スリランカ爆破攻撃:もう一つの中国同盟国を標的にしたテロ
2019年4月25日
Tony Cartalucci
New Eastern Outlook
南アジアの国家スリランカにおける最近の悲劇的なイースター攻撃は、何百人も殺害し、負傷させたが、不幸なことに、全て余りに良く知られた手口だ。
ニューヨーク・タイムズが「スリランカ攻撃について我々が知っていることと、知らないこと」という記事でこう報じている。
スリランカ当局は、ほとんど知られていない急進的イスラム主義集団ナシュナル・タウヒード・ジャマアトが国際過激派戦士の手助けで攻撃を実行したと述べた。
これら過激派が大規模攻撃に外国スポンサーから資金を得ていたことも報じられている。この攻撃で、全て不適切な理由で、多くの一般大衆に、スリランカが初めて有名になった。
一帯一路への反撃。分割と破壊
スリランカは、一帯一路主要構想パートナーとして、最近、決定的に、北京に軸を転回した。そうなるのを阻止するためのワシントンによる最善の努力にもかかわらずだ。
結果的に、ワシントンの「文明の衝突」に拍車をかけられた過激派が、スリランカの多数派仏教徒と、少数派イスラム教共同体の間での紛争拡大をお膳立てするのを助けたのだ。結果として生じる紛争は、スリランカの国としての団結を、そしてそれにより、中国のパートナーとしての生存能力を傷つけることを目指す、アメリカによる強要と、不安定化と、介入のための手段として機能する。
アメリカが支援する仏教徒過激派が、アメリカ-サウジアラビア-カタールが支持するイスラム教徒ロヒンギャ少数派の下からのし上がった過激派に対して戦っている近くのミャンマーでも、ほとんど同じ策略が使われている。
結果として、まさに中国が、地域で広がる一帯一路構想のもう一本の脚を作ろうと試みている国、ミャンマーのラカイン州で、暴力紛争と増大する人道的危機が進展しているのは、決して偶然の一致ではない。
スリランカは、大規模な鉄道や港湾や空港や道路プロジェクトを、全て北京援助で推進するという形で、本格的に一帯一路に参加した。スリランカは、欧米政策当局にも、伝統的にアメリカに支配された海域を通って、中国が航路を安全に保つことができる強みである中国の戦略上の「真珠の数珠」の一つと考えられている。
これらプロジェクトは「中国が、スリランカに港をしぶしぶ差し出させた手口」という見出しのニューヨーク・タイムズ記事や「スリランカでの、中国新シルクロードは期待はずれ」という France24記事が、ワシントンが長い間優位性を得ていると思い込んでいた地域アジア中に、中国が影響を広げていることに対する、ワシントンの反対の高まりを特徴づけて、欧米メディアこぞって、あざ笑っている。この地域の発展に関して、中国と競争する能力はワシントンにはない。その代わりに、アメリカはスリランカのような国を軍事援助で誘惑しようとした。
「戦略上重要な島に対する中国投資への対応で、アメリカはスリランカ軍に3900万ドル供与」という見出しの記事で、AFPは、こう報じている。
スリランカの向けのアメリカ資金は、ワシントンが「インド太平洋の法の支配に基づく自由な開かれた国際秩序」を保証すべく、南アジアと東南アジアのために取ってある3億ドル・パッケージの一部だ。
この「インド太平洋の法の支配に基づく自由な開かれた国際秩序」は、あらゆる政策文書や外交声明や政治演説で、アメリカが定期的に、アジアでのアメリカ優位性に言及する手口だ。
「軍事援助」が、具体的インフラ計画を通して、国家発展に拍車をかけることを目指す、中国による大規模投資と決して競争することができないのは明白だ。
公然と平等な経済基盤上で競争するアメリカの能力のなさが、政治干渉と暴力にとって変わられているのだ。
スリランカの危機は、アメリカが操るミャンマーでの危機とつながっている
アメリカは、何年もの間、ミャンマーで民族間対立をあおってきたことは文書で証明されている。アメリカは、上から下までアメリカ国務省に資金供給された「活動家」が居並ぶ彼女の政党国民民主連盟党(NLD)とともに、アウン・サン・スー・チーを「国家顧問」据えて、権力の座につけた。
スー・チーと彼女の政党と、両方を支持する党派を巡り、欧米メディアが作り上げたリベラルなうわべにもかかわらず、見境ない偏狭と人種差別がこの三者に蔓延している。
同時に、アメリカに資金供給された非政府組織(NGO)を装うフロント組織が、ロヒンギャ共同体を、同様な、対立する政治的武器として取り込み組み巧みに利用しているが、アメリカ同盟者のサウジアラビアやカタールは、ラカイン州で武装暴力を実行するため、ロヒンギャ共同体の派閥を急進化させ、武装させ始めている。
