ロシアは自国のインテリに裏切られつつあるのだろうか?
2018年9月25日
Paul Craig Roberts
15人のロシア空軍軍人をイスラエルが意図的に殺人したことに対するプーチンの言い訳を受け入れるのを、ロシア軍は拒否した。ロシア軍は一体何かが起きたか正確に知っており、イスラエルという犯罪国家に対する、ロシア政府の甘く、だまされやすい信頼を、イスラエルが徹底的に裏切ったのを、完全に明らかにするのをためらわなかった。https://www.rt.com/news/439246-russian-mod-israeli-f-16-hid/
プーチン文民顧問の無能な外交政策には驚嘆する。ワシントンの似非“対テロ戦争”の唯一の理由は、ワシントンから自立した外交政策を持っている全政府、イスラエル拡張の邪魔になる政府を中東から無くすことだということに、どうやらロシアは気がついていないようだ。イスラエルは、特に、南レバノン併合と、ワシントンがイラクとリビアを陥れたのと同じ混乱にシリアとイランを陥れるため、イスラエルが打ち負かすことができずにいるヒズボラ民兵を、ワシントンを使って片づけることに関心を持っている。シリアとイランが混乱状態になれば、ヒズボラに供給する国はなくなり、イスラエルは再びレバノンに進撃できるのだ。
ロシア政府は“テロリスト連中”がワシントンの作戦隊員であることを理解していないのだろうか? ワシントンは、これら“テロリスト”の一部が“シリア独裁制”とされるものに反対している“民主的反政府派”であるふりをしている。ワシントンは、他のアメリカ傭兵連中が、その存在がアメリカ軍のシリア国内違法駐留をワシントンが正当化するための“テロリスト”であるふりをしたが、シリア国内に残ったアルカイダやヌスラ戦線やISIS部隊を守ると、ワシントンが露骨に固く決心するとともに“テロとの戦い”という口実は雲散霧消した。大半がシオニストで、ネタニヤフと親しい同盟関係にあるアメリカ・ネオコンは、アメリカ世界覇権という教理を作り上げた。この“アメリカ例外主義”というイデオロギー教理は、ワシントンが中東におけるイスラエルの利益のために仕えているという事実を隠すための隠れ蓑として機能している。
この全く分かりきった明白な事実をプーチンの文民顧問はどうやら理解できないのだ。
ところが、イスラエルによるロシア空軍軍人殺害で、プーチンは、とうとうシリアとの契約を履行し、シリアは支払ったが、プーチンがイスラエルという犯罪国家を尊重して、引き渡しを拒否していたS-300防空システムを引き渡すことを余儀なくされた。S-300 は、2週間で引き渡せるとロシア国防省は述べている。この防空システムは、ーチンが飛行禁止空域を宣言することなしに、「アメリカとイスラエルというロシアのパートナーを尊重して、プーチンが避けていた明白な解決策である、イスラエルやアメリカやNATOの侵略に対し、シリアが領空を封鎖することが可能にするだろうと私は思う。
もしロシアが最初にシリア支援にやって来た時に、ロシア政府が事実上の飛行禁止空域を設定し、もしロシアが、時期尚早の撤退や、何らかの合意を得るという甘い希望で停戦をせず、ワシントンのテロリストを打倒する計画を堅持していれば、挑発は、避けられており、命は救われていたはずだと私は思う。ロシア政府は、ワシントンや、イスラエルや、ワシントンのEU属国諸国いずれかとの何らかの協定に、何か意味があるなどと一体なぜ思えるのだろう? こうしたロシアのためらい全てが、ワシントンが、シリア領内に、しっかり入り込む方法を考え出すのを可能にしたのだ。もしロシアが、より毅然と躊躇することなく行動していれば、ロシア空軍軍人たちや多数の他の人々はまだ生きていたはずだ。
ワシントンとの協定は無駄足であることを、ロシア政府がまだ学んでいないなどということがあり得るだろうか? ワシントンは約束を破り、NATOをロシア国境にまで拡大したが、全ヨーロッパはそれを認めた。ワシントンは弾道弾迎撃ミサイル制限条約から一方的に脱退した。ワシントンとイスラエルは、ジョージア軍に装備と訓練を与え、ロシアの平和維持軍兵士を殺害し、南オセチアを攻撃するよう送り込み、ロシアを“侵略”したと非難した。ワシントンはソチ・オリンピック成功の足を引っ張り、ロシアを黒海海軍基地から追い出す狙いで、ウクライナでのネオナチ・クーデターで、無防備なロシア政府を奇襲する好機として利用した。クリミア住民の97%が、ロシア再編入賛成投票すると、ワシントンと、そのEU属国連中は“ロシアがウクライナを侵略した”と偽って主張した。ビクトリア・ヌーランドが据えつけたウクライナ政府がマレーシア航空旅客機を撃墜し、旅客機が地上に墜落するやいなや、ロシアに罪をなすりつけ、そのままになっている。ワシントンはイラン核合意から一方的に脱退した。このリストは、ワシントンによるロシアに対する裏切りのほんの上面を引っかいているに過ぎない。
それでもロシア政府はワシントンとの協定に意味があると思っているのだろうか?!
