者は、海外生産された仕事には、より良い仕事が置き換わり、海外移転で失われた賃金の損失を上回る値下げで、アメリカ消費者により多く割り戻すと保証した。そうはならなかった。読者の誰が、ナイキの靴、リーバイジーンズ、アップルコンピュータやiPhoneの値下げを経験しただろうか? 企業は自由市場の約束を果たさなかった。彼らはコストは下げたが、価格を維持した。より良い仕事の一つたりとも実現しなかった。企業を守勢に立たせるには、トランプはこれらの主張が必要だろう。

 二番目の理由は、トランプがアメリカ企業に中国を去って、何であれ残されたアメリカ労働力に戻ることを命じる権限は何もないと主張されていることだ。一時、これはおそらく、その通りだった。1952年、トルーマン大統領が、朝鮮戦争中に鉄鋼生産を止めるストライキを防ぐために、アメリカの鉄鋼産業を国有化した。最高裁判所はトルーマン敗訴と裁定した。だが今日クリントン、ジョージ・W・ブッシュとオバマ政権による大統領職への異常な権力集中と、「対テロ戦争」と戦うため議会によってと行政部に与えられた後、今大統領は政令によって裁定することができる。

 トランプは1977年の国際緊急経済権限法を、アメリカ企業を中国から、アメリカに戻るよう命令する権限を彼に与えている法律として引用した。彼は多くの追加権限を持っている。人身保護令に違反して、法廷に提出された証拠がないアメリカ市民を無期限拘留する権限を持っており、適法手続きなしに、嫌疑だけでアメリカ市民の死刑執行を命ずることができる大統領は、欲するものは何でも命ずることができるのだ。

 ジョージ・W・ブッシュ時代の共和党とオバマ時代の民主党に作り出された権力に基づいて、トランプ大統領は、アメリカの雇用を奪い第三世界諸国の地位にアメリカを引き下げるべく、彼らが中国と共謀しているという理由で、生産を海外移転した企業のCEOと理事会を逮捕する権限を持っている。トランプがロシアとの関係を正常化するのを阻止するために使われたばかばかしいロシアゲート物語より遥かに良い論証がこのために可能だ。

 闇の国家の支援を彼が確実に得られるようにするには、トランプは、アメリカが製造と産業能力を再確立できなければ、世界の覇者として留まるのに必要な兵器システムを生産し続けることができないことをアメリカ軍安保複合体に想起させるだけで良い。新刊、The Real Revolution in Military Affairs(本当の軍事革命)(https://www.claritypress.com/product/the-real-revolution-in-military-affairs/)で、アンドレイ・マルチャーノフは、決定的な兵器システムと軍隊の統合で、アメリカは完全にロシアに、いくつかの点では中国にも水をあけられていることを証明している。実際、通常戦争で、アメリカがイランを破ることができるかどうか明確ではない。アメリカ兵器システムの多くの部分は外国で製造されており、それは戦時には供給問題を引き起こす。

 闇の国家の支持があれば、トランプは企業に国に戻るよう命じることができる。

 長年ジョン・ホワイトヘッドと私はワシントンが独裁を生み出しつつあることを強調してきた。もし闇の国家がトランプ側ならば、彼は選挙なしで済む、反対派もない独裁者になれる。誤解のないように言えば、トランプがそうできるのみならず、未来のどの大統領でもそうできるのだ。唯一の問題は、一体誰が目標かだ。白人だろうか? 自身の利益のためアメリカを破壊した海外移転した企業だろうか? ロシアか? 中国か? イランか?

