水泡に帰したプーチンの平和への取り組み
2018年5月24日
Paul Craig Roberts
トランプ政権は、シリア、イラン、ウクライナと北朝鮮における平和へのプーチンによる取り組みを妨害している。
平和のため、プーチンは、シリア国内でのアメリカとイスラエルにる挑発に乗るのを避けてきた。プーチンは、戦犯で大量虐殺マニアのネタニヤフを、第二次世界大戦でのロシアの対ドイツ戦勝記念式典に招待さえした。ネタニヤフは招待を受けたものの、ロシア出国直前に、シリア軍陣地に対する違法なイスラエル軍事攻撃を命じ、プーチンに、誰がボスかを示したのだ。プーチンの平和への取り組みに対するワシントンの報酬は、アサドを打倒するために送り込んだワシントンの傭兵が依然占領しているシリアの地域をアメリカとフランス軍による占領と、アサド世俗政府打倒にワシントンが利用しているイスラム過激派への再補給だ。アメリカとフランスの軍隊が駐留しているので、プーチンは、シリアから全ての外国侵略者を掃討する攻勢を中止した。もしアメリカ人やフランス人が死亡すれば、ロシアの悪魔化は、新たな高みに至り、それを、ワシントンに対するヨーロッパの不満を和らげるのに、ワシントンが利用することがプーチンにはわかっているのだ。アメリカとイスラエルの意図を、ロシア政府が誤算し、プーチンが窮地に追い込まれていることが、アメリカ率いるシリア軍陣地攻撃継続を可能にしているのだ。以下を参照。https://www.rt.com/news/427601-us-coalition-strike-syria/?utm_source=browser&utm_medium=push_notifications&utm_campaign=push_notifications
かつて、プーチンは、シリアの全ての化学兵器を、破壊するため、欧米に引き渡すよう手配して、アメリカによるシリア侵略計画を阻止した。公的化学兵器査察機関は、シリアには化学兵器はないと保障している。アメリカ政府幹部、アメリカ・マスコミ丸ごととワシントンの傀儡イギリスとフランスは、偽旗化学兵器攻撃を、ドゥーマの場合、起きていないことが証明されている偽化学兵器攻撃ニュースを、アサドの罪として、一貫して、なすり続けているのが、プーチンに対する報酬だ。
トランプ政権は、イランで和平を実現するプーチンの努力も妨害した。イランは、兵器級の核物質は製造しない、つまり原子力発電に使用されるのに必要な低い水準以上にはウラン濃縮をしないという多国間合意をなし遂げて、プーチンは、ワシントンと、その売女マスコミが画策したエセ“イラン核”危機を終わらせた。公的機関は、イランは合意を遵守していると保証しているが、揺るぎない事実にもかかわらず、ワシントンと、その売女マスコミは、イランには核兵器計画があると主張し続けている。ネタニヤフの主張を受け、トランプは、イラン、アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランスとドイツが調印した多国間合意から、アメリカを離脱させた。トランプは、ヨーロッパの事業に大きな影響と損害ももたらすであろう、より厳しい経済制裁をイランに再度課している。アメリカ以外のイラン合意調印国は合意を維持するつもりだと言っているが、トランプはイギリス、フランスとドイツを、もし彼らが調印した合意に固執すれば経済制裁すると威嚇した。
中国とロシアは北朝鮮と韓国の和解に尽力し、核兵器実験を中止する北朝鮮の同意を確保した。二つの朝鮮間の和平は具体化しつつあったが、トランプは、この和平実現の努力も妨害した。
売女マスコミ、別名ワシントン・プロパガンダ省は、和平合意の破壊を、アメリカと世界を、ならず者国家から守るために必要な行動だと、事実を歪曲して報じているが、ワシントンに合意している政府はイスラエルしかない。
ワシントンとイスラエルが、プーチン外交を妨害した以上、プーチンの希望は、ロシアやシリアやイランや北朝鮮を世界の他の国々から孤立化させるのではなく、ワシントンを、そのヨーロッパとイギリスの傀儡諸国から孤立させる結果になることだ。ヨーロッパの指導者たちが、ワシントンの奴隷として扱われることに満喫しているという証拠はたっぷりある。連中が、ワシントンによる支配をかなぐり捨てる可能性はある。一方、ドゴール支配下のフランスを除いて、過去75年間、自立した外交政策や経済政策を行ったヨーロッパの国はないのだ。しかもヨーロッパの指導者連中は、トニー・ブレアの5000万ドルのように、ワシントンが、彼らに快適な引退後の生活を用意するのを頼りにするのに慣れており、もしトランプが彼らをアメリカ市場から遮断すればヨーロッパの事業権益が損なわれることになる。ヨーロッパの反乱がどれだけ本物かは現時点では不明だ。
その時間を使って、プーチンの主導下、シリアで失ったものを、ワシントンが取り戻そうとするので、ロシアが、ヨーロッパの反乱を期待することには大きな危険がある。実質的に、ロシアはシリアでの勝利を棒に振ることになりかねないのだ。英米-シオニスト帝国が崩壊するかどうか、ロシア政府が見守っているうちに、カダフィとアサドに対してワシントンが利用した聖戦士を、タジキスタンやウズベキスタンなどの旧ソ連中央アジア共和国経由で、ロシアと中国に対する攻勢に備えて、ワシントンが組織中なのだ。アンドレイ・アファナーシェフの報告はここにある。http://www.informationclearinghouse.info/49471.htm
この話をロシア内の情報源に確認した。ロシアと中国の不安定化のために聖戦士を利用するワシントンの計画が、4月のことと思うが、第7回モスクワ国際安全保障会議で表面化したのを私は知った。現在、セルゲイ・ショイグ国防相は、ウズベキスタンで、現地の軍・政治指導者たちと状況を見極めている。
ロシア政府、国営TV局や体制派マスコミは、この情報を公表せずにいる。どうやら、ロシア政府は、政府が好む和平政策への国民の支持を損ないかねないので、この情報が明らかになるのを望んでいないようだ。とは言え、このニュースは、TzargradとNewsFrontとFerganaが報じている。
中東におけるイスラエルの関心は拡張であり、平和とは両立しない。イスラエルが南レバノンを占領できるようにするには、ヒズボラへの供給国であるシリアとイランの紛争と不安定化が、イスラエルには必要なのだ。トランプ政権内にしっかり定着しているアメリカ・ネオコンは、事実上のイスラエル代理人だ。しかも連中は、自立した政府の打倒を必要とするアメリカ覇権にのめり込んでいる。
中東におけるワシントンの覇権追求は、ヨーロッパにおけるワシントン覇権を犠牲にすることになるのにプーチンは賭けている。もしプーチンが、この賭に勝てなければ、彼はワシントンとイスラエルが直接ロシアを狙っている戦争の準備をするのが身のためだろう。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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属国政治、宗主国政治の劣化版戯画。
日大卒業生総数は、116万人をこえるという。日本の人口は、1億人をこえる。
アメリカン・フットボール問題を、モリ・カケや、自衛隊日報隠蔽や過労死推進法案より重要扱いする大本営広報部、狂っているか、罪人か、その両方か、としか思えない。
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