逆転不可能な腐朽状態にあるヨーロッパ、EU選挙はその証明だ!
2019年5月30日
Andre Vltchek
New Eastern Outlook
「古い」植民地主義大陸ヨーロッパは腐朽し、一部の場所では崩壊さえしている。ヨーロッパは事態がどれほど悪化しているかは察知している。だが決してそれが自分自身のせいだとは考えない。
北アメリカも同様に腐朽しているが、そこでは、人々は比較することにさえ慣れていない。彼らは「事態がうまくいっていないと感じる」だけだ。もし他のすべてが失敗すれば、彼らは二つ目か三つ目の仕事を得て、何とか生き残ろうとするのだ。
大西洋の両側で支配体制はパニック状態だ。彼らの世界は危機にあり、「危機」は、中国やロシアやイランを含め、いくつかの主要な国々、更には、南アフリカや、トルコや、ベネズエラや朝鮮民主主義人民共和国やフィリピンが、ワシントンとロンドンとパリで作成した脚本に従って動くことを公然と拒否しているのが主な原因で起きている。これらの国では、欧米国民の幸わせという祭壇で自国民を犠牲にする意欲が突然消滅したのだ。ベネズエラやシリアを含めいくつかの国は独立のために進んで戦おうとさえしている。
欧米に課された正気でない加虐的通商禁止や制裁にもかかわらず。中国やロシアやイランは現在多くの分野でヨーロッパや北アメリカよりずっとうまくやり、繁栄している。
もし彼らが更に強要されれば、中国やロシアや彼らの同盟国が一緒になって、粘土造りの経済と、返済不能な負債のアメリカ経済を容易に崩壊できるのだ。軍事的に、国防総省は、決して北京、モスクワ、テヘランさえ破れなかったことも明確になっている。
長期間世界を威嚇してきた後、欧米は今ほとんど終わっている。道徳的に、経済的に、社会的に、軍事的にさえ。欧米はまだ強奪しているが、世界の状態を改善する計画は持ち合わせていない。欧米は、そのような基準で考えることさえできないのだ。
欧米は、中国や、革新主義、国際主義計画がある全ての他の国を憎んでいる。欧米は習近平主席と彼の発想、一帯一路構想(BRI)を中傷するが、欧米が世界に提供できる新しい面白いものは皆無だ。そう、もちろん、政権転覆や、クーデター、軍事介入や、天然資源の盗みはあるが、他に何があるだろう? いや、沈黙!
*
ヨーロッパへの2週間の長い出張中、イタリアやスペインより高いHDI(国連開発計画に定義された人間開発指数)を享受しているチェコ共和国(今チェチアに改名された)で、ホテルの真正面で、数人の若い、きちんとした身なりの男性が食物を探してゴミ箱をあさっているのを見た.
ドイツで2番目に裕福な市シュツットガルト(メルセデスとポルシェの両方が生産されている場所)で、私は若いヨーロッパ人がひざまずいて施しを請うているのを見た。
私が訪問したEUの7つの国全てで見たものは混乱と、無関心、極端な自分本位とほとんどグロテスクな怠惰だ。アジアとは実に対照的に、ヨーロッパの人々全員、彼らの「権利」と特権に取りつかれていて、責任については誰もごく僅かな関心も持っていかった。
コペンハーゲンからの飛行機がシュツットガルトに着陸したとき、雨が降り始めた。それは豪雨ではなかった。ただの雨だ。SASが運行するカナダエア・ジェットは小型機で、ゲートには到着しなかった。ターミナルから数メートルの場所で駐機し、稲光とどしゃ降りのため、地上勤務のスタッフが、バスを運転して来るのを拒否したと機長がアナウンスした。それで、我々は、10分、20分、30分、機内に留まった。稲光は止んだ。霧雨は続いた。40分、バスは来ない。1時間後にバスが現れた。地上勤務スタッフの男が、ゆっくりと、完全にプラスチックに包まれ、雨からしっかり守られた状態で現れた。他方、乗客には、傘さえ提供されなかった。
私は後に市の中心部で「私は私自身を愛する」という落書きを見た。
落書きは、市民の意志に反し、数十億ユーロの経費で改造されている中央の駅から遠くなかった。怪物のようなプロジェクトは、途方もなく巨大な掘削に、一目で見える建築作業員がわずか5-6人という怠惰な調子で進行している。
