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2018年12月 9日 (日)

スティーヴン・コーエン教授の『ロシアとの戦争』書評

The Sakerブログのため、イボンヌ・ロレンツォ
2018年12月5日

 10年以上前、ジョージア・ロシア戦争の状況が一体どうなっているかについて、大手マスコミやアメリカ政府の宣伝ではない事実を語る少ない意見の一つとして私が聞いていたのはロシア研究者スティーヴン・コーエン教授のものだった。彼と彼の著作を発見して、私は幸せに感じたものだ。

 アメリカが支援するクーデターで、ファシストを政府権力に据えたウクライナでの出来事の後、彼と保守派ラジオのトークショー司会者ジョン・バチュラーが、ロシアとの「新冷戦」について多数の対話をした。コーエン教授は、新刊『ロシアとの戦争 プーチンとウクライナから、トランプとロシアゲート』で、ケルチ事件を含めた最近の出来事まで、そうした対話の要約をまとめることに決めた。プーチンとウクライナから、トランプとロシアゲートまで。コーエン教授は、いくつか学問的著作を書いているが、ロシアはアメリカと西欧の最大の敵だという「公式見解」に忠誠を示さない点で異色だが、本書は時宜に適っており、興味を持った読者が読めるのだから特別だ。驚くべきなのは、いわゆるエリートの偏見を実証して緒言「読者に」で、コーエン教授がこう書いてることだ。

 ロシアの新冷戦が、モスクワではなく、ワシントンで、政治によって主に進められ、展開しているということで、私は何年も、非常に長い間アメリカの政治マスコミに反論してきた。この見解ゆえに、以前歓迎されていた影響力のある印刷媒体やテレビ局やケーブルTV局から私は排除されていた。

 だが2014年以降、私を取り巻く「論争」は違っていて、主にこの本の内容に対する反応で、「プーチン第一のアメリカ人代弁者」や「親友」など、私に対する、頭が空っぽな中傷攻撃だ。そうしたものは私の議論に対する本当に意味があるものでなく、ただの個人攻撃なので、私は決してこうした中傷には答えない。そうではなく、最初のセクションでご理解いただける通り、私はアメリカ国家安全保障に対する愛国者で、私を攻撃する連中が促進している正統派の政策が、わが国の安全保障を深刻な危険にさらしているのだから、彼らが攻撃している我々、私や他の人々は愛国的な異端者だ。これも読者の判断次第だが。

 コーエン教授は、しばしば引き合いに出されるが正しく定義されていない「国家安全保障」を含め、アメリカの国益にとって、ロシアを敵にすることが一番良いわけではないと主張する異色の意見のアメリカ人だ。『The Silence of the Doves(ハト派の沈黙)』という本の一つの章で、ロシアとの戦争の最もありそうな結果が核戦争だというのに、反戦運動が存在しないことを論じている。ロシアが開発した新兵器技術に関するプーチンの3月の演説に関するコーエン教授の洞察は、旧来のメディアで、いわゆるロシア専門家が説明する、あらゆることを超えている。

