フランスの教訓
Finian Cunningham
2018年12月9日
スプートニク
フランスの人々が権利を守るために立ち上がり、資本主義の不正行為にうんざりしている世界中の他の多くの人々を代弁している。ごく少数のエリートが、これまで一層法外に裕福になる間、西欧諸国の人々は、何十年もの経済緊縮に苦しまなければならなかったのだから、なおさらだ。
資本主義がもたらす非合理で有害な富の分配に加え、西欧諸国の寡頭支配者に仕える政治家は、軍国主義と、犯罪戦争を行うために過度の財源を使い、浪費している。
4度目の週末、フランスの大衆は、経済的公正を要求すべく、パリと他の大都市の街頭に出た。
彼らは、エマヌエル・マクロン大統領の辞職も望んでいる。マクロンは、これまでのところ、腹を立てている国民をなだめるのを、エドワード・フィリッペ首相にまかせ、抗議に関して、いつものよそよそしい沈黙を守っている。
輸送網と燃料供給を阻止することで、国をほとんど停止状態にし、フランス人は「民衆の力」と、我々の権利のために組織化すれば、何を達成することができるかを示した。
マクロン政権は屈服し、輸送燃料増税計画を放棄した。提案された増税が、普通の人々の激怒を引き起こし、フランスの全ての運転手が安全目的で車に搭載しなければならない、今象徴的な「黄色いベスト」を身につけさせたのだ。
フランス大衆は、新税は彼らの暮らしに打撃を与えると言う。
マクロンは、新しい燃料課税は、生態学的に持続可能な社会への移行に使う政府資金を集めるためだったと主張した。
だが、一般市民が(「金持ちのための大統領」と軽蔑している)マクロンは、最近非常に裕福な人々のための税金を廃止したことを指摘している。その無料贈呈品は、その代わりに、政府がいかなる環境保全プロジェクトを計画しているとしても、政府の資金供給に使えていたはずだ。
マクロン政権は同様に大企業のための大規模減税を計画している。またしても、この動きはこの大統領と閣僚のエリート主義優先順序を示している。エリゼ宮殿は、社会変化に対し、容易に支払える金持ち階級ではなく、大多数の労働者に負担させるのに懸命だ。
加えて、フランス国家は軍に年間およそ500億ドル使っている。もしこの出費が例えば半減されれば、公共事業や福祉で緊縮や恣意的削減の必要はないはずだ。
軍に対するフランスの浪費は、あらゆる西洋諸国やNATO加盟国の典型だ。もし彼らが、軍国主義を削減すれば、ロシアや中国のような他の国々が、同じく西欧諸国の攻撃的姿勢に起因する防御姿勢の必要上維持される軍事予算を減らすことが可能だろう。
フランスの黄色いベスト運動は重大な転換点にあるように思われる。それは二つの重要な方向のいずれか行くことが可能だ。
既に、マクロン政権は一般市民に対する恥知らずな税負担で、屈服した。エリート主義の大統領と閣僚は、権力の座を維持できかるかどうかの瀬戸際でぐらついていように感じられる。フランス人にとって、彼らの抗議運動は燃料税を越えたのだ。
彼らはあらゆるネオリベ資本主義制度と、彼らが何十年も、経済搾取と圧迫に耐えさせられた理由を問うているのだ。
さらに、黄色いベスト運動は、他のヨーロッパ諸国の大衆も同様に街頭に出させ、最終的に寡頭政治体制に責任をとらせるよう奮い立たせている兆がある。隣接するベルギーで行われている類似の団体抗議に関する報道がある。ヨーロッパ中の政府が、民衆の力という津波を警戒しているのは確実だ。
同じく一層実に不吉な方向がある。先週、教育改革に抗議する集会をしている多数の高校生をフランス機動隊が逮捕し、両手を頭の上にあげさせ、土下座させたことに、その前兆が見られた。一部の学生は、壁に顔をつけ、ひざまずくよう強いられた。
この光景は、フランスの、更に遠く離れた多くの人々を恐れさせた。そこには警察国家独裁の動きと、法的権利廃止の兆しが見える。一部の解説者は、武装警官の前で震え上がる拘留された学生たちは、模擬処刑シナリオのように見えるとさえ述べた。
この週末パリで計画された抗議行動に先行して、デモに参加するため首都に旅していた何百という人々が、警察に先制的に逮捕され、拘留された。フランス当局は彼ら「トラブルメーカー」が暴力を刺激するのを阻止したと主張している。
多くのフランス市民は、実際に起きていることが、言論の自由と集会の自由という民主的権利に対する、国家による抑圧的取り締まりの始まりであることを恐れている。
わずか数週間前、第一次世界大戦記念式典の際、マクロン大統領が、フィリップ・ペタン元帥を、戦場での勇敢さで称賛して、非難の叫びをひき起こした様子も想起願いたい。ペタンは後に第二次世界大戦中、ドイツ第三帝国と協力したヴィシー政権フランスの主席になった。不名誉にも、フランス国家は、何万もの市民を一斉検挙し、ナチの死の収容所に送り、ファシスト政権として機能したのだ。
