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2018年10月

2018年10月31日 (水)

超富豪による支配は暴政か革命

2018年10月22日
TD originals
Chris Hedges


Mr. Fish / Truthdig

 10歳の時に、私は奨学生として、マサチューセッツ州にある超富豪向け全寮制学校に送られた。それから8年間、私は最も裕福なアメリカ人の間で暮らした。私は彼らの偏見を耳にし、閉口するほどの彼らの権利意識感覚を目にした。彼らは自分たちは、より頭が良く、より才能があるので、特権があり、豊かなのだと主張した。彼らは、物質的、社会的地位が彼らより下位の人々を、あざ笑うように蔑視していた。超富豪の大半には共感や思いやりの能力が欠如している。彼らは連中にへつらう世界に逆らったり、合わなかったりして、彼らに順応しない人々全てをからかい、いじめ、あざけるエリート徒党を組んでいた。

 大半の超富豪の息子たちと、私は友情を築くことができなかった。彼らにとっての友情は「私にとって何のとくになる?」で定義されていた。彼らは子宮から生まれ出た瞬間から、彼らの欲求や必要に応える人々に囲まれていた。彼らは、苦しんでいる他者に手を差し伸べるということができなかった。何であれ、彼らが当面抱えている、けちな思いつきやら問題が彼らの宇宙を支配しており、彼ら自身の家族内の人々さえ含め、他者の苦難に優先していた。彼らは、いかにして奪うかしか知らない。彼らは人に与えることができない。彼らは奇形化した抑えられない利己主義に支配されているとても不幸な人々だった。

 超富豪の病理を理解することが極めて重要だ。完全な政治権力を掌握した。こうした病理がドナルド・トランプや、彼の子供たちや、ブレット・カバノーや、彼の政権を運営している億万長者を特徴付けている。超富豪は、他の誰の視点でもなく、自分自身の視点でしか世界を見ることができない。彼らの周囲の人々は、資格のある男性たちが食い物にする女性を含め、束の間の欲望を満たしたり、操られたりするために造られた対象だった。超富豪はほとんど常に道徳規準をもたない。正しい。誤り。真実。ウソ。公正。不正。こうした概念は彼らの理解を超えているのだ。何であれ彼らのためになるか、よろこばしいものは良いのだ。そうでないものは、破壊しなければならない。

 超富豪の病理こそが、トランプや彼の未熟な娘婿ジャレッド・クシュナーが、無制限な資格授与と縁故主義のもう一人の産物、事実上のサウジアラビア支配者ムハンマド・ビン・サルマーンと、私が中東で一緒に働いたことがあるジャーナリストのジャマル・カショギ殺害の隠蔽を共謀するのを可能にしているのだ。超富豪は、彼らの人生を、連中が相続した富や、富が及ぼす権力や、超富豪友愛会の他メンバーや、連中の弁護士や広報担当者含む助長者の軍団によって守られて過ごす。彼らが失敗や、他者への虐待や、酷使や犯罪をしても、まず何の影響もないのだ。これがサウジアラビア皇太子とクシュナーがきずなを深めた理由だ。二人は超富豪が決まって生み出す小人なのだ。

 超富豪による支配は、この理由で恐ろしいのだ。彼らは限界を知らない。彼らは決して社会規範に拘束されておらず、将来もそうなのだ。我々は税金を払うが、彼らは払わない。エリート大学に入学したり、仕事についたりするため、我々は一生懸命やるが、彼らはそういうことはしない。我々は失敗すれば代償を払わねばならないが、彼らはそうではない。犯罪をおかせば、我々は起訴されるが、彼らはそうならない。

 超富豪は、人造の泡型構造物、我々の現実と切り離されたフランケンマンションや自家用ジェット機がある場所、リッチスタンと呼ばれる国で暮らしている。富は、それ自体が永続するだけでなく、新たな富創出の機会を独占するのには使われていると私は思う。貧乏人や労働者階級にとっての社会的流動性など、ほとんど神話だ。超富豪は、トランプやクシュナーやジョージ・W・ブッシュのような凡庸な白人男性を財閥の連中を権力の立場へと教育する育てるエリート学校に押し込んで、究極的な形の少数派優遇措置を行使しているのだ。超富豪は決して成長するようには強いられない。連中は一生、幼児期状態に保たれていることが多く、欲しいものがあるとわめき声をたて、ほぼ常に、それを手に入れる。そして、これが連中を実に実に危険にするのだ。

 アリストテレスやカール・マルクスからシェルドン・ウォリンに至るまでの政治理論学者が超富豪による支配を警告している。超富豪が権力を握ってしまえば、アリストテレスが書いているように、唯一の選択肢は暴政と革命だ。連中は、いかに育てるかやら、いかに作り上げるかを知らないのだ。彼らは底無しの強欲を満たす方法しか知らない。超富豪には滑稽なところがある。連中は何十億ドル所有していようとも彼らは決して満足しない。彼らは仏教でいう餓鬼だ。連中は、権力や金や品物の収集を通して、達成不能な幸福を追い求めるのだ。こうした際限のない欲望の人生は、超富豪が妻や子供たちと疎遠になり、本当の友人を失って、寂しく終わることが多い。そして、彼らが亡くなると、チャールズ・ディケンズが“クリスマス・キャロル”で書いた通り、大半の人々は連中とおさらばしたことを喜ぶのだ。

 超富豪の病理研究で最も優れている本の一冊『パワー・エリート』で、C. ライト・ミルズは、こう書いている。

    彼らは国家の資源を搾取し、連中同士で経済戦争をし、同盟し、公有財産を利用して個人的財産を作り、自分たちの狙いを実現するため、ありとあらゆる手段を講じる。連中はリベートを得るため鉄道会社と談合する。彼らは新聞社を買収し、編集者を買収する。連中は競合する自立した企業を潰し、自分たちの権利を維持し、特権を確保するため、腕利き弁護士や評判の政治家を雇う。こうした大御所の形成には、何か悪魔的なものがある。彼らを泥棒貴族と呼ぶのは単なる修辞ではない。

 我々の民主主義を破壊した大企業資本主義は超富豪に抑制のない権力を与えてしまった。これら少数独裁エリートの病理さえ理解すれば、我々の未来を想像するのは容易だ。超富豪が支配する国家機関は、今やもっぱら連中の権益のために尽くしている。連中には、よりどころのない人々の叫び声は聞こえない。連中は国民を抑圧しつづける機関、国内支配のための治安・監視体制や軍隊化した警察や国土安全保障省や軍に権限を与え、公教育、医療、福祉、社会保障、公平な税制、食料配給券、公共交通やインフラ、そして裁判所などの、社会的、経済的、政治的不平等を和らげる組織やプログラムを、骨抜きにするか、減らす。超富豪は、連中が着実に貧困化させている人々から、益々大変な額の金を搾り取る。国民が反対したり、抗議したりすると、連中は民衆を鎮圧するか殺害する。

 超富豪は自分のイメージに異常なほど気をつかう。彼らは自分を見ることにとりつかれている。彼らは彼ら自身の宇宙の中心だ。ありもしない徳や特性で一杯の架空人格を作り出すためには、彼らはどんな苦労も費用もおしまない。これが超富豪が広く報道される慈善行為をする理由だ。慈善は、超富豪が断片的道徳に携わることを可能にするのだ。彼らは、超富豪が貧乏人の災いだと主張する頽廃や放蕩の類が特徴であることが多い自分たちの生活の道徳的堕落を無視しし、ささやかな慈善行為によって、思いやりがあり、情け深いふりをする。カショギがサルマーンに対してしたように、このイメージを台無しにする連中は、特に忌み嫌われる。そして、これが、トランプがあらゆる超富豪同様、批判的なマスコミを敵と見なす理由だ。それがトランプやクシュナーのカショギ殺害隠蔽を幇助する共謀への熱心さが不気味な理由だ。彼の中に、自分たちに欠けていて、得たいと熱望している、全能を見ている支持者に対するトランプの扇動や、批判する人々に対する暴力行為の実行は、カショギを電動骨ノコでバラバラにした皇太子の暴漢からわずか数歩しか離れていない。マスコミには、暴力的に対処すべきだと彼が言う際、トランプは冗談を言っているのだと、もし思われるのであれば、超富豪について、読者は何も分かっておられない。何の罰も受けないで済むことなら、彼は殺人さえするだろう。彼は大半の超富豪同様、良心が欠如しているのだ。

 より賢明な超富豪、イヴァンカやジャレドが、かつてはしゃぎ回っていた世界、イースト・ハンプトンズやアッパー・イースト・サイドの超富豪は大統領を粗雑で下品と見ている。だがこの違いはスタイルだけで、中身ではない。ドナルド・トランプと、ゴールドマン・サックスの裕福なハーバードやプリンストン卒業生にとっては困りものかも知れないが、彼はバラク・オバマや民主党がしているのと同様、一生懸命超富豪に尽くしているのだ。これが、オバマ夫妻が、クリントン夫妻同様、超富豪に殿堂入りした理由だ。それが、チェルシー・クリントンとイヴァンカ・トランプが親しい友人でいる理由だ。彼らは同じカースト出身なのだ。

 支配機構内には超富豪による国や生態系の略奪を止める勢力は皆無だ。超富豪には、大企業に支配されているマスコミや、彼らが資金を与えて選出される議員連中や彼らが掌握した司法制度には何も恐れるべきものはない。大学は大企業の情けない取り巻きだ。彼らは、その階級権力を復活させるため超富豪によって考案された新自由主義という支配的イデオロギーに異議申し立てをして、主要寄贈者連中を怒らせる知識人批判者を沈黙させるか追放した。超富豪は、かつては労働者が権力と戦うのを可能にしていた改革のための民主的機構とともに、労働組合を含め大衆運動を破壊した。世界は今や連中の遊び場だ。

 『ポストモダンの条件』で、哲学者のジャン=フランソワ・リオタールは、“一時的契約”が“職業や感情や性や文化や家族や国際関係や政治問題における恒久的機構”に取ってかわる将来の新自由主義秩序の姿を描いていた。人、もの、組織や自然世界に対するこの一時的関係は、集団自殺を保証する。超富豪にとっては、何ものにも固有の価値はない。人間や社会機関や自然世界は、枯渇するか崩壊するまで、個人の利益用に搾取するための商品だ。統治される人々の同意のような公益は、概念として死んでいる。この一時的関係は、超富豪の根本的病理の具体化なのだ。

 カール・ポランニーが書いた通り、超富豪は、最悪の自由、つまり“自分の仲間を搾取する自由や、比例するサービスを共同体に提供せずに、計り知れない利益を得る自由や、技術的発明を公益のための利用を阻止する自由や、私利私欲のために密かに仕組んだ人々の被災から利益を得る自由”を称賛する。同時に、ポランニーが述べている通り、超富豪は“良心の自由、言論の自由、集会の自由、結社の自由、職業選択の自由”に戦争をしかけるのだ。

 大衆文化やマスコミがもてはやす超富豪の暗い病理は、我々自身のものとなっている。我々は彼らの毒を摂取してしまったのだ。超富豪によって、我々は、ひどい自由を褒めたたえ、良い自由をけなすよう教えられている。トランプ集会をどれかご覧頂きたい。リアリティー・テレビ番組をどれかご覧頂きたい。地球の状態を検討願いたい。我々がこうした病理を拒否し、超富豪を権力の座から排除するため団結しなければ、彼らが我々を、既にそうだと考えているもの、つまり連中の手助け役に変えてしまうだろう。

記事原文のurl:https://www.truthdig.com/articles/the-rule-of-the-uber-rich-means-tyranny-or-revolution/

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 大昔、平凡社刊「オーウェル評論集 1 象を撃つ」で読んだ『あの楽しかりし日々』を思い出した。同じような年齢で、寄宿制学校、聖シプリアン校における暮らしの自伝。

 ネット検索してみたところ
『実験記録 No.02』【日本語訳】ジョージ・オーウェル評論集に、『あの楽しかりし日々』の翻訳まであるのに驚いた!思わず再読させて戴いた。

 超富豪にも、例外、あるのかも知れない。

 植草一秀の『知られざる真実』の最新記事は『日中友好継承発展会』創設記念講演会
そこで、
丹羽宇一郎氏が「激動する国際情勢と日中関係のこれから」という演題で
植草一秀氏が、「近年の日中経済情勢と今後の課題」という演題で、講演されたという。

2018年10月30日 (火)

最新の郵便爆弾パニック

2018年10月27日
Paul Craig Roberts

 シーザー・セヨクのせいにされている郵便爆弾パニックについて、私なら説明できるだろうという読者の皆様の信頼に感謝申し上げる。私はこの話題を追っておらず、ご説明できないのを残念に思う。

 セヨクは本当の犯人なのか、政治的理由で画策された工作の身代わりなのかという疑問をスティーブン・レンドマンが投じている。以下を参照。https://stephenlendman.org/2018/10/harmless-mail-bomb-scare-suspect-arrested/

 情報の現状からして、これはもっともな疑問に見える。諜報機関と民主党全国委員会が 政治的理由で、トランプに対するエセ“ロシア・ゲート”話を進んで画策したなら、対民主党ニセ爆弾攻撃も画策しないわけがあるだろうか? いかなる証拠もないにもかかわらず、売女マスコミが“ロシアゲート”に協力したのと同様、アメリカ・マスコミが、郵便物に関する“トランプの‘悪意に満ちた言辞’を非難しているとRTは報じている。” https://www.rt.com/usa/442429-mail-bomber-stripper-pizza/

 運転をしながら記者会見の大半を聞いていて、事件が画策に思えてきた。郵便局から、FBIからシークレット・サービスにいたる関係各機関が同席し、そのトップが爆弾を途中で押さえた各機関専門家のプロとしての腕前を称賛したのだ。特にFBIが爆弾が機能するとは言えないのを認めたことを考えれば、私にはやりすぎに見えた。爆破犯が、一体なぜ機能しない爆弾を送るだろう?

 注目し疑うべきことはもう一つある。郵便物の写真が、もしこれらが実際に送られた包みで、公式説明に疑念を投げかけるために使うよう誰かがでっちあげたものでないなら、爆弾の重さ分の十分な切手が無いのだ。セヨクのバンのあらゆるステッカーも、全ての反とても新しく、フロリダ州の太陽の下で長時間過ごして褪せているようには見えない。

 トランプが好きであろうとあるまいと、既存支配体制が彼を辞めさせたがっているのは明らかだ。自分たちの利益のためだけに物事を進めている支配層エリートによって取り残された“惨めな”国民層によって彼は選出されたのだ。支配層エリートは、そのような選挙結果が再度起きかねないことを恐れている。トランプの敗北は、彼を大統領の座につけたポピュリスト勢力の敗北だ。

 例えば、セルビアや、サダム・フセインの大量破壊兵器や、イラン核兵器や、リビアや、ロシアによるウクライナ侵略といった政治的狙いを正当化するための絶えざるウソの流れに、アメリカ人がさらされているのは疑う余地がなく、ラスベガスでおきたもののような銃乱射事件に関しても余りに多くの疑問点があり、公式説明に対する疑念は増すばかりだ。外国における侵略と、国内での警察国家措置を正当化するためにウソをつく政府を信用するのを一体どうやって正当化できよう?

 セヨクは犯人として不適任で、公的説明に対する疑念が、政府が真実をもてあそんできた過去の実績の結果だという可能性は十分あり得る。トランプ政権だけを言っているわけではないが、アメリカ政府が、アメリカ人の信頼に値するかどうかというのも、もっともな疑問だ。民主主義は政府への国民の信頼無しには機能しない。政治的な狙いのために、国民の信頼を犠牲にすれば、政治生活の基盤は破壊される。

 機敏な読者からこういうメールを戴いた。“数時間のうちに、我々はこの男の人生のあらゆる詳細を知るが、それは写真や他の諸々とともに、NYTに掲載される。そして、ホワイト・ヘルメットとほぼ同様の象徴 - 白いバンが。”

 もう一つの疑問が浮かぶ。“自分当ての郵便物を開封しない人々に郵便爆弾を送るのは一体どういう人物だろう?”

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/10/27/the-latest-bomb-scare/

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 「植草一秀の『知られざる真実』」の2018年10月29日記事、題名が秀逸。

 今回も始まった日本重罪新聞のキャンペーン

2018年10月29日 (月)

安全保障同盟でアフガニスタン、パキスタン、タジキスタンに加わる中国

Peter KORZUN
2018年10月25日
Strategic Culture Foundation

 アメリカ合州国のアフガニスタン戦争は18年目に入ったが、終わりは見えない。交渉が始まり、終わり、戦略や戦術が考え出され、試されるが、全て無駄で - 何も機能しない。アメリカ国民は、この戦争にうんざりしており、アメリカの資源は徐々に奪われている。2016年の大統領選挙戦中、トランプは、アメリカにとって勝利も恩恵もないこの紛争に対する根本的な新たな取り組みで選挙運動をした。約束を守るべき時期だ。

 アフガニスタンの407の地区で、政府支配下にあるものの数は、2016年5月の66%から、今年の56%に減った。アメリカは、とにかく失敗しているのだ。欧米軍事介入に対するアフガニスタン人の反感も要素も考慮に入れるべきだ。アフガニスタン内のアメリカ最高司令官ジョン・ニコルソン陸軍大将が、昨年、上院軍事委員会で、アフガニスタンの状況を安定させるためには更に数千人の兵士が必要だと述べた。約8,400人のアメリカ軍兵士と、6,400人のNATO兵士がアフガニスタンに駐留している。アメリカ合州国はいくつかの紛争に同時に関与しているが、この全てで圧勝するのは不可能だ。二兎を追うもの一二兎を得ず。アフガニスタンから撤退すれば資源が使えるようになり、支出も減る。

 ワシントンは、中国を世界的ライバルとして注目しており、イランに対し武力を行使する可能性も排除していないが、アメリカは、アフガニスタン国内で軍事駐留を維持する必要はない。アメリカが撤退しても、アフガニスタンが大混乱に陥ることを意味するわけではない。まったく逆で、紛争で荒廃したこの国にずっと近くにある国々に、アフガニスタンを、果てしない泥沼から引き上げる好機があるのだ。

 中国がより大きな役割を演じられるのは確実だ。結局、平和なアフガニスタンは、アジア開発銀行と北京のアジアインフラ投資銀行に支援されている一帯一路構想(OBI)プロジェクトの利益を更に推進するのだ。ロシア、インド、パキスタン、イランとタジキスタンも、この取り組みに参加可能なはずだ。中国とパキスタンは、中国-パキスタン経済回廊 (CPEC)を、アフガニスタンへの拡張を申し出ている。上海協力機構(SCO)と集団安全保障条約 (CSTO)が、手を貸すべく踏み込めるはずだ。タリバンは会議に参加するよう説得可能なはずだ。2018年6月、上海協力機構(SCO)会議での講演で、習近平国家主席はこう述べた。“アフガニスタンにおける平和と再建を支援するため、SCO-アフガニスタン・コンタクト・グループの役割を十分に発揮させる必要がある。”

 2016年8月、中国とパキスタンとアフガニスタンとタジキスタンが軍事同盟を形成した - 四国間協力協調機構(QCCM)で - 加盟諸国の対テロ活動と諜報活動を共有するのが狙いだ。中国はイスラム国家ではないが、パキスタン国境近くのイスラム教徒が支配的な石油の豊富な新疆省で、少数民族集団のイスラム主義過激派と戦っている。四カ国の国軍の参謀総長が、この集団の狙いを推進するため、毎年会合する。パキスタンと中国は大規模な経済協力を行っている。この両国は、戦略的提携を構築する途上にある。

 中国とパキスタンとロシアが、アフガニスタンを安定化させるための提携締結に向けて少しずつ進んでいるという最近の報道もある。ウズベキスタン-パキスタン安全保障同盟も出現しつつあると報じられている。10月18-20日、この“戦略的”関係の進展に拍車をかけるためのシャブカト・ミルズィヤエフ大統領との会談で、ロシアのプーチン大統領がウズベキスタンを訪問した。両国には共通の敵がある。2014年に、ウズベキスタン・イスラム運動が「イスラム国」との提携を誓ったのだ。シリアやイラクや他の場所で闘うため、約1,500人のウズベク人が、この集団に参加している。今やこの聖戦戦士集団は、いたるところで打ち負かされているので、これら志願兵は帰国するものと想定されている。昨年ウズベキスタンは12年間で初めてのロシアと共同軍事演習を行った。

 いくつかの軍事的な準備も行われている。中国はバダフシャーン州でアフガニスタン国軍基地を建設している。これでタジキスタンは、中国-アフガニスタン軍事協力の不可欠な部分となる。中国と短い国境を共有している県は車では通れない。もし中国軍兵士がアフガニスタンに入れば、国連安全保障理事会の承認無しで、こうした作戦を北京が行うことになるので画期的な出来事だが、QCCM同盟国を招待したアフガニスタン政府の要求なので、それでも依然合法的だ。

 7月、ロシアとタジキスタンはバダフシャーン州で共同演習を行った。ロシアは最近タジキスタンとキルギスタンの軍事基地を強化した。約7,000人のロシア軍兵士が、集合的に、第201軍事基地として知られている - ドウシャンベと、ドウシャンベから約100キロのクルガン・テッパ、二つの軍事施設に駐留している。タジキスタンは、ロシア率いるユーラシア経済連合内での役割を検討している。

 アフガニスタンでの紛争は余りにも長く続いている。アメリカは試み、失敗した。アメリカは立ち去り、他の国々に、この喫緊の国際問題を解決させるべき時期だ。アフガニスタンは見捨てられてはならない。平和への新たな希望を与えることこそ正しい行動だ。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/10/25/china-joins-afghanistan-pakistan-tajikistan-security-alliance.html

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 新潟市長選、野党惨敗。

 日刊IWJガイドで、刊行されてすぐ読んだ『イスラム教の論理』(新潮新書) 著者講演もIWJは中継しているのを知った。早速、拝聴。

 公開講演会「イスラム2.0:イスラム過激派はいつ消滅するか?」―講演:飯山陽氏(上智大学客員所員) 2018.10.26

2018年10月28日 (日)

シリアの戦略的地域への転換を狙う中国

2018年10月10日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook

 シリアでの戦争が終わる可能性が、既にシリア再建と、何百万人もの国民の社会復帰と雇用に向けて、投資家を惹きつけ始めている。一国独力でシリアを再び軌道に乗せられる国はないが、中国は再建で役割を果たすのみならず、一帯一路構想と結びつけて、シリアを戦略的地域に転換するつもりなので、他国のシリアへの経済投資は、中国ほど大きな戦略的意味があるわけではない。既に中国は、中国の戦略的権益に役立ち、パキスタンのグワーダルとシリアのタルトゥース経由で、直接海路を構築できるタルトゥースでの港建設に深い関心を持っている。中国は、それゆえ、戦後シナリオで、シリアで何ができるか、そしてシリアのインフラ・ニーズを、いかに中国自身の戦略的機会に役立てられるかに気を配っている。

 最近終了しした第60回ダマスカス国際貿易見本市で、中国はシリア再建を目指しているのみならず、シリア経済構築に直接寄与するようなベンチャーにも投資することを強調して、中国は傑出していた。中国の計画には、ホムス県での製鉄所や自動車製造施設が含まれており、つまり中国は、単なる戦後再建以上のことをするつもりなのだ。約200の中国企業がこの見本市に参加しており、そのうち何社かは、中国ブランドの自動車をシリアで製造開始するためMallouk & Coなどのシリア企業と成約した。参加していた企業の大半が国営企業だという事実から、中国政府が、既にシリア・プロジェクトを立ち上げており、それをさらに拡大することを狙っているのは明らかだ。

 この貿易見本市が開催される前でさえ、中国は駐シリア中国大使が書いた書簡を通して、意図を明らかにしている。書簡は、包括的な鉄道網や他の金融やインフラ・プロジェクトを策定することで、中国がいかに、シリアを一帯一路構想と結びつけることを狙っているかを明らかにしている。それが具体的にどのように実現するかは、これからを見ないとわからないが、我々にこれまで分かっていることは、中国の計画には、シリア経由で他の地域へのより広範な接続が含まれている。一つのパイプライン・プロジェクトだけでも、中国の取り組みのうき彫りにするのに十分だ。

 これによると、中国はタルトゥース港に関心があり、中国にとっての代替案として、現在検討中なのが、レバノンの都市トリポリに港を建設し、新たな貿易地図を構築し、商品品や資源をシリアに輸入したり、シリアから輸出したりするのに、レバノンとシリアと接続する鉄道網を通して、港を利用することだ。

 それに加え、中国はイランとトルコとシリアを接続するシリア横断鉄道網建設への関心も表明している。パキスタンとイランには直接の国境があり、中国はパキスタンには既に根深い経済的存在があり、この鉄道網は中国がシリアとの直接の領土的つながりを構築するのを可能にする。

 大使の書簡が触れている協力のもう一つの重要な側面は、安全保障協力、つまり軍対軍の協力、武器と兵器システムとシリア軍への訓練の提供だ。

 安全保障分野での協力は、二つの重要な点で中国権益に役立つ。第一に、中国はシリアに莫大な投資をする用意があるので、理想的には、この投資に対し、シリアが十分安全であって欲しいはずだ。そこで並行する安全保障協力というわけだ。第二に、軍事協力を拡大することによって、中国は経済権益の面倒をしっかり見るために、シリア国内の安全保障問題で直接の発言権を持ち続けるようしたいはずなのだ。

 中国大使が書いた書簡中、テロ対策分野の拡張を明らかに強調していることは、直接的な軍同士の協力という点で、シリア内での直接の中国軍配備、あるいは、そこまでゆかないにせよ、将来何が起き得るかについて多くを物語っている。シリア国内の中国人過激派戦士の存在が報じられているので、これは中国が深い関心を持っている分野の一つだ。

 こうしたこと全ての上に、中国には、意欲的なプロジェクト立ち上げを待っているシリアの熱心な支配層エリートがいる事実がある。こうしたプロジェクトがシリア再建に役立ち、シリアの衰えた経済状況を改善するのを手助けするのみならず、中国投資の増加と、中国の存在が、シリア政権の国際的正統性を強めることにもなるため、シリアは、こうしたプロジェクトで、中国を大いに期待している。

 中国の存在は、アメリカと、その同盟諸国にとって、状況を複雑にするだろうが、シリア政権が、戦争直後の経済崩壊やその後のシリア内外からの圧力を避けるのを直接助けることになる。

 だが中国権益は、規模と地政学的可能性の両方で、シリアのそれを上回っているように思われる。中国にとって、シリア国内での強力な存在感と、トルコやイランやパキスタンを通してのシリアの中国本土との直接的な領土的つながりが、中国が中東において極めて独自な立場にある地政学的当事国となることを可能にし、他の確固たる地位にある当事者や、国連の多くの古株連中に対して、優位にたてるようにするのだ。

 サルマン・ラフィ・シェイフは国際関係とパキスタンの外交と内政の評論家、オンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/10/10/china-aims-to-convert-syria-into-a-strategic-territory/

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 新潟市長選挙、一体どういう結果になるのだろう?

 昨日は、IWJ岩上安身による高橋和夫・放送大学名誉教授インタビューを拝聴。

 日刊IWJガイドによると、今日は田代秀敏氏インタビュー 第2弾!。

【IWJ_Youtube Live】14:30~「中国経済は『日本人の想像を完全に超えたスケール』で急速に成長している!! マスメディアが伝えない中国の本当の姿! 岩上安身による中国通エコノミスト・田代秀敏氏インタビュー 第2弾」
YouTube視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867
ツイキャス視聴URL(冒頭のみ): https://twitcasting.tv/iwakamiyasumi

2018年10月27日 (土)

悪の勝利

2018年10月24日
Paul Craig Roberts

 在トルコ・サウジアラビア領事館内でのジャマル・カショギ殺害は、その無謀さの点で前代未聞だ。サウジアラビアが、イエメン国民絶滅に使っている兵器を、更にサウジアラビアに売り込むのが、ワシントンやカナダの政権の対応だ。もし私が見た報道が偽ニュースでなければ、サウジアラビアにS-400防空システムを売るというのが、ロシアの対応だ。https://on.rt.com/8pd0

 これから我々が出せる結論は、兵器商売の利益が、殺害や大量虐殺より優先しているということだ。

 イエメンでは大虐殺が進行中だ。サウジアラビアがイエメンのインフラを破壊したことで引き起こされた飢えとコレラの流行で、イエメン国民が死につつあるという報道を、今日NPRで聞いた。報告していた援助活動家は明らかに誠実で、怒っていたが、高い死亡率を、ワシントンが支援している戦争と結びつけることができず、代わりに、大半のイエメン人に手が届かないほど食料価格を上昇させたイエメン通貨の20%切り下げを非難していた。この危機の解決策は、通貨を安定させることだと彼女は言ったのだ!

 イランやシリアやベネズエラや北朝鮮や中国やロシアを、欧米マスコミや欧米政治家が一体なぜ、これほど悪魔化するのかを理解するのは困難だ。悪魔のように描かれているこれらの国々が、自国民を領事館内で殺害し、侵略戦争(ニュルンベルク基準の下では戦争犯罪だ)を行い、爆撃されつつある国民に対する食糧や医療用品を禁輸しているわけではない。これらの犯罪はサウジアラビアやイスラエルやアメリカ合州国や、そのNATO属国諸国がおこなっているのだ。

 明らかに、パレスチナ人同様、イエメン人は重要ではないのだ。彼らを虐殺しても、欧米では道徳問題が広がることはないのだ。

 ワシントン兵器の顧客に割り込んで、プーチンはワシントンに、しっぺ返しをしているのかも知れないが、サウジアラビアにS-400を売るという決定は戦略的大失策だ。サウジアラビアは、シリアを守るため、ロシア人の命や財産が費やされている対シリア戦争のスポンサーだ。しかもサウジアラビアはイランの敵だ。イランはシリア防衛上、ロシアの同盟国で、ロシアの安定にとって、その安定が必要不可欠な国なのだ。おそらく、より重要なのは、サウジアラビアがS-400を入手した瞬間、連中はそれをワシントンに引き渡し、専門家が、一体どうやって、それを打ち負かすかを考え出し、ロシアの兵器投資や優位性を無効にするはずなことだ。サウジアラビアにS-400を売るという決定は、プーチンと、その政府は間抜けで容易につけこむことができる世間知らずだとワシントンに確信させたのだ。

 S-400販売で最悪な点は、残虐で常に恫喝的な欧米に対して、ロシアが勝ち得たプーチンの道徳的優位性を消し去ってしまうことだと私は思う。ロシア政府が公言している法の支配と道徳的行為の尊重より利益を、ロシアが優先しているのが現実だ。

 より不道徳で無責任な進展は、トランプ大統領による中距離核戦力全廃条約からの脱退だ。トランプのシオニスト・ネオコン国家安全保障問題担当補佐官が、この脱退を画策する唯一の理由はロシアを恫喝するためだ。中距離ミサイルはアメリカには到達できない。ロシア・ミサイルはヨーロッパには到達可能で、ロシア国境のヨーロッパに設置されたアメリカ・ミサイルはロシアに対する警告時間無しで、防衛不能な先制核攻撃ができる。

 ヨーロッパをイラン・ミサイル攻撃から守る狙いという口実のもとで、弾道弾迎撃ミサイル・サイトをポーランドとルーマニアにワシントンが設置した結果について、プーチン大統領は長年、苦情を言い、警告してきた。これらのミサイル・サイトは、容易に、誰にも知られずに、対ロシア核巡航ミサイル攻撃拠点に転換できることをプーチンは再三指摘している。ところが、狂ったアメリカ国家安全保障問題担当補佐官は、理不尽にも、条約に違反し、だましても、何も得るところがないのはロシアだと主張している。

 ヨーロッパは、ワシントンのための発射基地を除けば、ロシアにとっての軍事的脅威には決してなり得ない。ロシアに対するワシントンの攻撃がなければ、ヨーロッパは決してロシアの脅威に直面することはないのだ。

 レーガン大統領がゴルバチョフと中距離核戦力全廃条約の交渉をした理由は、アメリカが脅威だというソ連の認識を緩和するためだった。レーガンは冷戦終結と核軍縮を望んでいた。レーガンは核兵器を憎悪していた。レーガンが大統領だった時代、多少知性のある人々は、もはや誰も赤軍がヨーロッパを侵略するつもりだと思ってはいなかった。問題は別のことだった。問題は、使用された場合、決して戦争には勝てずに、地球上の生命を破壊することが可能な核兵器の処分だった。レーガンは完全にこれを理解していた。

 不幸なことに、ワシントンでは、この理解が失われている。

 もし中距離核戦力全廃条約が破棄されれば、こうした基地がロシアが防衛不可能な核兵器先制攻撃をしかねないので、ロシア国境付近のいかなるミサイル基地も、ロシアが我慢することは不可能になる。こうした基地を受け入れるほど十分愚かなヨーロッパ諸国はロシア軍と一触即発状態になるはずだ。一つの間違った警告信号で核戦争が始まるのだ。

 ロシアとの関係を正常化するトランプの狙いは、ジョン・ブレナンCIA長官、ジェームズ・コミーFBI長官、ロッド・ローゼンスタイン司法副長官、軍安保複合体、イスラエル・ロビー、民主党、リベラル/進歩派/左翼、CNN、MSNBC、ニューヨーク・タイムズ、フォックス・ニューズ、BBC、ワシントン・ポストなどの売女マスコミによって潰された。

 アメリカ支配体制が白々しいウソを絶え間なくついているおかげで我々全員死ぬのだ。

 サウジアラビアの犯罪を受容していることや、ワシントンの中距離核戦力全廃条約脱退に対する欧米無関心から、道徳は物的利益の二の次になっていると結論することができる。悪が善に対する優位を確立してしまったので、この強欲と無法さがエスカレートし、彼らによる、真実や人間や地球上の生命の破壊という結果になるという結論も出せる。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/10/24/the-triumph-of-evil/

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 植草一秀の『知られざる真実』
2018年10月26日 (金)の記事は『日本が売られる』全面展開安倍所信表明演説

 昨日の大本営広報部、中国訪問について、一帯一路構想に屈したのか、いなかの類を言っていた。女性怪説者が出るなり、音声を消した。ともあれ

 『街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋』 の2018年10月25日記事、
「ついに文春も取り上げた  TAG(日米FTA)の毒薬条項=「非市場国」条項」を拝読することなしに、中国訪問の背景、理解できないのではあるまいか?

