リビアとそのエネルギー資源の支配を誰が勝ち取るのだろう?
2019年4月8日
ジム・ディーン
New Eastern Outlook
ベンガジに本拠を置くリビア軍(LNA)のハリファ・ハフタル大将がトリポリを掌握した後、誰がリビアとその石油とガス埋蔵量を支配するかに関し、トリポリに本拠を置くサラージの国民合意政府(GNA)との最終和解交渉を望んでいるように見える。
ハフタルの前進を頓挫させる全ての外交的試みは失敗した。国連が支持する国民合意政府GNAのトップ、ファイズ・サラージがハフタルと会おうと申し出たが、彼は拒否した。停戦を仲介するアントニオ・グテーレス国連事務総長の試みは失敗し、彼は金曜にリビアを去った。
国連安全保障理事会は、現在のエスカレーションを引き起こした連中に責任を負わせるつもりだというが、それはハフタルを意味する。過去一度もそう出来たことがないのに、一体どのように、戦いがより激しい時に、国連がそうするつもりなのか私には想像できない。国連はまだ調停しようと試みているが、どんな決議に関しても、双方の一連の外国後援者は同様に影響力を持っているだろう。
一体誰がリビア内戦がこれほど長く続くと思っただろう?
ベテランズ・トゥディーは、カダフィが排除された後、リビア内戦をしっかり見守ってきた。争いが過熱していた時、我々はカダフィ打倒を支援するために帰国していた海外居住リビア人共同体の現地情報源を持っていたおかげで幸い、刻一刻報道できていた。
我々の鍵となる情報提供者と彼のチームはカダフィがシルトのすぐ外で捕らえられた際、居合わせたが、誰がリビアの石油資源を支配するかに関し血まみれの権力闘争が起きることを事前に知っており、その一部になるのを嫌がって、いち早く出国していた。
死傷者100,000人と見積もられている戦争中にトリポリに差し迫った戦闘を回避するため、VTは、特にそう要求されることなく、カダフィと彼の家族が、できれば大虐殺を避けて、アフリカの国に安全に出国できるよう交渉するのに成功した。
カダフィは申し出を断った。驚いたことに、トリポリは一日で落ち、入念な計画実行の結果、無数の生命や負傷のみならず、市の破壊も救われた。
戦争の不透明さの中を覗く
いくつかの主要な未解決の問題があったので、このリビア記事を書くのを延ばしていた。最大のものは、ベンガジに基地があるハフタルが、一体どのように、南と西からトリポリに進軍することに対し、兵站補給線を維持したかだった。
彼の左翼を守るため、南部の油田サブハと、更に西のウバリを占領した後、ハフタル大将の勢力は南から進んだ。彼のリビア軍兵士は4月6日土曜、ガリヤンを占領するため北へ動いた。
トリポリの国民合意政府は、その軍によって反撃し、リビア軍の前進に大損害を与えたと報じられている。この主張にもかかわらず、ハフタルの軍隊は実際、市の南にある稼動していていない国際空港をとることによって、トリポリに迫った。
もしハフタルに155曲射砲があれば、彼は今頃都市を砲撃していた可能性があるが、私は大砲を載せた車列の写真を何も見ていない。彼が可能な限りわずかな戦いと損害で市を占領することを望んでいただという報告があるが、これはなかなか難しい願望だ。
我々が目にしているのは多数の取り付けられた重機関銃と「射撃手」車列だ。我々はトリポリを攻撃するのに必要とされる弾薬や兵站を供給する補給トラック車列を見ていない。もしトリポリが厳しい防衛をすれば、これはハフタル破滅の原因になり得ると思う。
ハフタル大将はトリポリ全面襲撃を一体どのように兵站上補給できるのだろう?
私は初めにハフタル勢力が簡易爆発物やミサイル待ち伏せ攻撃の試練を粉砕して切り抜け、どのように南から接近し続けられたか解読しなければならなかった。地域部族の忠誠先を変えているというのが答えだった。
国民合意政府は以前(南部の石油の分け前を巡り)長く争っていたトゥブ族とトワレグ族を、政治クーデターで、GNA連合にとりこみ、これら部族の兵士たちはトリポリを南から守る軍隊の重要な部分となった。
私が学んだのはハフタルが、この連合を割るのに成功していたということで、トリポリを占拠できた場合、一方の種族に、より多くの石油の富のを与えると言ったのではないかと推測する。部族指導者の買収は何百年も使われている古くからの植民地戦術だ。
それで、トリポリに対する最終の動きのため兵力を集中することができるよう、リビア南部からISISやアルカイダや外国工作員や密輸人さえ殲滅する取り組みをして、ハフタルはかなり長期間、準備していたのだ。
リビアの未来に関する隠れた主役は誰だろう?