シュツットガルトは信じられないほど不潔だ。エスカレーターが動いていないことが多く、あらゆるところに飲んだくれがいる、こじきだ。何十年間、誰も都市の外観整備をしないかのようにだ。かつて無料だった博物館は高い入場料を請求し、公共ベンチの大部分が公園や道から消えた。
腐敗は偏在する。ドイツ鉄道(DB)は事実上崩壊している。「ローカル線」から、かつて称賛されたICE(これらドイツ「新幹線」は実際一部のインドネシア都市間急行と比較してさえ、平均してずっとゆっくり走っている)に至るまでほぼ全ての列車が遅れている。
フィンランドからイタリアまで、ヨーロッパの至る所のサービス業は、グロテスクなほど酷い。コンビニ、カフェ、ホテル、全て人員不足で、運営はまずく、たいてい横柄だ。人間が、しばしば機能不全な機械に取って代わられている。至るところ、緊張と、悪い雰囲気が偏在している。何であれ、要求することなど考えられない。そんなことをすれば、人はかみつかれ、侮辱され、地獄に行かせられる危険を冒すことになる。
我々が共産主義の東で育っていた頃、欧米の宣伝が、資本主義国家のサービスをいかに称賛していたか私はまだ覚えている。「お客様は常に神様のように扱われる」。そう、そうなのだ! なんとばかげたことか。
何世紀にもわたり、「ヨーロッパ労働者」は、世界のあらゆる非白人地域で行われた植民地主義、新植民地主義略奪により「助成金を支給されていた」。彼らは甘やかされ、駄目にされ、福利に浴し、非生産的になった。それはエリートにとっては素晴らしかった。大衆が欧米帝国主義体制に賛成投票し続ける限り。
「プロレタリアート」は最終的に右翼、帝国主義者、更に快楽主義者になった。
私は今回は多くを見たので、私はより詳細にそれについて、間もなく書くつもりだ。
私が目撃しなかったのは、希望、あるいは熱意だった。楽観論はなかった。中国やロシアやベネズエラで、私が実に慣れている、健康で生産的な発想のやり取りや、深遠な討論は皆無だった。ひたすら混乱、至る所での無関心と腐敗。
そして、人々にとって、より良い、より人間的で、より進歩していて、社会主義の意欲に満ちている国が嫌いなのだ。
*
イタリアは、いささか違っているように感じた。再び、私はそこの偉大な左翼思索家たち、哲学者、教授、映画製作者、ジャーナリストと会った。私はヨーロッパ最大の大学、ローマ・ラ・サピエンツァ大学で講義した。私はベネズエラと欧米帝国主義について講義した。私はローマのベネズエラ大使館と働いた。その全てが素晴らしく、啓発的だったが、これは本当はイタリアだったのだろうか?
私がベイルートに向かってローマを出発した翌日、イタリア人は投票所に行った。そして彼らは、極右北部同盟への支持を倍増しながら、私の友人、5つ星運動への支持をやめ、わずか17%を越えただけだった。
これは事実上ヨーロッパ至る所で起きた。イギリス労働党は負け、他方右翼ブレグジット勢力が際立って増えた。極右、ファシスト党にさえ近いものが隆盛を極めた。
それは全て「私、私、私」政治だった。「政治的自撮り」の大騒ぎ。私は移民にうんざりだ。私はもっと良い福祉手当が欲しい。私はもっと良い医療、労働時間の短縮が欲しい。等々。
誰がそれに支払うのか、ヨーロッパの誰も気にかけていないように思われる。私は、アフリカは言うまでもなく、西パプアやボルネオやアマゾンや中東を略奪することについて、いかなるヨーロッパ政治家が嘆き悲しむのを聞いたことがない。
そして移民は? 最近の数十年で、東南アジアや東アフリカや中南米や亜大陸に押しかけた、何百万人もの違法の多くの厄介もの、ヨーロッパ難民の迷惑について我々は何か聞いたことがあるだろうか? 彼らは、無意味さ、不況、実存主義の空虚さから大群で逃れている。その過程で、連中は、土地、不動産、海岸のすべてを現地人から奪っている。
「移民は出てゆけ」? 結構だ。それなら、世界の他の国々から、ヨーロッパ人移民もだ! 不公平はもう沢山だ!
最近のEU選挙は、ヨーロッパが進化しなかったことをはっきり示した。暗い何世紀もの間、ヨーロッパは、快楽のために暮らし、上流社会の生活を維持するため何百万人も殺してきたのだ。
まさに今、同じことをし続けられるよう、ヨーロッパはその政治、支配制度を改造しようとしているのだ。いっそう効率的に!
