ウソの世界の中で暮らすアメリカ人
2018年8月3日
Paul Craig Roberts
アメリカ政府と、それに仕える売女マスコミは、あらゆることについて、我々にウソを語り続けている。今日、労働統計局が失業率は3.9%だと発表した。経済回復とされるものの期間中ずっと就業率が減少し続けており、十年間 完全雇用のせいでの賃金上昇圧力もないとも労働統計局は報告しながら、どうしてそのようなことがあり得よう。仕事がたくさんある場合、就労の機会に乗じ、人々は労働力人口に参入する。これで就業率は上がる。3.9%失業率が意味する、完全雇用時には、雇用者たちが、希少な労働力を得ようと競って賃金は競り上がる。賃金上昇圧力が無く就業率が上がらない完全雇用などあり得ない。
3.9%失業率は、雇用によるものではない。就ける職がないので、求職活動を止めた求職意欲喪失労働者を計算に入れない結果なのだ。失業者が積極的に職探しをしないと、その人は労働人口として数に入れられないのだ。この計算方法で、失業率はエセになる。
政府は基本的にインフレではないと言っている事実にもかかわらず価格は、大幅に値上がりしている。食料品価格、住宅改修価格、医薬品価格、ほとんどあらゆるものの価格が。二年前、アメリカ米国退職者協会の公共政策研究所はこう報じた。平均医薬品価格は“年間10パーセントという気がかりなペースで上昇しており、約20の薬品は、仰天することに、12月から価格が四倍になった。同時期に60の薬品が倍の値段になった。マーティン・シュクレリ率いるチューリング医薬品は、この種の振る舞いの最も目立つ例の一つだ。同社は、価格を一錠13.50ドルから、750ドルに値上げするためだけの目的で、命を救う薬品の販売権を買った。” https://www.rt.com/usa/334004-drug-prices-doubled-years/
もちろん収入は倍増していない。実質的には収入は減った。しかも薬品支出は老人やメディケア対象者の家計の大きな比率を占めている。カイザー・ファミリー財団によれば、高齢者の処方薬に対する平均年間経費は、平均社会保障年金の四分の三を占め、メディケア給付金を受けている人々の平均収入の約半分だ。https://www.rt.com/usa/334004-drug-prices-doubled-years/
本当の雇用も減っている。売女経済マスコミが人手が足りないと報じている雇用は生活を支えられる職ではない。労働統計局は、複数の仕事で働いているアメリカ人の人数は、7月に 453,000人増え、複数のパート仕事をしているアメリカ人の人数は8,072,000人にのぼると報じている。
7月の就業者数報告を見ると、またしてもアメリカ労働人口第三世界的様相がある。新規雇用とされるものは低賃金の国内サービス業に集中している。人材派遣サービス、医療支援や社会支援、ウエイトレスやバーテンダー。
活力ある経済の兆しはほとんどないが、至る所に多額の負債がある。債務はそれを支えるための収入より早く増加しつつある。アメリカ政府は、更なる1兆ドルの年間財政赤字への道を進んでいる。グローバル企業が高生産性、高付加価値製造業と専門技能職を海外移転することで、連邦や州や地方自治体の税基盤は破壊された。“自由貿易”を名目に、社会保障やメディケアや公的年金のための税基盤は、人件費が安い中国や他のアジア諸国に引き渡されてしまった。アメリカのグローバル企業は、アメリカ税基盤を縮小させることで利益を増やしているのだ。新自由主義経済学者は、このばかげたことを、アメリカ人に恩恵を与える“自由貿易”だと擁護している。
その雇用が外国人に与えられてしまった何百万人ものアメリカ人は自分たちが恩恵を受けていないことを良く理解している。彼らは新自由主義経済学者や売女経済マスコミが言っている話はウソだということを理解している。
もちろん、ウソは経済だけに限るわけではない。前回の大統領選挙運動以来、印刷やTVメディアやNPRを支配しているロシアゲートは連日続く壮大なウソだ。例えば、8月3日、ポール・マナフォートが裁判にかけられ、ロシアゲート特別検察官ロバート・マラーに、トランプのホワイト・ハウスからの排除を招きかねない有罪判決をもたらす見込みを巡り、売女マスコミNPRはワクワクしている。有罪判決を受けたマナフォートが自分の罪を軽くするのと引き換えに、トランプのことを密告すると売女マスコミは憶測している。
マナフォートが、ロシアゲートに何らかの形で関係することで裁判にかけられているわけではないのを売女マスコミNPRは明らかにしていない。マナフォートは十年前、ウクライナ人政治家のコンサルタントだった時代の所得税脱税容疑で裁判にかけられているのだ。それは明らかだが、これは自分を守るためにトランプにぬれぎぬを着せるようマナフォートに強要するのが狙いの冤罪だ。もしマナフォートis有罪判決を受けても、いかなる証拠に基づいたものではないはずだ。マナフォートは“税金を払わない金持ちの一人”だと売女マスコミが陪審員に確信させて、マナフォートは有罪判決を受けるだろう。
この魔女狩りを、一片の証拠も発見されていない、マラーへのロシアゲート負託を遥かに超える魔女狩りの継続を、トランプ大統領が許していることが、軍安保複合体と民主党全国委員会に協力している売女マスコミが、アメリカ大統領をどれだけ無力にしたかを示している。アメリカ人が、じっと座って親指を吸っているうちに、大統領に対するクーデターが目の前で進展している。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/08/03/americans-live-in-a-world-of-lies/
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