中国国内でのテロをあおるアメリカ

2018年10月24日
Tony Cartalucci
New Eastern Outlook

 欧米の人権商売屋が、またもや動員されている。今回は、主に中国北西部の新疆省に集中している中国の少数派民族ウイグル族を支持するという建前で。

 最大100万人、大半はウイグル人が、欧米が“捕虜収容所”だと主張する場所に拘留されているという主張の見出しや記事が発表されている。他の人々が指摘している通り何の証拠も提示されておらず、ヒューマン・ライツ・ウォッチやアムネスティー・インターナショナルなどの団体や、世界ウイグル会議のようなウイグル人組織は、信憑性に欠けており、欧米既得権益の狙いを推進するため、人権擁護の口実を利用していることが再三暴露されているので、独自にこれらの主張を検証するのは不可能だ。

 “中国ウイグル人: 100万人が政治収容所に拘留されていると国連が語る”のようなBBC記事はこう主張している(強調は筆者):

アムネスティー・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチを含む人権団体が、収監者が、中国の習近平主席への忠誠を誓わされる収容所に大量投獄されているという主張を証明する報告書を国連委員会に提出した。

世界ウイグル会議は、その報告書で、収監者は罪状も無しに無期限拘留され、共産党スローガンを叫ぶよう強いられていると述べている。

 BBC記事のどこにも、こうした主張を裏付ける証拠は提示されていない。世界ウイグル会議のような団体が全米民主主義基金(NED)経由で、アメリカ国務省から資金を提供されていることや、ワシントン D.C.に事務所を構えていることにもBBCは触れ損ねている。NEDは特に世界中での政治干渉を専門にするアメリカのフロント組織で、南米や東ヨーロッパからアフリカや全アジアまで、至る所でのアメリカが支援する政権転覆で役割を演じている。

 中国が認めていること

 “中国は新疆の‘再教育収容所’を認めるよう法律を改定”と題するサウス・チャイナ・モーニング・ポストの記事によれば、中国は実際に教育・職業訓練センターを維持している。記事はこう主張している。

中国西端の新疆省は、地方自治体が過激主義で感化された人々を “再教育収容所”として知られている収容施設のネットワークを表現するのに政府が使う言葉である、“職業訓練センター”で “教育し、変える”ことを可能にするよう法律を改定した。

 記事はBBCや他の欧米マスコミを反映してこうも主張している。

火曜日に発効する法改正は、新疆ウイグル自治区の秘密的な収容所についての世界的な抗議のさなかに行われる。

だが観測筋は、施設を法律に書き込んでも、最大100万人のウイグル人や地域の他のイスラム教徒に対する中国の組織的拘留と政治教育実施に対する世界的な批判への対処ではないと言っている。

 繰り返すが“100万”という数は決して証拠で検証されておらず、この記事も似た他の欧米マスコミも、中国のウイグル族が、世界中でも中国内でも、代理戦争を闘うため、戦士を過激化させ徴募する外国による取り組みの標的である事実に注意を払っていない。

 中国国内でも外国でも、過激化したウイグル人戦士によって実行された組織的なテロについてのいかなる言及もない。この情報は意図的に何度もomitted、手に負えない過激主義に対決し、封じ込める中国の取り組みは、簡単に“抑圧的”として描かれる。

 ウイグル・テロは現実であり、欧米マスコミ自身がそう言っている

 中国国内で、ウイグル戦士は連続テロ攻撃を実行している。これには、2014年の、約100人が死亡し、更に数百人が負傷した一連の攻撃が含まれる。2014年の“新疆攻撃で少なくとも15人死亡”と題するガーディアン記事は、こう認めている。

中国西部の地域新疆での攻撃で15人が死亡し、14人が負傷。

政府公式の新華社通信攻撃は金曜日にシャチェ郡の“食料品街”で行われたと述べ、7月の一連の攻撃で、59人の襲撃者を含む96人が死亡したと述べている。

 ウイグルとつながるテロリストが、主に中国人観光客を狙い、20人が死亡した2015年のバンコク爆発の犯人だと、外国では信じられている。爆発は、容疑者は更にトルコへ向かう旅を許可されるべきだというアメリカの要求に逆らって、ウイグル人テロ容疑者を、裁判を受けさせるため中国に送還するというバンコクの決定後に起きた。

 トルコで、彼らは国境を越えて、シリア入りし、そこで訓練を受け、武器を与えられ、ダマスカスと、その同盟諸国に対する欧米の代理戦争で、アルカイダや、いわゆる 「イスラム国」 (ISIS)を含むテロリストに加わっている。

 APの“AP独占:シリアで闘うウイグル人は中国が狙い”という記事はこう認めている。

2013年以来、西中国でチュルク語を話すイスラム教の少数派の何千人ものウイグル人がシリアにきて、ウイグル過激派集団トルキスタン・イスラム党で訓練し、アル-カイダと共に戦い、いくつかの戦闘で主要な役割を演じている。6年にわたる紛争が終盤に近づく中シリアのバッシャール・アサド大統領の軍隊が、今ウイグル戦士と衝突している。

だがシリアの戦争の終わりは、中国最悪の恐怖の始まりかも知れない。

 記事は、ウイグル人がトルコ領土内を通過し、シリアに移動するのを手助けする上でのトルコ政府の関与を暗示している。別のAP記事は、最大5,000人のウイグル・テロリストは、現在シリアの、主としてトルコ国境に近い北部にいると主張している。

 北京ではなく、欧米マスコミが、中国の新疆省には過激派とテロの問題があることを認めている。北京ではなく、欧米マスコミが、ウイグル過激派が、徴募され、シリアに移動し、シリア国内で、欧米代理戦争を闘うべく資金を供与され、武器を与えられていることを認めている。しかも、北京ではなく、欧米マスコミが、戦闘で鍛えられたウイグル・テロリストが中国に帰国し、そこで暴力行為を実行することを狙っているのを認めている。

 だから、北京が - 国家安全保障の問題として - 新疆の過激主義と対決しなければならないのは明らかだ。過激主義が現地に根付いているのは明白で、中国には、彼らと対決し、封じ込め、打ち勝つ権利と義務があることも明らかだ。ウイグルの好戦性を生み出す上で、欧米と、その同盟者が中心的役割を演じているのも明らかで - 見せ掛けの人権の懸念を通して - この好戦性と対決する北京の取り組みを台無しにすることを狙っている。

 ウイグル分離主義と好戦性を支持するアメリカ

 アメリカ全米民主主義基金自身のウェブサイトが、中国至る所での介入を認め、破壊する必要性を感じている 本土香港チベット新疆/東トルキスタンを含むいくつかの地域の中国標的に、広範囲に実行している。

 “東トルキスタン”というのは、ウイグル人過激派や分離主義者による新疆の呼び方なのを理解することが重要だ。北京は、この名称を認めていない。NEDは“東トルキスタン”という言葉を認めることで、アメリカは、ウクライナのドンバスやロシアのクリミアなどにおける分離主義や併合とされるものを非難しながら、西中国での分離主義を支持していることを暗に認めている。

 しかも、そう暗に認めるどころか、中国新疆省を、もっぱら“東トルキスタン”と呼び、 新疆の中国政権を“中国の東トルキスタン占領”と呼ぶ世界ウイグル会議(WUC)に、アメリカNEDの資金が明らかに提供されている。WUCウェブサイトの“論説:ラビア・カーディルのプロフィール、恐れ知らずのウイグル独立運動活動家”などの記事は、WUC指導者のラビア・カーディルが中国からの“ウイグル独立”を求めていることを認めている。

 上記のBBC記事で明らかなように“100万人の”ウイグル人が“捕虜収容所”に入れられているという主張に関して、欧米マスコミやヒューマン・ライツ・ウォッチやアムネスティー・インターナショナルなどの似非人権擁護団体が繰り返し引用しているのは、WUCや、他のワシントンに本拠を置くウイグル・フロント組織だ。

 中国が新疆で、国家が支援するウイグル・テロリストが配備され、闘っている世界の至る所でも直面している、まさに現実のテロリスト問題を無視し、過激主義と対決する中国の作戦を“鎮圧”と表現することで、欧米は新疆での暴力的衝突を更にあおり、人命を守るのではなく、危険に曝すことを狙っているのだ。

 ウイグル・テロリストが外国の戦場に送られる途上に位置するバンコクのような北京寄りの政府は、容疑者たちを、裁判を受けさせるべく、中国に送還している。アメリカが支援する野党が最近権力の座についたマレーシアのような国では、ウイグル・テロ容疑者は、更にトルコへと向かうことが許されている。

 アル・ジャジーラの最近の記事“マレーシア、中国の要求を無視し; 11人のウイグル人を解放”はこう報じている。

昨年タイの監獄から脱走し、国境を越えた後、拘留されていた11人のウイグル人を、中国に送還されるべきだという北京の要求にもかかわらず、マレーシアは解放した。

検事は人道的理由で、この集団に対する不法入国を不起訴にし、彼らのファーミ・モイン弁護士によれば、火曜日、彼らはクアラルンプールからトルコに飛び立った。

 アル・ジャジーラも、しっかりこう書いている。

この決定は、西部の地域新疆で、少数派ウイグル族を弾圧したと非難されている中国との緊張を更に高める可能性がある。5月の驚くべき選挙勝利後、首相に復帰して以来、マハティール・モハマドは既に、中国の企業が獲得していた200億ドル以上のプロジェクトをキャンセルしている。

 これで、アジアにおける、あるいはもっと広範な意味で、世界的影響力を巡るワシントンの北京との戦いにおいて、ウイグル過激派が中心的要素となっていることは極めて明白だ。地政学専門家F. William Engdahlは最近の記事『中国のウィグル問題 - 言及されない側面』(英語原文はこちら)でこう結論づけている。

中国に対する貿易戦争や、新疆内のウィグル人収容所とされるものを巡る経済制裁の恫喝や、もし中国がロシアの防衛装備を購入したら経済制裁するという恫喝などのエスカレーション、こうしたこと全て、ワシントンのグローバル秩序に対して出現しつつある唯一の脅威を、自由や正義ではなく、恐怖や暴政に基づいて、破壊するのを狙ったものだ。この全面攻撃に、中国当局が一体どのように対処しようとしているのかは、また別の問題だ。とは言え、新疆での出来事の文脈は、明らかにされる必要がある。欧米、特にワシントンは、中国の安定性に対する全面的非正規戦争を行っているのだ。

  NATOが率いる空での軍事作戦と地上でテロリストが率いる部隊によって国が分割され破壊されたリビアから、北部のイドリブ県に追い詰められているアルカイダや、その系列組織を、アメリカがほとんど公然と支援し、ほう助しているシリアや、別のAP調査で、アメリカと、その同盟諸国がアルカイダ戦士と、欧米とペルシャ湾岸諸国の地上戦闘能力を補強する協定を結んでいたことが明らかにされたイエメンまで、至る所で、アメリカが既に、テロを地政学的手段として公然と用いているのだから、この結論に反論するのは困難だ。

 欧米による中国非難の全体の文脈を理解し、テロリストを保護し、中国国内での闘争をあおるのを狙うプロパガンダに関与しているマスコミや、ヒューマン・ライツ・ウォッチやアムネスティー・インターナショナルなどの非政府組織(NGO)とされるものや他の組織に留意することが重要だ。

 この同じマスコミ集団と似非NGOは、中国周辺沿い、東南アジア、南アジアや中央アジアのみならず、ロシアやイランなどの国々の中も国境沿いも至る所に出現するだろう。

 こうした欧米地政学の取り巻き連中や、自分たちの集団的企みの指揮をとっている欧米大企業-金融業者権益集団そのものを暴露し、対決することが、彼らが持っている危険な影響力や、イラクやアフガニスタンやイエメンやリビアやシリアなどで連中が既に使い、これからも使おうと狙っているあらゆる暴力や紛争や分裂や破壊を減らすための鍵だ。

 Tony Cartalucciは、バンコクに本拠を置く地政学専門家、著者で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/10/24/us-fueling-terrorism-in-china/

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 26日夕方、「自由インド太平洋連盟」なる組織のお披露目で、このラビア・カーディルと、その組織の話題が放送された。もちろん、イスラム・テロについては一切触れていない。

 先日の【緊急集会】「明治150年礼賛式典」徹底批判!で、孫崎享氏が「サムライ」とはなんですかと問うたのが記憶に強く残っている。今日の孫崎享氏の下記メルマガ題名は、その発言の典拠?

明治維新とは何だったか。米国政治学教授アイゼンシュタット、新しい指導者層の「サムライ化」。新倫理の中心部分は、た忠誠の観念を一層強調し、儒教的用語で再構築、愛国心や法の遵守を付加。新指導者層の「サムライ化」を強力に推進することが、時代の流れ

 日刊IWJガイド見出しになっているインタビューを拝聴予定。

【IWJ_Youtube Live】16:30~「ジャマル・カショギ氏殺害事件、安田純平さん解放で注目を集める中東情勢!ジャーナリストの命運から変転極まる国際情勢に迫る!~岩上安身による放送大学 高橋 和夫名誉教授インタビュー」
YouTube視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867
ツイキャス視聴URL(冒頭のみ): https://twitcasting.tv/iwakamiyasumi

2018年10月26日 (金)

欧米は敗北しつつあるが、中国とロシアへの欧米による文字通り‘左と右’の攻撃もそうだ

2018年10月14日
Andre Vltchek
New Eastern Outlook

 欧米による反中国プロパガンダの狂気とあくどさは、私の何人かの中国人友人を深夜、泣かせたものだった。だが事態は変わりつつある。中国(と、もちろんロシア)について、アメリカとヨーロッパで言われたり、書かれたりすることの狂気のさたは、今や負け惜しみを言う連中の欲求不満と不作法な振る舞いを反映しているのは明らかだ。これほど猛烈に凶悪でさえなかったら、人は欧米帝国をほとんど哀れみたくなるかも知れない。

 帝国宣伝屋連中は誰も哀れまない - 連中はいかなる一貫した計画も無しに、今や狂人のように撃ちまくっている。

 様々な欧米‘専門家’やジャーナリスト連中は、実際、一番基本的なことで合意できていない。‘中国で、本当にまずいことは何か’。だが彼らは中国の巨大なタンスの中の新たな秘密に対しては、実にたっぷりもらえるので、常にお互いに競い、好奇心をそそる最も醜聞な話題を追い求めている。地球上で最も人口が多く、おまけに共産主義(もちろん‘中国の特徴を持った’)国では、完全にあらゆることに欠陥がある!と考えるのが引き合うように見えることが多い

 中国は2020年までには極貧を無くすだろうが、ベルリンやパリやロンドンやワシントンからの拍手喝采を期待してはならない。中国は、いわゆる‘環境に配慮する文明’構築の上で、地球上の全ての大国より遥かに先んじているが一体誰が進んで注意を払うだろう? 中国は世界最大の公園や板張り遊歩道や運動場を建設しているが、一体誰が気にかけるだろう? 中国政府は徹底的な教育改革を実施し、国中をコンサート・ホールや博物館や劇場だらけにしている。だが明らかに、それは触れるに値しないのだ!

 欧米の宣伝屋は文字通り‘左からも右からも’中国の信用を傷つけようとして時に余りに共産主義的だと非難するが、適切な場合‘十分共産主義的ではない’とさえ非難する。

 ニューヨーク・タイムズは、2018年10月5日、“中国指導部にとっての思いも寄らぬ敵: マルクス主義者”というカバーストーリーを掲載した。この極めて皮肉な記事のため、記者は中国の都市恵州を訪問し、そこで、物事を毛沢東時代当時と同じようにすることを要求している熱心すぎる若いマルクス主義者集団について書いている。

    “だが、恵州の活動家たちは、当局が予想しなかった脅威になっている。”

 本気だろうか? 脅威? 中国は、現在の指導部のもと、共産主義に向かって進んでいる。私は民主的、社会的志向の共産主義のことを言っているのだ。だが正式なアメリカ新聞とは議論するまい。同紙は決して共産主義寄りの刊行物ではないが、中国政府はもはや、それほど赤ではないことを示唆して、読者に疑念を広めるためだけに、ごく少数の熱心すぎる‘反政府派’マルクス主義者に多少共感を示したのだ(カバーストーリーを掲載して!)。

 翌日(2018年10月6-7日、土-日版)同じニューヨーク・タイムズは、中国に関する二つのカバーストーリーを掲載した。一つは、いつもの反中国、反ロシア陰謀説に沿ったもので“中国はアメリカ中間選挙でハッキングするだろうか?”、だが、もう一つは、基本的に前日のものと矛盾する、今回は民間企業の活動を制限するかどで、北京を非難するものだ。“北京は企業を押し返しつつある”で、副題は下記だ。

    “経済を作り上げた私企業の形成が不利になる中、政府は力を誇示。”

‘何であれ中国を傷つけることができるものは書け’というのが、何千人ものヨーロッパと北アメリカのジャーナリストの信条なのかも知れない。‘中国に関する、あるいは中国からのニュースは、ひどく、実際陰鬱で、否定的である限り何でも良いのだ!’

 共産主義的過ぎるか、全く共産主義的でない… 欧米に関する限り - 中国は決して正しく理解されることはないのだ! それは単にそれが中国で、アジアで、赤旗を振るためだ。

 つまりニューヨーク・タイムズは二つの全く矛盾する記事を掲載したのだ。編集上の失態だったのか、最大打撃を与えるべく‘左も右も’蹴飛ばす事前に仕組まれた企てか?

*

 もちろん、このプロパガンダの流れを‘安全な距離から’見ているのは面白い。(つまり: ‘それが言っていることを、一言も信じないで’)。だが起きていることは冗談ではない。行われつつあることは、実際致命的なものになりかねないのだ。これは、不意に、中国を本当に傷つける一連の出来事を引き起こしかねない。

 ‘爆発’は台湾や東南アジアや中華人民共和国本土でも起きかねない。

 ブラジルを、ベネズエラをご覧願いたい! こうしたカラー革命、雨傘革命、ヨーロッパから、アラブ諸国までの‘春’の全てをご覧願いたい。そして中国そのものをご覧願いたい。いわゆる天安門広場事件を一体誰が引き起こしたのか、誰が後援したのか? 今では、あれが何か自発的な学生反乱ではなかった明らかに十分な証拠がある。

 欧米は、フィリピンなどいくつかの国々を、率直に言って、真面目なフィリピン人歴史学者や政治学者のほぼ誰も(外国からたっぷり支払われていない限り)信じるはずがない様々な領土権の主張で、中国と対決すべきだと説得した。マニラで何人か最高の歴史学者や政治学者と直接話し、こうした領土権の主張の背後に、誰と何があるのかはっきり理解している。それについて以前書いたが、再度書くつもりだ。

 中国は外国からの危険な破壊活動を容認するには大きすぎる。指導部は十分承知している。中国が混乱すれば、何億人もの人々が苦しむのだ。中国の領土的一体性の確保は極めて重要だ。

*

 すると実際、中国は一体何なのだろう。要するに?

 中国は何千年もの偉大で、比較的平等主義的な歴史がある共産主義(読者は社会主義と呼ばれるかも知れない)国家だ。中国は混合経済だが、中央計画だ(政府が企業に、どうすべきかを命じるもので、その逆ではない)。国民のため、国民の利益のために働くということで言えば、中国は明らかに地球上で最も成功した国だ。中国は地球上で最も平和な巨大国家でもある。更に、二つより重要な点がある。中国は迫り来る生態学的大惨事から世界を救う最前線にいる。中国には植民地はなく、‘新’植民地もなく、本質的に‘国際主義’国家だ。

 中国の政治制度、経済、文化: 全てが、欧米のものとは正反対に違っている。

 この地球が、どのように統治されるべきか、どのように前進すべきか、本当の民主主義(人々による支配)とは一体何かについて、中国には何百万もの言い分がある。

 本当のところ、世界中で‘世論’を作り出す欧米主流マスコミは、多くの中国(中華人民共和国)人愛国者、共産主義者、思想家を、テレビ画面に登場させたり、論説を書かせたりしているだろうか?

 我々は答えを知っている。ほぼ独占的に(欧米支配者連中により)‘中国は一体何であり、何でないのかを定義する’とてつもない課題を委任された欧米人だ。そして、世界丸ごと、一体何であり、何でないのかを定義するのだ。

 もし中国が、それは‘中国的な特徴の社会主義だ’と言うと、彼らは完全なオックスフォード・アクセントで‘違う!’と言うのだ。地球上で、最も偉大な文明から、一体何が、実際そうなのか、そうでないのかを語る彼らの傲慢さ、彼らの大半が白人で、彼らが完全な英語を話すという事実ゆえに受け入れられている(逆説的なことに、少なくとも一部の世界では、それが依然、信頼性の御印籠だ)。

 欧米は中国人やロシア人が世界についてどう考えているかは決して聞こうとしない。一方、中国人とロシア人は欧米が彼らについて一体何を考えているかで、文字通り爆撃されている。

 中国人さえもが‘文明化した欧米’のそのような‘偽予言者’に耳を傾けたものだった。今彼らは良く分かっている。ロシア人が良く分かっているのと同様。中南米で多くの人が良く分かっているのと同様。

 欧米プロパガンダと教理の広がりは、かつては中国とロシア人の頭(心ではなないにせよ)を獲得するための戦い、イデオロギーの戦闘のように見えたものだった。あるいは、少なくとも、多くの純朴な信じやすい人々にとっては、そう見えた。

 今や全てがずっと単純で‘誰でも見られる状態だ’。戦いは続いているが、前線とゴールは移動したのだ。どのように?

 近頃起きているのは、欧米帝国主義プラス・プロパガンダ対 中国とロシア国民が選んだ自分たちの生き方をするという決意との間の壮大な衝突だ。あるいは単純に言えばこうだ。片や欧米帝国主義と、片や‘中国とロシアの特徴を持った’民主主義との間で戦争が荒れ狂っているのだ。

 欧米は文字通り‘左も右も’中国とロシアを攻撃している。だが欧米は全く勝利していないのだ!

 アンドレ・ヴルチェクは哲学者、作家、映画制作者、調査ジャーナリスト。彼は、Vltchek’s World in Word and Imagesを制作しており、『Revolutionary Optimism, Western Nihilism』を含む多数の本の著者でもある。オンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/10/14/west-is-losing-and-so-it-is-bashing-china-and-russia-left-and-right-literally/

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 昼の白痴製造番組、ミスター東大ファイナリスト強制わいせつ事件を延々垂れ流す。一方、庶民を延々苦しめる条約を推進する売国政治家を非難することは決してない。大本営広報部は売国共犯。たとえば下記のような大問題には、一億総白痴製造団体の洗脳呆導番組は決して触れない。。

 ついに文春も取り上げた  TAG(日米FTA)の毒薬条項=「非市場国」条項

 とは言え、文中にある「環境に配慮する文明」と直結する話題、一昨日だか、大本営広報部が報じていた。中国の環境規制強化により2018年春から現地染料原料メーカーが相次ぎ操業停止となり、赤色の供給不足が長期化しているため、自動車のテールランプや、赤ペンがなくなるという。朱肉は染料ではなく、顔料なので、なくなることはないと。

 先日の【緊急集会】「明治150年礼賛式典」徹底批判!youtubeで見られる。中身は濃いが、時間もたっぷり。大本営広報部を見ている暇はない。

20181023 UPLAN【前半】【緊急集会】「明治150年礼賛式典」徹底批判!
再生時間:113:22

20181023 UPLAN【後半】【緊急集会】「明治150年礼賛式典」徹底批判!
再生時間:75:21

2018年10月25日 (木)

まるで西部劇: 待ち受ける決戦

2018年10月22日
Paul Craig Roberts

 レーガン大統領とソ連のゴルバチョフ大統領が1987年に実現させたレーガン大統領最後の核軍縮功績-中距離核戦力全廃条約をアメリカ軍安保複合体が処分するのに31年かかった。

 中距離核戦力全廃条約は、1988年5月27日に、アメリカ上院で批准され、数日後の6月1日に発効した。舞台裏で、私もこの件に多少関与したので、条約が実現したのは、ヨーロッパをソ連の短距離と中距離ミサイルによる攻撃から安全にし、ソ連をヨーロッパに配備されたアメリカの短距離と中距離核ミサイルによるアメリカの攻撃から安全にすることだったのを覚えている。核兵器を多少の警告時間があるICBMに限定することで、報復と、核兵器の不使用を保証する中距離核戦力全廃条約は、ロシアに対するアメリカ先制攻撃と、ヨーロッパに対するロシアの先制攻撃、警告時間がほとんどゼロに近い低空飛行する巡航ミサイルによって行われる攻撃のリスクを低減するものと見なされていた。

 レーガン大統領が、私をCIAを召喚する権限がある秘密の大統領委員会メンバーに任命した際、彼は秘密委員会メンバーに、狙いは冷戦を終わらせることであり、結果として、彼の言葉を借りれば“あのぞっとする核兵器は解体されることになる”と言った。レーガン大統領は、彼が首にし、起訴した狂ったネオコンと違い、地球上のあらゆる生命を破壊する核戦争は無意味だと考えていた。中距離核戦力全廃条約は、レーガンの頭の中では、軍の武器庫からの核兵器廃絶の手始めだった。中距離核戦力全廃条約は、アメリカ軍安保複合体の予算を大きくは脅かさず、実際にソ連軍の安全を高めるので、第一歩として選ばれたのだ。言い換えれば、それは、レーガンもゴルバチョフも、それぞれの軍の支配体制を説得できるものだったのだ。信頼感が増せば、核軍縮は更に進められるだろうとレーガンは期待していた。

 レーガン大統領の残された実績が破壊されてしまった今、トランプ政権がアメリカ軍安保複合体の利益に譲歩した結果は一体何なのだろう?

 色々があるが、良いことは一つもない。

 “更なるロシアの脅威”に対抗するため、益々乏しくなるアメリカの資源が、中距離ミサイル製造に流れ込み、アメリカ軍安保複合体の莫大な利益は増大する。共和党は社会保障やメディケアを削減して、費用を工面しようとするだろう。民主党なら違っていたかどうか私には確信がない。

 今やシオニスト・ネオコンに、ロシアに対する探知されない核巡航ミサイル先制攻撃によって、アメリカとイスラエルの覇権を再度確立する願望がよみがえったのだ。

 プーチン政権は、ロシアがアメリカ属国におとしめられていたエリツィン時代に、ワシントンとイスラエルが据えたアレクセイ・クドリンやユダヤ・ロビーや億万長者オリガルヒから更なる圧力を受けるだろう。こうしたロシアの裏切り者連中は非常に有力なため、プーチンは連中に我慢しなければならない。ネオコン化したワシントンは、経済や、インフラの必要性から、軍事支出にロシアの資源を向けさせるため、ロシア経済を傷つけられる可能性があるあらゆることを行っており、ワシントンに順応しようと求めて、ドイツやイギリスやフランスやヨーロッパの他の国々や、カナダやオーストラリアや日本と同様に、ロシアを属国状態に追いやる狙いで、ロシアに更なる圧力をかけるよう、クドリンやロシア・マスコミ内の欧米が支援する分子はワシントンに働きかけるだろう。

 とんでもない挑発に対するロシア政府のおとなしい対応ゆえに、アメリカや属国が、挑発しても、何の代償も負う必要がないため、更なる挑発を招き続けている。ロシア政府がクドリンのような裏切り者を許容していると、欧米国民をロシアが開かれた言論が自由な社会だと説得できない。逆に、欧米国民は、プーチンではなく、クドリンを信じてしまう。アメリカ人は、プーチンは、500億ドルを盗み取った悪漢で、世界で最も裕福な人間の一人だと思い込んでいる。私はこれを、昨日いとこから聞いた。欧米マスコミはロシアでの生活の正しい姿を決して報じない。欧米に対するロシア政府のけんか腰にならない対応と、自国政府内での反逆者の容認による唯一の功績は、ウクライナのロシア寄りの大統領や、ホンジュラスやブラジルやアルゼンチンの大統領と同様に、プーチンも打倒可能だと、ワシントンに確信させたことだ。

 二十世紀、アメリカ人というか、そのごく一部の敏感な人々は、カフカの『審判』やオーウェルの『1984年』やハックスレーの『素晴らしき新世界』などのディストピア小説に感化された。我々はこうした小説をソ連での生活と同一視し、征服され、そのような生活を強いられるのを恐れたのだ。サダム・フセインの“大量破壊兵器”と同様、“イラン核兵器”と同様、“アサドによる化学兵器使用”や、他の読者も例をあげることができるだろうもの同様、“ソ連の脅威”がでっちあげだと気づくまでには実に長い時間がかかった。

 世界の圧倒的大多数の人々は、一体何が起きているのか全く分かっていない。アメリカでは、住まいや、食べ物を得て、住宅ローンや、自動車ローンや、クレジット・カード支払い用のお金を稼ぐため、世界の大半では、飲料水と少々の食べ物のため、人々は、仕事を見つけたり、仕事につき続けたりしようとしている。彼らはストレスで疲れ切っているのだ。彼らには悪いニュースに立ち向かったり、何が起きているのかを考えるエネルギーはない。いたるところで、彼らは政府から見捨てられている。国民を代表する政府が存在している、ロシアや中国やイランやベネズエラ以外では。

 ロシアや中国やイランやベネズエラや北朝鮮においてさえも、欧米プロパガンダではなく、実際に自らを信じている政府はあるのだろうか?

 Paul Craig  Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクッリプス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/10/22/it-is-like-a-western-movie-a-showdown-is-in-the-making/
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 短期的に大企業だけ儲かるが、ありとあらゆるしわ寄せを、国民や自治体に永久に押しつける移民政策が導入される。大企業支配資本主義の本質丸出し。

 宗教、全く疎いのだが、最近RTなどで、「正教会の分裂」にまつわる記事が目立つのには気がついている。ウクライナをめぐってのコンスタンチノープルとモスクワの分裂。

Orthodox Christianity bordering on a 'Great Schism,' but crisis can be resolved ? Russian Church

Recognizing Ukrainian Church would bring schism to Orthodox Christianity ? Moscow

Orthodox Church split fuels Russia-Ukraine tension

 日本語記事では、たとえば下記がある。

ウクライナ正教会“独立”へ 露経済紙「キエフ奪った」 トルコ紙「露の主張に打撃」

 ロシアの宗教、無知にも、正教は一つだけと思っていたが、さにあらず。下斗米伸夫教授の昨年の本『神と革命: ロシア革命の知られざる真実』を読み終えた。ロシア革命でも、ソ連政治でも、古儀式派を背景とする人物が多いのだという。

 素人のいい加減な理解は、おおよそこういう感じ。

 ソ連共産党の名称にあるソビエトという概念自体が、ギリシャ正教でも、主流ではない古儀式派のものだという。古儀式派は正統と認められず、国家から虐げられた。織物企業の大物は古儀式派が多い地域(イワノボ・ボズネセンスク)出身者で、そうした大企業で働く労働者も多かった。ロシア革命では、古儀式派の背景を持った多くの労働者が指導者にもなった。
ソ連経済が困難な時期に、共産党が、教会の資産を没収するのに反対して多数の古儀式派信者が犠牲になった。抵抗するものを銃撃してよいと、許可した幹部には、スターリンのみならず、レーニンもいた。この事実が、グラスノスチで、1990年に公開された文書で、判明して、レーニン神話も崩壊し、ソ連滅亡を早めたのだという。

 レーニンは病に倒れた後、古儀式派の著名な繊維王サッヴァ・モロゾフ未亡人の館にとどまった。そこで料理番をしていたのがプーチン大統領の祖父スピリドン・プーチンだった。

 下記記事やご著書をお読み願いたい。

2018年10月24日 (水)

サウジアラビアはカショギ殺害を認め薄弱な隠蔽説明

2018年10月20日
The Moon of Alabama

 サウジアラビアのサルマーン国王は、息子のムハンマド・ビン・サルマーンを皇太子の地位に留め置くと言われている。皇太子MbSは、イスタンブールのサウジアラビア領事館内で、ジャマル・カショギの殺害を命じたと広く憶測されている。サウジアラビアは、現在カショギが殺害されたことを認めた。皇太子の二人の取り巻きが捨て駒として挙げられている。

 
サウジアラビア国旗 - 旧式

 カショギは生きて領事館から出て行ったと17日間も主張した後、サウジアラビアは彼がそこで殺害されたことを認めた。しかし一体何が起きたかについてはウソをつき続けている。

サウジアラビアの首都リヤドで、土曜朝早く発表された声明で、サウジアラビアは、カショギと会うために、サウジアラビアに“彼が帰国する可能性の様子があったので、領事館まで出かけた何人かの匿名の“容疑者”がいると主張した。

“そこでおこなわれた議論は .. 想定通りには行かず、まずい方向に進み”声明は続き、“喧嘩と言い争い”と“乱闘”となり、カショギの死という結果になった。匿名の容疑者がそこで“起きたことを隠して蓋をしよう”とした。サウジアラビア政府は詳細を説明せずに、そう主張した。

 "帰国するよう丁寧に要求すべくわが国が派遣した15人とカショギは取っ組み合いの喧嘩を始めた。不幸な事に、彼はつまずきいて、チェーンソーの上に転び、首を斬った。"

 皇太子本人はこれについてもちろん何も知らないとサウジアラビア筋は主張している

“彼らには、彼を殺害しろ、あるいは具体的に拉致しろという命令さえなかった”と匿名を条件に情報源は語り、王国を批判する連中は国に連れ帰れという継続的な命令が存在するとも言った。

“MbSはこの具体的作戦は全く知らず、誰の拉致も殺害も命じていないのは確実だ。彼は国民に帰国するように言う基本的な指示については承知しているはずだ”と、この情報源はムハンマド・ビン・サルマーン皇太子のイニシャルを使って語った。

“現地協力者”に引き渡された後、カショギの遺体の行方は不明だが、領事館には、痕跡は無かったと情報源は語った。

 だが - 遺体が領事館にあるとは誰も言ってはいない。トルコ警察が捜索を許されていない別の建物である領事住居にあると疑われている。どこに埋葬されたのだろう?

 サウジアラビア皇太子の二人の顧問が身代わりとして名前が挙げられている。彼らは寛大に補償されるだろう。一人は皇太子宮廷のスティーブン・バノンにあたる彼のメディア顧問、サウド・アル・カータニだ。

SaadAbedine @SaadAbedine -  2018年10月19日 21:30 utc
#MBSの極めて有力な宮廷顧問サウド・アル・カータニは@Jカショギ殺害を巡って追放されたことで、まるでアカデミー賞受賞スピーチのような2つのツイートで対応した。“#サウジアラビア国王と皇太子に心からの感謝を申し上げます"

 飛ばされたもう一人の人物は諜報機関副長官アフマド・アシリ少将だ。金曜日のニューヨーク・タイムズ記事は既に身代わりになる可能性が高いとして彼の名前を挙げた

 あまり重要でない犠牲者も多少いる。

サウジアラビア政府は、18人の匿名の人物を拘留し、事件への関与を疑われている二人の高官を解雇したと発表した。
    ...
サウジアラビア政府は、ムハンマドが監督する捜査が完全に終わるには一カ月かかるだろうと述べた。

ムハンマドは、ムハンマドがこの事件に何の関係もないことを見出すことになろう。彼は本当に、これを逃げきれると思っているのだろうか? トルコのエルドアン大統領に多くがかかっている。アブハリル教授は、話がついたのだと憶測している。

asad abukhalil ?أسعد أبو خليل @asadabukhalil  - 2018年10月20日 4:21 utc
突如、驚くなかれ、サウジアラビア・マスコミに、トルコに対する紛れもなく前向きな調子が現れた。話がまとまったのだ。

 だが、これはまだ確実ではなく、エルドアンらしくない。彼はできるだけ、しつこく交渉し、良い条件を引き出すことを好んでいる。数日のうちに、確実なことがわかるだろう。申し出された取り引きが不十分であれば、トルコ側からの漏洩が再開するだろう。サウジアラビアとアメリカは、彼に一体何を進んで差し出すつもりだろう?

 アメリカの姿勢が、サウジアラビアに彼らの説明を変えさせたのだ。木曜日 トランプの事件に対する調子が変わった。彼はそれまで何かが起きたとは思っていないと公式に言っていた。トルコとサウジアラビアから帰ったばかりのポンペオ国務長官と会った後、トランプは、カショギは実際殺害されたと思うと語った。トルコは、殺害の音声録音を、ポンペオか、誰か彼の側近に聞かせたに違いない。ポストは報じている

事件に詳しい人物によれば、ジャーナリストがサウジアラビア工作員チームにより領事館内で殺害され、バラバラにされたことを証明するとトルコ当局が言う音声録音をCIA当局が聞いている。録音がもし本当とわかれば、ホワイト・ハウスはカショギの死は事実上事故だったというサウジアラビア説明を受け入れるのが困難になる。

アメリカ'陰の政府' と、カショギがコラムを書いていたワシントン・ポストは現在、出されている隠蔽には満足するまい。彼らはMbS(と彼の友人ジャレッド・クシュナー)が退任するのを見たいのだ。シオニスト・ロビーとトランプ大統領は二人の留任を望んでいる。しかし国民と議会は、この話題を諦めないかも知れないのだ。

トランプの有力な同盟者、リンジー・グラハム共和党上院議員は、サウジアラビア当局の最新の自白を疑っていると述べた。

"カショギ氏に関する新たなサウジアラビア説明に私が懐疑的だという表現は控え目すぎる"と彼はツイートした。

民主党幹部のボブ・メネンデスは、上院外交委員会で、王国に対し "国際的圧力を維持する必要がある"と述べて経済制裁を要求した。

サウジアラビアは、もっと良い説明をする必要がある。今のものは十分ではない。今頃答えられているべき最も重要な疑問はこれだ。バラバラ死体は一体どこにあるのだろう?

