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2018年5月

2018年5月31日 (木)

アメリカ率いる長年にわたる‘国造り’の後、人権災害に直面しているアフガニスタン

Brian CLOUGHLEY
2018年5月30日
Strategic Culture Foundation

16年以上におよぶ外国による軍事占領後、世界で4番目に腐敗した国アフガニスタンは、戦争で、打ち壊され爆破され続けている。アフガニスタン国民は、狂気の野蛮人による自爆攻撃の犠牲者であり、アメリカ軍のスターズ・アンド・ストライプ誌によれば、2018年3月、アフガニスタンに投下されたアメリカ爆弾は“ 5年間のうち、その月で最多だった。ISISは、イラクとシリアでは地下に追いやられつつあるが、アフガニスタンでは、この集団に忠誠を誓う戦士の数は増加しているように見える。”

しかしアフガニスタンを破壊しているのは、戦争による破壊だけではない。政府にも、その“主要機能”が“法の支配と良い統治という原則の遵守を支持することにある”アメリカ-NATO軍事同盟にも、無視あるいは、見逃されている人権侵害によって、社会機構は末期的なまでに、ばらばらに引きちぎられつつある。

アメリカ国防省とアフガニスタン政府によってゆがめられ、悪用されることが多い“アフガニスタンで、再建計画を実施するためにアメリカが提供している1172.6億ドルの自立した客観的な監督”の責任を負っているアフガニスタン再建特別監察総監(SIGAR)のジョン・ソプコは、8年間、その任務を典型的な形で行ってきた。

2017年7月のSIGAR報告書は“アフガニスタン当局者は... アフガニスタン治安部隊による児童の性的搾取に加担し続けている”と記録しているが、ワシントン・ポストはこう報じている。“ペンタゴンは、アフガニスタン兵士や警官が行っている児童の性的虐待犯罪を独自評価するのを阻止し、アメリカの同盟者がしでかしている人権侵害に対し、極めて信頼性の乏しい評価をしている自分たちの報告書作成を主張している。”

アフガニスタンには男色文化があり、あらゆるレベルの権力の座にあるアフガニスタン男性が、少年に対する虐待でも告訴されない免責を享受していることは、今では良く知られている。バッチャ・バーズィー、英語に訳せば“ボーイ・プレイ”の慣行は、忌まわしいもので、“プレイ”という言葉は全く不適切だ。『フォーリン・ポリシー』誌にはこうある。“アフガニスタンで広く蔓延している屈辱的で有害な小児性愛サブカルチャーは、世界で行われている中で最もひどい人権侵害の一つだ。年長男性との性的関係のために育てられる思春期の男の子は買われたり、場合によっては、家族から拉致されたりして、男性という性を剥奪される世界に投げ込まれる。こうした男子は、往々にして、女性として服装をさせられ、化粧し、男性のパーティーで踊らされる。彼らは遥かに年長の求婚者と性行為をするよう期待され、長期間その男性あるいは集団の性的手下にされる。”

だが、ペンタゴンは、これに関して、いかなることも我々に知られたくはなく、過去、実際に、いじめをはたらく変質者に措置を講じたアメリカ兵を罰している。2015年、特殊部隊のダン・クイン少尉が“男の子を自分のベッドに性奴隷として鎖でつないでおいた、アメリカが支援する民兵の司令官をたたきのめした”クイン少尉は除隊させられたと、ニューヨーク・タイムズは報じた。彼は後にこう語った。“タリバンがしたよりひどいことをする連中を我々は権力の座につけていた”。残虐なタリバンでさえ、そのような犯罪行為が罰を免れるのは許さなかったのだから、これは全く正しい。

SIGARの批判や、条約を批准した国々に“あらゆる形の性的搾取や性的虐待から子供の保護をする約束をする”ことを要求している国際的な“子どもの権利条約”にもかかわらず、アフガニスタンにおける、男の子の性的虐待は放置されている。

ところが、アメリカ合州国は“子どもの権利条約”を批准しておらず、つまり、アメリカは、条約のいかなる要求にも、法的に束縛されていないのだ。 エコノミストが報じている通り、条約に反対しているアメリカ議員たちは“一部の保守的共和党議員の間での国連に対する年来の恐怖で、アメリカの主権を侵害しかねないと言う。条約が確立した社会的、経済的権利が、こうしたことに政府支払いを要求する訴訟を挑発しかねないという懸念がある。”ペンタゴンが、アフガニスタンにおける児童虐待に反対することを何もしていないのも驚くに値しない。

2009年、この腐敗し荒廃した国で、女性の恥ずべき扱いがおこなわれ、妻が性交を拒否した場合、男性が妻を餓死させるのを認める法律が成立したのだ。2014年、アメリカ-NATOが“法の支配と良き統治という原則の遵守”を支持して、更に5年後、カーブル議会が、いわゆる‘名誉’殺人、強制結婚や、悪辣な家庭内虐待で荒廃した国での暴力に対処するための長年の遅々とした進歩を元に戻して、男性が“法的処罰の恐れなしに、自分の妻や子供や姉妹を攻撃することを認める法律を成立させた。”

アムネスティー・インターナショナルの2017年-2018年報告は“[2017年]上半期、アフガニスタン独立人権委員会は、殴打、殺人や酸による攻撃を含む、国中での女性や少女に対する暴力を何千件も報じた。そのような犯罪をしても、おとがめ無しで済むことや、捜査をし損ねているを背景に、女性に対する暴力事件は、伝統的慣行、被害者が烙印をおされてしまうことや、結果を恐れることから、大幅に過少報告のままだ。”

アフガニスタンの女性が、2001年末にアメリカが侵略する前より、まともな扱いをされている兆しは皆無だ。アフガニスタンにおける、長年のあらゆる作戦と、“法の支配と良き統治の原則遵守の支持”でも、アメリカ-NATO軍事同盟はアフガニスタン男性の女性に対するぞっとする行動を、ほんのわずかも変えることはなかった。

1979年以来、国際的な‘女子差別撤廃条約’があり、国連の194の加盟国(アフガニスタンを含む)のうち187カ国に批准されている。条約は“この条約の締約国は、結婚や家族関係に関するあらゆることで、女性に対する差別を撤廃するため、あらそる適切な措置を講じるべきこと”と規定しており、その施行に同意するのを拒否している国々は、イラン、パラオ、ソマリア、南スーダン、スーダン、トンガとアメリカ合州国だ。

アフガニスタン対女性暴力廃止法 (EVAW)が、大統領命令で、2009年に成立した。法は“強姦、児童結婚、強制結婚、家庭内暴力、女性や少女の売り買いや、「バード」つまり家族間の紛争を解決するために少女を差し出すことを含む様々な虐待に対する刑罰”を定め、女性の扱われ方を良くする取り組みの大きな前進であるように見えた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが、2017年3月、改正刑法が、大統領命令により採択されたと書いている。“それは、強姦の定義を強化しながら、EVAW法全ての条項を組み込んだ。ところが多くの保守派議員が、EVAW法に反対したので、一部の活動家campaigned to法律を、2009年大統領命令にあったままの独立した形のまま残す。彼らの取り組みに応えて、8月 ガニー大統領は、司法省に、新刑法からEVAWの章を削除するよう命じた。議論の多い破棄で、法律の立場は中途半端になった。”言い換えれば、アフガニスタンの女性は、彼女らの最初の状態に戻ったのだ。権利無し、保護無し、希望無し。

アフガニスタン政府とアメリカ-NATO軍事同盟は、世界でも、最もすさまじい人権侵害を無視したり、見逃したりしている。アフガニスタン国民は、内戦による荒廃と、多くの粗野な議員や官僚の中世的な考え方の組み合わせに苦しんでいる。国中で、自爆攻撃が、B-52爆弾のこだまになる中、それでも外国資金は流れ込み続けている。

アメリカ-NATO“顧問”諸国が、連中の現在の政策を継続する限り、アフガニスタンにおける人権災難は軽減するまい。

そもそも彼らはアフガニスタンに入るべきではなかったのだが、今やアフガニスタン内の大災厄に貢献した外国人は、特に、女性や子供の人権侵害に対して罰を科す法律を成立させ、施行するようカーブル政府に圧力をかけるべき時だ。それは、あの国を、21世紀に至らせるためのささやかな一歩だろう。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/05/30/after-years-us-led-nation-building-afghanistan-faces-human-rights-disaster.html

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16年以上におよぶ支配を受けているアフガニスタンを見るまでもなく、70年をゆうに超える宗主国支配下の属国における女性差別は、財務省幹部セクハラ事件で明らか。

日大アメフトの忖度、人事掌握による支配、国の忖度、人事掌握による支配の縮小版。
アメフト関係幹部も学生も、70年以上宗主国に完全支配されているわけではなく、支配体制に組み込まれているわけではないので、当たり前の判断・発言が可能なのだ。

与党も官庁幹部も司法関係者も大本営広報部も芸人もコメントを垂れる先生方も、全て、70年を超える宗主国による巧妙な支配体制の中で選びに選び抜かれた精鋭集団!支配層の害になるような判断・発言は決してしないよう飼い馴らされている。当たり前の判断、発言をする可能性があるような人物は、この精巧な支配体制の中で、事前に根こそぎにされている。まれに前川氏のような人格者もおられるが。偶然の奇跡のようなものだろう。

うそだけで成立している属国支配体制など、まるごと生ける屍。

党首討論での醜い無内容な答弁は予想通り。一体どういう頭の構造なのだろう?

国民民主党が、ゆ党であることがはきりしたことだけが、党首討論の利点?

日刊IWJガイド・番組表「<ご寄付・カンパのご報告>5月のご寄付・カンパは30日現在、目標額の56%、98件で278万5256円です。皆様のあたたかいご支援、本当にありがとうございます! IWJ第8期も残り2ヶ月、よりいっそうのご支援をよろしくお願いいたします!/党首討論で森友・加計疑惑を追及する立民・枝野幸男代表、共産・志位和夫委員長に安倍総理の反論は論点ずらしと従来答弁の繰り返し!?/『民主主義に反する戦後最大の公用文書破棄事件!』上脇博之教授らが佐川宣寿前国税庁長官を再告発!/連合が『高プロ』反対を表明!衆議院厚生労働委員会の採決後も問題百出の『過労死自己責任化法案』!/
6月12日の首脳会談を見据え、米朝双方が実現に向け熱のこもった最終調整が続く!!/<新記事紹介>『帰還の大行進』ではわずか1日で58人死亡、2700人以上が負傷!これはデモ隊とイスラエル軍との『衝突』ではなく『虐殺』である!!~志葉玲パレスチナ・イスラエル取材報告会」2018.5.31日号~No.2086号~

2018年5月30日 (水)

プーチンの譲歩政策は成功するだろうか?

2018年5月29日
Paul Craig Roberts

 先週末、サンクトペテルブルク国際経済会議でのウラジーミル・プーチン・ロシア大統領演説は、ロシア政府が新自由主義経済政策の罠にはまっていることを示している。プーチンはグロバリズムと自由貿易を擁護し、グローバル体制の崩壊から、危機が生じると彼は警告した。

 実際は、危機は、グローバリズムと新自由主義経済学の結果だ。ロシアにとって、新自由主義経済学は、経済危機と政治危機の両方を意味する。https://www.paulcraigroberts.org/2018/05/25/americas-fifth-column-will-destroy-russia/ 日本語訳  アメリカの第五列がロシアを破壊する

 製造業や、ソフトウエア技術のように移転可能な専門能力など、高生産性で高付加価値活動の雇用を、アメリカやイギリスやヨーロッパなどの先進国経済から、賃金がずっと安い場所の経済に向かわせる新自由主義経済学が、国内経済危機をもたらすのだ。新自由主義経済学は、経済的剰余を本当の投資から、債務返済へと向けさせる経済金融化の基盤でもある。新自由主義経済学のこうした破壊的影響があいまって、経済成長を潰す。給料の良い雇用が消滅する中、成長しているのは金融資産価格だけという、21世紀における欧米世界でのゼロ成長経験をご覧願いたい。

 新自由主義経済学が、金融化と、オリガルヒとグローバル企業の利益のために、国民を破滅させるための道具だという問題だけではない。より大きな問題は、ロシア政府の新自由主義経済学信奉で、ロシアが、ワシントンからの圧力に耐えることができなくなってしまうことだ。政府が、ロシアの経済的成功は、欧米経済体制への統合にかかっていると思い込んでいるので、ワシントンに、イスラエルに対してさえ、ロシアは立ち向かうことができない。門戸を開放し続けるため、ロシアは挑発を絶えず甘受しており、それが更なる挑発を誘発している。

 こういう態度が、政治家としてふさわしく、称賛すべき場合もあろうが、危機は経済学を超えるものゆえ、この場合は、そうではない。プーチンの慎重な外交は、ワシントンでは、弱さと見なされる。アメリカ政府を支配しているネオコンは、アメリカ覇権に没頭している。彼らは既に傲慢過剰状態だ。プーチンが身を引くのを目にする毎に、彼らは、更なる圧力で、ロシアを屈伏させることができるという確信を深めるのだ。

 例えば、ネオコンは、トランプの対シリア・ミサイル攻撃、明らかな偽ニュース事件を根拠にした攻撃を前にして、プーチンが身を引いたのを、意気地がないと解釈している。プーチンが、ワシントンによる攻撃を甘受したことで、ワシントン・ネオコンのロシアへの信頼性は大きく傷ついた。シリア国防のため、ロシアが国軍まで派兵している同盟国への攻撃を、プーチンが甘受するのを連中は目にしたのだ。シリアから、ofアメリカが支援する聖戦士を排除しておいて、次に、ワシントンとイスラエルにシリア攻撃を可能にするのに、一体何の意味があるだろう?

 プーチンが身を引いているのは、ヨーロッパに恐怖を与るような形で、ロシアが武力を行使しない限り、ワシントンによる攻勢が、ワシントンのヨーロッパ帝国を崩壊させるはずだという、彼の賭けだと私は説明している。言い換えれば、プーチンは軽率にではなく 慎重に行動しているのだ。特に、プーチンには、欧米には防ぎようのない超兵器があることからして、これは立派なことだ。

 もしプーチンの賭けが効果をもたらさなければ、そして、プーチンの自制の結果が、ロシアは、脅して屈伏させることができると、ネオコンに確信させたら一体どうなるかというのが私の懸念だ。私は、ロシアを脅して、屈伏させることができるとは思わないが、ネオコンは、ロシアを、戦うか、降伏するか、しかない窮地に立たせるだろう。ロシアは戦うだろうが、それは我々全員の終わりだ。

 言い換えれば、プーチンの称賛に値する戦略が失敗すれば、ヒトラーがドイツ国防軍をロシアに向けて行進させた時より既に傲慢さ過剰なネオコンは、戦争する極限まで、ロシアを追い詰めるだろう。

 だから私は別の戦略を示唆した。プーチンが断固譲らないことだ。例えば、彼は、アメリカとイスラエルによるシリア攻撃を受け入れるのを止めることができるはずだ。国際法の下で、これらの攻撃は違法だ。アメリカ自身が確立したニュルンベルク基準の下で、攻撃は戦犯行為だ。プーチンは、シリアに、S-300ミサイル防衛システムを提供できたはずなのに、ワシントンとイスラエルの要求で、契約を遂行せず、ネオコンにとって、プーチンに意気地がないもう一つの例だと誤解させ、ワシントンによる挑発を促してしまう。

 断固として譲らない戦略には、ヨーロッパに、ロシアの攻撃性をおびえさせる危険性があり、欧米の売女マスコミは、そう報じるだろう。しかし、この戦略には、傲慢なネオコンに、プーチンは弱虫だと思い込ませる危険はない。ワシントンに対する効果は前向きで、ワシントンを、アメリカがソ連を尊重していた時代に押し戻すかも知れない。ヨーロッパに対する効果は、ヨーロッパを脅かしているのはロシアの脅威ではなく、ワシントンが始めている紛争なのだと、ヨーロッパに気づかせる可能性だ。

 アメリカの世界覇権に対する短期的障害に過ぎないと、ロシアのことを、ネオコン軽視している証拠は明らかだ。プーチン外交戦略の利益になるような証拠のいくつかを検討してみよう。アメリカが占領しているシリア地域にフランス部隊を派兵しているワシントン傀儡、マクロン大統領は“ロシアをヨーロッパ一家にとどめる”任務で、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムに参加したことで、RTに絶賛された。 https://www.rt.com/news/427820-putin-macron-russia-europe/

 ワシントンが占領しているシリアにフランス軍を派兵しているマクロンが、ワシントンと絶交するだろうか、それとも、マクロンは、ヨーロッパは、ワシントンから離脱するという、プーチンの考え方を励まし、ロシアを“ヨーロッパ共通の家”に歓迎するといって、プーチンに調子を合わせて、プーチンからの更なる譲歩を働きかけているのだろうか。

 ロシア政府は、更なる譲歩をして、ロシアと同盟者たちではなく、ワシントンとイスラエルの狙いに役立つ更なる要求を受け入れるよう思い込まされてしまうのだろうか? ワシントンの最新の要求は、プーチンが、イランに部隊をシリアから撤退させるよう働きかけることだった。プーチンは要求された通りのことをしたが、アメリカやフランスやワシントンのお雇い聖戦士と違い、イランはシリアの要請で、シリアにいるという理由で、イランは拒否した。その結果、いずれもシリアを攻撃し続けているワシントンとイスラエルが、ロシアとイランとの間に緊張を生み出すのに成功した。http://tass.com/pressreview/1005664

 同盟国との亀裂を避けるため、ワシントンがシリアに配備している部隊を撤退させた後に、ロシアとイランは撤退すると、プーチンは、ワシントンに言えていたはずなのだ。ワシントンは早速この亀裂につけ込み、ジェット戦闘機とS-300防空システムをイランに提供するという契約を、ロシアが遂行するのを、ワシントンは認めないと、プーチンに伝えた。もし、プーチンが、このワシントン要求も受け入れれば、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃を、ずっと容易になるだろう。

 ワシントンはまたもや勝利した。ロシアとイランとの間の不和で、イランは、多数の評論家が準備中だと考えているアメリカ軍による攻撃に対し、より脆弱になっている。もしイランが不安定化すれば、ロシアを不安定化するのがより容易になる。

 またしてもワシントンに同意して、プーチンは一体何を得たのだろう? ワシントンとイスラエルによる、シリアへの更なる脅威だ。5月28日、ワシントンの支援を得て、シリア領土を占領している外国侵略者を、ダルアーから排除しようとすれば、シリアは、ワシントンの“断固とした対応”を受けることになると、ワシントンがシリア政府に伝えたのだ。https://sputniknews.com/middleeast/201805261064839163-syria-leaflets-reaction-daraa-ceasefire/ イスラエルは、シリア領空内で活動しているイスラエル航空機に対し、シリアが領土を守るため防空システムを使用することは許されないと、シリアに伝えたのだ。https://sptnkne.ws/hAhP

 言い換えれば、プーチンの譲歩に、ワシントンとイスラエルはシリアの自衛禁止で報いたのだ。

 ネオコン・ワシントン政権は、自分たちは、プーチンを、後退モードに追い込んでいて、シリアからのロシア撤退も交渉可能だと確信しているのだ。もし、そうなれば、ワシントンは、シリア政府を打倒するための戦争を再開するだろう。

 ロシアがあわてる中、ロシアが宙ぶらりんのままにしている分離したロシア共和国に対し、ワシントンが命じる、ウクライナによる攻撃と、旧ソ連中央アジア共和国を通した、ワシントンが組織したISISによるロシア攻撃を、プーチンは受けかねない。https://www.paulcraigroberts.org/2018/05/24/putins-peace-efforts-coming-naught/  日本語訳 「水泡に帰したプーチンの平和への取り組み」 ロシア政府が、外交政策ではなく、ワールド・カップを主催する威信に注力するワールド・カップの間に、ウクライナ攻撃が起きかねない。

 ロシアが欧米経済に組み込まれるのは、属国としてだろう。

 しかし今ロシアは、フランス大統領の参加を含め、サンクトペテルブルク・フォーラムへの多数の参加者を挙げて、ロシアが孤立していない証拠だと慶賀し、ワールド・カップで得られる更なる威信を期待している。

 おそらく、ロシア政府内の誰かが、ソチ・オリンピックに注力していた時に、ウクライナがワシントンの手に落ちたのを覚えているだろう。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/05/29/will-putins-policy-concession-succeed/

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危機管理学部、超一流に思えてきた。モリ・カケ、防衛庁日報隠蔽問題を全て隠蔽し、アメフトだけに話題を集中させる手腕はなんとも見事。というより、大本営広報部のインチキさ、極まれりということか?

