エスカレートするシリア危機
2018年4月30日
Paul Craig Roberts
二週間前に、シリア危機は、危機はまだ始まったばかりに過ぎないと私は書いた。https://www.paulcraigroberts.org/2018/04/17/crisis-beginning-stages/ (日本語訳はこちら)見たところアメリカ/イスラエル作戦らしい昨夜のシリア軍陣地攻撃は危機が拡大し続けている証拠だ。https://www.timesofisrael.com/resonant-syria-strike-suggests-coordinated-us-israel-message-to-russia-and-iran/
危機には、四つのお互いに強化しあっている原因がある。
(1) イスラエル拡張の障害となる、中東における敵を殲滅するのにアメリカ政府を利用するイスラエルの能力。イスラエルは、その水資源をイスラエルが熱望している南レバノン占領に取り組むイスラエルを二度も撃退したレバノン民兵ヒズボラに、この両政府が、補給をしているがゆえに、シリアとイランを標的にしている。
(2) イスラエルの中東政策と相性の良い、アメリカ世界覇権というネオコン・イデオロギーが、ネオコンとイスラエルとの強力な同盟により一層しっくりするものになっている。
(3) その膨大な予算と権限を正当化する、アメリカ軍安保複合体の必要性。
(4) ロシア政府が、上記三つの理由を理解できないこと。
ロシア政府の口ぶりからして、アメリカによるアフガニスタン侵略から始まる過去17年間にわたる中東におけるワシントンの軍事行動、未だ決着のつかない戦争が、テロとの戦いと関係していると、ロシアは信じているようだ。ロシアは、ロシアとアメリカはテロと戦う共通の取り組みで連合すべきだという見解を表明し続けている。どうやら、ロシア政府は、テロはワシントンが作り出したものだということを理解していないようだ。ワシントンのアフガニスタンとイラク侵略の結果である、好ましからぬ結果をもたらしている長い戦争で、リビアとシリアを打倒するため、ワシントンが、テロリストを採用し、送り込むに至ったのだ。明らかに、ワシントンは自分の狙いを実現するために作り出した兵器に対して戦うつもりはないのだ。
ワシントンのテロとの関係に関して、ロシア政府が混乱していることが、継続しているシリア危機の四つ目の原因だ。2015年、シリア政府側に立って、ワシントンの聖戦戦士“反政府派”に対し、ロシアが突然シリア介入をした際、ワシントンはすっかり不意をつかれた。ロシアは状況を完全に支配しており、2016年に戦争を終わらせることができていたはずなのだ。ところが、どうやら、ワシントンをなだめ、ヨーロッパに良い顔をしたくてか、ロシア政府は、2016年3月に時期尚早の勝利と撤退を発表した。この過ちが繰り返され、ロシアがこの間違いをするたびに、アメリカ軍兵士と航空機を送り込み、聖戦戦士傭兵に再補給し、訓練し、対シリア軍事攻撃に、イスラエル、サウジアラビア、フランスやイギリスの参戦を組織する好機をワシントンに与えてしまったのだ。現在、問題は、アメリカ軍兵士が、聖戦戦士傭兵と混在しているため、シリア/ロシア同盟が、ロシアとシリアが、これまでの所、そうすることを避けている、アメリカ人を殺害することなく、外国人侵略者をシリア領土から殲滅するのを困難にしている。ロシアのラブロフ外務大臣は、今ワシントンがシリアを分割しようとしていると非難しているが、シリア分割を招いたのは、ロシアの優柔不断だ。
アメリカ/イスラエル/ネオコン同盟と、それが中東に一体何を意味するかをロシア政府が理解できないことと、シリアに、S-300防空システムを提供することに関するロシア政府の優柔不断があいまって、危機がエスカレートし、実行者がまだ名乗り出ない昨夜のシリア軍陣地に対する“バンカー・バスター(地中貫通)”爆弾によるものと見られる攻撃、 エスカレーションを可能にしたのだ。
昨夜の攻撃はイラン人を殺害したが、次の攻撃は、ロシアの軍事要員を殺害しかねない。いずれかの時点で、ロシア政府が屈辱にうんざりしかねず、その場合、イスラエルとアメリカの軍用機が空から墜落し、対“反政府派”陣地攻撃で、アメリカ兵の命が奪われることになろう。
平和はイスラエル/アメリカが狙っているものではなく、アメリカもイスラエルも、ロシアが、それをもとに、シリアと中東に平和をもたらす合意を構築できるようないかなる善意を持って現地にいるわけではないのを、ロシア政府が理解出来ないことが、戦争が我々の上に迫るまで、危機が高まり続けることを意味している。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/04/30/syrian-cisis-escalates/
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電気洗脳箱、脱走、芸能人セクハラ、米朝首脳会談にまつわる憶測。自分の頭のハエは決しておわない。昨日、はじめてハエが出た。
先日、Eテレで、偶然、素晴らしいドキュメンタリーを見た。驚いた。掃き溜めに鶴。ただし、放送時間は人目にふれない時間枠。
ETV特集「平和に生きる権利を求めて~恵庭・長沼事件と憲法~」
2018年5月3日(木) 午前0時00分(75分) に再放送とある。
当時、知人が法学部の学生だったので、偉い裁判官がおられるものだと話し合ったような記憶がおぼろげにある。
『戦争経済大国』を拝読中。22ページの発言を読んで、PKO日誌隠蔽の背景が見えたような気がする。
一体化がここまで進むと、米軍と自衛隊は常に同一歩調であるのが当然で、別行動をとる方が不自然だということになりかねない。事実、私は自民党の出身で内閣特命相(防災担当)や郵政民営化担当相を歴任し、現在は日本維新の会に籍を移している沖縄選出の下地幹郎衆議院議員(1961年生まれ)に、「あなたはどうして米軍と自衛隊を分けて考えるのかなあ。両者は一つのものなんですよ。」と言われたことがある。2017年現在、両者を隔てているのは、日本国憲法だけなのだ。
二つの新聞の、壊憲に関する世論調査結果の大きな乖離。両方が真実のはずはありえない。大本営広報部の洗脳実績を考えると、国民投票になった場合、結果は楽観できない。砲弾の餌食推進側は、その膨大な資金で、虚報宣伝し放題なのだから。
この時期、火薬庫に、わざわざ出かけてゆく不思議。飛んで火に入る初夏の虫。
「あなたはどうして米国と日本を分けて考えるのかなあ。両者は一つのものなんですよ。」と言われているかのような気分。
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