公式説明をややしくすることにサウジアラビア寄りシンクタンク、アラブ財団トップで政府に近いと言われているアリ・シハビが、サウジアラビア人幹部情報源の言葉を引いて、殴り合いでなく、背後から首を絞める暴行でカショギは死んだとツイートした"。

しかしトルコは捜査の詳細をまだ明かしてはいないがものの、政府寄りのトルコ・マスコミは、カショギは、外交施設内で、サウジアラビア暗殺部隊により、拷問され、バラバラにされたと再三、主張している、。

"カショギに何が起きたのかを説明するためにサウジアラビアが次々繰り出す説明は信じたい気持ちをくじく" アメリカ合州国のライス大学ベーカー研究所研究員クリスチャン・アーリクセンがAFPに語った。

"特に、サウジアラビアは、何らかの形で決定的な答えが得られるはずの証拠の一つ、遺体をいまだに提出できない、あるいはしようとしていないのだから。"

 現在の進展がこの物語の終わりだとは思えない。

 MbSは傷物だ。彼は二度と'改革者'と見なされることはあるまい。欧米政治家や企業は、彼とのあらゆる関わり合いを避けるだろう。ムハンマド・ビン・サルマーンは近代化したサウジアラビアの国旗だったのかも知れない。だがサウジアラビア支配者の悪は依然丸見えだ。


サウジアラビア国旗 - 新版

2018年10月20日、04:31 AM投稿

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2018/10/saudis-admit-khashoggi-murder.html

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 文中にある国旗二種、もちろん実物と異なる。実物は、のこぎりではなく剣。

 エルドアン大統領発表があった。新証拠を出したわけではないが「責任を一部の治安、情報要員に負わせることについて、われわれや国際社会は納得しない」とのべている。

明治維新以後、この国は、吉田松陰の発想通り、侵略戦争を開始した。今日の孫崎享氏のメルマガは夏目漱石の『三四郎』を引用しておられる。漱石は正しかった。

山を見たことがないでしょう。今に見えるから御覧なさい。あれが日本一の名物だ。あれよりほかに自慢するものは何もない。ところがその富士山は天然自然に昔からあったものなんだからしかたがない。我々がこしらえたものじゃない」と言ってまたにやにや笑っている。三四郎は日露戦争以後こんな人間に出会うとは思いもよらなかった。どうも日本人じゃないような気がする。
「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、
「滅びるね」と言った。――熊本でこんなことを口に出せば、すぐなぐられる。悪くすると国賊取り扱いにされる。

 明治維新150年記念式典、全く興味はない。下記IWJ配信には大いに興味がある。

【録画配信・IWJ_Youtube Live】18:00~「緊急集会!『明治150年礼賛式典』を徹底批判!侵略の隠蔽と歴史の歪曲にNO!」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501

 10月23日、政府は今年明治維新から150年となることを記念した式典を憲政記念館で開催しました。同日に開催された、式典開催を批判する緊急集会を録画配信します。スピーチは、「明治150年礼賛式典を村山首相談話の視点から斬る」をテーマに高嶋伸欣氏(琉球大学名誉教授)、孫崎享氏(元外務省国際情報局長)、高山佳奈子氏(京都大学教授)、寺脇研氏(元文部科学省官僚)ほか。

2018年10月23日 (火)

対イラン戦争計画のため、トランプとサウジアラビアはカショギ殺害糊塗で協力

Finian CUNNINGHAM
2018年10月21日
Strategic Culture Foundation

 世界の大半がだまし討ちだと疑っている事件からほぼ三週間後、とうとうサウジアラビア政権が、ジャマル・カショギが、トルコの在イスタンブール領事館内で殺害されたことを公式に認めた。サウジアラビアが、これまでのウソを糊塗する最新のウソを発表するやいなや、トランプ大統領は、この粉飾にホワイト・ハウスの威光を差し出した。

 何が起きたかについてのサウジアラビアの遅ればせながらの説明は“信頼できる”とトランプは述べた。彼はサウジアラビアが18人を逮捕し、何人かの高官を首にしたのは“良い第一歩”だと歓迎もした。

 サウジアラビアによるカショギの死についての“説明”は到底信じがたい。サウジアラビアは、彼は領事館内で殴り合いが起きた後、殺害されたと言っている。サウジアラビアは、王国の事実上の支配者、ムハンマド・ビン・サルマーン(MbS)皇太子は、殺人については計画も結果も全く何も知らなかったとも主張している。MbSが、10月5日、ブルームバーグのインタビューで、カショギは、やって来たのと同じ日、領事館から歩いて出て言ったと主張したのを想起願いたい。

 今、皇太子は、彼の父親、老いたサルマーン国王によって、宮廷諜報機関の見直しを監督する委員会を指揮するよう任命されている。諜報機関の元副長官、アフメド・アル・アッシリは首にされ、罪を着せられることになっている側近幹部の一人だ。

 言い換えれば、王位継承者MbSはスキャンダルのあらゆる責任を免除されているのだ。首にされた側近と、カショギを捕らえるためイスタンブールに出かけた15人のチームを含むと考えられている逮捕された連中は、いけにえにされつつある。

 いつものサウジアラビアの裏切りが機能しているのだ。皇太子の護衛を含む15人のチームが、最高支配者が知って、許可すること無しに、カショギ拉致と殺害を実行することなど決してあり得ない。

 アメリカ諜報機関による傍受は、MbSがカショギ悲運の計画に実際に関与していたことを示していると言われている。15人の暗殺部隊が“ならずもの”となり、彼ら自身の発意で殺害を実行したなどというのはばかげている。

 だが、トランプ大統領とマイク・ポンペオ国務長官は、33歳の未来の国王用アリバイ作りで、サウド家に協力しているように見える。

 先週“ならずもの殺人者”が犯人だという考えを持ち出したのはトランプだった。ポンペオが、そこでリヤドに飛び、現地で、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子と、サルマーン王と親しげな写真撮影をした。イスタンブールで起きたことの“透明性のある捜査”へのサウジアラビア“献身”をアメリカのトップ外交官が滑稽にもほめたのだ。

 今や、サウジアラビアが皇太子の関与を否定しながらも、ようやく殺害を認めると、トランプは、そうした真っ赤なうそを“信頼できる”と言ったのだ。

 更に、サウド家内の背信で、カショギに対する策謀を決して口外しないようにすべく、いけにえも殺害する可能性が高い。

 15人の暗殺部隊の一人は、既に先週、リヤドでのうさんくさい交通事故で死亡している。マシャル・サアド・ボスタニサウジアラビア空軍中尉(31)は、トルコ諜報機関によって、領事館でカショギを待ち構えていた集団の中にいることが特定されている。トルコ・マスコミは、サウド家が証拠や証人になりうる人々の破壊を始めたと憶測している。特にイスタンブール元総領事、ムハンマド・アル・オタイビの運命は注目の的だ。

 領事館内で喧嘩になり、カショギの死に至ったというサウジアラビアの考え方は、15人のチームは電動骨のこぎりを持参していたという報道と一致しない。トルコ諜報機関筋は、領事館に入ってすぐ、カショギは即座に攻撃され、最後に斬首されバラバラにされる前に、指切断で拷問されたことを示す録音テープを持っていると主張している。

 サウジアラビアの“説明”を認めるとすれば、カショギの遺体は一体どこにあるのだろう? もし彼の死が何らかの事故であれば、サウジアラビアは彼の遺骸を提示できるはずだ。だが、彼らは提示しようとはしない。遥かに説得力のある説明は、カショギの遺骸が拷問と切断を証明してしまうためだ。

 サウド家、特に新皇太子の下での裏切りの、いつもの性格に留意しよう。2017年に、彼が王位継承者になった際、当時のムハンマド・ビン・ナーイフ皇太子は、だしぬけに脇に追いやられた。それはサウジアラビアの王位継承規則を破る権力奪取だった。当時のビデオ映像は、追放された年上のいとこ、ビン・ナーイフに対し、MbSが謙虚さと悔恨の振る舞いを装っているのを示している。度量の大きさの誇示に見える形で、MbSがひざまずいて、あわれな元皇太子の足にキスする様子が写っている。

 追放から数週間後、ビン・ナーイフはMbSにより武装衛兵付きの自宅監禁に置かれていると報じられた。この動きは反クーデターが決して起きないようにするためのものだ。

 次に新皇太子は、他の一部のサウド家幹部連中の一斉逮捕と拘留を命じた。彼らの一部は拷問され、釈放の代償に何十億ドルも巻き上げられたと報じられている。

 MbSの拉致したがる傾向は海外にまでおよび、彼はレバノンのサード・ハリーリー首相拉致を命じた。ハリーリーは、リヤドに拘留されている間、奇怪なTVインタビューで、“辞任”を発表するよう強制される前に、痛めつけられたと報じられている。MbSと友好的関係にあるフランスのエマニュエル・マクロン大統領が介入して、ハリーリー解放実現に成功したが、レバノンに帰国すると、彼は辞任の意を翻した。

 こうしたものは、自分は何のおとがめもなく行動できると考えている精神病質の専制君主たるサウジアラビア皇太子の性格のわずかな例に過ぎない。“改革者”君主というイメージは、欧米マスコミやマクロンやトランプのような指導者によって作り上げられたのだ。だが、そのイメージは、カショギの残虐な殺害の後、今や欧米マスコミが徐々に認めることを強いられている通り、現実とは全く対立している。

 アメリカ・マスコミや多くの共和党や民主党議員は、カショギの死にかかわる最新のサウジアラビアの“説明”については懐疑的だ。

 他の欧米政府も態度を硬化させているように見え、イギリスとフランスとドイツは、外交関係を絶っている。

 サウジアラビアが領事館内でのカショギの死を認めた後、トランプも“厳しい結果になる”と述べた。しかし、儲かる何十万ドルの武器取り引きは、何らかの経済制裁が課されようとも、トランプにとっては聖域なのだ。

 ホワイト・ハウスの真面目くさった言説も、ばかげたサウジアラビアの対応に“信用できる”とトランプが進んで威厳をつけたことで、ウソなのはあきらかになっている。疑う余地のないカショギ処刑立案者、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子の免責は、トランプ政権により、極めて重要な取り繕いを与えられている。

 儲かる武器輸出と、サウド家との長年の不動産事業によるトランプの個人的な儲けは別として、アメリカにとって、もう一つの重要な利益は、イランとの来る戦争のためのサウジアラビアへの依存だ。トランプ自身、サウジアラビアに経済制裁を課さない言い逃れをしようとして、サウジアラビアは“イランに対する重要な対抗勢力”だと述べていた。

 あと数週間で、トランプ政権はイランの原油輸出に対する世界的石油禁輸を課する予定だ。経済戦争を成功させるため、予想されるイランの不足分を穴埋めし、世界市場価格の急騰を防ぐには、石油供給を増やすのに、ワシントンにはサウジアラビア必要なのだ。

 イランに対するトランプによるアメリカ攻勢の重要性上、彼は、もっぱら必要性から、サウド家を支えなければならない。それはつまりspinning皇太子を放免するための糊塗。しかし、カショギ殺害を巡るMbSに対する、のっぴきならぬ証拠が余りに多いので、トランプによるサウジアラビアのためのマスコミ向けの見え透いた言い訳は、崩壊する可能性がある。中東における平和のために、そうなるよう我々も期待していする。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/10/21/war-plans-iran-means-trump-saudis-coordinating-cover-up-khashoggi-killing.html

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 大本営広報部は意図して、手痛い敗北に触れずにいるが、さすがに、植草一秀の『知られざる真実』の昨日の記事は、那覇市長選結果から、政党支持率について、詳細に検討されている。

2019参院選前哨戦の沖縄選挙で連戦連勝!

サウジアラビアの殺人を隠蔽するためのトランプの作り話は、これが二国関係の‘転換点’でないことを示唆

公開日時: 2018年10月16日  16:17
編集日時: 2018年10月17日  09:48
Finian Cunningham
RT

 有力議員たちがアメリカとサウジアラビアとの関係の根本的見直しを要求している。だが、サウジアラビア支配層をトランプが免責し、見逃そうとしていることが、アメリカ権力層の権益にとって、戦略的同盟が余りに重要であることを示している。
約22人のアメリカ上院議員が、ジャーナリスト、ジャマル・カショギ殺害を巡る対サウジアラビア経済制裁を発効させ得るグローバル・マグニツキー法を持ち出した。現役と元上院議員たちが、10月2日の在トルコ・サウジアラビア領事館での殺害とされるものは、ワシントンの何十年間にもわたるリヤドとの同盟に対する“転換点”だと主張している。

 元共和党上院議員ボブ・グラハムは、CNNのクリスティアン・アマンプールに、サウジアラビア関係はアメリカにとって“背信で”有害だと語った。彼は特に、約3,000人のアメリカ国民が亡くなった2001年の9/11テロ事件へのサウジアラビア国家の共謀と彼が呼ぶものに言及した。

 グラハムは、アメリカは、ジャマル・カショギの失踪と殺害を巡り、サウジアラビアを罰するのにマグニツキー法を使うべきで“経済的な脅しに屈伏する”べきではないと述べた。脅しへの屈伏というのは、先にトランプ大統領が、1100億ドルという額の対サウジアラビア兵器輸出をキャンセルしたくないと述べたことを意味している。

 2012年に発効した元々のマグニツキー法は、人権侵害とされるものを巡り、ロシアを経済制裁で罰するのが狙いだった。2016年、世界中の他の国々もアメリカ当局支配下におくべく拡張された。ロシアを標的にしたのは、実際の人権侵害を反映しない、物議を醸す政治的兵器だとして議論の的になった。それでもこの法律はアメリカ議会により人権侵害者と見なされるあらゆる外国政府や個人に対し、世界的に適用される。

 サウジアラビアと行方不明のジャーナリスト、ジャマル・カショギの件は明らかに、マグニツキー法的な経済制裁に値する出来事だろうと思われる。

 だがアメリカ国会議員たちがサウジアラビアと支配層を罰するという恫喝を実際にやり通すかどうかは未決定の問題だ。ワシントンにそうするようにという圧力は確かにある。腐敗行為という怪しげな容疑を巡り、マグニツキー法の下でロシアが何度か経済制裁の対象にされているのであれば、サウジアラビアは、アメリカによる公式非難の的になって当然なのだ。

 サウジアラビア領事館での59歳のカショギ殺害は実に衝撃的な犯罪だ。極めて重要なことは、昨年、祖国サウジアラビアから自ら亡命した彼は、合法的なアメリカ合州国住民で、ワシントン・ポスト著名コラムニストだったことだ。

 カショギは、ワシントンの様々な体制派シンクタンクや他のメディア業界と強いコネがあった。サウジアラビア支配層、特に王位継承者のムハンマド・ビン・サルマーン皇太子によって行われつつあるいかがわしい改革についての彼の批判的な記事に対して、アメリカにとってのリヤドの価値について懐疑的になりつつある議員や政策立案者たちが、喜んで受け入れる聴衆になっていた。

 トルコの犯罪捜査官はカショギが行方不明になってから13日後、今週サウジアラビア領事館に入った。トルコ政府情報源が過去二週間漏洩してきたものと首尾一貫するジャーナリストが建物内で殺害されたことを証明する法医学的証拠をトルコが発見したことをマスコミは報道している。

 サウジアラビア支配層の劇的な屈伏は、連中のはぐらかし戦術が破綻した兆候だ。あらゆる証拠に対し、サウジアラビアは、カショギは領事館の建物を彼が訪問したと同じ日、10月2日に無事出て行ったと主張し続けている。10月5日のブルームバーグの注目されるインタビューで、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子は同じ説明を述べてさえいる。

 今週、彼を捕らえるためイスタンブールに飛んだ、正式に認可されていないサウジアラビア人尋問者チームによりカショギが殺害されたことを、サウジアラビアが認める準備をしていると報じられた。尋問が“まずいことになり”彼が死亡する結果になったという主張だ。

 これは公式説明の途方もない変更だ。結局、これまでのごまかしとウソで、リヤドは全く信頼できない。サウジアラビア王族とつながる二機の自家用ジェット機でイスタンブールにやってきた15人のサウジアラビア人チームが明らかにカショギの遺体遺棄の目的で骨ノコギリと法医学専門家まで用意していたと報じられているのはなぜだろう。

 トルコ捜査官は今週末に詳細報告を発表すると言っている。既に彼らは今週収集した証拠はカショギが殺害された音声とビデオテーブを裏付けるのを明らかにしている。

 ワシントン・ポストは、サウジアラビア指導部がカショギ拉致の策謀に関与していたことを示す通話をアメリカ諜報機関が盗聴したと報じている。言い換えれば、野蛮な事件丸ごと、サウド家のトップに直結しているのだ。

 ところが恥ずべきことに、明らかな証拠にもかかわらず隠蔽が始まっている。この隠蔽は、月曜夜、トルコ捜査官が領事館に到着する何時間も前、トランプがアメリカ・マスコミに、サウジアラビアのサルマーン国王と話をしたと発言して始まった。事前に計画されていた犯罪について何も知らないと否定した国王を信じるとトランプは言った。彼は“ならず者の殺人者たち”が犯人だったかも知れないという考え方を信用するとも言った。

 現在、サウジアラビア・マスコミは、リヤドからイスタンブールに飛んだ15人のチームが、死亡について尋問されると報じている。これが意味するところは、この暗殺団がスケープゴートにされて、サウジアラビア支配層が、その責任を免責されるということだ。

 だが隠蔽は容易でないかも知れない。ジャマル・カショギ拉致と殺害につながる通信に関して、トルコとアメリカの諜報機関から出てくる遥かに多くの証拠がある。アメリカ国内のマスコミや政策支配体制との彼のコネゆえに、事件丸ごと、容易には払いのけられないだろうと予想される。アメリカ内の政治やマスコミのトランプ敵対者も、事件を彼の大統領の座を攻撃する新たな手段として利用するはずだ - この場合、まず間違いなく、それが正しいとは言え。

 さりながら、これがアメリカ-サウジアラビア同盟の“転換点”だということは疑わしい。カショギには、ワシントンには強力な擁護者がおり、イエメンでの残虐な戦争に関するサウジアラビアの行動を軽蔑する議員の間の動きも高まっている。

 だがトランプによる隠蔽の企みが示しているように、アメリカと石油豊富な王国の間には、フランクリン・D・ルーズベルト大統領が、サウジアラビア王国創始者アブドゥルアズィーズ・イブン・サウード国王と歴史的協定を締結した遥か昔の1945年にまでさかのぼる、深い不可侵の戦略的絆があるのだ。

 この同盟は、実際には重要性が衰退した、単なるアメリカへの石油供給を遥かに超えたものだ。それには、石油貿易のための世界通貨としてドルを維持する極めて重要な権益、毎年の膨大なアメリカ兵器購入、世界中でのCIA秘密作戦に対するサウジアラビアの資金提供、地政学的に極めて重要な中東全体へのアメリカ帝国主義権力投射が含まれる。

 もちろん、アメリカは、カショギ殺害を巡り、サウジアラビア制裁に動くべきだ - なによりも - 人権に関するアメリカの主張に本当に中身があるのなら。だがサウジアラビア隠蔽のためのトランプによる見苦しい作り話が示している通り、アメリカ-サウジアラビア関係が変わる可能性は低い。この関係は、どのような犯罪が行われようとも、アメリカ権力者の権益と、サウジアラビア専制政府にとって、余りに重要で、損なうわけに行かない不可侵のものなのだ。

 Finian Cunningham(1963年生まれ)は、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。北アイルランド、ベルファスト生まれの農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。20年以上、ミラーやアイリッシュ・タイムズやインデペンデント等の大手マスコミ企業で、彼は編集者、著者として働いた。現在は、東アフリカを本拠とするフリーランス・ジャーナリストで、RT、スプートニク、Strategic Culture Foundationや、Press TVにコラム記事を書いている。

 友人もご興味を持たれるだろうか? 記事を共有願いたい!

 本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

記事原文のurl:https://www.rt.com/op-ed/441435-saudi-us-sanctions-murder/

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 孫正義氏、サウジアラビアの投資会議に出席するのだろうか? にっこり微笑みながら、握手するのだろうか。同社ガラケーを使っているのが罪深いことに思えてきた。

 津波の高さによる危険性をしりながら対策を取らなかった東電幹部の責任逃れ発言報道より、地面師呆導の時間が長いバラエティ番組。事実上のFTAであるTAG推進を垂れ流し、ISDS条項にも決して触れない大本営広報部。要求された為替条項も、そのまま受けるに違いない属国。むしり取られるだけの属国庶民、地面師話にうつつをぬかす暇はないはずなのだが。

 大本営広報部による地面師報道のばかばかしさ、理由に気がついた。
地面師集団は、人の大金をだまし取る策略で、多様な配役を雇い、もっともらしいセリフを考え、インチキ、あるいは、なりすましてつくった証明書を用意し、だましにかかる。

 属国支配集団は、国民の収入、資産、将来をだまし取る策略で、多様なタレントを雇い、もっともらしいセリフを考え、インチキ、あるいは、なりすましてつくった証明書を用意し、だましにかかる。

 大本営広報部こそ巨大地面師集団。多様なタレントを雇い、もっともらしいセリフを考え、インチキ、あるいは、なりすましてつくった証明書を用意し、だましにかかるのが仕事の組織。居並ぶタレントは地面師集団の配役にほかならない。

 19日の孫崎享氏メルマガ題名は下記。大本営広報部は、彼の爪の垢を煎じて服用してもらいたい。

あまりにも醜い。手段を選ばぬ政府。沖縄県が辺野古の埋立て承認を撤回した事は、県知事選挙の最大争点として大勝したことで沖縄の民意であることを示した。防衛省は国土交通相に行政不服審査法に基づく不服審査請求を行い、沖縄県の決定を覆そうとしている。

 昨日はバラエティや呆導番組をいくつか見た。那覇市長選に触れたものはなかったように思う。

 次々ウソの上塗りをしてくるので、この話題の記事、賞味期限が短いかも知れない。

 日刊IWJガイドで知ったが、今日が政府による明治150年記念式典の日だった。祝うつもり皆無。明治維新の問題が書かれた下記の本がベストセラーにならないのが不思議。

 赤松小三郎ともう一つの明治維新 テロに葬られた立憲主義の夢

 今日の日刊IWJガイドの一部を引用させて戴こう。中継番組こそ拝見したい。

はじめに~政府主催の「明治150年記念式典」共産党は欠席を公表!他の野党は!? IWJは政府式典に反対する2つの集会を取材します!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 本日10月23日、政府は東京都千代田区の憲政記念館で明治150年記念式典をおこないます。元号が「明治」に改められたのが10月23日だったことから、満150年となる本日、三権の長や国会議員らを迎えて式典をおこなうということです。

中略

 本日は復古主義、歴史修正主義の色濃い政府主催の「明治150年」記念式典に対抗し、午後2時から衆議院第二議員会館前で「『明治150年政府式典』当日・対抗市民アクション」がおこなわれます。『九月、東京の路上で』の著者であるライターの加藤直樹氏やアクティブ・ミュージアム 女たちの戦争と平和資料館 wam 前館長の池田恵理子氏らが登壇するこの集会を、IWJは生配信します。

【IWJ・Ch4】14:00~
「明治150年政府式典」当日・対抗市民アクション ~ゲストスピーチ:加藤直樹氏(ライター/『九月、東京の路上で』著者)、池田恵理子氏(アクティブ・ミュージアム 女たちの戦争と平和資料館 wam 前館長)、北宏一朗氏(在野の「日本軍の毒ガス戦」研究者)ほか
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch4

 また、本日午後3時からは衆議院第二議員会館 1階 多目的会議室で、「村山談話を継承し発展させる会」による「緊急集会!『明治150年礼賛式典』を徹底批判!侵略の隠蔽と歴史の歪曲にNO!」がおこなわれます。琉球大学の高嶋伸欣名誉教授や、IWJでもおなじみの元外務相情報局長の孫崎享氏、一橋大学の田中宏名誉教授、京都大学の高山佳奈子教授、元文部科学省官僚の寺脇研氏らが登壇するこちらの集会は、録画での取材になります。準備ができ次第、ツイッター等で配信の予定をお知らせいたします。

2018年10月22日 (月)

プーチンは政府内に売国奴をおいているのだろうか?

2018年10月18日
Paul Craig Roberts

 もし下記のジョン・ヘルマー報道が正しければ、意味するところは、プーチンの良き友人で、ロシア政府の一員アレクセイ・クドリンは、ロシアの売国奴ということだ。ワシントンにとってはヒーローだが、ロシア国内では、エリツィン時代に、ワシントンとイスラエルがロシア人工作員にした億万長者オリガルヒの代理人と広く見なされているクドリンが、ワシントン経済制裁を解除してもらい、ロシア人オリガルヒが欧米による世界中の略奪に加われるようにするため、ロシアがその主権と国益を犠牲にするよう主張する講演をしたという風に私はヘルマーの記事を読んだ。

 クドリンが、先週オリガルヒ・ロビーで“現在、ロシアの外交政策は、他の国々とわが国との関係の緊張緩和より下位になるべきだ”と述べたとヘルマーは報じている。つまり彼は、国としてアメリカを意味しているのだが、経済制裁を緩和するため、あるいは少なくとも、その強化を防ぐために。

 クドリンは、プーチン前の時代、ロシア国債のデフォールトやルーブル崩壊や主要銀行を取り仕切っていた財務次官だった。これだけの全く徹底的な失敗にもかかわらず、プーチンは、彼を財務大臣兼副首相につけた。2011年、軍からの圧力で、クドリンは、より下位の職に降格される結果となった。

 現在の職位で、クドリンには、国家機関を審査し、彼の評価や提案を推進する権限がある。ロシア民族主義者を排除し、彼らを親米大西洋主義統合主義者に置き換えるのに使える権力で、彼は政府幹部を法執行機関に照会して、刑事訴追させることができる。

 クドリンは、ワシントンへの降伏を支持しており、自分こそアメリカとNATOが受け入れられる唯一のロシア人政治家だという理由で、自分自身を欧米マスコミに、プーチン後継者として売り込んでいることで知られている。

 クドリンのような意欲的なワシントン傀儡が待機していれば、オリガルヒやCIAによるプーチン暗殺は益々可能性が高くなる。

熊とのダンス
http://johnhelmer.net
2018年10月15日

クレムリン、アメリカによる“制限”への降伏でクドリンを支持
ジョン・ヘルマー、モスクワ
[リンクのある原文 http://johnhelmer.net/kremlin-endorses-kudrin-capitulation-to-us-restrictions/#more-19903]

 クレムリンはドミトリー・ペスコフ大統領報道官を通して、アメリカ経済制裁から国を救うためロシアの外交政策と国防政策を変更するアレクセイ・クドリンの呼びかけを支持した。“[理由が]ロシアの外交政策ではなく、ロシアに対する圧力、貿易と経済分野における一方的な行動、違法な制限やテロの脅威という進展しつつある国際的状況にある点を除き”“[クドリンの]見解に我々はおそらく同意できる”とペスコフは述べた[2]

 ペスコフは、クドリンの58歳の誕生日に度重なる幸せな誕生日の再来も祈念した。

 金曜日、プーチン報道官は、クドリンが二日前、モスクワでのロシアロシア産業企業家同盟(RUIE)のオリガルヒ・ロビーに対して行った講演に関する記者団の質問に答えた。そこでクドリンはこう述べていた。“現在、ロシア外交政策は、他の国々とわが国の関係における緊張緩和、経済制裁体制の強化ではなく、少なくとも、維持あるいは緩和することの下位となるべきだ。今日、私はこうした点で、わが国の外交政策の有効性を評価したい。ロシアにとっての世界的な問題 - 他の国々との緊張を高めることを必要とするような軍事的、政治的重要性があるリスクはロシアには存在しない。” 全文を読むにはここをクリック[3]。

 欧米では、2014年に経済制裁が始まるまでのロシア経済復活をクドリンの功績としている。彼はロシア国内では、1998年8月、ロシア政府の国債デフォールト、ルーブル崩壊、いくつかの銀行の倒産に責任がある第一財務次官として記憶されている。ウラジーミル・プーチン大統領は、2011年まで彼を財務大臣兼副首相に昇格させていた。プーチン後継者として自分を売り込むクドリンの計画と、アメリカに対する降伏という彼の政策については、これをお読み願いたい[4]。

 彼の代弁者がフィナンシャル・タイムズに語ったように、クドリンは現在、アメリカとNATOにとって許容できる唯一のロシア人政治家だと主張してクドリンは、イギリス-アメリカ・マスコミを通して、クレムリンのロビー活動をしてきたのだ。

 “もしクドリンが政権や政府に加われば、外交政策の変化無しに、改革はロシアでは全く不可能なので、外交政策を含む一部の変更計画で合意したことを示すことになる、… クドリンは、欧米支配層が話しあえ、ある種、信頼している唯一の幹部だ。”

 ロシア軍の抵抗が、プーチンが最後までやり通すのを阻止した。代わりに、クドリンを会計検査院院長に任命して、暫定的な役割を与えた。5月22日、クドリンは[7]議会野党による未曾有の投票に対する多数票で承認された。

 金曜日 ペスコフは“これまでの”プーチンの実績を擁護して - クドリンの政策を否定せず、クドリンの政権への復帰を奨励した。“国際的状況”、とペスコフは述べた[8]、“ロシアに対する圧力、違法制限の実施、貿易と経済分野での一方的な行為、テロの脅威。もちろん、こうした全ては、わが国の発展のための計画に対する難題だが、これまでの所、指導部は、こうした課題に対処することに成功している。”

 国営報道機関RIA-ノーボスチも、ペスコフが“多数の欧米諸国による違法な行為について我々は話し合っている。それゆえ、法的にこうした行為を、経済制裁と呼ぶのは正確ではない。こうしたものは、制限だ。”とも述べたと報じた。

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 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/10/18/does-putin-have-a-traitor-in-his-government/

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 那覇市長選挙、何と倍の得票。開票と同時に確定するわけだ。

 昨夜、Chris Hedgesのインタビュー番組 Chris Hedges: Are We Witnessing The Collapse Of The American Empire? を見て、彼の新刊が出ていたことを知った。
「America: The Farewell Tour 」

 先程、本の値段を確認して、驚いた。

 版元のSimon & Schuster では、List Price $27.00
 Barnes and Nobleでは、$23.00
 Books A Millionでは、$24.29
 Amazonでは、$59.99

 『拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる』が、町の書店では店頭で平積みになっていたのに、ネット巨大書店では、一年ほど「入手不可」となっていたのを思い出した。巨大書店所有者は、今話題の記者がコラムを寄稿していた新聞のオーナーでもある。

2018年10月21日 (日)

遺体切り刻み人、暗殺部隊、子供殺し。サウジアラビアとブラジルとイスラエルとのトランプの同盟

James Petras
2018年10月16日
The Unz Review

前書き

 ここ数週、ホワイト・ハウスは、世界で最も残忍な政権の現代版を容認している。公共の広場で手や頭を切り落とすのを卒業し、ジャマル・カショギ事件で、海外の領事館で遺体をバラバラにしたサウジアラビア“死の王子”ムハンマド・ビン・サルマーンをトランプ大統領が容認したのだ。

 ホワイト・ハウスは、拷問者や軍事独裁者や暗殺部隊や自由市場主義者の熱心な擁護者であるブラジル大統領候補ジャイール・ボウソナロの当選を温かく祝った。

 毎週、何百人もの非武装パレスチナ人、特に若者を殺害し、四肢を傷つけ、安息日を祝うイスラエルの彼の精神的指導者ベンヤミン・ネタニヤフの前で、トランプ大統領は、おべっかを使い、ブーブーと鳴き、賛美する。

 彼らはトランプ大統領にとって‘自然の同盟者’だ。彼らは彼と価値観と権益を共有し、それぞれ敵対者や反体制意見の人々の死体を処理する固有の方法を持っている。

 怪物トリオが活動する大局的な政治的-経済的文脈をまず論じる。トランプ大統領が、アメリカの民主的価値観や感性を冒涜する行動を無視し、称賛さえさせていることの恩恵と利点を分析する。

 結論として、トランプがこのトリオを奉じることから生じる結果とリスクを検討する。

 トランプ三国同盟の文脈

 世界で最も不快な政権とトランプ大統領の親密なつながりは、いくつかの戦略的権益からきている。サウジアラビアの場合には、軍事基地、世界的な傭兵やテロリストへの資金提供、何百万ドルもの兵器輸出、石油利益、イランとシリアとイエメンに対してのイスラエルとの秘密同盟などがある。

 こうしたサウジアラビア資産を確保するため、ホワイト・ハウスは、ある種の社会-政治的経費を喜んで負っている。

 アメリカは熱心に兵器を売り、何百万人ものイエメン人に対するサウジアラビアの大量虐殺侵略と殺害と飢餓に対し、顧問を派遣している。イエメンに対するホワイト・ハウス同盟には、金銭的報酬や政治的利点もプロパガンダ効果ほとんどない。

 ところが、地域の少数の他属国と共に、ワシントンは‘次々悪事を積み上げる’サルマーン皇太子の件でお茶を濁したのだ。

 サウジアラビアが、アジアのアメリカ同盟国(フィリピン)やアフガニスタンに反対するイスラム主義テロリストや、シリアやリビア内の反政府凶悪犯に資金提供していることにアメリカは目をつぶっている。

 悲しいかな、ワシントン・ポストのジャーナリストでアメリカ住民ジャマル・カショギのような親アメリカ協力者が暗殺されると、トランプ大統領はリヤド・マフィアと距離を置くため調査するふりを強いられた。彼は後に虐殺青年ビン・サルマーンを免責した。彼は、尋問、つまり拷問担当‘ならず者分子’のせいにする言語道断のウソを発明した。

 トランプ大統領はブラジル新自由主義ファシスト、ジャイール・ボウソナロの大統領当選を祝ったのは、彼が全ての問題で正しい四角枠にチェック・マークをつけたからだ。彼は多国籍企業のために経済規制や法人税を下げると約束した。彼はベネズエラとキューバに対するワシントン経済戦争の熱心な同盟者だ。右翼暗殺部隊に武器を与え、警察を軍隊化。海外におけるアメリカの戦争政策の忠実な支持者だと彼は誓った。

 だがボウソナロは、トランプの貿易戦争、特にブラジル農産物輸出のほぼ40パーセントの市場である対中国のものは支持することはできない。これは農業関連産業のボス連中が、ボウソナロの主要な経済的、政治的支持者だからだ。

 他の中南米におけるワシントンの限られた影響力を考えて、ブラジルの新自由主義ファシスト政権は、トランプの主要な同盟者として行動する。

 イスラエルはホワイト・ハウスの良き師で、中東における作戦参謀で、戦略的な軍事同盟国だ。

 ベンヤミン・ネタニヤフ首相指揮の下、イスラエルはヨルダン川西岸の大半を占領し、植民地化し、残りのパレスチナを軍事的に占領している。何万人もの反政府派を投獄し、拷問している。100万人以上のガザ住民を包囲し、飢えさせている。自称‘ユダヤ人国家’の20%以上のアラブ住民の基本的人権を否定して、イスラエル国籍に、民族的、宗教的条件を課している。

 ネタニヤフはISISテロリストや欧米の傭兵を支援して、何百ものシリアの都市、町、空港や基地を爆撃している。イスラエルはアメリカ選挙に干渉し、議会の票を買収し、ホワイト・ハウスに、エルサレムをユダヤ人国家の首都として認めさせるのに成功した。

 北アメリカとイギリスのシオニストは、イスラエルのアパルトヘイト政策に関する異口同音の好意的マスコミ報道を確保する‘第五列’として機能している。

 ネタニヤフ首相は、アメリカからの無条件の財政的、政治的支持と、最も先進的な兵器を確保している。

 それと引き換えに、ワシントンは、イスラエルが狙ったイラクやシリアやリビアやイエメンやソマリア. . .での戦争で歩兵となる光栄に浴せると考えている。イスラエルは、サウジアラビア、エジプトとヨルダン防衛でアメリカに協力している。ネタニヤフとホワイト・ハウス内のシオニスト同盟者がイラン核合意を破棄させ、新たな、より厳しい経済制裁を課すのに成功した。

 イスラエルには、イスラエル自身の狙いがある。イスラエルはdefiesトランプ大統領の対ロシア経済制裁政策と、中国との貿易戦争。

 イスラエルは、北京への兵器とハイテクの売り込みに熱心だ。

 犯罪トリオを越えて

 トランプ政権のサウジアラビアとイスラエルとブラジルとの同盟は犯罪的行為にもかかわらずではなく、犯罪的行為ゆえのものだ。三国きも、アメリカのあらゆる継続中の戦争に完全に従い、積極的に関与した実績を示している。

 ボウソナロとネタニヤフとビン・サルマーンは、ワシントンの世界支配追求に同盟している他の国々の指導者にとってのお手本として機能している。

 問題は、“帝国を強化する”ワシントンの衝動を強化する上で、このトリオが不十分なことだ。先に指摘した通り、トリオはトランプの貿易戦争に完全に一致しているわけではない。サウジアラビアは、石油価格を決める上でロシアと協力している。イスラエルとブラジルは、北京と商売をしている。

 明らかにワシントンは、他の同盟国や属国を求めている。

 アジアでは、ホワイト・ハウスは民族的分離主義を奨励して中国を標的にしている。ワシントンはイスラム・テロや、言葉でのプロパガンダを奨励して、中国からのウイグル族独立を勧めている。トランプ大統領は兵器輸出と条約で台湾を支援している。ワシントンは独立志向の政治家と‘独立’を支持するマスコミ・プロパガンダを奨励して、香港に干渉している。

 ワシントンは中国に対する軍事的包囲戦略と貿易戦争を開始した。ホワイト・ハウスは中国を標的にした軍事基地を提供するよう、日本やオーストラリアやニュージーランドやフィリピンや韓国を駆り集めた 。それでも現在に至るまで、貿易戦争で、アメリカに同盟国はない。トランプのいわゆるアジア‘同盟諸国’全てが彼の経済制裁政策に逆らっている。

 各国は中国との貿易と中国からの投資に依存し、求めているのだ。どの国も口先では賛同し、軍事基地を置かせているものの、中国沿岸でのアメリカ軍演習や北京ボイコットへの参加というような重大な問題となると、どの国も先のばしにしている。

 ロシアを制裁し、屈伏させようというアメリカの取り組みは、ロシアとドイツや他のEU諸国間で進行中の石油とガス合意で相殺されてしまう。イギリスやポーランドのようなアメリカへの伝統的おべっか使いの政治的重みはほとんどない。

 より重要なのは、アメリカの経済制裁政策が、モスクワと北京との間の、長期的で大規模な戦略的経済・軍事同盟を招いたことだ。

 更に、トランプの‘拷問トリオ’との同盟はアメリカ国内での分裂をもたらした。アメリカ住民のジャーナリストをサウジアラビアが殺害したことが、同国との事業拒否や、議会で報復の呼びかけを引き起こした。ブラジル・ファシズムが、ブラジルの暗殺部隊民主主義に対するトランプ賛辞に対するリベラル派による批判を巻き起こしている。

 トランプ大統領の国内の反対派は、マスコミをまんまと動員しており、彼風の金権ポピュリスト(言説の上ではポピュリスト、実際は金権政治家)式帝国構築に反対する議会多数派と、効果的な大規模反対運動を実現しかねない。

 結論

 アメリカ帝国構築プロジェクトは脅しと爆弾と貿易戦争で成り立っている。しかも、最も密接かつ犯罪的同盟国と属国は、常に頼れるわけではない。株式市場のお祭りさえも終わりつつある。更に、経済制裁が成功する時代は過ぎつつある。現実離れした国連での大言壮語は笑いと困惑を招いた。

 経済は危機に向かいつつあり、金利上昇だけではすまない。減税は一発勝負だ。利益はえられ、着服されてしまった。

 敗北したトランプ大統領は、不変の同盟国など存在せず、あるのは不変の権益だけだということを発見するだろう。

 現在、ホワイト・ハウスは、その一極帝国思想を共有し、支持する同盟者無しで孤立している。人類の大半は戦争と経済制裁という政策からの離脱を要求している。アメリカ再建には ウオール街や戦争産業に借りがない、強力な大衆運動の基礎からの構築が必要だ。第一歩は、国内の二大政党とも、海外の三国同盟とも関係を絶つことだ。

 記事原文のurl:http://www.unz.com/jpetras/trumps-alliance-with-body-choppers-death-squads-and-child-killers-saudi-arabia-brazil-and-israel/

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 IWJ岩上氏の孫崎享氏インタビューを拝聴した。

トランプ政権は11月6日の中間選挙を乗り切る!? 没落する帝国・米国と急激に台頭してきた中国との覇権争いの激動下で日本はどうすべきか!?~10.18岩上安身による元外務省国際情報局長・孫崎享氏インタビュー 2018.10.18

 第四次ナイ・アーメテージ・レポートの意義説明に、目からうろこ。憲法改悪の企み、孫崎享氏説は「強行できない」説なのに対し、岩上氏は強行説。個人的に壊憲は全くとんでもない行為と思うが、岩上氏の強行説に同意せざるを得ない。最後に、サウジアラビアの残虐な暗殺の話題になった。宗主国による中東再編計画案として、ピーターズの地図が表示された。この地図に関する記事をいくつか訳しているので、一部を下記にご紹介させて戴く。宗主国、ただやみくもに侵略し、破壊しているわけではなく、それなりの悪辣な深謀遠慮が想像できる記事。自分の国が人工的殺戮国家として誕生したのを、中東でも繰り返そうという悪魔の発想にしか思えないが。

 「いくら忠実についていっても、ジャーナリストのようにばらばらに切断されてしまうのですね。日本もそうなりかねませんね。」という趣旨の発言を岩上氏はされていた。御意。

ワシントンの戦争がよその人にもたらしている惨事の一端にアメリカ人を触れさせたハリケーン

2018年10月15日
Paul Craig Roberts

 パナマシティー海岸東部からアパラチコーラまでのフロリダ州住民は、交戦地帯が一体どのようものかを今理解している。750,000人が電気も水も無い状態だ。何千もの住宅や商業施設が消滅してしまった。メキシコビーチは地表からほぼ一掃された。多くの地域は今も近づけない。道路上の瓦礫や倒木のため、多くの人々がいまだ現地に閉じ込められている。

 行方不明の家族を探している家族は、略奪者や、やじ馬を地域から締め出し、緊急対応部隊や修復部隊のために、残ったわずかな交通容量を維持しようとしている警官に時に阻止されている。そうした被災者の僅かに残った財産を略奪するほど人間性に欠如した人々を想像するのは困難だ。

 だがおそらく、そういう連中を想像するのは困難ではない。たぶん、そういう連中がクリントン政権以来アメリカ外交政策を支配しているのだ。こうした被害の写真を見れば:https://weather.com/safety/hurricane/news/2018-10-09-hurricane-michael-photos、クリントン政権以来“我々の”名の下で活動している“我が”政府が、8つの国々、セルビア、アフガニスタン、イラク、ソマリア、リビア、シリア、パキスタンで、そしてイエメンで進行中の残虐行為で加えている損害について想像できるだろう。パナマシティからアパラチコーラにいたるフロリダ州パンハンドル地域の荒廃を目にした人なら誰でも、中東と北アフリカを荒廃させたディック・チェイニーと彼のシオニスト・ネオコン戦争屋のしわざを見ているのだと考えらことができるだろう。

 アメリカ人は奇妙な人々だ。それが本当かどうかについて異議を申し立てる人が多数いる学校での銃乱射事件で、殺されたとされる子供たちの両親に大変な額のお金を送り、カバノーを強姦未遂で非難しているクリスティン・ブラジー・フォードを、主張が裏付けできないにもかかわらず支持して、膨大なお金を送っている。“白人異性愛の迫害者”や銃保有者や不法移民反対者たちのせいだとされるイデオロギー犯罪に反応する共感や思いやりは、ハリケーン・マイケルやアメリカ外交政策の犠牲者にも反応するのだろうか?

