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2019年1月 3日 (木)

私が知っている世界は姿を消しつつある

2018年12月31日
Paul Craig Roberts

 数時間で、次の新年、2019年だ。私は1984が、暦の上でも、ジョージ・オーウェルが想像したディストピアとしても、ずっと先に思えたときのことを覚えているが、21世紀には、9/11事件とデジタル革命がもたらされた。今私は1984を35年超え、奇妙な国で、見知らぬ人を見ている。

 この休日中、2つの事件が今という時間の奇妙さを私に痛感させた。

 一つは友人で昔の同僚で中世の歴史家でウィリアムズ・カレッジ元学長フランシス・オークリーからの『From the Cast-Iron Shore』(ノートルダム大学出版局、2019年刊)という自叙伝を受け取ったこと。もう一つは日本人男性がホログラム https://www.cnn.com/2018/12/28/health/rise-of-digisexuals-intl/index.htmlと結婚したという報道だ。

 フェミニズムが女性たちを厄介にしたことに疑いようがないが、ホログラム優位というのは、実際、好みが、人よりも、ヴァーチャルなものに移行しているのを示している。若い世代の多くが、面と向かって一度も会ったことがない友人たちを持っている。彼らはインターネットゲームをするためにチームで一緒に参加したり、フェースブックで見知らぬ人の世界に自身を開示したりしている。何千マイルも離れての人々とのデジタルの相互作用が、スポーツチームや、男性と女性との面と向かってのやりとりのデートという、人間の相互作用を置き換えているように思われる。

 私は若い女性が、大学教育に、それがもし教育だとすれば、デジタル・セックスの仕事をして授業料を支払うという報道を読んだ。彼女らは、インターネットでアクセス可能な形で、裸で挑発的に様々な性的体位をとり、性的会話をするのだが、若者はこの種の性的交渉の方が、女性との直接接触より望ましいと思っている。「デートより安いし、将来への誓約が不要だ」と言う。

 海岸では魅力的な女性たちが二本の紐以外何も身につけずにいて、私が若い頃なら性欲で狂っていたはずなのに、男性は全く無視して、携帯電話に執着している。人は疑似体験を実際の人より好むのと同様、海岸に行くのをやめるのではないかと私は時々思う。

 フランシスの自叙伝は、彼と私が知っていた世界が終わってしまったこと、我々が受けた教育が、彼は私より受けたのだが、もはや得ることが叶わないことを思い起こさせる。

 自叙伝は、貧しいアイルランド少年が、イエズス会修道士による教育と、オックスフォード奨学金によって、最も権威ある大学の学長に出世したこと、私自身が、通常金融エリートメンバーにしか与えられないはずの地位アメリカ財務次官補に出世したが、そういうことはもう起きないことを思い出させる。出世のはしごは解体されてしまった。中産階級自身貧困に陥っている。

 フランシスは親類のアイルランド農場について語っている。家には水道がなく、屋外便所さえないものがあった。私自身の祖父母の農場には屋外便所はあったが、水道はなかった。水は外の井戸小屋に行き、井戸の中にバケツを下ろし、水が入ったらバケツを引き上げて得ていた。利用可能な唯一の熱湯は食事が料理される薪ストーブ上で暖めることで入手していた。台所の薪ストーブは通常、家の唯一の熱源だった。

 第二次世界大戦の後に続く10年にオックスフォードに通ったフランシスは、彼の部屋には水道がなかったと言っている。「オックスフォード大学内の労働者」と定義される用務員が、毎朝、部屋に磁器たらいと熱湯の水差しを持ってきたのだ。

 私が第二次世界大戦から二十年後、マートン大学の珍しい大学院生として、オックスフォードにいた時、私が前の教授と協力するために戻った際、夏の間(部屋は学期中、学部生のために予約されていた)部屋に滞在することができただけだった。もし記憶が正しければ、冷たい水道があったが、本格的な浴室設備は部屋の外にあった。浴室設備は寮の廊下の端にあり、ジョージア工科大での私の学部時代とさほど違っていなかった。

 もし時間と事情が許すなら、過去が困難にもかかわらず、今我々の周囲にいる誰よりも多くの、成功した、より高潔な人々を産み出したかについての情報に満ちているフランシスの自叙伝に戻りたいと思う。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/12/31/the-world-known-to-me-is-fading-away/

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 小生、ロバーツ氏とは違って、日本人氏の記事を読む気力が全くでない。というか読みたくない。『From the Cast-Iron Shore』なら読めるかも知れない。話は違うが、紅白歌合戦、もう何年も見たことがない。ナツメロもここ数年全く見ていない。

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 一方、大本営広報部が決して本気で報道しない東大農学部鈴木教授のコラムがまとめて読めることを知った。
https://www.jacom.or.jp/column/cat647/

 大本営広報部、巨大資本に不都合な話題(TPPや農産品や水といった)を極力あつかわず、本当のことをいう学者・評論家は出さない。テレビ自体一種麻薬のようなもの。

 麻薬といえば、Chris Hedges氏のAMERICA: THE FAREWELL TOURの第二章はHEROIN
売春婦の常用者と、病気の痛み止めから麻薬常用者に転じて過剰摂取で亡くなったた若い女性の話。なんともすさまじい。中毒治療には膨大な費用がかかる。貧乏人は治療を受けられないが、最後に、ポルトガルでの麻薬対策成功例が書かれている。麻薬常用を犯罪ではなく、病気としてあつかうことで、劇的な効果があがるのだという。麻薬生産や流通や治療で膨大な費用をかせぐ仕組みの国に、それを期待するのは無理だろう。放火と消火で儲けるうまい仕組みだが、それを止める仕組みはない。今、第一章、Decayを読んでいる。こういう本の翻訳が出ないものだろうか。ベストセラーには決してならないだろうが、今考えるべき主題に満ちている。

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