2014年のウクライナ・クーデターを、アメリカ政府は、いかにして、なぜ行ったのか
Eric ZUESSE
2018年6月3日
これは、アメリカとロシア間の‘新冷戦’が、欧米の作り話にあるように、2014年2月に、ロシアの隣国、ウクライナが突如、ロシアに対し猛烈に敵対的になった後、クリミアとドンバスのウクライナ離脱にロシアが関与して始まったのではないことを実証する記事だ。2014年2月、ウクライナにおける、民主的に選ばれた中立主義政権の、猛烈な反ロシア政権への置き換えは、多数の死者をもたらした暴力的出来事だった。欧米では、クーデターではなく、‘革命’だったと表現されている。だが、それがなんであったにせよ、‘新冷戦’(経済制裁と、ロシア国境でのNATO強化)を生み出したのは確実だ。‘新冷戦’を、実際に一体何が、なぜ引き起こしたのかを知れば、クーデターだったのか、そうではなく、革命だったのかがわかる。だから、これは歴史的に極めて重要だ。
それがクーデターであったのみならず、このクーデターはアメリカ政府が仕組んだもので - アメリカ政府が‘新冷戦’を始めたのだという議論の余地のない証拠を、ここに提示する。ロシア政府は、モスクワまでの飛行時間10分以下のウクライナに核ミサイルを設置することを狙うアメリカの攻勢に対応した。1962年、キューバ・ミサイル危機の際、アメリカが国境から164キロのソ連核ミサイルを恐れる根拠はあった。ところが2014年のアメリカによるウクライナ・クーデター後、ロシアはただ近いだけでなく、国境にあるNATO核ミサイルを恐れて当然なのだ。これは壊滅的なはずだ。
2014年2月の、民主的に選ばれたウクライナ中立主義政権の、アメリカによる打倒と、置き換えの成功が、すぐさま、世界の終わりになる核戦争(第三次世界大戦)を引き起こさないのであれば、この打倒の歴史的説明がなされるはずで、説明は既に益々、それがクーデターだったという歴史的合意に向かって集約されつつある - “新連合の誰か”に押しつけられたものだ - つまり、当時存在していた民主的な(それまでのあらゆる政権と同様、腐敗してはいたが) ウクライナ政府の終焉は、アメリカ政府が強く主張しているような本物の‘革命’ではなく、確実に、決して民主的ではなく、実はクーデターで(しかも極めて残虐で)、全く違法なのだ(欧米が支持してはいるが)。
本記事の目的は、正確に一体誰が主要な連中で、一体誰に、この世界的に超危険な(‘冷戦’を引き起こし)それに続いて、世界の進路を一層世界の核絶滅へと向けることになったクーデターをしでかした責任があるのかに焦点を当てることだ。
もし将来の歴史があるのであれば、この人々は、たとえ彼らに対する訴訟手続きが行われないにせよ、この歴史上、最も厳しく、最ものっぴきならない判断のかどで、被告席に立つべき人々だ。この連中は一体誰だろう?
