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2018年11月14日 (水)

不可侵のアメリカ-サウジアラビア関係はアメリカ帝国主義の根幹

Federico PIERACCINI
2018年11月4日
Strategic Culture Foundation

 過去数週間、イスタンブールのサウジアラビア領事館内におけるジャマル・カショギ殺人に関して、無数の記事や分析が生み出された。ところが、サウジアラビアとアメリカ合州国との関係は問われておらず、その理由も説明されていない。

 1971年のアメリカ合州国が金本位制から離脱するニクソンによる決定は人類の将来の方向に大きく影響を与えた。 1950年代中期以来、世界の国々が貿易にドルを使う必要がある結果、世界準備通貨となって、アメリカ・ドルの重要性は高まった。世界で最も消費される生活必需品の一つは石油で、その価格はOPECにより、アメリカ・ドルで設定されることが良く知られており、この組織はサウジアラビアに強く影響されている。

 それゆえ、オイルダラーの機能を理解するためには、リヤドを見なければならない。ドルが金本位制を離脱した後、ワシントンは、リヤドと、石油をドルのみで値付けする取り決めをした。見返りに、サウジアラビアは保護を受け、地域で自由に動くことが認められた。この決定は、他の国々に膨大な量のアメリカ・ドルを通貨準備として保有し、財務省証券購入するよう強いることになった。アメリカ・ドルと石油との間の関係が、この通貨に新しい生命を吹き込み、世界の金融と経済体制の中心に押し上げた。ドルが享受する、この特権的な役割が、アメリカ合州国が、その信頼性をもとに、他の国々に通貨バスケットに、財務省証券を貯め込むよう要求するオイルダラーに支援され、ただ不換紙幣を印刷するだけで、自国経済の資金調達をすることを可能にしているのだ。

 この仕組みは、無数の戦争(バルカン諸国、イラク、アフガニスタン)や、金融危機(1987年のブラック・マンデー、2000年のDotcomバブルと、2008年のリーマン・ブラザーズ・サブプライム危機)や、主権国家の破産(1998年のアルゼンチン)にもかかわらず継続している。この説明は、財務省長期証券購入者に返済する能力があるアメリカ・ドルとアメリカそのものへの信頼性に見出せよう。言い換えれば、アメリカが、ドルのおかげで、世界の金融・経済体制支配を維持し続ける限り、世界超大国としての優位を疑問視されることはまずない。通貨市場と特別引き出し権 (SDR)バスケットに対するこの影響力を維持するためには、石油をアメリカ・ドルで値付けすることが極めて重要だ。これが、少なくとも部分的には、ワシントンとリヤドとの関係縮小が不可能なことの説明になる。これがサウジアラビア-アメリカ関係が重要な唯一の理由だなどとは誰も信じ込むべきではない。ワシントンは、サウジアラビア・ロビーが降り注ぐお金の中で泳いでいるわけで、そのような気前の良さの受益者が、パーティーを止めたいと望むとは思えない。

 ワシントンとリヤドの間の合意は、リヤドがワシントンによる保護を受け、サウジアラビアが、黒い黄金をアメリカ・ドルでのみ売っている限り、王国内や地域でのリヤドの振る舞いを、ワシントンは見てみない振りをするという保障だ。この合意は、明らかに議論の的になるものであり、カショギの死や、リベラル主流マスコミが王国を攻撃している中でさえも、大衆から隠されている。だがこれはアメリカ-サウジアラビアの絆がこれほど固い唯一の理由ではない。サウジアラビアとアメリカとの当初の合意は、オイルダラーに関するものだった。しかし1979年、イランのイスラム革命(イランの民族主義者のムハンマド、モサデク首相は、1953年、アメリカとイギリスによって打倒されていた)以降、イスラエルの心からの同意を得て、リヤドとワシントンは、彼らの共通の敵に宣戦布告することに決めたのだ。1980年代、パキスタンとサウジアラビアとアメリカのシークレット・サービスによって聖戦士を徴募し、訓練し、武器を与えて利用する、アフガニスタンでのソ連に対する共同作戦を通して、リヤドとワシントンの協力は一層緊密になった。聖戦戦士テロの地政学的兵器としての利用はリヤドの経世策の主要な特長だ。

 サウジアラビアとアメリカとの間の関係は、単なる経済と保護の同意から、1980年代以来のジハードを戦略目標推進のために利用するという既存の協力を拡大して、ワシントンとテルアビブとリヤドの共通の敵に対する全面的協力へと進化した。イランとの状況が、アメリカの地域戦略にとって、一義的重要性を持つことになった。時間がたつと共に、リヤドは三役をこなしているのだ。つまり、オイルダラーの保証人、地政学的兵器としてのイスラム・テロ利用上の世話役、地域におけるイランへき対抗者だ。