 リベラル-進歩派-左翼は、30年か40年前の強姦未遂とされるものについて、これだけ怒れるのに、8カ国での何百万人もの人々の命や将来やインフラのワシントンによる破壊は一体なぜ何の抗議もせずに受け入れるのだろう? トランプが文句を言っている移民は全員、アメリカによる自国での戦争から逃れている人々だ。もしアメリカとヨーロッパが難民を望まないのであれば、一体なぜ難民を生み出す戦争に加わっているのだろう?

 この単純な疑問は欧米政治家連中の知性を越えているのだろうか?

 アメリカの世界支配というネオコンの考えが優先事項であると最新の防衛態勢報告が再確認したことに、アメリカ人は気づいているのだろうか? 両国が独自の外交・防衛政策を持っているというだけの理由で、ワシントンが、ロシアと中国を脅威と見なしていることをアメリカ人は理解しているのだろうか? アメリカ覇権というものは、いかなる国も主権国家であるのを認められないのだということをアメリカ人は理解しているだろうか?

 いや、もちろん彼らは理解していない。売女マスコミはそういうことを報じない。扇動屋と民主党アイデンティティ政治の間には膨大な無知がある。ロシアと中国との戦争は国家の自殺だ。イランとの戦争は地域的自殺だ。我々にはこれを理解する政府が必要だ。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/10/15/hurricanes-give-americans-taste-of-disaster-washingtons-wars-bring-to-others/

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 いつもは選挙が近づくと憂鬱な気分になる。しかし今回の那覇市長選挙は結果が楽しみ。IWJによる下記報道映像が見られる。

那覇市長選「城間みきこ必勝ラストスパート打ち上げ式」 2018.10.20

 サウジ発表を「大きな一歩。信頼する。問題解決に近づいている」と評価し、兵器輸出を膨大な金額と、雇用への影響ゆえにキャンセルしない大統領。ひどいものだ。サルマーン皇太子とニッコリ写っている経営者、もちろん、大統領とも、ニッコリ写っている。

 孫崎享氏のメルマガ、今日の題名は下記。

「カショギ氏殺害の焦点は何か。?サウジ皇太子の関与の解明、?トランプ大統領は今後対サウジ政策をどうするか。トランプ氏がサウジ寄りの姿勢を見せる背景に、約1100億ドルに及ぶ武器売却契約、さらにトランプ氏自身とサウジとのビジネス上の結びつき」

先日、後半を見損ねたIWJインタビューを、これから拝聴。

トランプ政権は11月6日の中間選挙を乗り切る!? 没落する帝国・米国と急激に台頭してきた中国との覇権争いの激動下で日本はどうすべきか!?~10.18岩上安身による元外務省国際情報局長・孫崎享氏インタビュー 2018.10.18

2018年10月20日 (土)

インターネット検閲は未曾有の飛躍をしたばかりだが、ほとんど誰も気づいていない

2018年10月13日
Caitlin JOHNSTONE
Medium.com

 大半のインディ・メディアが、カニエ・ウェストやサウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギの失踪について人々が語っている様子に注力する中、インターネット検閲で、我々全員が大事にしているものを脅かす未曾有のエスカレーションが起きた。それには、恐ろしくなるほどわずかしか注目されていない。

 何百もの政治志向のページや個人アカウントを“本物でない行動”のかどで大規模粛清した後、Facebookは、この行為のあいまいで激しく議論されている根拠ゆえに、当然、相当な量の批判を受けている。比較的わずかしか注目されていない次に行われた措置ことこそ、遥かに不気味だ。Facebookから粛清されてから、わずか数時間後、複数の反体制派代替メディア・サイトがTwitterからもアカウントを完全に削除されたのだ。

 私がこの記事を書いている時点で、三つの大手代替メディアが、ほぼ同時に、両方から追放されたことを知っている。Anti-Media、Free Thought Projectと、Police the Policeで、彼らの全てにFacebookで何百万人ものフォロワーがいた。Anti-Mediaの編集長も、チーフ・クリエイティブ・オフィサーも、Twitterによって禁止され、そのサイト上で、いかなる新規アカウントを造ることも阻止されている。

 “私は、不幸なことに、常に代替メディアが、主要ソーシャル・メディア・サイトから消し去られる日が来るだろうと感じていました”と、Anti-Mediaのチーフ・クリエイティブ・オフィサー、S.M.ギブソンは、私への発言で語った。“そのために、私はバックアップ用アカウントを何年も前に準備していました。事実そうしたアカウントも、Anti-Mediaに関わっている個人の3つのアカウントも、警告無しで、どちらのプラットフォームからも、何の理由説明もなく禁止されたことで、この粛清は誰かが画策したのは確実だと私は思うに至っています。それが一体誰なのかは私にはわかりませんが、情報に対するこの攻撃は、多くの人が認識したり、報じられたりしているより、真実を沈黙させる上で、遥かに簡潔で組織的です。”

 今や、(A) Twitterと Facebookの間で、それぞれの検閲活動に関し、ある程度の連絡/調整があったか (B) 第三者によって、検閲の標的に関して、TwitterとFacebook両社に情報が与えられているかのどちらかなのは明らかだ。いずれにせよ、これは今や、複数のプラットフォーム間で、反体制派意見の検閲を結びつける何らかの仕組みがあることを意味している。8月にアレックス・ジョーンズの件で、我々が初めて目にしたのと同様な、プラットフォームを横断する協調された沈黙化によって、より小規模な反体制代替メディアが、読者から切り離されつつあるのを目にし初めているている。

 これは、お互いにネットワークし、情報を共有する我々の能力に対する想像できる限りの深刻な脅威だ。もしニューメディアの重要組織が、協調して一斉に反体制派の声を沈黙させ始めれば、代替メディアの一部だけが沈黙させられだけでなく、丸ごと完全に沈黙させられることを意味し、そうしたメディアの、読者を増やし、インターネットの中でも、非常に人が集まっている部分に対して情報発信する能力が完全に機能しなくなってしまう。

 これは大変なことで危険だが、これについての報道は余りに少ない。8月に、ジョン・マケインの“人権を侵害”したかどで、私がTwitterから削除された際には、Twitterで、広範で、騒々しい憤激がおこり、わたしのアカウントは、お詫びとともに、素早く回復した。だから、私はそれをありがたいと思っているが、複数の有名な代替メディアが二大ソーシャル・メディアで一斉に突然沈黙させられる現象は、誰か下劣なオーストラリア人ブロガーがTwitterアカウントを失うよりも僅かでなく、より大きな憤激を引き起こすべきなのだ。これは我々全員に影響があるのだから、代替メディア一番の記事になるべきだ。

 インターネット検閲が、オリガルヒの革長靴を、我々の首からどける我々の能力をいかに脅かすかを語ろうとすると、必ずアイン・ランドの本を一冊読んで、全てを知っていると思い込んでいる男が “Facebookは民間企業だ! 何でも好きなことができるのだ!”という類の気に障ることを言うのだ。今の話だろうか? Facebookは、同社の活動に対する規制支援のためアメリカ政府が資金援助している組織を招き上院委員会で、アメリカ政府の権益を推進するためにより多くのことをする誓いアメリカとイスラエル政府の指示で、アカウントを削除し、アメリカやEUやNATOや湾岸諸国の政府から資金援助を受けている北大西洋理事会に検閲行為の指導をまかせたのではなかったか? 一体どれだけ“民間”なのだろう? Facebookは政府と非常に深く繋がった企業で、Facebook検閲は、大企業支配体制政府において、まさに政府検閲のあり方なのだ。

 北大西洋理事会が、最近、ニュー・メディアという場が、アメリカの既存権力体制にもたらしている脅威の力を削ぐのに、シリコン・バレーの巨大ハイテク企業がいかに利用されているかを現在時制で詳細に説明する、アメリカ軍の会議に関する実に興味深い21ページの文書を公表した。

この文書について、World Socialist Websiteは、こう書いている

    ソーシャル・メディア企業の登場だ。反対派の視点を抑圧し、政府寄り言説を推進する最善の仕組みは、民間企業、特に“人々が何を見て、何を見ないかを決められる”“Facebook、Google、YouTubeとTwitterを含む巨大ハイテク企業”だ。

    ワッツは更にこう述べる。“幸いFacebookのようなソーシャル・メディアの政策変更により、発信されるコンテンツの質と内容に大きな影響力を持つようになっている。”

    政府プロパガンダは人々が疑いの目で見ているので、それゆえ民間企業は政府のために汚れ仕事をしなければならない。“もちろん民間企業は、偽情報との戦いで自分たちが演じている役割を理解できないかも知れないが、連中は最も重要なものの一つだ。少なくとも欧米では、組織として、一般大衆から高い信頼を得ているおかげで、中心的役割に進出している。”

— #FreeAssange! (tweets by campaign)⌛ (@JulianAssange) 2018年10月5日

 操ろうとしている社会病質者に対処する最善の方法は、連中が何か奇妙な気味悪いことをするたびに指摘し、大騒ぎすることだ。連中が非公式に虐待するのを許せば許すほど、連中はあなたを締めつけ、連中の陰険な計略でいたぶることになる。連中が何かおかしなことをしているのに気づいた場合、連中の邪悪な道具箱にある、あらゆる道具の効果を無くす最善の方法は、指摘し“おい! 何をやっているんだ??。一体なぜそんなことをしている? 何か変だぞ!”と叫ぶことだ。悪漢連中は彼らに対する大いに批判的な目があれば、そうした操作を更に進めることができないのだから、人々に注目させることだ。

 プロパガンダと検閲は非常に良く似た形で作動する。もし、ストライサンド効果の概念を良く御存じない場合、是非確認いただくようお勧めする。バーバラ・ストライサンドが彼女のマリブの住宅写真がオンラインで広がるのを抑えようとして、うかつにも、一層注目を集めてしまった出来事から名付けられたもので、ストライサンド効果とは、情報を隠し、検閲しようとする企みが、もしその隠蔽が世間の興味を惹いてしまうと一層注目を集めてしまうことになるのを言う。あらゆる検閲は、その仕業を効果的に行うためには、こういうことが起きるのを防ぐ必要がある。もし人々から何かを見えなくしようとしている様子がわかれば、それに一層注目を集めてしまい、そうなれば、その場合、連中は検閲を行えなくなる。

 そこで、ストライサンドに、これを止めてもらおうか? この新たなプラットフォーム横断のインターネット検閲エスカレーションについて、大きな怒りの声を上げ、ニュー・メディア環境で、誰かが反体制的言辞を沈黙させる動きをするたびごとに、大きな怒りの声ををあげようではないか。操ろうとしている連中は闇の中でしか動けないのだから、連中には決して闇を与えるまい。連中が何を試みようと、我々はそれについて大騒ぎする必要があるのだ。これは連中の行く手に巨大な障害物を投げ込む一方、一層ネットワークし、情報共有する新たな方法を切り開く方法を見つけることになる。この悪人どもは、言論を余りに長期間支配しているのだ。

 お読みいただいたことに感謝! インターネット検閲を回避して、私が公開する記事をよめるようにする最善の方法は、私のウェブサイトで、メーリングリストを購読することで、そうすれば私が掲載する全てのものについて、電子メールで通知が行く。私の記事は全て読者の支持によるものなので、本記事を良いと思われたら、共有し、 私のFacebookで「いいね」評価し、私のTwitterをフォローし、私のpodcastをチェックし、PatreonPaypalに投げ銭し、新刊『Rogue Nation: Psychonautical Adventures With Caitlin Johnstone』や前の著書『Woke: A Field Guide for Utopia Preppers』を購入頂くようお願いしたい。

記事原文のurl:https://medium.com/@caityjohnstone/internet-censorship-just-took-an-unprecedented-leap-forward-and-hardly-anyone-noticed-e6ae2d8adaf2

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 この話題、日本で話題になっているのだろうか? 地面師の話題より、よほど重要度が高いだろうに。

追記 11月12日の時点で、不当判決についてのIWJのツイッター・アカウントが削除される事態になっている。宗主国でおきる検閲は、当然、この列島でもおきる。

 植村隆氏裁判の不当判決の実況をしていたIWJのツイッターアカウントがツイッター社により次々に6つも凍結!  IWJは対抗措置として凍結されたツイート内容をテキスト記事にしてアップします!2018.11.12日号

2018年10月18日 (木)

カショギはサウジアラビア政権の批判者ではなかった

2018年10月15日
Consortium News

 先週、イスタンブールのサウジアラビア領事館で失踪したサウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギは、欧米マスコミが言うほどサウジアラビア政権の批判者ではないと、アサード・アブハリルは書いている。

As`ad AbuKhalil
Consortium News特別寄稿

 先週、サウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギが、イスタンブールのサウジアラビア領事館で失踪したことは、世界的に大きく報道されているが、サウジアラビアが支配するアラブ・メディアではほとんど報じられていないのは驚くべきことではない。カショギが寄稿していたワシントン・ポストや他の欧米マスコミは話題を報じ続け、リヤドに事件での役割を説明するよう圧力を高めている。

 欧米マスコミで、カショギについて読むと奇妙だ。デヘヴィッド・ハーストは、ガーディアンで、カショギは“真実と民主主義と自由”といった絶対的なものしか気にしていなかったと主張した。ヒューマン・ライツ・ウォッチ理事長は、彼のことを“遠慮のない、批判的ジャーナリズム”の代表だと表現した。

 だが彼はサウジアラビアの王子たちのために働きながら、そうした絶対的なものを追求したのだろうか?

 カショギは、サウジアラビア・プロパガンダ機関の忠実な一員だった。王国ではジャーナリズムは全く許されていない。その意見ゆえに、堅固な政治的服従の壁を壊そうとして、迫害され、罰せられた勇敢なサウジアラビア人女性や男性がいるのだ。カショギはその一員ではなかった。

 カショギが、アル-ワタン新聞で、ボスだって時代に苦しんだ記者たちもいるのだ。カショギは書かれていることと違って、二年前、サウジアラビア皇太子ムハンマド・ビン・サルマーン(MbS)が、彼がツイートすることや、サウジアラビアのハリード・ビン・サルタン王子が所有するロンドンを本拠とする汎アラブ新聞アル-ハヤトに書くことを禁じて軽く罰されたのを除いて、決して政権に罰されたことはなかった。

 歴史的に対照的なのは、勇敢な非宗教的なアラブ民族主義作家で、王国を1956年に逃れ、カイロに、次にベイルートで暮らしたナシール・アッサイードだ。彼はサウド家の歴史について(タブロイド紙風ではあったが)膨大な記事を書いた。彼はサウジアラビア王家攻撃で容赦がなかった。

 そこでサウジアラビア政権は、アッサイードを処分するために、腐敗したベイルートのPLO指導者(ヨルダン諜報機関とつながっているアブ・アッザイム)を買収した。1979年に、彼が人出の多いベイルート街頭でアッサイードを拉致し、彼を現地のサウジアラビア大使館に送り込んだ。彼は拷問され、殺害されたと推定されている(彼の遺体はサウジアラビア砂漠の“空虚の地”上空で、飛行機から投下されたと言う人もいる)。それがこの政権の実績なのだ。

 適切な王子を見つけ出す

 カショギは、サウジアラビア・ジャーナリズムで出世するためには、プロ精神や勇気や倫理は不要なのを知っている若い野心的な記者だった。サウジアラビアでは適切な王子に近づく必要があるのだ。早い時期に、カショギは、そうした二人と親密になった。トゥルキ・アル・ファイサル王子(サウジアラビア諜報機関を指揮する)と、アル-ワタン(母国)紙を所有する彼の兄ハリード・アル・ファイサル王子で、アル-ワタンでカショギは最初の(アラビア語) 編集の仕事についたのだ。

 カショギは政府主流の連中を喜ばせる熱心さと、意見を合わせる名状しがたい能力で傑出していた。アフガニスタンや他の国々での反共産主義と狂信的聖戦推進の時代には、カショギは熱狂的信者だった。彼はオサマ・ビン・ラディンと共に戦い、ムジャヒディンの大義を推進した。

 ワシントン・ポストのディヴィッド・イグナティウスや他の連中は、ビン・ラディンの軍隊が、連中の戦争努力を報道するよう独立ジャーナリストを招いていたかのように、彼は“従軍”記者だったと示唆して、これを潤色したがっている。アフガニスタン・ムジャヒディンを報道し、サウジアラビア・マスコミで彼らを奨励するプロジェクト丸ごと、カショギの主要後援者王子であるサウジアラビア諜報機関長官トゥルキー王子のしわざだった。

 欧米マスコミのカショギの経歴報道(アラビア語を知らない人々による)は現実からほど遠い様子を描いている。彼らはサウジアラビア政権を怒らせた勇気ある調査ジャーナリストとして彼を描いている。これほど真実からほど遠いことはない。サウジアラビアには、ジャーナリズムは存在しない。あるのは露骨でむき出しのプロパガンダだけだ。

 編集者は長年の忠誠を示してきた信頼される人物だった。昨年カショギは、イスタンブールでのインタビューで、あるアラブ人記者に、サウジアラビアで、彼は編集者・検閲者兼業だったことを認めていた。サウジアラビア政権新聞編集者(王子や王の代弁人)は、政府支配を推進し、好ましからぬ記事を消すのだ。

 カショギは決して窮地で、サウジアラビアに、ものを言ったわけではない。彼はアル-ワタン編集者として、当時、彼自身ではなく、他の筆者が書いた、彼が支持していた保守派の宗教支配層を穏やかに批判した記事を掲載したため、二度、面倒なことになった。宗教当局から彼を隠すため、彼は他の政府メディアの仕事に配転された。

 政権にそうするよう任命されたカショギは王国を報道する欧米ジャーナリストにとってのお助け役だった。彼は記者たちと会話をするのを楽しんでいたかも知れないが、王家の正統性に疑問を抱いたことは決してなかった。ポスト紙に寄稿していたワシントンでの彼の短い一年の勤務期間もそうだ。

 反動主義者

 カショギは反動主義者だった。彼は地域のあらゆる君主制やサルタン統治を支持しており、彼らは“改革可能だ”と強く主張していた。彼にとっては、ウジアラビアと緊張した関係にあるイラクやシリアやリビアなどの宗教色がない国々だけが改革を拒否しており、打倒する必要があるのだ。アラブ政治をムスリム同胞団の主張に沿ってイスラム化するのを彼は支持していた。

 カショギが考えていた構想はサウジアラビア政権率いる“アラブの反乱”だ。彼のアラビア語の著作で、彼はMbSの“改革”や、地域や、もっと広い範囲で冷笑されている“汚職に対する戦い”さえ支持していた。彼の最後の支援者アル=ワリード・ビン・タラール王子が、この豪華ホテルに閉じ込められたにもかかわらず、MbSが王子たちをリッツ・ホテルに逮捕し閉じ込めたのは合法的だ(ポスト紙のコラムで、彼らを穏やかに批判したが)と彼は考えていた。カショギは彼を信じておらず、彼をはねつけたMbSの顧問になりたがってさえいた。

 ポストに寄稿して(アラビア語版で)いるカショギは、民主主義と改革を支持するリベラルな民主主義者として受け取られている。だが彼はサウジアラビア政権の正統性や欧米の中東政策に異議を申し立てたわけではない。主流ジャーナリストは、彼にほれ込んでいたのだ。彼らはカショギのことを、主流アメリカ・マスコミは専門的ジャーナリズムの典型と考えて、この地域についての彼らの報道を批判せず、称賛する人当たりの良いアラブ人と見なしていた。新聞にとって、本質的に、カショギはアラブ人を不正確に伝える残念な実績のアラブ語記事の象徴的筆者だった。

 アラビア語では、彼がイスラム主義者として、トルコとムスリム同胞団(イフワーン)に共感していたことは明白だ。欧米で忘れ去られているか、ほとんど知られていないのは、冷戦時代、エジプトのガマールアブドゥル=ナーセル率いる進歩的で、非宗教的な陣営に対する武器として、サウジアラビアが、ムスリム同胞団を支援し、資金を供与し、育成したことだ。イフワーンは、サウジアラビア教育制度を支配し、同胞団を敬うようサウジアラビア人学生を育てていた。ところが、9月11日が、サウジアラビアの思惑を変えたのだ。支配者連中には、イスラム過激主義を支援した自分たちの役割に対する身代わりが必要で、イフワーンがぴったりの標的になったのだ。それもカショギが疑われるようにしたのだ。

彼に反対する動きのヒント

 サウジアラビア報道機関の最近の記事は、政権が彼に敵対的に動く可能性を示唆していた。彼は後援者を失ったが、カショギがアラブの反対政党を立ち上げようとしていたという考え方は信用できない。本当の罪は、カショギが、イフワーン(イスラム同胞団)支持者だけ、つまりカタール政府とトルコ政府に支持されていたことだ。

 ジェッダの日刊紙「オカーズ」の筆者が、彼をニューヨークのフォー・シーズンズ・ホテルでカタールの首長と会っており、“地域、および国際的諜報機関”と繋がっていると非難した。もし事実であれば、それが彼の運命を決めた可能性がある。カタールは今や、おそらくイランより悪い、サウジアラビア政権にとっての不倶戴天の敵だ。

 カショギは離反者として扱われたが、人はサウジアラビア支配体制から離反することが許されないのだ。幹部が最後に離反したのは、タラル王子と、バドル王子が、エジプトで、ナセルの・アラブ民族運動に加わった1962年の昔のことだ。

 他の離反希望者の背筋をゾッとさせるようなやり方でカショギを罰する必要があったのだ。

 As’ad AbuKhalilは、カリフォルニア州立大学スタニスラウス校のレバノン系アメリカ人政治学教授。彼は『レバノン歴史事典』 (1998年)、『ビン・ラディン、イスラムとアメリカの新たな“対テロ戦争”』 (2002年)、や『サウジアラビアのための戦い』 (2004年)の著者。彼はThe Angry Arab News Serviceという人気ブログも運営している。

 本記事を良いと思われたら、このような記事をさらにご提供できるよう、Consortium Newsへの寄付を是非ご検討頂きたい。

記事原文のurl:https://consortiumnews.com/2018/10/15/khashoggi-was-no-critic-of-saudi-regime/

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 10年前に読んだ英語の政治スリラー『シェル・ゲーム』を思い出している。当ブログに翻訳を掲載したシェル・ゲーム書評を読んで興味を持ち、原書を読んだのだ。470ページを越える厚い本だが、ひきこまれて読み終えた。“空虚の地”と、とりあえず訳したEmpty Quarterも出てくる。拷問監獄も。サウジアラビアとアメリカを主題にした興味深い本、いつか訳されるのではと待っていたが、その気配皆無。The Shell Game ご一読をお勧めする。

 大本営広報部、壮大なトリックで、55億円だましとった地面師の呆導に異様に熱心。猫だましのような番組を見ているひまがあれば、「オールジャパン学習会」、20181015 UPLAN 「私たちの命の源が危ない~水・種子・食の安全を守ろう!~」録画の三人のご講演をこそ拝聴すべきだろう。水、種子、農産物、ありとあらゆるものを巨大資本に開放して、国民全員からだましとる詐欺が進行中なのに、地面師ニュースを聞いているひまはない。学習会で、植草一秀氏も『日本が売られる』に触れられたが、本の筆者の夫君、川田議員も、「宣伝」で申し訳ないが、購入を勧めておられた。本当に必読書だ。

 今日のIWJガイドによれば、インタビューは、孫崎享氏。これは拝聴しなければ。

 トランプ米大統領は10月13日、サウジによるカショギ氏殺害疑惑について、疑惑が事実であれば「サウジに『厳罰』を与える」と、当初は厳しい態度を見せました。しかし、15日、サウジのサルマン国王と電話会談をしたら、一転して、「行きずりの殺し屋による仕業ではないか」とサウジ政府の責任をぼかすような見方を示し、サウジに対する態度を180度変えました。

 複雑な様相を呈してきたカショギ氏殺害疑惑について、岩上さんは今日午後2時30分より、元外務省国際情報局長・孫崎享氏にインタビューを行い、詳しくお話をうかがいます。今日の孫崎氏インタビューでは他にも、ロス米商務長官が日本の自動車産業の「生産拠点を米国に移転させる」と発言したことや、「第4次アーミテージ・ナイレポート」をどう評価すべきかなど、様々なテーマについてお話をうかがっていきます。

 インタビューは冒頭のみフルオープンで配信し、その後は会員限定で配信します!ぜひ、以下のURLよりご覧ください!

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【IWJ_Youtube Live】14:30~「国内世論最優先のトランプ大統領と『改革開放』堅持の習近平国家主席!米中の覇権争いの激動の中で日本はどうなる!?岩上安身による元外務省国際情報局長・孫崎享氏インタビュー」
YouTube視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867
ツイキャス視聴URL(冒頭のみ): https://twitcasting.tv/iwakamiyasumi

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2018年10月17日 (水)

何千人ものインドネシア人を殺したものは何か - 地震か困窮か?

2018年10月10日
Andre Vltchek

 メキシコ・シティーから、ヴァンクーヴァーへのエア・カナダ便に乗って、スラウェシ島で、数日間展開している恐怖についてのグローバル・アンド・メイル紙の報道を読みながら、二つの強力で、矛盾する感情を抱いていた。私はすぐさまそこに行きたかった。‘現地’、パルで、撮影し、人々と話し、できるあらゆる人助けをして… また同時に、前に何度も、スラウェシでのような悪夢が起きているどこであれ、インドネシア群島の至る所に、私は‘既にそこに’いたようにも感じていた。

 そして、私は彼らについて書き、それを記録し、警告したが、何もなされなかった。政府 (というより‘インドネシア政権’と言った方が良いだろう)は何にも耳をかさず、何もせず、あらゆる痛烈な批判を無視する専門家だ。同じことがインドネシア人エリートにも言える。奪い取り、盗め、インドネシア国民の福祉のためには、全く何もしないで済む限り、彼らは目が見えず、耳も聞こえないのだ。

 2004年、私は現地にいた、津波がアチェを襲った直後。現地に到着するの数日かかった。200,000人以上が亡くなった! 同じものだった。強烈な地震、そして津波。そう、誰も実際には、一体何人が不明になったのか知らないが、最小240,000人だ! 25万人! 9-11で、ニューヨークで亡くなった人々の数の100倍だ。

 バンダ・アチェでは、わずか数日前、冠水して、二人の子供、つまり二人の少女が亡くなった部屋の小さな家で暮らした。至る所に動物のぬいぐるみがあり、あらぬる所が濡れ、びしょ濡れだった。子供たちの亡骸は取り去ってあった。毎晩、子供たちの声 -私に話しかけ、私に懇願する声を聞いたと思ったと断言する。日が沈むと、一家は私を家の中に閉じ込めて鍵をかけた。もっぱら、私と家を略奪者から守るため。

 インドネシア国家は、国民を助けることを何もしなかった。アチェでも、どこであれ、自然災害が見舞った至る所で、救援作戦は、即座に巨大な商業作戦になった。‘思いやり’? 連帯? 現実に目を向けよう! 現実に目を向けて頂きたい。あらゆるものが‘商品’になる。遺骸の発掘さえも。遺体の埋葬さえも、有料で行われるのだ - 信じられないほど高い費用で。結局、インドネシアは世界で最も超資本主義国の一つなのだ。死は良い商売になる。あらゆるものが。自然災害が大きければ大きいほど、より多くの遺体が得られる - それは全て、即座に膨大な商売に転化する。少なくとも、一部の連中にとって。

 写真をご覧にいれることができるが、気の弱い方はもどすか気絶されるので、そうしない方が良いだろう。穴の中、熱帯の暑さの中、何日間か腐敗するにまかせたら、遺体がどんな風になるかご存じだろうか? 聞かないほうが良いだろう。だがなぜ遺骸がそこにあったかご存じだろうか? 埋葬してもらうためのワイロを家族が払えなかったからだ!

 アチェでは、国連を含め、あらゆるものが無関心だ。インドネシアは欧米によって批判される立場にない - ワシントンやキャンベラやロンドンの大切な仲間で完全に腐敗した資本主義者、反共産主義者や反中国主義者だ。欧米は自分以外のことなど気にしない。

 インドネシア警察と軍が、拠点拠点を回り、現地NGOのテントから次のテントを回って、被害者用の飲料水容器を破壊しないための金やワイロを要求するのを御存じだろうか。海外から送られた飲料水。ワイロを払わないと、連中はナイフで、フラスチック容器を切り裂くのだ。

 人々が渇きと飢えで死につつあったのに。

 当時、インドネシア副大統領ユスフ・カラは、イスラム教幹部の間で、自分の人気を上げるため、巨大なハーキュリーズ輸送機から、何十人ものインドネシア人医師やボランティアを追い出した。東ジャカルタのハリム空港でエンジンは動いていた。医者や彼らの道具の代わりに、彼は飛行機に、数百人の熱狂的信者を詰め込んだ。そして、彼らはバンダ・アチェに着陸し、遺骸を見て、自撮りをとり、吐いて、最後は首都に舞い戻った。

 更に続けるべきか、それとも要点をご理解戴けただろうか?

 今、スラウェシで、アチェで、あらゆる警報が‘驚くべきことに’失敗した。そして、国の救援物質は決して十分ではなかった。

 なぜか御存じだろうか? インドネシアが破綻国家だからだ。そこでは何も機能しないからだ。(正確に言えば、どんな金額であれ)金と宗教儀式以外誰も気にかけないからだ。

 だが皆様がそういうことをグローブ・アンド・メイルやニューヨーク・タイムズで読むことは決してあるまい。

 インドネシアの大災害を見たし、‘宗派的’、宗教的殺人を見たし、東チモールからアチェ、中央ジャワに至るまで、ロンボクからアンボンで大量虐殺も見た。だからしばしば、これ以上同じことには耐えられないと感じるのだが、状況が余りに酷いので、結局、私は常に何度も何度も、舞い戻り、撮影し、記録する。それが私の‘国際主義者’としての義務だから、来なければならないと感じるためだ。もし私が来なければ、実際、畜生め、一体誰が来るだろう?

*

 だが繰り返そう。一体なぜこうした恐ろしいことが起きるのだろう?

 インドネシアは、国連によれば最も‘災害の起こりやすい国’だ。

 だが一体なぜだろう? 本当に、自然のせいだろうか、インドネシアが有名な‘環太平洋火山帯’上に位置しているためだろうか?

 いや、もちろん、そうではない!

 基本的にはこういうことだ。統計がいかに‘改竄’されていようとも、インドネシア当局が提供する痛々しいほど歪曲されたデータを国連がどう評価しようとも国は極端に貧しい。そこの大半の人々は哀れなほど貧しい。しかも彼らが‘中流階級’と呼ぶもの、あるいは少なくとも、その大半は、他のどこの国でも到底中流階級とは言えない代物だ。

 こうした全てが、各州都の5つ星、4つ星ホテルや、ジャカルタやバリの怪物のように贅沢なホテルで隠蔽されている。加えて、大量生産ションピング・モールが至るところに建設されている。更に、サウジアラビア/ワッハーブ派の資金が湯水のように注がれた大理石で造られた場違いなとてつもなく大きいモスク。

 だがジャカルタや、もちろんインドネシアのあらゆる島には、貧しい人々、極端に貧しい人々が暮らしている。インドネシア人の大多数は極貧の中で暮らしているが、彼らは実際自分たちが、どれだけ貧しく哀れか知らない(彼らに情報を知らせる反対派マスコミは存在せず、彼らの状態について教えるまっとうな学校も存在しない)。あらゆるものが見せ掛け、あるいは通俗的、あるいは、他のお好きな呼び方のものなのだ。

 ボルネオでもスラバヤでも、人々が川に排便し、その水を歯磨きや食器洗いに使うのを撮影した(私はこうした全てを映画の中で記録している)が、彼らに窮状について質問すると、全く洗脳されていて、ある種のビアサ(普通の)暮らしをしていると信じ込んでいるので機嫌を損ね、攻撃してくることもある。彼らは周囲の世界について何も知らず、よそとは比較ができないように条件付けられているのだ。中国やボリビアは、彼らにとって、違う惑星なのだ。

 アチェでも、スラウェシでも、中央ジャワでさえ、現地のカンプン(地方と都会の村)は、まるでクソのようだが、実際クソでできており、あらゆるものが容易に買収できるので、あるいは何かを監督するのを好むような人間はいないので(働くより、金を盗む方が容易だ)政府の監督はほぼ皆無だ。

 インドネシアの住宅の圧倒的多数は、人が住むには全く適していない!

 これを証明したい人なら、誰でも簡単にできる。これや似た話題で、何千人もの博士論文が書けるはずだが、インドネシア学界(とマスコミ)は金を握らされ、脅かされて沈黙し、‘学者’も(‘政府公務員’でもあることが多い)、徹底的に貧しく、自分たちの状態について、どうしようもないほど無知なインドネシア国民のために働く代わりに、異様なものを書いている。

 そのような従順さ、そのような臆病は、人を駄目にする。

 だが欧米がインドネシアは‘普通の’‘民主的’国家だと言い書いている限り、誰も気にしない。

 インドネシア人エリートは天然資源の略奪と貧しい人々からの収奪で生きている。インドネシアは、かつては信じがたいほど豊かで、とてつもなく裕福だった。石油のおかげでいまでも比較的裕福な(だが社会格差や不正に満ちている)もう一つの破綻国家、サウジアラビアと良く似ていた。インドネシアには、あらゆるものが、地上にも、地下にもあったが、今やその大半は消えた! 欧米は、1965年反共産主義クーデターを引き起こすのを支援し、それ以来、あらゆるものが奪いとられ、現地暴力団の懐に消えた - 腐敗し、愛国心のないニューリッチ、外国企業、政府幹部職をつとめる召し使い。

 大衆は守られていない。共産主義と社会主義は基本的に禁じられており、神の存在の否定もそうだ。左派的な元ジャカルタ知事のように誰かが彼の都市とインドネシア国民の暮らしを良くしようとすると、投獄される。彼の場合は‘イスラム教を侮辱した’かどで。

 それで、自然災害が襲うたびに、大半のインドネシア国民が暮らしている掘っ建て小屋や他のすさまじい住宅と共に、あらゆるウソがたちまち崩壊する。だがウソが崩壊するのは国内の条件を重々承知している連中にとってであり、決して大衆にとってではない。

 だが、そうした状況はその通りには決して報じられなかった。国が国民を守り損ねた‘客観的’あるいは‘科学的’理由は、いつだってたっぷりあるのだ。

 早期津波警報装置? 耐震になるよう巧みに計画された村? インドネシアの各地域の地震条件や地理的条件に合うような高度な設計や資材の利用。そのような‘軽薄な’設計にあてるべき資金は、オーストラリアやシンガポールのような場所で見られる可能性が最も高い。インドネシア人政府幹部や‘実業家’の巨大ビラや、ジャカルタで無数のスラムの端を高速で図々しく通り過ぎる豪華な自動車にも見出せよう。

 スラウェシ住民の窮状をもとに、一体どれだけの品のない宮殿が既に建設されただろう? そして、一体いくつの宮殿が、この後、建設されるのだろう?

 最近バンダ・アチェで、都市計画者たちが、津波‘遺産’をどうやって、広島や長崎とよく似た観光名所に変えるかを全国会議で真顔で議論した。ここはそうなるべきだが、堕落、人間の品性の完全崩壊と強欲の記念碑であるべきだ。

 今インドネシア政府は、外国からの支援を受け入れる用意があると言っている。何と素晴らしい仁愛! 笑うべきか、嘔吐すべきか分からない! インドネシア政権の身勝手さには際限がないのだろうか? アチェ災害の時と全てそっくりだ!

