ボルトンとボリスとビビ:「三人のBはその時は短いが、激しい怒りを持っている」
マーティン・シーフ
2019年8月8日
ヨハネの黙示録12:12
それゆえに、天とその中に住む者たちよ、大いに喜べ。しかし、地と海よ、おまえたちはわざわいである。悪魔が、自分の時が短いのを知り、激しい怒りをもって、おまえたちのところに下ってきたからである」。ジェイムズ王欽定訳聖書。
洗礼者聖ヨハネは、予言と神学と同様、政治と心理学も知っていた。権力を愛好する連中を脅せる最悪のことは、連中から、すぐさま権力を奪う可能性だ。そのような極めて悲惨な悪夢は、 そうでなければ冷静な人々たちにさえ、特に無謀なギャンブラーに、必ずや彼らの住宅で二つ目のローンを借り、ルーレット盤がくるくる回る時、非常に分が悪いにもかかわらず、赤に賭けるようにさせるのだ。それは常に破滅と荒廃の処方箋だ。
現在、イギリスとイスラエルとアメリカの政治的未来は三人の心もとない政治的ギャンブラーで扇動家で危険を冒す連中の手中にある。このことの世界平和の維持に対する危険性は、いくら大きく見積もっても過大評価にはなり得ない。
ボリス・ジョンソンがイギリス首相になった今、アメリカ国家安全保障担当補佐官ジョン・ボルトンとイスラエルのベンジャミン「ビビ」ネタニヤフ首相に対し世界平和を危険にさらす無謀な冒険主義とギャンブルのための共通の大義を彼が作り出すのは確実だ。
ジョンソンがイギリス首相として、おそらく最後のものとなる確率が高いのは、彼がこの権力に取り付かれた指導者トリオに欠けていた小片を埋めることで確認できる。
私とこのサイトの他の寄稿者たちが繰り返して書いているように、アメリカで、ボルトン国家安全保障担当補佐官は、彼がこれまでに到達した最高の地位について、わずか一年半で(この男は実際一度も何にも当選したことがない)民主的に選出されたベネズエラ大統領ニコラス・マドゥロを打倒し、茶番傀儡フアン・グアイドで置き換えるという、彼が意気満々画策したばからしい基本計画をやりそこなって、既にドナルド・トランプ大統領から嫌われている。
グアイド策謀の失敗が賢明からはほど遠いアメリカ・マスコミにさえ明確になるやいなや、まるで魔法のように、イランとアメリカ間の緊張が高まり、トランプ大統領が、極めて明瞭に、テヘランとの戦争を欲しないという主張を表明しているにもかかわらず、緊張はいまだに高いままだ。
洗礼者聖ヨハネは、黙示録で、何が起きているかについて、心理的洞察を与えてくれている。ジョン・ボルトンは彼の時が短いのを知っているが、激しい怒りと、それを実行する決意を持っているのだ。
今ボリス・ジョンソンは、全権を有した英雄的なイギリス首相になるという、彼の生涯を支配していた一つの偉大な本当の目標を実現した。唯一の問題は彼が実際に国を動かして、国を救うため何をすべきか全く分かっていないことに疑いの余地がないことだ。
戦略上の判断が、才知に長けたものから、実にひどいものにまでわたった彼が尊敬するチャーチルとは違って、ジョンソンは生まれつきクールで勇敢なわけではない。彼は感情的に大いに不安定で、自制できない大酒飲みで(チャーチルは酒を控えることができた)、チャーチルや、ついでながら、トランプやネタニヤフと違って、今まで政府運営の上で経験や実績がない。
ジョンソンが一瞬の間でも、イギリス経済の完全崩壊や、「ハードな」合意なしブレグジットの避けられない結果、既に大いに進展しているイギリスからの海外直接投の資膨大な流出に、いかに対処するかを熟慮した兆候は皆無だ。
ボルトンのように、ジョンソンはいじめっ子で、威張り屋で、無謀なギャンブラーで、危険性が高い災難を決して熟慮したり十分に計画したりしない。ボルトンと同様、彼の基本的な立場は、常にロシアをあざ笑い、憎悪し、卑劣な言動することだ。
イスラエルのネタニヤフは、実際三人の中で最も経験豊富で、今まで、最も用心深く、安定している。彼は、建国の父デイビッド・ベン・グリオン自身の任期さえ越え、イスラエル史上、他の誰よりも長くイスラエル首相をつとめている。彼はモスクワとの安定した良い関係を求める上で、自身賢明で責任があることを繰り返し示し、アメリカのネオコン同志の正気でない極めて危険なたわごとのロシア憎悪には一度も熱中したことがない。
