アンドレス・オブラドール、メキシコ大統領に当選: ロシア-メキシコ関係にとって明るい見通し
Alex GORKA
2018年7月4日
Strategic Culture Foundation
これまでは、中南米における、左翼指導者の時代は終わったと、広く考えられていた。 右翼勢力が、アルゼンチン(2015年)と、ブラジル(2016年)で権力の座についた後、2017年12月、チリで、保守派、国民革新党のセバスティアン・ピニェラが勝利した。大陸の三大経済は右翼政権だった。7月1日、メキシコ左翼を代表する候補者アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールの圧勝で、これがすっかり変わった。彼の政党モレナ、国民再生運動(Movimiento Regeneracion Nacional)は、オブラドールに、メキシコを丸々一世紀支配してきた政党の他候補者たちに対する勝利をもたらすべく2014年に設立されたものだ。今や彼は劇的変化を実施する十分な権限を得ている。メキシコ革命は101年前に起きた。左翼が権力の座についたのは今回が初めてだ。
次期大統領の公約の一つは、必要とあらば、ドナルド・トランプに抵抗するというものだった。彼の当選は中南米におけるアメリカ合州国の影響力にとって打撃だ。アメリカと新たに選ばれたメキシコ大統領は、NAFTA、二国間貿易と国境警備に関して意見が一致していない。
選挙期間中、オブラドールは、モスクワから金をもらっているという、メキシコ発ではなく、アメリカ合州国発のウワサを否定しなければならなかった。2016年アメリカ選挙中、作り話が広められた。当時、国家安全保障担当補佐官H.R. マクマスターは、ロシアがメキシコ選挙運動に干渉している“印”を見たと述べていた。補佐官が詳細を説明しなかったので、この主張は確証がないままだったが、アメリカ上院議員のマルコ・ルビオ(共和党-FL)、ロバート・メネンデス(民主党-ニュージャージー州)と、ティム・ケイン(民主党-バージニア州)がすぐさま加わった。今回選挙で破れたメキシコ制度的革命党党首のエンリケ・オチョア・レサも加わった。ウワサはウワサのままに留まっていたが、マスコミは、でっち上げが事実であると国民に思い込ませるよう尽力した。アンドレス・オブラドールは、ウソに対し、最強の兵器を活用した - ユーモアだ。彼は、この話をからかって、更なる国民の支持を得たのだ。
外交関係を確立して以来、128年間、ロシアと推計1億2000万人を超える中南米で二番目に人口が多く、名目GDPが15番目で、購買力平価では世界11位の国メキシコの関係に暗い影を投じるような悪化はほとんどなかった。メキシコ経済は、アメリカのトランプ大統領が別の合意と置き換えるべく、大いに終わらせたがっている経済同盟NAFTAと深く結びついている。おそらく、今メキシコが経済パートナーを多様化する時期なのだ。ロシアや中国や他のBRICS諸国は、最近余りに予測不可能になっている北のパートナーとの不安定な関係に対する良い代替案となり得る。オブラドール当選は、エネルギー、安全保障や、国際舞台での政治的交流を含め、ロシアとメキシコのつながりを発展させる刺激になる可能性がある。
アメリカとEUによって課された経済制裁によって、モスクワは他の世界経済との接点を拡大するよう強いられた。ブラジル、ベネズエラ、コロンビア、アルゼンチン、メキシコ、チリやキューバにおける、ロシアの外交的存在感は大きい。ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体と協力し、地域の国々とのつながりを深めるのは、モスクワ外交政策の一つの方向だ。ロシアの外交政策概念にはこうある。“国際問題の上で、この地域の役割が増大していることにかんがみて、ロシアは中南米やカリブ海諸国との関係の包括的強化に専念し続ける。”
ロシアの貿易関係が最も深いのは、ブラジルとメキシコで、大陸でのロシア貿易の約半分を占めている。150-211人の乗客が乗れるロシアの双発MS-21中短距離旅客機は、メキシコが関心を示しており、うまみのある商談になる可能性がある。1月、メキシコ輸出入業者協会(ANIERM)がモスクワに貿易事務所を開設した。メキシコは、ヘリコプター購入と組み立てで、ロシアとの提携の可能性検討に余念がない。Mi-35MとMi-28NE戦闘ヘリコプターと、Mi-17軍用輸送ヘリコプターが検討対象だ。ロシアの巨大エネルギー企業ルクオイルは、メキシコ湾における掘削拡大の入札二件で落札した。グルポ・マセカと、ネマクがロシア国内で活動している。
オブラドール当選は、あらゆる面で、ロシア-メキシコ協力を促進させる好機だと専門家たちは考えている。プーチン大統領も、アンドレス・オブラドールが実権を掌握していれば、二国間関係に、あらたな弾みがつくだろうという期待を表明した。二人の大統領は、11月30日から12月1日に、アルゼンチン、ブエノスアイレスで予定されている来るG20サミットで会うことになるだろう。
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知人の住所近くが再三写されれた豪雨の昨夜。ご無事だろうか?
