まるで西部劇: 待ち受ける決戦
2018年10月22日
Paul Craig Roberts
レーガン大統領とソ連のゴルバチョフ大統領が1987年に実現させたレーガン大統領最後の核軍縮功績-中距離核戦力全廃条約をアメリカ軍安保複合体が処分するのに31年かかった。
中距離核戦力全廃条約は、1988年5月27日に、アメリカ上院で批准され、数日後の6月1日に発効した。舞台裏で、私もこの件に多少関与したので、条約が実現したのは、ヨーロッパをソ連の短距離と中距離ミサイルによる攻撃から安全にし、ソ連をヨーロッパに配備されたアメリカの短距離と中距離核ミサイルによるアメリカの攻撃から安全にすることだったのを覚えている。核兵器を多少の警告時間があるICBMに限定することで、報復と、核兵器の不使用を保証する中距離核戦力全廃条約は、ロシアに対するアメリカ先制攻撃と、ヨーロッパに対するロシアの先制攻撃、警告時間がほとんどゼロに近い低空飛行する巡航ミサイルによって行われる攻撃のリスクを低減するものと見なされていた。
レーガン大統領が、私をCIAを召喚する権限がある秘密の大統領委員会メンバーに任命した際、彼は秘密委員会メンバーに、狙いは冷戦を終わらせることであり、結果として、彼の言葉を借りれば“あのぞっとする核兵器は解体されることになる”と言った。レーガン大統領は、彼が首にし、起訴した狂ったネオコンと違い、地球上のあらゆる生命を破壊する核戦争は無意味だと考えていた。中距離核戦力全廃条約は、レーガンの頭の中では、軍の武器庫からの核兵器廃絶の手始めだった。中距離核戦力全廃条約は、アメリカ軍安保複合体の予算を大きくは脅かさず、実際にソ連軍の安全を高めるので、第一歩として選ばれたのだ。言い換えれば、それは、レーガンもゴルバチョフも、それぞれの軍の支配体制を説得できるものだったのだ。信頼感が増せば、核軍縮は更に進められるだろうとレーガンは期待していた。
レーガン大統領の残された実績が破壊されてしまった今、トランプ政権がアメリカ軍安保複合体の利益に譲歩した結果は一体何なのだろう?
色々があるが、良いことは一つもない。
“更なるロシアの脅威”に対抗するため、益々乏しくなるアメリカの資源が、中距離ミサイル製造に流れ込み、アメリカ軍安保複合体の莫大な利益は増大する。共和党は社会保障やメディケアを削減して、費用を工面しようとするだろう。民主党なら違っていたかどうか私には確信がない。
今やシオニスト・ネオコンに、ロシアに対する探知されない核巡航ミサイル先制攻撃によって、アメリカとイスラエルの覇権を再度確立する願望がよみがえったのだ。
プーチン政権は、ロシアがアメリカ属国におとしめられていたエリツィン時代に、ワシントンとイスラエルが据えたアレクセイ・クドリンやユダヤ・ロビーや億万長者オリガルヒから更なる圧力を受けるだろう。こうしたロシアの裏切り者連中は非常に有力なため、プーチンは連中に我慢しなければならない。ネオコン化したワシントンは、経済や、インフラの必要性から、軍事支出にロシアの資源を向けさせるため、ロシア経済を傷つけられる可能性があるあらゆることを行っており、ワシントンに順応しようと求めて、ドイツやイギリスやフランスやヨーロッパの他の国々や、カナダやオーストラリアや日本と同様に、ロシアを属国状態に追いやる狙いで、ロシアに更なる圧力をかけるよう、クドリンやロシア・マスコミ内の欧米が支援する分子はワシントンに働きかけるだろう。
とんでもない挑発に対するロシア政府のおとなしい対応ゆえに、アメリカや属国が、挑発しても、何の代償も負う必要がないため、更なる挑発を招き続けている。ロシア政府がクドリンのような裏切り者を許容していると、欧米国民をロシアが開かれた言論が自由な社会だと説得できない。逆に、欧米国民は、プーチンではなく、クドリンを信じてしまう。アメリカ人は、プーチンは、500億ドルを盗み取った悪漢で、世界で最も裕福な人間の一人だと思い込んでいる。私はこれを、昨日いとこから聞いた。欧米マスコミはロシアでの生活の正しい姿を決して報じない。欧米に対するロシア政府のけんか腰にならない対応と、自国政府内での反逆者の容認による唯一の功績は、ウクライナのロシア寄りの大統領や、ホンジュラスやブラジルやアルゼンチンの大統領と同様に、プーチンも打倒可能だと、ワシントンに確信させたことだ。
