想像以上に悪いグリホサート
2019年4月14日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook
広く使われているグリホサート除草剤と様々な種類のガンとの直接的なつながりを新しい研究が示し続けている中、人間や他の物に対する被害の証拠を無視したり、その信用を損なったりしようと、農業関連産業圧力団体が猛烈に活動している。二番目のアメリカ地裁陪審の裁判で、現在ドイツのバイエルAGの一部となったモンサントが、被害で非ホジキンリンパ腫になった原告エドウィン・ハードマンに、8100万ドルを支払わなくてはならないと裁定された。この裁定と、アメリカの裁判所でグリホサートの影響を追求している更に11,000の係争中の裁判の行列で、同社株価が落下し、バイエルAGへの大きな打撃となり、数千人のレイオフが発表された。
サンフランシスコでの裁判で、陪審はグリホサートに基づくモンサントのラウンドアップ除草剤が、ハードマンのガンの原因だという評決で全員意見が一致していた。彼の弁護士は、「モンサントの行動から、同社がラウンドアップがガンを起こすかどうか気にしておらず、そうではなく、世論を操作し、ラウンドアップについて、本当の正当な懸念を引き起こす人々の信頼を損なうことに焦点をあてているのは明確だ。」と述べた。2018年、もう一つの陪審で、何年にもわたり毎日学校の校庭にラウンドアップを無防備で噴霧していた後、同じ種類のガンになったカリフォルニアの学校校庭管理人のガンは、グリホサートを基にしたラウンドアップのせいだったと裁定したものに続く、モンサント弁護士の二度目の敗北だ。そこでは、発見された内部電子メールに基づいて、会社重役が同社のグリホサート製品がガンを引き起し得ることを知りながら、この情報を公表しなかったかどで、陪審は、モンサントを「悪意と抑圧」の罪で有罪と評決した。
新しい独自の研究が、グリホサートに最も多く曝露している人々は非ホジキンリンパ腫(NHL)にかかるリスクが41%増えることを示している。ほぼ65,000人の参加者を含む6つの研究のメタ分析で、グリホサートを基本とする除草剤と免疫抑制や内分泌撹乱や遺伝子改変との間の関連がわかった。著者は「同じ重要な調査結果:GBH(グリホサートに基づく除草剤)への曝露はNHL(非ホジキンリンパ腫)のリスク増加と結び付けられる」ことに気が付いた。さらに彼らは、グリホサートが「消化器官微生物叢を変え」それが「免疫機構に衝撃を与え、慢性の炎症を促進し、病原体を攻撃する感受性に影響」し得ると述べた。グリホサートは同様に、雄雌両方のラットで「最近、性ホルモン生成を変えることが判明したので、内分泌かく乱物質の役割を果たすかもしれない」。
ジル・エリック・セラリーニとマイケル・アントニオとパートナーの下での、フランス科学者による長期動物実験で、極端に低いレベルのグリホサート除草剤でさえ、非アルコール性肝臓病を引き起こすことが明らかにされた。ラットがさらされたレベルは、体重1キログラムあたり、我々が食料摂取で許容されるものよりはるかに低かった。メイヨ・クリニックによれば、グリホサート殺虫剤を40年間、あるいは無差別に使用した今、1億人、つまりアメリカ人3人中の1人のが肝臓病にかかっている。こうした診断は、わずか8歳の幼い子供にもみられる。
だがグリホサートは、ヒトの健康だけに警鐘的影響を与えているわけではない。土壌科学者は、グリホサート噴霧の残滓が土壌の健康と栄養に対しても、おそらく復活するのに何年も要する劇的な影響を与えていることを悟り始めている。
土壌も殺す
もっともなことだが、大方の注意が現在世界中で最も広く使われている農薬グリホサートへの露出による人間への影響に引きつけられているが、独立した科学者たちは、農薬のもう一つの警鐘的な影響、不可欠な土壌栄養に対する影響を見出し始めている。EUにおける土地の健全さの研究で、オンライン・ジャーナルPolitico.euは、ヨーロッパ農業で、主要作物に対するグリホサート噴霧の影響は、雑草を枯らすのに加え、土壌の健全さに悲惨な結果を与えることも見いだした。
