欧米社会の崩壊
2018年12月4日
Paul Craig Roberts
現在、急進的フェミニストが、ツイッターによって禁止されているのは、ツイッターとして、全く問題でない行為である、男性を憎悪しているためでなく、彼女たちが「transwomen」に反対しているためだ。
「transwoman」とは一体何だろう? 私が理解する限り、「transwoman」というのは本人が女性だと宣言していて、女性用トイレ設備を使う女性と一緒に、トイレを使う権利を要求しているペニスを持った男性だ。
フェミニストのミーガン・マーフィーがTwitterに声明と疑問を投稿した。
「男性は女性ではない。」
「transwomenはなぜ男性ではないのだろう? 男性とtranswomenの相違は何だろう?」
ツイッターはこれは「ヘイト行為」だと述べ、ミーガン・マーフィーの活動を禁止した。 https://quillette.com/2018/11/28/twitters-trans-activist-decree/
そういうことだ。昨日は、社会から与えられた検閲する特権をふるっているのはフェミニストだった。今日は、フェミニストが検閲されているのだ。 「西洋文明」のこの狂気が続けば、明日は、「transwomen」が検閲され、禁止されるだろう。
一体何が正確に進行中なのか?
私の読者で『マトリックス』から、部分的に、また一部の完全に逃れた人々は、これがアメリカの社会の更なる分裂であるのがお分かりだろう。アイデンティティ政治が、男性、女性、黒人、ユダヤ人、アジア人、ヒスパニックと白人を、お互いに敵対させたのだ。アイデンティティ政治は、民主党と、アメリカのリベラル派/革新主義者/左翼の本質だ。今度は「新しい」、ありもしない「性」をでっちあげ、「欧米メディア」を装う支配された売女連中が、本物だと称賛しているものの、急進的フェミニストが、女性のふりをした男性たちに沈黙させられるのを我々は目にしている。
私はミーガン・マーフィーに同情するが、彼女は、アイデンティティ政治を受け入れることで、彼女自身と我々に対して、自らこれを招いたのだ。ミーガンは、アイデンティティ政治で、男性を憎悪するのを正当化されたが、彼女が理解し損ねていたのは、それが、彼女が、検閲すべき搾取される階級へと移る根拠にもなっていることだ。
これはどこで終わるのだろう?
アメリカ国民が余りに分裂し、相互に敵対的なので、「アメリカ人」が、政府や、支配層エリート・オリガルヒを抑制できないほど、事態は遥かに行き過ぎている。「アメリカ人」はもう現実ではなく、一角獣のような神話の生きものだ。
映画『マトリックス』は、我々の人生中で最も素晴らしい映画だ。なぜだろうか? なぜならそれが、二つの現実があることを示しているからだ。ごく少数の人々だけが気付いている本当の現実、そしてそれ以外の全員がそこで暮らしている仮想現実。
現在、アメリカ、そして「欧米の洗脳された文明」全体で、全ての言説が支配され、真実から可能な限り離れて維持されている作られた現実と、本物とを区別できるのは、ひと握りの人々しかいない。欧米政府と「ニュース」組織が語る全てが、我々をマトリックス中に閉じ込めるべく吹き込まれる言説を支配するための嘘なのだ。
人々の認識を支配する力は途方もないものなので、それと逆の膨大な証拠にもかかわらず、アメリカ人は以下のことを信じている。オズワルドが単独行動し、人類史上最高の銃撃で、魔法の弾丸で、ジョン・F・ケネディ大統領を暗殺したこと。あきらかに飛行機操縦できない、ひと握りのサウジアラビア人が、アメリカ安全保障国家の裏をかき、ワールド・トレードセンター超高層ビル3棟と国防総省の一部を破壊したこと。サダム・フセインが「大量虐殺兵器」を保有し、アメリカで使おうとしていたこと。アサドが「自国民」に対し「化学兵器を使用」したこと。リビアのカダフィが、リビア女性をもっとレイプできるよう、兵士にバイアグラに与えたこと。ロシアが「ウクライナを侵略した」こと。トランプとプーチンがヒラリーから大統領を横取りしたこと。
見せかけの現実を作り上げることで、腐敗した軍安保複合体の懐へと、更に大盤振るできるよう、議会が社会保障削減を討論する中、アメリカ軍安保複合体の年間予算、税金による1兆ドルが保証されるのだ。
読者の皆様が、それに対して何ができるかと私に尋ねてこられる。まさに建国の祖トーマス・ジェファーソンが言った通り、反乱と体制浄化しかない。
パリでは、トーマス・ジェファーソンが健在なのだろうか?
