キプロス - 破壊的なイギリス軍事基地、難民キャンプと観光客
2018年12月21日
Andre Vltchek
信じようが信じまいが、つい最近まで、キプロスは共産党に支配された欧州連合唯一の国だった。本当にあまりにもずっと昔ではなかったのだ - 2008年から2013年の間だ。
同様、比較的最近、キプロス共和国とトルコが支配する島の北部の統一が実現可能であるように思われた。
キプロスが、ギリシャのように財政的にほとんど崩壊した時、苦境から助け出そうと申し出たのはロシアだった(それが起きるのを阻止するため、EUがあらゆることをする前に)。
今や、全て古代史のように思われる。
ニコシア市は、ギリシャのキプロスと古い町の真ん中に位置するトルコの入国検問所とで、依然分裂ている。「緩衝地帯」に描かれた落書きが、対立の即時終結を要求している。「一つの国、一つの国民という解決」。
交差点は交通量が多い。おそらく全てを何らかの方法で一層カラフルにするため、国境地帯近くに、冷淡な大きな白いピットブルが徘徊している。それは吠えない。そこにいるだけだ。彼がトルコ側、あるいはギリシャ側に属しているのか誰も知らないが、私が思うに彼らが良く餌をくれるので、犬はトルコ人と一緒にいる時間が多いように思われる。
ニコシアのギリシャ語を話す側は、少し疲れきったEUの田舎町のように見える。トルコ人はシーシャ(伝統的な中東の水タバコ)を吸い、カフェは、より伝統的、古い建築がより優雅なように思える。南部では、入れたてのコーヒーは「ギリシャ」と呼ばれるが、数メートル北では、「トルコ」、あるいは少なくとも「アラブのコーヒー」を注文しなければならない。 言うまでもなく、どちら側でも、同じ飲み物が飲める。
それ以外は、それは一つの島、一つの歴史と、一つの悲しい不必要な分割だ。
*
国の分裂だけが、ここで唯一の狂気ではない。考え方に慣れる前に、この島の中に、まだ二つのイギリス支配地域があることが分かって、激怒されるかもしれない。
ドライブしてまわると、決して実際にキプロスを出て、イギリスに入っていることに気付くわけではない。若干の自動車ナンバー・プレートは正規のキプロスのものと異なっているが、それだけのことだ。
見えない境界線を越えれば、歴史的に(軍事的に、イデオロギー的に)地球上で最も攻撃的な国イギリスだ。
若干の農地をドライブして横切るが、まもなく道路の周囲に非常に不気味なものが見える。歴史的な十字軍のコロッシ城を通り越して数キロメートル後、異なる高さや形のマストの海原、コンクリートの、要塞化された軍事施設だ。マストは妙な様子のワイヤーで「飾られている。 それは全て何か古SF映画のように見える。
もちろん、もし「準備して」来れば、何を前にしているのかわかる。BBC宣伝機構の途方もなく大きい施設が、中東を不安定にし、洗脳することを狙っているのだ。だがそれがすべてではない。この飛び領土全体「アクロティリ主権基地領域」は(東へ数十マイルのデケリアと同様)主に中東「近辺」をスパイするためにあるのだ。ロンドンまでおよそ4時間の飛行時間だが、シリアは海のすぐ向こうの近距離に過ぎず、レバノンもそうだ。
プロパガンダとスパイ設置を後にさらに南に行くと、小村のアクロティリだ。古い教会、狭い道路と質素な地元のカフェがある。典型的な絵のように美しいキプロスの魅力的な入植地だ。それは丘の一番上に位置している。けれども、実際には、英連合王国の中にいるのだ。ここから、青い海、塩湖とリマソル市を見ることができる。しかし、イギリスの芝生にいるのだ。なぜだろう? 単純だ。1960年に、キプロスが大英帝国からの独立を達成した後、彼らがキプロスの軍事基地の支配を失い、少なくとも部分的に、中東の上に、影響を与えることができなくなるのをイギリスが「懸念した」。これはイギリス帝国主義者には想像することができず、イギリスは今日に至るまで続いている、この奇異な協定を中にキプロスに無理強いしたのだ。
さらに南に1キロ、脅迫的な警告のある壁と門に達する。イギリス空軍アクロティリ基地の境界線だ。ここから、2015年12月以来、イギリス空軍は独立国シリア・アラブ共和国に対して(国際法によれば)非合法の空襲を行なっている。
