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2018年5月 2日 (水)

何ができるだろうか?

2018年4月30日
Paul Craig Roberts

核のハルマゲドンで地球が滅亡するか否かは、ヨーロッパにかかっている。

西欧は、第二次世界大戦終結以来、ワシントンの属国であることに慣れきっており、東欧と中欧は、ソ連崩壊以来、ワシントンの臣下という身分を受け入れているため、ヨーロッパ各国政府は、ワシントンの攻撃から、世界を救える自分たちの潜在力を理解していない。全ての代償を計算に入れさえしなければ、隷属状態は実入りが良い。

東欧と中欧はNATOに加盟し、ワシントンがアメリカ軍駐留を、ロシア国境まで進めることを可能にした。このロシア国境での軍駐留で、ワシントンは、ロシアも強要して属国状態にさせることが可能だという過度の確信を得てしまった。これまでに結集された二つの最高の軍隊-ナポレオンの大陸軍と、ナチス・ドイツの国防軍の悲惨な運命にもかかわらず-ワシントン は戦争の二大原則を学んでいない。(1) ロシアに向かって前進するな。(2) ロシアに向かって前進するな。

ヨーロッパがワシントンに隷従しているがゆえに、ワシントンがロシアに向かって前進する前に、ワシントンが教訓を学ぶ可能性は低い。

傲慢な愚かな考えで、ワシントンは既にウクライナでのクーデターや、シリア軍陣地攻撃で、この前進を少しずつ始めている。私が今朝先に書いた通り https://www.paulcraigroberts.org/2018/04/30/syrian-cisis-escalates/ (日本語訳はこちら)ワシントンは シリアにおける危機をエスカレートしている。

これが戦争へと爆発する前に、止めることができるのは、ワシントンによる侵略を可能にする者という立場から離脱するという東欧と中欧の決断だ。

ヨーロッパにとって、NATOに加盟している恩恵は皆無だ。ヨーロッパ人は、ロシアによる侵略によって脅かされているのではなく、ワシントンによる対ロシア侵略で脅かされているのだ. もしアメリカ・ネオコンと、その同盟イスラエルが戦争挑発に成功すれば、全ヨーロッパが破壊されるはずだ。永遠に。

連中が支配している国民と、この危険を冒すヨーロッパ人政治家の一体どこかおかしいのだろう?

ヨーロッパは依然、長年にわたり人間が作り上げてきた、建築物、美術、そして知的な美の在り処で、博物館は破壊されてはならない。ワシントンへの隷属から解放さえされれば、ヨーロッパは、創造的な生活にさえ戻れるだろう。

ワシントンによって、ヨーロッパに押しつけられているワシントンの違法な対ロシア経済制裁で、既に経済的に、また、イスラム教の人々に対するワシントンの違法な戦争、アメリカがイスラエルのために戦うことを強いられている戦争から逃れて、何百万人もの非ヨーロッパ人難民がヨーロッパ諸国に殺到して、ヨーロッパは苦しんでいる。

ワシントンの属国として、彼らに押しつけられる途方もない懲罰で、ヨーロッパ人は一体何を得るのだろう? ハルマゲドンの脅威以外、彼らは何も得られない。極少数のヨーロッパ“指導者”は、ワシントンの違法な策謀を可能にする代償として、ワシントンから膨大な助成金をもらう。イギリス首相に対する普通の報酬ではないトニー・ブレアの膨大な富をご覧願いたい。

“指導者”を含め、ヨーロッパ人は、ロシア/中国シルク・ロード・プロジェクトと結びついた方が遥かに得るものは多い。勃興しつつあるのは欧米ではなく、東だ。シルク・ロードはヨーロッパを勃興する東と結びつける。ロシアには、アメリカ合州国より広い資源豊富な未開発の地域、シベリアがある。購買力平価ベースでは、中国は既に、世界最大の経済だ。軍事的に、ロシア/中国同盟は、到底、ワシントンの手には負えない。

もしヨーロッパに何らかの常識があり、誰か指導者がいれば、ワシントンに別れを告げているはずなのだ。

ヨーロッパにとって、ワシントンの対世界覇権は一体どのような価値があるのだろう? ワシントンから大金の詰まった袋をもらえるごく少数の政治家と対照的に、ワシントンに隷属して、普通のヨーロッパ人に一体どのような恩恵があるのだろう? 一つたりとも、恩恵は思い当たらない。ワシントンを擁護する連中は、ヨーロッパはロシアに支配されるのを恐れているのだと言う。それなら、73年間のワシントンによる支配、特に、彼らをロシアとの軍事衝突へと導いている支配を、ヨーロッパ人は一体なぜ恐れないのだろう?