もし報道が本当なら、反乱がアメリカに広がるよう祈る。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/
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ロバーツ氏、アメリカ社会を、映画『マトリックス』になぞらえる記事をいくつも書いておられる。たとえば下記がある。映画をご覧いただいた方が早いかも。
孫崎享氏の今日のメルマガ、近刊著書の案内。政府が長年洗脳している「明治維新」の虚像と異なる事実を読めるだろうと、今から楽しみ。
孫崎享著『アーネスト・サトウと倒幕の時代』 :内容紹介
幕末から明治にかけて日本に滞在した英国の外交官、アーネスト・サトウ。世界史上、相手国に喰い込んだ外交官は数多くいれど、対立する両者と密な関係を築き、相手国の歴史に深刻な影響を与えた外交官はアーネスト・サトウを措いて他にいたであろうか。なにしろ、幕府を支援していた英国を、薩長の側に付かせ、日本の政治体制を大きく変えてしまったのだから。薩長連合の密約が交わされた時期に、ジャパンタイムスに掲載された『英国策論』と題された英文には、日本の政権を将軍から諸侯連合に移すべきと記されている。この論文は多くの人に読まれ、幕府を見限る潮流作りに寄与した。また、江戸城無血開城への英国の影響力を指摘した点も本書の大きな達成である。
庶民の生活の質と無関係、というより、悪化させることを狙う大本営広報部の白痴番組ではないお話をこそ伺いたいもの。
『街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋』、ブログではなく、Facebookで、水道民営化について、わかりやすい説明をしておられる。以下、丸ごと引用させていただく。
水道法改正の眼目はこれまで水道会社が参入するのをためらってきた民営化された場合の水道事業の最終的な責任(認可)は地方公共団体にあることをはっきりさせてあげたことなの。
以前からPFI(民間資金活用(主導))法による水道民営化は可能だったのだけど、民間企業は災害大国日本で
「災害時にまで責任を負わされるのはたまんねぇ」
と参入しなかったのね。
水道法改正は、業界の要求を入れてノーリスク、ハイリターンを約束してあげたのね。そして民営化に向けて総理権限を圧倒的に強化して安倍トモ優遇を公認するPFI法の改正は世界中が米朝会談に注目していた6月13日にひっそりと成立していたわけよ。
良くできてるでしょ\(^_^)/……………………………………………………
すぐに思い出すのが、森友学園の事件で、総理大臣夫人付職員であった谷査恵子氏が夫人付職員の立場で財務省に照会した件である。総理夫人付という肩書きに畏れ入った財務省は、その後、存在しないゴミをねつ造する等、法をねじ曲げてあらゆる術策を弄して森友学園に便宜を図った訳である。
今回の法改正では、総理婦人付などというレベルではない。総理大臣ご本人が諸官庁に対して、法解釈・運用・支援措置について照会なされる訳である。
「総理のご意向」、「首相案件」が法的に公認されたのである。総理の意向にひれ伏す省庁は、総理の意向にしたがって法を解釈するようになるだろう。これは総理大臣による全省庁の私物化の危険を孕んでいる。
行政の縦割り構造は、はるか以前から批判の的になっていたが、縦割り構造は、実際には権力の暴走を防ぐ権力の分立の役割も果たしていた。この分立システムが、営利目的の企業に対しては、全面的に開放されるのである。総理は、事業者等に対してPFI事業について助言もできる(15条の2第6項)。文科省の佐野容疑者が私立大学プランディング事業について、東京医科大学理事長に伝授した助言の生々しい録音が暴露されているが、総理大臣は直々に事業者に「助言」することが法的に正当化されたのである。
加計学園から毎年1億もの接待を受けて、加計学園の獣医学部を承認し、私立大学ブランディング事業に2大学も認定した「悪だくみ」に法的裏付け与えようという訳だ。略
日本国の総理は、いかにもスケールが小さく、「(安倍氏に)年間一億くらい出しているんだよ。あっち遊びに行こう、飯を食べに行こうってさ」(「週刊文春」2017年4月27日号)と語るバクシンの友には、見境なく巨額の税金をつぎ込むなど、国政の私物化に熱心な人物だ。
よい独裁があるかどうかともかくとして、今の日本は間違いなく悪い独裁に向かっている。
moriyama-law.cocolog-nifty.com
強化される安倍独裁 PFI法改正 - 街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋
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