人事権を握り、忖度を活用し、自分の発言証拠を残さない日大監督の支配方法、与党、官僚、大本営広報部による属国支配のミニチュアそのもの。日大を、日本に、監督名を、彼氏の名前に変えれば、そのまま通じる、というより、頭の中で、置き換えて聞いている。

宗主国の交渉準備派遣団、またもや横田基地経由。主権がない属国・植民地傀儡、蚊帳の外もなにもないだろう。

日刊IWJガイド・番組表「<インタビュー報告>最大の転機は2014年4月28日!しかし昭恵夫人の関与が疑われる交渉記録は都合よく欠落!? 森友問題を先頭に立って追及し続ける日本共産党の辰巳孝太郎参議院議員にインタビュー!/『学園の言うことを信じたい』!? 加計学園の虚偽報告を容認する今治市の菅良二市長!/働き方改革関連法案、衆院採決先送り!しかし政府与党は国会会期を延長、法案成立をあくまで目指す!/財務省発表文書の黒塗りを外すと安倍総理の友人・葛西JR東海代表取締役名誉会長の名が!稲田元防衛相の夫や二階幹事長の名前だけではなかった!/
『PKO参加5原則が崩れているのではないか!?』南スーダン派遣の自衛隊員が語る言葉が宿営地での生々しい戦闘の様子を明らかに!! 自衛隊PKO活動は矛盾のまっただ中!?/『北朝鮮との間で不測の事態が起きたら、その経費を韓国と日本が喜んで引き受ける』のトランプ発言は事実!? 菅官房長官は会見でのらりくらりとかわすも否定せず!!~IWJが東京新聞・五味洋治論説委員に訊く!」2018.5.30日号~No.2085号~

2018年5月29日 (火)

来るべき崩壊

2018年5月20日
TD originals
Truthdig
Chris Hedges

 トランプ政権は、貝殻の上に立つビーナスとは明らかに違う。ドナルド・トランプは、長期的な政治的、文化的、社会的腐食過程の結果だ。彼はアメリカの破綻した民主主義の産物だ。我々は、機能している民主主義の中で暮らしていて、トランプや彼を取り巻く政治変異体は、次回選挙で打ち負かすことができる、どういうわけか常軌を逸した逸脱だという虚構を長続きさせればさせるほど、我々は益々独裁制に向かって突進することになる。トランプが問題なのではない。大企業権力と二大政党官僚に支配され、我々が重視されていない政治制度が問題なのだ。大企業支配国家を解体して、我々が、政治支配を奪い返すのだ。そしてこれは、今年アメリカ中の教師たちが示したような大規模で持続的な市民的不服従を意味する。もし我々が立ち上がられければ、アメリカは新たな暗黒時代に突入する。

 逆さまの全体主義というアメリカ体制の構築を支援してきた民主党は、左翼の多くによって、またしても救世主として祀り上げられている。ところが、この党は、トランプ当選と、バーニー・サンダースの反乱を引き起こした社会的不平等に対処するのを断固拒否している。民主党は、国民の半分苦しめている本当の経済的苦難が聞こえず、話せず、見えないのだ。労働者に生活できる賃金を支払うようには戦わない。民主党は、国民全員へのメディケアを実現させるため、医薬品や保険業界に逆らおうとはしない。民主党は、国を骨抜きにし、無益で費用のかかる外国での戦争遂行を推進している軍の飽くなき欲求を抑制しようとしていない。民主党は、プライバシーの権利や、政府による監視からの自由や、適正手続きを含む失われたわれわれの市民的自由を回復しようとはしない。民主党は、企業と、汚い金を、政治から追い出そうとはしない。民主党は、アメリカ警察を非武装化したり、アメリカ合州国は、世界の人口のわずか5パーセントに過ぎないのに、世界中の囚人の25パーセントを占めている刑務所制度を改革したりしようとはしない。民主党は、特に選挙シーズンには非主流派受けを狙い、本質的な政治、社会問題に対処するのを拒否し、代わりに、ゲイの権利や妊娠中絶や銃規制のような、特有な反政治集団の狭い文化的問題に焦点を絞っている。

 これは絶望的戦術だが、理解できるものではある。民主党指導部のクリントンやナンシー・ペロシやチャック・シューマーやトム・ペレスは大企業支配アメリカの産物だ。党エリートや、大企業からの資金によって支配されない開かれた民主的政治プロセスであれば、この連中が政治的権力を得られるはずなどないのだ。彼らはこれを知っている。連中は、自分たちの特権的な立場を放棄するより、体制丸ごと自滅するのを選ぶはずだ。しかも、それが実際に起きることではないかと私は恐れている。民主党は、何らかの形で専制政治に対する防壁だという考え方は、過去30年間の民主党政治活動と合致しない。民主党は専制政治の保証人だ。

 トランプは、彼らを裏切った政治・経済体制に、アメリカ国民の大きな部分が抱いていた憎悪を活用したのだ。彼は無能で、不道徳で、不正直で、うぬぼれ屋かも知れないが、彼は、彼らが嫌悪している体制を、巧みに笑い者にしているのだ。政府機関、法律や、世間から認められているエリートに向けた彼の残虐で、人をばかにしたあざけりは、これらの機関や法律やエリートが敵対勢力になっているので、国民の共感を呼んだのだ。また政治的見通しに、自分たちの苦難を軽減する変化が見えない多くの人々にとっては、トランプの残酷さと毒舌は、少なくともカタルシス効果がある。

 トランプは、あらゆる独裁者同様、何の倫理的中核もない。彼に対する個人的忠誠、へつらいに基づいて、同盟者や被任命者を選んでいる。彼は誰でも裏切る。彼は腐敗しており、金を貯め込んでおり、彼は昨年4000万ドル稼いだ、ワシントンD.C.、ホテルだけでも、彼の大企業のお仲間。かつては多少の規制と監督を行ってきた政府機関を、彼は解体しつつある。彼は開かれた社会の敵だ。だから彼は危険なのだ。民主的組織や規範の最後の名残に対する彼の強烈な攻撃は、大企業全体主義から、我々を守ってくれるものが、間もなく、名前すら全く無くなってしまうことを意味している。

 中にはマデレーヌ・オルブライトもいるのだが、アメリカの破綻した民主主義を立案した連中による、忍び寄るファシズムに対する警告は、お笑いだ。連中は、エリート連中が、いかに時代精神から切り離されているかを示している。こうしたエリートの誰一人、信頼性がない。トランプ当選を可能にした、ウソと欺瞞の体系と大企業による略奪を、連中が作り上げたのだ。トランプが、こうしたエリートをおとしめればおとしめるほど、そしてこの連中が凶事の予言者カサンドラのように抗議の叫びを上げれば上げるほど、国が急速に崩壊するなか、一層、彼が大統領の悲惨な立場を救済し、泥棒政治家連中による国の略奪を可能にする。

 マスコミはトランプ専制政治の重要な柱の一本だ。ヴェルサイユ王宮で、農民にパンが足りないのに、国王のささいな欠点をぺちゃくちゃしゃべる18世紀の廷臣連中のように、マスコミはとめどなく、しゃべり続けている。多くの人々にとっては、日々の苦しみと全く無関係な、ロシアによる干渉やらポルノ女優への支払いやら虚ろな話題を、マスコミは、ダラダラ話し続け、アメリカの生活を特徴づけている。マスコミは、アメリカの民主主義と経済を破壊し、アメリカ史上最大の富の上方移転を画策した大企業権力の乱用を批判したり、調査したりするのを拒んでいる。大企業マスコミは、金と情報源へのアクセスと引き換えに、文化的自殺をしている朽ち果てた遺骸だ。トランプが“偽ニュース”を巡り、マスコミを攻撃する際は、彼は、またもや、こうした全てのマスコミが無視している深い憎悪を表現する。マスコミは、トランプがしているのと同様に、貪欲の神マモンの偶像を奴隷のように崇拝している。マスコミは、リアリティーテレビ番組大統領が大好きなのだ。マスコミ、特にケーブル・テレビのニュース番組は、視聴者を、21世紀版『カリガリ博士』にくぎ付けにするために、照明を点けて、カメラを回し続けている。視聴率上は良い。収益にとっては良い。だが、これは衰退を加速する。

 こうしたこと全てが、間もなく、金融崩壊で一層ひどくなる。ウオール街の銀行は、2008年の金融崩壊以来、連邦準備金制度理事会と議会によって、ほぼゼロ・パーセント金利で、16兆ドルも緊急援助や他の助成金で渡された。連中は、この金や昨年行われた大規模減税でため込んだ金を、自社株買い戻しに使い、幹部報酬やボーナスを上げ、一層維持不能な借金返済奴隷労働に追いやっている。2017年の法律で、シェルドン・アデルソンのカジノ事業だけでも、6億7000万ドルの減税を受けた。CEOと労働者給与の比率は、今や平均339 対 1で、最大のギャップは、5,000 対 1に近づいている。金を儲け、蓄積する、この金の循環的利用は、カール・マルクスが“擬制資本”と呼んだものだ。公的債務、企業債務、クレジット・カード債務や学資ローン債務の絶えざる増加が、最終的には、ノミ・プリンスが書いている通り、“借金返済に充てるために入ってくるお金、あるいは借りられるお金が、利払いに足りなくなる転換点に至る。そこで高利回りの債券から始まる借金バブルがはじける。”

 成長を借金に頼っている経済では、クレジット・カードの支払いを遅延すると、金利は、28パーセントに跳ね上がる。それが、我々の賃金が停滞していたり、実質的に下落していたりする理由だ。生活維持に十分なだけ稼げていれば、生きるため金を借りなければならないにようなるはずがない。それが、大学教育、住宅、医療費や水道光熱費が、これほど高い理由だ。我々が借金から決して解放されないよう、制度設計されているのだ。

 しかしながら、次の金融崩壊は、プリンスが著書“Collusion: How Central Bankers Rigged the World”で指摘しているように、前回のもののようにはなるまい。彼女が言う通り“代案がないためだ”。金利はこれ以上下げようがない。実体経済は全く成長していない。次回は出口が無いだろう。ひとたび経済が崩壊し、国中で猛威を振るって燃え盛ると、トランプでさえ聡明で温和に見えるような奇人政治屋が登場する。

 そこで、ウラジーミル・レーニンを引用すれば、我々は何をするべきか?

 我々は、我々を守り、力に力で対抗するための平行する、人々の組織の構築にエネルギーを注ぐべきなのだ。組合、コミュニティー開発組織、地方通貨、代替する政党や食品協同組合を含む、こうした平行する組織は、町ごとに構築されなければなるまい。経済的困窮の時期には、エリート連中は、ゲートで囲った住宅地にひきこもり、我々を自力で何とかするよう放置する。ゴミ収集から公共交通、食品流通や医療に至る基本的社会サービスは崩壊するだろう。膨大な失業や不完全就業が社会不安を引き起こすが、対処方法は、政府による雇用創造ではなく、軍隊化した警察の残虐と、市民的自由の完全な停止だ。既に社会の片隅に追いやられている、体制を批判する人々は沈黙させられ、国家の敵として攻撃される。労働組合の最後の名残も、廃止の標的にされるだろうが、最高裁判所の裁判で、公共部門労組が労働者を代表する能力を麻痺させる判決が出ると予想されるので、この過程は間もなく加速されるはずだ。ドルは世界の準備通貨であることを止め、大幅なドル安になるだろう。銀行は閉鎖する。地球温暖化で、我々、特に沿岸住民や農業やインフラは益々大きな負担を負わされるが、枯渇した州は、その費用を工面できまい。商業マスコミは、支配層エリート同様、茶番から不条理へと変わり、その言説は、明らかに、あまりにも作り話で、あらゆる全体主義国家でと同様、現実から切り離される。トランプ同様、マスコミは全て愚からしく聞こえることとなる。そして、W.H. オーデンを引用すれば、“幼い子供たちは街頭で死ぬ”。

 海外特派員として、私は旧ユーゴスラビアを含め崩壊した社会を報道してきた。内部崩壊の間際に、朽ち果てた金融、社会、政治体制がいかに脆弱なのかを、絶望的な人々が理解するのは不可能だ。崩壊のあらゆる前兆が目に見えている。崩壊しつつあるインフラ; 慢性的な不完全雇用と失業; 警官による殺傷力の高い武器の無差別使用; 政治停滞・低迷; 借金という足場の上に築かれた経済; 学校、大学、職場、モール、コンサート会場や映画館での虚無的な銃乱射事件; 年間約64,000人が死亡するオピオイド過剰摂取; 蔓延する自殺; 軍の持続不可能な拡張; 経済発展と政府歳入の絶望的な手段としての賭博; ごく少数の腐敗した徒党による権力掌握; 検閲; 学校や図書館から裁判所や医療施設に至るまでの、公共施設の物理的減少; 我々を幻想の中に閉じ込め続ける、気の滅入る光景になったアメリカから、我々をそらすための電子的幻影による絶え間ない爆撃。我々は差し迫る死の普通の症状を苦しんでいる。私が間違っていたら嬉しいと思う。しかし、私は以前これを見ている。私は前兆を知っている。準備をしておくようにとしか私は言えない。

Poor People’s Campaignを記録するために、Truthdigとして、初めて読者が資金を出すプロジェクトを立ち上げた。寄付によるご支援をお願いしたい。

記事原文のurl:https://www.truthdig.com/articles/the-coming-collapse/
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「逆さまの全体主義」と勝手に訳したの元の単語は、リンク先にある通り、政治学者故シェルドン・ウォリンの表現、Inverted Totalitalianism。
どういうものか知りたくて、その言葉が書名にある彼の本を買った記憶はあるのだが、現在は本の山に消えたまま。例によって「良い本は翻訳されない」ようだ。

Democracy Incorporated: Managed Democracy and the Specter of Inverted Totalitarianism

国会討論、毎回面倒だが、頭とふところに良いので、与党ゆ党質疑は音声を消している。

宗主国の勝手放題・理不尽な主張・行動にはあきれるが、不思議な御仁の意味のわからない弁解も、負けず劣らず愚劣。こういう幹部を奉っている両国支配層の腐敗は末期的。大本営広報部、運動部不祥事を扱う時間の方がはるかに長い。あそこの危機管理学部、名誉会長が、なんとあの人物という記事を読んだが本当だろうか?できすぎたお笑い。

マスコミは○×専制政治の重要な柱の一本だ。

白村江の大敗北のお話、実に興味深く拝聴した。古代史と現代が直結しているかのよう。

日刊IWJガイド・簡易版「本日午後5時半より『「最大のターニングポイントは2014年4月28日!森友交渉記録から安倍昭恵夫人の関与が疑われる箇所が削除されている!?」~岩上安身による日本共産党・辰巳孝太郎参議院議員インタビュー』を全編フルオープンでお送りいたします!/<昨日の岩上さんのインタビュー>白村江の大敗北を利用した権力闘争が専制国家『日本』の起源!? デタラメな軍事戦略は今も健在!?~岩上安身による国際日本文化研究センター教授・倉本一宏氏インタビュー第4弾/
『常に平然としております』と強気な安倍総理が架空のヤジに興奮!? 参議院予算委員会集中審議での珍妙な光景!/米朝首脳会談へ向け再調整が始まる!見事に背を向ける日本!」2018.5.29日号~No.2084号~

2018年5月28日 (月)

アメリカは、シリアとイラクから、アフガニスタン経由で、ISISをロシアに再配置したと、信頼できる報告が主張

Eric ZUESSE
2018年5月26日
Strategic Culture Foundation

 外国による侵略やクーデターから、ロシア主権を擁護することに専念しているシンクタンク、Katehonが、5月15日“特殊部隊エージェント: 対ロシア攻撃が準備されている”という見出しで、こう報じている[カッコ内の編集上の説明やリンクは筆者による追加]:

 ロシアと中国の法執行機関によれば、戦士は、シリアとイラクから、パキスタンの都市カラチのカシム港からペシャワルという経路で海路で脱出し、アフガニスタン東部のナンガルハール州沿いに割り振られている。 …

 2017年末以来、「イスラム国」指導部は、シリアとイラクから、アフガニスタンに、20人以上の女性を含む更に500人の外国人戦士の移送に成功した。ロシアの法執行機関のある情報源は語っている。 "彼らはナンガルハール州にもいる。彼らは、スーダン、カザフスタン、チェコ共和国、ウズベキスタン、フランスなどの国民だ。"

 戦士の北部への移動は、二方向で行うよう計画されている。過激派は、タジキスタンには、ヌーリスターン州やバダフシャーン州経由で、トルクメニスタンに、ファラー州、ゴール州、サーレポル州やファーリヤーブ州経由で、潜入している。

 ナンガルハール州知事グラブ・マンガルは [ウイキペディアは彼についてこう書いてある。"2001年、アメリカ率いる侵略後、彼はパクティヤー州での憲法上のロヤ・ジルガの地域コーディネーターに任命され”]地域の戦闘活動をじきじきに監督している。 …

 マンガルには、アメリカ諜報機関との長年の関係がある。特に、彼はソ連のアフガニスタン作戦中、ソ連軍と戦っていた。2001年のアメリカ侵略直後、彼は所属する部族、パシュトゥーン族の地方政府の長に任命された。またマンガルは欧米マスコミに愛されている。アメリカとイギリス主要マスコミの大半の記事には、彼に関する非常に前向きな情報があり、BBCは、彼を、マンガルがかつて首長をつとめた"ヘルマンド州の希望"と呼んだ。

 アフガニスタン国防省によれば、近い将来「イスラム国」指導部、さらに1200人の過激派で拡大する計画だという。彼らの大半は、グラブ・マンガルと彼の部下の支配下にある州にも配置される。

 アフガニスタン国内の二つの巨大米軍基地が、ナンガルハール州のすぐ近くにあるのは、とうてい偶然とは言えないが、注目に値する。

 同時に、専門家のコミュニティーは、タジキスタンとトルクメニスタンに対する圧力は、ロシアに対する新たなハイブリッド攻撃のベクトルの一つに過ぎないと指摘している。政学専門家センターのワレリー・コローヴィン代表[ここに彼に関する詳細がある]は、モスクワは、全ての前線で、地政学的な敵国による大規模攻勢にそなえるべきだと確信している。ウクライナでは、おそらくアルメニア、さらに多数の他のソ連後の国々経由で[コローヴィンはこう述べている]:

 "…中央アジアにおける状況を不安定化することで、アメリカと同盟諸国は、いくつかの目標を一気に実現できる。第一に、このようにして、ワシントンは、モスクワとテヘランをシリアへの集中からそらすことができる。第二に、もし作戦が成功すれば、ユーラシアの経済・物流統合を強化すべく設計されている一帯一路プロジェクトの経路沿いに、不安定化の焦点が作りだされるだろう。アフガニスタンは、西でイランとも国境を接しており、テヘランに対する新たな戦線になる。… 新たな経済制裁による経済的圧力から始まり、ソ連後の空間で継続するだろう"カラー革命" と、アメリカ・ネットワークによる直接侵略で終わる。アメリカ合州国が、民主主義と市民社会を構築すべく、現地の軍事独裁政権をあやつって、アフガニスタン占拠したのではないのは明らかだ。これは、それを利用して、イランとロシアに対する攻撃をアメリカが準備するためのテロリスト・ネットワークを作り出すための跳躍台なのだ。"

 もしこれが本当であれば、共産主義とソ連とワルシャワ条約の終焉にもかかわらず、ブッシュの秘密計画が開始される一年前の、1989年に、ソ連がアフガニスタンから撤退したにもかかわらず、ロシアを占領するというジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュが、1990年2月24日夜に開始した計画を、トランプは貫徹しているのだ。

 Strategic Culture Fundationの同僚、Peter Korzunは "連中による最近の逆の主張にもかかわらず、アメリカは長い目で見れば、シリアに本腰を入れている”と主張している。He noted:“先月、アメリカ軍は、南東部のデリゾールのアル・オマール油田に新たな前哨基地を構築しているとも報じられている。アメリカ軍は、コノコとアル・ジャフレ油田周辺の陣地に配備されている。4月7日、デリゾール州の油田周辺の地域は、アメリカ率いるSDFにより、軍事地域と宣言された。この州を支配するための戦いで、この集団は、シリア軍と既に衝突している。”

 2017年6月25日に、私は、2016年12月、"アサドを打倒するためにISISを利用する連中(とサウド王家)の共同計画を完結させるため、オバマとトルコのエルドアンが、ISISをイラクのモスルから、シリアのデリゾールに再配置するための共同の取り組みを開始した”と報じた。またアメリカとサウド王家が、シリア全土からアサドを追い出すのに失敗した場合にそなえ、アメリカが支配する別の国として、シリアの産油地域を分割するため、アルカイダと、時にはシリアのISISさえ支持して、“トランプはオバマの政策を継続している”と報じた。

 おそらく、1991年にソ連側が冷戦を止めた際、明かに満足していなかったアメリカは、ロシアに対する武力に訴える戦争で勝利しようと、とことんやっているのだ。これほど激しく、これほど極端に、これほど長く、ロシアに圧力をかけて、ソ連共産主義が終わった際、実際終わったはずだった冷戦の‘復活’を正当化するため“プーチンはクリミアを盗み取った”というウソや他の同様なウソまで駆使しているので、まもなくロシアは、アメリカの戦争を、実際そうなのだが、ロシア国家主権に対する実存的脅威と受け止め、直接、軍事的な方法で、反撃することが必要になるかも知れないことを示唆している。もう一つの可能性は、ロシアがアメリカに屈することだが、たとえ対アメリカ戦争が地球規模の破壊という必然的な結果になろうとも、これはほとんどありそうにない。ロシア大統領ウラジーミル・プーチンは何度も述べており、ロシア国民はこの点で彼を圧倒的に支持しているように見える - アメリカが、この方向をさらに押し進めれば、核戦争という結果を招く、だから、アメリカはこの事実を認めるべきなのだ。トランプは、これを認識していないように見える。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/05/26/credible-report-alleges-us-relocates-isis-from-syria-iraq-into-russia-via-afghanistan.html
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集中審議。見る気力がでない。秋田犬を抱いて喜ぶザギトワを見るのは嬉しいが、別の人々が、渡す前のマサルを抱いていた。勝る詐欺とは!

マスコミというものが、実は大本営広報部であることを証明したのが「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」というトップ発言。

国というもの、実は属国であることを証明したのが最近の政治家発言。「宗主国が右と言うことを左と言うわけにはいかない」というだけの右顧左眄で、全く意味不明。

(米朝首脳は)6月12日に会談する予定だったが、トランプ大統領は断った。会談を開くことが重要なのではない。核・ミサイル、拉致問題を前に進めていくことが重要だ。だから安倍晋三首相が、トランプ氏の決断を支持すると言った。たった1カ国です、世界でも。そしたらまた(トランプ氏が米朝会談について)やるかもしれない、良い感じにあるとツイートした。

私たちは選挙の時、日米、日米韓で協力して圧力をかけ、北朝鮮の政策を変えさせると言い続けた。批判もあったが、こうした政策によって、金正恩委員長が体制を保証してくれれば非核化すると言い始めた。
私どもが考えていた方向に物事が回り始めてきている。安倍首相の外交努力によって、トランプ氏を引き込んで、圧力をかけ続けてきた(結果だ)。これからが正念場だ。(自民党栃木県連大会のあいさつで)

堂々と右顧左眄する傀儡はすごいが、それを喜んで支持する人が30%もいるのがすごい。恥ずかしながら、小生の幼なじみ数人もそうだが、数年会っていない。
大本営広報でない下記インタビューを拝聴予定。

日刊IWJガイド・簡易版「<本日の岩上さんのインタビュー>本日午後4時より、『古代史上最大の敗戦「白村江の戦い」と「日本」「天皇」の誕生~「東夷の小帝国」意識の源泉をたどり、現代の嫌韓意識の根を探る! 岩上安身による国際日本文化研究センター教授 倉本一宏氏インタビュー(その4)』を配信します! 冒頭はフルオープンで公開、途中からは会員限定配信に切り替わります。/トランプ米大統領が米朝会談について『6月12日のシンガポールでの開催予定は変えていない』と発表!朝令暮改の米国なれど、右顧左眄の日本はどうする!? 米朝間の平和への対話は南北間ともども進行中!/
加計学園のFAX一枚のコメントに中村時広愛媛県知事が痛烈批判! 『偽りなら謝罪、説明し、責任者が記者会見するのが世の中の常識』/公明党は『自主投票』から一転『支持』へ~新潟県知事選は事実上の与野党激突!」2018.5.28日号~No.2083号~

2018年5月27日 (日)

アメリカの第五列がロシアを破壊する

2018年5月25日
Paul Craig Roberts

 今週末、ロシアでのサンクトペテルブルク経済会議で演説する招待を、私が受け入れることができていれば、行っていたはずの講演だ。

Paul Craig Roberts

 エグゼクティブ・サマリー:ロシアのジレンマという見地からは、これは重要なコラムだ。ワシントンに対して、プーチンが一部無能力に見えるのは、新自由主義経済学が、ロシア政府に対し、支配力を行使しているためだ。ロシアの経済発展は、欧米経済へのロシア統合にかかっていると彼が考えているため、プーチンは欧米と決別できない。新自由主義経済学は、ロシアの経済、金融支配者連中に、そう言っているのだ。

 私は親ロシア、反米ではないことを皆様に、ご理解頂きたい。私は反戦、特に、核戦争に反対なのだ。ロシア政府が断固譲らない行動ができないのは、ユーラシア・パートナーシップやシルク・ロードに関して、色々言われてはいても、ロシアの発展は欧米への統合に依存しているのだという思い込みがあるせいだというのが私の懸念だ。この全く誤った考え方が、ロシア政府が欧米と決定的決別をする妨げになっているのだ。結果的に、ロシアを欧米から切り離すだろう決定的決別を避けるため、プーチンは挑発を甘受し続けている。ワシントンとイギリスは、これはプーチンの決断力欠如だと解釈し、ロシアの唯一の選択肢が降伏か戦争かになるまで激化する挑発のエスカレーションを促進してしまう。

 もしロシア政府が、ロシアには欧米が必要なのだと思い込んでいなければ、ロシア政府は、挑発に対し、ロシアの我慢には限界があることを明らかにするような強い対応ができているはずだ。そうすれば、ヨーロッパにも自分たちの存在が危機にひんしていると悟らせていたはずだ。トランプによるヨーロッパ虐待と、好戦的なワシントンと協力していることは自らの生存に対する脅威だというヨーロッパの自覚の組み合わせが、欧米同盟とNATOを破壊していたはずなのだ。だが、彼がロシアには欧米が必要だと誤って信じ込んでいるため、プーチンはこれを実現できないのだ。

アメリカの第五列がロシアを破壊する

 もしネオコンに自制心があるなら、連中自身は何もせず、アメリカの第五列-新自由主義経済学に、自分たちのために、ロシア破壊させるはずだ。エリツィン時代、ロシアの経済学者たちが、アメリカ・新自由主義経済学者によって洗脳されているため、ロシアは絶望的だ。アメリカにとって、そうするのはいともたやすいことだった。共産主義経済学が失敗に終わり、ロシア経済は破壊し、ロシア人は蔓延する困難を味わっていたが、そこに、救いの手を差し伸べる成功したアメリカがいたのだ。

 救いの手は、実際は貪欲な手だった。貪欲な手は、民営化により、ロシアの資源をつかみ取り、アメリカ寄りのオリガルヒに支配を任せた。新自由主義をよそおった金融資本主義が、一体どのようにして、経済から資産を略奪し、債務漬けにするのか、ロシア人経済学者には全く見当がつかなかった。

 だが、もっと悪いことが起きた。ロシアの経済学者たちは、欧米帝国主義に奉仕する経済的思考様式をするよう、すっかり洗脳されたのだ。

 例えば、新自由主義経済学は、ロシア通貨を、投機や操作や不安定化にさらした。資本流入は、ルーブルの価値を押し上げるのに利用され、最も好都合な時期に、資本を引き上げ、ルーブルの価値を下落させ、高い輸入品価格で、国内インフレを押し上げ、ロシアの生活水準に打撃を与えるのだ。政府を不安定化させるのに、ワシントンは常にこの種の手練手管を駆使している。

 新自由主義経済学は、ロシア中央銀行も洗脳し、ロシアの経済発展はロシアへの外国投資にかかっていると思い込むようにした。この誤った考え方は、ロシアの主権そのものを脅かすof。ロシア中央銀行は、お金を創造することで、あらゆる国内経済発展に対して、簡単に資金調達できるはずなのだが、洗脳された中央銀行には、これが理解できない。中央銀行は、もし中央銀行が国内の発展に資金を調達すると、インフレと、ルーブル価値の下落という結果を招くと思い込んでいる。そこて中央銀行は、アメリカ新自由主義経済学に指導されて、ロシアに、欧米への利払いとして、ロシアの資源の移転を必要とする対外債務を負わせるため、必要としていない外国資金を借り入れる。

 二年前、ロシアが、欧米、例えば、アメリカから資金を借りた際、マイケル・ハドソンと私が、ロシア人に、ドルが流入するが、ドルは一体どうなるだろうかを説明した? ロシアは国内での開発計画に資金調達するのには使えない、するとドルは一体どこに行くのだろう? ドルはロシアの外貨保有高となり、貸し手に対して、利子を生む。そこで、中央銀行は、借りた無用なドルに等しいルーブルを印刷して、プロジェクトに資金調達する。それなら、なぜドルを借りるのだろうか? 唯一あり得る理由は、アメリカが、ロシアの意思決定に対して支配力を行使するため、ドル債務を利用できるようにすることだ。言い換えれば、ロシアは、自ら敵の手に引き渡しているのだ。

https://www.paulcraigroberts.org/2016/09/28/can-russia-learn-from-brazils-fate-paul-craig-roberts-and-michael-hudson/ 日本語訳 ロシアは、ブラジルの運命から学ぶことができるだろうか?

https://www.paulcraigroberts.org/2016/08/10/russias-weakness-is-its-economic-policy-paul-craig-roberts-and-michael-hudson/ 日本語訳 ロシアの弱点は経済政策

https://www.paulcraigroberts.org/2016/02/08/privatization-is-the-atlanticist-strategy-to-attack-russia-paul-craig-roberts-and-michael-hudson/ 日本語訳 民営化は汎大西洋主義者によるロシア攻撃戦略

 実際、ロシアの経済発展はロシアが欧米の一部として取り込まれることにかかっているというロシア政府の誤った思い込みが、欧米がロシアに浴びせる挑発や屈辱を、プーチンに甘受させている。こうした挑発に対する反撃がないことが、最終的に、ロシア政府が、ロシア国内の民族主義的な部分の支持を失う結果をもたらすことになる。

 ロシア人であるより、欧米人でありたがるロシア・エリートの一部により、ロシアの経済発展は欧米経済に統合されることにかかっていると、プーチンが説得されているため、ロシアの主権を維持しながらも(非現実的な目標)、ロシアを欧米の経済体制に統合させるべく、プーチンは奮闘している。新自由主義経済エリートがロシアの経済、財政政策を支配しているので、欧米の挑発を甘受しなければならない、さもないと、ロシアの経済発展という彼の希望は失われてしまうと、プーチンは思い込んでいる。

 ロシア人経済学者たちは、新自由主義経済学を余りにたたき込まれていて、アメリカを見て、かつて偉大だった経済が、新自由主義経済学によって、いかに完全に破壊されたことを理解することさえできないのだ。

 アメリカには、史上、どの国より最大の公的債務がある。アメリカには、史上、どの国よりも大きな貿易赤字と財政赤字がある。アメリカの失業は、22パーセントだが、職を見つけることができずに、職探しを止め、恣意的に失業計算から除外されている何百万人もの求職意欲喪失労働者を数に入れないことで隠蔽されている。新自由主義経済学が促進した規制緩和のおかげで潰すには大きくなりすぎた、ごく少数の“大きすぎて潰せない銀行”の不良債権を救済することの方が連邦準備金制度理事会にとって重要なので、アメリカの退職者たちは、十年にもわたり、貯蓄に対する利子支払いを剥奪されている。“自由貿易”と“グローバリズム”を歪曲して伝えることで、新自由主義経済学が、アメリカの製造業と、移転可能な専門職を賃金がより安い外国に移転し、アメリカ人賃金労働者の収入を犠牲にして、企業所有者の所得を押し上げ、アメリカ人には第三世界並みの低賃金の国内サービス業雇用しか残っていない。アメリカの本当の世帯平均所得は何十年も停滞している。最近、連邦準備金制度理事会は、アメリカ人は余りに貧しく、国民の41パーセントが、個人財産を売らないと、400ドルを工面することができないと報じた。

 若いアメリカ人は、大学教育を受けている場合、借金奴隷として人生を始める。現在、44,200,000人のアメリカ人が、総計1,048,000,000,000にのぼる学資ローン負債を抱えている。1.48兆ドルだ! https://studentloanhero.com/student-loan-debt-statistics/

 アメリカでは、教育を奨励するため、50州全てに、学費がほんのわずかなはずの公的支援される大学がある。私が一流工科大学であるジョージア工科大学に行っていた当時、年間学費は500ドル以下だった。ローンは不要で、そもそも存在していなかった。

 一体何が起きたのだろう? 金融資本主義が、どうすれば大学生を、年季奉公奴隷に変えられるかを発見し、大学経営陣が、それに協力したのだ。学費はぐんぐん上がり、益々多くが経営陣に振り向けられ、経費は爆発した。現在、多くの大学経営陣が年間予算の75%を消費し、教授の給与や学費援助には、ほとんど何も残らない。従順な議会は、大学教育を受けるため、若いアメリカ人男女は確実に膨大な借金を抱えさせる融資プログラムを作り出した。新自由主義経済学によって、給料の良い雇用の非常に多くが外国に移転されたので、就ける仕事では、学資ローンの借金が返済できない。職からは学資ローンの借金を返済し、アパート代を支払うだけ十分な賃金が得られないので、24-34歳のアメリカ人の多くが両親と実家で暮らしている。借金のおかげで、自立した生活ができないのだ。

 アメリカの国民債務は、新自由主義経済学の産物だ。私営化、私営化、規制緩和、規制緩和、借金、借金が、債務を返済した後、アメリカ国民には、経済を駆動するための可処分所得が皆無なので、経済成長を阻止している。アメリカでは、自動車やトラックやSUVは、頭金なしの七年ローンで販売される。自動車が購入された瞬間から、ローンの債務が自動車の値段を超えるのだ。

 年収225,000ドルの歯科医、マイク・メルには、学資ローンの借金が、1,060,945.42ドルあるとウオール・ストリート・ジャーナルが報じている。彼は毎月1,589.97ドル支払っているが、利子支払いには不十分で、まして元金など減らせない。結果的に、南カリフォルニア大学での七年間にわたる彼の借金は、一日130ドル増える。20年で、彼のローン残高は、200万ドルになる。https://www.wsj.com/articles/mike-meru-has-1-million-in-student-loans-how-did-that-happen-1527252975

 新自由主義経済学がアメリカで機能しないのなら、それが一体どうしてロシアで機能するだろう? 新自由主義経済学は、オリガルヒと、経済を破綻させずにおくため、中央銀行から資金援助されているゴールドマン・サックスのような連中の機関に対してしか機能しない。欧米金融機関が、ロシアから資産を剥奪し、債務を負わせるのを認めるエリツィン時代の慣行を復活させることにプーチンが同意すれば、ワシントンは、ロシアが欧米体制に組み込まれるのに同意するだろう。

 マイケル・ハドソンの表現を使えば、ジャンク経済学、つまり新自由主義経済学について、私は延々お話しすることができる。アメリカ合州国は、そのおかげで衰えており、ロシアもそうなるだろう。

 ジョン・ボルトンやネオコンは、くつろぐべきだ。新自由主義経済学が、ロシア金融権益や、ロシア政府や、どうやらプーチン本人までも支配しているので、戦争無しでロシアを破壊してくれるだろう。

Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/05/25/americas-fifth-column-will-destroy-russia/
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新自由主義経済学に洗脳されているのは、この国のトップとて同じこと。働かせ方改悪「高プロ」もその典型。

「こんな国会 先進国ではない」というのを聞いて、たまに良い事をいうと驚いたが、全文を見ると、やはりトンデモ発言。こういうものを垂れ流すのが大本営広報部のお仕事。

モスクワから呆導する番記者を見て、音声を消した。

今日の孫崎享氏のメルマガ題名、まったくお説の通り。マサルを寄贈したマケル国で、この傀儡を平然と支持しつづける恐ろしいほど愚かな30パーセントの皆様。

安倍政権は、骨の髄まで、米国隷属だ。菅長官「米朝会談中止「たった1カ国、支持した」と自慢。自慢できることでないでしょう。恥ずべき事じゃないか。そしてトランプが「開催再検討」というと会談支持という。世界でたった一カ国だけ無定見で米国隷属。

昨日は、4月24日に行われたIWJ記者による蓮池透氏インタビューを拝聴した。

日刊IWJガイド・日曜版「『北朝鮮との間で不測の事態が起きたら、その経費を韓国と日本が喜んで引き受ける』とのトランプ大統領の発言は事実なのか!?菅官房長官は会見でのらりくらりとかわすのみで否定せず!!~IWJが東京新聞・五味洋治論説委員に訊く!/ウソをついていたのは加計学園担当者だった!? 安倍総理と加計孝太郎理事長の2015年2月の面会は「実際にはなかった」と学園側がコメント発表!?/『セクハラ罪という罪は存在しない』に続き、『「くそ野郎」発言は国家公務員法で規定する信用失墜行為の禁止に抵触しない』と閣議決定!?どこまで恥知らず!?底なしの安倍政権!!/財務省が国会に提出した森友学園との交渉記録に『安倍晋三記念小学校』の名前が明記されていた!! 2014年3月に近畿財務局が認識していたことが明確に!!」2018.5.27日号~No.2082号~

2018年5月26日 (土)