ヨーロッパ人やロシア人とは異なり、アメリカ人には、戦時の死傷者体験がほとんど無い。第一次世界大戦での、たった一つの戦い、ベルダンの戦いは、イギリスから独立するためのアメリカ革命戦争から始まって、アメリカ建国以来のあらゆる戦争で、アメリカが経験したより多い戦死者をもたらした。

アメリカ参戦前に起きた、第一次世界大戦のベルダンの戦いは人類史上、最長で最も犠牲の大きな戦争だ。2000年の推計では、死傷者数は総計714,231人で、フランス人が377,231人、ドイツ人が337,000人、月平均死傷者数は、70,000人だ。別の最近の推計では、ベルダンでの戦闘中の死傷者数は、976,000人で、負傷者は、1,250,000人に増えている。

対照的に、アメリカ参戦後の、第一次世界大戦におけるアメリカ人死傷者数は、戦死者が、53,402人で、致死的でない負傷者、200,000人だ。

アメリカ革命戦争から、 2017年8月時点での“グローバル対テロ戦争”によるアメリカ人戦死者一覧は下記の通りだ。

アメリカ革命戦争: 4,435人
1812年戦争: 2,260人
対アメリカ先住民戦争 (1817年-1898年) 1,000人
米墨戦争 1,733人
アメリカ南北戦争:
北軍: 104,414人
南軍: 74,524人
米西戦争 385人
第二次世界大戦 291,557人
朝鮮戦争 33,739人
ベトナム戦争 47,434人
湾岸戦争 148人

これで、戦死者は、561,629人だ。

2017年8月時点で世界対テロ戦争での戦死者、6,930人を足せば、全てのアメリカの戦争におけるアメリカ人戦死者は、568,559人だ。https://www.infoplease.com/us/american-wars/americas-wars-us-casualties-and-veteransを参照。
アメリカ兵が参加していなかった、第一次世界大戦中の一つの戦争における戦死者と、致命的でない負傷者や四肢損傷を、現時点では私は分けることができないが、714,231人の死傷者と比較願いたい。

言い換えれば、桁外れの北軍戦争犯罪に苦しんだ南部連合国とアメリカ先住民以外、アメリカ人には戦争体験がない。だからワシントンは易々と戦争を始めることができるのだ。だが次はハルマゲドンで、ワシントンは、もはや存在しなくなる。そして我々全員も。

第一次世界大戦時のアメリカ兵士の死者数が少ない理由は、最後になるまで、アメリカが参戦しなかったためだ。第二次世界大戦でも同じだ。日本は、海軍と空軍の損失と、アメリカ人がほとんど僅かしか戦死しない、東京や他の日本都市への焼夷弾爆撃によって敗北した。広島と長崎への原爆攻撃は、日本が降伏を申し出ようとしていた時に行われた不当なものだった。約200,000人の日本の一般市民が原爆攻撃で死亡したが、両都市で拘留されていた戦争捕虜を除き、アメリカ人死者はいない。ヨーロッパでは、第一次世界大戦時と同様、アメリカ最後にドイツ国防軍が、ソ連赤軍によって、既に粉砕され、打ち破られるまで、対ドイツ戦争に参戦しなかった。全てのドイツ軍がロシア戦線にいたので、ノルマンジー攻撃はほとんど反撃を受けなかった。

もし第三次世界大戦になれば、アメリカと全ての西欧世界は即座に破壊され、欧米と途方もない核能力を保有するロシアとの間には、全くの破壊の可能性以外何もなくなるだろう。もし中国がロシア側について参戦すれば、想像通り欧米世界全体が永遠に破壊されよう。

ヨーロッパは一体なぜ、このシナリオを可能にしているのだろう? ヨーロッパのどこにも、人間性も知性も存在しないのだろうか? ヨーロッパは、狂ったアメリカ・ネオコンの陰謀によって屠殺されるのを待っている家畜の集団に過ぎないのだろうか? 常識や品位の片鱗があるヨーロッパ人政治指導者は皆無なのだろうか?

もしそうなら、ワシントンには人間性も知性も皆無なのだから、我々にはもう希望はない。

ヨーロッパ、特に中欧が主導すべきなのだ。彼らはロシアによって、ナチスから解放され、21世紀に、モスクワによって経験させられているより遥かに酷い攻撃をワシントンの覇権追求によってかけている人々だ。

もしヨーロッパが、ワシントンによる支配から決別すれば、生命の希望はある。もしそうでなければ、我々は死んだも同然だ。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/04/30/can-done-paul-craig-roberts/

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「外国人記者は見た」という番組に、村上誠一郎自民党衆議院議員がゲスト出演されていた。小選挙区制度のまずさを指摘されていた。

番組中で、紹介されていた古賀茂明氏との対談本、早速拝読。

断罪~政権の強権支配と霞が関の堕落を撃つ 次世代への日本再建論~

下記IWJインタビューを拝見して、村上誠一郎氏を知ったのだった。

【大義なき解散総選挙13】「たとえ一人でも、やらないといけない」集団的自衛権行使容認に反対した自民党・村上誠一郎衆院議員に岩上安身がインタビュー 時折涙を見せる場面も 2014.7.4

昨年のインタビューもある。

「安倍さんは武士(もののふ)として自ら進退を決めるべきだ」〜ミスター自民党がアベ政治をぶった斬る!「こんな財政状況で改憲の話している場合ではない」村上誠一郎議員に岩上安身が訊く! 2017.8.21

IWJ Independent Web Journal - 岩上安身責任編集

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