 政府幹部の妻にプラダ・スカート、あるいは新たなバロックもどきの宮殿を買うのに使う国家予算を振り向けるのではなく(資金はたっぷりあるのだ、特にボルネオ/カリマンタン、パプア、スマトラや、そうスラウェシそのものからの天然資源の略奪で!)、外国人に来て貰い、貧しい人々を救って貰おう’。

 アチェで、シンガポール人や日本人や他の人々が泥の中から亡骸を掘り出している中、無数の現地‘クルー’や‘救援活動者’が近くでうずくまり、クレテックを吸いながら、外国人たちを指さし、彼らが‘余り懸命に働いている’と笑っていたのを覚えている。

 だがそれで‘万事結構なのだ’。ビアサなのだ。

*

 だから、これが結論だ。スラウェシで最近なくなった何千人もの人々、あるいは今も行方不明の人々がいるのは地震や津波のせいではない。彼らがなくなったのは、彼らが貧しいため、彼らの支配者連中に道徳観念が皆無だから、そして社会が彼らを見捨て、基本的に既に崩壊していたためなのだ。

 インドネシアは国民と資源の両方を失いつつある。だが、大多数が貧しい国民は、自分たちの状況を全く理解していない。

 アチェでは、津波後、完全な廃墟の真っ只中で、ある大モスクが全く無事だった事実を、ある種の天の配剤があった証拠として利用していた。現実は違っていた。モスクは湾岸諸国が何百万ドルも、それにつぎ込んだがゆえに耐えたのだ。モスクは大理石と花崗岩でできていたが、周辺の‘家々’は泥と糞で出来ていた。

 アチェでも、スラウェシでも、貧しい人々が亡くなったのは、単にインドネシア中で、貧しい人々(ここで私は繰り返さなければならない - 貧しい人々が、国民の大多数を占めている)あらゆるものを奪われているためなのだ。彼らが闘い方を学ばない限り。いかにして自分の身を守るのか学ばない限り、更に多くの人々があてどなく死に続ける。

 アンドレ・ヴルチェクは哲学者、作家、映画制作者、調査ジャーナリスト。彼は、Vltchek’s World in Word and Imagesを制作しており、『Revolutionary Optimism, Western Nihilism』を含む多数の本の著者でもある。オンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/10/10/what-killed-thousands-of-indonesians-the-quake-or-the-misery/

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 インドネシアを題材にした彼の小説『Aurora』を思い出す。

 昼の呆導バラエティ、紀州ドンファン蒸し返しに驚いた。大本営広報部は軽減税率の複雑さ解説にも余念がない。真顔で「ドンファン」論議する諸氏、正気だろうか?と見直した。音声を消しスイッチもすぐ消した。

 宗主国、サウジアラビア支配層に対しては「疑わしきは罰せず」で終わるのだろうか。

2018年10月16日 (火)

サウジアラビアとCIAはカショギの9/11爆弾発言を恐れていたのだろうか?

Finian CUNNINGHAM
2018年10月14日
Strategic Culture Foundation

 失踪したジャーナリスト、ジャマル・カショギの背筋の凍るような事件は、こういう疑問を引き起こす。サウジアラビア支配者は、彼らの秘密取り引きに関する極めて不利な情報を、彼が暴露するのを恐れたのだろうか? 特に、2001年の9/11ニューヨーク・テロ攻撃への関与の可能性を。

 アメリカ諜報機関が監視しており、彼が先週、イスタンブールのサウジアラビア領事館で行方不明になる前に、サウジアラビア当局がカショギ拉致の計画をたてていたことを知っていたというアメリカ・マスコミ報道が今現れ始めたのは更に興味をそそる。アメリカがジャーナリストの生命が危険だと知っていたのなら、彼らは一体なぜ、破滅を避けるよう、彼にこっそり知らせなかったのだろう?

 サウジアラビア支配層エリートの視点からすれば、ジャマル・カショギ (59歳)は、はぐれものになっていた。元サウジアラビア国営メディア編集主任で宮廷顧問として、彼はサウド家に直結しており、内情を熟知していた。ある評論家は曖昧にこう表現した。“どこに全ての死体が埋められているか彼は知っていた。”

 昨年、カショギは自ら亡命し、アメリカに居を構え、ワシントン・ポストのオピニオン・コラムを書き始めた。

 カショギの記事は、サウジアラビアの王位継承者、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子に対して、次第に批判的になっていたように見える。MbSとして知られている33歳の皇太子は、石油豊富な王国の、老いた父親、サルマーン国王代理の事実上の支配者だ。

 欧米マスコミやトランプ大統領やマクロン大統領などの何人かの指導者は、 MbSを“改革者”として甘やかしているのに、このサウジアラビアの広報活動を、イエメン戦争やカタール封鎖や国内でのサウジアラビアを批判する人々の弾圧を批判して、カショギは台無しにしていたのだ。

 だが、サウジアラビア王家に、一層懸念させたのは、より邪悪で薄汚い事柄についてカショギが知っていたことかも知れない。しかも、サウジアラビアだけではなく、アメリカの陰の政府連中をも。

 彼は、アメリカとイギリスの諜報機関と組織的関係があるサウジアラビア諜報機関の黒幕トゥルキー・アル=ファイサル王子の元メディア顧問だった。トゥルキー王子の父親ファイサルは、1975年に王家内のライバルに暗殺されるまで、元サウジアラビア国王だった。ファイサルは、現在のサルマーン国王の異母兄で、それゆえ、トゥルキー王子は、73歳で、年齢的には二倍以上だが、皇太子のいとこだ。

 1977年から2001年まで、23年近く、トゥルキー王子は、サウジアラビアの国家諜報機関ムハバラート長官をつとめた。アフガニスタンでソ連軍と闘うムジャヒディン戦士を、サウジアラビアとアメリカとイギリスが組織する上で彼は活躍した。アフガニスタン国内のこの戦士たちは、後に、中東や北アフリカやロシアの裏庭カフカスを含む中央アジア中での様々なアメリカ代理戦争で手先役をつとめているアルカイダ・テロ・ネットワークに発展した。

 約3,000人のアメリカ人が亡くなったニューヨーク市での9/11テロ攻撃の10日前、トゥルキー王子はサウジアラビア諜報機関のトップの座を辞した。任期が満了するずっと前の突然の退任だった。

 このサウジアラビア人幹部が、9/11に何か大変なことが起きるのを事前に知っていたという憶測が、アメリカ・マスコミにはある。当日、民間航空機三機をハイジャックしたとされる19人のアラブ人中、少なくとも15人はサウジアラビア人だった。

 後に、トゥルキー王子、9/11犠牲者の家族が行った2002年の訴訟で訴えられた。彼がテロ策謀画策に故意に関与していたことを示唆するものはほとんどない。後の公のコメントは、トゥルキー王子が残虐行為にゾッとしていたことを示していた。だがこういう疑問がある。差し迫った出来事を彼は知っていたのか、そして彼は、当時阻止するための適切な行動をとらなかったアメリカ諜報機関に警告をしたのか?

 2007年にトゥルキー王子が公職から引退するまで、ジャマル・カショギ彼の信頼されるメディア顧問を長年つとめた。9/11後、トゥルキー王子はサウジアラビア・アメリカ大使と、イギリス大使になった。

 カショギが、長年のトゥルキー王子との親密な付き合いから、9/11に実際に起きたことについての極秘内部情報を得ていたのかも知れないということを思いつく。アラブ人ハイジャッカーは、 海外での違法戦争の隠れみのとして、以来、アメリカ軍事計画者によって利用されているグローバル“対テロ戦争”を立ち上げるべく、事件を推進するためアメリカCIAに利用された単なるカモだったのだろうか? 9/11攻撃が、実際連中の帝国主義的乱暴狼藉の口実として、アメリカ陰の政府が画策した“偽旗”事件だったという膨大な証拠がある。

 先週のジャマル・カショギ拉致と殺害は、サウジアラビア支配者による、びっくり仰天するほど捨て身の行動に見える。ジャーナリストは実際、イスタンブールの領事館に誘い込まれ、そこで15人の暗殺部隊に殺されたという更なる証拠がトルコ情報源から出つつある。報道は暗殺とされるものはサウジアラビア王家の最高位から命令されたとしており、これはつまり皇太子 MbSを意味する。

 サウジアラビア支配者は、必然的に政府やマスコミの報道世界中での影響で我々が目にしているような深刻な政治問題を引き起こすはずのそのような極悪非道な行為を一体なぜ、命じるのだろう?

 昨年中、サウド家は、カショギに、リヤドに戻って、王家メディア顧問の仕事を再開するよう呼びかけていた。彼は、何かもっと邪悪なことが進行しているのではと恐れ、拒否していた。9月28日、カショギが、離婚証明書をサウジアラビア領事館で受け取るためイスタンブールに現れた際、サウド家は彼を拉致すると決めたようだ。彼は10月2日に領事館に再度来るように言われた。同じ日、リヤドから二機のガルフストリーム・ジェット機で彼を殺害する任務のため15人の集団が到着した。

 サウジアラビア公式説明はとうてい信じがたい。それを証明するCCTV画像を提供しようとはしないが、カショギは領事館の建物を裏口から無事出て行ったと言うのだ。サウジアラビア領事館の正面と裏を監視しているトルコのCCTV設備は、カショギが敷地から去ったことを示していないとトルコ側は言っている。トルコは、彼が建物内で殺害され、遺体はばらばらにされ、外交車両で持ち去られたという主張に確信を持っているようだ。二機の自家用ジェット機は、同じ日に、カイロとドバイ経由でリヤドに帰る15人のサウジアラビア人を載せてイスタンブールを発った。

 こうした無謀な行為をするからには、サウジアラビアはカショギの批判的発言がワシントン・ポストに掲載されることに危機感を募らせていたに違いない。コラムが、皇太子 MbS支配下の政権に対し、益々有害な洞察を繰り出すように見えたのだ。

 ワシントン・ポストは、今週、アメリカ諜報機関筋が、電話盗聴で、サウジアラビアがカショギ拉致を計画しているのを知っていたと報じている。これは卑劣な計画的殺人行為へのサウド家の関与を明らかにするものだ。

 しかし、この暴露は更に、はからずもアメリカ諜報機関の関与も明らかにするものでもある。アメリカ諜報機関がカショギに対する悪意を知っていたのであれば、アメリカ職員は、一体なぜ、イスタンブールのサウジアラビア領事館にでかけることに関して警告しなかったのだろう? 彼が住んでいて、より安全だったはずの国のワシントンDCにあるサウジアラビア大使館で、同じ証明書類を入手できたはずなのは確実だ。

 ジャマル・カショギは、アメリカとサウジアラビア諜報機関の共謀に関し、特に9/11テロ事件について暗い秘密を知りすぎていたのかも知れない。そこで主要アメリカ・マスコミで批判的なジャーナリストとして、彼が益々能弁になったので、彼を黙らせるべき時期だったのかも知れない。サウジアラビアが殺し屋役、アメリカCIAがまとめ役で。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/10/14/did-saudis-cia-fear-khashoggi-9-11-bombshell.html

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 本人がつけていた時計により、状況を領事館外で録音できたという報道がある。真偽のほどはわからない。

 昨日の「オールジャパン学習会」、20181015 UPLAN 「私たちの命の源が危ない~水・種子・食の安全を守ろう!~」で見られる。植草氏ブログの下記記事が要約?

 世界に冠たる水資源大国日本の売国政治屋ペア

 IWJ中継が見られなかったので、テレビで、ドキュメンタリーをみていた。日系オランダ人の父親さがし(以前見て、驚いた番組)と、原爆で亡くなったアメリカ人捕虜。個人的に捕虜の身元を調べ続けた広島被爆者がおられたとは全く知らなかった。、宗主国大統領訪問時のハグの意味がわかった。

2018年10月15日 (月)

トランプを打倒するため、連邦準備制度理事会は次の暴落を画策するだろうか?

2018年9月25日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 主要金融市場を見守っている人々にとって、アメリカ金融市場で次の大規模津波の前兆の頻度が日に日に増えている。数週間前、いわゆる新興市場、特にトルコ、アルゼンチン、インドネシア、インドやメキシコが注目された。主要マスコミがほとんど触れないのは、こうした出来事と、ドルの“創造主”アメリカ連邦準備金制度理事会による世界の金融体制からの意図的なドル回収との関係だ。今やこのプロセスが、アメリカ株式のみならず、ハイリスクのジャンクボンド、アメリカの不動産債務、自動車債務、クレジット・カード債務の劇的な下落を爆発させる兆候を示しているを。2020年の大統領選挙、あるいは今年11月の中間選挙まで、経済的成功をもたせるというトランプの希望も連邦準備制度理事会の意志によって粉砕されかねない。

 プロの金融界の外部ではほとんど議論されない興味深い事実は、アメリカでは、少なくとも1893年恐慌以来、あらゆる大規模な金融パニックや金融恐慌は、ライバル達を犠牲にし、金融界主流派に有利になるよう画策されてきたということだ。1907年の恐慌もそうで、当時の“連邦準備金制度理事会”と、J.P. モルガンを取り巻くウオール街の一派が、厄介な競争相手連中に優位に立つためパニックを引き起こしたのだ。1913年に、JPモルガンやロックフェラーやウオール街の諸銀行が、巧妙に民営の連邦準備金制度理事会を創設し、その連邦準備制度理事会が、まず同じ連邦準備制度理事会の政策で、資産投機ブームを作り出した後、周期的な市場崩壊を画策している。

 1929年ウオール街大恐慌は、1927年に、ロンドンへの金の流れを促進するため、アメリカの金利を引き下げさせるイングランド銀行のモンタギュー・ノーマンによる圧力と繋がる連邦準備制度理事会の金利政策で、意図的に引き起こされたものだ。アメリカ金利が、危険な株式市場バブルを作り出すと、1929年に、連邦準備制度理事会が金利を上げてバブルを崩壊させ、大暴落と大恐慌を引き起こした。1990年代、グリーンスパン連邦準備制度理事会が意図的に、連邦準備制度理事会議長が“新経済”を褒めそやす講演をし、金利を再び上げる前に、金利を引き下げ、株式バブルをあおり、Dot.comバブルとして知られている、もう一つのウオール街投機バブルをけしかけ、2000年3月にバブルをはじけさせた。dot.comの崩壊後、2003年、まさに同じグリーンスパンが、金利をわずか1%へと劇的に引き下げ、はっきりと不動産ブームを煽り、不動産担保証券と“無利息融資”を作り出したウオール街を称賛した。その同じグリーンスパンが、2006年から2007年9月に、連邦準備制度理事会金利を意図的に上げ始めると、アメリカのサブプライム住宅ローンが本格的に崩壊した。彼は直前に都合よく辞任していた。

 QTと、来るべきバブル崩壊

 現在、未曾有の十年間のゼロ金利と量的緩和の後、金利をあげて、連邦準備制度理事会は次の金利引き締めサイクルの初期段階にある。金利引き上げに加え、量的引き締めとして知られているものにより、QEの十年間に購入した財務省証券や他の債券を売却して、QEを相殺しつつあり、実質的に、信用供与枠を減らしている。2017年、連過去8年間のゼロ・レベルからの実にゆるやかな連邦準備制度理事会による金利上昇で、おずおずと始まった。今や連邦準備制度理事会の新議長がジェローム・パウエルとなり、金利は今後、大幅に上昇するように思われる。

 過去8年間のゼロ水準から、連邦準備制度理事会の実にゆるやかな金利引き上げで、2017年に、おずおずと始まった。今や連邦準備制度理事会新議長がジェローム・パウエルとなり、金利は、今後大幅に上がる準備ができているように見える。同時に、連邦準備制度理事会は、過去十年間で購入した約4兆ドルの米長期国債や社債や他の資産を売り始めた。現在までに、2310億ドルの財務省証券とモーゲージ証券を売却し、金融体制内から、それだけの金額の流動性を引き揚げている。

 連邦準備制度理事会金利の上昇と、量的緩和でためた財務省手持ちの換金という組み合わせの影響が、世界的なドル流動性の引き締めをもたらしている。この影響は、これまでの所、トルコやアルゼンチンのような脆弱な新興成長市場に現れているが、ここ数週間、アメリカ国内金利の上昇を強い始めており、十年前に始まったウオール街の多幸性株バブルを終わらせる恐れがある。ちなみに、2008年の危機が始まって以来、スタンダード・アンド・プアーズ総合500株価指数は、未曾有の387%にのぼっている。

 こうした組み合わせに、トランプの寛大な減税と軍事費や他の支出のおかげで、米連邦の赤字は今年、約1兆ドルになるはずで、少なくとも十年間、その水準のまま続き ワシントンは最大の債権国中国とも、日本とも貿易戦争している事実を加えれば、連邦準備制度理事会から、多少自立さえしたアメリカ金利上昇が起きる寸前の状況だ。

 アメリカの債務バブル

 連邦準備制度理事会による歴史的最低金利の十年間が、連邦政府、大企業から、家庭に至るまで、アメリカ経済のほぼあらゆる分野で、奇怪に歪曲された借金状態をもたらした。連邦政府債務は、現在、記録的な21兆ドルで、リーマン危機が勃発した、2008年当時の二倍以上だ。アメリカ企業の債務は未曾有の6.3兆ドルで、金利が史上最低のままである間しか維持できない。

 アメリカ家庭の債務は、13.3兆ドル以上で、2008年のピークを遥かに超えている。その中で一番多いのが、またしても9兆ドル以上の不動産債務で、2008年の水準に近い。未曾有の家計負債中、1.5兆ドルが学資ローン負債だ。2008年、この数値は半分以下の6110億ドルだった。更に、1.25兆ドルの自動車ローンと記録的なクレジット・カード負債を加われば、上昇する連邦準備制度理事会金利が、企業や住宅ローン当事者が債務返済できず、債務不履行が増え、ドミノ風破産を引き起こせば、アメリカが典型的な借金地獄に陥るお膳立ては整っている。

 連邦準備制度理事会金利の上昇が、11月中間選挙に間に合うよう株式市場暴落を引き起こすかどうかは全く不明だが、連邦準備制度理事会が、2020年選挙の頃までに、アメリカ経済を深刻な不況あるいは恐慌に追いやるためのお膳立ては明らかに整った。本当の権力者が他の選択肢の方が、連中のグローバル権力の狙いにとって、より役に立つと決めさえすれば、それでトランプ大統領はおしまいだ。

 “それは景気後退とは呼べないでしょう。大恐慌よりずっと酷いものになります。”2007年のサブプライム破綻を予測したファンド・マネージャーのピーター・シフは言う。シフはトランプ大統領一期目が終わる前の大規模経済停滞を予言している。“アメリカ経済は十年前当時より遥かに酷い状態にある。”ただし今回、連邦準備制度理事会は、2008年当時より遥かに弱い立場にあり、アメリカの債務総計は十年前の水準を遥かに超えている。アメリカ経済とアメリカ政府は一部の人々が思っているほど無敵ではない。疑問は、一体何がそれに置き換わるかだ。中国-ロシア-イランのユーラシア代替案、最も有望な代替案は、成功するつもりなら、彼らの経済をドルから切り離すための遥かに一貫した措置を講じる必要がある。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書。オンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/09/25/will-fed-engineer-next-crash-to-topple-trump/

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 もっとも信用できない新聞はどれ?という記事を読んでびっくり。フェイクの見本。

 植草一秀の『知られざる真実』で、この記事と直結する?記事を拝読したばかり。

 米国発世界同時株安と今後の展望 2018年10月12日 (金)

 今日は植草氏がとりまとめておられる下記学習会を拝聴予定。

【IWJ・Ch5】16:00~「オールジャパン学習会『私たちの命の源が危ない ―水・種子・食の安全を守ろう!―』」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 「オールジャパン平和と共生」主催の学習会を中継します。登壇者は、拓殖大学教授 関良基氏、新宿区議会議員・弁護士 三雲崇正氏、元農林水産大臣・弁護士 山田正彦氏、ほか。これまでIWJが報じてきた「オールジャパン平和と共生」関連の記事は以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%91%E3%83%B3%E5%B9%B3%E5%92%8C%E3%81%A8%E5%85%B1%E7%94%9F

2018年10月14日 (日)

サウジアラビア人ジャーナリスト、カショギの殺害は、ムハンマド・ビン・サルマーンの終わりを告げかねない

Federico PIERACCINI
2018年10月12日

 著名なサウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギの死は、主流マスコミの偽善、サウジアラビア政権内部の緊張、欧米諸国の二重基準を暴露する重大な影響をもたらす可能性がある。

 2018年10月2日、サウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギが、在トルコ・サウジアラビア領事館内で殺害されたという。事件の経緯は、殺害が計画的なものだったことを示しているように思われる。彼が死亡する二日前、アメリカ合州国で再婚する準備として、彼の離婚証明書類を得るため、カショギは在イスタンブール・サウジアラビア領事館を訪問していた。サウジアラビア領事館は、彼に書類を受領するため、10月2日に再訪するよう指示し、彼はその通りにした。彼は10月2日の午後1時頃、領事館に入ったが、決して出てこなかった。カショギの婚約者が数時間待った後、カショギが二時間たっても出てこなかったら、そうするよう指示していた通り、急報した。

 ほぼ一年前のレバノン首相、サード・ハリーリーがそうだったように、国家元首を拉致するのも辞さない国、サウジアラビアの標準からしても、まるでSF小説を思わせるこの話の再構築を始める必要があるのは、ここからだ。

 時にジャーナリズムと諜報機関の間に存在する、この場合には、サウジアラビアとアメリカ合州国の諜報機関が関与する協力という闇世界の代理人ジャマル・カショギは物議を醸す人物だ。カショギが、ソ連のアフガニスタン駐留時代、リヤドとCIAに雇われた工作員であることが、サウド王家内の当局者により、事実上、認められていた。

 1991年から1999年まで、彼は、アフガニスタン、アルジェリア、スーダン、クウェートなどのいくつかの国々や他の中東諸国で働き続け、後にワシントンとロンドン大使となり、更に、サウジアラビア諜報機関のトップを24年間つとめた友人トゥルキ・ファイサル・アル-サウドのために、あいまいな役割を良く演じていた。

 1999年から2003年まで、カショギは、サウジアラビアの主要英語雑誌、アラブ・ニューズ編集者に任命されていた。2003年末、彼はサウジアラビアで最もリベラルな、親欧米、親改革派新聞の一つアル・ワタンに移った。彼の仕事はわずか52日しか続かず、過激なワッハーブ派聖職者イブン・タイミーヤを強く批判して、追い出された。アブドゥッラー国王とトゥルキ・ファイサル・アル-サウドとの間の内部抗争の後、カショギはサウジアラビア政権に対する批判的意見の人物に変わった。

 アブドゥッラー国王に忠実な一派からのカショギに対する主な批判の一つは、編集者時代、CIAのために、彼が何人かのジャーナリストを採用し、雇っていたというものだ。そのような非難は、マスコミへの、更に世論への、ワシントンが望んでいることをし損ねている指導者に圧力をかけるための影響力強化を目指しているCIAの慣習と合致する。

一体どのようにしてカショギ失踪に至ったのかを良く理解するにはカショギの政治的保護者トゥルキ・ビン・ファイサル・アル-サウドの経歴を子細に吟味することが重要だ。

 ハリード国王(1975年-1982年)支配時代、トゥルキ・ビン・ファイサル・アル-サウドは、ワシントンとサウジアラビアとの関係の中心で、ソ連のアフガニスタン駐留時代、パキスタンが武器を与え、サウジアラビアが資金を与えた(後にアルカイダと知られるようになった)外人戦士の支援を得て、ソ連にできる限りの損害を与えることに専念していた。1982年、アフガニスタンでの戦争終結後、ファハド・ビン・アブドゥルアジズ・アル-サウドが国王になり、2005年まで在位した。この期間、ファイサルは、評判の良い人物で、サウジアラビア諜報界内で、誰もが認める指導者となった。2001年9月11日の数カ月前、2001年5月24日、彼は職位から外された。2001年9月11日の攻撃後、オサマ・ビン・ラディンとの彼とのつながりが、それに続く年月、トゥルキ・ビン・ファイサルを悩ませ続け、9/11犠牲者の家族に、彼や他のサウジアラビア工作員に対する何百万ドルもの訴訟で告訴までされた。2003年から2005年、トゥルキ・ビン・ファイサルは、イギリス大使をつとめ、国際社会の中で、主要なサウジアラビア人としての彼の役割が強調されることになり、カショギと出会い、彼を個人的顧問として取りたてて庇護した。

 その後の年月、王国内で爆発的な分裂があり、2005年、アブドゥル・アジズ・アル・サウド国王の死で際立った、アブドゥッラー国王が継ぎ、2015年まで在位した。

 ブッシュ政権時代の2005年、トゥルキ・ビン・ファイサルは、サウジアラビア・アメリカ大使に任命され、カショギはメディア顧問として同行した。この期間、カショギは、イスラエル-パレスチナ和平プロセスの最も強力な支持者の一人となり、リヤドとテヘラン間の外交論議を開始させ、彼の見解を説明するため、37以上のアメリカの州を訪れた。ワッハーブ主義に夢中なサウジアラビア政権の利益を推進しながら、同時に、イスラエル・シオニズムと、アメリカ ネオコンの友人であり続けたが、トゥルキ・ビン・ファイサルは余り過激でない姿勢をとり、より対話を好んだ。そうした理由から、アメリカ政権が、明らかに穏健派のトゥルキ・ビン・ファイサルよりも、過激派のバンダル・ビン・サルタン(ブッシュ家の大親友)をあからさまに好んだため、大使時代、ホワイト・ハウスに招かれることは多くなかった。

 自然な結果として、アブドゥッラー国王は、サウジアラビアとアメリカとの間で開催される重要な会議から、彼を益々遠ざけるようになった。最終的に、ビン・ファイサルは、抗議し、辞任した。彼の後を、バンダル・ビン・サルタンが継いだ。

 カショギに戻ろう。アル・ワタンをやめた後、彼はロンドンに移り、トゥルキ・ビン・ファイサル・チームの上級顧問になったことは注目に値する。トゥルキ・ビン・ファイサルのワシントン大使時代、カショギは報道関係の長になり、アメリカ・メディアの主要な国内・国際部門と直接接触するようになった。

 それ以降の年月、トゥルキ・ビン・ファイサルが、ワシントンで大使として働いた間に、カショギは、サウジアラビア聖職者や、サラフィー主義全般に極めて批判的な記事を載せるリベラルなサウジアラビア新聞アル・ワタンの新発行人になった。数日後、彼は再び、辞任を強いられ、新聞を去った。この出来事の後、カショギは、サウジアラビアで最も裕福な人物の一人アル-ワリード・ビン・タラルと直接、連絡をとれるようになり、バーレーンを本拠とするアル・アラブニュース放送局のディレクターに任命された。このニュース局は、中東やサウジアラビアでの出来事に対する偏らない、客観的な見解を提供しようとしていた。アル・アラブのディレクターとして、彼は良く、BBC、ABCニュース、アル・ジャジーラやドバイ TVなどの国際報道機関に声明を出したり、インタビューをしたりしていた。近年、彼はアル・ジャジーラの常連ゲストとなり、ワシントン・ポストに毎週コラムを寄稿していた。

 カショギに起きたことは、反体制派の物語というよりは、アメリカ帝国主義の新自由主義分子に対する戦いと絡み合った、極めて複雑なシオニスト-サウジアラビア-ネオコンのつながり内部の戦いなのだ。アメリカ政治を悩ませている舞台裏のあつれき、サウジアラビア独裁政権や、トルコの不明瞭な役割に関するマスコミの偽善を理解するためには、しっかり検討するに値する話題だ。

 カショギに戻ると、王国存続のために必要不可欠なこととして、サウジアラビアにおける重要な改革を奨励する上で、このジャーナリストが重要な役割を演じたのはオバマ大統領時代だった。この期間、リヤド・ワシントン関係は多くの理由、特にエジプトとシリアに対する政策の違いやサウジアラビア国内の人権に関するものから着実に悪化し続けた。

 サウジアラビア国内で、サウド王家を始末するため、アラブの春を利用するのにオバマは乗り気だと、サウジアラビア王家内部の多くが疑っていた。リヤドとワシントンとの間の関係はその後、史上最低に悪化した。カショギは、リヤドに対するこのマスコミと政治戦略の先陣だった。王家の近しい友人で、彼らをおおやけに批判することになった人物は物議を醸し、彼が書く本は良く売れ、注目を集めた。

 我々はサウジアラビア世界の原子を分裂させていることに留意しよう。だが自国民も外国人も拷問し、殺人する政権について我々が語っていることを忘れてはならない。連中の政治目標を推進するために使われる武器として、テロを生み出す政権なのだ。道徳的ためらいで苦しむような連中ではないのだ。

 それにもかかわらず、特に外交問題ということになると、権力を握っている連中が一枚岩の国など皆無だ。ことの成り行きを決めるのは、カショギの死の場合のように、競合する見解と、内部抗争なのだ。

 オバマ政権時代、元サウジアラビア諜報工作員で、王家に親しい人物は、イラクとアフガニスタンでの大惨事の後、アメリカ帝国主義者の支配を拡張するための新戦略として、特にオバマ政権に好まれた権力の形としてのアメリカ・ソフト・パワーの世界(カラー革命、アラブの春)につながる広報機関として活動し続けた。リヤドが地域で演じている役割、特に、対シリア侵略に関して、このジャーナリストが評価していたとは言え、サウジアラビア王家批判は変わらなかった。

 それに続く年月、サルマーン王が権力の座につくと、特にドナルド・トランプの当選後、地域と“反体制派”ジャーナリストにとって全てが悪い方向に変わった。ビン・サルマーンがサウジアラビアで権力を掌握する実力者となり、トランプのお墨付きを得て、特に、カショギを良く出演させ、ビン・サルマーンと彼の王国将来構想(Vision 2030年)に益々批判的になったアル・ジャジーラの役割を巡り、カタールとの準戦争を引き起こした。

 ビン・サルマーンの弾圧作戦中、王の甥は、すかさず、彼の敵全員を攻撃するのに利用し、カショギに近い多くの人々が逮捕され、拷問され、殺害された。特に、彼がTwitterのような企業にも関わっていて、外国で最も有名なサウジアラビア人の一人なので、欧米にとって大いに不愉快なことに、彼の古い知り合い、アル=ワリード・ビン・タラールが、逮捕され、拷問された。弾圧の頂点では、レバノン首相サード・ハリーリーすらもが拉致され、リヤドに、こっそり連れ去られ、何日間も再教育された。カショギは、迫り来る危険を感じて、2017年に、サウジアラビアから逃れ、アメリカ合州国に居を構えた。

 カショギはサウジアラビア政権を批判するコラムを続け、イエメンでの作戦やアル・ジャジーラ攻撃を非難し、ビン・サルマーンは、王国のためになる革命児とほど遠いと批判した。カショギの批判は、民主主義の欠如とサウジアラビア王国トップの硬化を指摘し、ビン・サルマーン批判が苛立たせ、最終的に、ジャーナリスト処分の決定になった。

 イスタンブールにおける事件は、ドナルド・トランプが地域における親密な二つの同盟国イスラエルとサウジアラビアに自由裁量を認めて生じた奇怪な状況の極致だ。過去24カ月間のこの二国の行動を分析すると、ワシントンの白紙委任状の程度が明らかになる。

 匿名のサウジアラビア情報源を引用して、カショギの死にまつわる奇抜な憶測をしてみることも可能だ。単純に最も明白な結論を出すこともできる。カショギは、リヤドからの昼の便でイスタンブールに到着し、カショギ殺害の数時間後に出国した約15人のサウジアラビア人工作員によって拷問され、殺害され、切断される前に、領事館内で逮捕されたのだ。常に何重もの裏切りを演じているトルコ諜報機関が、何が起きているか知らなかったとは到底信じがたい。カショギ本人は、おそらく在イスタンブール・サウジアラビア領事館は書類を受け取るのに安全な場所だと言う保証を得ていたのだろう。彼は明らかに、彼が大いに信じていた誰かに裏切られたのだ。

 トルコはカタールの強力な支持者で、地域で主要な役割を演じている。リヤドとアンカラの関係は、近年最善とは言えないが、地域における両国の共通権益は極めて重大なので、トルコ国家情報機構が、カショギ暗殺と15人の工作員の出国を可能にするよう、見てみないふりをしていても驚くべきことではない。更に、エルドアンは、この話が、アメリカ合州国とサウジアラビアの間に、特にアメリカ支配体制のリベラルなマスコミ内部にもたらすはずの問題を十分承知しているのだ。

 内部説明の解決から生じる問題多岐にわたる。それには、たとえ彼らが、あからさまにリヤドを責めず、ニュースを超然として扱っても、カショギの死に関する身の毛もよだつ詳細を明らかにし始めているワシントン・ポストやCNNやABCニュースなどの主流マスコミの憤りもある。様々なロビーを通したサウジアラビアの金が、カショギ失踪へのサウジアラビアの関与という直接の非難を思いとどまらせるのに成功して、そうしたマスコミの注目の影響をそぐ。時間がたてばたつほど、ビン・サルマーンの命令で、カショギが王国を批判する人間として、サウジアラビア領事館内で、どのように殺害されたのかがより明らかになる。どこかの時点で、主流マスコミは、サウジアラビアをかばいきれなくなるだろう。結局「知らなかったので、責任がない」と言うか、合法的に正当化するかの可能性ということになる。今回、このいずれの手法も、アメリカが受け入れるのは困難だ。

 結論は、イスラエルとサウジアラビアとアメリカ合州国を世界の他の国々から更に孤立させる恐れのある一触即発の状態だ。そこでホワイト・ハウスは、公式な困惑と懸念の声明を出し、サウジアラビアに、カショギがサウジアラビア領事館から出た本当の証拠を提供するよう要求せざるを得なくなる。リヤドが、大使館から去っているのだから、失踪したのはトルコの責任だと主張して、ジャーナリストの失踪をトルコのせいにすることを企んでいたことも考えなければならない。

 したがって、エルドアンが"カショギが今でも生きていることを証明する責任はサウジアラビアにある"と主張するのも驚くべきことではない。外国人ジャーナリストにさせた領事館内見学も、余りに明白に見えることについて沈黙させるのに失敗した。カタールのようなリヤドの地政学的な敵や、アメリカ新自由主義一派(オバマや、サウジアラビアの国教、ワッハーブ主義に対する、政治的代案を自称しているためサウジアラビアでは非合法化されているムスリム同胞団一派とつながる)にも近い不愉快な意見の人物を抹殺して、トランプの黙認に従った、リヤドはやりすぎたのだ。

 過去12カ月、一連の無謀な行動で、イスラエルと、アメリカとサウジアラビアによるありとあらゆる挑発が行われた。イスラエル人パイロットの意図的な無謀な操縦による結果としてのロシア軍のIl-20撃墜、シリアという主権国家に対する200回以上の爆撃、イエメン戦争でのリヤドとの協力、ネタニヤフが国連総会で主張したヒズボラとイランに対する恫喝。サウジアラビアは、もっと酷いことをしでかしており、レバノン首相を拉致し、ダーイシュやアルカイダのような過激派への資金供与を継続し、カタールやイランに対する極悪非道な行動、イエメンを爆撃し、そして最近のサウジアラビア大使館内でのジャーナリスト殺害。アメリカは、 ここ数日で、二つのおぞましい宣言をした。つまり、一部の兵器を廃絶するためのモスクワに対する先制攻撃の威嚇と、エネルギー輸出を阻止するための海上封鎖だ。

 カショギ事件とそれに続くマスコミの抗議、トランプに対する主流マスコミのイデオロギー的な憎悪や、(汚職で起訴され、妻も捜査されている)ネタニヤフの益々追い詰められる状況からして、もしこの最新の事件が、弱まる兆しはなく、逆に日に日に激しくなっているエリート支配層間の政治戦争における弾薬として機能しても決して驚くべきことではない。

 中東における出来事に影響を与えるのに使えるアメリカ合州国最後の同盟諸国の一つが、ビン・サルマーンの無分別な行動の結果、ばらばらになる危険に直面している。既にエルドアンは、ジャーナリストが生きていることを証明するよう要求して、サウジアラビアに挑戦している。王国では、アンカラとリヤドの間と、ビン・サルマーンとエルドアンの間の衝突の意味合いに関してあからさまな憶測がある。この最新の無謀な行動が、わずか一年半後、王国の若き専制君主としての経験の備蓄をすっかり使い果たしたように見える支配者にとって致命的なものになりかねないと進んで断言する人々がいるのだ。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/10/12/killing-saudi-journalist-khashoggi-could-spell-end-for-mohammad-bin-salman.html

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 『無法者が塗り替える中東地図』を拝読中。102ページに「イスラム王権と、サウジアラビアの皇太子」103ページに「サウジアラビア─宮廷での暗闘」という見出しがある。

  大本営広報部が、開場奉賀呆導に注力する中、IWJは、公共性、公益性、緊急性に鑑みて、築地市場の豊洲移転問題に関するコンテンツを全編フルオープンで公開中

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2018年10月13日 (土)

アメリカ諜報機関にはカショギに '警告する義務' があった - なぜそうしなかったか?

Moon of Alabama
2018年10月10日

 サウジアラビア政府がサウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギを拉致したか、殺害したことに疑問の余地はない。だがトランプ政権はカショギに対する脅威について何を知っていたのだろう? アメリカ諜報機関は、役所の規則で要求されている通り、彼に警告したのだろうか? そうした警告は、ホワイト・ハウスに阻止されたのだろうか? そしてトランプは、この事件について一体何をするのだろう?

