シリアからの撤退?
2018年12月20日
寄付をお願いする。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/
シリアからの撤退?
Paul Craig Roberts
常に正当性が疑わしい様々なニュース報道によれば、ドナルド・トランプ大統領は、アメリカ部隊により不法に占領されたシリア領土から全てのアメリカ部隊の撤退を命じた。
https://www.zerohedge.com/news/2018-12-19/drastic-reversal-us-prepares-full-withdrawal-forces-syria-immediately
わずか数日前、アメリカ国防省はアメリカ軍部隊が占領するシリア地域にいるISISに対する、シリア、ロシア、イランのいかなる動きも「容認できない」といったのからこの報道は驚くべきだ。https://www.rt.com/news/446328-pentagon-syria-turkey-military/
言い換えれば、国防総省は、まだISISの手中にあるシリア地域はアメリカ保護下にあり、シリアとその同盟国によって攻撃されないと宣言したのだ。
我々の前にある疑問はこうだ。トランプの撤退命令と報じられているものは起きるのだろうか?
答えを言うには早すぎる。私がこれを書いている時点で、トランプの撤退命令に対する支持は、マスコミで報じられていない。ホワイト・ハウス報道官サラ・サンダースによる公式声明さえ、あいまいだ。 "この作戦の次の段階に移行する中、アメリカ軍部隊の本国への撤退を開始した。" https://www.zerohedge.com/news/2018-12-19/drastic-reversal-us-prepares-full-withdrawal-forces-syria-immediately
言い換えれば、対シリア作戦は終わっていないが、「次の段階」はアメリカ軍部隊を必要としないようだ。次の段階とは何だろう? 我々が答えを知るまで、アサドに対するワシントンの作戦が終わたかどうかわからない。
おそらく、当面、シリアを棚上げして、ロシアが介入できる前にイランを打ち負かすと決定されたのだ。
決して真実ではなく、イスラエルと軍安保複合体に仕える、国内、国外の売女マスコミはシリアに対する作戦を終わらせることに反対だ。
かつては、まともな労働者階級新聞だったが、今やどう見てもCIAの手先、ガーディアン紙は、トランプが「今立ち去るのは、ISISへの素晴らしい贈り物だ」と書いている。
ブルームバーグは、反トランプ、キャンペーンを継続して、トランプの撤退命令せ、「ワシントンの同盟者、クルドを見捨て」トルコの自由裁量にまかせたと報じた。ルームバーグによれば、さらに悪いことに、トランプの撤退は「シリアの未来を、紛争への介入が彼の敗北を回避させた、バッシャール・アル・アサド大統領の同盟者、モスクワとテヘランの手中に渡すことになる」。
戦争屋のアメリカ共和党のリンゼー・グラム上院議員は、このばか者を当選させる選挙民全員の不名誉なことに早速トランプの賢明な決定に難色を示した。戦争が永久にグラハムの政策なのだ。それが彼がアメリカを擁護するタフな男であることを証明するのだ。
「トランプ政権に助言している」(欧米で絶滅した政治的な種)民主主義防衛財団事務局長のマーク・デュボヴィッツはこう言った「アメリカ部隊のシリアからの撤退は、プーチンと、テヘランのムラーへの贈り物だ。地域に対して大変な不幸をもたらす贈り物だ。" https://link.mail.bloombergbusiness.com/click/15465935.357146/aHR0cHM6Ly93d3cuYmxvb21iZXJnLmNvbS9uZXdzL2FydGljbGVzLzIwMTgtMTItMTkvdHJ1bXAtZGVjbGFyZXMtdmljdG9yeS1pbi1zeXJpYS1hbWlkLXJlcG9ydHMtdS1zLXRvLXdpdGhkcmF3P2NtcGlkPUJCRDEyMTkxOF9CSVomdXRtX21lZGl1bT1lbWFpbCZ1dG1fc291cmNlPW5ld3NsZXR0ZXImdXRtX3Rlcm09MTgxMjE5JnV0bV9jYW1wYWlnbj1ibG9vbWJlcmdkYWlseQ/5508c53a3b35d034698e76e2B2b3ab97f
ISISを支援するため、人をだます隠れ蓑を作り出し、資金調達したインチキ組織「対ISIS有志連合」のトランプ特使、ブレット・マクガークは、トランプ決定とされるものを否定した。「このような集団を永続的に打ち破るには、単に、連中の物理的な空間を打倒して、撤退するというわけにはゆかないのだ。」
アメリカ大統領を取るに足りないイスラエルの操り人形におとしめ、ロシアのプーチン大統領にも同じようにするつもりのイスラエルが、トランプがシリアからアメリカ軍隊を撤退させるのを許す可能性はほとんどない。
なぜだろう? 答えは、やはりトランプ/イスラエルの攻撃対象リストに載っているシリアとイランが、イスラエルによる南レバノンの占領を阻止している、唯一その名に値するレバノン軍、ヒズボラ民兵を支援していることだ。