水泡に帰したプーチンの平和への取り組み

2018年5月24日
Paul Craig Roberts

 トランプ政権は、シリア、イラン、ウクライナと北朝鮮における平和へのプーチンによる取り組みを妨害している。

 平和のため、プーチンは、シリア国内でのアメリカとイスラエルにる挑発に乗るのを避けてきた。プーチンは、戦犯で大量虐殺マニアのネタニヤフを、第二次世界大戦でのロシアの対ドイツ戦勝記念式典に招待さえした。ネタニヤフは招待を受けたものの、ロシア出国直前に、シリア軍陣地に対する違法なイスラエル軍事攻撃を命じ、プーチンに、誰がボスかを示したのだ。プーチンの平和への取り組みに対するワシントンの報酬は、アサドを打倒するために送り込んだワシントンの傭兵が依然占領しているシリアの地域をアメリカとフランス軍による占領と、アサド世俗政府打倒にワシントンが利用しているイスラム過激派への再補給だ。アメリカとフランスの軍隊が駐留しているので、プーチンは、シリアから全ての外国侵略者を掃討する攻勢を中止した。もしアメリカ人やフランス人が死亡すれば、ロシアの悪魔化は、新たな高みに至り、それを、ワシントンに対するヨーロッパの不満を和らげるのに、ワシントンが利用することがプーチンにはわかっているのだ。アメリカとイスラエルの意図を、ロシア政府が誤算し、プーチンが窮地に追い込まれていることが、アメリカ率いるシリア軍陣地攻撃継続を可能にしているのだ。以下を参照。https://www.rt.com/news/427601-us-coalition-strike-syria/?utm_source=browser&utm_medium=push_notifications&utm_campaign=push_notifications

 かつて、プーチンは、シリアの全ての化学兵器を、破壊するため、欧米に引き渡すよう手配して、アメリカによるシリア侵略計画を阻止した。公的化学兵器査察機関は、シリアには化学兵器はないと保障している。アメリカ政府幹部、アメリカ・マスコミ丸ごととワシントンの傀儡イギリスとフランスは、偽旗化学兵器攻撃を、ドゥーマの場合、起きていないことが証明されている偽化学兵器攻撃ニュースを、アサドの罪として、一貫して、なすり続けているのが、プーチンに対する報酬だ。

 トランプ政権は、イランで和平を実現するプーチンの努力も妨害した。イランは、兵器級の核物質は製造しない、つまり原子力発電に使用されるのに必要な低い水準以上にはウラン濃縮をしないという多国間合意をなし遂げて、プーチンは、ワシントンと、その売女マスコミが画策したエセ“イラン核”危機を終わらせた。公的機関は、イランは合意を遵守していると保証しているが、揺るぎない事実にもかかわらず、ワシントンと、その売女マスコミは、イランには核兵器計画があると主張し続けている。ネタニヤフの主張を受け、トランプは、イラン、アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランスとドイツが調印した多国間合意から、アメリカを離脱させた。トランプは、ヨーロッパの事業に大きな影響と損害ももたらすであろう、より厳しい経済制裁をイランに再度課している。アメリカ以外のイラン合意調印国は合意を維持するつもりだと言っているが、トランプはイギリス、フランスとドイツを、もし彼らが調印した合意に固執すれば経済制裁すると威嚇した。

 中国とロシアは北朝鮮と韓国の和解に尽力し、核兵器実験を中止する北朝鮮の同意を確保した。二つの朝鮮間の和平は具体化しつつあったが、トランプは、この和平実現の努力も妨害した。

 売女マスコミ、別名ワシントン・プロパガンダ省は、和平合意の破壊を、アメリカと世界を、ならず者国家から守るために必要な行動だと、事実を歪曲して報じているが、ワシントンに合意している政府はイスラエルしかない。

 ワシントンとイスラエルが、プーチン外交を妨害した以上、プーチンの希望は、ロシアやシリアやイランや北朝鮮を世界の他の国々から孤立化させるのではなく、ワシントンを、そのヨーロッパとイギリスの傀儡諸国から孤立させる結果になることだ。ヨーロッパの指導者たちが、ワシントンの奴隷として扱われることに満喫しているという証拠はたっぷりある。連中が、ワシントンによる支配をかなぐり捨てる可能性はある。一方、ドゴール支配下のフランスを除いて、過去75年間、自立した外交政策や経済政策を行ったヨーロッパの国はないのだ。しかもヨーロッパの指導者連中は、トニー・ブレアの5000万ドルのように、ワシントンが、彼らに快適な引退後の生活を用意するのを頼りにするのに慣れており、もしトランプが彼らをアメリカ市場から遮断すればヨーロッパの事業権益が損なわれることになる。ヨーロッパの反乱がどれだけ本物かは現時点では不明だ。

 その時間を使って、プーチンの主導下、シリアで失ったものを、ワシントンが取り戻そうとするので、ロシアが、ヨーロッパの反乱を期待することには大きな危険がある。実質的に、ロシアはシリアでの勝利を棒に振ることになりかねないのだ。英米-シオニスト帝国が崩壊するかどうか、ロシア政府が見守っているうちに、カダフィとアサドに対してワシントンが利用した聖戦士を、タジキスタンやウズベキスタンなどの旧ソ連中央アジア共和国経由で、ロシアと中国に対する攻勢に備えて、ワシントンが組織中なのだ。アンドレイ・アファナーシェフの報告はここにある。http://www.informationclearinghouse.info/49471.htm

 この話をロシア内の情報源に確認した。ロシアと中国の不安定化のために聖戦士を利用するワシントンの計画が、4月のことと思うが、第7回モスクワ国際安全保障会議で表面化したのを私は知った。現在、セルゲイ・ショイグ国防相は、ウズベキスタンで、現地の軍・政治指導者たちと状況を見極めている。

 ロシア政府、国営TV局や体制派マスコミは、この情報を公表せずにいる。どうやら、ロシア政府は、政府が好む和平政策への国民の支持を損ないかねないので、この情報が明らかになるのを望んでいないようだ。とは言え、このニュースは、TzargradとNewsFrontとFerganaが報じている。

 中東におけるイスラエルの関心は拡張であり、平和とは両立しない。イスラエルが南レバノンを占領できるようにするには、ヒズボラへの供給国であるシリアとイランの紛争と不安定化が、イスラエルには必要なのだ。トランプ政権内にしっかり定着しているアメリカ・ネオコンは、事実上のイスラエル代理人だ。しかも連中は、自立した政府の打倒を必要とするアメリカ覇権にのめり込んでいる。

 中東におけるワシントンの覇権追求は、ヨーロッパにおけるワシントン覇権を犠牲にすることになるのにプーチンは賭けている。もしプーチンが、この賭に勝てなければ、彼はワシントンとイスラエルが直接ロシアを狙っている戦争の準備をするのが身のためだろう。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/05/24/putins-peace-efforts-coming-naught/
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属国政治、宗主国政治の劣化版戯画。

日大卒業生総数は、116万人をこえるという。日本の人口は、1億人をこえる。
アメリカン・フットボール問題を、モリ・カケや、自衛隊日報隠蔽や過労死推進法案より重要扱いする大本営広報部、狂っているか、罪人か、その両方か、としか思えない。

日刊IWJガイド・番組表「不誠実な答弁を続ける加藤勝信厚労相の下で『働き方改革関連法案』採決は許さない!衆院で野党が加藤厚労相不信任案を提出するも否決!/籠池夫妻300日ぶりに保釈『これは国策勾留!』『「松井維新の党」による政治的カモフラージュ!』『私は国会の証人喚問で全く虚偽を言っていない』安倍総理は『本当のことを言うべき!!』~籠池夫妻会見で訴え/ 米国が突然米朝首脳会談を延期したことに対し怒りの記事で応じた中国! ICANの川崎哲氏も各国に粘り強い交渉を求める!」2018.5.26日号~No.2081号~

2018年5月25日 (金)

北朝鮮の頭に拳銃をつきつけるワシントン

Finian CUNNINGHAM
2018年5月22日

 ドナルド・トランプ大統領が、金正恩に対して異様な威嚇をした後、アメリカと北朝鮮との間の平和外交の見通しは突然打撃をこうむった。事実上、殺害の脅しだ。

 先週、トランプは、もし北朝鮮指導者が、ワシントンの完全非核化要求に従わなければ、金は“カダフィのような目にあう”と警告した。トランプは、もし核兵器を放棄しなければ、北朝鮮は“破壊される”とも言った。

 トランプの他国に対する暴力の言辞は、ほぼ間違いなく国際法と国連憲章違反だ。

 アメリカ大統領が北東アジアの国を犯罪的に恫喝したのは、これが初めてではない。昨年9月、彼は国連総会で、北朝鮮を“完全に破壊する”と演説していた。

 ところがアメリカ・マスコミは、更なる譲歩を引き出すため、腹黒く、“典型的なやり方で”交渉から後退していると北朝鮮を非難し、大統領の最新の騒ぎを歪曲している。

 ワシントンが北朝鮮の頭に拳銃をつきつけ、マフィア風に、“文句が言えないはずだと自分が考える提案”を平壌に押しつけている、火を見るよりも明らかな事実を、アメリカ・マスコミは無視している。

 6月12日、シンガポールで予定されている大いに期待されている、トランプ・金サミットが突然不透明になった。北朝鮮国営メディアが、もしアメリカが、平壌による一方的核軍縮を強く要求するなら、サミットはキャンセルすると警告した。

 トランプ政権は、シンガポール会談計画を継続していると言って対応した。だがサミットを順調に進めるため、北朝鮮の立場を保証するのに、アメリカと韓国当局者はおろおろしていると報じられている。トランプが彼の栄光の一瞬を奪われたくなくて躍起なのは確実だ。

 二つの進展が、ワシントンと交渉する北朝鮮の意欲を削いだのだ。トランプと金が、それまでの双方のけんか腰言辞をやめ、向かい合ってのサミットを行うことに合意した明らかに飛躍的前進した後、北朝鮮は冷めてしまった。

 ワシントンは、北朝鮮との交渉準備のガイドラインとして、“リビア・モデル”を考えていると言った国家安全保障問題担当補佐官ジョン・ボルトンの公的発言を平壌は引用した。ボルトンは、2003年-2004年、元リビア指導者ムアンマル・カダフィが、ジョージ・W ブッシュ政権をなだめるため、核兵器計画の一方的停止に同意したことを指していた。

 その七年後、カダフィ政権が違法なアメリカ-NATO戦争で、いかに打倒され、リビア指導者が街頭で殺害される結果になったのかを考えれば、これは陰険なタカ派ボルトンによる厚かましい基準点なのだ。

 北朝鮮は以前、保証無しに大量破壊兵器政策を放棄し、アメリカによる政権転覆攻撃にさらされることになった例として、リビアとイラクをあげていた。

 外交交渉のであるべきものを間近に、ブッシュ時代の悪名高い政権転覆立案者のジョン・ボルトンが、リビアを“モデル”だと、はっきり言及した以上、北朝鮮が、突然反発すると決めても、不思議はない。

 もう一つの展開は、今月行われた、アメリカ軍と同盟国韓国の年次軍事演習だ。現在、両国軍は北朝鮮国境近辺で、戦闘機と戦艦も参加しているとされる“マックス・サンダー”作戦を行っており、例によって、平壌にとっては、侵略準備のように見えている。一体どうして、それが北朝鮮にとって“信頼醸成”のはずがあるだろう?

 トランプとの会談は実現しないかもしれないと警告する中、進行中のアメリカ軍との共同演習をキャンセル理由として挙げ、先週突然、北朝鮮も韓国側との高水準の交渉をキャンセルした。軍事演習継続を巡り、北朝鮮は韓国は“愚かで無能だ”と酷評した。

 またしても、外交上のもう一つの劇的逆転だ。わずか数週間前、北朝鮮の金委員長は、朝鮮戦争(1950年-53年)終結以来、二国を分断している非武装地帯で、韓国の文在寅大統領と歴史的会談を行った。両指導者は、協力の新時代と、最終的に戦争を終結させるための正式な平和条約を調印する意図を明言した。

 北朝鮮の揺れに関する欧米マスコミの解釈は根拠がなく、不必要に身勝手だ。マスコミがほのめかしているように、平壌が心理戦を演じて譲歩を強要しているわけではない。

 これは、アメリカ合州国が、ワシントン側からのいかなる返礼も無しに、北朝鮮の一方的武装解除を期待するという本当に不届きな狙いをさらけ出していることの反映に過ぎない。つまり、降伏、投降を。

 この要求に加えて、北朝鮮が“安全”、つまり、無防備と見なされたら、ワシントンが政権転覆に向けて動くという極めて深刻な根本的な脅威がある。

 トランプが金委員長との“歴史的サミット”に熱心なのは、双方の和平合意を求めるためではない。不動産界の大物出身の大統領は、派手な見せ物と、虚栄心からの成功しか考えていない。自分がいかにノーベル平和賞に相応しいかとまで、彼は語っている。

 もちろん、世界中に放映される金との握手は、トランプのうぬぼれと、元リアリティーテレビ番組TVスターの視聴率への渇望に大いに役立つだろう。

 トランプが、先週、北朝鮮を安心させようとして、“アメリカは、リビア・モデルを使わない”と言って、ボルトンを、たたき返したように見えた理由はこれだ。

 ところがトランプは、同時に、北朝鮮は、核兵器を放棄しなければ、リビア同様の結果になるとまで、とっぴに言って、さらにへまをやらかした。

 道徳的にボロボロの戦争屋ジョン・ボルトンがいて、CIA拷問を支持するマイク・ポンペオが国務長官であることが、北朝鮮が、提案されている会談に背を向けつつあるように見える、極めて妥当な理由だ。

 更に、トランプが無知と粗野な本能をさらけ出しているのだから、これまた、平壌が警戒する、至極もっともな理由だ。

 朝鮮半島の平和は多国間の等式だ。北朝鮮による核兵器放棄は、等式の片側に過ぎない。式のもう一方の不可欠な側は、ワシントンによる軍隊撤退、平壌との平和保証調印、経済戦争を終わらせ、二つの朝鮮が干渉されずに和解を追求するのを可能にすることだ。

 しかし、このコラムで以前書いた通り、ロシアと中国に対し、兵力を維持するアジア-太平洋でワシントンの戦略的権益は極めて大きく、朝鮮半島における本当の和平合意への同意は、アメリカにとって、受け入れ難いものなのだ。

 上っ面のアメリカ外交の下にあるワシントンの真意はアメリカ政府に対する北朝鮮の降伏だ。

 “交渉しろ、さもないと”と北朝鮮に言うのは、頭に銃を突きつけるようなものだ。多少とも自尊心がある国なら応じるはずがない。

 ワシントンの不誠実さと、自分の義務に関する傲慢な無知に対して、平壌がワシントンに素っ気ない態度を取って至極当然だ。トランプが、イラン核合意で後戻りしたのも、北朝鮮にとって、もう一つの教訓的実例だ。

 だが不気味なことに、アメリカ政府は、自分の鼻をつねられた後、極めて汚らしいことをしようとしているようだ。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/05/22/washington-holds-gun-north-korea-head.html
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2018年5月8日に翻訳した記事「帝国の征服への道: 和平と軍縮協定」が気になっていた。「北朝鮮の言い方がひどかった」というような趣旨のことを大本営広報部解説者が言っていた。「帝国の征服への道: 和平と軍縮協定」のような指摘を決してしないのがお仕事。

話題の広報担当、通信社元論説委員長というのに驚いた。本当だろうか。
事実の解明ではなく、支配体制維持がお仕事という小生の偏見・被害妄想、本当かも?

日刊IWJガイド・番組表「【速報】トランプ大統領が金正恩委員長に米朝首脳会談の中止を通告!! 米国は金正恩委員長に宛てた書簡で『我々が保有する核の力』を誇示!?/米朝首脳会談が中止になる予兆があった!? 北朝鮮が宣言通りに核実験場を廃棄しながらも、米国は米朝首脳会談の中止を通告!/突然の会談中止通告に当惑しながらも、韓国・文在寅大統領は『問題解決のため努力してきた当事者たちの真心は変わっていない』/大新聞がろくに報じない! ポンぺオ米国務長官がイランに12カ条の要求! それを『ナンセンス』と評したロシアは一枚も二枚も上手!?/
財務省が提出した記録からは、籠池泰典氏が『いい土地ですから前に進めてください』という安倍昭恵氏の言葉を近畿財務局に伝えた日の記録が抜けている! 玉木雄一郎議員は『今回出てきていないもの』に意味があるとツイート!」2018.5.25日号~No.2080号~

2018年5月24日 (木)

朝鮮半島における和平の可能性を、つぼみのうちに摘み取ろうとしているアメリカ

2018年5月18日
Arkady SAVITSKY
Strategic Culture Foundation

 人は公平な見方をするべきだ。平壌は自分の役目を果たし、大規模な譲歩をした。トランプ-金サミットに先立ち、わずか数日前、実験をやめるという約束を守って、平壌は、核実験場を解体する意図を発表した。観測・研究施設も撤去される。その過程に立ち会うため、を外国ジャーナリストが招待されている。ミサイル実験は中止された。マイク・ポンペオ国務長官の最近の平壌訪問は画期的な出来事だった。

 これまでの所、二つの朝鮮間で再開された対話は、将来への大きな希望を支える成功だ。差し迫った安全保障問題に解決策を見いだすための困難な道のりの上で、多くの進展があった。生まれつつある緊張緩和を、まさに挫折させようとする、ぶち壊し屋として、アメリカが行動するまで、未来は明るく見えた。

 アメリカと韓国が半島で共同軍事演習を行っているので、大いに待ち望まれている6月12日、シンガポールでのトランプ-金サミットを、今や平壌は疑問視している。二週間にわたる年次マックス・サンダー演習が、5月11日に開始され、5月25日まで行われる。演習には、グアムからの8機のF-22ステルス戦闘機とB-52爆撃機を含む飛行機約100機が参加する。3月と4月にも共同演習が行われたが、マックス・サンダーの規模と爆撃機参加ゆえに、平壌は、それを挑発と見なしたのだ。

 これに対応して、平壌は、板門店の非武装地帯の南側で、5月16日に実施が予定されていた韓国側との高官会談をキャンセルした。シンガポール会談がキャンセルされる可能性は見え見えの威嚇に見える。

 外交を優先して、戦争を避ける見通しを切り開くことを考慮すれば、アメリカは演習を中止するか、延期することができたはずなのだ。もう一つの選択肢は、規模を縮小し、爆撃機を遠ざけておくことだった。実に長年の無駄な努力の後、本当の進歩がおぼろげに姿を見せる今、この演習を行うことは本当に非常に重要なのだろうか?

 正常化のプロセスは始まったばかりだが、ジョン・ボルトン国家安全保障問題担当補佐官は既に強硬姿勢をとって、最後通告のような言葉を語っている。彼によれば、北朝鮮が、アメリカが、全ての核兵器と核分裂性物質を、テネシー州オークリッジの処理センターに持ち帰ることを認めなければ、いかなる前進も不可能だ。完全な非核化が、アメリカの民間企業を北朝鮮市場に参入させ、北朝鮮を裕福にするための経済制裁緩和の前提条件だと彼は考えている。アメリカは、核兵器データ全ての破壊と、推計10,000人の核科学者の海外移住を要求している。

 遵守した場合、経済的報酬を約束されている事実にもかかわらず、首脳会談のためのこの前提条件に、平壌は抵抗していると報じられている。科学者に一体どう考えているか誰か質問しただろうか? 彼らは移住を望むだろうか? 10,000人の科学者たちはパッと気を付けの姿勢を取り、おお急ぎで命令を実行するべきなのだろうか? 一体なぜ、核物質は、他のどこでもなく、アメリカに送られるべきなのだろう? 適切な再処理用インフラを持っている他の国々もある。たとえば物質をロシアに送れば、大洋をわたる必要が無いので、時間も経費も節約できるはずだ。アメリカは遵守を自分で検証するつもりなのか、それとも国際原子力機関の何らかの役割が想定されているのだろうか?

