湾岸危機:返報は、大惨事に向かうのか、平和的解決に向かうのか?
Finian Cunningham
2019年7月24日
Strategic Culture Foundation
イギリス国旗を掲げたタンカーが先週イラン軍隊に拿捕された後、イギリスはイランを「敵対行為」のかどで告発し更に多くの軍艦をペルシャ湾に派遣している。イギリス・メディアによればイギリス艦船に加わるのは最新のアスチュート級原子力潜水艦一隻だ。
ロンドンは先週金曜日の、貨物船ステナ・インペロのイランによる拿捕を非難し、湾岸の軍艦のプレゼンスを強化したのは、商船の「航行の自由を守る」ためだと述べた。イギリスは、地域に派遣するため現在ワシントンが組織しているアメリカ率いる海軍連合と提携することを期待される。
イランは、ヘリコプターからイギリス船上に懸垂下降するイランのエリート奇襲隊のビデオ映像を発表した。ステナ・インペロはそれから、ホルムズ海峡のイランの港町バンダル・アッバスで没収された。テヘランはタンカーが漁船との衝突に関係しており、安全規則に従うことを拒否したと主張している。イランは調査を行っており、多くがインド人の乗組員を拘留した。
イラン・タンカーの「不適切な」拘留に対するイギリスの抗議は、偽善ではないにせよ、空虚に聞こえる。現在、イラン石油タンカー、グレイス1は、7月4日にイギリス海軍奇襲隊に拿捕された後、ジブラルタルのイギリス海外領土で拘留されている。ロンドンは、シリアに向かう途上とされる200万バレルの石油を積載しているイランタンカーを拿捕することで、シリアに対する制裁を実施しているのだと主張している。イランはイギリスの主張を拒絶し、ジブラルタルでの拿捕を「海賊行為」だと非難した。
イラン最高指導者アヤトラ・ハメネイは、イランはジブラルタル事件に報復するだろうと誓っていた。今イランが、イギリス船の没収で、まさにそれをしたかのように見える。イランが「国際法に違反した」というイギリスの非難は、イギリスによるイラン石油タンカー拿捕についての、もっともなイランの反訴でお返しされるだろう。
イラン特殊部隊によるヘリコプターからのステナ・インペロへの劇的降下と、それに続く船の拿捕は、イギリス海兵隊員が、ジブラルタルからイラン・タンカーを拿捕したことへの直接の返礼だ。イランが行動の同等性を実証するため、意図的に先のイギリス作戦を真似しているように思われる。
返報のこのゲームは二つの方向があり得る。彼らが5月からしてきたように、イギリスとアメリカはペルシャ湾での軍隊強化を続けることができる。混雑した水路へのイギリス原子力潜水艦と、更に多くのフリゲート艦派遣とされるものは確実に危険を高め、そこでの計算違いや小ぜり合いが、悲惨な全面的軍事対決に向かって連鎖的に変動しかねない。
イランは後退しないだろう。イランは、もしその国境と権益が攻撃されたら、激しく反撃すると繰り返して警告している。イギリスとアメリカによる軍事力のあらゆる強化は、イランによる同等の措置を招くだろう。我々の船の一隻を奪えば、我々はお前たちの一隻を差し押さえる。我々の領空にスパイ無人飛行機を送り込めば、我々はそれを撃墜するだろう。等々。
状況を一層不安定にするのは、自己中心の道化役者、アメリカ大統領がいることだ。彼の一貫性のない政権は、ベトナム徴兵忌避者ジョン・ボルトンのような横柄な戦争狂人により、無分別に率いられている。更に、イギリス政府はブレグジット茶番行為で危機に瀕している。今週数人の大臣が、無能なボリス・ジョンソンが新首相になるのを予期して、辞表を提出する状態で、誰も首相官邸の責任を持っているようには思われない。最大の懸念は、ブレグジット後に、貿易ライフラインを利用するために、ロンドンはワシントンを喜ばせておく必要があるので、ロンドンがトランプ政権に対し、通常そうである以上に、遥かに追従的になりかねないことだ。
つまりトランプがイギリスに「飛べ」と言うと、イギリスのブルドッグが「どれだけ高く?」と言うことを意味する。高まるペルシャ湾危機に関して、イランに対するどんな無謀なアメリカの侵略でも、同じように、テヘランに、それ以上の挑発するロンドンの盲従により増大させられる可能性が高い。最近の出来事の動きは既にそれを実証している。
しかしながら、もし正気が勝れば、返報は、逆の方向、平和的解決に向かって機能し得るのだ。イランは戦争を望んでいないと言って、緊張を緩和するための交渉の道を申し出ている。テヘランはトランプ政権に、制裁を撤廃し、対話のための外交規範に従うよう求めた。イランは2015年7月に署名された国際的核合意が、全ての当事者によって尊重され、国連が承認した協定に義務づけられている通りに、貿易と外交関係が正常化されることを望んでいる。
要するに、イランは標準的な国際関係に向かう返報を申し出ているのだ。核合意を遵守する責任は大いにアメリカとヨーロッパにある。去年のトランプによる協定からの一方的な離脱が、相互の敵意への第一歩だった。
アメリカとイギリスは、更に多くの軍艦をペルシャ湾に送って、大かがり火になりそうなものに、より多くの燃料を加えているのだ。このような動きは、大惨事への突進で、ばかげている。もしトランプ政権と不運なイギリス政府が、言っている通り戦争回避を望むなら、彼らは交渉による平和的解決に向かってイランに返報しなければならない。それは理論上実行可能だ。だがそれにはワシントンとロンドンが、イランの主権と権利に敬意を払う必要がある。横柄な英米に、それをねだって得られるかどうかは議論の余地がある。
Finian Cunninghamは、主要なニュース報道機関の元編集者・記者。彼の記事はいくつかの言語で発表されており、国際問題について広範囲に書いている
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
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昨日、国民民主党・玉木雄一郎代表の話題の発言、冒頭だけだが、見てしまった。「文化人放送局」という名前のネット放送局番組で、真顔で語っているのにびっくり。「文化人放送局」というものを、Wikipediaで探して、レギュラー出演者を見て、またびっくり。すごいお歴々。小生、昨日まで、一度も拝見したことがない。引用しよう。
「報道特注」の歴代レギュラー出演者は、生田與克・和田政宗・足立康史・上念司・山口敬之・加藤清隆らである。
今日の日刊IWJガイドにも、彼の話題や、吉本関連の話題がある。
たとえば、
国民民主党・玉木雄一郎代表「『#裏切り者には死を』は殺害予告!赤坂警察署に相談」~IWJは本日18時より「玉木に説教スタンディング」を中継取材
あるいは
吉本興業が第三者委員会を設置し、所属芸人と契約書を交わす方針が明らかに! ところが第三者委員会の座長の川上和久国際医療福祉大教授は吉本所属だったという指摘が!?
昨日、有名タレント評論家の呆導番組冒頭をちらり見た。選挙率の異様な低さを言っていた。大本営広報部の必死の協力で、それが実現していることは批判したのだろうか?期日前投票の異様な高さの理由は追求したのだろうか?ペルシャ湾への軍隊派遣は当然という雰囲気の話しが始まったところで、チャンネルを変えたのでどうだったのか知らない。
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