おそらく、資本主義は、常に寡頭政治、軍国主義とファシズムに向かう傾向を持った非合理的な、反民主的システムなのだ。経済が比較的順調に行っている時は、体制は「自由民主主義」の形を大目に見る。しかし体制がガス欠状態になると、落ち着かない大衆を支配するために一層極度の権力が行使される。
何十年もの西欧諸国の経済緊縮と大量貧窮が、資本主義が、もはやそれ自身、自由民主主義のふりをできないことを示している。人々は、人権のため、当然、落ち着かず、腹を立てているのだ。まっとうな仕事と給料と公共事業を維持するために。
反抗的なフランス人は、全ての人々に、彼らの自然の権利を要求し、資本主義の不正を覆すよう奮い立たせているのだ。それは、フランスのみならず、歴史的に進歩的な方向で、全ての西欧の寡頭政治諸国に当てはまる。
そこで再び、権力側は、彼らの特権と富を維持するため、捨て鉢で、全面的ファシズムに進むかもしれない。西欧民主主義国家の自由主義の仮面はずり落ち、下にある暴力を暴露しているように思われる。
我々は歴史的転機にあるように思われる。
Finian Cunninghamは、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。彼は農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。彼は音楽家で、作詞作曲家でもある。20年以上、ミラーやアイリッシュ・タイムズやインデペンデント等の大手マスコミ企業で、編集者、著者として働いた。
記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/201812091070530273-france-protests-macron/
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アメリカ上院、サルマーン王子の事件関与非難決議。
フランス、テロ犯人は射殺された。欧米のテロ、毎回決まって、治安当局が把握していた対象が犯人で、最後は射殺される不思議。
原文はわずか数日前。黄色いベストにまつわる、いささか古い内容になってしまうが、もちろん筆者が悪いわけではない。.遅い翻訳と、タイミングの悪い掲載のせいだ。一方、日本経済・政治、ブログ、植草一秀の『知られざる真実』最新記事、以前出された本の電子版化によせて、書いておられる。チェルノブィリ原発事故のあと、何度も引合にだされた新約聖書「ヨハネの黙示録」をもじって。ロバーツ氏のアメリカの雇用状況について書かれる記事を連想。
いざなぎ景気は超えていない
孫崎享氏の今日のメルマガ題名、おっしゃる通り。
戦闘機だけ持っても全体見なければ意味ない。中国は日本を射程に収める中距離暖冬ミサイル、短距離弾道ミサイル、クルーズミサイルを1200保有(2017年)。滑走路を壊されれば戦闘機は飛べない。無駄な、国家のおもちゃです。
だが、属国政府、本気で戦力として配備するわけではないだろう。宗主国の命令通り、国際収支を良くし、双方の軍産複合体を儲けさせ、キックバックを自分の懐に入れるのが主目的だろう。戦略そのものが、全て、宗主国の命令で決められているに違いないのだ。中東の代理テロ部隊のように、いつか自爆聖戦攻撃させられるのかもしれない、と思うのは妄想か?
納豆や豆腐を見るたびに、いつから宗主国の遺伝子組み換えを食べさせられるのか考えさせられる。大本営広報部では、ほとんど扱わない話題。日刊IWJガイドにあった中継を拝聴しよう。
【IWJ・Ch6】16:00~「アメリカを変えたママが来る!『ゼンさんと考える日本の食』」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch6米国で遺伝子組み換え(GM)食品やモンサントの除草剤ラウンドアップ(グリホサート)の禁止を訴え、世界中に運動を広げているMoms Across Americaの創設者ゼン・ハニーカット氏を迎えて開催される学習会を中継します。「日本の食を変えたい実行委員会」主催。これまでIWJが報じてきたモンサント関連の記事は以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/monsanto
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