クーデター監督のためのバラク・オバマ大統領の中核代理人、ヴィクトリア・ヌーランドが、少なくとも、最高潮となった2014年2月中、既存のウクライナ政府打倒のみならず、猛烈に反ロシアな代替政権を選び、据える上で極めて重要だったのは明らかだ。2014年1月27日の彼女と駐ウクライナ・アメリカ大使、ジェフリー・パヤットとの電話会話は特に重要な出来事で、2014年2月4日に、youtubeにアップロードされた。私は他の場所でも、この電話会話とその重要性について論じている。依然民主的ながら、腐敗の度合いが低い将来のウクライナ政府というEUの希望を、ヌーランドはその場ですぐ廃棄し、その電話会話で“EUなどクソ食らえ”と言ったのは周知の通りで、彼女は、パヤットに、そうではなく、猛烈な反ロシアで極右のアルセニー・ヤツェニュクを選べと指示したのだ。この重要な出来事は、ウクライナのヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領が、2月20日に打倒される24日前、ウクライナ政府を率いる新人ヤツェニュクが、公式に任命され、今や明らかなファシスト国家を支配する30日前に起きたのだ。彼はこの公式任命を2月26日に勝ち取った。とは言え、これは形式的なものに過ぎない。オバマの代理人が既に、1月27日に彼を選んでいたのだから。
あれがクーデターで、民主的やら‘革命’では全くなかった証拠としてもう一つの画期的な出来事は、2014年2月26日のEU外相のキャサリーン・アシュトンと、打倒が革命だったのか、それとも、そうではなく、クーデターだったのかを調べるためウクライナにいた彼女の代理との間の電話会話だ。彼はエストニア外務大臣ウルマス・パエトで、彼は彼女に、これがクーデターだったことが分かった、“新連合の誰か”がこれを仕組んだと言ったが - 彼はその“誰か”が誰かはわからなかった。アシュトンもパエトも、この発見に衝撃を受けたが、二人はすぐにそのことを無視し、ウクライナに投資したヨーロッパ人投資家が、投資を取り戻せる可能性だけを議論した - 彼らはウクライナの腐敗に執着していた。アシュトンはパエトに、マイダン抗議行動参加者に“本質的に、腐敗防止を組み込んだプロセスを確立できる方法を探す必要がある”と自ら語ったと述べた。 EUは、これがクーデターであったことには不満だったが、彼らは自国の投資家保護の方がずっと気がかりだった。いずれにせよ、EUがウクライナ・クーデターの黒幕でなかったのは明らかだ。同様に明らかなのは、あれが、クーデターだったのか、そうではなく、アメリカ政府が言っている‘革命'だったのかは、彼らにはどうでもよかったのだ。
このクーデターの背後のネットワークが、実際に、クーデター計画を開始したのは、2011年のことだ。グーグルのエリック・シュミットと、現在グーグルにいるジャレド・コーエンも、依然、非公式ながらも、ウクライナのヤヌコーヴィチと、シリアのアサドの二人を打倒するための‘大衆運動’を計画する任務を負ったアメリカ国務長官ヒラリー・クリントンの責任者を続けていた。
そして、2013年3月1日、この計画の実行が始まった。その日、いかにして、オンラインで、反ヤヌコーヴィチ大規模抗議行動を組織するか、極右ウクライナ人を訓練する、最初の“学習会”が在キエフ・アメリカ大使館内で開催されたが、2013年11月20日に、民主的に選ばれたウクライナ大統領を打倒するためのマイダン抗議行動が始まる9カ月以上前のことだった。
アメリカ人学者のゴードン・M・ハーンは、殺人を行った実際の狙撃兵に関する証拠の研究を専門にしているが、彼はウクライナ人狙撃兵のみに焦点を当てており、外国人狙撃兵を無視している、ジョージア人や、リトアニア人や他の反ロシアCIAスパイ(追放されたジョージア大統領で、後にアメリカ政権がウクライナ、オデッサ州の知事に選んだミヘイル・サアカシュヴィリなど)経由で、アメリカ政権に間接的に雇われた。ハーンの2018年の本『 Ukraine Over the Edge 正気を失ったウクライナ』の204-209ページにこうある。