 カショギが離婚証書を受け取るため訪問する少し前に、サウジアラビアからやって来て、イスタンブールのサウジアラビア領事館内にいた15人の写真をトルコ政府が公開した。彼らはカショギを領事の住まいに移し、その日遅く、彼らをイスタンブールまで乗せてきた同じ二機のサウジアラビア自家用ジェット機で帰国した。

 15人のうち、少なくとも8人は、サウジアラビア軍人であることが判明している。少なくとも三人は、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子のボディガードだ。だから、皇太子本人が作戦の命令を出したのは明らかだ。15人のうち一人は、サウジアラビア治安本部の法医学的証拠部門長サラー・ムハンマド・アル-トゥバイギ医師だ。

 匿名のトルコ情報筋は、カショギは殺害され、遺体は切り刻まれ、持ちさられたと断言している。彼らは殺人のビデオさえあると主張している。

 この当局者は、カショギが領事館訪問から二時間以内にサウジアラビア人工作員チームに殺害され、彼らが遺骸を、その目的で持ち込んだ骨のこぎりで切断した素早く複雑な作戦について説明してくれた。

 “まるで‘'三文推理小説’だ”とこの当局者は言った。

 ブリーフィング内容を知っている何人かによれば、土曜日にエルドアン大統領は結論を知らされ、ニューヨーク・タイムズを含む無数のマスコミに、カショギがサウジアラビア領事館内で殺害されたと匿名で告げるよう職員を派遣した。
...
 ブリーフィングを受けた別の人物は、匿名を条件に語って、極秘の詳細を明らかにし、土曜日、タイムズに、トルコ諜報機関は、それが実際行われたことを証明するためにサウジアラビア人が制作した殺人のビデオを入手したと述べた。

 火曜日、エルドアン政権に近い一人の評論家が、おおやけにこう語った。

 “彼が殺害される瞬間のビデオがある” 政府寄り新聞コラムニストで、元準公式報道機関トップのKemal Ozturkが、匿名治安当局幹部の言葉として、政府寄りのテレビ局インタビューで語った。

 エルドアンが、この'三文推理小説'話を広めているのは驚くべきことではないi。彼の軍隊が、カタールを、サウジアラビアによる攻撃から守っており、カタールはトルコ経済を何十万ドルもの投資でてこ入れしている。中東における指導力を巡る古くからのオスマン帝国対アラブの戦いという面もある。

 だがサウジアラビア人が一体なぜカショギを殺すのだろう? 彼を捕まえ、空港まで引きずって、リヤドに "緊急事態"として送還しなかったのはなぜだろう? 一体なぜ彼を大きな箱に入れて、特権的な外交行李とてし輸送しなかったのだろう? もサウジアラビアがカショギを殺すつもりだったら、誰かを雇って、街頭で銃撃させられたはずだ。その方がずっと簡単な作戦で、怪しまれかたもずっと少ない。

 カショギを公式の領事館で殺害するのは意味をなさない - MbSが、この今の大衆の憤激を望んでいなかったのでない限り。彼の全ての敵に対する警告なのだろうか? 彼は何をやってもおとがめ無しで済むことを示すためなのだろうか?

 ワシントン・ポストは、アメリカ政府がカショギが危険にさらされているのを知っていたと報じている。

 情報に詳しい人物によれば、カショギの失踪前、アメリカ諜報機関が、サウジアラビア人幹部たちが彼を捕らえる計画を話し合う会話を盗聴していた。サウジアラビアは、 カショギをサウジアラビアに連れ帰り、そこで彼を始末したがっていた、とこの人物は言う。サウジアラビアが、カショギを逮捕し、尋問するつもりだったのか、あるいは彼を殺害するつもりだったのか、あるいはアメリカ合州国が、カショギに、標的になっていると警告したかどうかは明らかではないとこの人物は言う。

 もしアメリカ諜報機関が、カショギに対する危険を知っていれば Intelligence Community Directive 191 - Duty to Warn (pdf)が適用されていたはずだ。

 個人や団体(以下、狙われた被害者と称する)に対する、意図的殺害、重大な肉体的損傷や、拉致の差し迫った脅威を示す信頼に足りる、具体的な情報を収集あるいは入手した情報コミュニティー要員は、必要に応じて、狙われた被害者、あるいは狙われた被害者を保護する責任を負う人々に警告する義務を有する。これには、標的が組織、事業所、建物や、場所である脅威が含まれる。狙われた被害者という言葉は、EO 12333、Section 3.5(k)に規定されるアメリカ人と、非アメリカ人の両方を含む。

 ICD 191を素直に読めば、アメリカ諜報機関が、カショギにサウジアラビアの脅威を警告しなければならなかったことが規定されている。彼らは警告したのだろうか、しなかったのだろうか?

 この指令には、警告をしないでおくことを認めるいくつか例外がある。もし情報が友好的な諜報機関からのものであれば、情報源の保護と方法が、警告より優先する(規則のE.3.e. )

 もしアメリカ諜報機関が、情報をイギリス政府通信本部から得たのであれば、カショギに対する警告は、GHCQイギリス政府通信本部が、サウジアラビア人王族が誇らしげに見せびらかすシスコの電話を全て盗聴していることを明らかにしてしまう可能性がある。だがカショギに対する警告が何かを暴露する危険性はほとんど無かった。サウジアラビア人が、アメリカやイギリスや他の国々の諜報機関が、彼らの特権的な会話ですら盗聴していると想定しているのは確実だ。

 警告しなかったのには他の理由があり得る。トランプの娘婿で、上級顧問のジャレッド・クシュナーは、MbSと良い個人的関係にある。3月に、MbSによれば、クシュナーが、MbSの敵に関するアメリカ諜報情報をあかしたThe Interceptが報じた。

 弾圧の後、サウジアラビアと首長国の王家のメンバーと連絡をとっている三人の情報源によれば、クシュナーが皇太子に不忠なサウジアラビア人の名前を出したと、会談後、ムハンマド皇太子が側近に語ったと言う。

 会談は2017年10月末に行われた。約一週間後、サウジアラビア皇太子は、彼の裕福な親戚や他のサウジアラビア億万長者を何百人も、リヤドのリッツ・ホテルに監禁し、彼らに資産を引き渡すよう圧力をかけた。

 クシュナーが、内輪でMbSを批判している人々を密告するのに何の良心の呵責も感じないのは明らかだ。

 (2018年2月、クシュナーは、暫定的な機密情報クセス権限を取り消されて、最高レベルの諜報情報ブリーフィングへのアクセス権を失った。これは彼の軽率さに対する陰の政府による報復だった可能性がある。5月に、クシュナーは、最終的に完全に合格して、またアクセス可能になった。)

 カショギに警告しないというのが、ホワイト・ハウスの判断だった可能性もある。人権問題を巡って、同盟国に異議を唱えないのがトランプ政権の政策だ。国務省は、人権侵害批判は、アメリカの'敵'にだけ適用することを説明するメモまで作成している

 もしサウジアラビアが、カショギをつかまえたがっているのであれば、彼らに彼を捕まえさせれば良いではないかとホワイト・ハウスが考えた可能性がある。

 トランプの外交政策は、サウジアラビアとの良好な関係にかかっている

 トランプ政権は、大統領以下全員、サウジアラビア関係に大変な投資をしている。シンクタンク、ウィルソン・センターの学者で行方不明ライターの親友ロビン・ライトは、それが変わる可能性はまずないと言う。地域に対するイランの影響力への対抗や、過激派との戦いや、イスラエルとパレスチナ間の未発表和平計画に対する支持構築を含め政権の中東政策は、サウジアラビアに大きく依存している。

 トルコとカタールの支配者とマスコミは、事件を宣伝し、サウジアラビア政権を罵るのに最善を尽くしている. カショギが寄稿していたワシントン・ポストが事件を忘れることは確実にあるまい。他の '欧米'メディアやジャーナリストも事件に立腹している。カショギは、彼らの一員政権の中東政策は、自分たちがそう思っている支配層エリートで、このような仕打ちは許せないのだ。

 MbSとトランプ政権は、実際傍観し、事件を巡る深刻な影響に対する要求に答えずに済むのだろうか?

 そうなる可能性はある。結局、イエメンや他の場所で、日々彼らが行っている殺人を巡って、誰もアメリカ-サウジアラビア同盟に異議申し立てをしていないのだ。もしサウジアラビアがカショギを拉致していて、彼がまだ生きている証拠を示せば、マスコミの憤激は間もなく、おさまるだろう。もしトルコ政府が、持っていると主張する、殺害のビデオを公表しても、他の報道機関が事件を一面から外すまでの時間を長引かせるだけだろう。

 MbSやトランプが心配すべき本当の理由はない。

記事原文のurl:http://www.moonofalabama.org/2018/10/us-intelligence-had-a-duty-to-warn-khashoggi-why-didnt-that-happen.html

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 電力が余るので、太陽光発電を抑制するという愚行。原子力こそ停止すべき。

 大本営広報部、豊洲市場の御祝儀呆導。岩波書店の月刊誌『世界』11月号には、「卸売市場法改定と豊洲市場移転 食の流通の変容」という記事がある。こうした重要な視点を、大本営広報部は一切触れない。本質から話題を逸らすのがお仕事。

 今日の孫崎享氏メルマガも、この事件が話題。今日のIWJガイドでも触れられている。

日刊IWJガイド「サウジ王室『最高位』の人々が、王室に批判的なジャーナリストの暗殺を命令!?」2018.10.13日号~No.2221号~(2018.10.13 8時00分)

2018年10月12日 (金)

重要なディベートでジョン・ミアシャイマーとスティーヴン・コーエンが妄想的ネオコン-ネオリベ体制派と対決

Federico PIERACCINI
2018年10月10日
Strategic Culture Foundation

 2018年9月20日、ニューヨークで、世界という舞台で今我々が目にしている物の多くを理解するのに役立つ極めて重要なことに関する討論をIntelligence Squaredが主催した。

 討論は主要な三つの問題について行われた。一つ目はNATOの役割(“NATOは、もはや目的にかなっていない”)、二つ目はロシアについて(“ロシアの脅威は大げさだ”)、そして、三つ目はイランについて(“イランに対して強硬路線を取るべき時だ”)。

 こうした重要な問題を議論するため、5人の極めて特別なゲストが招かれた。つまりドイツ・マーシャル基金副総裁で元国防次官補のデレック・チョレット、ロシア研究・ロシア歴史のスティーヴン・F・コーエンニューヨーク大学名誉教授、民主主義防衛財団上級研究員で元CIAアナリストのリュエル・マーク・ゲレクト、アメリカ政治学者のジョン・J・ミアシャイマー・シカゴ大学政治学部教授と国際戦略研究所のコリ・シェイク次長だ。

 パネル・メンバーを見れば、アメリカ外交政策の介入主義を支持し、アメリカ合州国を必要欠くべからざる国と見ている他の三人に対し、議論に現実主義的な視点をもたらすべくコーエンとミアシャイマーが招かれたことにすぐ気がつく。ワシントンの覇権政策が、いかにアメリカの一極支配の終焉を促進し、世界に混乱を引き起こしているかを、アメリカ人や世界の人々に説明する上で、コーエンとミアシャイマーは、何十年ではないにせよ、何年も一緒に活動している。

 コーエンと、特にミアシャイマーは、純粋な現実主義者だ。攻撃的現実主義や防御的現実主義やオフショア・バランシングの差異詳細に立ち入ることなしに、二人はいったいなぜ、アメリカの行動が、ベルリンの壁崩壊以来、世界中で我々が目にしている結果を引き起こしたに関して首尾一貫した見解を示している。

 コーエンとミアシャイマーの活動をずっと見てきて、国際関係の分析で二人が現実主義者だと知っている人々にとって、この討論は見るに耐えず、いらだたしいが、現在の分裂を理解するには大いに有用だ。実際、他の三人のパネリストは入念な分析が必要だ。デレック・チョレットはオバマ政権で働いており、新自由主義陣営の一員だ。チョレットは、2003年、イラクでの大失敗後、他の手段を用いて、つまり、いわゆるアラブの春やカラー革命でなどにより画策されるクーデターで、主権国家を転覆させることを選んで、帝国主義者陣営に入った。民主主義を広めるという名目で、アメリカや同盟諸国の手によって、リビアやウクライナやシリアなどの国々は言語に絶する荒廃を被っている。

 アメリカ外交政策全般を代表すべく、ブッシュ時代彷彿とさせるネオコンの主張を繰り返す強硬論者として、元CIA職員リュエル・マーク・ゲレクトが招かれた。元G.W.ブッシュ顧問のコリ・シェイクは、NATOと、ヨーロッパで最もロシア嫌いで、イラン嫌いの国々立場を代表するネオコン-新自由主義の破壊的ささげ物だ。

 こうしたゲストと出された質問を見れば、全く正反対の立場が見られるのは明らかだ。コーエンとミアシャイマーは、事実上、共生関係で、少しだけ異なる視点からながら、同じ結論だ。ソ連崩壊と冷戦終了後、アメリカ合州国は自分が直接敵対する国がない唯一の超大国であることに気づいた。それ以降のワシントンの任務は、世界を自分のイメージと似たものに作り替え、世界の隅々に民主主義を輸出し、地政学的敵国をソフト・パワーやハード・パワーで攻撃することだった。ところが、こうした一連の行動が、皮肉にも、この一極支配の終焉を促進するのに役立っているだけだ。

 アメリカは、自身の愚かな考えと行動で、自らを損なうのに成功しているにすぎないことを、ミアシャイマーとコーエンワシントンはあらゆる答えで、繰り返そうとした。一番目のNATOについての疑問に対しては、ミアシャイマーもコーエンも、冷戦後のNATOの東方拡張が、ヨーロッパにおける不安定の主要因であることを強調した。三人の新自由主義-ネオコン連中は、便宜上“帝国主義者”と呼ぶことにするが、ロシアから自らを守る狙いで、ヨーロッパ内でのアメリカ駐留を要求したのは、実際、ヨーロッパ諸国だと応酬した。三人の帝国主義者は、ヨーロッパの同盟諸国は、自分たちの軍事支出を増やすのを避けるため、ヨーロッパ内のアメリカ駐留を望んだだけだという、オバマとトランプの選挙運動から借用した、単純で単刀直入、当意即妙のミアシャイマーの答えをはねつけるか無視した。ミアシャイマーが言ったことを、どうも聞いていないようで、三人は、ポーランドとバルト諸国が、アメリカ駐留を要求する限り、ワシントンは、それに答えざるを得ないと主張した。ロシア国境に向かってのNATO前進が、多くの戦線で、グローバル同盟国になるべき二国だと彼が考えているロシアとアメリカとの関係をいかに損なったか、今までに何度もしてきた説明をするのは、コーエンにとっても、もどかしかったろう。ミアシャイマーは、三人の帝国主義者連中に、モンロー主義を想起するよう促し、外国勢力が西半球に軍事的に根を下ろすなど、アメリカにとってどれだけ不愉快だろうとまで言った。彼は、ソ連によって、アメリカのすく近くにもたらされたキューバ・ミサイル危機も想起させた。

 不幸にして、三人の帝国主義者はコーエンとミアシャイマーの主張で窮地に追い込まれても、ただ無視したり、うまく言い抜けたりした。三人の中で、最も攻撃的な帝国主義者だったのは、当然ながら、ヨーロッパ内のアメリカ駐留は、ロシアを寄せ付けないためだけでなく、二つの世界大戦で起きたような、お互いが破壊しあう闘争というホッブズ的自然状態にヨーロッパが陥るのを防ぐためにも必要なのだと傲慢な主張した元CIA職員だ。

 ヨーロッパにおけるNATOに関して、元CIA職員が言った主張に、コリ・シェイクとデレック・チョレットが全面的に賛成したのは驚くべきことではない。コーエンが、会場の人々に、ウクライナ・クーデターは、欧米が画策し資金提供したものだったことを想起させても、ウソで、ばかげていると切って捨てられた。デレック・チョレットはこう断言した。 "マイダン運動の出現は自然発生的なもので、モスクワの手中にある独裁者を前にして、ヨーロッパへの近しさを訴えたものだ"。二つ目の疑問は、一つ目と関係しているロシアと、世界におけるその役割についての議論だ。またしても、コーエンもミアシャイマーも忍耐力を奮い起こし、一般大衆に、欧米による挑発に対して、プーチンがいつもどう行動しているかを説明せざるを得なかった。(ゴルバチョフに対する、NATOをドイツより先に広げないというブッシュの口約束にもかかわらず)NATOの東方拡張が、2008年のジョージアと、2014年のウクライナでの戦争原因なのだ。もちろん、三人の帝国主義者は、この主張を否定し、いわれのない攻撃だと、プーチンを非難し、国際的な舞台での悪役、ロシアに対抗するため、ヨーロッパ内のアメリカ駐留が必要な理由を確認した。ロシアと中国を分裂させるキッシンジャー戦略を、ミアシャイマーがまねて言っても、モスクワと北京に対する攻撃的姿勢は、アメリカ合州国を傷つけるだけで、一極支配の終焉を促進し、ワシントンを他の諸大国から孤立させることになる多極的現実の誕生を醸成することを、出席していた人々を説得できなかった。

 独裁者は、常にお互いに同盟を結ぶものなので、ロシアと中国とイランの間の協力は驚くにはあたらないと、三人の帝国主義者は認めた。おまけに連中は、アメリカには、複数の戦線で同時に対応する能力があるので、アメリカ合州国はこの状況でおびえるにはあたらないと言った。幸い、そのような妄想的な希望的観測を駄目にしたアフガニスタンやイラクやシリアやリビアの大惨事を想起させるコーエンの言葉が聴衆の笑いを引き起こした。そうした瞬間は、帝国主義者連中の主張が、いかにばかばかしいかを浮き彫りにするのに役立った。帝国主義者連中による主張に反対することに慣れていない聴衆の目を開けるのには、二、三のそうした議論で十分だ。

 二つのそうした教訓的な瞬間が傑出している。一つは、アメリカ合州国は、いかにしてそうしたことを成功させるか知っていると言って、イラン国内でのクーデターを主張した元CIA職員への反論だった。ところが、イラクやリビアやシリアやアフガニスタンでの失敗を想起させるミアシャイマーの反論が聴衆の大喝采を引き起こした。こうした主張が、オバマやトランプの選挙運動中、当選するために、どのように使われたかを、ミアシャイマーは思い出させた。もう一つ、一層効果的だったのは、イランについてのものだった。多くの近隣諸国(シリア、イラク、レバノン、イエメン)に対する影響力を高める狙いの、地域に対するイランの影響力とされるものゆえ、イランに対する更なる圧力を主張したコリ・シェイクに答えて、ミアシャイマーは、政権転覆と多国内政への介入という点では、アメリカ合州国が世界チャンピォンだという途方もない偽善を指摘した。その直後の大喝采が、この見解の議論の余地ない真実さを証明している。

 不幸なことに、討論は、聴衆の大半が、NATOは根本的に重要で、ロシアは悪役で、アメリカはイランに更に圧力をかける必要があると考え続けるだけに終わった。討論前と後で考え方を変えた人々の人数は重要だが(ミアシャイマーとコーエンは、最初の二つの疑問に関して、約10%の聴衆の考え方を変えた)、全体に比べれば、依然ごくわずかだ。

 オンライン観客として、私は違う感覚を味わった。私が一番いらだったのは、出席している三人の帝国主義者によって増幅され、繰り返される主流マスコミのありとあらゆるウソの山と、コーエンとミアシャイマーの主張が闘うという討論のダビデとゴリアテ的な性格にある。一般の人々は、帝国主義者の主張を聞くことにずっと慣れているのは確実だ。条件付けられた聴衆を説得するのに、コーエンとミアシャイマーに十分な時間があったとは言い難い。それでも、参加していた人々の一部は討論後、考え方を完全に変えた。NATOは必要不可欠で、ロシアは侵略的だという信念で会場に来た一部の人々は、NATOは今や陳腐化しており、ロシアは侵略者ではないという考えになって帰宅することとなった。

 この討論全体から、導きだせるのは、ミアシャイマーとコーエンの二人は、一般通念に対決し、分解し、破壊するのを恐れない素晴らしい人物だということだ。現在、我々の暮らしの上で、情報に通じていることはかかせない。適切に情報を得ていなければ、投票して、議員を選出する準備がで出来ているとは言えない。その場合、民主主義と思い込まされている中で、物事の成り行きを適切に方向づけたり、決定したりすることができなくなる。

 この討論は、アメリカ帝国主義者の世界が、現実世界から、どれほど遊離しているか、そして、特にこのネオコン-新自由主義の物の考え方が、どれほどの損害を実際にもたらしたかを示し、皮肉なことに、狙ったものと逆の、アメリカによる世界支配の終焉を促進させるのにしか役立たない結果を生み出すのに成功している。こうした情報が広がり、益々多くの人々に伝われば、ヨーロッパ-アメリカ支配体制の破滅的な行動についての理解が増すだろう。アメリカ合州国が向かっている方向は、世界におけるアメリカの役割にとって有害な結果しかもたらさないと警告して、コーエンとミアシャイマーは、国のために活動しているのだ。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/10/10/john-mearsheimer-stephen-cohen-take-delusional-neocon-neoliberal-establishment-vital-debate.html

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 戦争への道をまっしぐらに進んでいると、常々感じている。違いは一つ。昔は、大本営によってだったが、今は、宗主国の戦争屋によって。宗主国の戦争屋が指揮した戦争が、この二人の碩学が指摘しているとおりの悲惨結果になっていることからして、次の戦争も、今の宗主国の侵略戦争と似たような結果になるだけだろう。

加藤周一はいかにして「加藤周一」となったか 『羊の歌』を読み直す』 を読んでいる。目からうろこ。

「まえがき」の8ページ

つまり、『羊の歌』に描かれる「戦前」に、今日の状況がきわめて似てきたということである。その意味では『羊の歌』を「いま」読みとくことは、「いま」を歴史の中で考えることにほかならない。

195ページ

「事件や出来事」と「馴化」の繰りかえしによって「既成事実の積み重ね」が進む。誰もが気づいたときには、はるかに遠くに来てしまっていて、取り返しがつかない。21世紀初めに日本社会で起きている趨勢もこういうことではなかろうか。

2018年10月11日 (木)

中国のウィグル問題 - 言及されない側面

2018年10月5日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 ここ数カ月、欧米マスコミとワシントンの政権が、中国北西の新疆で、最大100万人の中国ウイクル人が拘留され、様々な“再教育”を受けさせられているとされる大規模強制収容所とされるものを巡って激しい非難を始めている。嫌疑に関するいくつかの点において、とりわけ、全てが、欧米マスコミや、その信ぴょう性実績が今ひとつ物足りないヒューマン・ライツ・ウォッチのような“民主主義”NGO発なのは注目に値する。

 8月 ロイターは“中国が100万人のウィグル人秘密収容所を運用している信ぴょう性の高い報告があると国連が表明”という見出し記事を報じた。記事を詳細に見ると、公式の国連政策声明ではなく、独立委員会の国連を代弁しているわけではない中国経験皆無の一人のアメリカ人委員発言の引用だ。主張の情報源は、国連の独立諮問NGO、人種差別撤廃委員会というものであることが分かった。嫌疑を主張している唯一の人物は、アメリカの委員、ゲイ・マクドゥガルで、彼女は“信ぴょう性の高い報告”に関する“深い懸念”を表明していた。マクドゥガルは、その劇的な嫌疑についての何の情報源も挙げていない。

 ロイターは、その記事で、ワシントンDCに本拠を置くいかがわしいNGO、中国人権擁護団(CHRD)を引用して主張を強化した。素晴らしい背景調査で、グレイゾーン・プロジェクトのリサーチャーは、CHRDが、匿名の諸政府から何百万ドルも得ていることを発見した。悪名高いアメリカ政府NGO、全米民主主義基金は札付きリストの上位にある。CHRD幹部の住所が、ソロス財団からも資金を得ているヒューマン・ライツ・ウォッチと同じなのは注目に値する。

‘ウイグル問題’

 ウイグル族に関する中国新疆省における事態の本当の状況は、そのような収容所が存在するのか、そして一体どのような条件の下で、一体誰がそこにいるのかを独自に検証するのは不可能だ。とは言え、トルコやアメリカ、更にサウジアラビアのものも含めNATO諜報機関が、シリア国内で、近年、アルカイダや他のテロ集団に加わっている何千人もの中国ウイグル・イスラム教徒の募集と配備に関与している事実が判明している。この精査が必要な側面を、ロイターやヘイリー国連大使は無視している。

 Voltaire.netが引用しているシリアのメディアによれば、現在、シリア内には、18,000人のウイグル族がいて、トルコのシリア国境の村々に最も集中していると推測されている。2013年以来、シリア国内でアルカイダとともに戦ったそうしたウィグル人兵士が、中国の新疆に帰国し、そこで様々なテロ行為を行っている。これは中国国内でテロと不安定の種を蒔くためのNATOとつながる卑劣なプロジェクトのごく一部だ。新疆は中国の一帯一路構想の要で、カザフスタンからのロシアの戦略的石油・ガス・パイプラインの交差点で、何十年間にもわたり、CIA策謀の主要標的だ。

 少なくとも、バッシャール・アル・アサドのシリアに対するNATOの戦争が始まった2011年以来、シリア国内で聖戦士になる中国ウイグル人の流入を促進する上で、トルコは主要な役割を演じてきた。それが今でもそうなのか、それとも、エルドアンとトルコ諜報機関にとって、厄介なことになっているのか、疑わしきは罰せずとするために、私はここで、意図的に“来た”と過去時制を使った。ともあれ、シリアには何千人ものウイグル人が、大半は反政権テロリスト最後の砦と報じられているイドリブ周辺に潜伏しているようだ。

ワシントンとETIM

 21st Century Wireのシリア人ジャーナリスト、Steven Sahiounieは、中国ウイグル族のテロの歴史の素晴らしい分析で、中国ウイグル人青年が過激化する背景にある主要組織は、東トルキスタン・イスラム運動 (ETIM)と、“Katibat Turkistani”としても知られている、その政治フロント団体トルキスタン・イスラーム党(TIP)だと述べている。彼は、1995年の、当時市長だったエルドアンのイスタンブールにおける演説を引用しており、エルドアンは“東トルキスタンはチュルク語族の故郷であるのみならず、チュルク語族の歴史や文明や文化の発祥の地でもある”と言っている。東トルキスタンは新疆だ。

 ETIMは、現在、ワシントンDCに本拠を置く東トルキスタン共和国亡命政府の自称首相、アンワル・ユスフ・トゥラニが率いている。アメリカ国務省がテロ組織としてリストに挙げている時期に、ETIMはワシントンに移転しており、奇妙な動きだ。トルコの調査報道雑誌Turk Pulse報道によれば、トゥラニの組織の“亡命政府のための活動は‘新疆プロジェクト’と題する報告書に基づいている。これは元CIA幹部職員のクラハム・E・フラーにより、1998年にランド研究所のために書かれ、2003年に‘新疆問題’という題名で改訂されたものだ”。

 私の本『The Lost Hegemon』で、CIA幹部工作員クラハム・フラーについて、私は詳細に書いた。元イスタンブールCIA支局長のフラーはレーガンとブッシュのイラン-コントラ事件の設計者の一人で、ギュレンのアメリカ亡命を推進したギュレンの主要CIAというか、ハンドラーだった。2016年のクーデター未遂の夜、イスタンブールにいたことを彼は自ら認めている。1999年、ロシアのエリツィン時代末期、“イスラム教の発展を導き、 我々の敵と戦う彼らを支援する政策は、アフガニスタンで、ロシアに対して、見事に大成功した。同じ戦闘教義は、残されたロシア勢力の不安定化や、特に中央アジアにおける中国の影響力に対抗するのに依然利用可能だ”とフラーは発言していた。これこそ、アメリカによるETIMの兵器としての密かな利用の狙いだ。大半の過激スンナ派聖戦戦士集団同様に、トゥラニのETIMは、最も過激なスンナ派聖戦戦士集団として、サウジアラビアから資金提供を受けている。

 1990年代末期、アブ-ムハンマド・アル-トルケスタニとしても知られている東トルキスタン・イスラム運動の創設者ハサン・マフスムは、ETIM本部をカーブルに移し、タリバンが支配するアフガニスタンに避難した。アフガニスタンで、ETIM指導部は、オサマ・ビン・ラディンやCIAが訓練した他のアルカイダやタリバンやウズベキスタン・イスラム運動の指導者たちと会い、中央アジア全体で行動の調整をはかった。2003年、パキスタン軍がアル-トルケスタニを暗殺すると トゥラニがETIMのトップとなりワシントンまで講演にでかけた。

 新疆についての彼自身の研究で、CIAのクラハム・E・フラーは、サウジアラビア集団が新疆内の支持者を通して、過激なワッハブ派宗教文書や、場合によっては、小火器を流布し、若いチュルク語族イスラム教徒たちをパキスタンやアフガニスタンやサウジアラビアのマドラサ(学校)で学ぶよう勧誘したと述べている。1980年代、新疆出身のウイグル族が、オサマ・ビン・ラディンのアルカイダと共にアフガニスタンで戦ったとも彼は述べている。

 フラーはこう書いている。“ウイグル族は実際、新疆外のイスラム教集団と接触しており、その過程で、彼らの一部は、より広範な聖戦戦士政治へと過激化し、ごく少数は以前、アフガニスタン国内でのゲリラやテロリスト訓練に関与し、国際的なイスラム教ムジャヒディンと接触し、世界中で、独立というイスラムの大義のために戦っている.”

 2018年1月のペンタゴン国防戦略政策文書は、ロシアと共に、中国をアメリカ覇権の継続にとっての主要戦略的“脅威”として明示的に挙げている。文書には“テロではなく、国家間の戦略的競合が、現在、アメリカ国家安全保障上の一番の関心事だ”と書いてある。明確に、この新しいペンタゴン論文は、軍事的脅威ではなく、経済的脅威を挙げている。この文書は“中国とロシアが、体制の内部から、自分たちの利点を利用し、同時に、その原則や‘交通規則’を無視し、今や国際秩序をむしばんでいる”と述べている。中国に対する貿易戦争や、新疆内のウィグル人収容所とされるものを巡る経済制裁の恫喝や、もし中国がロシアの防衛装備を購入したら経済制裁するという恫喝などのエスカレーション、こうしたこと全て、ワシントンのグローバル秩序に対して出現しつつある唯一の脅威を、自由や正義ではなく、恐怖と暴政に基いて破壊するのを狙ったものだ。この全面攻撃に、中国当局が一体どのように対処しようとしているのかは、また別の問題だ。とは言え、新疆での出来事の文脈は、明らかにされる必要がある。欧米、特にワシントンは、中国の安定性に対する全面的非正規戦争を行っているのだ。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書。オンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/10/05/china-s-uyghur-problem-the-unmentioned-part/
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 せがれブッシュが、親のコネ、政治力で、ベトナム行きを逃れるため、州兵になったが、それもさぼっていた事実をあばいたCBS報道チームが極右ブロガーの攻撃をきっかけに、解散させられたその本人が書いた本『大統領の疑惑』を読んでいて、思い出した一節がある。宗主国のこの醜い事実、つまり、「持つ者は戦争にゆかずに済み、持たざる者は戦場にゆかされる戦争」と全く逆の妄想を語る文章。とうてい正気とは思われない。筆者は『大統領の疑惑』を読んだのだろうか。

『もちろん、戦時においては前線や銃後を問わず、死と隣り合わせではあるものの、それは国民のほぼすべてが同様である。国民全体に降り注ぐ生と死のギャンブルである戦争状態と、一部の弱者だけが屈辱を味わう平和。そのどちらが弱者にとって望ましいかなど、考えるまでもない。
 持つ者は戦争によってそれを失うことにおびえを抱くが、持たざる者は戦争によって何かを得ることを望む。持つ者と持たざる者がハッキリと分かれ、そこに流動性が存在しない格差社会においては、もはや戦争はタブーではない。それどころか、反戦平和というスローガンこそが、我々を一生貧困の中に押しとどめる「持つ者」の傲慢であると受け止められるのである。』

大統領の疑惑』の399ページにはこういう文章がある。

つまり、キリアン・メモを信じるかどうかは別にして、あるいはブッシュの世界のリーダーとしての資質を信じるかどうかも関係なく、記録によると次の事実が明らかになっている。ブッシュ大統領は任務をまっとうせず、国に対する責任を果たさず、今日の過重労働で戦いに疲れた州兵においては一瞬たりとも許されない態度をとった、ということだ。現在、州兵たちは日々、多大な犠牲を払っている。若き日のジョージ・W・ブッシュや、ヴェトナム戦争の時期に有力なコネを持ち、完全に守られた特別な立場を約束されていた人たちには想像もつかないだろう。
さらには、その後何十年間にもわたり、ブッシュや彼の顧問、擁護着たちはこの問題について言い逃れをし、隠し立てをし、真実のまわりに防火壁を築き、すくなくとも省略することで嘘をついてきた。アメリカの国民たちにテキサス州兵航空隊に入ったいきさつについて、州兵を出た理由と時期について、そしてアメリカを守るためにメキシコ湾上空をF-一〇二機で飛んでいるはずだった時期に何をしていたかについて、ほんとうのことは言っていない。
錯綜したブッシュの州兵時代の話は、一見わからないが、影のようにその人物についてまわる大統領の真実の一つだ。クリントンの女性に対する甘さ、カーターの独善的な性格、ニクソンの秘密主義、レーガンのトラブルを魅力で切り抜ける能力、ジョンソンのテキサス大の不安感などと変わらない。ブッシュ大統領は、自分が特別扱いを受けてきたことをどこまでも否定する。決してそれを認めようとはしない。彼は州兵に入ったときに助けてもらい、出るときにも助けてもらい、野球を始めるにも政治の世界に入るにも、人生を通じてあらゆるトラブルを避けるのにも人に助けてもらっている。

2018年10月10日 (水)

背筋の凍るようなサウジアラビア人行方不明事件‘改革者’皇太子という欧米マスコミ幻想を粉砕

Finian CUNNINGHAM
2018年10月8日
New Eastern Outlook

 在イスタンブール・サウジアラビア領事館訪問中、著名な評判の高いサウジアラビア人ジャーナリストが陰惨に殺害されたニュースは、全ての欧米マスコミに衝撃を与えた。

 背筋の凍るような事件は、サウジアラビア政権の専制的本質を強調するだけではない。欧米マスコミが“改革者”としてもてはやしてきたt石油王国の若き支配者皇太子に関する幻想も粉砕したのだ。

 先週10月2日火曜日、ジャマル・カショギは、予定している結婚に関する公式文書を入手するため、予約の上、在トルコ・サウジアラビア領事館に入館した。午後1時頃のことだった。彼の婚約者は外で彼を待っていた。しかし彼は決して現れなかった。四時間後、心配した婚約者が、領事館建物内で彼がサウジアラビア当局に拘留されているかも知れないと懸念して、カショギがそうするよう助言していた通り、トルコ当局に電話した。

 カショギは、マスコミの中でも、ワシントン・ポストやBBCの著名解説者だった。彼の行方不明は、先週国際的に見出し記事になった。サウジアラビア当局は、カショギは領事館を出たと言って、悪意を持った関与は一切していないと主張している。

 ところが奇妙なことに、老齢の父親の代わりにサウジアラビア王国の事実上の支配者であるムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が、ジャーナリストの行方不明は、自国役人の責任ではないとブルームバーグ通信社に語って論争に加わったのだ。実際、皇太子が、事件について、公的に発言する必要性を感じたというのは、奇妙に思える。

 ところが、四日後、行方不明は衝撃的な展開になった。

 現在、カショギは、暗殺のためサウジアラビアから派遣された暗殺部隊によってサウジアラビア領事館内で殺害されたと報じられている。15人の暗殺部隊が、捕虜を拷問し、たぶん彼の遺骸を構内から、外交特権で密かに持ち出すため遺体をバラバラにしたというトルコ警察筋の報告には、更にぞっとさせられる 。

 サウジアラビア当局は、カショギは、彼が訪問した日の10月2日に領事館の建物を出ていったという主張を繰り返して、依然、事件での潔白を主張している。しかし、この説明は、カショギの婚約者の主張と完全に矛盾している。

 更に、領事館の建物には無数のCCTV監視カメラがあるのに、サウジアラビアは、ジャーナリストが構内から歩いて出ていったのを示す映像公開を拒否している。

 トルコ警察が、サウジアラビア領事館の敷地内で犯罪行為が起きたという想定のもとで、犯罪捜査を開始したと報じられている。先に書いた通り、未確認のトルコ警察筋はカショギは、サウジアラビア工作員連中に残虐に殺害されたと考えている。

 殺人とされるもので特に衝撃的なのは、ジャマル・カショギが立派なジャーナリストとして世界的に有名なことだ。昨年サウジアラビアで、ムハンマド皇太子が権力の座について以来、カショギは彼が気まぐれな専制君主と見なす人物に対し益々批判的になった。

 カショギがかつてはサウド王家宮廷の身内と見なされていたがゆえに、彼の批判は、一層悪影響があった。彼は、元駐米、駐英大使だったトルキ・ファイサル王子のメディア顧問を勤めたこともある。

 2017年9月、ムハンマド皇太子が、サウド家の他の古参メンバーに対する徹底的粛清を始めると、カショギは自ら亡命した。逮捕され、拘留中に拷問されたと報じられている何百人もの人々の中には、超億万長者投資家で、カショギを、彼のアラブ・ニュース組織の編集長に任命したメディア界の大物アル=ワリード・ビン・タラール王子もいた。

  亡命中、ムハンマド皇太子の下での事実上のクーデターに、カショギは一層批判的な記事を書き始めた。彼はワシントン・ポストで定期コラム記事を書いて、サウジアラビアが率いるイエメンでの悲惨な戦争や、ペルシャ湾の隣国カタールに対する無益な封鎖を強調している。彼は皇太子指揮下の“改革”の魅力なるものは、現実というより、幻想だとも警告していた。

 重要なのは、このジャーナリストが、サウジアラビア国内で起きている変化について、ワシントン・ポストを含む欧米マスコミによる肯定的な報道と比較して全く異なる見解を表明していたことだ。

 彼が陰の支配者となって以来、欧米マスコミは、33歳のムハンマド皇太子を“改革者”として、もてはやしがちだった。敵に対する彼の弾圧を、彼の権力を強化するための“騙し討ち”という、現実的な説明をするのではなく、長年懸案だった腐敗や縁故主義粛清として報じていた。

 ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズやBBCなどは、カショギの批判的なコラム記事にもかかわらず、若い支配者を、サウジアラビア君主制の“古く保守的な”イメージからの胸のすくような離脱として描き出そうとしていた。

 皇太子は、アメリカのドナルド・トランプ大統領や、フランスのエマニュエル・マクロン大統領にもてはやされてきた。

 原理主義的なワッハーブ派王国サウジアラビアでの女性による自動車運転禁止や映画館開設という彼の国王令は、皇太子がいかにサウジアラビアを“近代化”しようとしている好例として称賛されてきた。

 トランプやマクロンやイギリスのメイやカナダのトルドーにとって本当に魅力があったのは、イエメンでの戦争を煽るための新たな武器契約での、サウジアラビア支配者による飽くなき支出だったのではあるまいかと疑いたくなる。