二十世紀、アメリカ人というか、そのごく一部の敏感な人々は、カフカの『審判』やオーウェルの『1984年』やハックスレーの『素晴らしき新世界』などのディストピア小説に感化された。我々はこうした小説をソ連での生活と同一視し、征服され、そのような生活を強いられるのを恐れたのだ。サダム・フセインの“大量破壊兵器”と同様、“イラン核兵器”と同様、“アサドによる化学兵器使用”や、他の読者も例をあげることができるだろうもの同様、“ソ連の脅威”がでっちあげだと気づくまでには実に長い時間がかかった。
世界の圧倒的大多数の人々は、一体何が起きているのか全く分かっていない。アメリカでは、住まいや、食べ物を得て、住宅ローンや、自動車ローンや、クレジット・カード支払い用のお金を稼ぐため、世界の大半では、飲料水と少々の食べ物のため、人々は、仕事を見つけたり、仕事につき続けたりしようとしている。彼らはストレスで疲れ切っているのだ。彼らには悪いニュースに立ち向かったり、何が起きているのかを考えるエネルギーはない。いたるところで、彼らは政府から見捨てられている。国民を代表する政府が存在している、ロシアや中国やイランやベネズエラ以外では。
ロシアや中国やイランやベネズエラや北朝鮮においてさえも、欧米プロパガンダではなく、実際に自らを信じている政府はあるのだろうか?
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクッリプス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/10/22/it-is-like-a-western-movie-a-showdown-is-in-the-making/
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短期的に大企業だけ儲かるが、ありとあらゆるしわ寄せを、国民や自治体に永久に押しつける移民政策が導入される。大企業支配資本主義の本質丸出し。
Orthodox Christianity bordering on a 'Great Schism,' but crisis can be resolved ? Russian Church
Recognizing Ukrainian Church would bring schism to Orthodox Christianity ? Moscow
Orthodox Church split fuels Russia-Ukraine tension
ウクライナ正教会“独立”へ 露経済紙「キエフ奪った」 トルコ紙「露の主張に打撃」
ロシアの宗教、無知にも、正教は一つだけと思っていたが、さにあらず。下斗米伸夫教授の昨年の本『神と革命: ロシア革命の知られざる真実』を読み終えた。ロシア革命でも、ソ連政治でも、古儀式派を背景とする人物が多いのだという。
素人のいい加減な理解は、おおよそこういう感じ。
ソ連共産党の名称にあるソビエトという概念自体が、ギリシャ正教でも、主流ではない古儀式派のものだという。古儀式派は正統と認められず、国家から虐げられた。織物企業の大物は古儀式派が多い地域(イワノボ・ボズネセンスク)出身者で、そうした大企業で働く労働者も多かった。ロシア革命では、古儀式派の背景を持った多くの労働者が指導者にもなった。
ソ連経済が困難な時期に、共産党が、教会の資産を没収するのに反対して多数の古儀式派信者が犠牲になった。抵抗するものを銃撃してよいと、許可した幹部には、スターリンのみならず、レーニンもいた。この事実が、グラスノスチで、1990年に公開された文書で、判明して、レーニン神話も崩壊し、ソ連滅亡を早めたのだという。
レーニンは病に倒れた後、古儀式派の著名な繊維王サッヴァ・モロゾフ未亡人の館にとどまった。そこで料理番をしていたのがプーチン大統領の祖父スピリドン・プーチンだった。
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