 私は決して前後の見境を無くしているわけではない。皆様のために、我々が今目にして、暮らしていることの帰結的意味を既知のことから推定して申し上げている。強欲に突き動かされるアメリカ企業に仕事と生計を取りあげられ、まだ存在している低賃金仕事の賃金を更に引き下げる無限の不法入国者に直面しているアメリカ人に選出されたアメリカ大統領が、ロナルド・レーガンのように、地球上の全ての生命を破壊する核戦争の可能性を減らすためロシアに対して平和的意図を宣言したアメリカ大統領が、攻撃を受けている大統領なのだ。

 アメリカの雇用を復活させ、核戦争の脅迫を減らそうと望む大統領が、なぜアメリカ売女メディアや、リベラル派/革新主義者/左翼や、民主党や、他の何百万という絶望的なアメリカ人に、それほど激しく反対されるのだろう? トランプに対するこのようなばかばかしい攻撃が可能となった唯一の理由は軍安保複合体が連中の背後にあったからだ。さもなければ、過去四半世紀にわたり、大統領職に集積でされたあらゆる権力を持つ大統領は、対抗勢力を逮捕し、無期限勾留できたはずなのだ。北部の侵略戦争(南北戦争)中、リンカーン大統領さえ、300人の北の新聞編集者にそうすることができた。リンカーンは南部連合国へのリンカーン侵略に批判的なアメリカ連邦議会議員を追放さえした。

 アメリカが世界強国のままでいるつもりなら、製造と産業能力を復活させる必要があるという点においてトランプは正しい。アメリカが、それが認めた途方もない数の第三世界の人々を吸収するつもりなら、中産階級の仕事と昇進の梯子を復活させる必要がある。

 トランプが進むべき道は、企業に彼らが、消費者購買力を破壊し、それにより自分たちの長期的売り上げ破壊するという犠牲を払って、短期的に自分たちの利益を膨張させていると説明することだ。実収入が上昇していないアメリカ人には、アメリカ企業に収入を与える商品やサービスを購入する自由裁量の購買力が無いのだ。もちろんCEOや重役は長期的には、そこにおらず、気にかけないかもしれない。だが大統領は、それを愛国心の問題にして、彼らを困難な立場に追い込むことができるかも知れない。

 次に、企業が課税される方法を変え、アメリカで製造を復活させるために必要な条件を再現するため、トランプは企業と協力する必要がある。これは単純な課題ではない。それには対立ではなく、協力が必要だ。

 その間、移民を吸収する経済がないのだから、移住は保留せねばならず、ワシントンは戦争を止める必要がある。戦争に関連する費用や負債やリスクは、利益よりはるかに大きい。もしアメリカが針路を反転しなければ、未開発国になり下がるだろう。これは我々にとって、独裁者とされる連中や中東テロリストを支援する国々とされるものより遥かに大きな脅威だ。

 Press TVでの私の8分44秒インタビューがここにある。
https://www.presstv.com/Detail/2019/08/24/604362/Trump-US-China-trade-war-Paul-Craig-Roberts?fbclid=IwAR01gfNoDWVKxmTftqg_kyu2-O5cLIXEZ5kLrsDrY-xQJCUbtZ8K82PlSyQ

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/08/26/can-the-american-economy-be-resurrected/

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 『芳ちゃんのブログ』が同じ筆者の別の経済関係記事を翻訳しておられる。

米国の資本主義は略奪で成り立っている

 元政治家タレントが、番組中で韓国人教授を罵倒したり、大学教授が来日韓国人に暴力をふるえとあおったりする昼の白痴製造番組、見ていない が、ひどいもの。政府に批判的な言動をすると排除されるが、政府寄りの扇動・暴言をする連中なら許される大本営広報部の現状。「共犯者たち」そのもの。

 孫崎享氏の今日のメルマガ題名

日本は韓国に対して徴用工問題の制裁として輸出管理の運用を見直し。ホワイト国から韓国排除。韓国議会全会一致で撤回要求。反日高まる。影響韓国市場で自動車、ビールなど減。 更に観光客激減。ホテル、飲食、運輸等に影響。政府はこの影響を想定したか。又想定外!!。

 徴用工問題「完全かつ最終的に解決された」との立場に固執していても事態はよくならないことを指摘しておられる。

 香港情勢も気になる。

日刊IWJガイド・土曜版「中国、『逃亡犯条例』改正案をめぐる今日31日のデモを前に香港に人民解放軍を送る! 威嚇か、それとも軍事力による制圧か!? 香港の活動家と米国領事との密会も明らかに!」2019.8.31日号~No.2543号~(2019.8.31 8時00分)

 

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