ロシア政府がワシントンと締結可能な唯一意味のある協定は、ロシアの主権を署名して放棄し、ワシントンの属国としてのロシアの立場を受け入れるものだ。この基本的で不変の現実を理解できるようになるまでに、ロシア政府は一体どれだけの目の黒あざが必要なのだろう?
ワシントンのテロリストからのシリア解放で、シリア/ロシアが得たものを守るための防空システムをシリアに引き渡すためにロシア政府がとった遅ればせながらの、延び延びになっていた措置でさえ、モスクワを本拠とする世界経済国際関係研究所上席研究員のニコライ・スルコフのようなロシア人“専門家”にとっては、やり過ぎなのだ。RTに、“ロシアとイスラエルはパートナーで、どちらの側も、このパートナー関係を危うくしたいとは思っていないと、スルコフは断言した。”https://www.rt.com/news/439211-russia-israel-syria-fallout/ すると全くの阿呆スルコフは、イスラエルが一体なぜ、ロシア軍用機と乗組員を破壊させたと思っているのだろう? 彼はイスラエルのインチキ説明を受け入れるイスラエルの代弁者なのだろうか?
全く無知なスルコフが、一体どうして“専門家”と見なされるのだろう。イスラエルとロシアには共通の利害など皆無だ。中東で、イスラエルに関心があるのは、イスラエル拡大の邪魔になるような、しっかり組織された国家が皆無になる混乱だ。ロシアの関心は、ワシントンとイスラエルがテロリストをロシア連邦にけしかけるのを防ぐ、自立した外交政策を持った安定した政府だ。もしロシア政府がこれを理解していないなら、新たな諜報機関が是非とも必要だ。ただし、スルコフが率いるものではない。
私が知る限り、ロシア政府もロシア国民も、ワシントン、イスラエルと両国のNATOの傀儡諸国は、ロシアの“パートナー”ではなく、ロシアの敵であることを理解していない。ワシントンとイスラエルが、ロシア破壊に専心していることは疑うべくもない。ところが、ロシアにいるのは“ロシアとイスラエルはパートナーだ”と信じているか、信じるふりをしているスルコフのような“専門家”なのだ。
もしこれがモスクワのインテリの水準であれば、ロシアも我々も絶望的だ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/09/25/is-russia-being-betrayed-by-its-own-intelligensia/
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ほとんど見なくなった夜の番組、昨夜は驚いた。物品貿易協定(Trade Agreement on goods, TAG)なるもの、締結後には、金融、保険などの交渉をおこなうことが明記されており、実態は、FTAに変わりないと報じたのだ。TPPを素晴らしいものだと報じる大本営広報部も、いよいよ日本農業壊滅作戦がはっきり始まるとなると、事前に、アリバイを作っておきたくなったのだろうか?きちんと、警告しましたよと。毎回、息をするくらい易々と、真っ赤なウソをつく傀儡三世は平然と「宗主国は、属領を尊重すると約束してくれました。」
陸上イージスを配備し、オスプレイをどっさり買い込み、さらに多数の兵器システムを買い込む愚かさ。浮沈空母ではなく、「列島丸ごと戦艦大和」にしたてあげる傀儡売国奴集団が、今沖縄で全力を尽くしている。
侵略者に、全面的に従ったあげく、住んでいた土地に金が見つかり、強制移住を強いられたチェロキー族の話を、『アメリカ・インディアン悲史』を拝読して、日本の姿と重なるのに驚いた。現実に、その衰亡への道を歩かされている。
全員の身に降りかかる大惨事への道を進む中、そちらを放置し、女性タレント釈放呆導のパパラッチぶり。そして相撲界。大本営広報部は元気に生きている。
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