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2019年7月 1日 (月)

保護を失った「自由」

2019年6月28日
Paul Craig Roberts

 7月4日は哀悼で日あるべきだ。我々の先祖がそのために戦った権利は奪い去られた。

 私の人生の上で、司法当局の憲法上の権利に対する姿勢に基本的変化があった。憲法上の権利のいかなる減少も警戒することが、もう一人の犯罪人に有罪宜告するより重要だと考えられていた頃を私は覚えている。人に有罪宜告するために必要とされる証拠は、憲法上の権利を侵害して、収集したり、もし、そうして収集されていたりした場合、使用できい事例があった。警察や検察官や裁判が、彼らの権利を侵害したがゆえに、犯罪者が無罪放免になった多くの例がある。無思慮な大衆の多くは裁判官が犯罪者を放免するのを激怒するだろう。大衆は裁判官が、犯罪者の権利と同様、彼らの権利も守っていたことを理解できなかったのだ。

 これは古くからある問題だ。ロバート・ボルトの芝居『すべての季節の男』では、犯罪者をもっと良く追跡するために法律を曲げるのを拒否したことで大法官トマス・モアが批判される。トーマス卿が彼を批判する人々に尋ねる。悪魔を追いかけるために、もし私が法律を切り詰めたら、当局が無辜の人々を攻撃した際、彼らに一体何が起こるだろうか? この疑問は、以前は、法廷で強力な存在感があった。

 私の人生の間に、憲法上の権利を守ることから、憲法を法の執行に対する障害と見ることへと重点が移行した。一人の個人、あるいは個人の集合に有罪を宜告するため、皆を保護する憲法上の権利を無視する先例が確立された。更に一人の罪人を、より容易に有罪を宜告できるよう、司法当局は全国民の憲法による保護を剥奪し始めた。

ラリー・ストラットンと私は著書『The Tyranny of Good Intentions』で、人々を守る楯から政府手中の武器へと、法律がどのように変えられたか書いた。( https://www.amazon.com/Tyranny-Good-Intentions-Prosecutors-Constitution/dp/0307396061/ref=sr_1_4?crid=3MJ5WKAER6NZA&keywords=paul+craig+roberts+books&qid=1561671688&s=books&sprefix=Paul+Craig%2Caps%2C144&sr=1-4 )「犯罪に対する戦争」「麻薬に対する戦争」「児童虐待に対する戦争」「対テロ戦争」がアメリカ憲法を凌遅刑でじわじわ破壊したのだ。

 ほとんど誰も犯罪者が自由の身になることは望まないが、時に犯罪者を自由の身にすることは、我々の憲法上の権利を守る唯一の方法なのだ。以前は、自由を守ることは、あらゆる犯罪者を罰するよりずっと重要だということははっきり理解されていた。ほぼ毎日、ラザフォード研究所のジョン・ホワイトヘッドが、消えつつある我々の権利の例をあげている。たとえば以下を参照。https://mailchi.mp/rutherford/us-supreme-court-rules-that-police-can-forcibly-warrantlessly-carry-out-blood-draws-on-unconscious-drivers?e=c5472441ea

 権利章典が与えている保護をたたき切るため、法廷は無数の例外と特別な状況を使っている。私はホワイトヘッドが論じている裁判で、飲酒運転の有罪判決を支持する最高裁判所の5-4の裁定を、大半のアメリカ人は全く問題と思わないと私は請け合う。実際、もし彼らが裁判について知ったら、修正第4条の守るために立ち上がった4人の判事を「犯罪人を社会に野放しにしたがるリベラル裁判官」と彼らは痛烈に非難したはずだ。

 『すべての季節の男』でのトーマス卿の警告は無視された。今日、アメリカの犯罪的司法制度の基本目的は、有罪判決を確保するため、我々の権利を縮小することだ。慣行は実に腐敗しており、今日、アメリカ政府は、物質的利益を追い求め、アメリカ自身の法も、国際法も当たり前のように侵害している。アメリカ覇権の進路や、政府のなんらか目的を満たす虚偽の自白を得ることができる拷問を、ただの法律が阻止することなど、ネオコンには想像も及ばないのだ。ワシントンが、脅迫と弾圧政治と管理された言説に完全に頼っている現在、アメリカ外交について語ることはもはや不可能だ。

 7月4日の祝典で美しく描写されるアメリカはもはや存在していない。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/06/28/liberty-has-lost-its-protection/

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 緊急事態条項が成立すれば、自由の減少どころではなく、完全に自由が剥奪されたたファシズムが宗主国崩壊まで続くことになる。もちろん大本営広報部大政体制翼賛機関、9条のことだけを報じ、壊憲の本当の狙い、「緊急事態条項」には決して触れない。大本営広報部に頼らず、自分でお金と時間を使うしか実態を知る方法はない。

 憲法に緊急事態条項は必要か (岩波ブックレット)

 へつらうポチは好きなように搾取され、中古兵器を爆買させられ、そのうち血まで流させられる。一方、逆らう相手には、それなり礼をつくして対応する帝国。

日刊IWJガイド「朝鮮半島平和構築への動きに弾みがつくか!? 昨日6月30日、金正恩委員長とトランプ米大統領が板門店で電撃会見! なお東京六本木では『IWJファンドレイジングシンポジウム・2019 改憲か否か!? 運命の夏』を開催いたしました! 録画の視聴は今後も可能です! 引き続きIWJへのご支援・応援をお願いいたします!」 2019.7.1日号~No.2482号~(2019.7.1 8時00分)

 

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