だがネタニヤフは最終的に、退任するかもしれないし、 退任しないかもしれない。存続能力のある政治勢力として彼自身が作り出した彼の長年の政治同盟者、元国防大臣および元外務大臣で「イスラエル我が家」党首のアヴィグドール・リーベルマンが、ネタニヤフの13年間の基本的に安定した壮大な自由市場-宗教・国家主義者連合への参加を拒否し、連合を破壊した。これで9月に、一年以内に二度目の新たな選挙を行うことになった。ネタニヤフは、果てしない汚職調査ドラマでも、依然、取り調べを受けている。
また、もしネタニヤフが彼の長年の友人で、何十年もの同盟者ジョン・ボルトンが、トランプの国家安全保障担当補佐官を退任する方向にあると見るなら、彼はパニックになって、イランや何か他の大国をアメリカとの対決に駆り立てようと試みるため、何らかの危険な挑発や、エスカレーションや一方的行動を継続する可能性が非常に高い。
アメリカ大統領になって以来ずっと、トランプはネタニヤフに対する親密さを誇りにしており、恥知らずにジョンソンを支持してきた。
だから、ほぼ40年以上も大統領官邸での狡猾と陰謀の巨匠ボルトンにとって、トランプの恩寵を復活させるため、旧友ネタニヤフや新しい仲間ジョンソンの両者に接触するのは自然の動きだ。イランやトルコや中国やロシアや彼らの全てと危機を引き起こすよりもうまい方法があるだろうか?
過去一世紀、世界大戦は、常に8月か9月に起きたと、私のオックスフォード時代の恩師でウルフソン大学学長のハンス・シェンク博士が好んで指摘していた。世界の首脳と各国政府は、今後数週間「三人のB」の出張と行動をしっかり注目すべきだ。洗礼者聖ヨハネは我々に警告したように、彼らの時間は短く、彼らの激怒が大きいのだから。
マーティン・シーフは、24年間、上級海外特派員としてワシントン・タイムズとUPI通信社で70以上の国から報道し、12の戦争を担当した。彼はアメリカとグローバル経済問題が専門。
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
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今日という日にちなむ東京新聞朝刊の「映画作家 大林宣彦監督インタビュー」を読んだ。今朝は他にも戦争関係記事が多く、読みごたえがある。
第32回東京国際映画祭、日本映画界のレジェンド・大林宣彦監督を特集!という話題をネットで見た。先のことだが、行きたくなった。
終戦ではなく、敗戦日。
孫崎享氏の今日のメルマガ題名
ポツダム宣言とその条件「日本國ノ主權ハ本州、北海道、九州及四國竝ニ吾等ノ決定スル 諸小島ニ局限セラルベシ」、さらに、責任アル政府ガ樹立セラルルニ於テハ」「占領軍ハ直ニ 日本國ヨリ撤収セラルベシ」。外国軍の撤退が国際社会の条理なのである。
ネットで話題のお笑い芸人事務所、第1回経営アドバイザリー委員会に関するリテラ記事を読んだ。すごいメンバーが一体どういう助言をするのだろう?決して改善する意図皆無なことがわかる面々。さすがのお笑い茶番。
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仕掛けているサ○コと、誘導された馬○(元々賢かった人含む)の動きを検出してください。
目的のために手段を選んでいないなら普通にサ○コとその手先の馬○であり、そいつこそが社会を破壊している元凶である。勝手な言い訳は色々するでしょうが。
火をつけられて燃えるのは当たり前。これはむしろ被害者であり、火をつけた加害者が人のせいにしてるなら完全にサ○コです。満州事変がまさにこれですが。
国内でまさに自分で火をつけて人のせいにして解決者ぶってるサ○コは結構居ませんかね。
誰がどういう動きをして、誰が動かされたのか?