ジェフリー・リチェルソンとデズモンドボールのThe Ties the Bind: Intelligence Cooperation between the UKUSA Countries(アンウィン・ハイマン、ボストン/ロンドン他、1990、p.194 ノート145)によるとこうだ。
「2010年の時点で、イギリス軍キプロス部隊として、およそ3,000人の兵士がアクロティリとデケリアを本拠地としている。ESBAのアイオス・ニコラオス基地はUKUSA協定諜報網のELINT(電子情報収集)盗聴用基地だ。」
これは当時のことだが、今、事態は更に致命的なものになっている。事実上、イギリスはシリアに対して戦争を行っているのだ。キプロスの人々の多くが、爆撃をしているイギリス空軍基地に対し、シリアが(独立したシリアは外国からの攻撃に対して、合法的に自国を守る全面的権利を持っている)ミサイルを撃って報復することがありうるのを深く懸念している。このような報復がキプロス住民の生活を危険にさらす可能性があるのだ。
イギリス軍が「主権基地領域」の両方をキプロスに返還するよう抗議と要求があったが、イギリスは支配しているものを譲る興味は皆無だった。
2008年に、(同じくAKEL、キプロス共産党書記長だった)元左翼大統領のデメトリス・クリストフィアスは、彼らを「植民地時代の血痕」と呼んで、全てのイギリス軍隊を島から追い出そうとした。だが彼は成功せず、2013年に彼は退任し、再選を求めないことに決めた。
デケリア基地は、キプロスの東部で、トルコに支配されている村やギリシャ語を話す村の両方を奇怪に取り囲んでいる。
過去、キプロス人はイギリス駐留に反対して戦った。監視が遍在する今では、破壊や抵抗は、無力な抗議に置き換わった。それでも、島からのイギリスの部隊撤退を要求して、何百という地元の人々が拘留された。
*
2015年に、再統一協議が再度始まったが、キプロスはまだ分かれている。今キプロス共和国と(トルコによって支配されている)北キプロスの間を歩くことは可能だ。
常にこういう形だったとは限らなかった。パパダキス・ヤニスはこう書いている。
「1974年7月15日、ディミテュリアス・イオアニデスの下のギリシャ軍事政権はギリシャと島を結び付けるため、キプロスでクーデターを実行した。」
何千人ものトルコ住民が追い出され、多くが殺された。トルコが侵略し、島は分割された。だが異文化間暴力は、1974年より昔にさかのぼる。歴史はニコシアの至る所で、島の多くの村で感じることができる。北キプロスは、トルコ以外他のいかなる国によっても承認されなかったが、分裂は依然そのままだ。トルコ系、ギリシャ系住民が追い出され、過疎になった町がある。
島の南のコフィノウが味わった最も不気味なものの一つは「民族浄化」と定義できる、少なくとも二度の未曾有の民族間紛争だ。かつては主にトルコ系キプロス人が居住していたが、今は崩壊し家と農業構造物と、恐ろしい状態で暮らしている外国人労働者と家畜が点在するゴーストタウンだ。
*
キプロスには二つの顔がある。キプロスは有名なヨーロッパ観光地の一つであることを誇りに思っている。キプロスはEUメンバーだ。
同時に、それは分裂の象徴だ。
キプロス共和国と北キプロス間の境界柵が美しい田舎に傷跡を残している。破壊的なイギリス軍施設、空軍基地やプロパガンダ戦争やニセ情報キャンペーンが、物理に、道徳的に、ほとんど中東全てを残忍に扱っている。
ここキプロスでは、ヨーロッパとロシアの観光客が、窮屈そうに共存している。欧米と、それ以外の世界の間のイデオロギー戦争はパソス島や、他の歴史遺跡地域で明らかに感じられる。
無数のイギリス人観光客同様、若干のイギリス人住民(およそ50,000人)が一般に謙虚なロシアの訪問者に向かってしばしば侮辱的に振る舞う。ここで大英帝国はまだ「仕切っている」ように思われる。
パソス港で私は古い海城を愛でているように思われた年配のロシア人カップルのそばを通った。イギリス人カップルが通り過ぎ、振り返り、皮肉な失礼なしかめっ面をした。「ロシア人連中」と男が口にした。私がこの種の行動を目にしたのは、これが唯一の例ではなかった。
キプロスで「地域」と世界での、現在の立場と役割を理解し、定義しようとして、島の周り全てを正確に750キロドライブした。
