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2018年11月18日 (日)

アメリカはEUを打ち破る

Finian Cunningham
2018年11月14日
スプートニク

 ヨーロッパ軍というアイデアに対する、ドナルド・トランプ大統領による短気な荒っぽい拒絶が多くを物語っている。アメリカの「保護」から離れて踏み出すというヨーロッパのいかなる概念もワシントンにとっては嫌悪の対象だ。

それはアメリカ権力の狙いが、ヨーロッパを「守る」ことではないからだ。それは単にうぬぼれ強い連中の宣伝神話に過ぎない。実際は、すべてワシントンが「同盟国」とされるヨーロッパに対する帝国支配で、儲かる恐喝状態の維持と、ロシアを主な軍事標的にしておくことが狙いだ。

 ヨーロッパ軍に関するアイデアを、フランスのエマヌエル・マクロン大統領が先週再び持ち出した。マクロン大統領は、欧州連合がアメリカから独立した、それ自身の軍を作るのに特に熱心だった。

 第一次世界大戦の北フランス戦場視察で語って、マクロン大統領は述べた。「中国やロシアやアメリカに対してさえ、我々自身を守らなければならない。」

 これに答え、トランプは即座に彼の発言は「侮辱的だった」とマクロン大統領を非難した。
パリでの第一次世界大戦記念会談で、フランス大統領が、アメリカ大統領にヨーロッパ軍がアメリカ率いられたNATO連合を「補足する」のを保証すると述べたのは、圧力を加えられ、後退したように見える。

 それでも、アメリカからの自立の道を行くヨーロッパの提案は放棄されてはいない。今週、フランスのブリュノ・ル・メール財務大臣は、ヨーロッパが「トランプ政権に立ち向かい」、「帝国」としてそれ自身の力を主張することを恐れてはならないとドイツの商業経済紙ハンデルスブラットに述べた

「ドナルド・トランプ政権と対立するには勇気を要するのは誰でも知っている」と、ル・メール財務大臣はインタビューで述べた。「ヨーロッパの人々はブリュッセルの無駄話にはうんざりしている。彼らは行動を見たがっている。」

先週のマクロン大統領発言を繰り返して、ヨーロッパが中国とアメリカに立ち向かうためには「平和な帝国」にならねばいけないと、このフランス幹部は述べた。

 ル・メール財務大臣は、ワシントンから「政治的、金融的、軍事的に」独立した力を作り出すフランスの計画を支持するよう、ドイツにも要求した。「我々はそれについて長時間話をした。今や決定すべき時だ。」

 これは確かにフランス指導部の強引な言葉だ。だが、はっきりものを言う、アメリカから一層独立した、国際的役割をヨーロッパが引き受けるという考えは、同様に、近年ドイツ政界内でも増大していた。世界的な影響力を一層得ようとベルリンが努力するにつれ、ナチドイツの恐怖という恥の後遺症は、次第に薄れつつあるように思われる。

 大西洋対岸とアメリカとの、かつての協力から、EUが一層疎遠になっているように思われる理由には、いくつか要因がある。トランプ政権の下、NATO出費について、彼があおることや、「不公平」と見なされるヨーロッパの取り引き慣行や、イラン制裁が、テヘランに対するEUによる数十億のユーロ投資に打撃を与える恐れや、パリ気候協定からの脱退という彼の脅しに関し、緊張が高まったのだ。

 けんか腰のこの文脈で、それ自身の軍事安全保障組織を構築するというヨーロッパの概念には、より大きな魅力さえある。フランスのマクロン大統領は、ヨーロッパとフランスの世界的立場を再活性化することに特に意欲的なように思われる。それ自身の大陸軍を持つことは、その野心を強化する。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は提案を歓迎した。モスクワは、このような進展を、一層多極世界に向かい、アメリカ単極支配から離れる動きと見ている。

 一見、ワシントンも同様に、ヨーロッパの防衛が独立して強化されるのを支持するかもしれないと考える向きもありそうだ。結局、何年にもわたり、アメリカ政治家は、ヨーロッパが米国軍による防衛に「ただ乗り」していると苦々しく文句を言ってきたのだから。

