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2019年8月27日 (火)

アメリカの中国からの切断は、他の国々にもアメリカからの切断を強いる

2019年8月24日
Moon of Alabama

 アメリカは中国から切断しつつある。そのプロセスの影響はあらゆる世界経済に損害を与えた。他の国々は、損害を避けるため、アメリカから自ら切り離す以外選択肢はない。

 今日のワシントン・ポスト一面は大いに紛らわしい見出しで始まっている。

 記事の大見出しも間違っている。

 トランプは、中国輸入品の関税を上げ、中国と関係を絶つよう企業に要求して貿易戦争で報復した。

 報復したのは、トランプではなく中国だった。トランプはTweetの嵐と、彼が始めた貿易戦争を強化して、反撃した。紛らわしい見出しの記事は、こうまで言っている

金曜日、トランプ大統領は、アメリカ企業に中国との仕事をやめるよう要求し、北京に対する関税率を引き上げると発表して、長く続くアメリカ-中国貿易戦争で最も異例の日々の一つが終わった。

その日は、自動車生産に対し、この秋、復活する課徴金を含め、商品に750億ドルの新関税を課すという北京の発表で始まった。それはトランプが、中国に対する既存と計画中の関税を5パーセント引き上げるとTwitterした、金曜午後に近くに行われた。

北京の関税報復は、パウエルによる重要演説と、トランプがビアリツでのG-7会談に出発準備をする数時間前という戦略上のタイミングで行われた。

 トランプの動きの後、株式市場は下落した。貿易戦争は少なくとも短期的には貿易にとって良くない。アメリカと世界経済はふらついているが、まもなく景気後退するだろう。

 トランプ政権はそれでかまわないのだ。(漫画ディルバートの作者スコット・アダムス(ビデオ)と同様に)

 アメリカ大戦略は、他の大国が、アメリカと同等になるか、上回るのを阻止することだ。人口でアメリカの四倍大きい中国は、まさにそうなる準備できている国だ。中国は既にそれ自身を経済大国に作り上げ、軍事力も着実に増強している。

 トランプは昨日まで、その言葉を使うのを避けていたが、だから中国はアメリカ「敵」なのだ。

 これまで20年以上、アメリカは中国から益々多くの商品を輸入し、自身の製造能力を衰えさせている。 ある国が、その国の生産能力に依存している時に、相手国に対し戦争をするのは困難だ。本物の戦争を始める前に、アメリカは、中国から自身を切り離さなくてはならない。トランプの中国との貿易戦争は、それを実現するよう意図されている。中国との貿易交渉が失敗した際、ピーター・リーはこう書いていた。

アメリカの対中国タカ派の切り離し戦略は計画通り進んでいる。経済的な痛みは、問題ではなく、特徴だ。
貿易交渉の失敗は[トランプの貿易交渉者]ライトハイザーの過激な要求のおかげで十分折り込み済みだった。

対中国タカ派にとって、それは問題なかった。

なぜなら連中の最終目的はアメリカと中華人民共和国の経済を切り離し、中華人民共和国を弱め、国内の不安定化と世界的景気後退の被害を一層受けやすくすることだから。

もし切り離しで、世界GDPを数ポイント減り、アメリカ産業を傷つけ、世界を景気後退に押しやれば、それは自由の代償なのだ。

あるいは、少なくとも、それが本当の狙いの、アメリカインド太平洋軍が、東アジアでの局部サイズ・コンテストで優勝するのを可能にする代償だ。

 トランプは中国との新貿易協定を望んでいない。彼は未来の敵から、アメリカを切り離そうと望んでいる。貿易戦争は関係する全ての経済に損害を与えがちだ。切り離し過程が進行するにつれ、アメリカは不況に苦しむ可能性が高い。

 トランプはアメリカの景気下降下が彼の再選の可能性を下げかねないのを恐れている。それが、長期的帰結に関係なく、経済を、より多くの金でずぶ濡れにするため、彼が連邦準備銀行を使いたがっている理由だ。それが昨日のトランプTweetの嵐の出だしが、連邦準備制度理事会議長ジェイ・パウエルに向けられていた理由だ。

