中国を敵に回すアメリカ率いる訓練に‘堂々と’参加するインドネシア
2018年9月7日
Andre Vltchek
New Eastern Outlook
インドネシア (RI)は、世界で4番目に人口が多く、イスラム教徒の人数が世界最大の国で、1965年のアメリカが画策した反共産主義クーデター以来、アジアでは最も過激なほど親欧米で、反社会主義的な場所だ。
自分は共産主義者であるとか、単に無神論者だと公言するだけで監獄行きになりかねない国だ。しかも、この国では欧米ポップ音楽や、ジャンク・フードや、残酷なほど無意味なハリウッドの大ヒット映画が、アメリカやイギリスや他の欧米諸国による直接の関与を得て流布されたサウジアラビア風イスラム教解釈、ワッハーブ主義と肩を並べている。
インドネシアが不寛容になればなるほど、同盟者でパトロンの欧米から一層‘寛容’になったと言われる。インドネシアの大衆が益々惨めになり、保護されなくなればなるほど、インドネシアは益々‘民主主義’だといわれるようになる。
中国人(そして実際、あらゆる中国的なもの)に対するインドネシアの差別は有名で、ワシントンやロンドンやキャンベラが、それを常に歓迎し、奨励している。
1965年以降、アブドゥルラフマン・ワヒド大統領(2001年の合法的クーデター中に退陣させられた進歩的なイスラム教指導者)までの数十年間、インドネシアでは、漢字、中国語、書籍、映画や、赤い灯篭やお菓子や龍まで含め、あらゆる中国的なものは禁止された。決して直接規定されてはいないが、ソ連やロシアのものごとも同じだ。
欧米はインドネシアで大勝利を得た。欧米はベトナムとラオスを‘失った’が、1965年以来、今に至るまで、容赦なく絶えず略奪している天然資源にあふれる群島をまるごと手に入れたのだ。インドネシアを、絶望的に腐敗した、まともな教育を受けず、宗教的、イデオロギー的に(欧米と極端な資本主義教条によって)洗脳され、大いに困窮している国民の大半を犠牲にして、自分自身の利益にしか興味の無い卑屈なエリートに支配されるようにするのに、欧米は寄与した。
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革命後、かなりの人数の宗教‘亡命’中国人、特にスラバヤなどの都市に定住し、欧米の支援と資金供給に頼り、反中国の反共産主義プロパガンダを流布し続ける右翼キリスト教聖職者や伝道者をインドネシアは‘受け入れた’。
絶えざる右翼の政治的洗脳と、宗教的‘爆撃’の後、欧米との協力が、内省もためらいも皆無で、大多数のインドネシア国民に受け入れられているのも何ら不思議ではない。ジャカルタは、アメリカ、イギリス、オーストラリアや他の欧米諸国(日本とも)と、特に政治、外交だけでなく、経済や軍事で、公然と、堂々と‘協力している’。
欧米からは当然のことと見なされているが、この事実は左翼評論家たちから見過ごされがちだ。だが、このインドネシアの攻撃的/卑屈な姿勢は、インドネシア国内でも、外国でも(東チモール、約30%の現地住民を殺害したインドネシア軍による集団虐殺、パプアの占領した地域で進行中の集団虐殺で、更に何十万)何千万人もの命を奪ったのだ。
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2018年8月31日、“インドネシア共和国、アメリカ率いる演習に参加”と題する一面記事を掲載したインドネシア‘公式’の英語親欧米、反左翼日刊新聞“ジャカルタ・ポスト”のおべっか言説は注目に値する。
“インドネシアは、いくつかの南アジアと東南アジア諸国とともに、アメリカ合州国が率いる協力を強化するための演習と、地域におけるアメリカ外交政策目標を推進することにもなる、海の安全保障の課題に対処する訓練に参加している。”
酷い語法は問題ではない。ジャカルタ・ポストは、9月7日まで行われる予定の演習を実際に堂々と説明している。
“演習は、国家を超えた犯罪に対する地域のパートナー間での情報共有を向上させるのが狙いだが、アメリカは、自由で開かれたインド-太平洋戦略を推進するための手段の一つだともアメリカは言っている”。
要するに、中国を敵に回し、挑発し続けるということだ。
更に、一つの有用な情報が書かれている。
“アンドレア・トンプソン国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)が、アメリカは演習が“アメリカの外交政策目標を実現する上でも、アメリカのインド-太平洋地域のパートナーとの関係強化でも極めて重要”だと思っており、アメリカの直接の商談と、対外有償軍事援助の防衛貿易の合計、23億ドルを挙げて、アメリカとインドネシア間の防衛協力はこれまでになく強力だと、トンプソンは述べた。”
もちろん、インドネシアは、こうした演習に参加している地域における唯一の国ではない。タイやマレーシアやシンガポールなど欧米に忠実な他の同盟諸国も参加している。
だがインドネシアは、少なくとも人口と天然資源と地理的な位置の上では大国だ。しかもまさに戦略的航路、マラッカ海峡に位置している。
もちろん、インドネシアは、欧米が‘属’国はそうあって欲しいと望んでいるとおりに、貧しく、孤立し、徹底的に洗脳されている。
インドネシアは、欧米が必要としているどこにでも(彼らがソ連に対して戦ったアフガニスタンから、シリアや、昨年の南フィリピンに至るまで)聖戦戦士を輸出し、‘自由貿易’と無制限な資本主義を支持し、外国列強のために、自国民から略奪している。こうした身勝手で、あこぎなインドネシア人‘エリート’だけが、この状況から恩恵を受けているのだ。連中は、オランダ人入植者に、さらに日本に熱心に仕えた。現在、連中は哀れな国民を強圧的に支配しながら、自らと国を欧米全般に売り渡している。
インドネシアは自国の天然資源を略奪して得た金で兵器を購入している。そして、インドネシアは中国を大いに嫌い、中道左派のあらゆるものをどう猛に攻撃している。欧米は当然インドネシアに総立ちで拍手喝采している。
世界がふたたび、帝国主義の欧米(プラス、その属領)と、自らの自由を守る用意ができている国々とに二極化しつつある中、インドネシアは、世界の舞台で益々重要な役割を演じることが期待されている。
少なくとも、欧米と、死をもたらすその帝国主義と対決する用意がある勇敢な国々の視点からすれば、この役割は不幸にして、極端に後ろ向きだ。
アンドレ・ヴルチェクは哲学者、作家、映画制作者、調査ジャーナリスト。彼は、Vltchek’s World in Word and Imagesを制作しており、『Revolutionary Optimism, Western Nihilism』を含む多数の本の著者でもある。オンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/09/07/indonesia-proudly-joins-us-led-exercises-to-antagonize-china/
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プーチン大統領が、「前提条件なしの平和条約締結」という提案をした。それに対する政権幹部の対応で、同じ筆者の記事「端島 - 残虐な歴史と、世界で最も霊にとりつかれた島」の一節を連想した。宗主国はは日本がソ連/ロシアや中国と友好関係を結ぶことを決して許さないのだから、まともな外交の選択肢皆無だ。あるのは、外交を装ったバラマキ。
“現代日本に外交政策はない”東京を本拠とするアイルランド人の学者で、政治評論家のデイヴィッド・マクニールから聞いたことがある。“日本は、アメリカの命令に厳密に従っている。国際的な出来事に関するマスコミ報道もそうだ。”
そう。
現在、連中は哀れな国民を強圧的に支配しながら、自らと国を欧米全般に売り渡している。
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