種子や水を外国資本に売り渡す悪魔の法律を推進する売国奴連中こそ、糾弾されるべきなのに、大本営広報部は、一言も触れず、死刑報道一辺倒。
今日はこの番組を拝見しようと思う。
【タイムリー再配信 194・Ch4】20:00~「オウム真理教裁判について森達也氏『(麻原被告を証人として)呼んだら、とてもじゃないけど死刑執行できる状況じゃないと誰もが気づきます』――『第73回 日本の司法を正す会』ゲスト 森達也氏(映画監督・作家)」
視聴URL: https://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
2016年10月収録。元参議院議員の村上正邦氏らが主催する「日本の司法を正す会」を再配信します
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先週は木曜から近畿・中国地方に出張していて、帰宅叶わず日曜の朝まで神戸に足止めされていました。そして金曜の朝は被災地の一つの東広島にまだ居ました。この大災害でお亡くなりになられた方々に心からお悔やみ申し上げます。そして、大災害に見舞われた被災地の復興を心より祈念致します。
オウム真理教元幹部死刑囚七名の死刑執行。どんなに厳かに粛々と「死刑」が執行されようが、これは「私刑」でしかありません。「国家権力」と呼ばれる暴力装置による国民のガス抜き行為です。死刑囚たちに本来の意味の「贖罪」をさせたいのならば、彼らの口から真実を語らせることに尽きるのです。なぜ人はあのような事件・テロを引き起こすのか、その精神状態と人格形成に深く関わる諸問題を洗い出し、再発防止のための環境づくり、教育の仕方などに尽力するのが国家のすることではないか、と私は思うのです。そうさせないのは、「国家権力」と「カルト宗教テロ組織」が共犯関係にあるから当事者の口を封じなければ、自分たちの身が危ういからなのです。
新幹線車内のテロップで知り、海外ラジオのニュースで聞いた私は、この日本の国家指導者たちや官僚たち、それを支持する者たちの神経を疑うことしか出来ません。国民の目をそちらに引きつけておき、その間に何するものぞ。この日本は、すでに国家として政府として体裁を整えることすらも出来ず、「その批判は当たらない」と結果責任を負うべき政治家らしからぬ意味不明なセリフを平然と吐ける、その神経にも私は悪寒を感じるのです。
そのうえ、重大な人権侵害に対する海外からの厳しい批判に国家は沈黙を守り、海外のニュースに接する機会の少ない国民たちは、自分たちが世界中でどのように扱われているのかを知らず、自分たちの日々の損得勘定に心を奪われています。
やはり、こんな国家を望んだ者たちにはそれ相応の未来しか訪れないのだ、と感じました。
投稿: 海坊主 | 2018年7月12日 (木) 07時07分