 それでも、鋭い批判者達は、“改革”を、単なる形ばかりの広報活動と見ていた。些細な変化は実施されつつあるが、サウジアラビア政権は、サウジアラビア東部州の少数派シーア派に対する残虐な弾圧を強化し、イエメンでの殺戮や大量虐殺的封鎖を継続している。政権は女性や他の人権活動家逮捕も継続している。そうした女性たちの中には、今、斬首による死刑を待っているイスラー・ゴムガムなどもいる。

 発言権がなく、サウジアラビアの監獄や拷問センターに投げ込まれている人々のために、カショギが彼の表現で言えば“異議を唱えている”のは評価できる。

 そうすることで、自分を危うい状態においていることを、59歳のジャーナリストは知っていた。サウジアラビア王家による説得や、身の安全の“保障”にもかかわらず、サウジアラビア帰国を、彼は拒否してきたと報じられている。

 これは、カショギが、新たな結婚に必要な離婚証明書を受け取るためにイスタンブールのサウジアラビア領事館を訪れた理由の説明になるだろう。彼は9月28日に領事館を訪れ、10月2日に、書類を受け取るため再度来訪するよう言われていたのだ。

 それによって、サウジアラビア支配者連中が、致命的なワナを準備する十分な時間が得られたように見える。15人の暗殺部隊は、10月2日にカショギを捕らえるために編成されたと報じられている。

 著名ジャーナリストが領事館の建物を訪れることすら安全ではないというのは時代の気味悪い兆候だ。現在のサウジアラビア支配者連中がどれほど国際法を軽蔑しているかの気味悪い兆候でもある。

 トランプやマクロン大統領などの欧米指導者による、へつらう甘やかしのおかげで、ムハンマド皇太子は、何であれ彼の専制的な気まぐれが望むことをしても、自分にはある種の免責特権があると思っているのは確実だ。この訴追免除、刑事免責されるという感覚は、改革する“魅力的な皇太子”というばかばかしい妄想を報じながら、サウジアラビアによる犯罪を見て見ないふりをしてきた欧米マスコミによって育てられたものでもある。

 自分たちの寄稿者の一人、ジャマル・カショギが“改革中の”サウド家の命令で残虐に殺害されたように思われるがゆえに、まさにこのおべっか使いの欧米マスコミ連中は、ショックを受けているのだ。

 これは粗野な、血も凍るような覚醒だ。サウジアラビアに関する欧米マスコミのウソが粉砕されただけではない。横暴なサウジアラビア政権を、どれほど卑劣なやり方であれ連中が好きに行動するよう、つけあがらせた欧米マスコミのやり方ゆえに、これまで実に多数のことで連中が共謀してきたと同様、そうしたウソで、連中は最新のサウジアラビア犯罪の共犯なのだ。

フィニアン・カニンガム

大手新聞社の元編集者・記者。国際問題について、広範囲に書いており、いくつかの言語で発表されている。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/10/08/macabre-saudi-disappearance-shatters-western-media-illusion-reforming-crown-prince.html

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 同じ筆者による別記事「US-Saudi Split Looming?」もある。ところで、アメリカ国連大使、突然辞任を発表した。

  「驚きの愛媛県知事会見」こそ「いつまでもモヤモヤ感は払拭はできない」。

 会場からの、適切な対応。

菅氏は、安倍首相の追悼の辞を代読。「基地負担の軽減に向けて一つ一つ確実に結果を出していく決意だ。県民の気持ちに寄り添いながら沖縄の振興・発展に全力を尽くす」と読み上げた。会場からは「うそつき」「帰れ」などの声が上がった。

 孫崎享氏のメルマガで知った映画。『モルゲン、明日』。

第二次世界大戦での自国の行いを深く反省し、1968年の学生運動をきっかけに芽生えた反原発・環境保護の意識と情熱を政治に反映し、次世代につなげようとしている彼らの姿は、世界は市民の手で変えられると教えてくれる。

日本で知の巨人と呼ばれた人物の言葉は「反原発」で猿になる。彼はオウムも擁護した。

2018年10月 9日 (火)

全て作り話

2018年10月5日
Paul Craig Roberts

 ロシアGRUによる、致死性神経ガスなるものを使った、スクリパリ親子に対する攻撃とされるものは、 ものの分かる誰にとっても、完全に明らかな作り話だと、あるイスラエル人テロ・秘密暗殺手法専門家が説明している。https://russia-insider.com/en/skripals-are-mi6-hoax-not-worthy-ladies-detective-novels-israeli-expert-demolishes-uk-case/ri24912

 公式説明は“愚の骨頂”だと、この専門家は言う。

 私は彼に同意する。

 こういう疑問がある。イギリス政府は、一体なぜ、このような明らかな作り話をしてもただで済ませられると思ったのだろう? 答えは、欧米諸国の人々は、あらゆることについて、何も知らないためだ。彼らは“報道機関”とハリウッド映画が与えてくれるプロパガンダの産物である「現実世界」で暮らしているのだ。彼らは管理された説明しか聞けないのだ。それで、彼らは、あらゆるものが実際に一体どのように機能するか全く何も知らないのだ。イギリス政府の作り話と、暗殺がいかに行われるかの現実との間のこの大変な差異を理解すべく、このイスラエル人専門家による説明をお読み願いたい。

 イスラエル専門家の話で、そのような見え透いたヨタ話に人がだまされるなどと、なぜイギリス政府が思ったのか私には不思議だった。デヴィッド・レイ・グリフィンとエリザベス・ウッドワース共著の新刊『9/11 Unmasked』と、デヴィッド・レイ・グリフィンの2017年の著書『Bush and Cheney: How They Runed America and the World』を読んだ後、答えは明らかになった。飛行機を操縦できず、いかなる諜報機関の支援もないわずかな人数のサウジアラビア人たちが、アメリカ合州国のありとあらゆる治安機関全てを完全に失敗させ、その失敗で、誰も責任を問われなかったという公式の9/11陰謀論に、愚かな欧米諸国民がだまされるのをイギリス政府は見つめていたのだ。そのような明らかなウソ話を信じる人々なら何でも信じるはずだと、イギリス政府は結論を出したのだ。

 9/11委員会報告中の公式陰謀論が、何千人もの科学者、構造技術者、高層ビル建築家、軍や民間のパイロット、現場に行った緊急救援隊員や、アメリカ国内や海外の多数の元政府高官によって粉々に粉砕される前、何年も前にこの結論に至ったことを私は覚えている。

 最初私は、連中が公式に書いている五年のうちに、中東の7つの国々を破壊するというシオニスト・ネオコン策謀の概要(例えば、コメンタリー誌のノーマン・ポドレツ)(ウェスリー・クラーク陸軍大将も言っている)や、彼らの計画を実施するには“新たな真珠湾”が必要だという連中の発言を、ワールド・トレード・センター攻撃と結びつけていなかった。しかし、ツイン・タワーが階ごとに崩壊するのを目の当たりにすると、これは非対称的な構造的損傷や、巨大な鋼鉄構造を、熱くて触れないほどにもできないはずの限られた、温度の低い事務所火事で倒壊しているものではないことが明らかだった。ビデオを見ると、ビルは爆発している建物ではないことは全く明白だった。一目瞭然。各階が吹き飛ぶのを見たのだ。鋼鉄の梁や他の破片が、発射されたもののように外に飛び出すのを見たのだ。自分がその目で見ているのは、構造的損傷で倒壊しつつあるビルだなどと思えるような徹底的に愚かな人々がいるというのは驚くべきことだ。だが、アメリカ国民の半数が公式説明が全くのたわごとだということを理解するまでには何年もかかった。

 現在、世論調査で、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺に関するウォーレン委員会報告や、トンキン湾攻撃とされるものや、LBJ政権時代のアメリカ艦船リバティー号と乗組員の破壊に対するイスラエルの責任を消し去ったマケイン海軍大将(ジョン・マケインの父親)報告や、サダム・フセインが所有した大量破壊兵器やら、イランの核兵器やら、シリア、リビアのカダフィやソマリアやイエメンや、“ロシアのジョージア侵略”、“ロシアのウクライナ侵略”に関する多数のウソ同様、国民の大半は、もはや9/11公式プロパガンダを信じていないのが明らかだ。ところが、政府が国民にウソをつくのを何度も経験しているのに、毎回、愚かな国民は、当初は次のウソを信じ、ウソが事実になるのを許してしまっている。こうして、愚かな欧米諸国民は、管理された言説で構成される自分たちの世界を作り出してしまったのだ。

 どの欧米政府の言い分でも、何であれ信じられるのは狂った連中だけだ。ところが、欧米世界には、膨大な人数の狂った連中がいるのだ。次の公式のウソを認めるだけの十分な数の狂った連中がいるのだ。無知な阿呆が、欧米政府が、ロシアと中国との戦争で、世界を絶滅に追いやりつつある連中のウソ政策を継続することを可能にしているのだ。

 おそらく、無頓着な欧米諸国民に対し、私は厳しすぎるのだろう。ロン・アンスは決して脳たりんではない。それでも、注意を払いはじめる前まで、彼は見え透いたウソの9/11説明を受け入れていたのだ。注意してみて、それがウソだったことを理解した。http://www.unz.com/runz/american-pravda-911-conspiracy-theories/

 私と同様、ロン・アンスも、9/11真実追求運動が、公式9/11説明信ぴょう性を完全に失わせることに成功したことに気がついている。だが未回答の疑問は残っている。誰が実行したのか?

 アンスは、ブッシュとチェイニーではなく、イスラエルだったと言う。これはクリストファー・ボランの立場と同じだ。イスラエルが関与していたのは確実に見える。モサド工作員が、WTCタワー崩壊を撮影しながら祝っているのを見つけられた事実を我々は知っている。明らかに彼らは事前に知っていて、撮影準備をしていたのだ。後にその映像はイスラエルTVで放映され、そこで彼らはビル崩壊を撮影するよう派遣されたと述べていた。

 旅客機がハイジャックされたとされる航空会社の株の空売りで大儲けした誰かを、アメリカ政府が守り続けているという事実もある。

 言い換えれば、実際に崩壊が起きる30分前に、まだ建っているビルの前で、BBC記者が崩壊を説明していたことが証拠になっているWTCの第7ビル崩壊同様、9/11攻撃は事前に分かっていたのだ。

 アンスとボランのイスラエルに対する主張は説得力がある。ジョージ・W・ブッシュは、策謀の一環ではなかったというアンスに私は同意する。もし彼が策謀の一員だったら、彼は現場で、アメリカ本土に対する最初で唯一のテロ攻撃に対する、アメリカの英雄的な対応を指揮していたはずだ。そうはならず、ブッシュは、どかされ、チェイニーが状況に対処する間、関与しないようにされていたのだ。

 アンスが、9/11作り話で、主に恩恵を受けた連中に焦点を当てているのは私は分かる。とは言え、チェイニーと彼の企業ハリバートンも恩恵を得たのだ。ハリバートンは、アフガニスタンとイラクでのサービスで、巨大なアメリカ政府契約を得た。チェイニーは、デヴィッド・レイ・グリフィンが証明している通り、行政府をアメリカ憲法かも、アメリカ法からも超越させるという彼の狙いを実現した。

 更に、モサドが、アメリカ政府内の幹部の支援無しに、そのような攻撃を成功させるのは不可能だった。航空管制官やアメリカ空軍を混乱させるために、無数の攻撃シミュレーションを同時進行させることができるのは、アメリカ人幹部しかいない。

 重罪だとして、ニューヨーク消防部長に反対されて、イスラエル政府は、事件現場の破壊を命じることはできなかったはずだ。これにはアメリカ政府の権限が必要だ。ナノサーマイトによってしか引き起こされない、あらゆる種類のゆがみを示している鋼鉄梁は、再加工用に、素早くアジアに輸出された。ビルの中で、強烈な火と、溶けた瓦礫が、ビル崩壊後6週間も続いたことに対する公式説明はない。温度の低い、一時間も続かなかった蒸し焼きの事務所火事が、一体どうして巨大な鋼鉄の梁を溶かしたり、弱らせたりし、その後、溶けた鋼鉄を6週間も残したのか、現在に至るまで誰も説明していない。

 イスラエルが大儲けをしたというアンスは正しい。9/11の結果、イスラエルは、その拡張に対する制限の半分を始末した。シリアとイランだけ残っており、世界の多くがそうなって欲しいと願っていることだが、その意志次第で、アメリカ合州国とイスラエルを完全に破壊することができる政府ロシアに対してさえ、イスラエルのために、トランプ政権は強引に出ている。

 現在、全くの悪、腐敗したアメリカとイスラエルの政府が、全世界を絶滅への道を進ませているというアンスは正しい。ただし彼は、アメリカの責任、つまりアメリカ国内のイスラエル第五列である悪のディック・チェイニー、シオニスト・ネオコンと、自分たちの生き残りを可能にするための十分な知性や認識を示さないアメリカ人の全くの無頓着さに触れていない。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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 お友達会見、見ても時間の無駄、ということを理解するためなら、見る価値はあったろう。一方、ジャパン・ハンドラー様、新施政方針指示書発表会見時も属国蔑視があらわ。属国大本営広報部洗脳部隊は一切触れず、損害賠償金の多寡と与党出馬可能性を報じる。

 それで、IWJガイドによると、岩上氏による下記必見インタビュー実現の運びとなった?

「東京と、日本で最も貧しい県との間で、サンドイッチの肉のようになりたくない 」!? リチャード・アーミテージ元国務副長官がシンポジウムで沖縄に対して侮蔑的発言!? 岩上さんは10月18日「第4次アーミテージ・ナイレポート」について元外務省国際情報局長孫崎享氏にインタビュー決定!

 羽田新ルートで、国際線を増便したくとも、宗主国が支配する横田空域にこだわっていて、許可されない属国の悲哀も、大本営広報部は本気で報じない。下記は、昨年の東京新聞によるまっとうな報道。宗主国こそ、日本をトリモロスのだ。

<すぐそこに米軍 首都圏基地問題>横田空域の返還求めず 羽田新ルートで政府

2018年10月 8日 (月)

“革命的な国々”においてさえ、依然、右翼の手中にあるマスコミ

2018年10月4日
Andre Vltchek

 マスコミや教育を通して、北アメリカとヨーロッパの教義と世界観によって、国民が徹底的に条件付けされていたら、欧米帝国主義に対する戦いで、国は一体どうすれば勝てるのだろう。一体どのようにすれば、本当に独立できるのだろう?

 この世界のどこで働き苦闘していても、欧米の洗脳手段がいかに強力で、そのプロパガンダがいかに効果的かに私は常に驚かされ、衝撃さえ受ける。

 何百万人もの命という途方もない犠牲を払って、共産主義が勝利したと誰もが考えるだろうベトナムのような国においてさえ、人々は欧米によって益々洗脳されつつある。彼らは無関心で、世界について徐々に無知になっている。そう、もちろん公式には、ベトナムは世界の中の悪戦苦闘し、虐げられた実に多くの人々と団結しているが、ハノイ街頭で普通の人々に、アフリカで、あるいはインドネシアで、多国籍企業が行っている身の毛もよだつようなことで何を知っているか尋ねてみよう。圧倒的大多数が、ほとんど何も知らないと言うはずだ。そして、もし更にしつこく聞けば、彼らは、実際全くどうでも良いと答える可能性が高い。それは、欧米の公式言説が既に、ソーシャル・メディアからNGOに至るまで、現地のありとあらあるものに侵入し、入り込んでいるためだ。それは芸術、テレビや教育に対しても影響し始めるのだ。

 イデオロギー戦争は続いており、それは本物なのだ。情け容赦なく、無慈悲で、通常兵器によって戦われる戦争よりも破壊的なことが多いのだ。

 この戦争の被害者は、人の頭脳、人の心、文化、そして時に政治体制丸ごとだ。

 あなたの国が‘イデオロギーの戦い’に破れ、さらにその次のに破れると間もなく、自分にも自国民にも全く異質の、自分たちの歴史や伝統や願望とは異質の体制の中で暮らしていることに気づくことになる。

*

 メキシコの都市プエブラで、このエッセイを書いている。メキシコ国民は、つい最近選挙をし、圧倒的多数で、左翼大統領候補のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールを選んだことはご存じだろう。

 三週間、私はメキシコ中を旅した。何百人もの人々と話した。彼らの多くは希望にあふれていた。彼らの大半は、本能的に社会主義に憧れている。通常、彼らはそれを‘社会主義’とは言わない、あらゆる前向きな文脈でこの言葉を使わないよう何十年も言われてきたためだが、それでも夢見る時に彼らが描くものは明らかに一種の社会主義だ。

 だが、世界における自国の立場や、自国内での自分自身の立場を、彼らは一体どのように定義することができるだろう? テレビをつければ、見られるのはスペイン語のCNN(‘メキシコ版’)か、極右FOXか、大企業が所有している現地TV局しかない。メキシコの新聞のほとんど全ての国際ニュースは、欧米報道機関から得たものだ。

 こうした欧米による洗脳、偽情報体制を基に社会主義が構築できるのだろう?

 Telesurは、大半のケーブル・テレビでさえ見ることができない、するとどうやって?

*

 またしても、これは決して何も新しいことではない。たとえば、ベネズエラにおけるボリバール革命の開始以来、主流マスコミは、右翼連中と巨大企業の手にしっかり掌握されている。全てではないがl、その大半だ。

 それは、実に奇怪だったが、今もそうだ。大半のジャーナリストが、チャベスを、そして後には、マドゥロを支持しているのに、仕事を失うのを恐れて、政府に関して、前向きなことは何も書けないほど恐れている。

 金を貰って、連中が繰り返している革命体制に対する侮辱(やウソ)は、アメリカ合州国や、過酷な名誉毀損法がある国イギリスでなら確実に容易に投獄されているはずのものだ。ベネズエラでは、彼らの大半が、がらくたや全くのウソを書くことを許されている 。敵対的な表現が無検閲であればあるほど、ベネズエラのマスコミ環境は、益々‘不自由’だと欧米は呼ぶのだ。プロパガンダのいつものこと、いつも論理だ。黒は白で、猫はネズミだ。何千回も繰り返せば、何百万人もが信じるのだ。

 革命的なボリビアは同じ問題に直面しており、前の社会主義政権時代のエクアドルもそうだった(今エクアドルは‘通常どおりの業務’状態で、欧米マスコミが、ほぼ無競争で、公然と国内で活動している)。

 ブラジルは、ディルマと大いに成功した彼女のPT (社会主義) 政府に対し、右翼支配体制が行った、大雑把に‘合法的クーデター’とでも呼べるものの余波を切り抜けつつある。外国勢力に全面的に支援され、煽られたクーデターは、ブラジル・マスコミが、中道左派政権のあらゆる素晴らしい実績を絶えず中傷し、当事者たちを詳細に調査し、中南米中の右翼諸国では言うまでもなく、ヨーロッパやアメリカ合州国であれば完全に許されているはずのものを‘汚職’と表現しているがゆえに可能だった。

 アルゼンチンでのクリスティーナに対する組織的中傷も報われる極右の狂気の好例だ。

 だが、もしほぼ全ての情報源が、もっぱら、たった一つの右翼陣営だったら、人々は一体どのようにして、これを知ることができるだろうか?

 彼らは何かが起きつつあるのを感じている。彼らはそれを本能的に感じているが、自分たちが感じているものを正確に明確に説明するのは、彼らには極めて困難なのだ。

 私はこれを中南米至る所、アフリカ、アジア太平洋、インドや中東至る所で見ている。

 これは、どこか遥か離れたところで作り出されている混乱、不健康な混乱だ。

*

 事実に直面しよう。これは実に奇想天外の状況だ。

 欧米大衆は、非欧米諸国発の新しい強力なメディアを‘発見しつつある’。今、ロンドンやニューヨークの多くの人々が、RT、CGTN、Press TVやTelesurに夢中になっている。多くの人々が、NEO (New Eastern Outlook、ロシアで編集されている)やCountercurrents (インド)などの雑誌を読んでいる。

 だが、欧米の介入と残虐な新植民地主義政策の明らかな犠牲者であるこうした国々では、得られるほとんど全ての情報源は、欧米に、現在の世界秩序のまさに中心に由来する。

*

 何ができるだろう?

 代替メディアでは、少なくとも、欧米では、最近‘貧しい我々’やら‘彼らは結局我々だ’という発言が多い。

 もちろん、そうだ!

 そう、同志よ、戦争は戦争なのだ、たとえイデオロギー的なものであっても!

 あなたは何を期待されただろう? 文字通り何世紀も世界略奪してきた体制を我々が攻撃し始めると、静かに死んだり消え去ったりするだろうか? それは現実的ではない。

 最近我々に実際届くニュースは非常に好ましい。

 欧米公式言説に反対する多くの強力なメディアが既に存在しているか、登場しつつある。

 非欧米世界には、上記のRTやPressTVやCGTNやAl-MayadeenやTelesurがある。New Eastern Outlook (NEO)やスプートニクやTASS、Countercurrentsがあり、願わくは、間もなく、Prensa Latinaも復活するだろう。

 こうしたものは皆放送中で、既に活動しており、fully functional地球上の最も優れたライターや思想家の一部を寄稿者としてあてにできている。

 すると、次は何だろう?

 極めて重要なことだが、我々は非欧米諸国の人々に手を差し伸べなければならない。

 ニューメディアの一部は、完全に反帝国主義で、虐げられた世界を支持していても、依然、それで報道の信憑性が増すかのように、イギリスやアメリカのアクセントの人々ばかりインタビューするといった‘古い手法’を使っている。

 それに、欧米報道に重点が置かれすぎており、アフリカや中南米やアジアや中東における出来事についての報道が少なすぎる。

 アフリカの人々は、ヨーロッパ人や北アメリカ人たちが、彼らに‘自分たちが本当は一体何なのか’、何をすべきなのか語るのにうんざりしている。彼らは自分自身の生活や自国について、語るべきことが多くあるのだ。アジアの人々についても同じことが言える。

 アフリカ人、アフリカ人思想家、革命家、そしてもちろん、一般人に手を差し伸べるためには、語りかけなければならない。彼らに我々の説教を聞かせるのではなく、“公表して”語りかけることだ。

 我々のメディアは違っているべきだ。本当にグローバルだが、何より‘国際主義者’だ。

 中国のCGTNは、まさにこの哲学を採用しており、驚くほどの効果を発揮している。人々は見ている - アフリカ中や、アジア中で。RTは、スペイン語放送で素晴らしい仕事をしている。NEOの最大の強みは、地球上最大の大陸、アジアについての掘り下げた報道だ。

 何よりも、世界中のできるだけ多くの占領され、虐げられた人々に手を差し伸べなければならない。もし(RTやCGTVのように)かなりの予算のあるいくつかの大手テレビ局が広告する余裕があるなら、広告すべきだ。そして、もし彼らが、中南米やアジアやアフリカのケーブルや衛星プロバイダーに、彼らの番組を放送するよう説得できなければ、私が今、メキシコでしているように、何百万人の人々に彼らの番組をインターネットでオンラインで見るよう説得することに注力すべきだ。

*

 献身と熱意とプロ精神があれば、物事は変えることが可能だ。

 ロシアと中国とイランは好例だ。ゴルバチョフとエリツィンの時代、ソ連のマスコミは徹底的に屈辱を受け、屈伏を強いられた。何年かの暗い年月の間、欧米が言ったり書いたりしているあらゆることが、何百万人もの人々に純金であるかのように見なされるようロシアでも、旧ソ連共和国でも、期待されていた。ところが欧米はオリーブの枝を差し出して、ロシアにやって来たわけではなかった。欧米言説への依存が、ソ連の更にはロシア自身が事実上崩壊した主要な理由の一つだった可能性が高い。欧米プロパガンダはロシア国民を屈服させることを狙っていた。それは明らかに敵意と破壊の手段だった。

 だがロシアは間もなく再編成した。ロシアは状況から立ち直った。そしてメディアも完全かつ素晴らしく、徹底的に自己改革した。今、ロシアのメディアは強く勇敢で、知的にも最高だ。

 中国も‘教育のある人々全員’が欧米の教義をおうむ返しにするよう期待される時期を通り抜けた。中国の大学やメディアは外国から侵入された。ヨーロッパや北アメリカの大学を卒業する中国人学生には共産主義に対する敵意が絶えず注入された。欧米の主な狙いは常に中国社会主義体制を頓挫させ、中国を欧米に従属させることだった。結局、そうはならなかった。中国は素早く破壊活動を見て取り、そして以来、適切な措置をとっている。中国のマスコミも改革された。かつては時代遅れだったCCTVは、洗練された、魅力的で、得るところの多い、明らかに左翼的なCGTNへと変わった。中国の新聞も良くなった。

 現在、ロシアや中国やベネズエラとイランの国際(そして国際主義の)マスコミは正しい路線を進んでいる。彼らは様々な言語で放送し、非欧米の反帝国主義代案を提示している。しかしながら、こうした意見の流通は依然、ニュース速報の後塵を拝している。

 私は世界でジャーナリストが誰も行かないような‘地球の隅々’でも働く。そしてこれは私の友人としての‘警告’だ。出来事に対する我々の解釈、我々の世界観、世界の出来事に関する我々の報道はそうした報道が切実に必要とされている多くの場所に届いていない。

至る所ではないが、そういうことが多い。国が貧しければ貧しいほど、一層、欧米プロパガンダの言いなりになるのだ。

 最も苦しんでいる人々に手を差し伸べるのは我々の義務、我々国際主義者の任務だ。

 我々は、ゆっくりながら確実にイデオロギー戦争で勝利しつつある。今、最も貧しい、最も破滅的な打撃を受けた場所や最も洗脳された地域の同胞たちに手を差し伸べようではないか。もし、そうしないのなら、我々は何のために戦っているのだろう? だから、手を差し伸べよう。

 アンドレ・ヴルチェクは哲学者、作家、映画制作者、調査ジャーナリスト。彼は、Vltchek’s World in Word and Imagesを制作しており、『Revolutionary Optimism, Western Nihilism』を含む多数の本の著者でもある。オンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/10/04/even-in-revolutionary-countries-mass-media-is-still-in-the-hands-of-the-right/

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 井上尚也、1回70秒KO。沖縄知事選での開票直後の玉城氏当確を思い出した。ヌルマゴメドフは、マクレガーに勝利したものの、両者セコンドの乱闘騒ぎになったという。

 『街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋』ブログの最新記事は衝撃的。
「ISDSの終焉  ISDSを葬り去る新NAFTA( USMCA )協定」
http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/2018/10/naftaumca-a4ce.html
トラック・バックを戴いてから拝読した。

 『私の闇の奥』では、最新記事「ノーム・チョムスキーのこと」で、当ブログの「アメリカの偽りの歴史」についての海坊主様のコメントに触れられている。

 この上記の他のブログから戴いたトラッバック、あるいは、言及で、ひとつ考えたことがある。大本営広報部には洗脳以外期待していないが、ネットのブログにもさほど期待はしていないという小生の考えだ。当ブログの翻訳記事だけ引用するブログがあるが、そういうブログを読む人々は、小生が翻訳記事の後に書いている、こうした貴重なトラックバックや言及についての情報を知らずに終わってしまうことになる。不謹慎ながら、「縁なき衆生は度し難し」という言葉を思い出す。ある歴史研究者の方から「記事の後のコメントを読んで、吹き出すことが多い」というお言葉を戴いた。「笑ってはいけませんね」といわれたが。ありがたい。

 翻訳記事の後に、しつこくIWJの報道、インタビューに触れているのも、翻訳記事部分だけ読む人々は、全く知らずに終わってしまう。
“属国”においては、ブログさえ右翼の手中にある
とは言わないが。翻訳記事だけ引用するブログ、貴重な情報が広がるのを阻止することはあっても、決して助けてくれてはいない。

 大本営広報部、市場移転問題、本質を一切報道せず、閉鎖の時点で、ナツメロ呆導。IWJインタビューを再度拝見予定。以下、7日のIWJガイドの一部をコピーさせて戴く。

 今日午後8時からは、岩上さんによる建築エコノミスト・森山高至氏、一級建築士・水谷和子氏、築地女将さん会・山口タイ氏、新井眞沙子氏インタビュー第一部を再配信します!インタビュー中では、築地市場に帰ることは十分に実現可能であることがたびたび指摘されていて、「築地女将さん会」の山口氏と新井氏も、築地を守り抜くことを強調しています。

 インタビューは、今日7日から明後日9日までの3日間にわたって、全編フルオープンで再配信します。インタビュー第一部の詳細は、ぜひ以下のURLよりご覧ください!

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【タイムリー再配信 253・IWJ_Youtube Live】20:00~「地中の汚染水が地上に噴出!! 11日開場予定の豊洲は問題だらけ!岩上安身による建築エコノミスト・森山高至氏、一級建築士・水谷和子氏、築地女将さん会・山口タイ氏、新井眞沙子氏インタビュー (第一部)」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501
ツイキャス視聴URL: https://twitcasting.tv/iwakamiyasumi
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 IWJは、豊洲市場への移転に反対し、築地を守るために立ち上がった人たちの声を取り上げ続けてきました。ぜひ、以下の関連記事もご覧ください。

※雨の中、約300名の市民らが築地市場の豊洲移転に9.29抗議!築地・仲卸業者の方「新築マンション買って鍵渡す時に、たまにトイレ逆流しますとか、ちょっと壁ヒビ入ってるけど想定内です、とか言って鍵を渡しませんよね?」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/432632

※都への反論に国は同意! 都は憲法29条違反!? 東卸(とうおろし)組合役員はなぜ豊洲移転に賛成なのか!?
~小池都知事あて要望書の提出報告、認可条件に至らない豊洲新市場の実態9.5築地市場営業権組合による記者会見 2018.9.5
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/430853

 豊洲市場への移転強行は、日本の食料安全保障という観点でも大きな問題があります。日本政府は9月26日、TAG(日米物品貿易協定)という事実上のFTAの締結に向けた交渉を約束してしまったため、日本の食料安全保障は未曾有の危機に瀕しているといえます。こんなときだからこそ、築地市場は守り抜かなければならなりません。

2018年10月 6日 (土)

アメリカ・マスコミはいかに破壊されたか

2018年10月1日
Paul Craig Roberts

 9月24日のコラム“Truth Is Evaporating Before Our Eyes” https://www.paulcraigroberts.org/2018/09/24/truth-is-evaporating-before-our-eyes/で、いかに非難だけで相手を破壊できるかを実証するため、アブグレイブの拷問と、ジョージ・W・ブッシュ大統領のテキサス州兵航空隊の任務不履行を報じた、CBSニュース・チームや、ピーボディー賞受賞者で、26年もニュースの仕事をしたベテランCBSプロデューサー、メアリー・メイプスや、定評あるニュース・アンカー、ダン・ラザーを破壊した例をあげた。

 90パーセントのアメリカ・マスコミが、エンタテインメントや他の事業が専門で、報道が専門でない6つの巨大企業に集中されるの許し、独立したアメリカ・マスコミを破壊したのは、ビル・クリントン大統領だったことを私は何度も書いている。この未曾有のマスコミの集中は、アメリカのあらゆる伝統に反しており、政府に国民に対する責任を持たせ続けるべく、建国の始祖が出版・報道の自由に託した信頼を破壊したのだ。

 メアリー・メイプスの『Truth and Duty 』(2005年、St. Martin’s Press)(『大統領の疑惑』2016年、稲垣みどり訳、キノブックス刊)を読むまで、シャーマン反トラスト法とアメリカの伝統に反する、このマスコミ独占が、誠実な報道をどれだけ破壊したかに私は気づいていなかった。

 起きたのは、こういうことだ。テキサス州兵航空隊はベトナム戦争の徴兵を逃れるためにエリート連中が息子を入れておく場所だった。ジョージ・W・ブッシュが、戦争から逃れるのを狙って、入隊待ちの長いリストを飛び越え入隊できたことや、州兵航空隊の要求事項違反や、無許可で他州に転属したことについて、ジェリー・B・キリアン中佐書いた書類の写しをCBSが入手した。CBSチームは、書類を、本物か、そうでないか判断するために何カ月も作業した。書類中の情報は、テキサス州兵パイロットの時代にジョージ・W・ブッシュと知り合った人々のインタビューと辻褄が合うことが分かった。

 これは入念に準備された報道で、やっつけ仕事ではなく、ブッシュの義務不履行に関して、現在我々が知っているあらゆる情報と一致している。

 CBSニュース・チームにとっての問題は、当時彼らは気づいていなかったのかも知れないが、その書類が専門家が疑問の余地ない本物だと確認できる原本でなく、コピーだったことだ。そのため書類は他の人々の証言と首尾一貫していたが、原本ならできていたはずの、書類が本物だという確認が、専門家たちはできなかったのだ。

 共和党はこの弱点に付けこみ、CBSの『60ミニッツ』報道が真実かどうかから、写しが偽物かどうかへと話題をそらせた。

 CBSには他にも二つ問題があった。一つは同社オーナー、ヴァイアコムが報道事業ではなく、法的特権や規制上の許可で儲けようとして、ワシントンでロビー事業をしている会社だったことだ。ブッシュ政権が否定する鼻先で、アメリカのによる拷問を暴露し、ブッシュに強い特権があり、テキサス州防衛隊から罪を問われなかったことを示すCBSの本当のニュース報道は、大金をかけたヴァイアコム・ロビー活動の邪魔だった。

 極右ブロガー連中がCBSを追求すると、ヴァイアコム幹部は厄介なCBSニュース・チームを処分する方法に気がついた。ヴァイアコム経営幹部は、同社の記者たちを支持するのを拒否し、ブッシュがテキサス州防衛隊の任務を遵守し損ねたことに関する『60ミニッツ』報道に対し、共和党支持者で構成される、つるし上げ用“調査委員会”を雇ったのだ。

 ヴァイアコムが、自社のロビー活動の邪魔になる自立したニュースを片づけたいと望んでいたのに、メアリー・メイプスと彼女の弁護士は、真実に何か意味があり、最後は勝利すると思い込んでいた。そこで、彼女は自分の経歴と品位が組織的に破壊されてゆくのを見守る破壊過程にさらされることになったのだ。

 CBSのもう一つの問題は、それが正当化できるか、できないかに関係なく、保守的な共和党連中によって、CBSとダン・ラザーが、共産主義者に等しい呼称である、リベラルと見なされたことだ。何百万人ものアメリカ人にとっての問題は、リベラルなCBSが、ジョージ・W・ブッシュを傷つけ、国民をイスラム・テロにさらけ出したままにしようとしていたことだったのだ。ブッシュがワールド・トレード・センターとペンタゴンを吹き飛ばしたイスラム・テロリストからアメリカを守ろうとしているのに、CBSはブッシュ大統領を中傷しようとしているというのが極右の考えだった。

 メアリー・メイプスとダン・ラザーとCBSニュース・チームは報道に専念し過ぎ、自分たちが、その中で活動している危険な状況に考えが及ばなかった。それで彼らは、ハリバートンとイスラエルのためになる、ディック・チェイニーの中東戦争に役立つ罠と“リベラル”ニュースに対する保守派の憎悪に役立つ罠にはまってしまったのだ。

 アメリカ・マスコミは一体なぜ、CBSの入念な報道を擁護しなかったのだろう? 答えは、それが、TVニュース・メディアが死につつある時期だったからだ。インターネットが勝利しつつあった。同社以外のマスコミは、CBSの崩壊に、この市場を奪い、寿命を伸ばす好機を見て取ったのだ。

 そこで、同社以外のマスコミは『60ミニッツ』が偽書類に基づく報道をしたという偽ニュースを報じた。マスコミは、自分たちの死刑執行令状に署名していることに気がついていなかったのだ。共和党がCBSにけしかけた極右ブロガー連中もそうだった。現在、そうしたブロガー連中自身、いかなる真実を表現できる状態から遮断されている。

 アメリカにおける真実は根絶されつつあり、CBSニュースの破壊は出発点だった。メアリー・メイプスが著書で書いている通り、ヴァイアコムはスタッフ全員を首にし『60ミニッツ』を完全に一掃するやいなや、翌日ヴァイアコムは意気揚々と年次株主総会を開催した。サムナー・レッドストーン会長は、2004年に5600万ドルの給与を得た。最高執行責任者のレスリー・ ムーンべスとトム・フレストンは“それぞれ法外な年収5200万ドルを手に入れた。”

 一方CBSニュース・チームの人々は住宅ローンも自動車ローンも医療保険も支払えなくなった。

 メイプスはこう書いている。“数年前まで、大企業幹部へのこうした大盤振る舞いなど聞いたことなどなかった。今では、こうしたマスコミの支配者連中が公共電波を牛耳っており、彼らが果たすべき責任は一つだけ、儲けることだ。”調査報道から、政府と大企業広告主守る必要がある巨大企業でさえも。

 その結果、現在アメリカ・マスコミは全く信頼できない。読者はいかなる報道も、ニューヨーク・タイムズの死亡記事すらも信じることができない。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/10/01/how-the-american-media-was-destroyed/

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 このメイプスによる本『大統領の疑惑』をもとに、映画『ニュースの真相』が制作されている。映画は見ていないが、『大統領の疑惑』は読み始めたらとまらない。決意をもって書かれた作品 太田愛著 『天上の葦』(KADOKAWA)  ネタバレ注意
の記事で知って、テレビ報道番組にまつわる策謀についてのミステリー『天上の葦』を拝読したばかり。

 昨日は以下のインタビューを拝聴した。この二冊の本と直接つながる出来事のご本人。その出来事からも、「現在日本のマスコミは全く信頼できない。読者はいかなる報道も、新聞の死亡記事すらも信じることができない」と思っている。

上層部からの圧力か!? 森友問題でスクープを連発した元NHK記者の「考査室への異動」の真相に迫る! 岩上安身による大阪日日新聞論説委員・相澤冬樹氏インタビュー 2018.10.2

 いじめ問題についても追求したいとおっしゃっている。是非拝読したいものだ。

2018年10月 5日 (金)