 ボルトンの言い方は、新兵を大変な大声で怒鳴りつけるぶっきらぼうな陸軍軍曹のようだ。交渉過程が始まる前から、彼はそうしている。そのような“瀬戸物屋で暴れる牛”手法は外交とは全く無縁だ。対話者は、単に不当な扱いを受けたという理由で、交渉から立ち去りかねないのだ。

 国際問題に対する威張りちらすやり口は、イラン合意を一方的に破棄したアメリカを、既に窮地に追いやっている。世界という舞台で、アメリカは孤立し、合意の他の当事者たちは、合意を有効のまま維持すると誓っている。もしアメリカが、誰にも相談することなく、自分がした国際協定をそれほど簡単に破棄するなら、予定されているアメリカ-北朝鮮の取引がイランとの核合意と同じ運命にならないと、一体誰が保証できるだろう? そして、関与する他の国々はどうなのだろう?

 北朝鮮問題は、六カ国協議という進め方で取り組まれてきた。中国、ロシア、韓国は隣国で、日本は北朝鮮の領海に近い。これらの国々全てが問題解決に死活的な関心を持っており、貢献する用意がある。アメリカ-北朝鮮二国間サミットは良い考えだ。もし会談が具体的結果をもたらせば素晴らしいことだ。しかし、特に自分が合意した国際協定を無視し、自分の意志を押しつけるアメリカの傾向を考えれば、国際的な進め方に立ち返るのは、道理にかなっている。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/05/18/us-about-to-nip-in-bud-prospects-for-peace-korean-peninsula.html
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危機管理学部というもの、一体何が目的の組織なのだろう。危機悪化、あるいは、世間の注目逸らしが目的なのかと素人は思いそうになる。

雲隠れしたり、意味の通じないことを言ったり。支配体制を危機から守るためならなんでもする様子が、モリ・カケに関連している高級官僚、与党幹部そっくり。

植草一秀の『知られざる真実』も「際立つ安倍麻生内田の醜悪な生きざま」と書いておられる。

「働かせホーダイ」改悪法案強行採決!? 高プロ制度の危険性、そして加藤勝信厚労大臣による「ご飯論法」の詭弁を暴く!5.22 岩上安身による法政大学・上西充子教授緊急インタビュー!
を昨日拝聴し、「厚生労働破壊省」というのが実態だと理解した。

今日は、下記のアダム・バクリ氏インタビューを拝聴予定。

日刊IWJガイド・番組表「財務省が森友学園との交渉文書を衆・参両院の予算委員会に提出!その量900ページ超!?/『働き方改革関連法案』強行採決延期!安倍総理は『全国過労死を考える家族の会』とは頑なに面会拒否!?/高プロ、モリカケの陰でこっそり採決!? TPP11関連法案が衆院内閣委員会で可決!今国会で成立か?/日大アメフト部内田前監督が記者会見で反則指示を否定!? この問題は、日本の権力構造の縮図であるモリカケ問題と瓜二つ!/森友学園前理事長の籠池泰典氏と妻の諄子氏がようやく保釈決定!しかし大阪地検は決定に不服!?/

本日午後8時より『立ちふさがる分離壁!パレスチナの若者の現実!~岩上安身による映画「オマールの壁」主演俳優アダム・バクリ氏インタビュー〈予告編付き〉』を再配信!」2018.5.24日号~No.2079号~

2018年5月23日 (水)

Facebookと北大西洋理事会提携。ソーシャル・メディアの巨人、今やNATO方針を推進

Bryan MacDonald
公開日時: 2018年5月19日 15:29
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 Facebookと北大西洋理事会提携。今やソーシャル・メディアの巨人はNATOの方針を推進
NurPhoto / Getty Images

 Facebookは、民主的プロセスを守るために 兵器メーカーやアメリカ軍の各部門や中東の君主国が資金提供しているシンク・タンクと組んだのだ。消防隊を運営するのに、放火犯を雇うようなものだ。

 もしFacebookが、本当に“世界中の民主主義と選挙を守り”たいのであれば、同社が活動している国々からの広範で様々異なる専門家や活動家の幅広い連合を構築するはずだ。ところが、アメリカのソーシャル・メディア巨大企業は、課題をNATOのプロパガンダ部隊に外注したのだ。

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スキャンダルを恐れるFacebook‘民主主義を守るため’‘不偏不党の’北大西洋理事会と提携

 十分な知識がない方々のために説明すると、北大西洋理事会は、アメリカが率いる同盟の主要支持団体として動いている。その手法は、むしろ単純だ。北大西洋理事会は、NATOの方針に同調する様々な活動家に、給付金や、にせの学術的肩書きを与えるのだ。こうして、ロビイストは“特別研究員”や“専門家”となり、一方北大西洋理事会は、この組織に雇われた連中がすぐ言ってくれる発言や、無料論説を頼りにすることが多い欧米マスコミが(あるとしても) めったに異議を申し立てない中立の装いを作りあげるのだ。

 もともと倫理的にうさんくさかったとはいえ、その事実上の独占的地位を考えれば、Facebookの最近の動きははるかに陰険だ。今やFacebookは、ロシア国内でのテロ攻撃を提案し、ロシアが資金を出しているマスコミに、アメリカ合州国内の“外国代理人”としての登録を強制するよう要求した“シンク・タンク”に直結しているのだから。

 よろしいだろうか? NATOと、自分たちの生計と地位をNATOに依存している連中にとって、これは夢に見たシナリオなのだ。今や、北大西洋理事会は、情報空間において、Facebookという犬を振り回す尻尾となる完璧な位置にあるのだから。

新鮮な地獄

 木曜日、ソーシャル・ネットワーク企業は“困難な問題に革新的な解決策を見いだす上で、輝かしい評判のある北大西洋理事会と新たな提携を始めることを、大いにわくわくしている”と発表した。同社はさらに、世界中で出現する脅威や虚報キャンペーンをリアル・タイムで見抜き、更新”するため、北大西洋理事会のデジタル科学的犯罪捜査研究所(DFRL)の“専門家”は、Facebookの“セキュリティー・政策・製品チーム”と“緊密に連携する予定だとも述べた。

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NATO 70周年が近づく中、1991年以来の行動は決して防衛同盟ではなかったことを示している

 もしFacebookが、民主主義の様々な利害関係者で構成される多様な集団を招集していたのであれば、この種の言説も結構だろう。だが“選挙や、他の極めて重要な場面での”“偽情報や外国による干渉”を取り締まり、“国民や市民団体の教育支援”にも活動するために、明らかに偏向した相手を選ぶことによって、マーク・ザッカーバーグのチームは、同社を、本質的にアメリカ軍基本方針の道具に変えたのだ。

 一体誰が北大西洋理事会に資金提供しているか見てみよう。援助資金供与者の中には、ロッキード・マーチン、ボーイングやレイセオンなど全て、直接ロシアと中国のような大国との緊張で儲ける軍事産業がいる。一方、NATO自身に加え、アメリカ国務省による支払いや、アメリカ空軍、陸軍、海軍と海兵隊からの心付けもある。

 他の主要な資金提供者には、もちろん絶対君主制のアラブ首長国連邦政府もある。なるUAEの現金が、アブダビ国営石油会社やクレセント・ペトロリアム経由で入る。負けてはならじと、自由で名高いわけではないモロッコも、相当な資金を投入している。

明かな偏向

 ここには、Facebookのやり方固有のばかばかしさがある。同社は、民主主義の敵や欧米の選挙への外部からの悪意ある影響にまつわるヒステリーをあおり立てることで恩恵を受ける組織から資金提供される活動家に、支配権を、本質的に引き渡したのだ。当然、アメリカ自身、かなりの水をあけて、最大の選挙介入者であることを忘れてはならない。

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ロシア騒ぎは一巡し、クレムリンを批判する連中に跳ね返っている

 しかも、木曜日の発表に関する欧米マスコミ報道の情報不足は憂慮すべきで、CNNやワシントン・ポストやBBCやニューヨーク・タイムズなどの大手は (どの社も北大西洋理事会ロビイストを、ゲストや“専門家”やアナリストとして頻繁に起用している) 事実上、話題を無視した。そして、CNETやThe Hillなど、報道したマスコミは、このシンク・タンクの基本方針に触れそこなっている。特に、有力なメディア雑誌、Adweekは、このロビー集団を、“無党派”と表現して、記事を書き出している。

 ワシントンから見れば、無党派というのは、民主党も共和党も支持していないことを意味するかもしれないが、アメリカ以外の世界の国々にとって、北大西洋理事会は、明らかに党派的だ。北大西洋理事会は、NATOを通して、アメリカ外交政策の目標を、特にヨーロッパで宣伝するために存在しているのだから。

 そう、敵としてのモスクワがなければ、NATOは存在を停止するということを明確にしておこう。つまりロシア中傷は、北大西洋理事会にとって、存在に関わる問題なのだ。

 結果として、Facebookの新たなパートナーは、モスクワが欧米の選挙に干渉しているという印象を作り出すことに既得権益を持っているのだ。実際、ロシア内での、この会社の浸透率を考えると、ロシア自身の選挙に干渉できる力さえ持っているのだ。金曜日の進展に不安を感じているように見えるモスクワの当局者たちは、これを見逃してはいない。

 一体なぜ北大西洋理事会が選ばれたのだろう? そう、先月、マーク・ザッカーバーグは、アメリカ下院で、厳しい尋問の対象になったばかりだ。NATO自身のプロパガンダ機関の労働者を、事実確認担当者として雇う以上に、ワシントン支配体制の恐怖を和らげるのよよりよい方法があるだろうか?

 本コラムの主張、見解や意見は、専ら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

 ブライアン・マクドナルドは、ロシアを本拠とするアイルランド人ジャーナリスト。

記事原文のurl:https://www.rt.com/op-ed/427207-facebook-atlantic-council-nato/
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このソーシャル・ネットワークだけに限らないが、個人的に、ほとんど利用していない。気味が悪いので。こうしたものの怪しさ、マクチェズニー教授のインタビューやご本で、重々聞かされている。もちろんネット巨大販売店も使わない。

2016年7月27日に、Paul Craig Roberts氏の記事「軍安保複合体の営業部隊、北大西洋理事会」を翻訳してある。

今回の提携を批判的に解説している報道に、Sputnik記事がある。NATO's 'Marketing Arm' Partners With Facebook to Crack Down on Alternative Media

2013年7月12日に、デモクラシー・ナウの下記インタビューを訳した。

投稿後も、繰り返し読んでいる。マクチェズニー教授の本、なぜか日本語翻訳がない。ソーシャル・メディアや検索エンジンについて、鋭い批判をしておられるのに残念。
昨日、下記のIWJインタビューを拝見して、益々絶望的になった。こういう重要な情報を一切国民に知らせないまま、与党・大本営広報部連合は、壊憲賛否を問う国民投票にもちこむ。そして、連日24時間洗脳する。結果はあきらかだろう。大半の豚は、進んで、屠殺者提案に賛成投票する。

いつでも独裁が可能!? いつまでも独裁が可能!? 憲法で堂々と独裁を肯定!? より危険性が高まった自民党新改憲の緊急事態条項!~5.21岩上安身による永井幸寿弁護士インタビュー 2018.5.21

 

これから下記インタビューを拝見する。

 

IWJ Independent Web Journal - 岩上安身責任編集

2018年5月22日 (火)

石油は「アメリカの世紀」を終わらせるだろうか?

2018年5月19日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 1941年、アメリカ支配体制インサイダーのヘンリー・ルースによって、ライフ誌論説で、誇らしげに宣言された「アメリカの世紀」は、石油支配と、世界石油支配のための果てし無く続く戦争の上に築かれていた。今皮肉なことに、アメリカ大統領による、違法で、一方的なイラン核合意離脱のおかげで、意図的ではないにせよ、まさに「アメリカの世紀」という世界覇権崩壊で、石油が重要な役割を演じることになっているのかも知れない。

 ドル依存から離れるため、様々な国々の最近の拡大しつつある措置の各要素それ自体は、石油の売買をドルのみでおこなうよう他の国々に強制するワシントンの能力によるアメリカ・ドル支配を終わらせるには不十分だ。それでも、ワシントンの力による一方的な挑発や制裁行動のそれぞれが、わずか四年前には、可能あるいは現実的とは思われなかった解決策を、他の国々が見いだすよう強いている。

 ヨーム・キップール戦争の後の、1973年石油価格ショック以来、ワシントンとウオール街は、サウジアラビア率いるOPECが、アメリカ・ドルでしか石油を売らせないように動いた。それが、アメリカ通貨への需要が、事実上、アメリカ経済の内部状態や、政府債務や赤字と無関係になることを保障していた。ヘンリー・キッシンジャーや他の連中が、当時、オイルダラー・リサイクリングと呼んだ体制は、アメリカが世界に戦力を投射する能力の極めて重要な基盤であり、同時に、中国やメキシコやアイルランドやロシアなどのような場所にすら移転する過程で、アメリカの主要大企業が、国内課税や投資から逃れることを可能にしていた。現時点で、かなりの数の国々の集団がドルを放棄して、他の通貨に移行したり、バーター貿易をしたりすれば、アメリカ金利の急増と、十年前のものより遥かに醜悪になるはずの新たなアメリカ金融危機を引き起こしかねない連鎖反応の出来事のきっかけになり得る。

 制裁マニア、アメリカ

 2001年9月11日以来、アメリカ政府は、アルカイダのようなテロ集団への資金供与を取り締まるはずの金融経済制裁の使用を、アメリカの世紀防衛のための戦争の中心的武器へと転換する過程に従事してきた。過激な新たな形の標的を絞った経済制裁をロシアに課するというアメリカ財務省による最近の決定は、アメリカ国民が彼らと事業をすることを禁じるだけでなく、そのような事業を行っているアメリカ国民ではない人々にも経済制裁を課すと威嚇し、更に過酷な新アメリカ経済制裁をイランに再び課すことが続いている。

 トランプ政権は包括的共同作業計画 (JCPOA)、イラン核合意から一方的に離脱し、イラン石油を貿易している他の国々も、11月までに取引を段階的に縮小しなければ、いわゆる第二次経済制裁で、彼らも経済制裁に直面すると発表した。アメリカ財務省は、イラン石油貿易に関与している可能性のある主要国際再保険会社や外国銀行も標的にしている。最新のイラン経済制裁に、2012年会計年度の国防権限法1245条を正当化に利用している。

 根拠のないアメリカの動きは、中国、ロシアや、イラン自身を含む主要な国々、可能性としてはEUにも、これまでになかったことだが、ドル離れするよう強いているのだ。

 中国元による石油貿易

 今年3月、中国は、元に基づく石油先物契約を開始した。先物は、現在の世界石油貿易の主要要素だ。アメリカ・ドルではない石油先物契約としては、初めてのものだ。新たな対イラン・アメリカ経済制裁まで、ワシントンは、本格的に受け入れられるとしても、何年もかかるやっかい者同然に見なしていた。今や、ドルでのイラン石油販売を阻止するアメリカの取り組みは、上海の石油先物や、一部の人々がオイル元と呼ぶものの前払いに大きな弾みをつける可能性がある。

 中国は、イラン石油の圧倒的な最大顧客で、イランの一日約250万バレルの最近の輸出総計のうちの一日約650,000バレルを輸入している。ブルームバーグの最近のレポートによれば、インドは第二位で、一日約500,000バレル輸入している。韓国は第三位で、313,000 bpd、更にトルコは第四位で、一日165,000バレルだ。最近ドルから自立する願望を明かにしたイランが、中国元で石油を中国に売る可能性は極めて高い。もし中国が、元での販売を、イラン石油購入継続の前提条件にすれば、ドル交換の経費を節減し、ドルを犠牲にして、世界貿易での中国人民元の利用を大幅に増やすことになろう。

 イランは、何兆ドルものユーラシア・インフラ・プロジェクト、中国の一帯一路構想における主要な戦略的パートナーでもある。最新のアメリカ経済制裁の後、フランスのメジャー、トタル石油が、イランの巨大南パース天然ガス田の株の売却を強いられる可能性があり、中国国営エネルギー企業情報源は、中国の巨大石油集団CNPCは、フランスの株を引き受ける用意があると述べているという報道がある。現在、トタルは50.1%を保有し、CNPCが30%、イランの国営石油会社が19.9%を保有している。対イラン戦争を主張してきた、長年にわたるネオコン・タカ派、トランプの国家安全保障問題担当補佐官ジョン・ボルトンは、EU企業が、もしイラン政府との協力を継続すれば、アメリカ経済制裁に直面することになると述べた。

 中国-イランの経済的つながりの増大を示すものとして、5月10日、中国は内モンゴル自治区のバヤンノール市から、約8,000キロ、カザフスタンとトルクメニスタンを経由し、テヘランまでを結ぶ直通陸上鉄道便を開始した。貨物の輸送時間は、14日間と予想されており、海上輸送時間より約20日間短い。

 ロシアの動き

 イランにとって二番目に大きなビジネス・パートナー、ロシアは、自身が、アメリカ経済制裁によって苦しめられているが、2014年のイラン核合意と経済制裁解除の後、イランとの無数の事業契約を行っている。ロシアのプーチン大統領は、経済制裁への脆弱性にまつわる安全保障上の理由から、ロシアがアメリカ・ドルから独立する希望をはっきり宣言した。この点、ロシア-イラン二国間貿易は、2017年11月以来、多くの製品が非ドル・ベースのバーターで行われている。

 更に、イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣が、5月14日、モスクワを訪問して、ロシアのラブロフ外務大臣と、将来のロシアの原子力計画協定について話し合い、両者は経済協力継続を誓った。いくつかのロシア石油会社は、既にイラン・プロジェクトに参加している。

 最近の愚かなアメリカのイラン合意離脱の前から、ロシアと中国間の貿易も、ドルから離脱しつつある。現在、中国は、ロシアの最大貿易相手国で、17%を占め、第二位のロシアとドイツ間の倍だ。両国間のドル貿易が更に減少する可能性が高い。4月25日、上海でのヴァルダイ・クラブ会議で、Union of Chinese Entrepreneurs in Russia(在ロシア中国起業家同盟)会長、Zhou Liqunが、ユーラシアの二国は、二国間貿易で、ドルから一層離脱すべきだと述べた。彼は“二国の指導部should think over関係改善、特に、金融協力r。一体なぜ外国通貨で支払う必要があるでしょう? なぜドルなのでしょう? なぜユーロなのでしょう? 直接、元とルーブルで行えるではありませんか”と彼はロシア国営TVで述べた。

 最近のワシントンによるロシアとイラン経済制裁の前から、ロシアと中国は両国の二国間貿易でのドル離脱の方向に慎重に動いてきた。ロシアは、2016年末に上海石油-元先物と似たような、ロシア・ウラル石油先物の値付けにルーブルを使う石油先物契約取引を、サンクトペテルブルク取引所(SPBEX)に開設した。

 2017年に、約31%増え、今年、中国・ロシアの二国間貿易は、1000億ドルに達すると推計されている。ユーラシアの主要二国の銀行や企業は、世界準備通貨を保持しているというワシントンの不愉快な強みである、ドルからの、そしてドル経済制裁に対する脆弱性から自立する基盤を慎重に築いている。

 2017年、既に9パーセントのロシア商品の中国輸出はルーブル決済だ。ロシア企業は、15パーセントの中国輸入を人民元で決済している。こうした直接のルーブルや人民元決済は、NATO経済制裁が益々重要な要因になっているので、ドルやユーロ通貨のリスクを回避できる。更に、EUのSWIFT国際銀行間決済体制から自立して、確立した人民元決済システム(CIPS)を使うことで、この二つのユーラシア国家を、アメリカの金融戦争や制裁から、遮断できる。既に170以上のロシアの銀行や、ロシア中の証券会社は、中国銀行、ICBC、中国建設銀行や中国農業銀行などの中国の巨大国営銀行が参加しているモスクワ取引所で、元で取引している。ルーブル-元為替レートは、アメリカ・ドルの関与無しに計算されている。

 EUは続くだろうか?