おまけに、不条理にも、給料をもらい過ぎで、働きの悪い、主に右翼で、無気力なヨーロッパ人プロレタリアートを、世界が哀れに思い、その生活水準を上げるため、更に何千万人もの人々を犠牲にするよう期待されているのだ。
この全て起きるのを許してはならない。もう二度と! それは止めなければならない。
何十億人もの「他者」の生活を犠牲にして、ヨーロッパがこれまで実現したことは、決してそのために死ぬに値しない。
ヨーロッパとヨーロッパの人々に用心しよう!その歴史を学ぼう。ヨーロッパが全世界に広めた帝国主義、植民地政策と大量虐殺を学ぼう。
彼らには、ファシストを選ばせておこう。だが彼らは遠ざけておこう。彼らが全世界に連中の毒を広めるのを阻止しよう。
彼らは連中の国益を第一にしたいと思っているのだろうか? 結構! 全く同じことをしよう。ロシア国民第一だ! 中国第一だ!アジア、アフリカ、ラテンアメリカ第一だ!
Andre Vltchekは哲学者、小説家、映画製作者で調査ジャーナリスト。彼は Vltchek’s World in Word and Imagesの創作者で、China and Ecological Civilizationを含め、多くの本を書ている作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/05/30/europe-in-irreversible-decay-eu-elections-are-proof-of-it/
----------
昨日、『だいにっほん、おんたこめいわく史』を読み終え、『だいにっほん、ろんちくおげれつ記』を読んでいる。知人に粗筋を教えて欲しいと言われたが、お断りした。小生には無理。
『だいにっほん、ろんちくおげれつ記』52ページを引用させていただこう。
アダム・スミスが見えざる手の力に経済を委ねるのが最良の方法と説いた時には、その自由な経済、個々人の欲望に任せるという事は実は必要悪だった。だが、それは少しずつニュアンスを変えてきた。ネオリベラリズムとは只の欲望ではない。正義面の自己都合なのだ。世界資本の怪物が美徳の仮面をつけているのである。
『だいにっほん、ろんちくおげれつ記』124ページ には、こういう文がある。
馬鹿で馬鹿で馬鹿で馬鹿でしょうがないからこそ要職に就けるのだ。
二冊のテーマ、そのまま、本当に、下記日刊IWJガイドの見出しと直結している。
同じ話題、興味深いインタビューがある。
この問題について、IWJでは拓殖大学政経学部で森林科学が専門の関良基教授に取材しています。ぜひ、合わせてお読みください。
※国民の財産である国有林を丸裸にしてボロ儲け!? しかも植林の義務が事実上なし!? #安倍総理 が議長、#竹中平蔵 氏が議員の「 #未来投資会議 」の提言で #トンデモ改正法案 が今国会で審議中! 通れば日本中の山がハゲ山に!? 2019.5.15
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/448750
そして、またしても、沖縄で事故。
※中学校に「ゴム製」落下物、上空でヘリ通過 沖縄・浦添(朝日新聞、2019年6月4日)
https://www.asahi.com/articles/ASM646HJ2M64TPOB003.html米軍により著しく主権が制限されている日本側が、事故原因を究明するのは非常に困難といえるでしょう。
米軍機が日本の上空で日本の法律にとらわれずに好き勝手に訓練を行っている実態について、岩上安身はジャーナリストの吉田敏浩氏にインタビューを行っています。ぜひ、以下のURLよりご覧ください。
※日本の上空に日本の主権がない!「横田空域」は事実上の訓練空域!日米合同委員会でつくられた「空の壁」! ~5.27 岩上安身による ジャーナリスト・吉田敏浩氏インタビュー 2019.5.27
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/449523
« 欧米の優位は消滅途上 | トップページ | 洗脳進行中:「特定の戦争」の価値を称賛するペンス副大統領 »
「アメリカ」カテゴリの記事
- イランとの戦争が近づく中、ガザとレバノンでの虐殺(2024.10.12)
「NATO」カテゴリの記事
- 失敗に終わったゼレンスキー訪米(2024.09.30)
- ウクライナ - ゼレンスキーの「勝利計画」茶番(2024.09.24)
- NATO、ロシアに宣戦布告:成功するだろうか?(2024.09.23)
「Andre Vltchek」カテゴリの記事
- アンドレ・ヴルチェク、あなたが亡くなって一年(2021.10.01)
- アンドレ・ヴルチェク追悼(2020.09.25)
- 誰が安倍晋三を引き継ごうと日本の緩慢な衰退とアメリカ従属は続く可能性が高い(2020.09.02)
- Covid-19を打ち負かすための現実的ながら「論争的な」一方法(2020.08.26)
- 煙と消えたベイルート(2020.08.13)
コメント