人の意識しても所詮脳細胞とそのリンク構造に過ぎず物理や生化学的な構造に過ぎない。心とはそれぞれの勝手なアナログな重み付けに過ぎない。それを重要だと思うように出来ている。そうした特性を知っておかしな誘導を掛けて利用しているのがサ○コ連中である。
日本人310万、外国人2000万以上の命を奪っておいて正義の戦争とオーバーライドした連中は普通に目的のために手段を選ばぬサ○コじゃないですかね。元々帝国主義各国からやられて自己防衛のために軍国主義になって暴走し、まともな制御を失っていったように思いますが。
政治はワンイシューなわけがなく、政治はトータルなもの。統合的に政策を打てる政党じゃなきゃまともな国家統治になるわけがない。特定企業や特定個人の利益を優先してまともに社会が回るとでも?やったがまま質と数の大幅な低下を招いてますが。
人の頭をぶっ壊して狂わせれば、人の頭は判断原資なのだからまともに判断できるわけがない。マジックも何もない。やったがままの結果が導かれているに過ぎない。
またまともに育成しないと自分で自発的に学習して行く人以外は馬○のままですよ。だから教育をつけるようにして水準を高めようとしてきた。
個人や狭い社会のレベルでは正解でも広い社会のレベルでは最悪という行為がある。特に「活動的で人や社会に絡みついてくる出来損ない」が最悪なんですが。非活発なら人や社会にまで手を掛けませんが活動的な出来損ないは人や社会をぶっ壊しながら狂わせて利用するので高速に人や社会が潰れていく。人に社会性を要求しながら、てめぇは徹底的にまともな社会性が乏しいというケースはとても多い。社会性とはマウンティング関係じゃないですから。それは猿のシステム。もっともそうじゃないと駄目な人も多いですけどね。また猿のシステムでもちゃんと作って与えられるなら回りますがぶっ壊しながら収奪していく大将なんぞ要りませんから。
「襲撃しといて人のせいにする屑」とか最悪なんですが。力の余ったやる気のある屑は癌的な作用になります。まともな組織まで癌的なものに変えていってしまう。
襲撃に味をしめた賊や魔物に席巻されて内側からボロボロにされたというところでしょう。まともに質を保った軸がないから迷走してますし。軸があっても悪質では逆効果です。
人や社会に危害を加えるおかしなものを面白がってるならあなたもそれに加担している出来損ないですから。
資本主義は元々海賊的なところがあるため(それが故に興奮して発展するところがある)、修正資本主義をやっていたはずですが、資本原理主義に近くなるとただの海賊主義で、まともに統治できなくなって自滅して行くようです。個人や会社の動きとしては正しくても国家や世界全体で見るととてつもないダメージになる。
サ○コは性悪だが頭がいい。しかし、善意の馬○の暴走というのもある。これも結構たちが悪いですから。
馬○であるが故に自分では正しいと思っているが実際には人と社会に多大な害を与える。活動的で人や社会に影響を与える出来損ないは、まともな人に制御されない限り挙動がとても悪質になる。戦時中、兵隊にしてみれば人殺しや略奪が正義の行為だったように。オウムの地下鉄サリン事件が当人たちには正義の行いだったように。そのように状況の作り替えが行われている。
人間自分が本当に駄目だと思っていることは積極的に実行できない。元々暴力や詐欺でマウントするのが大好きな悪質なのも居るが、構造的におかしな形に変えられると個人では抗えなくなる。戦時中、反戦を唱えようものなら非国民扱いされたように。
臣民意識ではまともに民主主義なんかできないし、馬○ではろくな構造を作れない。しかし、臣民意識にしようとしたり、人を劣化させて馬○にしようとするサ○コがいる。
特性としての遺伝子の問題もあれば、構造の問題もある。
認識して対処できるかどうかでしょうね。ジェノサイダーを英雄扱いする元々ヤバい文化もありますしね。
活動的な屑に持っていかれるか、きちんと認識して対処できる軸を作っていけるかというところでしょう。無理っぽい雰囲気が蔓延してますけどね。内側から裏切って喜んでる屑があまりに多すぎて。結果は質や数量やまともな意味での影響力となって現れてくる。数量に関しては環境への影響も考慮する時代なので多ければいいというわけでもないでしょうけど。急減すると対応が大変だと思います。
投稿: キョウ | 2019年8月17日 (土) 09時51分