民間航空用としては機能していないにもかかわらず、ハフタルが国際空港を掌握した今、トリポリからの補給機を受け入れることができる。だが疑問は、ハフタルが多面的攻撃を維持する現実的兵站を彼に提供する背後に一体どの大国があるのかだ?
表面上、彼はエジプトとUAEと、ロシアから政治的、軍事的な暗黙の支持を得ている。国民合意政府を支持しているのは、国連、若干の西側諸国、トルコとカタールで、軍事防衛は、カダフィと戦ったことで有名なミスラタ市民軍に頼っている。
日曜日、国防総省は最近の紛争のため、現地のアメリカ分遣隊が「一時的に」撤退したと発表した。だがアメリカは本当にいなくなるのだろうか?それにはハフタルの過去を慎重に検討する必要がある。
どういうわけか、何年も無視されているが、主流報道機関は、ハフタル大将がアメリカ国民で、何年もの間、アメリカに住んでいたのを報じたことは一度もない。彼の以前の経歴で、彼がアフリカでのリビア-チャド戦争で捕虜にされ、深刻な問題に出くわしていた時に、アメリカ組織が彼を救出し、最終的に保護下においた。一部評論家はこの関係がまだ続いていると感じているが、それがハフタルがこの両面戦線での前進を、神秘的な補給線でどのように管理できたかの説明になるかもしれない。
ハフタルの過去を論じることに対しては、商業マスコミの禁止令があるが、ウィキペディアは、ハフタル軍経歴の包括的な伝記から、それを出し抜く方法を発見した。ウィキの人々は、彼がワシントン環状道路の次の出口、バージニア州ラングリーの近くで働いたと言うのだ。その組織は三つの文字だ。最初はCだ。
今何が起きているのか?
トリポリに対する長い攻撃のための目に見える準備がないことは、ハフタルがGNAに対して和解を試みていることを示している。彼は、石油とガスインフラの支配で、最も多くのカードを持っている。彼は、最大の財布を持つ人物が最終的に政治闘争で勝つことに望みをかけているのかもしれない。
だがそれも、難しい戦闘が続き、彼の軍隊が大規模敗北をするかどうかで変化する。敗北は、死んだ男たちは分け前を享受できないので、金のために戦う連中にとっては常に大きな士気阻喪だ。
今リビア石油を市場から取り除くと、石油価格が上昇し、削減でOPECが強くなるので、石油市場は慎重にこの状況を見ている。他方、GNA政府は国営石油会社と全ての石油輸出収入が入る中央銀行の両方を支配しており、トリポリはまだいくつか重要なカードを持っている。
交渉による解決が、双方とリビア国民のためにはより良いだろうが、それは双方の外国後援者が望んでいるものなのだろうか? リビア国民と各政党は石油市場を一部の連中の役に立つような予測可能な方法に動かすため、巨大なチェス盤上の歩として使われているのだろうか? その可能性は十分あると私は言いたい。
ジム・W・ディーンは、ベテランズ・トゥデイ編集長、TVアトランタの文化・環境的遺産のプロデューサー/ホスト。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/04/08/who-will-win-control-over-libya-and-its-energy-wealth/
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ブログ「私の闇の奥」にある記事「リビアでの戦闘は内戦ではない」もお読み願いたい。
TAGなるインチキな名前を勝手につけたFTA「交渉」がアメリカに呼びつけられて始まった。ニュースの見出しがふるっている。
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で認めた水準が限度とする方針。米国はTPP水準以上を求める構えで、両国の攻防が本格化する。
TPP自体、とんでもないのだ。とんでもないもののままにするか、更にとんでもないものにするかという茶番にすぎない。「攻防が本格化」などと表現しても、更にとんでもないものになる可能性が高いだろう。宗主国・属国の上下関係で「交渉」など名ばかり。実態は傀儡与党への命令だろう。宗主国のご意向で、為替条項が盛り込まれるのではあるまいか。
ノートルダム火事に驚いたが、工事現場が火元という。黄色いベスト運動で追い込まれた支配層の自作自演では、と妄想したくなる。フランスのテレビ局が火事映像を報じると、Youtubeがいくつかの画像に、エンサイクロペディア・ブリタニカから引用して、9/11陰謀論扱いしたようだ。AIが間違った判断をしたとYoutubeは言っているという。正しいAI判断だったかも知れないと思うが。
ガイドには下記の見出しもある。
日米FTA交渉が開始! 協定には「為替条項」も盛り込まれる!? 4月26日、岩上安身による『データが語る日本財政の未来』の著者・明石順平弁護士インタビューを予定!
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