結果として生じる紛争は、北京の増大する影響力に対抗するため、ワシントンがミャンマーにアクセスし、利用できるよう、アメリカと、そのパートナーが、より大規模に介入する口実となっている。
アメリカが今のスリランカを含め、他のアジア諸国で再びそうしようと試みているのとまさに同じ方法で、アメリカはミャンマー内政に介入している。
イギリスのインデペンデント紙の「強暴な過激派仏教徒がスリランカでイスラム教徒を標的にしている」という見出しの2018年の記事を含め、欧米メディア記事が、ミャンマーとスリランカで増大している紛争の直接のつながりを確証さえしている。
記事は(協調は筆者)こう認めている。
現在、スリランカの最も活動的な過激派仏教集団はボドゥ・バラ・セーナ(仏教の力部隊、略称BBS)だ。指導者はスリランカ人が不道徳になり、仏教を断念したと主張しており、BBSは仏教-民族主義イデオロギーと綱領で2012年に政治に参入した。それは誰を非難しているだろう? スリランカのイスラム教徒だ。
イスラム教徒は高い出生率のおかげで「国を乗っ取りつつある」と主張して、BBSの言説は、世界中の他のポピュリスト反イスラム運動を見習っている。イスラム組織が、ハラル食品認証産業の金で、国際テロリストに資金を供給していると言って非難もしている。これらはただの空念仏ではない。2014年、南部の町アルスガマでの、連中による反イスラム教抗議大集会の一つでは、4人のイスラム教徒が亡くなった。
BBSは、ミャンマーの過激派、969運動ともつながっている。彼らは自らを「ビルマのビン・ラディン」と呼ぶ民族主義の僧アシン・ウィラトゥに率いられており、ロヒンギャ・イスラム教社会に対する強硬路線言説で悪名高い。
一連の侵略戦争の売り込みと、世界中で国を分裂させるための欧米による「イスラム恐怖症」利用は「分割して、支配せよ」の典型例だ。
欧米には、もはや標的に定めた国を「征服する」本物のいかなる手段もないが、結果として生じる分裂を、彼らを破壊するため使う能力は持っている。もしアメリカがアジアで優勢を維持できないなら、誰にもそうはさせないぞ。それが「対テロ戦争」の装いの下で行われている「平和に対する戦争」だ。
スリランカは今やワシントンの権益に反対する政治体制を破壊し、その灰塵上に、自分たちに役立つ組織を作るため、対立に拍車をかけるというワシントンのトレードマーク、「焼き畑方式」外交政策による最新被害者以外の何物でもないように思える。
今後、何日、何週と、何カ月にもわたって、スリランカでの最近の攻撃をワシントンやリヤドやドーハの世界テロ・ネットワークに関連づける、より多くの情報が出現するのみならず、北京を捨て、欧米へと方向転換させるべく、スリランカに対する追加圧力がかけられ始めるだろう。
実際、スリランカでの暴力行為は、人為的な民族・宗教分裂のいずれか側の、ごく少数の過激派に遂行された人為的しわざだ。混乱は、ごく少数の衰退しつつある既得権益しか役立たず、平和と安定が、彼ら全員に役立つのだから、この国も地域も、その目的で、団結しなくてはならない。
Tony Cartalucciは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者、オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/04/25/sri-lanka-blasts-terrorism-targets-another-chinese-ally/
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スリランカにNATO基地という記事を見た。納得。ベネズエラでは、宗主国の命令で、とうとう軍隊が反乱を始めたようだ。あるいは悲惨な未遂なのだろうか?
昨日も大本営広報部テレビはみなかった。洗脳呆導洪水から得るものはない。下記のような意見、大本営広報部はながさない。
五十嵐仁の転成仁語 4月30日(火) 改元と天皇代替わりのバカ騒ぎによって私たちは何を失おうとしているのか
植草一秀の『知られざる真実』「連休の時間空間を知的充電のために活用する」で紹介されている『国家はいつも嘘をつく--日本国民を欺く9のペテン』は刊行直後に拝読した。こういう本こそベストセラーになって欲しいもの。今『株式会社化する日本』を読んでいる。
より良い理解と精神衛生のために、下記の再配信インタビュー拝見しよう。
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