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2019年1月16日 (水)

果てしないシリア戦争を促進する合州国平和研究所USIP

2019年1月14日
Tony Cartalucci
New Eastern Outlook

 「議会が設立した、激しい紛争がない世界は可能だという命題に専念する独立した国立研究所」は、戦争継続の呼びかけをするなどと、誰も想像しない組織のはずだ。

 だが、合州国平和研究所(USIP)はまさに、それを推進する組織なのだ。

 合州国平和研究所USIPウェブサイトに最近掲載された「アメリカ軍撤退は、シリアにとって、何を意味するか?」と題する論文で、USIP上級顧問は、シリアからのアメリカ軍撤退は「シリアと、より広範地域におけるアメリカ合州国の権益に悪影響を及ぼす」と主張している。

 記事は、こう主張する。

    アメリカ軍の急激な撤退は、シリアにおける、アメリカの極めて重要な権益に悪影響を及ぼすだろう。アメリカ軍駐留は、ISISの恒久的敗北や、シリアからのイラン撤退や、ジュネーブ和平策定プロセスの復活に熱心な新たに活気づいたアメリカの対シリア政策のために重要な前提条件の役を果たしている。

 合州国平和研究所USIPは、こうも主張している:

    現地のアメリカ軍は、イランとロシアに対する重要な拮抗勢力の役も演じた。特に、この派生的恩恵は、東シリアでの更なるイランの拡大に対処した。もしアメリカが撤退すれば、ロシアやアサド政権同様、イランは生まれる空間を活用する立場になるだろう。

 言い換えれば、アメリカ憲法に則って、議会によって認可されたわけでもなく、国連憲章による国際法にも違反している、シリア国内でのアメリカによる不法占領や軍事作戦の終わりは、国際的に認められたシリア主権政府に自らの領土支配を回復するのを許すがゆえに好ましくないと強く主張しているのだ。

 合州国平和研究所USIP論文は、同様に、アメリカ軍撤退が、「ジュネーブ和平策定プロセスを復活させる影響力」をアメリカから奪うと強く主張している。言い換えれば、戦争後に出現するシリア政府の姿を形づくるワシントンの能力を損なうというのだ。

 合州国「平和」研究所USIPは、シリアの国内政治に対し、ワシントンに、なぜ、この不当な権限があるのかは決して説明しない。

 合州国「平和」研究所は、同様に、アメリカ軍撤退で、シリアにおける平和に重要な必要条件であるシリア・クルド人がダマスカスと交渉する可能性があるが、それは望ましくないと主張しているのだ。

 論文はこう文句を言っている。

    クルド人は、以前より弱い条件の上ではあるが、政権と取り引きする以外に、選択肢がないと判断するかもしれない。

 欧米による広範囲な工業規模の人権詐欺同様、合州国平和研究所は、高尚な理想、この場合は「平和」という名目の背後で、隠されたワシントンの狙いを売りこむ道具に過ぎない。

 非合法侵略と占領を弁護する論文は、自国領土保全をはかるシリア自身の主権的権利を否定し、アメリカ権益と同じぐらいシリア内で対立している関係者間の交渉を引き合いにしている。これは合州国平和研究所USIPの基本理念とされるものの真っ向からの否定だ。

 平和に「ついての」研究所と、平和「のための」研究所との対比

 合州国平和研究所USIP論文に驚くべきことは何もない。シリアで、何年も「平和」を促進するという建前考の背後で、アメリカによる政権転覆を暗に含んでいた。それ以前にも、アメリカはリビアでも、アメリカが率いた他の多数の戦争でそうして来たのだ。

 2012年、合州国平和研究所USIPは、その前のリビアやイラクと同じやり方で、まもなく分割され破壊されるはずのシリアのために、計画と憲法さえ準備するのに多忙だった。

 フォーリン・ポリシーは「アサド後のシリアのために計画すべき静かな努力」と題する記事で、こう認めている。

    過去6カ月間、様々なシリア反政府派40人の主要代表者が、アサド後のシリア政府を設立する方法に備えて計画を立てるため、合州国平和研究所(USIP)指導の下、ドイツで密かに会合していた。

    アメリカ政府当局者は直接関与してはいないが、国務省が資金の一部を供給しているこのプロジェクトは、今月、シリアでの暴力の連鎖が増加し、制御できなくなり、穏やかな権力移行に対する希望が次第に消えつつある中、重要性を増している。プロジェクト・リーダーであるUSIPのシリア学識経験者、スティーブン・ハイデマンは、先月イスタンブールで会合している『シリアの友人たち』会議の際、計画について外国当局者と政府高官にブリーフィングした。

 平和を促進するという合州国平和研究所USIPの建前の任務からほど遠く、このプロジェクトは、逆に、欧米に支援される反政府派と共に行われた。アメリカ国務省や国防省や、諜報機関が、暴力的にシリア政府を打倒しようと努力したように、合州国平和研究所USIPは、シリア独立政権を、ワシントンに依存する、従順な連中に置き換える計画を推進するため反対派と共に働いてきた。

