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2018年8月 5日 (日)

アメリカは一体誰のものか?

2018年7月31日
アメリカ国民のものではない

Paul Craig Roberts

 現在、住宅市場は明らかに下り坂にある。消費者所得は、雇用の海外移転と、賃金や給料を押し下げる雇用主の能力のおかげで、限定されている。私の考えでは、ワシントンの権力がそれを基にしているアメリカ・ドルの交換価値を守るため、連邦準備金制度理事会は、より高い金利にすると固く決めているようだ。私が四半世紀共に過ごしたワシントンの傲慢な阿呆連中は、けんかっ早さと経済制裁で、各国に、自立した外交と経済政策と、ドル使用を止めるよう奨励している。これを実現するには多少時間がかかるが、ロシアや中国やイランやインドは、アメリカ・ドル使用を止めるか、減らすかすると固く決めているようだ。

 ドルの価値を安定させておくため、ドルを彼らの通貨で購入するか、相殺するだけの量の自国通貨を印刷するかして、日本やイギリスやEUの中央銀行が、ドルの交換価値を支持し続けていることがなければ、ドルに対する世界的需要下落は、ドル価値を不安定化しかねない。これまでのところ、彼らは進んでその両方を行っている。ところが、トランプによるヨーロッパ批判で、トランプに対し、ヨーロッパは不愉快になり、これに付随して、進んでアメリカをかばう意志が弱まっている。ワシントンが日本周辺で引き起こしている敵対的状況で、第二次世界大戦以来のアメリカに対する日本の植民地状態は強化されつつある。北朝鮮と中国とワシントンの画策された緊張は、日本のためにはならず、アメリカからたっぷりお給料をもらっているわけではない日本の政治家たちは、日本が日本の利益のためではなく、アメリカのために危険にさらされていることを理解している。

 その可能性はあるが、もしこうしたことが、ワシントン属国諸国間での一層の自立強化を招けば、属国諸国が、ドルや世界通貨としてのドルに基づく決済機構から離れることにより、自立の代償から自らを守る可能性が高くなる。これは、つまり、ドルの価値を守るべく、十分なドル需要を維持するため、連邦準備金制度理事会が、ドル投資に対する金利をあげて、ドル価値の下落を防がねばならないことを意味する。

 金利が低ければ、抵当に入れて支払える家の価格が上がるので、金利が低い時には住宅価格は上がるのを、不動産仲介業者なら誰でも知っている。だが金利が上昇すれば、買い手が払える家の価格は下がる。

 もしアメリカが、より高い金利の時代に入れば、住宅価格と売り上げは下がるだろう。

 この分析に対する“もう一つ”として、もし連邦準備金制度理事会が状況を制御しきれなくなり、アメリカ・ドルの現行価値に関連する債務が、体制を破壊しかねない問題になれば、連邦準備金制度理事会は、金利をゼロか、マイナスに下げて、債務を守るため、十分な新札を送り出す可能性が高い。

 これで住宅市場が救えたり、復活したりするだろうか?  債務を負ったアメリカ人の実質所得が大幅に増加しないかぎりは無理だ。そうした上昇は、どこから得られそうだろう? ロボットが、まだ雇用海外移転で奪われていない雇用を奪い取ろうとしている。実際、トランプ大統領が“雇用を国内に戻す”と強調しても、フォード自動車は、フォード・フォーカスの製造を、ミシガン州から中国に移転すると発表したばかりだ。

 雇用を海外移転したアメリカ大企業を経営している幹部連中は、ウォルマートやホーム・デポやロウズなどで、棚に品揃えするパート仕事で働いているアメリカ国内の潜在顧客。フォードを購入するのに十分なお金がないだろうとは、決して思い当たらないもののようだ。社員がフォードを購入できるよう、労働者に良い賃金を支払う知性があったヘンリー・フォードとは違って、現在のアメリカ大企業幹部は、海外の安い人件費に基づく自分たちの短期的な“業績手当て”のために、国内市場とアメリカ経済を犠牲にしている。

 現在、アメリカで起ころうとしているのは、中流階級というか、その子供として、それに加わると期待されている、その一部である人々は、“2台連結の移動住宅”か、一台のトレーラーに追いやられようとしているのだ。粗製濫造された豪邸は区分けされて長屋になるだろう。実質所得が下落し続けているので、フロリダ州海岸沿いの高価な賃貸物件でさえ、需要は下落するだろう。フロリダ州パンハンドル30A沿いの5,000ドルから、20,000ドルという夏の週単位賃貸は維持不能だろう。この分野が理解できない投機家連中は、フューチャー・ショックに会うはずだ。

 私は長年月次就業者数統計について書いてきた。新規雇用の圧倒的多数は、ウエイトレスやバーテンダーや、小売店員や救急医療などの給与の低い国内サービス業だ。例えば、 6月の就業者数報告、新規雇用、実際に存在するとすれば、この分野に集中している。管理サービスやごみ処理、医療や社会扶助や、小売業や外食産業や地方自治体だ。

