アサンジに対する世論がアメリカ政府の方向について我々に示していること
Eric ZUESSE
2019年4月13日
Strategic Culture Foundation
大半の人々が予想する通り、もしトランプがアサンジに対して敵対的であることが分かったら、合理的な結論は、2020年の大統領選挙で、トランプが、既存有権者の支持を維持するよりも、アメリカ人億万長者の資金援助を維持すること(アサンジ(と彼が意味するもの)が嫌いな)巨額寄贈者に、より配慮しているということだろう。
ジュリアン・アサンジあるいはウィキリークスに関する唯一の大規模世論調査は2011年4月26日のロイター/イプソスによるもので「ウィキリークス」ジュリアン・アサンジは犯罪者じゃない: 世界的世論調査」で、それは23カ国の各国で約千人の個人サンプルを取った回答者合計18,829人のものだ。ロイターニュース記事はあいまいで、世論調査結果の詳細説明にリンクしていないが、他のいかなる国よりウィキリークスに対して「アメリカ人回答者は遥かに批判的見解」で、アメリカ人の69%が「アサンジは告訴されるべきだと考えており、61パーセントがウィキリークスの目標に反対だったと報じている。Webサイトの別の場所に、このイプソス世論調査結果の詳細説明が埋もれていた。
ウィキリークには反対だ。
61% アメリカ
38% イギリス
33% カナダ
32% ポーランド
32% ベルギー
31% サウジアラビア
30% 日本
30% フランス
27% インドネシア
26% イタリア
25% ドイツ
24% スウェーデン
24% オーストラリア
22% ハンガリー
22% ブラジル
21% トルコ
21% 韓国
16% メキシコ
16% アルゼンチン
15% スペイン
15% ロシア
15% インド
12% 南アフリカ
言い換えればこうだ。23の国全てで、アメリカがウィキリークス反対が61%で一位、二位の反ウィキリークス国イギリスでは、一位から大幅に減って、38%が反対という状態だったのに対し、それ以下では、各国は隣接する国々に対してごくわずかに反ウィキリークだった。そう。アメリカはそこで、反ウィキリークスで傑出した独特な国だった。アメリカ人の42%がウィキリークスが「犯罪者」であると考えているのに対し、イギリス国民のわずか20%しかそうではない。20%より高い国は他にない。イギリスは、その反ウィキリークス要因に関して二位だった。従って、合理的な推論は、アメリカの全国向けマスコミが、ウィキリーク情報に対し、他のどの国のマスコミより極めて敵対的だったということだろう。そしてこの世論調査は、2016年のアメリカ大統領選挙に関するいかなる党派問題以前の2011年のものだったのだ。これはアメリカのマスコミが異常にウィキペディア反対である証拠だ。アメリカ人は他の国々の人々より、ウィキペディア反対で遥かに洗脳されているのだ。
2016年10月25日、2016年アメリカ大統領選挙さなか、もう一つのイギリス世論調査機関YouGovが「最近のウィキリークスに関する世論の方向転換」という見出しでこう報じた。
「アメリカ人は、2010年の国務省電報漏洩への不賛成とは著しい対照で、ポデスタ電子メール公表を認める傾向がある。他の問題に加え、ジョン・ポデスタの電子メール公表、特に銀行での彼女の秘密講演や、彼女自身の電子メール・スキャンダルに関して彼女の補佐が戦略を練っている内容の公表が、ヒラリー・クリントンの選挙運動にとって厄介なことが分かった。ドナルド・トランプを巡り進行中の論議のおかげで、クリントンはこの問題に関わりを持たなければならないのを避けるのにかなり成功したが、諜報機関からの報告が、漏洩はより広い地政学的重要さを持っているかもしれないことを示唆している。ロシア諜報機関は、ポデスタ電子メールのアカウント・ハッキングの黒幕だったという嫌疑をかけられている。」
「アメリカ諜報関係界は、ロシアが何らかの方法でジョン・ポデスタ電子メール・ハッキングの黒幕だということに広く同意している。だが、ほとんどのアメリカ人がこれには納得していない。アメリカ人のわずか33%がロシアが漏えいの黒幕だったと信じている。大半の民主党員(59%)がロシアが漏えいの黒幕だと信じているが、他方、共和党のわずか11%しか同意していない。」
今共和党員はウィキリーク情報に対して、民主党員がそうであるほど敵対的でない。民主党員が49%/20%で、ウィキリーク情報に対し好意的でないのに対し、共和党員はウィキリーク情報に対し61%/17%で好意的だった。民主党員が好意的でなかった以上に好意的だ。
この党派による強い相違は、しかしながら沈静化したかもしれない。世論調査はわずかで不明確だ。アメリカはウィキリーク情報に対し、他のいかなる国より圧倒的に敵対的だが、世論調査機関は、これを報じたがっておらず、逆にできるだけウィキリークスを黙殺するのを望んでいる。アメリカ世論調査機関ラスムッセンが「46%がウィキリーク発信者ジュリアン・アサンジを起訴するのを望んでいる」と見出しを付け、わずか半分ほどのアメリカ人、24%がそうでないと報じた2018年11月20日、それが、いささか中断した。だが党派別内訳は示されなかった。
2019年4月11日、イギリスにあるレニン・モレノのエクアドル大使館からアサンジを拉致するのに、ドナルド・トランプの人々がテリーザ・メイ配下を使ったまさしくその日の民主党「ニュース」サイトMSNBCでのオンライン投票調査結果がここにある。
ジュリアン・アサンジはウィキリークスへの彼の関与のかどで起訴されるべきですか?