 最近、これまで行っているドルでなく、ユーロによるイラン石油貿易の可能性を欧州連合が検討しているという報道もある。彼らはトランプによるイラン核合意からの一方的離脱を強く非難し、イラン石油貿易や、アメリカに威嚇されている航空機や他のハイテクの大型契約を維持する方法を検討している。フェデリカ・モゲリーニ欧州連合外務・安全保障政策上級代表は、マスコミに、イギリス、フランス、ドイツ、イランの外務大臣が、ワシントンの動きに対応した、現実的な解決策に、今後数週間で取り組む予定だと語った。彼らは、石油とガス供給の分野を含め、イランとの経済的なつながりを拡大する予定だと報じられている。

 EUがそのような動きをすれば、ドル体制の基盤を根底から揺るがし、それと共に、アメリカ戦力投射をも揺るがすことになる。現時点ではありそうにないが、2014年以来、ロシア経済制裁で、ワシントンが要求して明白に起きているEU経済権益を損なう、ワシントンの動きの一つ一つによって、大西洋同盟から離れるという地政学的同盟の大規模構造的転換の可能性が、より想像可能なものとなる。

 主要世界準備通貨としてのアメリカ・ドルの役割は、軍事力とともに、ワシントン権力の基盤だ。これが大幅に縮小するようなことになれば、他の国々の資源を利用して、超大国支配を継続するため戦争をしかけるペンタゴンの能力を弱体化させるはずだ。アメリカ財務省経済制裁が強いるものが抑えのきかないものになればなるほど、中国、イラン ロシアなどの国々や、可能性としては、EUも、ドル依存を減らし、ワシントンが他の国々を支配する力が益々弱くなる。前世紀のこうした過程の核心にあったのは、石油支配と、その支配のためのドルの役割だった。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、オンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/05/19/will-oil-end-the-american-century/

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狂気の与党、野党風与党分派連中、なんとしても過労死推進法案を通すつもりだ。

せめて、下記IWJインタビューを拝聴しようと思う。上記記事と関連しているパイプラインの話題、これから拝読する。

日刊IWJガイド・番組表「過労死促進法案が成立!?『5月23日衆院予算委で強行採決!?「高度プロフェッショナル制度」の異次元の危険性! ~岩上安身による上西充子法政大学教授インタビュー』を本日午後3時半から生配信!!/ドイツとロシアとの間でガス・パイプライン事業が着実に進行! 対する「ビジネスマン」率いるトランプ米政権は対露経済制裁を示唆!?/IWJの第8期も残り2ヶ月余り、どうか皆様のあたたかいご支援をお願いします!」2018.5.22日号~No.2076号~

IWJ Independent Web Journal - 岩上安身責任編集

2018年5月21日 (月)

民主党、拷問者をCIA長官として承認

2018年5月19日
Paul Craig Roberts

 アメリカでも国際刑事裁判所でも、拷問監獄を運営していたかどで被告席につくべき人物が一体どうしてアメリカ中央情報局(CIA)長官に任命されたのだろう? 拷問者が秘密作戦の責任者に任命されるのなら、人権擁護に関するワシントン言説に何の意味があるだろう?

 ワシントンの侵略から自国を守ろうとしたセルビア指導者ミロシェビッチは、ワシントンによって、戦争犯罪法廷、ワシントン侵略の犠牲者だけを裁判する場所に送られた。彼は獄死したが、ワシントンに殺されたという人々もいる。裁判所は、彼をアメリカによるぬれぎぬから無罪にして終わった。だが死者に対しては、ほとんど役に立たない。

 だが今やワシントンは、本物の犯罪人、争う余地のない“人類に対する犯罪”をおかした人物をアメリカ上院で、CIA長官として承認した。これは、ワシントンの政府の偽善、二重基準と、徹底した虚言癖について多くを物語っている。

 共和党議員の一部は最高拷問者に反対票を投じたが、拷問者をCIAのトップに据えたのは民主党議員だった。

 彼らの言い訳を聞こう。

 ウェストバージニア州のジョーマンチンはこう述べた。ハスペルはアメリカの安全を優先事項にしている。彼女は“信じられないほど素晴らしい公僕だ。”

 ノースダコタ州のハイディ・ハイトカンプは、トランプは仕事に最適の長官を選んだとのべた。ハイディは、議会にハスペルの職務をしっかり監督させるつもりだといったが、もし職務がアメリカの慣行として奉じられているように見える拷問であれば曖昧な発言だ。

 インディアナ州のジョー・ドネリー上院議員は、ハスペルは“経験に学んでおり、CIAは彼女の指揮の下で、アメリカが深刻な国際的脅威や挑戦と対決するのを支援できる”と信じていると述べた。
一体何の脅威? 一体どのような挑戦だろう? たわごとだ。ちょっと待っただ。裁判官の前の犯罪人が、こういうのを想像願いたい。“私の過去の犯罪から私は学んだので、アメリカを支援できる立派な市民として、私は適任です。”

 フロリダ州のビル・ネルソンは、道徳的人物としての破綻を ハスペルと直接会って、彼女は職務に適しているという結論に至ってごまかした。

 ニューズウイークによれば この四人のアメリカ民主党上院議員は、困難な再選に直面しており、嘆かわしいトランプ支持者をなだめるために、ハスペル承認に賛成投票したのだ。言い換えれば、この四人の上院議員は、彼がシリアとロシアとの和平に賛成で、アメリカが世界の警察官でいることに反対すると言ったのでトランプに投票した「哀れな連中」が、拷問者をCIA長官として承認させたいと望んでいると考えたのだ。民主党は、トランプ支持者を恐れたがゆえに、拷問者を支持したのだ。もしトランプ支持者が拷問者を職に就けたがっているなら、上院議員は面目にかけてトランプ支持者に反対すべきなのだ。

 ジャンヌ・シャヒーン上院議員(民主党、ニューハンプシャー州)は、ハスペルが二度と拷問しないと信じていると述べた。被告席の殺人者が言う“裁判官”“私は二度と人殺しはしません。plumb警察署長に任命してください。”

 バージニア州のマーク・ウォーナー下院情報問題常設特別調査委員会副委員長は、もしトランプが拷問するように命じたら、彼女は命令を拒否するはずだと請け合って、ハスペル就任を認めた。言い換えれば、ウォーナーは、実際に拷問を行ったハスペルではなく、トランプを拷問と結びつけているのだ。

 アメリカが他の国々を解放するやら、人権を擁護するやら、道徳的良心があるやら、世界に対する光だやらなどと、頼むから、もう言わないで欲しい。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/05/19/64514/
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 宗主国の異様な人事に、「倒錯した懲罰にとりつかれている欧米」(The West is Obsessed with Perverse Types of Punishment)というAndre Vltchek氏の記事を連想した。

 属国傀儡も異様な人々の集団だが、宗主国では、輪をかけて異様。
RTの米朝首脳会談の見通しに関わる記事をちらりと読むと、コメント欄に、「まずレジーム・チェンジが必要だ」というのがあった。「宗主国幹部全員をまず変えるべきだ」というので納得。

 読売新聞社が18~20日に実施した全国世論調査で、政党支持率は、自民党37%

 毎回ながら絶望的数字。幼なじみ以外、支持者・党員を見たことがないのだが。
大本営広報部電気洗脳箱のバラエティー番組や呆導番組が、この数値に大きく貢献しているのは確実だろう。一日24時間、週7日間の洗脳の効果は絶大だ。とは言え、昨夜もBSで、良い番組を見て驚いたのだが。ネット記事は玉石混淆というが、大本営広報部も。

 昨日は、下記インタビューを拝聴した。

【シリーズ『パレスチナの民族浄化』を読む第3弾!】~『大災厄(ナクバ)』の日70年を目前に米大統領がエルサレムに移転!ガザでは今日もイスラエルが非武装の市民を殺戮している!岩上安身による 東京経済大学 早尾貴紀准教授インタビュー 2018.5.14

 今日もIWJインタビューを拝見予定。

日刊IWJガイド・番組表「『いつでも独裁が可能!?
いつまでも独裁が可能!? 憲法で堂々と独裁を肯定!?
より危険性が高まった自民党新改憲の緊急事態条項~岩上安身による永井幸寿弁護士インタビュー』本日13時半より生配信!/『5月23日衆院予算委で強行採決!?

『高度プロフェッショナル制度』の異次元の危険性!~岩上安身による上西充子法政大学教授インタビュー』は5月22日15時半から生配信!!/『ナクバ』に米国大使館のエルサレム移転式典をぶつける、トランプの非情!
だが、ガザのデモはそれに対する抗議ではない!!~公開講演会『ナクバ70周年』/
祝・パルム・ドール受賞映画『万引き家族』!是枝裕和監督には2016年3月に『放送法』をテーマに岩上さんが独占インタビュー!! この機会にぜひIWJサポート会員になって、動画アーカイブのご視聴を!」2018.5.21日号~No.2075号~

IWJ Independent Web Journal - 岩上安身責任編集

2018年5月20日 (日)

ワシントンのユーラシア地政学を形作るブレジンスキーの亡霊

2018年5月14日
F. William Engdahl

 これまで実に際立っているトランプ大統領の最も顕著な特徴の一つは、ツイートやスキャンダルという意図的な巧妙な煙幕を消し去ると、実際の政策展開が、少なくとも1992年にさかのぼるワシントン地政学の基本戦略に、どれほど正確に従っているかという点だ。イラン核合意離脱の最近の嘆かわしい、全く違法な一方的な決定にもこれは当てはまる。ロシアに対する容赦ない冷戦風悪者化キャンペーンや、陰険な新経済制裁実施もそうだ。トランプ政権が中華人民共和国に対してはじめた迫りくる貿易戦争もそうだ。

 アメリカのトランプ大統領は、衝動だけで行動するとか、予測できないとかいう、広く信じられている考えとは逆に、事実は逆だろうと私は考えている。トランプ政権の戦略的地政学的政策は、大統領本人のものではなく、権力者、実際に支配をしていて、時に陰の政府と呼ばれる恒久的支配体制による対応なのだ。その政策の地政学が、彼らが一体誰を大統領になるのを認めるかを、かなりの程度まで決定しているのだ。

 現在のワシントン外交政策が最初に公式に構築されたのは、父親ブッシュの下で、ディック・チェイニーが国防長官だった1992年のことだ。ソ連が崩壊し、ブッシュは意気揚々と、アメリカは唯一の超大国だと宣言した。チェイニーの国防副長官、ポール・ウォルフォウィッツが、1994年-1999年、防衛戦略ガイダンス策定責任者だった。それは無遠慮なもので、後にテッド・ケネディ上院議員が、帝国主義者と表したほどだ。編集されていないウォルフォウィッツ・ドクトリンの中に、“第一の目的”は“旧ソ連地域であれ、他の地域であれ、かつてソ連がもたらしたようなスケールの脅威をもたらすような[アメリカの一方的行動に対する]新たなライバルの再出現を防ぐことだ…統合的に管理すればグローバル・パワーを生み出すに十分な資源がある地域を、いかなる敵対的勢力にも支配させないよう、我々は尽力しなければならない”とある。ジョージ・W・ブッシュの下で、2002年、イラク戦争の準備段階で、単独覇権主と、予防戦争の行使、アメリカ政策の中心だと宣言して、ウォルフォウィッツ・ドクトリンは、ブッシュ・ドクトリンとして再浮上した。

基本的地政学

 この記事の題名に戻って、現在のトランプの下でのアメリカ外交・国防政策が一体何かを強調するために、故大統領顧問ズビグニュー・ブレジンスキーの1997年の著書、The Grand Chessboard: American Primacy and its Geostrategic Imperatives『ブレジンスキーの世界はこう動く―21世紀の地政戦略ゲーム』から引用しよう。これは、ブッシュ-ウォルフォウィッツ・ドクトリンのブレジンスキーの地政学的挑戦と予防戦争という考え方を、アメリカという唯一の超大国支配に対する抵抗が現在現れているという文脈への適応に他ならない。

 もちろん、ブレジンスキーは、CIAと、サウジアラビア諜報機関と、パキスタンISIが訓練した、ムジャヒディン・イスラム主義テロリストを利用した、ジミー・カーターによる、ソ連軍に対するアフガニスタン戦争の立案者だった。

1997年、“ユーラシアを支配することが可能で、アメリカにも挑戦するユーラシアの挑戦者が決して出現しないようにすることが極めて重要だ”と彼は書いていた。彼は更に、declared、“可能性として、最も危険なシナリオ、イデオロギーではなく、相補う不満で団結した‘反覇権’同盟だ…中国、ロシア、おそらくはイランの大連合…Avertこの不測事態…ユーラシア外周の西と東と、南で、同時に、アメリカの戦略地政学的技能を必要とすることになる”

 これに、ロシアと中国を、アメリカ覇権に対する最大の潜在的脅威と規定する最新のペンタゴン国家防衛戦略文書を加えこれを、2015年に経済制裁を解除して以来、ロシアと中国とイランの間の、特にシリアでのつながりの深まりと組み合わせると、ワシントンが一体何をしているのかが明かになる。私が唯一の覇権国に対するユーラシアの挑戦と呼ぶ、ロシア、中国、イランを粉砕するため、連中は徹底的に取り組んでいるのだ。

 ブレジンスキーが指摘した通り、支配継続というアメリカの目的にとって、ロシアと中国とイランの間に、人種的、宗教的、あるいは他の差異かあることは重要ではない。2001年9月以来、アメリカ外交政策は、こうした差異にもかかわらず、彼らが、国家主権の防衛と考えるもののため、この三国が一層協力することを強いている。

標的ロシア…

 最近の色々な出来事を、1997年のブレジンスキーのユーラシア警告の視点から見てみよう。何の証拠も無しに、ロシアのせいにされたイギリスの、いんちきなスクリパリ毒ガス攻撃事件を、ワシントンは支持していた。ダマスカス郊外での偽化学兵器攻撃は、国連憲章や国際法のあらゆる前例を無視した、違法なアメリカ爆撃急襲の口実に利用された。あれは思い返して見れば、ロシアのあり得る反応を探るための実験以外の何者でもなかった。アメリカ・トマホークや他のミサイルが命中しようと、しまいと、イスラエルや、他のアメリカ同盟国が、シリア国内のイラン攻撃をエスカレートする前例が確立されたのだ。

 更に、世界第二位のアルミ・メーカー、ルサールのデリパスカのような“プーチンのオリガルヒ”に対する新たな壊滅的打撃を与える極悪非道の経済制裁が行われている。ワシントンは、新経済制裁の口実をでっちあげようとさえしていない。連中は、理由は、ロシア政府が“世界中で様々な悪意ある活動”に関与していることだと言っている。

 新経済制裁は、たとえ新経済制裁の前に購入したものであれ、制裁対象のロシア企業の株を保有しているあらゆる欧米の銀行や投資家を罰するのだ。これは、あらゆる点で、戦争より酷くはないにせよ、武力戦争同様、アメリカ財務省による極めて破壊的な新形金融戦争なのだ。911のすぐ後、この手が開発され、以来、経済的グローバリゼーションの下、貿易と、中央銀行の外貨準備の上で、世界が依然圧倒的に、アメリカ・ドルに依存しているという事実を利用する破壊兵器にまで洗練されている。

 ロシア人オリガルヒや企業に対する最新のアメリカ経済制裁では、将来、欧米資本市場で借り入れることが阻止されるだけではない。近年、対象にされたロシア企業に、何十億ドルも投資した非ロシア人投資家は、ロシア資産を保有しているかどで、換金するか、二次的経済制裁の目に会うかで、うろたえることを強いられた。だが一体誰が買うだろう? 既に主要EU証券決済機関の二社、クリアストリームと、ユーロクリアは、制裁対象のロシア証券の決済を拒否するよう強いられている。彼らはロシア株を保有しているかどで、経済制裁にも直面する。たとえば、中国国営銀行が市場からドルを借りていれば、彼らは今や事実上、制裁対象ロシア企業と事業をすることを禁じられている。

標的中国…

 ワシントンは、シリアとウクライナを巡って、プーチンのロシアに対する圧力を強化しながら、同時に、中国との貿易を最初の梃子として利用する、壊滅的経済戦争であることが明かなものの初期段階を開始した。ワシントンは、私が前の記事で指摘したように、中国経済を、今後十年で、主導的ハイテク製造国という立場に押し上げようという戦略を中国に強制して廃棄させることを狙っているのだ。戦略は「中国製造2025」と呼ばれるもので、習近平の戦略目標、一帯一路構想、経済シルク・ロード・プロジェクトの中核だ。

 「中国製造2025」のもとで、ハイテクで世界のリーダーになろうとする中国の動きを標的に、ワシントンが一体何を計画しているかの一端が、中国の主要通信機器メーカー、ZTEと、アップル社に対する有力な挑戦者、華為技術に対する扱いだ。4月、ZTEは通信機器をイランに売ったとされることで、ワシントンによる制裁対象となった。アメリカのサプライヤーは、極めて重要な部品を、中国ハイテク集団に供給することを禁じられている。アメリカから猶予を勝ち取ろうとする中、同社は一時的に操業を中止している。

標的イラン…

 ドイツやフランスや他のEU諸国の猛烈な抗議にもかかわらず、トランプは一方的にイラン核合意を破棄した。狙いが、壊滅的打撃を与える経済制裁を、イランに再度課して、2015年以来、始まった脆弱な進展を破壊させることなのは明らかだ。EUがイランとの合意を破棄するのを拒否している事実も、最終的には、アメリカによるイラン経済制裁は、イランと商売をしているEU企業の経済制裁もすると脅しているので大して意味はない。

 最近のトランプによる、イランとの核合意破棄の一環として、アメリカは、中国や日本やEU諸国など他の国々に イラン石油のあらゆる購入契約をやめる180日間の猶予を与えた。イランからの何十億ドルの航空機購入注文があったエアバスなどのヨーロッパ企業は、キャンセルを強いられた。8月6日、アメリカ・ドル購入、金や他の金属による貿易や、航空や自動車産業は制裁される予定だ。11月4日、アメリカ経済制裁は、イランの金融・石油企業を標的にして、以前、アメリカ財務省経済制裁リスト対象になった個人に対して行った経済制裁を再開した。

 イランの脆弱な経済を危機に陥れるべく、アメリカ財務省による正確に狙った経済制裁という壊滅的新兵器使用が明かな狙いだ。同時に、NSC顧問ジョン・ボルトンは、新たなカラー革命のこころみを開始するため、イランのテロ組織、ムジャヒディーン・ハルク、MEKのを再活性化を主張しているという報道もある。2012年、クリントン国務長官によって、MEKは、アメリカ国務省のテロ・リストから外された。

アメリカ中央軍、CENTCOM

 各国の具体的な詳細や、各国に対するワシントンの行動から一歩下がって見ると、ユーラシアの三大国-ロシア、中国、イランは、体系的に、標的にされており、これまでのところ、程度の差はあれ成功していることが見えてくる。