 アジアに海外移転され、アメリカ国内の高生産性で高付加価値の製造業雇用は縮小する。研究や設計やソフトウエア・エンジニアリングや会計や法律関係の調査などの高生産性で高付加価値の専門サービス業は、海外移転か、その仕事に適任のアメリカ人がいないというでっち上げのインチキな口実で、就労ビザでアメリカに入国する外国人によって埋められている。https://www.amazon.com/Failure-Laissez-Faire-Capitalism/dp/0986036250/ref=sr_1_2?s=books&ie=UTF8&qid=1532992327&sr=1-2&keywords=Paul+Craig+Roberts+books&dpID=51HWdHsbtFL&preST=_SY291_BO1,204,203,200_QL40_&dpSrc=srchの本を参照。

 アメリカは、支配階級の短期的強欲と、経済学関係者や議会のサクラ連中によって空洞化した国だ。資本主義は少数の人々のためにしか機能していない。資本主義は、もはや大多数のためには機能していない。

 国家安全保障を理由に フォード・フォーカスの生産を中国に移転するというフォードの発表に、トランプはフォード国有化で答えるべきなのだ。ミシガン州の従業員総数と税基盤は減少し、中国内の雇用が増大する。主要アメリカ大企業が、中国がアメリカ合州国を超えて大きくなるのを手助けしているのを我々は目にしているのだ。中国の力の勃興に対抗するためのトランプによるアメリカ軍事予算増加は、フォードが中国のGDPに貢献する外部費用の一部だ。

 トランプは、アメリカの労働人口やアメリカ経済の利益より、ごく僅かの人々の利益を優先している、アップルやナイキやリーヴァイや他の全ての海外移転したアメリカ・グローバル企業も国有化すべきなのだ。雇用を取り戻すのに他に方法はない。もちろん、もしトランプがこれを実行すれば、彼は暗殺されるはずだ。 

 アメリカは、反逆罪的階級を構成するごく一握りの人々によって支配されている。この連中には、政府や、連中のために宣伝してくれる、マスコミや経済学関係者を買収する資金があるのだ。この強欲な反逆罪的権益集団には対処しなければならず、さもないと、アメリカ合州国と、その国民丸ごとが失われてしまうだろう。

 大ヒットの最新刊『Collusion』で、ノミ・プリンスは、大金持ちを儲けさせるため、中央銀行や国際金融機関が、2008年の金融危機を利用して、市場と政府の財政政策をいかに操作したかを実証している。
https://www.amazon.com/Collusion-Central-Bankers-Rigged-World/dp/1568585624/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1533039219&sr=1-1&keywords=Nomi+Prins#customerReviews

 こうした操作が、ギリシャやポルトガルなどの国々をドイツやオランダの巨大銀行が収奪し、暴騰した金融資産価格で  一般大衆を犠牲に、株主を豊かにするのを可能にするのだ。

 繰り返される金融危機で金融権益の権力は傷つけられるだろうと思いがちだが、事実は逆だ。1933年11月21日という大昔、フランクリン・D・ルーズベルト大統領が、ハウス大佐宛にこう書いた。“実のところ、君も私も知っての通り、アンドリュー・ジャクソン以来、大都市の金融集団が、ずっと政府を支配している。”

 トーマス・ジェファーソンはこう言った。“金融機関は、我々の自由にとって、常備軍より危険で”“もしアメリカ人が、民間銀行がまずインフレで、次にデフレで、アメリカ通貨を支配するにまかせれば、銀行は、父祖たちが征服した大陸で、彼らの子供たちが目を覚ますとホームレスになるまで、人々から、あらゆる財産を奪い取るだろう。”アメリカ中流階級の縮小は、ジェファーソンの予言が本当になりつつある証拠だ。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/07/31/who-does-america-belong-to/

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 日本が庶民のものでないこと、毎日肌身でわかる。

 『NOでは足りない』を読んでいると、宗主国とこちらはシャム双生児。トランプも、クリントンも、有権者の25%程度しか票を得ていない。これは、与党の得票そっくり。

 昨日放送の『花へんろ 特別編「春子の人形」』、明日は春子たちの運命を変えた日。

日刊IWJガイド・日曜版「<本日の岩上さんのインタビュー>本日午後2時半より『【広告連動企画】「原発事故後の子ども保養支援」の現場から、現代日本の日常的な社会的な分裂や不公正を問い直す!岩上安身による保養支援団体・リフレッシュサポート代表 疋田香澄氏インタビュー』をフルオープンで配信します!
/<新記事紹介>数々の疑惑が指摘されているボクシング連盟山根明会長がTV生出演!ボクシング未経験者なのに村田諒太選手を「生意気」と恫喝!? 番組内で山口組系暴力団の準構成員だった過去を自ら告白!?/【動画班からお知らせ】8月6日より日々の現場からの中継が『ユーストリーム』から『ツイキャス』に替わります!/IWJでは現在、テキスト班の新メンバーを緊急大募集中! 事務・ハドル班、ウェブ動画班の新メンバーも引き続き募集しています!」2018.8.5日号~No.2152号~

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