オーストリアのウィーン天然資源・応用生命科学大学の科学者が、3週間のグリホサート散布で、ミミズの土壌団粒形成活動がほとんど農地表面から消えたことを示した。ミミズは健全な土壌と植物栄養に欠くことができない、土壌団粒形成というのは、ミミズが穴を掘りながら、肥沃土を表面に押しやる活動過程だ。オランダ、ヴァーヘニンゲン大学による、EUの300以上の場所の表土試料の土壌研究で、土壌の83%に、一つかそれ以上の残留農薬が含までいることがわかった。驚くほどのことではないが「グリホサートや、その代謝体AMPA、DDT(DDTとその代謝体)や広域殺菌剤が、土壌試料中で最も頻繁に高濃度で見られる化合物だった」。
様々な農薬、とりわけ、ラウンドアップのようなグリホサートを基本にしたものの使用は、EU中でも、アメリカ中でも同様に、これまでの40年間にわたって爆発した。農業関連産業は、これが農産物生産性劇的向上の鍵だったと主張する。だがデータを良く見れば、米や小麦やトウモロコシのような主要穀物の平均収量は、1960年から2倍以上になる一方で、グリホサートを基本とする農薬の使用量は15-20倍に増大している。十分奇妙なことに、EUは多くのもののモニターを要求しているのに、土中残留農薬のモニターは、EUレベルでは要求されていない。最近までラウンドアップのような農薬の頻繁な使用の影響は科学研究で無視されてきた。
土壌専門家の証拠が、グリホサートのような農薬の使用と、土壌肥沃度の劇的下落や、健全な土地に欠くことができない微生物システム崩壊との間の明確な関連を明らかにし始めている。ミミズは最も不可欠なものの一つだ。
ミミズが健全な土壌養分において重要な役割を果たしていることははっきりしている。そうしたものに欠けている土壌は、我々が健康に良い食事に必要としている不可欠なものを我々から奪う土壌だが、土壌劣化という世界的大問題は、過去40年間にわたり世界規模で出現しているが、農薬使用が世界的に激増したのと同じ時間枠であるの明らかだ。土壌養分循環を強化し、他の有益な土壌微生物を増やし、植物が容易に吸収可能な大量の養分の濃度を高めるので、ミミズは有益だ。
グリホサートがミミズに対する影響に加えて、作物が養分を吸い上げるのに必要とする特定の菌類やバクテリアを殺すことがはっきりしているのに、どれだけのグリホサートを農作物に散布可能かについて、EUは限度を設定していない。それは大きな盲点だ。
今どこにいるのか?
いっそう明確になっているのは、EUやアメリカだけでなく、現在モンサントより大量のグリホサートを生産する中国で、グリホサートを基にした農薬の潜在的危険性を、規制機関が、壮大かつ意図的に無視していることだ。モンサントのラウンドアップ特許は切れており、シンジェンタ、浙江新安ケミカル企業集団、SinoHarvestや安徽?星化工有限公司を含む中国企業が、この化学製品の世界最大生産者で、同時に最大消費者にもなっており、有名な中国料理の将来にとって良くない前兆だ。
グリホサートはモンサント-バイエルのラウンドアップの他、世界中で約750種のブランドの農薬の基本化学成分だ。グリホサート残滓は、水道水、オレンジジュース、子供の尿、母乳、チップス、スナック、ビール、ワイン、シリアル、卵、オートミール、小麦産物や、試験した大半の通常食品で見いだされる。要するに、いたるところにある。
ところが、確かな証拠にもかかわらず、EUは官僚に権限を与えており、アメリカ環境保護庁は長期間にわたり、徹底的な独立調査が出るまで、有毒化学物質を禁止しないことにして、意図的に無視し続けている。皮肉な人なら、グリホサートを基本とする除草剤に対するこの継続的な公的支援は、単に官僚的な愚かさや無知の問題にとどまらず、それも一役買っているのは確実だが、賄賂だけの問題にとどまらないと思うはずだ。我々の食物連鎖の栄養価は組織的に破壊されているが、それは農業関連産業企業の利益だけの問題にとどまるまい。