 演説で、プーチン大統領は、直接過去の核兵器競争については言及していないが、彼は、迫りつつある、もう一つのいっそう危険なものは、モスクワの新兵器に、ワシントンが、どのように反応するか次第であると明言した。ワシントンは、抑止力、つまりロシアが復活させた均衡を受け入れ、全面的核兵器交渉に戻ることが可能だ。あるいは再びモスクワとの均衡をしのごうとすることも可能だ。もしワシントンが後の道を選択すれば、モスクワは、何度でも競争することが完全に可能で、準備できている、とプーチンは言う。彼は、そうではなく、残る任期中、指導力、資産、国家資源を、ロシアの近代化と繁栄のために注ぎたいことを、演説の最初の3分の2で(またもう一度)説明している。すなわち、プーチンは、ロシアの新兵器は、いかなる種類の侵略のためでなく、政治的に、ワシントンを緊張緩和のような政策、特に核兵器交渉に引き戻すため、単に合法的軍事防衛のためであることを強く主張している。クレムリンは「用意ができている」と彼は付け加えている。ロシアが思いがけなく達成したことを、説得的に、誇り高くプレゼンテーションしながら、プーチンは本当にワシントンが「今耳を傾ける」と信じているのだろうか? 彼はまだ若干「幻想」を持っているのかもしれないが、我々は決して持つべきではない。近年アメリカ政策立案者も、同様に重要なことに、影響力あるマスコミ解説者も、少なくとも通信社報道の目を引く記事の断片以上は、わざわざプーチン発言を読もうとしていないと十分な証拠を提供している。更にまずいことに、プーチンと「プーチンのロシア」はアメリカ-ロシアの関係で非常に悪者にされているので、多くの主導的アメリカ政界実力者や解説者が、アメリカ・ロシア関係の新しい始まりについての、彼の明らかに率直な希望に、前向きに返答するのを想像するのは難しい。少なくとも、戦略的均衡は常に、ソ連にも、アメリカ同様、海外に正当な国益があることを認める政治的均衡を意味していた。何年も、アメリカが、プーチンとソ連後のロシアを中傷してきたのは、本質的に、プーチンもソ連後のロシアも、そのような正当性を持っていないという主張だ。今、問題を更に悪くしているものに、クレムリンがアメリカを「攻撃」しているというロシアゲートの主張がある。プーチンの演説が、たとえ新しい多分歴史的な序曲を意味していることを、トランプ大統領が理解していても、あるいは理解するようさせられたとしても、彼に対する「クレムリン傀儡」という非難が、彼がこの好機を捉えるのを許すだろうか? ロシアゲート推進者連中は気に掛けるだろうか?

 この本をいくら推薦してもしすぎることはない。2国が軍事対決へと一層近く漂流する中、極めて重要な問題に対処し、対立はロシア政府によってではなく、我々の政治的、財政、軍の階級、つまり支配者の非合理的なロシア嫌いによって推進されているとコーエン教授は指摘する。コーエン教授は解決を提供していないが、彼は重要問題を提起し、こう結論している。

 このすべてを考慮に入れて、何ができるだろう? 感情的にも、若干の歴史的先例からも、我々民主派は、伝統的に「人々」に、投票者に、変化をもたらすように期待したいと思う。だが外交政策は長い間エリートの特権だった。基本的に冷戦政策を変えるためには、リーダーが必要だ。思いがけなくロナルド・レーガンとミハイル・ゴルバチョフが、1980年代半ばに出現したように、時代が招き、確立された、極めて保守的なエリートからさえ出現するかもしれない。だが迫り来るロシアとの戦争の危険を考えると、時間はあるだろうか? ゴルバチョフがそうしたように、アメリカの政治的舞台上で見える、一体どのリーダーが「もしそうでなければ今でなければ、いつ? もし我々でなければ、誰が?」と、彼または彼女のエリート連中と党に言うだろう。

 地平線に姿を現しているそのようなリーダーは見えないので、賢い、有能な少数の普通の人々が、代替のニュースや情報を探し求める事に希望があると私は思う。おそらくは、アメリカが社会的に崩壊するにつれ、戦争屋社会病質支配階級に対する「黄色のベスト」反乱が出現し、結果を考えない、永遠の覇権と戦争というの彼らの夢を阻止するかもしれない。人間の思い上がりを憤り罰する女神ネメシスだけが、戦争屋を待ち受けている。私はそれは、ただ時間の問題に過ぎないと確信している。

 イボンヌ・ロレンツォ[彼女にメールを送る]はニューイングランドの彼女の家を、歴史と文学を含め、古典ギリシャ作品で溢れるようにしている。彼女が興味を持っているのは、神話、古代史、プラズマ宇宙論とクラシック音楽、特にヘンデル、モーツァルト、バッハの曲と、ベル・カントのレパートリー。彼女はSon of ThunderThe Cloak of Freyaの著者。

記事原文のurl:https://thesaker.is/book-review-professor-stephen-cohens-war-with-russia/

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 「黄色いベスト」目が離せない。日本での、暴動抜きでの全国抗議ではないが。

長周新聞記事 仏全土で燃え上がるデモ 新自由主義への反撃 調子付いたマクロン改革の結末

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