アメリカ企業に中国から撤退しろという命令を、政権に近い一部の人々は、大統領が政権内のタカ派による経済的な切り離し要求を奉じているのだと見ている。

トランプが習を「敵」と呼んだように思える下記Tweetが、移行の証拠としては最も明白かもしれない。

トランプの貿易政策と、アメリカと世界経済に対するその影響への批判を暗黙のうちに含んでいたジャクソンホールでの演説をパウエルがした後、投稿したTweetで彼は言った。「私の唯一の疑問は、ジェイ・パウエルと習主席のうち、我々にとってより大きな敵は、どちらなのかだ。」

 ジェイ・パウエルは連邦準備制度理事会の政策金利引き下げを望んでいない。彼は債券購入、すなわち量的緩和の強化を望んでいない。利率は既に余りに低く、更に金利を下げるのは、それ自身危険だ。前回、連邦準備制度理事会が余りに低金利政策を行った際、2008年の衝突と世界的な不景気を起こした。

 もし彼がトランプの命令に従おうとしなければ、トランプはパウエルを解雇することが予想される。アメリカは何が何でも市場を押し上げるだろう。

 パウエルの見地では、アメリカ金利を引き下げには更なる危険がある。アメリカが正気でない経済と金融政策を行えば、アメリカ同盟諸国も、中国からではなく、アメリカから切り離そうとのぞむだろう。2008年の経験は、世界の準備金と主な貿易通貨としての米ドルが、それを使う全員にとって危険であることを実証した。現在アメリカ経済でのどんなささいな障害でも、至るところの大規模な景気後退をもたらす。

 それが長年のアメリカ同盟国イギリスさえ、このような危険を警告し、解決策を探している理由だ。

金曜日、イングランド銀行総裁マーク・カーニーは、世界経済における米ドルの「不安定化の」役割に狙いを定めて、各中央銀行が自身で、代替の準備通貨を作り出すため協力する必要があるかもしれないと述べた。

アメリカ、ワイオミング州ジャクソンホールに集まった世界中の中央銀行幹部に、ドルによる世界金融体制支配が、超低金利による流動性の罠と弱い成長のリスクを高めたとカーニーは語った。
カーニーは、過去、非常に低い均衡利率が、戦争や金融危機や銀行制度の突然の変化と一致していたと警告した。
中国元は、ドルに匹敵する準備通貨となる可能性が最も高い候補だが、その用意が調うまで、まだ先は長い。

最も良い解決策は、技術によって実現可能な分散型の多極的金融体制だとカーニーは述べた。

 純粋に電子形式で、大半あるいは全ての中央銀行国間で契約によって作り出すことが可能な「新しい合成覇権通貨(SHC)」についてカーニーは語った。それは主要貿易通貨としてドルに置き換わり、他の国々の経済が、アメリカの病に感染(そして操作される)リスクを下げるのだ。

 カーニーはこれ以上詳しく述べなかったが興味深い概念だ。悪魔は常に細部に宿る。その通貨で税金を払うことが可能なのだろうか? SHCとリンクする、それぞれの主権通貨の価値はどのように決定されるのだろう?

 米ドルがブレトンウッズ体制下で世界準備通貨として使用されているのは、元フランス財務大臣バレリー・ジスカール・デスタンの言葉によれば「法外な特典」だ。もしアメリカが持っている特権を維持したいなら、健全な経済・金融政策に戻る必要がある。そうでなければ、世界経済には、アメリカから離れる以外、いかなる選択肢もない。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2019/08/us-decoupling-from-china-forces-others-to-decouple-from-us.html#more

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 宗主国のカジノ企業に横浜を差し出す一方、中国に代わって家畜の餌用トウモロコシを爆買いする世界最大ATM。食べさせる家畜などいるまい。ヤプーに転用するならわかる。

日刊IWJガイド「G7サミット開催中の仏ビアリッツをイランのザリフ外相が電撃訪問! しかしトランプ大統領は『我々は独自のやり方で行く』とイラン外相との会談は実現せず」2019.8.27日号~No.2539号~(2019.8.27 8時00分)

キョウ様からコメントを頂いた。残念ながら小生には意味不明ゆえ公開できない。あしからず。実は前回公開したコメントも小生には意味不明だった。

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