3,203 票[2019年4月11日正午時点]
はい、彼は犯罪者です。
360 票
いいえ、彼は内部告発者で、保護に値する。
2,843 票
アサンジに反対 11%;アサンジ支持 89%
多分民主党員のサンプルの取りすぎで、この世論調査の、強いアサンジ擁護という調査結果は、共和党員は、アサンジに対して民主党員がそうであるほど敵対的ではないという前の調査結果に合致しない。
共和党のニュース・サイト、フォックスニュースの4月11日の「エクアドルが亡命を撤回した後逮捕されたウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジ」への12,000以上の読者コメントで判断すると、トランプがアサンジを起訴することに対する支持は強いが、圧倒的ではない。従ってトランプがアサンジを破滅させることに対して、彼の共和党支持基盤の多くを失うことはありそうもないように思われる。
「トランプはジュリアン・アサンジを恩赦するだろうか? 大統領は支持基盤、闇の国家、どちらにつくのか」と見出しを付けたリバタリアン・サイトInfoWarsでは、読者コメントで示されたのは主としてアサンジ擁護感情が非常に激しかった。もし彼がアサンジを破滅させれば、トランプは確実に、この支援者(リバタリアン)の一部を失うだろう。
(共和党支持というよりトランプ支持の)トランプ支持サイト、ブライトバートは「ウィキリークス発行人ジュリアン・アサンジがイギリス当局に逮捕された」を見出しにしているが大半が賛成票で、何千もの読者コメント中の「最高」は「望むらくは彼が免責特権と引き換えに、トランプ選挙運動を不法に秘密裏に捜査したことに対し、オバマと彼の政権の正体を暴くべく、バー・チームと共に働くことができるよう彼がアメリカに引き渡されること」だった。正午までに賛成票が増え、約700になった。従ってもしトランプがアサンジを支援し損ねれば、トランプは多分彼の既存支持基盤の一部を失うだろう。
明らかにトランプ・チームは今アサンジの運命を支配でき、彼らはアサンジに関してトランプの意志を実行している。もしMSNBCオンライン投票が何かの示唆になるとすれば、彼のチームによる法的行為か大統領恩赦を使って、アサンジを自由にすることで、トランプは実際、彼の支持基盤を拡大することができようし、民主党投票者からさえ多少の支持を得られるだろう。
もしトランプがアサンジに対して敵対的であることが分かれば、大半の人々が予想するように、妥当な結論は、2020年大統領選挙で、トランプは既存の有権者支持を維持するより、アメリカ億万長者からの資金を維持することに(アサンジ(と彼が意味するもの)が嫌いな)巨額寄贈者に、一層多く配慮しているということだろう。アメリカ選挙の現実という条件のもとで、(アサンジを破滅させる)後者の手口は、おそらく彼が再選で勝つため大いにありそうな方法だ。従って、後者の手法(アサンジを破滅させることにより億万長者に奉仕する)は少なくとも(2016年のような)これまで60年間のトランプの個人実績にも、アメリカ大統領選挙の実績にも、より首尾一貫するだろう。他方、4月11日に公表されたトランプ司法省のアサンジ起訴は、最高刑が5年の禁固刑の犯罪と主張されていることが分かった。たとえアサンジが有罪を宜告されたにせよ、トランプは、何らかの方法で、いかなる恩赦も必要とせずに、彼の「犯罪」のかどで既に必要以上の刑期を勤めたエクアドル大使館におけるアサンジの7年監禁を基に、アサンジを自由することが可能だ。その結果は、大多数のアメリカの億万長者にさえ不承不承受け入れられるかもしれない。(どうやら、アサンジに対するアメリカ政府訴訟は非常に根拠薄弱だ。もしそれが本当なら、政治的な億万長者寄贈者はおそらく、それをトランプの責任にしないだろう。ヒラリー・クリントンさえ、アサンジに対して「より良い」仕事ができたはずはない。)
アメリカ支配体制が何を決定するかにかかわらず、2011年のイプソス世論調査が示すように、アサンジはアメリカで、明らかに無類に敵対的な大衆に直面する。従って、アサンジは、間もなく地球上で、おそらく最も敵対的な国民大衆に囲まれるだろう。アサンジがアメリカ内で扱われる方法は、それゆえアメリカ政府の将来方向のかなり明確な示唆になるだろう。アメリカ国民と、我々を支配している体制の両方において。
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BSの報道番組と称するものが、アサンジ問題を扱っていた。スノーデンはリバタリアンで、それなり行動方針があるが、アサンジはアナキスト的で、何でも曝露すればよいという、元ハッカー。人のプライバシーを無視して曝露するため、実際被害を受けた人がいる。つきあいきれなくなって、仲間は離れてしまい、元々のメンバーで、まだ残っているのはごくわずか、ロシアが漏洩情報をアサンジに提供した。その他、その他。我慢して見続けたが、外国のまともなジャーナリスト諸氏とは対極の連中であることが良くわかる番組。典型的大本営広報部呆導。官報。公式フェイク・ニュース。男性三人、どうしようもなかった。女性が中ではまともだった。ビデオで登場した小笠原みどり氏は正論だった。「外国人記者は見た」という番組がまだ残っていたら、もう少しまともな意見がきかれたかもと残念に思う。
大阪12区、「自民、維新より劣勢」というわけのわからない記事を目にする。両者一体なのだから「巧みな作戦で、自民・維新コンビ優勢」というのが実情だろう。いっそう極端な維新が勝っても、自民党は全くこまらないだろう。
今日のIWJガイドには、下記の文章がある。
ジュリアン・アサンジ氏の逮捕についてエドワード・スノーデン氏が「報道の自由にとって暗黒の瞬間だ」と強く警告!一方で、今回の逮捕にトランプ大統領の政治的思惑を指摘する声も!?
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