 2月末、アメリカ中央軍、CENTCOMの司令官ヴォーテル陸軍大将が、DoD Newsのインタビューに応じた。そこで、ロシアと特にロシアのシリア関与や、中国の新一帯一路構想や、ジブチや他の場所の中国軍事基地を例にあげるのに加え、ヴォーテル大将は、両国のイランとの結びつきに触れた。ヴォーテル大将は“ロシアも中国も、イランと多次元のつながりを育てている。包括的共同作業計画のもとでの、国連経済制裁解除が、イランが上海協力機構加盟申請を再開する道を開いた”と述べた。

 皮肉にも、事実上の三正面戦争の同時開始は、現時点では経済戦争のレベルだとは言え、三大国に対して、一層密接に協力するという戦略原則を生み出している。中国はイラン石油の最大購入国だ。ロシアは、軍事備品を供給しており、それ以上のことも交渉中だ。この三国中国、イラン、ロシアいずれにとっても、ワシントンの地政学的三正面戦争を目の前にして、不信や差異がどうであれ、自己保存の目的で、これまでになかった以上に協力する以外良い選択肢はないのだ。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、オンライン誌“New Eastern Outlook”に独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/05/14/brzezinski-s-ghost-shapes-washington-eurasia-geopolitics/

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昨日は、IWJの岩上安身氏による放送大学名誉教授・高橋和夫氏インタビューを拝聴。今日は下記を拝聴予定。

日刊IWJガイド・日曜版「<本日のタイムリー再配信>本日午後8時より「岩上安身による東京大学名誉教授・板垣雄三氏インタビュー(後編)1/2」を再配信!さらに午後7時から【働かせ方改悪を許すな!シリーズ特集】として「5.16『働き方改革虚偽データ疑惑』野党合同ヒアリング/
ボルトン米大統領補佐官が北朝鮮の非核化に『リビア方式』で臨むと発言! 北朝鮮の抗議に対しトランプ大統領自ら火消し役に!/日本大学アメリカンフットボール部監督・常務理事の内田氏『一連のこの問題は、すべて私の責任』と監督辞任を表明するも、大学役職の進退については答えず」も再配信します!」2018.5.20日号~No.2075号~

2018年5月19日 (土)

Killing Gaza

2018年5月13日
TD originals
クリス・ヘッジズ

 ワシントン、D.C. イスラエルによるガザ封鎖で、閉じ込められているパレスチナ人が、過去7週間、イスラエルとの国境壁沿いで、非暴力抗議行動をし、イスラエル軍による何十人もの死者と約6,000人の負傷者をもたらす結果になった。世界最悪の人道的災害の一つだ。ところが、イスラエル封鎖の下で、十分な食料や住宅や仕事や水や電気無しで、200万人が暮らし、イスラエル軍が、日常的に、無差別的で過度な暴力を行使し、負傷者や死者をもたらし、そこから、ほとんど誰も逃げ出すことができないガザの恐怖は滅多(めった)に記録されることがない。マックス・ブルー メンソールとダン・コーエンの新しい強力な映画“Killing Gaza”は、外部世界から、ほとんど見捨てられながら、持ちこたえようと苦闘している人々の断固とした感動的な描写だ。

 “Killing Gaza”は、今日のイスラエルで、1948年、ユダヤ人民兵のハガナーにより、約750,000人のパレスチナ人が自宅から強制排除されて、“ナクバ”というのは、アラビア語で、大災厄という意味だが、パレスチナ人が、ナクバの日と呼ぶ日の70周年と同時期、火曜日に公開される。ドキュメンタリー公開は、トランプ政権によるエルサレムのアメリカ新大使館開設とも同時期だ。

 ● 5月15日、火曜日から“killing gaza”をVimeo On Demandで見ることができる。

 ナクバの日と、エルサレムへの大使館移転を巡る怒りから、パレスチナ人が“帰還大行進”と呼んでいる 7週間にわたる抗議行動でも、今週は最も残虐なものになるだろうと予想されている。“Killing Gaza”は、ガザ住民の70パーセントが難民か難民の子孫で、失うものがほとんどないパレスチナ人が、先祖伝来の家に帰ろうとし、人間として扱われることを要求して、一体なぜ何千人も立ち上がり、命の危険をおかすのかを説明している。

 現代イスラエルを説明する最善の本の一冊“Goliath: Life and Loathing in Greater Israel”の著者であるコーエンとブルーメンソールは、2014年8月15日に、ドキュメンタリー映画の撮影を開始した。軽量兵器程度の武器しかないパレスチナ民兵が、イスラエル戦車、砲兵隊、戦闘機、歩兵部隊と、ミサイルに、51日間にわたり、対決し イスラエルによる攻撃で、2,314人のパレスチナ人死者と、17,125人の負傷者が出た。約500,000人のパレスチナ人が強制退去させられ、約100,000の住宅が破壊されたか、損壊された。2014年の攻撃は、おそらく、大虐殺と表現した方が適切だが、2004年以来、ガザの、その半数以上は子供である200万人のパレスチナ人に対し、イスラエルが行った、8つの大虐殺の一つだ。こうした周期的な軍事攻撃を“芝刈り”と呼んでいるイスラエルは、ガザで生きることを非常に困難にすることを狙っており、平均的パレスチナ人の時間や資源やエネルギーの大半が、ただ生き延びることだけに費やされてしまうのだ。

 映画は、イスラエルによって瓦礫の山と化したシュジャイヤ地区から始まる。イスラエル狙撃兵や、イスラエルの他の兵士による非武装一般市民銃撃を伴った、地区全体の理不尽な破壊が、映画によって記録されている。

 あらゆる街区の破壊された建物が画面に現れると、“破壊の大半は、7月23日のわずか数時間に行われた”とナレーションをしているブルーメンソールが語る。“侵略したイスラエル軍は、予想外に多い犠牲者を辛抱した現地レジスタンス勢力による猛攻撃を受けた。イスラエル歩兵隊は完全撤退する中、砲兵隊と空爆の援助を求め、少なくとも120人のパレスチナ一般市民を殺害し、何千軒もの家を跡形もなく破壊した。”

 映画には、テルアビブで、ガザ攻撃を祝う若いイスラエル人たちの短い映像があり、イスラエル社会にまん延している、好ましからぬ人種差別と軍国主義を彷彿(ほうふつ)とさせる。

 “死ね! 死ね! バイバイ! ”と、テルアビブでの祝賀で10代の少女たちが叫ぶ。“バイバイ、パレスチナ! ”

 “いまいましいアラブ人め! いまいましいムハンマドめ! ”若い男性が叫ぶ。

 “ガザは墓場だ! ガザは墓場だ! オーレ、オーレ、オーレ、オーレ”テルアビブの群衆が、歓喜に踊りながら歌う。“明日、学校はなくなる! ガザに子供はいなくなる! ”

 イスラエルが、100発以上の1トン爆弾を投下し、何千発もの強力に爆発する大砲砲弾をシュジャイヤに撃ち込む中、恐れおののくパレスチナ人家族は、自宅の中で身を寄せ合っていた。進軍するイスラエルを前に、脱出しようとする人々は、両手を高くあげたまま射殺されることが多く、遺体は、炎天下で、何日も腐敗するにまかされた。

 “連中が私の家をブルドーザーで破壊し始めた時、私は中にいました”シュジャイヤ住民のナセル・シャマリーが、映画の中で語る。“連中は壁を倒すと、家の中に銃撃を始めました。それで、私は両手を頭の上に載せて、将校に降伏しました。ただの兵士ではありませんでした。彼は部隊の将校でした! 彼は一言も言いませんでした。彼は私を銃撃しました。私は倒れ、彼らから逃げようと、はい始めたのです。”

 負傷して、四日間自宅に隠れていたシャマリーは、幸運だった。シュジャイヤの廃墟から遺体を掘り出すための国際連帯運動のボランティア・グループを案内していた彼の23歳のいとこ、サレム・シャマリーは、そうではなかった。

 “攻撃14日目の2014年7月20日、他の4人の活動家と、私は、イスラエルが何日間も爆撃したシュジャイヤ地区に、2時間停戦の間に瓦れきの中に入る救援チームに同行しました”、国際連帯運動の救援チーム・メンバーの1人、ジョー・カトロンが映画の中で語る。“後にサレム・シャマリーという名であることがわかった若いパレスチナ人が、 家族を見つけたいと願って、彼の家に一緒に行って欲しいと我々に頼んだのです。今でこそ無茶なように聞こえますが、当時我々は停戦のおかげで安全にできると思っていたのです。”

 “分離壁脇のイスラエル陣地が、はっきり見通せる路地を横切った時、彼らの方向からの砲撃が我々の間の地面に当たりました。我々は二手に分かれ、それぞれの側の建物の陰に隠れました。少し間を置いてから、サレムが彼のグループを我々と合流させようとして路地に踏み込むと、別の銃弾が命中しました。彼は地面に倒れました。”

 映画は、地面で、負傷し動くこともままならず苦痛で叫んでいるシャマリーを映す。

 “彼が背中を下に横たわっていると、更に2発命中しました”カトロンが続けた。“彼は動きを止めました。銃撃のため、我々は彼に近寄れませんでし。イスラエルの砲弾が、我々の頭上を飛び越え、我々の後ろの建物を攻撃し始めました。我々は彼を残したまま、撤退を強いられました。二日後、彼の母や父や妹やいとこが、私がツイートしたビデオの彼を認識して、我々はようやく彼の名前を知りました。”

 “七日間、彼の遺体を回収できませんでした”母親のウム・サレムが映画で語る。“彼の遺体は7日間、日にさらされていたのです。”

 サレムの弟、8歳くらいに見えるワシーム・シャマリーは目を泣きはらしている。“お兄ちゃんは、父さんのように、ぼくたちの面倒をみてくれたの”と男の子は言った。“夜でも、ぼくたちが欲しがる物を手に入れてくれた。彼は何でも買ってくれた。ぼくたちが欲しがる物を何でも買ってくれた。買ってくれないものなんかなかったよ。ぼくたちを散歩につれていってくれたのだ。おにいちゃんは退屈しのぎに、ぼくたちを連れ出してくれたんだ。”

 ワシームは、目をぬぐった。

 “お兄ちゃんは死んでしまった”彼は弱々しく続けた。“もう誰も、外につれていって、おやつを買ってくれる人がいないの。”

 “この男の子は、兄の死に対処できないのです”と父親のハリル・シャマリーが言った。“彼は、兄が亡くなった様子を見て、ニュースに対処できないのです。彼は衝撃を受けています。衝撃の余り、彼は活気を失っています。彼はへたり込んでしまいました。彼をおこすと、死にたいと私に言ったのです。死にたいというのですよ! まるで、我々を置き去りにしてゆくように。とても若いのに。それなのに、死にたいと言っているのです。もし神のご慈悲がなければ、この子も失ってしまうでしょう。”

 “破壊された都市や、打ち砕かれた家は、資源さえあれば、再建が可能です”とブルーメンソールは言う。“しかし、生存者はどうでしょう? 彼らの心に負わされた傷は、一体どうやって癒せるのでしょう? ガザの若者は、毎回、前回のものより破壊的になっている三つの戦争の中で育っています。少なくとも、ガザの青年の90パーセントは、心的外傷後ストレス障害を患っています。精神衛生サービスは崩壊の瀬戸際に追いやられており、こうした目に見えない傷は、決して癒えないかも知れません。”

 映画は、ガザのハマース政府の武装部隊、アル・カッサム旅団との戦闘で、三人のイスラエル兵士が死亡した後、イスラエルによって組織的に爆破された住民20,000人の農村、フーザ村に変わる。映画は、兵士が爆薬でモスクを含む、町の建物を倒壊するのを待っているイスラエル戦車内から撮影したビデオを見せる。爆発が起きたとき、イスラエル兵士は喝采して叫んだ。“イスラエル国、万歳! ”

 “街路に、とても多くの遺体を見て衝撃を受けました”映画の中で、パレスチナ赤新月社のボランティア、アフメド・アッワドがフーザについて語っている。“多くは腐敗しつつありました。対処したかったのですが、どうすれば良いかわかりませんでした。イスラエルが、我々が救急車で入るのを許した際、別々の場所に散乱している約10の遺体を見つけました。遺体に近寄ると、もちろん匂いがして、ウジがいます。こういうふうに持つと、肉がはがれ落ちます。腕を持ち上げると、とれてしまいます。どうしたら良いかわかりませんでした。我々は何もできませんでした。やめるしかありませんでした。そのまま埋葬した方が簡単だったでしょう。けれども遺族は遺体を欲しいだろうと思ったのです。最終的にブルドーザーで、遺体をトラックに乗せました。自分たちで遺体を回収することはできませんでした。自宅玄関口の老女のように、大半が処刑でした。若い男性、他の男性、幼い子供、正直なところ、実に醜悪でした。”

 16歳の身体障害者ガディールがいたルジェイラ一家は、砲撃から逃げようとした。弟が車椅子のガディールを必死で押している中(映画の他のいくつかの場面同様、アニメで再現されている)、イスラエルが発砲を始める。弟は負傷し。ガディールは亡くなった。

 黒焦げになった遺体がある破壊された家々を通って、カメラはゆっくりパンする。壁にも床にも血がべっとりついている。

 パレスチナ赤新月社のボランティア、アフメド・アッワドが、彼と他のボランティアが、フーザから遺体を回収する許可をイスラエル軍からようやくもらった後、何が起きたか説明してくれた。彼らは1人の男性が木に縛りつけられ、両足を撃たれているのを見つける。ボランティアの1人、ムハンマド・アル-アバディア、車から出て、木に近づく。イスラエルにそうするよう指示されていた通りに、彼が懐中電灯を点けると、彼は心臓を撃たれ、殺された。

 “51日間、イスラエルは砲兵隊の全力でガザを爆撃した”とブルーメンソールは語る。“イスラエル軍の推計によれば、戦争中、23,410発の大砲砲弾と、290万発の銃弾がガザに撃ち込まれた。”

 これは、ガザの全ての男性、女性と子供1人当たり、1.5発に当たる。

 ガザに砲弾を投入しているさなか“私の誕生日、おめでとう”などを含むメッセージを書いている砲兵部隊のイスラエル兵士の場面もある。パレスチナ地区に爆弾を浴びせながら、兵士たちは笑い、寿司を食べている。

 ラファフは、ガザの中で、エジプト国境の町だ。ガザの南部国境を封鎖して、rエジプトが封鎖に加担していることを、映画は明らかにしている。ラファフは、イスラエルによって標的にされた最初の都市の一つだった。イスラエル軍隊が建物を占拠した際、彼らはパレスチナ人を拉致し、彼らを無理やり窓に立たせ 兵士たちが後ろから射撃しながら、 あちこちで、人間の楯として利用した。

 “連中は私を目隠しして、手錠をかけ、私を中に入れました”と、マフムード・アブ・サイドが映画の中で語る。“彼らは私に、ついてこいと命じ、M16を背中に突きつけました。連中は6人いたでしょうか。彼らは機器を下に置き、探し始めました。連中は私を壁にぶつけはじめました。そして更に、手錠をされた私に、連中の犬をけしかけました。”

 “連中は私をここに立たせました” 窓の前に立って彼は言った“そして私の後ろに立ちました。イスラエル兵士は、私をここに立たせ、私の後ろに立って銃撃を続けました。連中は私を、あの窓、それにあの窓にも立たせました。すると連中は私を壁にぶつけ、私を押し倒しました。連中は、ここにマットレスを置きました”壁を床の高さで、くり抜いた穴を指して、彼は言った“そして座って、こうした穴から射撃したのです。”

 “あの自動車が見えますか?”、彼の家の廃墟の横にあるへし曲がった金属の塊を指して、スレイマン・ズグフレイブが尋ねる。“彼が運転していました”と、彼はイスラエルに処刑された22歳の息子のことを話した。“これは我々の生活費を稼いでいた車です。自家用ではありませんでした。タクシーでした。苦悩は表現できません。何が言えるでしょう? 言葉では痛みを表現できません。我々は実に長期間、苦しみ抵抗してきました。我々は人生まるごと、苦しんできたのです。イスラエルのおかげで、過去60年間我々は苦しんできました。戦争に次ぐ、戦争に次ぐ、戦争。爆撃に次ぐ爆撃に次ぐ爆撃。家を建てると、連中が破壊する。子供を育てると、連中が殺す。アメリカ合州国とイスラエルが、世界中で、何をしようと、我々の最後の1人が死ぬまで、我々は抵抗し続けます。”

 イスラエルは意図的に、発電所、学校、診療所、共同住宅、村丸ごとを標的にした。2017年に、国連人道問題調整事務所のロバート・パイパー、ガザは“とうの昔に”“住める適性限界”を超えていると述べた。若者の失業は60パーセントだ。自殺はまん延している。伝統的社会構造や道徳観は崩壊しつつあり、離婚が2パーセントから、40パーセントに増え、かつてガザでは、ごくまれにしか見られなかった売春をする少女や女性がますます増えている。200万人のガザ住民の70パーセントは、人道的総合援助計画による、砂糖、米、牛乳や料理油で生き延びている。国連は、ガザの水道の97パーセントは汚染されていると推計している。イスラエルによるガザの下水処理場破壊は、未処理の下水が海に排出されることを意味し、閉じ込められた住民にとって、ごくわずかな息抜きの1つ海岸が汚染されている。イスラエルは、ガザの小さな動物園さえ容赦せず、2014年の攻撃で、約45匹の動物を大量殺りくした。

 “私は猿が1番好きでした”動物園で働いていた、しょんぼりしたアリ・カセムは言った。“猿たちと良く笑いました。猿たちと笑って遊びました。彼らは我々の手から直接食べ物を食べました。1番良く反応してくれました。とても悲しいです。私はここで、1日18時間過ごしたものです。私はいつもここにいました。家には5時間か6時間帰り、戻ってきました。私はここで、ボランティアとして働いていました。数人のボランティアが、この場所を、少しず作り上げたのです。完成して、客を無料で招けるのにわくわくしました。私にとって、人間が殺されるのと同じでした。動物だからかまわないということはありません。まるで知り合いの人たちのようでした。よく家から食べ物を持ってきました。”

 映画で、国際的寄贈者たちよる誓約にもかかわらず、ごく僅かな再建支援か得られないパレスチナ人が、家の廃墟の中で野営し、小さな火の周りに、暖と明かりを求めて集まっている様子が映る。54歳のモイーン・アブ・ヘイシが、家族のために建設するのに人生を費やし、破壊されてしまった家を案内してくれた。彼は3歳の孫ワディーと出会うと立ち止まった。喜びで彼の顔は明るくなった。

 “何か月か過ぎ、冬の冷たい雨は春の暑さに変わった”とブルーメンソールは語る。“シュジャイヤで、アブ・ヘイシ一家は依然家の残骸で暮らしていたが、最新のメンバーは亡くなっていた。戦争中に生まれた幼いワディーは厳しい冬を生き延びられなかった。”

 “彼は戦争中に生まれ、戦争中に亡くなりました。そう戦争の後に”一家の女性が説明した。“彼は壁のない部屋で暮らしていました。壁を薄いシートで覆いました。我々は引っ越しましたが追い出されました。家賃が払えなかったのです。戻って壁を覆って、ここで暮らすしかありませんでした。それから赤ん坊は凍死しました。とても寒かったのです。”

 “ある日、突然寒くなりました” ワディーの母親が言った。“ワディーは朝の9時に起きました。私はあの子と遊び始め、ビンを渡しました。突然、あの子は寒さで震え始めました。あの子を暖めようとしましたが、だめでした。”

 彼女は泣きだした。

 “病院に行く時間もありませんでした”と彼女は言った。“私たちが家を出る前に、彼の息が止まりました。心臓もすぐに止まりました。父親は子供を抱いて、町中を走りました。“赤ん坊は死んでいる! ”と人々が叫ぶと、彼は気を失いました。赤ん坊のおじが子供を引き取って運びました。彼は、いたるところタクシーを探しましたが、1台もみつかりませんでした。私たち自身では応急処置はできませんでした。ようやく自動車が見つかりました。病院ではできる限りのことをしてくれましたが、彼は決して目覚めませんでした。彼は亡くなりました。何とも言いようがありません。あの子のことは皆忘れません。あの子のことを私は忘れられません。まるで私の心臓を無くしたようです。あの子の姉が、あの子のゆりかごで寝たがり、あの子の服を着たがります。この子はいつも弟の服を着たがります。皆彼のことを忘れられないのです。”

 “おじいちゃん!”ワディーの幼い姉が叫んだ。“ママがまた泣いてるよ。”

 Poor People’s Campaignを記録するために、Truthdigとして、初めて読者が資金を出すプロジェクトを立ち上げた。寄付によるご支援をお願いしたい。

記事原文のurl:https://www.truthdig.com/articles/killing-gaza/

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大本営広報部が、異口同音に、TPP11を称賛する中、植草一秀の『知られざる真実』の2018年5月18日 (金) 記事は、TPP11に触れている。

安倍政治暴走下の茂木経財相不信任案は至極当然

人が家を建てるとイスラエルが破壊する。人が子供を育てるとイスラエルが殺す。

2018年5月14日
Paul Craig Roberts

“家を建てると、連中が破壊する。子供を育てる、連中が殺害する。”

ジャーナリストは、今や連中のウソを広めるため権益集団に雇われた宣伝屋が占めている職業だが、アメリカ最後の本物ジャーナリスト、クリス・ヘッジズが、イスラエルは、神に選ばれた人々なのか、それとも悪魔の大量虐殺人種差別主義の反社会性人格障害者なのかを考えるための理由を説明してくれている。

イスラエルが、地球上に、これまで存在したもののうち最も悪の政府であることに疑問の余地はない。だが、あらゆるユダヤ人を憎悪する前に、人類に対するイスラエルの犯罪を、これほど正確に描写していると、ヘッジズが書いている映画“Killing Gaza”が、二人のユダヤ人によって作られていることに留意願いたい。極めて高い道徳的良心を持ったユダヤ人もいるが、大半のイスラエル人は、いかなる道徳的良心を持ち合わせていないように見える。道徳的良心を持っているユダヤ人や他の人類に対し、道徳的良心が全く無いイスラエル政府に、トランプ政府は足並みを揃えている。例えば、ネタニヤフに道徳的良心があると信じている人が地球上に誰かいるだろうか?