"ところが、その日[2月20日]どの抗議行動参加者が銃撃されるより前に、ベルクート[警察政府庁舎を守っていた政府]を銃撃し、殺害したことを認めるもう一人のマイダン派狙撃兵、イワン・ブベンチクが現れた。印刷記事のインタビューで、ブベンチクが、ウラジーミル・チーヒーのドキュメンタリー映画『Brantsy』の中で、二人のベルクート司令官を2月20日早朝の時間に、マイダンで銃撃して殺害したことを認めたのを確認している。 … ブベンチクは[2月20日] ヤヌコーヴィチ政権が、彼の部下や他の多くのユーロ・マイダン戦士が、反乱期間中に暮らしていた労働組合の家に銃撃を開始し - マイダンの次の行動を促したと主張している。ところが、上記の通り、マイダン支持のネオファシストたちが、右派セクターが銃撃を開始したことを明かしている。 … 狙撃兵の大虐殺を分析すると、ほぼ全ての - 暴力および/あるいは強制がエスカレートする重要な瞬間の少なくとも可能性がある8件中、6件で、マイダン抗議行動参加者が始めていたことがわかる。… 2013年11月30日夜のマイダン抗議行動参加者攻撃は、マイダンの比較的小さいながら、意欲的で良く組織されたネオファシスト分子が率いた革命暴力エスカレーションの決定的パターンの唯一明らかな例外だ。"
ハーンの本は、2015年9月5日に発表された、2月末、クーデター最高潮時期の最初で最も詳細な学術的研究である、イワン・カチャノフスキーのpoorly written“ウクライナ、マイダンでの‘The Snipers' Massacre' on the Maidan in Ukraine 狙撃兵の大虐殺’をほとんど引用していないが、ハーンの説は、それと辻褄があっている。いずれの研究も、カチャノフスキーが言う入手可能な証拠が、以下を示していると結論を出している。
“大量虐殺は、政府打倒と権力奪取の目的で、合理的に計画され、遂行された偽旗作戦った。それ[彼の調査]で、極右組織連合、具体的には、右派セクターやスヴォボダやFatherlandのようなオリガルヒ政党が関与していた様々な証拠が見つかった。隠れた射手や弾着観測者が地域の少なくとも20のマイダン派が支配する建物に配置されていた。”
ハーンはアメリカがクーデターを先導しているのを軽視している。だがクーデターの少し前、CIAはポーランドで、ウクライナ人狙撃兵を指揮した右派セクター創設者/指導者ドミトリー・ヤロシ("Dmytro Jarosz")を密かに訓練していた。ウクライナ人さえもがアメリカのために働いていたのだ。
2017年11月19日Gian Micalessinの“The hidden truth about Ukraine ウクライナに関して隠されていた真実 - 第1部”&
第2部が公開された。
それをここに要約する。二人のジョージア人狙撃兵が、サアカシュヴィリが、アメリカが支援する作戦のために、トビリシで二人を雇ったと言っている。だが彼らは“ジョージア軍団”側に関してしか知らなかった。二人は、それはジョージアのバラ革命の模倣だと思っていた。彼らは作戦の代金として、各々1000ドル受け取り、1月15日にキエフに飛び、帰国したら、5000ドル払うと約束された。(9:00) “彼らに人々を攻撃させるため、我々は‘ベルクート’警官を挑発しなければならなかった。2月15日までに[マイダンの]状況は日々悪化しつつあった。そこで最初の銃撃が行われた。”2月15日か16日のことだった。マムナシビリ[サアカシュヴィリの部下]が二人を、ジョージア軍団”で戦うために“マイダンの後、ドンバスに行った”元“第101空挺師団の狙撃兵”だった“アメリカ人軍人ブライアン・クリストファー・ボィェンガー“に紹介したが、クーデター絶頂期、極右のアンドリー・“パルビーが頻繁にやってきて”“ブライアンは常に彼に同行しており”マイダン指導者の一人、ウラジーミル・パラシュークも、そこで指示していた。狙撃兵は、狙うのではなく、混乱を生み出すため、人々を手当たり次第殺すよう命令されていた。二人のリトアニア人狙撃兵も部屋にいた。何人かはウクライナ・ホテルから出て、音楽学校校舎二階のバルコニーに行った。“彼らは銃を取り出し、各集団に配り始めた。”“そこで、私は隣室からの銃撃音を聞いた” それは15分続き、それから全員、脱出するよう命じられた。