私は少なくとも共産党(AKEL)政府の革命的精神の面影を多少見いだすことを望んでいた。だが私は基本的に、もっぱら、全ての欧州連合加盟国に典型的な、実用主義を見いだした。このような質問だけが共通していた。「キプロスにとって、EU離脱は良いのか、良くないのか?」 あるいは「シリアに爆弾を投下するのは、キプロス市民にとって危険だろうか?」
象徴的に、数十年前に文化間の暴力によって破壊されたコフィノウ村の近くで、私は不安定化された中東から来る難民に対して建設された厳しく見える難民キャンプを見つけた。それは強制収容所のように見える。地元の人はそれを現実的に「刑務所」と呼んでいる。十中八九そうなのだ。
この区域の周辺をドライブしていたとき、基地からわずか数キロのところで、私は不気味な、半は捨てられた農場前の道路中央で、巨大なヤギが横たわって、苦しみながらで、死に瀕しているのを見つけた。
キプロスはいくつかの快楽主義のリゾートと、領土内いたる所にある、すっかり取り残されたコミュニティーのある分裂した島になった。
容易にこう結論を出すことが可能だ。この元イギリス植民地は、まだ無料で、イギリス/ NATO軍隊の途方もない大規模駐留や、種々のスパイ施設やプロパガンダ機関を許している。イギリス空軍トルネード戦闘機が現在シリアに向かって彼らの「任務」で飛行している。ミサイルがアクロティリから発射されている。中東の破壊された国から逃がれてくる人々が、キプロスで、有刺鉄線の背後で、犯罪者のように拘留されている。
このすべてが本当に実行可能どうか、帝国の辺境の前哨基地であるのが良い商売なのかキプロスの人々は計算している。それが引き合う限り、彼らは状況を変えることはほとんどしないだろう。その複雑な過去と現在と、中東へのその近さにもかかわらず、キプロスは、結局、ヨーロッパの、そして欧米帝国の不可分の一部なのだ。
Andre Vltchekは哲学者、小説家、映画製作者と調査ジャーナリスト。彼は Vltchek’s World in Word and Imagesの創作者で、Revolutionary Optimism, Western Nihilism含めて多くの本を書ている作家。オンライン誌 「New Eastern Outlook」独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/12/21/cyprus-deadly-uk-military-bases-refugee-camps-and-tourists/
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全く人ごとではない。十年前に下記記事を訳していた。アフガニスタン爆撃ミッション。属国の事態は悪化こそすれ、よくなってはいない。
ETV特集 アンコール「基地で働き 基地と闘う~沖縄 上原康助の苦悩~」の再放送を見た。本気で作られた素晴らしいドキュメンタリー。そして今回の記者会見での当然の懸念表明。属国売女マスコミは、属国状態を隠蔽するのに必死。属国幹部は「コメントしない」とのたまうが、「属国状態を認める発言はできない」のが実情。
マラソン記者会見での日本の共同通信杉崎洋文記者の質問とプーチン大統領の回答、在日ロシア大使館に掲載されている。
私の質問は残念ながら当然、平和条約に関するものである。露日両国は平和条約の締結に向け努力していると、私は理解している。シンガポールで行われた安倍首脳との会談で、露日両首脳は1956年の日ソ共同宣言に基づき交渉を加速することで合意した。それ以降、日本の世論の専らの関心は、日本に譲渡される島の数にある。ゼロか、二島あるいは三島、それとも四島か、我々にはどうもわからない。一方、私の見たところロシア人もまた戸惑っているようで、基本的には「なぜ譲渡する必要があるのか」という考えのようだ。中には「ロシアの土地は1ミリたりとも渡さないぞ」と言って脅してくる者もいる。そんな状況だ。話は領土画定の問題であり、我々はこれに決着を付けなければならない。しかし、平和条約が領土画定にのみ終始するのであれば十分とは言えないし、国民や世論の関心、理解を得ることもできないだろう。露日関係を質的に新たなレベルに進展させるためには、いかなる新しい考えや契機を平和条約に込めるべきであると大統領は考えるのか。
