トランプさん、あなたは本当にノーベル平和賞に値しますか?
2019年2月20日
グレーテ・マウトナー
New Eatern Outlook
現職アメリカ大統領が自分に衆目を引き付けるのに極めてたけているというのに反論するのは困難だが、先週、北朝鮮とシリアに関する業績ゆえに、自分はノーベル平和賞受賞に値すると発表して、彼はそれを再度証明した。それから彼は、おそらく賞を得られるまいと不平を言ったが、受賞するだろうか? アメリカの有力政治家によれば、過激派戦士に占領されていた、依然占領されているイドリブ解放の取り組みに対し、モスクワ、ダマスカスとテヘランに警告して、彼は約300万人(原文のまま)のシリア人の命を救ったのだという。
ほんの数日前、日本の安倍晋三首相が、北朝鮮の核武装解除における彼の業績と主張されるもので、トランプをノーベル平和賞に推薦したのは奇妙だ。この事実は、ほかならぬドナルド・トランプ自身が、安倍首相がノーベル賞委員会に提出した手紙のコピーを彼に送ったことを指摘して、暴露された。
そこで、朝日新聞が、アメリカ政府内の匿名情報源によれば、昨年6月、アメリカ・北朝鮮の未曾有のサミットで、シンガポールで、彼が北朝鮮指導者金正恩と会った後、ホワイトハウスが、トランプを指名するよう「非公式に」東京に要請したと述べる報道を発表し、状況は一層奇妙に見え始めた。
今年ノーベル平和賞にノミネートされた候補者は優に300人を超えるが、ノーベル賞委員会は、伝統的に被指名者リストを秘密にしておくので、誰も彼らの身元を明らかにできるまい。実に驚くべきことに、トランプの前任者バラク・オバマは、自ら監督した無数の無人機暗殺にもかかわらず、2009年、実際にノーベル平和賞を受賞した。当時多くの解説者が、ノーベル賞委員会を擁するノルウェーが、この措置を通して、比類ない忠誠を示して、ワシントンへの服従を完了したと指摘していた。
だから今、東京は、ノルウェーが受けたとまさに同じ待遇を受けるのは疑いようがない。安倍晋三は、平壌の核開発計画が何らかの形で解体され、ロシアとの領土問題や中国との経済戦争で、日本がワシントンの支持を享受し続けるのを望んでいるのだ。これらの話題への対処方法が、地域のゲームで日本が果たす役割と、安倍晋三の未来の政治生命を決定するはずなのだから、決して見過ごしてはならない。
だが遥か一年以上前、トランプに対する卑屈なムードがあらわれ始めていたのを我々は忘れてはならない。
2018年1月、ノルウェーのオンライン新聞ネッタビースンは、ドナルド・トランプがノーベル平和賞最有力候補者の中にいると発表した。当時、オスロ国際平和研究所(PRIO)のヘンリク・ウルダルは、トランプ指名の音頭取りは「アメリカ人だ」と発表したが、彼は誰が正確にこのような考えを思いつくほど大胆なのかは明らかにし損ねた。
昨年6月、アメリカと北朝鮮の実力者間サミットが終わった途端、NRKテレビが報じたように、ノルウェーの様々な議員が類似のお世辞提案をした。だが二国間首脳会議が始まるずっと前に、トランプのために、平壌、ソウル、モスクワと北京が最も困難で手間のかかる作業をこなしたことは、ほとんどの人々にとってかなり明確だった。だが北朝鮮との協定が最終的にまとまらなかったので、ノーベル賞委員会は当時トランプをこの賞に指名するのをためらったのだ。一年後の今でさえ、朝鮮半島の進展がどんな展開をするかは予測できない。
トランプがノーベル平和賞受賞者になるのを想像するのはほとんど不可能だと主張するスウェーデン日刊紙スヴェンスカ・ダーグブラーデットには同意せざるを得ない。おおいに尊敬されるこの賞を贈られる人物は賢明さと品格の権化に違いないのは明らかだ。だが、マザー・テレザやマララ・ユスフザイのすぐ隣で、常に自分の容貌や智恵を自慢する人物は想像できない。
本当に率直に言って、ドナルド・トランプは、民間人の生命を救うことに、まして何百万人もの人を救うことに専念するはずなどあり得ない。実のところ、アメリカ軍が作戦中にもたらし続けている、いわゆる巻き添え被害を無視しているトランプは、ノーベル賞の舞台より、ニュルンベルグ国際軍事裁判所の被告席で終わる可能性のほうがずっと高いことを意味している。しかも、去年、国際司法裁判所に権限を与えることを含め、多くの国際協定からワシントンが離脱したと発表したのはドナルド・トランプだった。
さらに、ワシントンはトランプの命令で、シリアに対する非合法軍事攻撃を続けている。国際社会によるいかなる支持もなしに、シリア中で、アメリカ空爆が毎日何百という民間人の生命を奪っている。
2月9日、シリアでのさらにもう一つのアメリカ爆撃で、デリゾール県アル・タヤネン町で三人の民間人が亡くなる結果となった。
二日後、新しい攻撃がシリアのバグズ村で更に16人の一般人の生命を奪った。まさに次の日、一連の空襲が70人の地元住民の死亡をもたらし、繰り返し人類に対する罪を犯していると、シリア外務省が、アメリカ率いる連合を非難した。
これはシリアが、わずか二週間で経験した民間人犠牲者だが、さらに何人の人々がそれ以前にアメリカ爆弾で亡くなっているだろう?
つい最近、いまだ共和党が多数派を占めるアメリカ上院は、シリアと同盟諸国に対して制裁を課する「中東におけるアメリカ安全保障強化法」を承認した。疑いなく、この措置はシリア紛争の平和的解決に対するトランプの個人的貢献と見なすことはできず、もう一つのトランプの不道徳な行動の例に過ぎない。
シリア国民に対する大量虐殺を止め、戦争で荒廃した国から軍隊を即時撤退させるよう毎日、地元住民がワシントンに要求し、シリア中で集会が開催されている。ダマスカスが、同様の要請を国連安全保障理事会に提出したが無駄だった。だから「トランプさん、あなたは本当にノーベル平和賞に値しますか?」と問いただすのはおおいに論理的だ。
グレーテ・マウトナーはドイツ人独立研究者、ジャーナリスト。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/02/20/do-you-really-deserve-a-nobel-peace-prize-mister-trump/
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知人のお子さんが空手道場に通っているのを数日前知ったばかりのところに、 大山倍達孫逮捕で驚いている。
「菅長官 回答拒否の真意説明」という不思議なニュース。意味がわからない。「指摘にはあたらない」発言を繰り返す彼や、「記者」ならぬ「速記者」クラブの異様さしか感じない。英語記事でも、stenographersという表現をみかける。
劣等では、監察委員会を監察する組織が必要なようだ。
日刊IWJガイド「毎月勤労統計不正調査問題は『部下が勝手にやった』!? 厚労省監察委も不正の隠蔽に加担!?」 2019.2.28日号~No.2359号~(2019.2.28 8時00分)
明日は、岩上氏による明石順平弁護士インタビューを拝聴できる。
統計不正問題と「アベノミクス偽装」について、明日3月1日午後1時30分より、岩上さんによる『データが語る日本財政の未来』の著者・明石順平弁護士インタビューを冒頭のみフルオープンで配信します!
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