 この関係は双方にとって有益だ。サウド家はワッハーブ主義の厳格な拘束に沿って、欧米の干渉無しに、自由に国家を運営している。またワシントンは、即座に他の国々が購入する財務省証券という形で、単に債務を印刷するだけで、無限の軍事支出能力を享受している(特に2008年危機と、量的緩和開始以来)。ワシントンは事実上、紙くずを印刷して、引き換えに消費財を手に入れ、アメリカ合州国が、イラクとアフガニスタンでの戦争で、6兆ドルも浪費しても、深刻な経済的影響に悩むこと無しに済んでいるのだ。

 ドナルド・トランプがホワイト・ハウス入りして以来、オバマ時代に始まった脱ドル化プロセスは加速するばかりだ。2012年のイランをSWIFT国際銀行制度から排除するという前例の無い動きで、作られた危険な前例は、他の国々への警報として機能した。アメリカ合州国は、ドルを地政学的敵国に対する武器として使って、支配的立場を進んで乱用する正体をさらけ出したのだ。

 この行為の影響は、今も感じられ続けている。欧米エリートの多くは、この過ちを認め、後悔している。ロシアと中国は次にまな板の上に載せられるのは自分たちなのを理解しており、ワシントンがモスクワと北京をSWIFT制度から排除しようとした場合に、バックアップ体制として機能するCIPSのような代替の支払制度創設に着手した。

 世界を更なる脱ドル化の方向に向かわせる上で、トランプはどの前任者より貢献している。経済制裁と関税が、アメリカ同盟諸国の信頼感を弱め、他の国々に代替案を探し始めるよう強いたのだ。商取引が、既に長年、ドル以外の通貨で行われているイランとロシアの例は教訓的だ。商取引でドルが使用されなくなったが何十もの他の例がある。だがより複雑なのは、ドルで行われていることが多い、民間あるいは公共企業の債務用資金調達だ。これは自国通貨がドルに対して、切り下がった場合、債権者に返済するために必要なアメリカ・ドルを入手するのが、より高価になり、主要国営企業が破産に直面する可能性をもたらし、産業を困難な状況に曝すことになる。2014年にルーブル攻撃でロシアが学んだように 自国の戦略的部門が、外国敵対勢力による経済的影響力にさらされる可能性は避けなければならない。

 金融取り引きでのドル使用を止める圧力は、次の金融危機がドル建ての世界の債務に影響しかねない恐怖からも由来している。金融危機は、アメリカ経済を破壊するのみならず、財務省証券を大量に保有する国々をも引きずり込むのだ。これは憶測や陰謀論ではなく、過去10年以上の、経済状況観測からの単なる結論だ。2008年、世界経済は、中央銀行による介入後、国民が持っていた信頼の結果救われたのだ。連邦準備制度理事会や、そのパートナー連中が作り出した腐食性の仕組みが何カ月かしてから明らかになった。中央銀行は、0%金利で、無限のお金の印刷を開始し、それを、サブプライム住宅ローン危機のような投機バブル崩壊で残された債務を補填するよう、銀行や金融機関に供給したのだ。

 普通の人々は、バーナンキとドラギが、TVで、"制度を救済するための未曾有の行為"について語るのを見て安心し、自分たちのお金は、銀行に預けたり、アメリカ・ドルで持っていたりしても安全だと感じたろう。次の金融危機 - 可能性としては、これまでになく大きいが - 連邦準備制度理事会や他の中央銀行による利上げか、無数の負債バブルの一つがはじけることによって、引き起こされる可能性が高い。肝心な点は、ドラギが言った通り、"[この量的緩和という兵器]は一度しか使えない"のだから、一般市民による制度への信頼の真価が問われることだ。何十億ドルもの金額の負債を抱えている銀行や投機組織には何の保護もなく、生き残れる可能性はない。

 ドルに基づく金融体制崩壊の可能性を考えて、いくつかの国々は保有する財務省証券を売って、危険性を減らし、金を買い集めている。これは中国とロシアだけの話ではなく、欧州連合もそうなのだ。