南レバノンを占拠するというイスラエルの目標は、ナイルからユーフラテスに至る大イスラエルというシオニストの計画の一環だ。南レバノンには、イスラエルが切望している水資源の問題もある。もしシリアとイランを、イスラエルが、連中のネオコン代理人を通して、ワシントンで中東に起こしたような混乱と死と破壊に陥らせることができれば、ヒズボラは、財政的、軍事的支援がないままになり、イスラエルが南レバノンを掌握することが可能になる。
欧米世界の多くの人々は、レバノンに対するイスラエルの関心について全く聞いたことがない。支配層エリートが、言説に対する異常な支配を確立しているため、その指導部が災いの前兆を感じてイスラエルにすり寄ったサウジアラビアを含め、ネオコンが公表している中東を打倒するという狙いから、中東に対するアメリカ攻撃が始まっていることに人々は気が付かない。ウェスリー・クラーク元アメリカ陸軍大将が明らかにしている通り、ネオコンの狙いは、ペンタゴンに手渡され、アメリカ公式政策になっている。https://www.globalresearch.ca/we-re-going-to-take-out-7-countries-in-5-years-iraq-syria-lebanon-libya-somalia-sudan-iran/5166
ネオコン代理人を通して活動しているイスラエルは、イラク、リビア、ソマリア、そしてロシアが介入するまで、シリアをほとんど破壊し、イランを悪者にし、イラン攻撃の対象にするためにアメリカを利用することに成功した。アメリカ人納税者の負担は何兆ドルにものぼる。アメリカ人は、親類や愛する家族の死や体を不自由にされ、彼らの国の評判が汚され、広く戦争犯罪人政府と見なされる代償も支払っている。
イスラエルがアメリカに対して与えた、いかなる敵でも与えられないような、これらの大規模な打撃にもかかわらず、イスラエルは、26のアメリカ州政府の独立を損ない、更に13の州も手に入れようとしている。 https://www.paulcraigroberts.org/2018/12/19/texans-grovel-at-israels-feet/。
世界で孤立している、ごく小さな、数値的に取るに足りない国民によって、巨大なアメリカが取り込まれているのを、我々は一体どのように説明できるだろう?
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/12/20/withdrawal-from-syria/
----------
本当だろうか?と見た瞬間思わされた発表。
入管法騒動にあきれていたところ、『西洋の自死 移民・アイデンティティ・イスラム』という翻訳本が刊行された。冒頭の解説は、中野剛志氏。当然、入管法に触れている。500ページをこえる。
秋に、書店で、『政権奪取論 強い野党の作り方』という新書をみかけて驚いた。著者名と全く一致しない書名なので。もちろん手にはとらなかった。『政権補完論 利益誘導型エセ野党の作り方』というタイトルの方がぴったりの内容だ、と横田一氏が週刊金曜日の「カジノ誘致めぐり与野党激突の構図」で書いておられる。新書は読んでいないが、新書著者の行動・言動を見る限り、その通りだろう。
« アメリカの対中国山賊行為でトルドーがグルーピーを演じたため高い代償を支払うカナダ | トップページ | カナダのファーウェイ幹部逮捕はトランプ・習交渉を妨害する企て? »
「アメリカ」カテゴリの記事
- 就任さえしていないのに既に全面戦争を誓うトランプ(2025.01.15)
- グリーンランド併合の恫喝でデンマークの玄関マットを踏みにじるトランプ大統領(2025.01.14)
- マイクロチップ、海、戦争(2025.01.13)
- ウクライナで起きていることに関する欧米主流議論の消滅(2025.01.11)
「ポール・クレイグ・ロバーツ」カテゴリの記事
- 腐敗したアメリカ支配層に宣戦布告したかどでトランプは暗殺されるのだろうか?(2023.06.26)
- ポール・クレイグ・ロバーツは大量虐殺が好きなのか?(2022.05.01)
- ロシアの安全保障提案をワシントンが拒絶したのはまずい判断(2022.01.31)
- 欧米で、ジャーナリズムは宣伝省にとって替わられた(2021.11.23)
「シリア」カテゴリの記事
- シリアにおける帝国の傲慢さ(とその結果)(2025.01.05)
- 帝国が中東を焼き尽くす一方、アメリカ国内ではホームレスが急増(2025.01.02)
- 地域における新たな緊張の高まりの前兆を示すトルコのシリア冒険譚(2025.01.07)
- アサド政権後のシリア:アラウィー派は墓場へ、キリスト教徒はベイルートへ(2025.01.01)
- 彼らが我々に語らないシリア(2024.12.25)
« アメリカの対中国山賊行為でトルドーがグルーピーを演じたため高い代償を支払うカナダ | トップページ | カナダのファーウェイ幹部逮捕はトランプ・習交渉を妨害する企て? »
最近のコメント