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2019年1月18日 (金)

北東シリアのトルコの「セキュリティーゾーン」は良くないアイデア

Moon of Alabama
2019年1月16日

 トランプ大統領は、アメリカ兵が北東のシリアから撤退することを望んでいる。ジョン・ボルトン国家安全保障担当補佐官と、マイク・ポンペオ国務長官はその動きを阻止しようとした。トランプはトルコに北東シリアを手渡す考えを思いついたが、まもなくトルコは、アメリカが武装させ、イスラム国家に対する代理部隊として利用したクルドのYPK / PKKと戦うだろうと言われた。

 トルコはイスラム国家と戦うことや、ユーフラテス川に沿ったラッカや他のアラブ民族の市を占領することに興味は皆無だ。トルコ唯一の関心は、トルコの柔らかい南の急所を脅かすことが可能な武装クルド集団の形成を防ぐことだ。トルコは、それでクルド人を国境から遠ざけるべく場所を占めるシリア内の「セキュリティーゾーン」という考えを思いついたのだ。

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 だが、その帯状の国境地帯は、まさに主要なクルド居住地がある場所だ。アイン・アル=アラブ、クルド語で「コバネ」や、国境沿いの他の多くの都市では、住民の大多数がクルド人だ。彼らは確実に、トルコによる占領に反対して戦うだろう。トルコは、ユーフラテス川の西にあるマンビジ地域も支配することを望んでいる。

 ロシアは、これ以上のシリア領土に対するトルコの支配を許すまい。

    水曜日、トルコが支配する「セキュリティー・ゾーン」を設定するというアメリカからの電話の後、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、シリア政権が国の北部を支配しなくてはならないと述べた。

    「我々は、これらの領域をシリア政府に引き渡し、シリア治安部隊と行政機構の支配下におくのが、最善で、唯一の解決策だと確信している」とラブロフ外務大臣が記者だに述べた。

 クルド組織も、シリア政府も、同様、トルコの計画を拒絶している。

    「シリアは、その統一を標的とするいかなる試みも、国際テロに対する支援と保護と同様、トルコによるシリア領の明確な侵略と占領と考える」と[外務省の公職にある情報提供者]が述べた。

 トルコは侵略を開始するのに十分な軍隊を国境に移動したが、その経済的リスクは高い。3月に地方選挙があるトルコのエルドアン大統領は、沼地の中に飛び込んで、選挙をメチャメチャにすることは望んでいない。エルドアンは再びまもなくロシアを訪問し、問題についてプーチン大統領と議論するだろう。クルド地域はシリア政府が支配し、ほぼ静かな国境をロシアが保障するほうが、トルコが金をかけて敵対的な住民を占領をするより良い解決だとエルドアンが確信する可能性が高い。

 今日早く自爆犯が、マンビジ(ビデオ)で攻撃し、アメリカ兵4人を殺し、少なくとも3人負傷させた。多くのYPK / PKK戦士や居合わせた人々も殺されたか、あるいは傷つけられた。事件は、アメリカ軍兵士が、おそらく誰かと会っていたレストランの前で起きた。2018年3月、マンビジでの即席爆発装置攻撃では、2人のアメリカ兵が殺害された。

 クルド情報筋は、トルコに支援されているテロ集団潜伏工作員を事件の原因だと非難した。トルコが資金援助する「自由シリア軍」指導者Ahmad Rahhalは、イスラム国内の「シリア政府職員」のせいだとした。トルコの通信社は、クルド人民防衛隊に責任があると非難した。CIAがトランプをシリアに留めて置くため、これを始めたと思うむきもある。どれも多分正しくない。イスラム国は、そのいつものメディアで、実行したと主張し、自爆犯の名前まで明かした。

 アメリカ軍兵士の死者と負傷者は、シコルスキーS-92ヘリコプターで搬送された。

 S-92はアメリカやフランスやイギリス軍がシリアで運用しているわけではない。武装ヘリコプターは、多分医療搬送サービス用に、アメリカ軍に雇われた民間軍事会社によって所有・経営されている可能性が高い。これは再び北東シリアに、2,000人の兵士がいるという公式のアメリカ数が全体像ではないことを証明している。1,000人以上のフランス軍兵士、200人のイギリスSASや、数千ではないにせよ、数百人のアメリカ請負業者を含め、更に数千人、戦闘任務に関与しているのは確実だ。

 マンビジでの自爆攻撃は、イスラム国が、ほとんどすべての領域を失ったが、地下テロ組織として存在し続けるだろうことが確認できる。一つの理由は、戦士の多くが、一般人を避難させるアメリカ代理部隊に賄賂を使って、イスラム国が占領する最後の領域から逃れたためだ。

    イスラム国の飛び領土から逃がれ、アル・オマール油田に移送される人々の中には、選別され、キャンプに入る前に、選別されるキャンプで逮捕されるのを恐れ、アル・ブサイラや、テバンや、ガラニジなどの地域に出るため、10,000ドルを超える金額を払う人々がいることをシリア人権観測所は学んだ。アル・オマール油田からキャンプへの輸送を請け負う関係者に、金額を支払っているのは、多くの場合、ISISメンバーと、ISISメンバーの家族だと、情報提供者は示唆した。

 シリア人権観測所は、逃亡するISIS分子が、将来の攻撃に使える6桁のドルを運んでいることが多いとも報じている。これらの要素を完全に根絶するには、地元の人々の協力と、長い年月が必要だろう。

 シリアでのアメリカ占領継続続を望むアメリカ政治家は、マンビジ事件をアメリカの無期限駐留を主張するために利用するだろう。ISISは勝てたかもしれない。トランプのように、アメリカを撤退させたいと思う人々は、事件を地域から緊急撤退を主張するために使うだろう。