 この集団の取り組みの焦点は、政権崩壊直後に具体案を展開し、官庁、安全保障、経済混乱の危険を緩和することだ。プロジェクトは、アサド後のシリアに備えて、事前にできることを明らかにしている。記事は、こう認めている。

 合州国平和研究所USIPは、反政府派とシリア政府間の平和を促進する努力については一切言及していない。

 アメリカが支援する武力政権交代の取り組みに関係していないためのUSIP戦略に関する姿勢については、合州国平和研究所USIPのハイデマンは、こう認めている。

    我々は非常に意図的に、アサド政権の直接打倒に貢献するのを控えてきました。我々のプロジェクトは「事後」召集されるのです。事前に働く別の集団があるのです。

 もう一つの瞞着は、合州国平和研究所USIPが、アメリカ政府から独立しているふりをしていることだ。フォーリン・ポリシー誌は、こう認めている。

    これら会議で、オバマ政府高官がオブザーバーとしてさえ欠席しているのは意図的だった。

    「アメリカの役割が余りにも目立てば、非常に逆効果だ。アサド政権や、我々に反対する連中に、この過程の合法性を否定するする口実を与えることになる」とハイデマンは述べた。

 アメリカの役割が「目立つ」かどうかに関係なく、アメリカが、シリア政府を打倒し、戦争後登場する政権を具体化する努力をしているのは確実だ。

  USIPの努力を通して、暴力的にシリア政権を打倒し、その後に権力の座につけるべき傀儡政権を準備しているアメリカ政府の取り組みにもかかわらず、USIPのハイデマン自身、特に、見掛けそのものが酷いだけでなく、実際、きわめて犯罪的なので、この試みが目立たないようにしていたことを認めている。

 合州国平和研究所は、アメリカが支援する代理武装軍に直接関係していないかもしれないが、平和を実現しないよう暴力にてこ入れする点で直接的役割を果たしている。平和という名目の背後に隠れ、アメリカ軍による征服の行政面の対応に携わっているのだ。

 アメリカ軍事介入後、権力の座につくべき傀儡政権を準備していようが、絶え間ない、極めて非合法な戦争の正当化を唱えていようが、合州国平和研究所は、本当の平和を実現するための取り組みではなく、戦争を売りこみ、狙っていることを戦争で実現しようとして、平和という名目を利用する、平和「のための」ではなく、平和"についての"研究所以外の何物でもない。

 Tony Cartalucciはバンコクを本拠とする地政学研究者、作家。オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事。

 記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/01/14/the-us-institute-of-peace-promotes-endless-syrian-war/

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 引退発表。

 植草一秀の『知られざる真実』の最新記事、孫崎享氏の今日のメルマガ題名と重なる。

 『国家はいつも嘘をつく』書評を森永卓郎氏掲載

 孫崎享氏の今日のメルマガ題名は下記。歴史的事実を歪曲している国と、歴史的事実を語っている国が交渉して、まとまるはずはないだろう。ネットで、ロシア政府や日本政府を批判している方々、日露領土問題に関するまともな本を読んだ上で語っているのだろうか。大本営広報部の呆導だけを背景に議論しているのであれば、意味はないだろう。即座に、日露戦争講話後の日比谷公園焼討を連想する。

北方領土は「不法占拠」 菅長官「立場に変わりない」(朝日)。この認識は違う。?日本は桑港条約で千島(国後・択捉)を放棄。これの帰属は連合国の問題。ヤルタ協定で、「千島列島はソヴィエト連邦に引き渡さるべし」。従ってロシアが「不法占拠」の根拠なし。

 ジョージ・オーウェルの小説『1984年』は、SFではなく、ノンフィクション。

戦争は平和だ、自由は隷属だ、無知は力だ。宗主国と属国の現状そのまま。戦争で人の血を吸って生きる経済・政治体制の国が戦争をやめるための研究をさせるわけがない。

 日本の卑屈な態度に対する「モスコフスキー・コムソモーレツ」記事要約を日刊ゲンダイで見た。

 旧ソ連時代から人気の大衆紙「モスコフスキー・コムソモーレツ」は10日、日本についてこんな皮肉を記事にした。

 〈プーチン大統領は安倍首相の大好物をテーブルに置いて、安倍首相が食べようとしたところ、さっと持ち去った。ただ持ち去るだけではなく、氷水をぶっかけて持ち去った〉

 それで昔の翻訳記事を思い出した。反対の内容だ。

 北方四島は返却すべきだ(モスコフスキー・コムソモーレツ)の記事翻訳。2011年3月23日

 大方のロシア人と正反対の意見を公然と言えば、ロシアで町を安全に歩けないだろうと思って、翻訳記事の後に「本当に普通の主婦なのだろうか?」と書いたところ『「本当に普通の主婦なのだろうか?」は余計。』という書き込みをいただいた。小生の知り合いの女性、ほとんど主婦。中に主婦でない方もおられるが。いずれも素晴らしい見識の持ち主ばかり。『「主婦は知能指数が低い」とでも言いたそうですね。』という邪推まで書いておられる。小生の知人、まったく逆。どうすれば、そう曲解できるのか、今も不思議に思っている。

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