F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/04/14/glyphosate-worse-than-we-could-imagine/
----------
昨夜は、なつめろを聞き、実際飲みに行くわけではないが酒場番組を見て寝た。傀儡政府が設定する話題を垂れ流す呆導番組、百害あって一利なし。覚醒剤は精神に良くないだろうが、全員摂取しているわけではない。一方、印刷であれ、電波であれ、呆導は、ほぼ全員が見て、洗脳されつづける。大変な害毒。マスコミそのものが「巨大オレオレ詐欺」のようなものではあるまいか。個人的に知りたい話題皆無で、売国言説の押し売りに、もうあきた。たとえば下記のような重要な催しを詳細に報じてくれるのであれば見るが、そうでない以上見るのをやめようと思う。見なくとも、失うものはない。知的健康の維持ど電気代節約に役立つはず。果敢な記者がおられる一紙は購読している。ねんのため。
「TPPプラスを許さない!全国共同行動」のよびかけで開催される、第12回院内集会「日米FTA交渉をただす!」を中継します。意見交換の参加省庁は外務省、内閣府、農水省などを予定。これまでIWJが報じてきた日米FTA関連の記事は、以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E6%97%A5%E7%B1%B3fta
中継、冒頭の鈴木宣弘教授のお話を拝聴した。この記事と直結している。途中部分は所要のため外出し、見損ねた。鈴木宣弘教授のお話を聞いた後では、お役人のお話は興味が持てない。
宗主国、イラクでは、爆撃で破壊し、兵器・弾薬で儲けたあと、石油利権や、復興開発で儲けているのだろうか。日本の場合、宗主国は危険な産品で属国民をガンにして、ガン保険や、医薬品で儲けるのだろう。おいしい属国。
« ジュリアン・アサンジの殉教 | トップページ | 悪の勝利 »
「アメリカ」カテゴリの記事
- 9/11:未だ治療法のないアメリカの病(2024.09.18)
- 当面ロシアへの長距離攻撃を行わないと決定したバイデン政権(2024.09.16)
- アメリカ大統領選討論会の妄想:戦争党という一つの党の二人の候補(2024.09.16)
「NATO」カテゴリの記事
- 当面ロシアへの長距離攻撃を行わないと決定したバイデン政権(2024.09.16)
- アメリカ大統領選討論会の妄想:戦争党という一つの党の二人の候補(2024.09.16)
- ウクライナ - 対ロシア新テロ作戦を推進するCIA/MI-6長官(2024.09.14)
- まだ分かっていないドゥーロフ(2024.09.17)
「中国」カテゴリの記事
- アメリカ大統領選討論会の妄想:戦争党という一つの党の二人の候補(2024.09.16)
- 超大国として君臨すべく「超兵器」を探し求めるアメリカ(2024.09.11)
- 二つのパイプライン物語…ヨーロッパが失い、中国が得たロシアの戦略的ガス(2024.08.27)
「GMO・遺伝子組み換え生物」カテゴリの記事
- 一体誰の穀物がウクライナから輸出されているのか?(2022.08.22)
- 今度はグローバル肥料供給の組織的解体?(2021.11.18)
- ロックフェラーの悪質な食料システムの狙い-作った本人が今破壊したがっているもの(2021.10.27)
- Farm to Fork(農場から食卓まで):EUとダボス陰謀団は農業支配をどう計画しているか(2021.10.11)
- 人類は数年で絶滅するのだろうか?(2021.03.14)
「William Engdahl」カテゴリの記事
- モスクワでなく、ベルリンとブリュッセル発のヨーロッパのエネルギー・アルマゲドン(2022.09.06)
- 一体誰の穀物がウクライナから輸出されているのか?(2022.08.22)
- NATO制裁と、来るべきグローバル・ディーゼル燃料(軽油)大惨事(2022.04.16)
- ウクライナと、より深遠な世界的自殺計画(2022.03.13)
- ジョージ・ソロスは、なぜ習近平が去るのを望んでいるのか?(2022.02.15)
コメント