 その議論では、トランプが勝つ可能性が高い。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2019/01/a-turkish-security-zone-in-northeast-syria-is-a-bad-idea.html

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 ポチは飼い主には吠えない。属国傀儡は、地位協定改訂の「ち」の字も言えない。一方、北朝鮮や、韓国や、ロシアとなると急に元気に、ののしり始める。虎の勢をかる。

 ラブロフ外務大臣の発言、きついが、歴史的事実だろう。北方領土、ウソで塗り固めてきた日本政府、その提灯持ちをしてきた大本営広報部、泥沼にはまり、抜け出せなくなっている。日本政府や大本営広報部の虚報を盲信している国民も同じこと。たまたま昨日、加藤周一 青春と戦争 『青春ノート』を読む、のもとになったNHK番組録画を見直した。2016年8月13日に放送されたETV特集『加藤周一 その青春と戦争』。やがても同じ光景が再現するのだろう。今度は、宗主国侵略軍傭兵として。

 シンガポール陥落の祝賀式を「全国一斉に」やれという、おかみの布告である。大学は授業を休んだ。私は朝寝をした。(中略)
 道中本郷通りをぞろぞろ歩く、旗行列に会う。

 日刊IWJガイドのようなマナー解説、大本営広報部でほとんどみたことがない。一部をコピーさせていただこう。一国のトップの呼び方、各国の文化、言語の慣習を無視してはいけない。だが、知性皆無の阿呆には常識は通じない。テレビで、これみよがしに、名前を呼びつけにする場面をみながら、しろうとながら、毎回「あららー」と思っている。以下、IWJからの引用。

 ラブロフ外相の発言は安倍総理への当てつけだという指摘に対して、岩上さんは次のようにコメントしています。

※岩上さんのツイート(2019年1月17日)
「だから、呼び捨てにするなって言ったのに。ロシア人に対する尊敬や親愛の情を込めた呼び方は決まったやり方があるので、ファーストネーム呼び捨ては失礼なんだって」
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/1085569654091788289

 すでに2016年12月の連投ツイートで、岩上さんは、安倍総理の「ウラジーミル」発言に対し次のようなコメントを残しています。

 「ロシア人に親しみを込めてファーストネームで呼ぶ場合、定型化された愛称で呼ぶのが常識。ミハイルならばミーシャ、ウラジーミルならヴァロージャ。ウラジーミルと呼ぶならばミドルネームもつなげないと。

 プーチンの名前は、正式にはウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン。ウラジーミルという父親の息子のウラジーミル、ということです。

 プーチンに対して、ヴァロージャ、と呼びかけるほど親しくない場合、礼儀正しい呼びかけは、ウラジーミル・ウラジーミロヴィッチ。つまりファーストネームと、ミドルネームの父称をつなげて呼ぶ呼び方です。

 ファーストネームで呼ぶのはためらわれる場合は、英語のミスターにあたる「ガスパディン」をつけて、名字で呼びます。プーチンの場合なら、ガスパディン・プーチン。

 外国人で、ロシア式のそうした呼び方がわからない場合、知ったかぶりしないで、ミスタープーチン、プーチン大統領と呼んで、通訳してもらえばいいでしょう。それをわかったようなふりをしてウラジーミルと呼び捨てる。底の浅さが露呈します」

※【岩上安身のツイ録】ロシア相手に3千億円もの経済協力を行なう安倍総理の「愚」! まるで「振り込め詐欺のリピーター」になるようなもの! 2016.12.21
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/353327

 文化や慣習によって名前の呼び方が異なることは、少し考えれば誰でもわかることです。にもかかわらず、安倍総理は、自分の外交パフォーマンスによってプーチン大統領が帰属するロシアの文化・慣習を否定してしまったのです。

 このことは安倍総理の教養の問題だけで終わりません。14日の会談後の記者会見で、ラブロフ外相は「日本がなぜ『我々は第2次世界大戦の結果を完全に認める』と言うことができない世界唯一の国であるままなのかについて、ロシアは理解しようと努力している」と述べているのです。

※ラブロフ外相 日本は「第2次大戦の結果を完全に認めることができない唯一の国」(スプートニク日本、1月16日)
https://jp.sputniknews.com/politics/201901165809597/

※「第2次大戦の結果認めて」 強硬ロシア、日本に要求(朝日新聞、2019年1月15日)
https://digital.asahi.com/articles/ASM1G73QKM1GUTFK010.html?iref=pc_ss_date

 この発言に関して、岩上さんはこうツイートしています。

※岩上さんのツイート(2019年1月17日)
「この『宣告』の意味は、途方もなく重たいとわからないと、日本は本当に深刻な悲劇に見舞われる。「第二次大戦の結果を完全に認めることができない国」という指摘のその次には「わからぬなら実力でわからせてやろう」が待っている。「わかるまで待とう」ではない。ロシアは家康でも秀吉でもない」
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/1085581553613209600

 ラブロフ外相は「戦争で敗北した事実を認め、その結果を受け入れろ」と日本に迫っているのです。たしかにこの言葉の裏には「認めないなら、またやるだけ」という続きの言葉が用意されているように感じられます。

 ロシア式の名前の呼び方を含めた、ロシア情勢に関する岩上さんの知見は、IWJの「岩上安身のツイ録」で読むことが出来ます。この機会にぜひご一読ください!

※【岩上安身のツイ録】アレクサンドル・ドゥーキン「ベルリン、テヘラン、東京で枢軸を形成」!? ロシアを中心に融和しつつあるユーラシアの「ランドパワー」――プーチン大統領来日を地政学的に読み解く 2016.12.16
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/352768

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