 トランプは、アメリカと共に、より均等に「負担共有」すべく、軍に対する支出をより多く支払うようヨーロッパ諸国を積極的に責めたて、不満を高めさせた。

 スピルバーグの「プライベート・ライアン」など無数のハリウッド映画で描かれているように、ワシントンはヨーロッパの「騎士道的保護者」だという、うぬぼれ強いアメリカ神話がある。

 1945年以来、ヨーロッパ至る所の基地に配備された何万人ものアメリカ軍兵士は、同盟国を守る高尚な義務のため、駐留していると言われ続ければ、神話も大きく育つのだ。
このような思い上がった言説は、トランプにより、「負担共有する」ため、防衛に更に多くを使うよう、ヨーロッパ人を激しく非難するのに使われる。

 ところが、もしヨーロッパ人が実際に彼ら自身の防衛を準備する提案を始めると、アメリカの調子が、突然大きく変化するのに気づく。もし、すべてより均等に防衛コストを「共有する」ことが問題なのであれば、ワシントンは、論理的に、ヨーロッパ軍への動きを歓迎すべきなのだ。

 だがそれは本当に重要な問題ではない。NATOを通した軍事権力こそ、アメリカ支配階級が、ヨーロッパに対して覇権支配をしているものなのだから、ワシントンは決して、軍事力で独立したヨーロッパを受け入れまい。

 第二次世界大戦の余波の中、「ロシアを締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを下におく」と明言された目的で、NATOが、1949年に設立されたことを思い出そう。NATO事務局長という文民ポストには、ヨーロッパ人が就くが、軍事組織は常にアメリカ軍将官によって指揮されることに注意を払うべきだ。
NATOは、ヨーロッパにおける、アメリカの保護「恐喝」手段だ。それは近年、ロシア国境に至るまで拡張した、29加盟国ブロックに成長した。ヨーロッパに不規則に広がった、このアメリカに率いられた軍のマトリックスで、対ヨーロッパ政策と、モスクワに対する重要な戦力投射の上で、ワシントンは莫大な影響力を得られるのだ。

 しかも、NATOのヨーロッパ加盟諸国は、パトリオット・ミサイルや戦闘機を含め、主にアメリカ兵器に軍事予算を使わなければならない。ヨーロッパ諸国は何百機もの最新世代の法外に高額なアメリカF-35戦闘機を買うために行列しているのだ。

 もしヨーロッパが、ナポレオン風のマクロン大統領のような政治家の虚栄心を満足させるため、何らかの方法で自身の軍を作れば、ワシントンは、対ヨーロッパと、ヨーロッパとロシアとの関係に対する、途方もなく巨大な戦略的支配力とを失うことになる。ワシントンは、アメリカ資本主義を支える国防総省軍産複合体に流れる何兆ドルも失うことになる。

 「同盟国防衛」と「負担共有」に関するすべての言説からして、ワシントンはそれを実現させるつもりはない。自身の軍の設立に関するヨーロッパの夢のような話は、アメリカ帝国主義により、耐え難い不遜行為と見なされよう。しかし、問題にまつわる緊張は、一つ有益なことを示している。ヨーロッパとアメリカの関係は、協力ではないということだ。もっぱら、支配なのだ

 Finian Cunninghamは、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。彼は農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。彼は音楽家で、作詞作曲家でもある。20年以上、ミラーやアイリッシュ・タイムズやインデペンデント等の大手マスコミ企業で、彼は編集者、著者として働いた。

記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/201811131069770321-us-eu-army/

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 「クロスファイア」をたまたま見た。入管法改正案の是非と課題を与野党の論客が徹底討論! 出演ゲスト:長谷川岳(自由民主党 法務部会長)有田芳生(立憲民主党副幹事長)田村智子(日本共産党副委員長)

 自民党のスカスカ説明と、有田氏、田村氏の的確な指摘、批判、見応えがあった。

 

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