2015年2月13日、ドイツ・ドキュメンタリー“マイダン狙撃兵。ドイツTVによる暴露。ARD Monitor。英語字幕”がテレビ放映され、その中で、抗議行動参加者の一人が、抗議行動参加者が支配していた建物から多数の銃弾が発砲されたと語ったが、“我々は反対の方向からも銃撃された。”ところが、少なくとも、2014年2月21日以前、警官(ベルクート)が抗議行動参加者たちに捕らえられており、少なくとも、下方の群衆を銃撃し、ヤヌコーヴィチ側からの銃撃に見えるようにするため、特にいくつかの政府庁舎屋上で、右派セクター狙撃兵の一部が配置に付いていた可能性は存在する。ゴードン・ハーンは、2014年2月、ヤヌコーヴィチ政府によるいかなる発砲も証明できていない。しかも“彼らは両側から人々を殺していた同じ狙撃兵だった。”
2016年2月1日、フランス・ドキュメンタリー、“Ukraine Mask of the Revolution ウクライナ - 革命の覆面”がyoutubeに投稿された ダボス会議での、48:00、ヴィクトリア・ヌーランドが写り、アナウンサーが、彼女の言葉を追いかけ、聴衆にこう語る、“革命を支援しにやってきたアメリカ外交官の、彼女が本当に民兵組織の存在を無視することができるでしょうか?”; 48:50 ラリー・サマーズが、2015年9月10-12日のキエフでの会議、そして後に“第12回YES年次総会”でこう言っている。“ウクライナは、わが国の根本的な軍事権益にとって最も重要だ”; 49:25: ペトレイアスも登場し、アナウンサーは言う。“彼もウクライナは、プーチンを阻止するために極めて重要だと考えている。” ペトレイアスが、ロシアを阻止するため、ウクライナへの投資を強く促している。51:00 マクリスタルも、そこで、ウクライナへの武器提供を強く主張している。51:50 ヌーランドが登場し、アナウンサーは語る。“ウクライナの未来に一番投資している国はアメリカだ” “彼女がウクライナにおけるアメリカ影響力の立案者だ。” ヌーランドは“YES”会議でこう語る。“我々は我々は戦場に対して大きな影響力があった。”ところが、アメリカ政権は、戦争をロシアのせいにしている。
明らかに、アメリカ政権による、ウクライナ人ナチス指揮があるのだから、ゴードン・ハーンが、クーデターを、ウクライナ人ナチスだけに限定して非難するのは証拠と合致しない。しかも、アメリカ政権と、その属国ウクライナだけが、国連でファシズム、ナチズムとホロコースト否認に、再三、支持投票している二カ国なのだ。反ロシア・ナチスがアメリカ政府を乗っ取り、それがウクライナ政府を奪取したのだ。この全ては、1990年2月24日になされた重要なアメリカの決定にさかのぼる。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/06/03/how-why-us-government-perpetrated-2014-coup-ukraine.html
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ならずもの大国のポチの宣伝機関は、こうした事実は全く報じない。
米朝会談についても、同じ。
岩波書店の月刊誌、『世界』7月号の「メディア時評」の(2)朝鮮半島の戦後が終わる 情報戦に舞うメディア を繰り返し読んでいる。
(1)政権末期、いたるところに越えるべき「壁」あり も鋭い。大本営広報部のドキュメンタリーが政権の中枢にかかわるテーマを一本も扱っていないことを指摘しておられる。
連載「パチンコ哀歌」は第4回。全く賭け事には興味がないが、宗主国のギャンブルにはまった知人を思い出す。仕事は抜群にできる人だった。
宗主国カジノ王のご機嫌をとるため、統合型リゾート(IR)実施法案が作られようとしているが、大本営広報部は、ドンファン事件のほうが大切。
高プロのニーズ聞き取りについて、加藤厚生労働大臣が1月31日に虚偽答弁を行っていたことが判明
盗人たけだけしい答弁。
昨日は、遅ればせながら、IWJの岩上氏による孫崎享氏インタビュー全般を拝聴。
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