 そのような状況の中、特にこの地域が、テヘランから始まり、バグダッドとダマスカスを含み、ベイルートで終わる枢軸によって動かされているように見える現在、サウジアラビアとの関係の危機など、ワシントンには思いも寄らないものだ。リヤドは地域のイスラエル戦略にとって必要で、アメリカ・ドルに関する理由から、ワシントンもそれに続く。オイルダラーを維持する上でと、地域でイランに対抗するリヤドの重要性を考えれば、ワシントンのイスラエル・ロビーが、カショギ事件で、リヤドを罰することに熱心なアメリカ上院議員をなだめるために最善を尽くしていても驚くべきことではない。

 もしサウジアラビアが、カショギ事件でのMBSの潔白に本当に確信があるなら、この状況を、サウジアラビアの外交政策におけるワシントンの役割を弱め、自分に有利に利用することが可能なはずだ。東に向き、中国やロシアとの協力関係を強化すれば、地域全体に良い効果があるだろうし、世界におけるアメリカ合州国の重要性も低減されるだろう。サウジアラビアは何十年にもわたる分裂と確執で引き裂かれた巨大な家族に支配されている。MBSは自分の王国には興味がなく、自分の生き残りしか考えていない。彼はネタニヤフとトランプが、自分の支配を継続するための最良の策だと知っている。トランプも同様に、中間選挙と、2020年大統領選挙を考慮して、アメリカにおける自分の広報戦略での、MBSの重要性を周知している。サウジアラビアを取り込むトランプの交渉技術のおかげで、MBSはトランプにとって、巨大プロジェクトに資金を提供する金の卵を産むガチョウだ。もちろん、これは真実とはほど遠いが、重要なのは、この同盟にトランプが加えているひねりだ。

 皇太子は、進んで、公然とユダヤ人国家と外交関係を結び、両国間の関係を公表した初めてのサウジアラビア人君主なので、イスラエルはMBSの主要同盟国だ。アメリカ政府幹部、いわゆる陰の政府は、数週間、MBSを、トランプに対して利用しようとした。しかし、イスラエルが、アメリカ陰の政府の一部と共に、サウジアラビアとアメリカとの間の世界的な関係を縮小するのは危険だと考えた後、この戦略は終わった。MBSをわきへ押しやるのは非常に困難で、砂漠のダボス会議でみられた通り、王国内での彼の立場も、多くが想像するより堅固に見える。MBSと別れれば、アメリカの覇権的地位にとって、想像を絶する影響があるはずで、これは当面、ワシントンにはそうする余裕がないものだ。

 ワシントンの敵国に対する政治的、金融的兵器としてのジハードとオイルダラー利用は、ジャマル・カショギを早々と忘れ、サウジアラビアが行っている様々な虐待を無視する状態に戻る十分な理由だ。一極世界から多極世界へのこの移行過程で、アメリカと、地政学的敵に対して使える、兵器庫中の最も強力な兵器を放棄するわけには行かないのだ。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/11/04/untouchable-us-saudi-relation-core-element-us-imperialism.html

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 ペンス副大統領も横田基地経由でおでましになられた。「お前たちは属国だ」と、FTA交渉推進を恫喝しに来られたのだ。傀儡が造語のTAG(物品)だと言っても、副大統領がはっきりサービスも対象(つまりFTA)とおっしゃっているのは大本営広報部でさえ隠せない。マッカーサーやトランプ大統領のように、基地経由でおいでになったことに、大本営広報部、触れたのだろうか?

 FTAをTAGと言い換えるのみならず、移民政策を入管法改正だと、呼吸するように強弁する傀儡売国奴。

 今日の孫崎享氏のメルマガ題名のほうが有象無象の虚報より説得力がある。

ペンス副大統領は何故訪日したか。?安倍首相の中国接近の動きに釘をさす。ペンスは10月4日ハドソン研究所で対中宥和政策の見直しの大演説。他方安倍首相は対中政策に「脅威ではなくパートナー」「自由で公正な貿易体制の発展」等提言?貿易交渉の厳しさ通知

 IWJガイドに、明日の田代秀敏氏インタビュー第三弾の知らせ。田代秀敏氏インタビュー拝聴をきっかけに、早速、中国関連本を数冊読んだ。知らないことばかり。

**2018.11.15 Thu.**

【IWJ_Youtube Live】14:00~「中国が新たな未来を切り開きつつある!? 対米追従路線を進む限り日本に未来はない! 21世紀人類最大のテーマ『米中覇権交代』!岩上安身による中国通エコノミスト田代秀敏氏インタビュー 第3弾」
YouTube視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867
ツイキャス視聴URL(冒頭のみ): https://twitcasting.tv/iwakamiyasumi

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