暴政へのあからさまなお誘い
2019年8月7日
Paul Craig Roberts
FBIは「陰謀論」が、それを信じる人々に、犯罪を行う動機を与え得ると結論する文書を発表した。https://www.scribd.com/document/420379775/FBI-Conspiracy-Theory-Redacted#download
事前逮捕、つまり犯そうと計画した嫌疑をかけられている犯罪を行う前に、誰かを逮捕することに対する容認が高まっていることを考えると、ジョン・F・ケネディやロバート・ケネディやマーティン・ルーサー・キング暗殺の公式説明や、9月11日に関する公式説明のようなものに対する異議申し立てが、今や事前逮捕の理由を見いだす目的での当局による監視をもたらしかねない。ジョージ・W・ブッシュとオバマ大統領は、嫌疑だけで、適法手続きなしで、人身保護令停止し、市民を暗殺する警察国家の先例を作った。もしアメリカ人が無期限に事前拘留され、先制的に暗殺される得るのなら、アメリカ人は、犯していない犯罪のために事前投獄されることが予想できる。
ローレンス・ストラットンと私が共著「The Tyranny of Good Intentions(善意の暴政)」で説明したように、人々の盾になる法律を作り出した歴史的偉業は、現在、法律が政府手中の武器へと作り変えられて、反転させられている。https://www.penguinrandomhouse.com/books/155833/the-tyranny-of-good-intentions-by-paul-craig-roberts-and-lawrence-m-stratton/
FBI書類は、陰謀論は「通常、出来事の公式、あるいは支配的言説とは合わない」と言う。「公式の」「支配的」いう単語の使用に注目願いたい。公式説明とは政府が提供する説明だ。支配的言説とはメディアが繰り返す説明だ。公式の支配的言説の例はこうしたものだ。サダム・フセインの大量破壊兵器、アサドの化学兵器使用、イランの核兵器、ウクライナへのロシア侵略や、リビア破壊に関するアメリカ政府による公式説明。もし人がこれらの公式説明を疑えば、その人は「陰謀論者」になる。
公式の支配的言説は事実と首尾一貫する必要はない。それが公式で、支配的あるだけで十分なのだ。それらが本当かどうかはどうでも良いのだ。そのため、真実を擁護する人々は陰謀論者というレッテルを貼られ、監視され、多分事前逮捕されかねないのだ。
9/11事件をお考え願いたい。9/11事件の法医学的捜査は今まで公式に行われていない。その代わり、ビルの破壊はオサマ・ビンラディンのせいにされ、真実を見つけるためにではなく、この主張を裏付けるために、シナリオとシミュレーションがでっち上げられた。建築家や、エンジニア、科学者、パイロットや初動要員は、公式の支配的言説と、現場での事実と一致させることができずにいる。彼らが作成した科学的証拠と供述証拠は「陰謀論」として切り捨てられている。陰謀論者だと定義されるのは、オサマ・ビンラディンの9/11事件陰謀物語をでっち上げた人々ではなく、証拠に依拠する専門家たちだ。
ロシアゲートをお考え願いたい。公式の支配的言説だったトランプとロシア間の陰謀とされているものがある。それでもロシアゲート陰謀を信じても、この陰謀が公式の支配的言説だったので誰も陰謀論者にはされなかった。だがロシアゲート陰謀を疑うと、人は陰謀論者にされた。
FBIレポートが、意図的、あるいは意図せずに行っているのは陰謀論支持者を、公式説明を疑う人と定義することだ。言い換えれば、政府のあらゆる説明責任を避ける方法だ。政府が言うことは何であれ、いかにウソであることが明らかだとしても、事実として受け入れなければならず、さもなくば我々は先制的逮捕用監視リストに載せられる。
結果的に、FBI文書は、修正第1条、すなわち言論の自由を、公式の支配的言説を繰り返す権利におとしめる。他のあらゆる言説は犯罪をもたらし得る陰謀思想なのだ。
このFBI書類を、ワシントン政府が暴政へのあからさまなお誘いとして見ていないことを、アメリカ国民全員大いに懸念し、それを拒絶し、その撤回を要求すべきだ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/08/07/an-open-invitation-to-tyranny/
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類は友呼ぶ?幹事長の本を昔読んだことを反省している。
あいちトリエンナーレを連想。初期にオウムを批判した坂本堤弁護士一家殺害事件も。大本営広報部は、お仲間だから、彼らをあおっても、問題点を指摘することはしないのはわかるが、まっとうな批判の欠如、まさに、暴政へのあからさまなお誘いだろう。
十二年も昔の2007年8月26日に訳した(が検索エンジンという隠蔽エンジンではみつからない)記事を思い出す。
簡単な10のステップで実現できるファシスト・アメリカ(日本?)
ガイドには、
米露のINF条約破棄で、再び核軍拡の危機の今こそ見つめなおしたい映画「ひろしま」が8月16日(深夜)にNHKのEテレでオンエア!
とも書かれている。思い出したが、この映画、見たことがある。下記記事で触れた。
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