イランとの貿易を巡り、アメリカを殴ったEU

2018年10月3日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook

 NEOのこのコラム記事で、以前分析した通り、対イラン経済制裁というアメリカ政策は、アメリカの外交的孤立化を招き、第二次世界大戦以来、最も信頼できる同盟者、ヨーロッパを、敵対的な立場に追いやった。この地政学的距離の理由は、トランプ政権が行った、一連の離脱と、政策逆転にあるが、イランが突出しているのは、主にアメリカ中東政策全体が、今やイランに集中していること、つまり、イスラエルとサウド家に有利なように、イランの全面降伏を強いる命令だ。だがEUは、イランの条約違反に関するアメリカ-イスラエルの言説を信じていないためだけでなく、イランとの生産的な関係を維持したいこともあって、アメリカ単独覇権主義の流れを止めようとしているのだ。イラン石油の輸入と、イランの巨大市場を有利に開拓することだ。そこで、EUは貿易を促進し、イランがアメリカ経済制裁を回避するのを支援する新たな法的枠組みを設定すると決定したのだ。

 ニューヨークでの国連年次総会に合わせて、欧州連合外務・安全保障政策上級代表フェデリカ・モゲリーニとイラン外務大臣モハンマド・ジャヴァード・ザリーフが“特別目的事業体”(SPV)を発表して、この画期的進展が起きた。EU代表はSPVについてこう説明した。“実際には、これは、EU加盟諸国が、イランとの合法的な金融取り引きを促進するための法人を設立することを意味し、これでヨーロッパ企業が欧州連合の法律に従って、イランとの貿易を続けることが可能になり、世界の他のパートナーに対しても開放される可能性がある。” 極めて重要なことは、この事業体が、石油を含むイラン輸出に関する支払いを促進することだ”とモゲリーニは述べた。

 言うまでもなく、この仕組みの創設で、JCPOAも損なわれずに維持される。より大規模な地政学的領域で、今やEUは、イランとのあらゆる取り引きや貿易のためのアメリカ経済制裁を回避する必要性に関し、ロシアと中国と完全に一致することになった。ここで、法的な枠組みを実施することで、今やEUが、常にアメリカの脇役を演じる、これまでの立場から変わり、自立した当事者として、グローバル地政学に、しっかり復帰したことはいくら強調してもし過ぎることはない。

 そこで、アメリカ経済制裁政策に対する態度を明確にするということになると、EUはもはや歯に衣を着せない。欧州委員会は、アメリカがヨーロッパ企業に対して課する‘二次的経済制裁’は違法と見なすと既に発言している。2018年8月に施行された新たな規則によれば、ヨーロッパ企業、特にイランと貿易をしていて、アメリカによって制裁されたものは、ヨーロッパの裁判所で、アメリカ経済制裁に異議申し立てし、アメリカ政府やアメリカ企業からの補償を要求する権利があるのだ。障壁規則、EU企業を保護する枠組みが、ここで初めて登場したわけではないことを忘れてはならない。1996年、アメリカが、イランとキューバに対し、二次的経済制裁をした際、この法律が発令された。当時は、この法律の発令だけで、アメリカが経済制裁をやめるよう強いたのだ。イランを制裁し、イラン経済を損なわせるサウジアラビアとイスラエルの圧倒的な圧力からして、トランプ政権に、そのような逆転が期待できるかどうか推測するのは困難ではない。我々が予想できるのは、イランを巡るEU-アメリカ間のはっきり目に見える制度的分裂だ。

 だがSPVによ、この締めつけも、イランを激しく攻撃するのにもはや十分強いものには見えない。これで、イランは、EU市場向けに、少なくとも40%の石油輸出を維持することが可能になり、EUの巨大エネルギー企業はイラン経済に投資できるのだ。インドなどの、イランとの貿易は継続したいが、アメリカの圧力に屈している国々にとっても容易な逃げ道を切り開くことになる。

 同様に重要なのは、SPVが、ベルギーを本拠とするSWIFTシステムを回避し、アメリカの干渉を阻止する可能性と、相応しいと考えられる時期に、最終的に、ドルの威力を失わせる結果になるだろうことだ。

 この制度は、もし十分早く、完全に機能するようになれば、アメリカの影響力や干渉から独立した金融システムの構築を目指しているロシアと中国の施策とぴったり一致する。このシステムの成功は、それゆえ、ロシアと中国をその軌道に誘いこむ可能性が高く、EUと、ロシアや中国や地域の他の消極的な国々との間の金融協調という新時代の下地を作ることになる。一つは、SPVがドルの代わりに、ユーロを主要貿易・準備通貨とすることで、もう一つは、それがユーロがグローバル金融システムにおいて、より積極的な役割を演じる下地を作ることにもなる。EUが、こうして自分たちの通貨を兵器化した以上、通貨戦争は、もはや中国とアメリカ間でのみ演じられるものではなくなろう。

 そう、これはアメリカが、ヨーロッパから予想できたはずのものだ。イランと事業を行うEU企業が経済制裁から免除されるのを、ワシントンが認めるのを拒否した後の全面的反撃だ。この反撃は極めて巨大で、EUのアメリカとの合意や、アメリカの主要競争相手、ロシアや中国を含む他の国々に、EUがどう対処するかを完全に書き換える可能性がある。既に中国との貿易戦争の真っ只中にあるアメリカとEUとの間の‘消耗戦’は反米諸国を結束させるに違いない。

 サルマン・ラフィ・シェイフは国際関係とパキスタンの外交と内政評論家、オンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/10/03/eu-punches-the-us-in-the-face-over-trade-with-iran/

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 『日本が売られる』(堤未香著)を読みはじめた。途中で投げ出したくなるような、恐ろしい内容。しかし、恐ろしくとも、読まざるを得ない。

 第一章 日本人の資産が売られる 1 水が売られる の中にある、オウム真理教の死刑でかき消された「水道民営化法案」という見出しに納得。大本営広報部は「オウム真理教の死刑」にのみ集中し、決して「水道民営化法案」には触れなかった。大本営広報部の仕事ぶりは常に完璧。今も、モリカケや市場移転問題ではなく、逃亡犯人やら相撲協会問題に全力を注いでいる。居並ぶ連中、解決ではなく、問題の一部としか思えない。

2018年10月 4日 (木)

フランス諜報機関幹部: ドネツクのザハルチェンコ首相は、アメリカとイギリスの支援を得てウクライナ諜報機関に暗殺された

2018年9月28日
Russian Insider

 本記事は、今朝イギリスの素晴らしいウェブサイト、オフ-ガーディアンにも掲載されたが、おそらく、イギリス当局の圧力で、一時間後に削除された。その投稿リンクはここ。https://off-guardian.org/2018/09/29/capt-paul-barril-we-know-who-killed-alexander-zakharchenko/(訳注:ページはありません!と出る)

 今年早々、対テロと個人護衛で著名なフランス人専門家ポール・バリル大尉はドネツク人民共和国 (DPR)を訪問するよう招待されていた。訪問の狙いは、防御と個人護衛に関する話題のDPR首相アレクサンドル・ザハルチェンコとの情報交換だった。ところが二人が会談する前に、ドネツクのセパル・カフェでの爆弾でザハルチェンコ首相は暗殺された。

 このインタビューで、バリル大尉は彼の殺害に関する衝撃的な暴露をしている(フランス語から翻訳):

 インタビュワー: バリル大尉、機会を与えてくださってありがとうございます。まず、フランス共和国のためのあなたの重要な公務について少しお話しいただけますか? あなたはGIGN (国家憲兵隊治安介入部隊)共同創設者のお一人ですね?

 バリル大尉(写真は上): ええそうです。ずっと昔、1980年代、活動の最初の頃。

 インタビュアー: 誰かフランス大統領のために働かれましたね?

 バリル大尉: はい、ジスカールデスタン大統領とミッテラン大統領のもとで働きました。


アレクサンドル・ザハルチェンコ

 インタビュアー: 今年9月、あなたは、彼の警護サービスとある情報を共有するため、ドネツク人民共和国指導者、アレクサンドル・ザハルチェンコと会う予定でした。誰が彼を殺害したのかご存じですか(あるいは何かお考えは)?!

 バリル大尉: ドネツクで、誰がアレクサンドル・ザハルチェンコを殺害したか知っています。ウクライナ国防軍諜報部第3特殊作戦連隊が実行したのです。訓練は、ウクライナ内にある彼らの基地の一つ、フメルニツキー訓練センターで、アメリカ人教官が行いました。

 文脈を理解することが重要です。ドンバスは、NATOがロシアに対する代理戦争に関与している非常に微妙な地帯です。ウクライナはNATOの手先をつとめていますが、ドネツクはロシア側です。DPR (ドネツク人民共和国)のアレクサンドル・ザハルチェンコ首相は親モスクワで、熱心なプーチン支持者でした。2014年以来、様々な欧米諜報機関がドンバスで活動していることを承知しておく必要があります。2014年4月、ジョン・ブレナンCIA長官が(ユーロマイダン用の)指示を与えるため、偽名を使ってキエフに来ました。現在、CIA教官を現地に置いており、カナダもそうです。彼らはドネツク共和国を粉砕するための特別行動をしています。

 インタビュアー: するとカナダとアメリカとイギリスがウクライナ諜報機関と繋がっているとおっしゃるのですか? ウクライナ保安庁(SBU)やウクライナ軍諜報部と?

 バリル大尉: ロシアに反対するあらゆる勢力が今ウクライナにいます。実際ドネツク指導者を殺害することで、直接的でないにせよ、連中はロシアに痛い一撃を与えたのです。


ドネツク中心部の爆発後の“セパル”カフェ。

 インタビュアー: 彼らは一体どのようにこの殺人を行ったのでしょう?

 バリル大尉: ドネツク中心部の非常にしっかり警備されている地帯にある“セパル”カフェで殺人が実行されました。連中は小さなスマート爆弾を、火薬捜査犬に探知されないようロビー入り口上に仕掛けました。首相が入った際、遠く離れたところから爆弾が起爆され、爆発しました。爆発でアレクサンドル・ザハルチェンコと彼の護衛が死亡し、女性一人が重傷を負い、副官アレクサンドル・チモフェーエフ(彼は二番目の標的だった)、大やけどし、挫傷を受けた。


爆弾は非常に“スマート”で、方向性があり、バーのガラスは無傷のままだった。

 インタビュアー: “好ましくない”連中を排除するため、イギリス人とアメリカ人は、概して爆弾を使うのでしょうか?

 バリル大尉: 近年の歴史では、チェチェン戦争中、アメリカ人教官が、街灯柱の土台に爆発物を仕込むようテロリストを訓練しました。連中は電気配線を電気起爆装置として利用したのです。ロシア軍や戦車が道路にやって来ると、テロリストがボタンを押します。爆発が数メートルの半径内のロシア機器や要員を攻撃するのです。こうした隠蔽爆弾はロシア軍の“遺伝子”にありませんから、ロシア人は不意を突かれたのです。しかしながら、アメリカ軍の遺伝子にはしっかり組み込まれています。

 CIAとグリーンベレーは世界で最も先進的な仕掛け爆弾を持っており、“セパル”レストランでの爆弾はイギリスかアメリカの仕業だという“痕跡” です。

 カダフィの爆発物専門家連中さえ元CIA工作員によって訓練され、装備を与えられていました。元CIA工作員は、彼らが仕掛け爆弾を、電燈や目ざまし時計、花瓶、ラジオや灰皿を装うのを手助けしたのです。ですから、ドネツクに爆発物を仕込んだ連中はアメリカに訓練されており、ああしたスマート爆弾は連中の痕跡なのです。

 アメリカ人とイギリス人は、人の殺害に、爆弾を好みます。この場合、連中は、明らかに、集団が実際に仕掛け爆弾を設置するのを支援した現地スパイも利用しました。ですから、フランスは、ウクライナ内戦を終わらせるようと、ノルマンディー・フォーマット各国の枠内で活動しているのですが、イギリス-アメリカ陰の政府は現地で新たな戦争を醸成しているのです。

 インタビュアー: もっと詳細をお話し戴けますか? DGSE(フランス対外治安総局)の情報源から、この情報を得られたのですか?

 バリル大尉: 詳細は秘密で、私としては言える限りのことをお話しました。けれども私はドネツクに行くつもりで、共和国のデニス・プシーリン新首相と会う予定です。全ての情報をデニス・プシーリン首相と共有するつもりです。

 インタビュアー: バリル大尉、お招きありがとうございます。

https://off-guardian.org/2018/09/29/capt-paul-barril-we-know-who-killed-alexander-zakharchenko/

記事原文のurl:https://russia-insider.com/en/senior-french-intel-head-donetsk-zakharchenko-was-assassinated-ukraine-intelligence-support-us-uk

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 閉店セールの一員、早くも教育勅語擁護暴言。 「人気タレントが転身しキャスターに」という触れ込みの番組が始まった。「大本営広報部で大いに評価されていた人物」というだけで、全く見る気になれない。見る方々の蛮勇?に驚く。呆導番組に決まっているだろう。番組名が実態を反映しているかのよう。先日放映された映画『帰って来たヒトラー』の中の、テレビ番組批判に感心した。

2018年10月 3日 (水)

S-300がF-35を破壊し暴露する可能性というアメリカ軍産複合体最悪の悪夢

Federico PIERACCINI
2018年9月30日
New Eastern Outlook

 15人のロシア空軍軍人を死亡させた悲劇的事件は、シリアと中東の状況に即座に影響を与えた。9月24日、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣は、同盟諸国と敵国に、S-300防空システムのシリア・アラブ共和国への引き渡しがウラジーミル・プーチン大統領により承認されたことを伝えた。引き渡しは遅れ、更に2013年の昔、イスラエルによる圧力の結果、停止された。

 ある意味で、S-300砲台のシリア引き渡しは、テルアビブに対するより、ワシントンにとって心配の種だ。イスラエルは何機かF-35を所有しており、nイラン兵器のヒズボラへの引き渡しとされるものをシリアで攻撃するのに使用したと主張している。S-300システムの改良版が配備され、ロシアの指揮統制、コミュニケーション(C3)システムと統合され、今やシリア国内での出来事の方向を変えることができないイスラエルは捨て身の作戦を企てかねない深刻なリスク(ワシントンにとって)があるのだ。

 ギリシャが何年も前にロシアからS-300を購入し、NATOとイスラエルがロシア防空システムに対して何度も訓練しているのは周知の事実だ。イスラエル国防軍幹部連中は、どうやら、その弱点を発見しており、S-300破壊することができると、しばしば主張している。

 S-300砲台を攻撃し破壊するつもりだというテルアビブの警告を口先だけの脅しと受け止めてはならない。最近のロシアIl-20偵察機を見れば、死物狂いのイスラエルがどれほど無謀になる用意があるか十分理解できる。しかも複数のイスラエル国防軍司令官が、イスラエル戦闘機を脅かせば、シリアのS-300を正当な標的と見なすと長年繰り返している。

 現時点で、若干の追加情報を補足し、いくつかの点を明らかにしておく必要がある。ギリシャのS-300は古く、保守されておらず、電子部品更新がされていない。S-300やS-400のように先進的で複雑なシステムは、保守、アップグレードが必要で、ハードウェア改良のため部品交換が必要なことも多い。ギリシャの砲台では、こうしたことが全く欠けている。二つ目に、システムを使用する(レーダーを使い、標的設定し、照準し、ロックオンするなど)オペレーターで、全般的有効性という点で差がでることが多いのだ。更に、システムはロシアのC3システムに完全に統合されており、ギリシャのS-300作戦演習で得られたこれまでのあらゆる経験を無効にしてしまう。欧米の国はロシア・システムで補強され、一体化したシリア防空の本当の能力を知らないのだ。これはダマスカスとモスクワがしっかり守り続ける秘密だ。だが二年前、アレッポ解放作戦最中に、あるロシア軍幹部が(たぶんF-35やF-22のような第五世代ステルス機についてほのめかして)ロシア・システムの射程距離と有効性は驚くようなものになる可能性があると警告した。

 下記は、S-300のシリア配備と、その他のロシア・システムとの統合に関するロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣の言葉だ。

    "ロシアは、シリアと接する地中海でシリア領内の標的を攻撃する戦闘機の衛星航法や、搭載レーダーや、通信システムに妨害電波をかける。こうした措置を実施すれば、短気な連中の頭を冷し、わが軍の兵士を脅かす軽率な行動を防げると確信している。それ以外は、現在の状況に合わせて対応するつもりだ。シリア軍部隊と軍の防空部隊は、ロシア国軍に供給されている自動制御システムが装備される。これは空域の状況を監視するシリア防空軍施設の集中管理を可能にし、攻撃目標指示を促進する。最も重要なのは、それがシリア防空軍によるロシア機識別に使用されることだ。"

 もしイスラエルが、S-300を抹殺するという無謀な企みを貫徹するつもりなら(可動型なので、そもそも発見できたらだが)、イスラエルのF-35が撃墜される危険をおかすことにになる。アメリカ軍産複合体は取り返しのつかない損害をこうむるはずだ。これは一体なぜイスラエル(そして、たぶんアメリカも)が五年以上、S-300をシリアとイランに送付せぬよう、モスクワに大変な圧力をかけてきた理由の説明になるはずだ。トルコとインドによる将来のS-400購入を巡るアメリカ国務省の反応が、同盟諸国がロシア・システムを選ぶ可能性を巡り、アメリカ政府高官や将軍たちが味わっている懸念を裏付けている。これにより、これら同盟諸国がアメリカから購入した兵器との比較が可能になり、脆弱性の発見や、アメリカ兵器が相対的劣勢にあることの認識を招いてしまう。

 自国の権益を全てに優先するテルアビブの傾向を考えれば、紛争に更に深く関与するよう、ワシントンをゆするための兵器として、彼らが、イスラエルのF-35でS-300を攻撃する可能性があっても驚くにはあたらないはずだ。アメリカ合州国にとって、避けるべき二つのシナリオがある。一つ目はシリアでのロシアとの紛争への直接関与で、これは当面、思いも寄らず、非現実的だ。二つ目は、軍事計画者にとって、ずっと気掛かりな、F-35の能力と秘密が危険にさらされたり、ほぼ半世紀も古い防空システムにかなわないことがばれたりする可能性の懸念だ。

 アメリカ合州国が最も先進的な飛行機を、地域でいかに運用しているかについての啓発的な例は、東シリア、デリゾール周辺でのものだ。シリアのこの部分では、いかなる高度な防空システムの脅威も無く、アメリカは、ある種の状況で、F-22を自由に使えることが多い。ロシアのSu-35が、F-22と同じ空に出現すると、アメリカ空軍は、いかなる対決も避け、F-22のような第五世代財産を素早く撤退させていることをはっきり示しているレーダー上の証拠を、ロシア軍は再三提示している。F-35の海軍版はできておらず、中東戦域近辺やペルシャ湾のアメリカ航空母艦にはまだ配備されていない。地域のどのアメリカ軍事基地にも存在していない。アメリカは、F-35のシリアでの使用を考えてもおらず、ロシア防空システムに対して使用する危険を冒すつもりもない。イスラエルがこれまでにこの飛行機をシリアで既に使用した可能性がある唯一の国だ。しかし、それもS-300が現場に登場する前のことだ。

 F-35計画には、既に何千億ドルもかかっており、間もなく、法外で超現実的な1兆ドルを越える数値になる。何十年も前の契約に縛られ、既に何十もの国々に売られている。F-35は多目的戦闘機として開発されており、NATOと同盟諸国の将来の基幹になると期待されている。開発は10年以上昔に始まり、依然存在している無数の問題点にもかかわらず、イスラエルが主張している通り、既に飛行し、戦闘即応状態にある。アメリカの観点からは、作戦での使用には重きをおかれず、むしろ隠されている。敵が得るデーターが少なければ少ないほど良いのだ。本当の理由は将来の売り上げを損なう飛行機の弱点が何か暴露されるという強い恐怖にあるのかも知れないが。現時点で、ペンタゴンによるF-35のマーケティングは、メーカーのロッキード・マーチンが提供した評価と、ロッキード・マーチンにそれを発注した軍が行ったテストに基づいている。明らかに、ロッキード・マーチンもアメリカ空軍も、いかなる弱点も欠点も、特に公式に明らかにすることに興味皆無だ。一般的な考えに反して、ワシントンで汚職は一大事なのだ、。

 イスラエルのエゴと、シリアでの出来事の流れを変えることができないことが相まって、シリアに今や優勢な防空能力が備わったため、中東中を何のおとがめもなく飛行する能力を失ったことも加わり - こうした要素の全てが、イスラエルを、S-300砲台を破壊するために、F-35を使用する破れかぶれの行動に追いやりかねない。ワシントンは、おそらく、シリアでの出来事の舵取りをする能力を失って以来、事態について、イスラエルに対する影響力皆無という、誰にもうらやまれない立場にあるのだ。

 ロシア防空システムが、中国、インド、サウジアラビア、カタール、サウジアラビアを含め世界の隅々に広がりつつある可能性があり、他に一体いくつの国々が行列待ちをしているか誰にもわからず、ロシアは輸出能力と、シリアの空の大半を支配して実証しているロシア軍の威光を強化し続ける。S-500導入が迫っており、F-35が1969年に製造されたS-300システムによって撃墜される可能性を心配しながら、ペンタゴンとロッキード・マーチンの本部にいる連中が過ごしている眠れない夜が想像できる。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/09/30/us-military-industrial-complex-worst-nightmare-s300-may-destroy-expose-f35.html

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 女性アナウンサーが変わった番組、見る気がおきない。IWJの市場移転問題インタビュー、途中で所用で外出せざるを得なかった。それに続く、元NHK大阪の記者で森友問題でスクープを連発した大阪日日新聞・相澤冬樹氏インタビューも見損ねた。公共電波は、極めて重要ないずれの話題にも全く時間をさかず、閉店セールの顔ぶれを言い立てる。属国大本営広報部呆導を見続ければ、がちょうではないが、フォアグラ頭になってしまいそう。沖縄は除いて。

2018年10月 2日 (火)

トランプ: 一つの評価

2018年9月27日

トランプ大王?

Paul Craig Roberts

 下記の三つの理由から、私はトランプを大統領として支持してきた。

 トランプは、ロシアとの関係正常化と、主要核大国との無謀な対立の画策を止める必要性を認識している唯一の候補者だった。

 トランプは、アメリカ労働者のために、高生産性、高付加価値の雇用を復活させる必要性を認識している唯一の候補者だった。

 トランプは、支配層エリートという既得権益集団にではなく、アメリカ国民に語りかけた唯一の候補者だった。

 私の懸念は、トランプはワシントンを知らず、こうした目的を実現するのを支援するのに誰を任命すべきか彼が分かっていないことだった。

 軍安保複合体と、アメリカ・グローバル企業と、支配層オリガルヒに対して、彼の計画が及ぼす脅威の程度に、トランプは気づいていなかった。ロシアとの関係正常化は、軍安保複合体の1兆ドルの年間予算と、それにともなう権限に疑問を投げかけるはずなのだ。海外移転した雇用を国内に戻すと、アメリカ・グローバル企業の労賃が上昇し、経営者階級の“業績連動賞与”が削減する。アメリカ国民に直接語りかけるのは、支配層オリガルヒに対する一般大衆の反乱がおきるのではないかと不安になる。自分の閣僚をどうやって選ぶべきかを知らない大統領にとって敵は強すぎ、トランプはその報いを受けたのだ。

 ジョン・ブレナンCIA長官が画策し、極めて党派的なFBI内の民主党工作員やトランプ自身のロッド・ローゼンスタイン司法副長官が実施し、民主党と売女マスコミが執拗に繰り返した“ロシアゲート”という濡れ衣が、ロシアとの関係をトランプが正常化するのを阻止した。

 悪意のないものであれ、意図的なものであれ、誤った経済助言が、トランプの注意を雇用の海外移転から関税へとそらせ、貿易戦争を引き起こし、アメリカ人の雇用を国内回帰させる代わりに、物価を上げる結果になっている。

 将来の大統領候補が誰も直接、アメリカ国民に語りかけるような間違いをしないよう、トランプを見せしめにするにすると、支配層オリガルヒは固く決めている。

 トランプは我々にとって最後のチャンスだったが、彼は負けつつあるようだ。

 トランプの中東政策はトランプのシオニスト娘婿とネタニヤフの手中にある。結果はロシアとの緊張のエスカレーションで、イスラエルはロシア空軍機と乗組員の破壊を引き起こし、トランプ政権は、ワシントンのテロ軍団が占領しているシリア最後の県を解放するためのなんらかの取り組みをすれば、シリアとロシアの軍を攻撃すると恫喝し、トランプは一方的にイラン核合意から離脱し、トランプは中東からアメリカ軍を撤退する意志を放棄しつつあり、トランプの狂ったネオコン国家安全保障担当補佐官ジョン・ボルトンは、イランとロシアをあつかましく恫喝し、トランプがアメリカ大使館をイスラエルからエルサレムに移動し、トランプは、アメリカが支援するイスラエルの手によって、我々の目の前で、集団虐殺されているパレスチナ人に対するあらゆる支援を打ち切っている。

 まだ続けられるが、皆様は全体像がお分かりだろう。

 トランプ政権は途方もなく無能なせいか、戦争に没頭しているせいか、アメリカ/イスラエルによるイラン不安定化をロシアが許容できず、アメリカ/イスラエルによるシリア不安定化もロシアが許容できないのを理解していない。狂ったボルトンはイランを恫喝し、ロシアの国益も直接恫喝している。ロシアとの関係を良くするつもりだった大統領は、オバマ、ヒラリー・クリントン、ビクトリア・ヌーランドらの能力以上に悪化させた。

 ここで、あえて本意と反対の意見を主張してみよう。トランプは、支配層オリガルヒの物欲によって自分が全く身動きできない状況にあると見て取って、ワシントンの既に衰えつつある影響力にとどめをさすと決めたのだ。彼はニッキー・ヘイリーをアメリカ国連大使に任命し、彼女は世界中のあらゆる国々を遠ざける素晴らしい仕事をなし遂げた。トランプは関税と経済制裁の脅しで、ヨーロッパを激怒させ、ロシア/ドイツ天然ガス・パイプライン事業を進めるなとドイツに命じた。9月26日、トランプは、更に国連安全保障理事会をワシントンの足載せ台扱いした。トランプは恫喝と経済制裁で、トルコ、イラン、インド、中国と北朝鮮をロシア側に追いやり、ヨーロッパを自立へと駆り立てている。天才的な発想で、トランプは、徹底的なネオコン閣僚にもかかわらず、ワシントン覇権を破壊しつつあるのだ。

 これが傲慢さとうぬぼれの予期せぬ結果なのか、それとも賢明な戦略なのか、我々には決してわからないかも知れない。だが、もしそれが向かっているように見える方向に進めば、トランプはアメリカ覇権を粉砕して世界を救った人物、トランプ大王として歴史に残るだろう。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/09/27/trump-an-assessment/

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 昨日は下記を拝聴。大本営広報部が決して報じない豊洲の深刻な問題満載。逃走犯逃亡の顛末を延々聞かされるのと大違い。実に有意義な勉強。

【タイムリー再配信 245・IWJ_Youtube Live】14:00~「菅原邦昭氏『築地を守ることは地域経済を守ることであり、全国の卸売制度を守ること』森山高至氏『豊洲はオリンピックメディアセンターとして活用』~6.2シンポジウム『築地市場の行方』第二弾」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501

 6月2日に収録した「希望のまち東京をつくる会」主催の「シンポジウム『築地市場の行方』第二弾 ~築地を守り、豊洲を生かす!」をフルオープンで再配信します。2017年8月に開催され大きな反響を呼んだシンポジウム「築地市場の行方」の第二弾です。そのシンポジウムは以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/396390

 6月の当時から、豊洲新市場への移転について、解決されない土壌汚染や施設不備、日本の食の流通を激変させる卸売市場法改正案など、様々な問題が指摘されていました。シンポジウムでは、卸売市場法について、菅原邦昭氏(仙台市中央卸売市場水産物卸協同組合事務局長)と中澤誠氏(東京中央市場労働組合執行委員長)の対談、また「失敗建築豊洲市場をいかに再生するか」というテーマで森山高至氏(建築エコノミスト)のお話、最後は宇都宮健児氏(弁護士・元日弁連会長・希望のまち東京をつくる会代表)が加わり、「<みんなの市場>築地を未来へつなぐために」をテーマにトークセッションがおこなわれました。  

 これまでIWJが報じてきた築地市場移転問題関連の記事は以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E7%AF%89%E5%9C%B0%E5%B8%82%E5%A0%B4%E7%A7%BB%E8%BB%A2%E5%95%8F%E9%A1%8C

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/423408

今日のIWJガイドで紹介されている下記インタビューも見逃せない。

■<今日の岩上さんのインタビュー>本日岩上さんインタビューはWヘッダー!午後2時半からは建築エコノミスト・森山高至氏、一級建築士・水谷和子氏、築地女将さん会・山口タイ氏、新井眞沙子氏と築地市場豊洲移転問題の座談会を、午後9時半からは元NHK記者・大阪日日新聞論説委員 相澤冬樹氏インタビューを冒頭のみフルオープン、その後は会員限定で中継します!

YouTube視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867
ツイキャス視聴URL(冒頭のみ): https://twitcasting.tv/iwakamiyasumi

【IWJ_Youtube Live】21:30~「森友疑惑で数々のスクープを飛ばした辣腕記者をNHKが忖度人事で左遷!?『NHKでは二度と記者に戻れない』『これからも記者を続けたい!』NHKを退職した現・大阪日日新聞論説委員相澤冬樹記者に岩上安身がインタビュー!」
YouTube視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867
ツイキャス視聴URL(冒頭のみ): https://twitcasting.tv/iwakamiyasumi

※ご寄付・カンパのご支援はこちらからよろしくお願いいたします。
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2018年10月 1日 (月)

アメリカのやり方しか無い。国連安保理事会で世界をアメリカの足台扱いするトランプ

Finian Cunningham
2018年9月27日
RT

 今週、ドナルド・トランプは国連安全保障理事会で議長をつとめ、世界に対し、イランに対するアメリカの命令に従え、さもなくば、ワシントンの命令に従わないかどで報復するぞと、殺し屋のような最後通告をした。
世界の安全保障と平和を維持するための世界最高の場所が、こうして、ずうずうしい犯罪的なアメリカの主張の舞台と化した。

 今週ニューヨークでの第73回国連総会は、頭がクラクラするほどのアメリカによるいじめと傲慢さの見もので、トランプのばかばかしいほど独り善がりの演説のある場面では、各国代表が笑いをこらえられなくなったほどだ。

 総会での演説で、“世界最大のテロ・スポンサー”というイランに対する使い古された非難をトランプは繰り返した。何の新味もないが、このアメリカ大統領がしているのは、降伏しないと暴力的侵略の目に会うぞというイランに対する通告だ。

 トランプの国家安全保障問題担当補佐官ジョン・ボルトンはニューヨークでの別の演説で、ワシントンの根拠のない非難を巡り、イランに“大変な結果になる”と警告した。

 ワシントンは、イランの極めて重要な石油貿易の全面禁輸を課し、アメリカが支配する国際銀行制度からテヘランを遮断すると恫喝を強化した。これは、イランを更なる対立へ押しやる経済戦争行為だと考えられる。

 更に、トランプが安全保障理事会会議議長をつとめた際、もしアメリカ経済制裁に逆らってイランとの貿易を継続すれば“重大な結果”に直面すると諸国に挑発的に警告した。

 一日前、2015年の包括的共同作業計画(JCPOA)として知られている協定の支持を再確認するため、イランとの国際核合意の他の署名国全てが会合した。欧州連合は、ロシアや中国と協力して、アメリカの経済制裁と金融規制を回避する新たな決済機構を設立しようとしている。

 ところが、ここでトランプは各国に“そんなものを試そうとするな!”と言ったのだ。大統領はアメリカのやり方以外ないと言っているのだ。

 同盟諸国とされるものを含め全ての国々に対するワシントン権益の一方的押しつけは、必然的に紛争に至る緊張を引き起こす暴君の振る舞いだ。

 イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣は、アメリカが安全保障理事会を“悪用している”と正しく述べている。トランプはワシントンの独裁的政策を主張する場として利用していた。世界秩序と平和の維持を目指すためのものと考えられている場がアメリカ“指導”の下、アメリカ攻勢の共鳴板として利用されるのは皮肉なことだ。

 今週安全保障理事会の議題は、名目上、核兵器や他の大量破壊兵器の不拡散だった。前日の彼の総会演説をとりとめなく繰り返し、“[弾道] ミサイルを中東中に拡散している”テロリスト政権として、再度イランを悪者扱いするのに、安全保障理事会を利用して、トランプは二時間の委員会を始めた。

 今年5月のイラン核合意からのトランプの一方的離脱は、JCPOAが、決議2231で、安全保障理事会によって批准されていたことからして、国際法違反に当たる。

 ところが、トランプは、イランへの根拠ない非難で正当化して、このアメリカによる国際協定放棄を悪用しようとした。トランプが、イランに向けている“ならずもの国家”というあだ名は、実際、アメリカにこそ相応しい。

 安全保障理事会会議の議長をつとめる大統領は軽い調子で喜劇のようだった。時に、トランプは、まるで彼のリアリティアTV番組、The Apprenticeの再放送をしているかのように、彼の想像上の偉大さを自慢した。

 アメリカ国連大使ニッキー・ヘイリーは、人々の注目を集めるために叩く大統領のおもちゃのように、トランプの前に小槌を置いた。そして会議の途中、おそらく退屈して、大統領は護衛たちとともに歩き去り、ヘイリーに後を任せた。

 国連安全保障理事会の他の全常任理事国フランスとイギリスとロシアと中国は次々にイラン核合意が“ひどいもの”だというアメリカの立場を否定した。それぞれが、それは核兵器の不拡散により、世界をより安全にする持続可能な機能している条約だと述べた。

 ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、代表団は無数の検査で、イランがJCPOAを完全に遵守していることを示していることを指摘し、トランプの協定からの離脱は不当で、間違っており、中東における緊張と不安定さを高めているとした。

 “JCPOAからのアメリカの一方的離脱は国際的不拡散体制にとっての重大な脅威だ”とラブロフは述べた。

 そこで何という逆説か。トランプが、核兵器拡散防止が議題の世界最高の安全保障委員会の議長をつとめたのだ。だが国際的に合意されている見解は、アメリカは安全保障を無責任に危険にさらしているというものだ。

 今週の議事について、世界で孤立しつつあるのは、イランではなくアメリカだと言ったイランのハサン・ロウハーニー大統領に同意せずにいるのは困難だ。

 だが状況は気がかりだ。トランプと彼のタカ派政権幹部は他の国々が何を考えているか全く気にしていない。全員間違いで、アメリカが正しいというのが連中の見解だ。

 イランに関する明白な国際法違反にもかかわらず、アメリカの独善を称賛する好機として、安全保障理事会で議長をつとめるというトランプの臆面もないうぬぼれで、これは十分明らかにされた。

 国連でのアメリカの主張は常に、うぬぼれと虫のいいウソの饗宴だ。だが今年、トランプは、紛れもなく、たくさんの途方もない矛盾を提示した。

 安全保障理事会で、いかに“アメリカが戦争の恐怖を美しい平和の約束で置き換えることが可能か”彼は熱心に説いた。この気の抜けた自慢のわずか数分前、トランプは、イランをの首を絞めろというアメリカの命令に従わないなら、アメリカによる懲罰を覚悟しろと世界に通告していたのだ。

 今回の総会演説で、トランプは彼の世界構想基本における理念として国家“主権”に夢中だった。ところが明らかに、現実世界で、このアメリカ大統領は前任者たち同様、国々がワシントンの命令に、あえて異議を唱えれば、他国の主権を全く軽視するだけだ。

 もう一つの目に余る矛盾は、アメリカは決して、アメリカ法を越える国際的規則によって責任を問われることはないと主張して、トランプが“グローバル官僚”をこきおろすことだ、。彼の“アメリカ・ファースト”論は無法状態の受け入れだ。それが常にアメリカのやり方だ。トランプは、この教義を明確にしているだけなのだ。

 だがトランプはアメリカ主権が抑制されない最高権力であることを望みながら、ワシントンの命令を他国に押しつけるためなら国連の“グローバル官僚”や、多国間主義を利用するのもいとわない。これは勝手な良い所取りだ。

 アメリカは“世界の警察官”だと主張して、その帝国主義を自負してきた。トランプ下のアメリカ権力は“世界の悪党”のようだ。

 アメリカの主張と現実との矛盾はあまりにばかばかしくなっていて、礼儀正しい外交官すら真顔でいるのは困難だ。

 Finian Cunningham(1963年生まれ)は、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。北アイルランド、ベルファスト生まれの農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。20年以上、ミラーやアイリッシュ・タイムズやインデペンデント等の大手マスコミ企業で、彼は編集者、著者として働いた。現在は、東アフリカを本拠とするフリーランス・ジャーナリストで、RT、スプートニク、Strategic Culture Foundationや、Press TVにコラム記事を書いている。

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 本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

記事原文のurl:https://www.rt.com/op-ed/439660-trump-diktat-iran-unsc/

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沖縄知事選挙結果を知ってぐっすり眠れるはずだった。猛烈な風さえなければ。中学英語教科書にあったCan you sleep on windy nights?という文章を思い出しながら強烈な風の音を聞いていた。

沖縄まで宣伝にでかけた知事のおかげで、今も偉い目にあっているので、明日は下記インタビューを拝聴。

10月2日午後2時半から、建築エコノミストの森山高至氏、一級建築士の水谷和子氏、築地女将さん会会長の山口タイ氏、女将さん会の新井眞沙子氏に、岩上さんが大座談会インタビュー!同日夜9時半には、森友スクープを連発した相澤冬樹氏にもインタビューをWヘッダーでおこないます!相澤氏への質問も大募集中!/本日は午後2時から「シンポジウム『築地市場の行方』第二弾 ~築地を守り、豊洲を生かす!」を、午後7時より「『森友学園問題』を考える会主催『モリカケ・カウントダウンフェス』トークライブ」 を、午後8時より「岩上さんによる森山高至氏・水谷和子氏・中澤誠氏へのインタビュー」をタイムリー再配信します!

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