アメリカのやり方しか無い。国連安保理事会で世界をアメリカの足台扱いするトランプ
Finian Cunningham
2018年9月27日
RT
今週、ドナルド・トランプは国連安全保障理事会で議長をつとめ、世界に対し、イランに対するアメリカの命令に従え、さもなくば、ワシントンの命令に従わないかどで報復するぞと、殺し屋のような最後通告をした。
世界の安全保障と平和を維持するための世界最高の場所が、こうして、ずうずうしい犯罪的なアメリカの主張の舞台と化した。
今週ニューヨークでの第73回国連総会は、頭がクラクラするほどのアメリカによるいじめと傲慢さの見もので、トランプのばかばかしいほど独り善がりの演説のある場面では、各国代表が笑いをこらえられなくなったほどだ。
総会での演説で、“世界最大のテロ・スポンサー”というイランに対する使い古された非難をトランプは繰り返した。何の新味もないが、このアメリカ大統領がしているのは、降伏しないと暴力的侵略の目に会うぞというイランに対する通告だ。
トランプの国家安全保障問題担当補佐官ジョン・ボルトンはニューヨークでの別の演説で、ワシントンの根拠のない非難を巡り、イランに“大変な結果になる”と警告した。
ワシントンは、イランの極めて重要な石油貿易の全面禁輸を課し、アメリカが支配する国際銀行制度からテヘランを遮断すると恫喝を強化した。これは、イランを更なる対立へ押しやる経済戦争行為だと考えられる。
更に、トランプが安全保障理事会会議議長をつとめた際、もしアメリカ経済制裁に逆らってイランとの貿易を継続すれば“重大な結果”に直面すると諸国に挑発的に警告した。
一日前、2015年の包括的共同作業計画(JCPOA)として知られている協定の支持を再確認するため、イランとの国際核合意の他の署名国全てが会合した。欧州連合は、ロシアや中国と協力して、アメリカの経済制裁と金融規制を回避する新たな決済機構を設立しようとしている。
ところが、ここでトランプは各国に“そんなものを試そうとするな!”と言ったのだ。大統領はアメリカのやり方以外ないと言っているのだ。
同盟諸国とされるものを含め全ての国々に対するワシントン権益の一方的押しつけは、必然的に紛争に至る緊張を引き起こす暴君の振る舞いだ。
イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣は、アメリカが安全保障理事会を“悪用している”と正しく述べている。トランプはワシントンの独裁的政策を主張する場として利用していた。世界秩序と平和の維持を目指すためのものと考えられている場がアメリカ“指導”の下、アメリカ攻勢の共鳴板として利用されるのは皮肉なことだ。
今週安全保障理事会の議題は、名目上、核兵器や他の大量破壊兵器の不拡散だった。前日の彼の総会演説をとりとめなく繰り返し、“[弾道] ミサイルを中東中に拡散している”テロリスト政権として、再度イランを悪者扱いするのに、安全保障理事会を利用して、トランプは二時間の委員会を始めた。
今年5月のイラン核合意からのトランプの一方的離脱は、JCPOAが、決議2231で、安全保障理事会によって批准されていたことからして、国際法違反に当たる。
ところが、トランプは、イランへの根拠ない非難で正当化して、このアメリカによる国際協定放棄を悪用しようとした。トランプが、イランに向けている“ならずもの国家”というあだ名は、実際、アメリカにこそ相応しい。
安全保障理事会会議の議長をつとめる大統領は軽い調子で喜劇のようだった。時に、トランプは、まるで彼のリアリティアTV番組、The Apprenticeの再放送をしているかのように、彼の想像上の偉大さを自慢した。
アメリカ国連大使ニッキー・ヘイリーは、人々の注目を集めるために叩く大統領のおもちゃのように、トランプの前に小槌を置いた。そして会議の途中、おそらく退屈して、大統領は護衛たちとともに歩き去り、ヘイリーに後を任せた。
国連安全保障理事会の他の全常任理事国フランスとイギリスとロシアと中国は次々にイラン核合意が“ひどいもの”だというアメリカの立場を否定した。それぞれが、それは核兵器の不拡散により、世界をより安全にする持続可能な機能している条約だと述べた。