さらにこれとの関連で、どうしても伺いたいことがある。近頃ロシアは、大統領自身も含め、安全保障問題を取り上げるようになった。具体的には、日本における米国ミサイル防衛システムの展開と、クリル諸島譲渡に伴い起こり得る米国軍とその軍事インフラ配備の可能性についてである。露日間では現在専門家レベルの交渉が行われているが、防衛の話となると日本はほぼ完全に米国頼みの状況にある。大統領はこの問題を露日二国間で解決できると考えているのか。あるいは、ロシアは直接米国と交渉せざるを得ないのか。よろしくお願いします。プーチン大統領:忘れないようにまず最後の質問から始めよう。安全保障問題は極めて重要であり、それは平和条約の締結に際しても同様だ。日本における米国軍事インフラの配備についてあなたは言及をされたが、そうしたものはすでに日本に存在している。最大規模の米軍基地が数十年にわたり沖縄に配置されていることは、周知の事実だ。
次にこの問題の決定に日本が参加することが可能かという点だが、ロシアにとってはこれは不可知で閉ざされた領域だ。この種の決定に際して、日本がどの程度主権を有しているのか、我々にはわからない。他の同僚よりも、あなたが一番よくご存知であろう。基地の拡充、拡大に沖縄県知事が反対していることは、私も知っている。反対しているにもかかわらず、県知事にはどうすることもできない。地域の住民も同様に反対している。
こうした状況を証明するものはたくさんある。世論調査の結果や街頭での抗議行動が行われていることからも、人々が基地の撤退を求めていることは明らかだ。いずれにせよ彼らは、現存する米軍基地における空軍の強化に反対しているのである。しかし、拡充・拡大計画は実施されている。皆が反対しているにもかかわらず、計画は進んでいく。
平和条約締結後に何が起こるか、我々にはわからない。しかしこの問いへの答えなしには、いかなる重大な決定も下すことはむずかしい。当然ながら、ミサイル防衛システムの配備計画は我々にとって気がかりである。私が米国に対して何度となく伝えてきたことを、もう一度繰り返そう。我々はミサイル防衛システムを防衛兵器とは考えていない。これは周辺地域に配備された潜在的な米国の戦略核の一部であり、攻撃システムと同期して機能するものである。ゆえに、我々はこの件に関しては何らの幻想も抱いていない。すべて承知の上だ。こうしたことをすべて理解した上で、ロシアは日本との平和条約締結に向け、誠実に努力していくつもりでいる。なぜなら、現在の状態はノーマルではないと私が認識しているからであり、また安倍首相もこの認識を共有しているからである。ロシアと日本の関心は、両国の関係を完全に正常化することにある。経済上ロシアが日本の何かを必要としているから、というだけではない。ロシア経済は、概ね進展している。
今朝もつい先ほど、オレーシュキン経済発展大臣から自身の訪日の成果について報告があった。前進する動きはある。供給や、鳥類を含むロシア産食肉製品への日本市場開放について合意がなされた。ほかにも進展は見られる。とにかく前進はしており、必要に応じて今後も前進し続けるであろう。しかしながら、全体としての露日関係の正常化は、両国にとって極めて重要である。プロセスは困難であるが、我々には日本の同僚と共に目標に向って進んでいく用意がある。
最近、様々な催しに参加していない。なぜか億劫。年のせいだろうか。日刊IWJガイドにある下記中継を拝見して代用しよう。「悪徳企業」と言えば済むのに、わざわざカタカナをあてる理由はないだろうと思うのだが、趣旨、選択に異議はない。
【IWJ・Ch4】14:00~「最悪の企業はどこ?どうすれば闘える? 第7回 ブラック企業大賞2018 授賞式&シンポジウム」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch4毎年恒例でおこなわれるブラック企業大賞の授賞式&シンポジウムを中継します。これまでIWJが報じてきたブラック企業大賞関連の記事は以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/black-company-prize
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