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、代表団は無数の検査で、イランがJCPOAを完全に遵守していることを示していることを指摘し、トランプの協定からの離脱は不当で、間違っており、中東における緊張と不安定さを高めているとした。
“JCPOAからのアメリカの一方的離脱は国際的不拡散体制にとっての重大な脅威だ”とラブロフは述べた。
そこで何という逆説か。トランプが、核兵器拡散防止が議題の世界最高の安全保障委員会の議長をつとめたのだ。だが国際的に合意されている見解は、アメリカは安全保障を無責任に危険にさらしているというものだ。
今週の議事について、世界で孤立しつつあるのは、イランではなくアメリカだと言ったイランのハサン・ロウハーニー大統領に同意せずにいるのは困難だ。
だが状況は気がかりだ。トランプと彼のタカ派政権幹部は他の国々が何を考えているか全く気にしていない。全員間違いで、アメリカが正しいというのが連中の見解だ。
イランに関する明白な国際法違反にもかかわらず、アメリカの独善を称賛する好機として、安全保障理事会で議長をつとめるというトランプの臆面もないうぬぼれで、これは十分明らかにされた。
国連でのアメリカの主張は常に、うぬぼれと虫のいいウソの饗宴だ。だが今年、トランプは、紛れもなく、たくさんの途方もない矛盾を提示した。
安全保障理事会で、いかに“アメリカが戦争の恐怖を美しい平和の約束で置き換えることが可能か”彼は熱心に説いた。この気の抜けた自慢のわずか数分前、トランプは、イランをの首を絞めろというアメリカの命令に従わないなら、アメリカによる懲罰を覚悟しろと世界に通告していたのだ。
今回の総会演説で、トランプは彼の世界構想基本における理念として国家“主権”に夢中だった。ところが明らかに、現実世界で、このアメリカ大統領は前任者たち同様、国々がワシントンの命令に、あえて異議を唱えれば、他国の主権を全く軽視するだけだ。
もう一つの目に余る矛盾は、アメリカは決して、アメリカ法を越える国際的規則によって責任を問われることはないと主張して、トランプが“グローバル官僚”をこきおろすことだ、。彼の“アメリカ・ファースト”論は無法状態の受け入れだ。それが常にアメリカのやり方だ。トランプは、この教義を明確にしているだけなのだ。
だがトランプはアメリカ主権が抑制されない最高権力であることを望みながら、ワシントンの命令を他国に押しつけるためなら国連の“グローバル官僚”や、多国間主義を利用するのもいとわない。これは勝手な良い所取りだ。
アメリカは“世界の警察官”だと主張して、その帝国主義を自負してきた。トランプ下のアメリカ権力は“世界の悪党”のようだ。
アメリカの主張と現実との矛盾はあまりにばかばかしくなっていて、礼儀正しい外交官すら真顔でいるのは困難だ。
Finian Cunningham(1963年生まれ)は、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。北アイルランド、ベルファスト生まれの農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。20年以上、ミラーやアイリッシュ・タイムズやインデペンデント等の大手マスコミ企業で、彼は編集者、著者として働いた。現在は、東アフリカを本拠とするフリーランス・ジャーナリストで、RT、スプートニク、Strategic Culture Foundationや、Press TVにコラム記事を書いている。
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記事原文のurl:https://www.rt.com/op-ed/439660-trump-diktat-iran-unsc/
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沖縄知事選挙結果を知ってぐっすり眠れるはずだった。猛烈な風さえなければ。中学英語教科書にあったCan you sleep on windy nights?という文章を思い出しながら強烈な風の音を聞いていた。
沖縄まで宣伝にでかけた知事のおかげで、今も偉い目にあっているので、明日は下記インタビューを拝聴。
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