映画“Killing Gaza”を見て、イスラエル政府に道徳的良心の何らかの片鱗を見いだせるかどうか、お考え願いたい。この映画を支援願いたい。これは、核戦争を防ぐ唯一の要素である人類の道徳的良心にとって、極めて重要だ。

イスラエル政府の明らかな道徳の欠如こそが、第二次世界大戦での対ドイツ・ロシア戦勝記念式典の賓客として、最大の背徳者ネタニヤフをプーチンが招待したことが、一体なぜ、プーチンとロシアの評判に大きな損害を与えたかという理由だ。ロシアは大量虐殺ナチスと戦ったのに、今や、その政策が、対パレスチナ人、対シリア人。対イラン人の大量虐殺である、大量虐殺者ネタニヤフを、大統領招待して、敬意を表している。

http://www.informationclearinghouse.info/49417.htm 日本語翻訳は、こちら

 
トランプは、イスラエルに完全に支配されている。https://www.rt.com/usa/426720-israel-jerusalem-gaza-blumenthal/

Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/05/14/build-house-israel-destroys-raise-child-israel-kills/

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大本営広報部が、野球や将棋の偉業、殺人事件に懸命に注目をそらすなか、TPP11承認が衆院通過。

 

相撲画面の音声を消して、下記インタビューを拝聴した。

 

日刊IWJガイド・番組表「<岩上さんのインタビュー報告>『加計ありき』を示唆する新たな文書! 安倍総理の証人喚問は避けられない!?~岩上安身による日本共産党副委員長・田村智子参議院議員インタビュー/ガザ地区で負傷者の手当にあたっていた医療チームの医師らがイスラエル軍により狙撃され、犠牲者まで出る事態に!イスラエルの抑制なき暴力の行使に対し、世界各国から激しい非難の声が上がる!
審議時間3日間で6時間のみで『TPP11』承認案が衆院通過、与党から賛成討論もなし!~農水省は『自家採種・増殖』の原則禁止を検討、『大変なことがこのTPPをもとにして今なされようとしている!!』と、山田正彦元農水相が警鐘を鳴らす!」2018.5.19日号~No.2074号~

2018年5月18日 (金)

エルサレムにアメリカ大使館開設: 出席した国は?

29カ国が、テルアビブから、エルサレムへのアメリカ大使館移転式典に出席した。
2018年5月16日
アル・ジャジーラ

訂正: 12018年5月15日: 本記事旧版で、ナイジェリアとタイとベトナムの外交官がエルサレムのアメリカ大使館開館に出席したと書いた。これは間違っており、下記が正しい。

ガザで死者も出る抗議行動が行われる中、アメリカ合州国はエルサレムで大使館を正式に開館した。

月曜日の動きは、2017年12月のアメリカのドナルド・トランプ大統領による、エルサレムをイスラエルの首都として認め、アメリカの使節団をテルアビブから移転するという決定を受けたもの。

トランプによる物議をかもす決定は国際社会で広く非難され、エルサレムをイスラエルの首都としのアメリカ承認を、国連総会で、圧倒的多数で否決した。

ユダヤ教徒、イスラム教徒とキリスト教徒にとって聖なる都市であるエルサレムの地位は、最終的和平合意で決定されるべきであり、今、大使館を移転するのは早まった判断だと大半の国々が言っている。

イスラエル外務省は、イスラエルに外交使節を置いている86カ国全てを大使館開設に招待し、33カ国が出席を申し込んだと述べている。しかしながら、ナイジェリア、ベトナムと、タイの代表は出席しなかった。

式典に出席した国々のリストは下記の通り。

アルバニア

アンゴラ

オーストリア

カメルーン

コンゴ共和国

コンゴ民主共和国

象牙海岸

チェコ共和国

ドミニカ共和国

エルサルバドル

エチオピア

ジョージア

グアテマラ

ホンジュラス

ハンガリー

ケニヤ

ミャンマー

マケドニア旧ユーゴスラビア共和国

パナマ

パラグアイ

ペルー

フィリピン

ルーマニア

ルワンダ

セルビア

南スーダン

タンザニア

ウクライナ

ザンビア

記事原文のurl:https://www.aljazeera.com/news/2018/05/opens-embassy-jerusalem-countries-attended-180514141915625.html

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国会討論で、彼氏を顔を見るたびに、暗い気持ちになる。

日刊IWJガイド・番組表「本日午後4時30分より『「加計ありき」を示唆する新たな文書! 安倍総理の証人喚問は避けられない!? ~岩上安身による日本共産党副委員長・田村智子参議院議員インタビュー』をお送りします!/<インタビュー報告>イラン核合意から離脱し、エルサレムに大使館を移したトランプ政権の『異常』な中東政策は、キリスト教福音派の預言成就願望とユダヤロビーに答えたもの!? ~ 岩上安身による放送大学・高橋和夫名誉教授インタビュー/NHKが森友学園問題でスクープを発した大阪放送局記者を『左遷』!? 『官邸忖度人事』か!?/
『反則タックル問題』にチームとしての見解もなし?! 日大アメリカンフットボール部からの回答を受けて関西学院大学アメリカンフットボール部『ファイターズ』が日本大学定期戦での反則行為についての記者会見/36時間連続勤務! 月130時間を超える残業! 労働時間の制限を受けない『チームリーダー』『管理監督者』2件の過労死があきらかに! 安倍政権はこれでも『高プロ』導入を強行採決するのか!?」2018.5.18日号~No.2073号~

2018年5月17日 (木)

大量虐殺と占領と、より広範な戦争をもたらすアメリカのエルサレム大使館

Finian Cunningham
2018年5月14日
RT
公開日時: 2018年5月14日 16:13
編集日時: 2018年5月14日 16:13

なんと忌まわしいほど皮肉なことだろう。大使館は、伝統的に、外交と平和の象徴だ。エルサレムのアメリカ大使館開設は、パレスチナ人殺戮という奇怪な洗礼を招き、中東における、より広範な戦争の到来を告げている。

それだけでなく、前世紀の民族浄化と土地や家からの追い立てのもっとも恥ずべき出来事の一つ、1948年のナクバ、パレスチナ人にとって「大災厄の日」のまさに70周年に、アメリカ政府は、あの歴史的暴力の後継者イスラエルの味方にぬけぬけとついている。

トランプは、いかなる羞恥心もかなぐり捨てて、イスラエルによるアラブ人の歴史的権利侵害を是認し、地域紛争を煽動している。

恐怖を表現するのは困難だ。イスラエル狙撃兵が、ガザで非武装パレスチナ人抗議行動参加者を銃撃する中、約100キロ離れたエルサレムでは、アメリカの要人や、福音派の牧師たちが、ワシントンの新大使館開設を '神の仕事'として祝福していた。

アメリカのドナルド・トランプ大統領の中東政策は、もしそれを "政策"と呼べるとすれば、完全な狂気に成り下がっている。大半のヨーロッパ諸国が、新外交センター除幕のアメリカ歓迎レセプションを欠席したのも不思議ではない。

トランプは、パレスチナ-イスラエル和平を無謀に無視して、地域を大虐殺へと陥れた。今週、パレスチナや、より広範なアラブ地域を扇動的に無視した後、イラン核合意へのアメリカの義務を破棄が続いた。この国際条約違反後、もしこの合意が崩壊すれば、中東における更なる不安定と、戦争さえ引き起しかねないので、ヨーロッパ、ロシア、中国とイランの外交官がは合意を救うべく急遽出動した。

12月に、トランプがアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移動すると発表した際は、国連で厳しく非難された。この動きは、エルサレム和平交渉の結果がでるまでは、パレスチナとイスラエルの共有の首都であるべきだという何十年もの国際合意違反だ。

トランプは、彼の決定は単に "現実の反映"にすぎないと述べた。皮肉なことに、アメリカが、イスラエルによる違法なパレスチナ領土占領の黙諾したこと意味する。

公平のために言っておくと、ワシントンによる大使館のエルサレム移転決定は、20年以上前の、1995年に行われた。クリントン、GW ブッシュと、オバマ大統領は、そのような動きは、和平交渉の進展次第だと主張して、実際の行動を、遅らせることを選んでいた。トランプは、今回、既に有効な法律を行動に移したのだ。

しかし彼の宣言は、アメリカが、イスラエルとパレスチナとの間の"公正な調停者"といういかなる装いも投げ捨てたことを意味する。パレスチナ指導部の反感は激しく、現在、アメリカ当局者と会うことさえ拒否している。

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'偉大な平和の日' に、アメリカがエルサレム大使館を開設する中、何十人ものパレスチナ人が射殺される。

逆説的に、トランプは、状況を明らかにするのに貢献している。アメリカは、イスラエルによるパレスチナ領土征服とパレスチナ人弾圧を公然と支持している。今や、ワシントンは、調停の見せかけに隠れるのではなく、あからさまに犯罪的イスラエル政策に加担している。

今週、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、 "イスラエルを再び偉大した"ことで、トランプを称賛した。いつもの厚かましさで、ネタニヤフは、アメリカ大使館のテルアビブからエルサレムへの移転は、平和を促進すると、ばからしい主張をし、他の国々も後に続くよう強く促した。

既にアメリカ政策で証明されている通り、不条理な論理で、パレスチナとイスラエルとの間のあらゆる和平の機会は、徹底的に破壊されている。

イスラエルの容赦のない占領の下で、パレスチナ人がさらされている地獄のような状況が、イスラエル狙撃兵の銃撃を浴びながら何千人もが並ぶという自暴自棄の行為に彼らを追いやっている。

ガザ住民が "帰還大行進"を開始して以来、過去6週間で、約50人の非武装抗議行動参加者がイスラエルの実弾発射で殺害された。アメリカ大使館開設の日、エルサレムでの式典から数時間のうちに、更に何十人もの一般市民が射殺された。

イスラエル司令官は、射殺戦術を行っていて、兵士はイスラエル占領地域とガザ東国境の分離壁にあえて近づこうとする子供すら標的にしていることをあっさり認めている。

ガザ抗議行動は、残虐な占領と、住民が、エルサレム内も含め、もとの家に帰還するのを阻止していることに対する彼らの絶望的な嘆願を強調すべく、普通のパレスチナ人が組織したものだ。約70パーセントのガザ住民は、1948年の大虐殺と、後の1967年戦争で、イスラエル入植者に家を追われた難民の子孫だ。

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ガザでの大虐殺のさなか、エルサレムでの大使館開設に焦点を当てるアメリカ・メディア

国連が違法と規定しているイスラエルによる包囲のもとで、ガザ住民は、海岸沿いの細長い地域から出ることを阻止されている。約200万人の人々 - その半分が18才未満  - は住めない環境の中で生きている。90パーセント以上のガザの水道は汚染されており、電気は、一日にわずか数時間しか使えず、漁師は生活排水が海に直接流れ込んでいる岸から数マイル以上先に出るのを禁止されている。

アメリカ人歴史学者ノーマン・フィンケルシュタインが指摘している通り、ガザは、軍事占領、非人間的封鎖、イスラエル軍が何のおとがめもなく行う大量虐殺にさいなまれており、子供たちは毒を盛られている。最近の抗議行動で、大量殺害が行われているのは、この文脈だ。

これら抗議行動は、1948年5月14日、イスラエルが建国を宣言した70周年に合わせて、計画された。翌日の5月15日は、パレスチナ人や世界中の支持者たちが、むしろ注目したがっている、ナクバ、「大災厄の日」だ。

今週エルサレムでのアメリカ大使館開設というトランプの決定ほど、挑発的で、常軌を犯罪的に逸したものはない。

これは実際、パレスチナと、より広いアラブ地域に対する70年間の残虐な弾圧をアメリカが支持しているというお話にならぬほど無神経な誇示だ。

エルサレムは、イスラム教徒とキリスト教徒にとっての聖地とみなされている。この都市は、ユダヤ人・イスラエル国家の"分割されない首都" だというイスラエルの宣言へのワシントンによる同意は、何億人もの他の信仰の人々にとって、言語道断の打撃だ。正義と、道徳と、長年苦しむパレスチナ人に対する思いやりの原則に基づく普通の世論に対する破壊的打撃でもある。

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アメリカは、パレスチナ人の死には全く無関心 - 元国連人権委員会職員がRTに語る。

パレスチナ人の窮状に、ヨーロッパは大きな責任がある。2006年に、ハマースが議会選挙で勝利した後、EUもアメリカも、イスラエル国家承認を拒否していることを理由に、ハマース新政府制裁に動いた。トランプの下で、アメリカの方がより厚かましく加担しているように見えるとは言え、EUとアメリカによる加担を得て、イスラエルによるガザ封鎖は行われているのだ。

ヨーロッパ政府は、パレスチナ人の権利や国際法に対するトランプの露骨な軽視に当惑しているのかも知れない。だが彼らは、イスラエル占領を支援し、サウジアラビアのような反動的アラブ傀儡政権を支援し、違法な戦争や政権転覆作戦を煽るワシントン政策に迎合して、中東における現在の荒廃に寄与してきたのだ。

トランプの衝動的な振る舞いや無知が - シェルドン・アデルソンのような裕福なユダヤ系アメリカ人からの何百万ドルもの寄付で励まされているのだろうが - 彼らの権利に対する彼の傲慢な無関心から、アメリカにアラブの大衆と正面から衝突する路線を進ませている。まるで、これ以上燃えやすく、できないかのように、トランプは、核合意妨害で実証されている通り、イスラエル-サウジアラビア独裁者連中と全く同じ、イランに対する敵意というという策略を推進している。

ヨーロッパは余りにも長きにわたり、難破船、つまりアメリカ中東政策に自分の体を縛りつけてきた。もし中東における爆発的な暴力や紛争を避けたいのであれば、確かにヨーロッパ政府はそろそろ気づき、アメリカ難破船を見限り、自立した外交政策の主張を始めるべきなのだ。

長年無視されてきたパレスチナ人の権利を支持する本当の和平プロセスと、イラン核合意を崩壊させようというアメリカの企みを拒絶することが、ヨーロッパ人にとって、手遅れになる前に、多少の正気と尊敬を、徐々に取り戻すための、二つの喫緊の課題だ。

本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

Finian Cunningham(1963年生まれ)は、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。彼は農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。彼は音楽家で、作詞作曲家でもある。20年以上、ミラーや、アイリッシュ・タイムズや、インデペンデント等の大手マスコミ企業で、彼は編集者、著者として働いた。

記事原文のurl:https://www.rt.com/op-ed/426680-jerusalem-embassy-palestine-violence/
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日刊IWJガイド・番組表「5月15日『ナクバ(大災厄)』の日に、イスラエル軍の攻撃で生後8ヶ月の尊い命が犠牲に…本日午後1時30分から、『トランプ政権の中東政策は選挙対策!? 岩上安身による国際政治学者・高橋和夫・放送大学名誉教授インタビュー』を配信/16日開催予定の南北閣僚級会談が北朝鮮側の通知により突如中止に! 背景に米韓合同空軍演習!? 抑止論に固執する米軍と日本!/その数約13万件!組織的『懲戒請求』で当事者の嶋崎量(ちから)弁護士にIWJが直撃取材! 真摯な謝罪がなければ賠償請求へ!! 発信源は刑事告訴も!?/
<新記事紹介>公有財産をめぐり麻生財務相の周辺でも疑惑が! 麻生グループ傘下企業への不自然な無償貸し付けを福岡県飯塚市議・川上直喜氏が追及!川上市議にIWJが直撃取材!/大学アメフトの名門、日大フェニックス選手が関学大ファイターズのQBに悪質タックル! 関学大の抗議に日大は!? IWJは本日午後1時30分より関学大による記者会見を中継!」2018.5.17日号~No.2072号~

2018年5月16日 (水)

プーチンの戦略がとうとう機能しはじめたのか?

2018年5月14日
Paul Craig Roberts

ロシアは道理をわきまえているが、ワシントンはわきまえておらず、ロシアは、ヨーロッパの利益や主権にとっての脅威ではないが、ワシントンは脅威であることをヨーロッパに伝えようという戦略として、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、欧米の挑発に対し、もう一方の頬を差し出すというキリスト教の教えを実践していると私は説明している。イスラエルの言いなりになって、多国間イラン核不拡散合意から脱退したことで、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、プーチン戦略の成功をもたらした可能性がある。

ワシントンの主要ヨーロッパ属国三国、イギリスとフランスとドイツは、トランプの一方的行動に反対している。トランプは、多国間合意は、もっぱらワシントンにかかっているという考えだ。ワシントンが合意を放棄すれば、それで合意は終わりなのだ。他の合意当事者が何を望もうと無関係なのだ。結果的に、トランプは、イランとの事業を認めない過去の経済制裁を再度課し、追加の新たな経済制裁も課すつもりだ。もしイギリスとフランスとドイツが、イランと結んだ事業契約を継続すれば、ワシントンは、これら属国諸国を制裁し、イギリス、フランス、ドイツのアメリカ国内での活動を禁止する。明らかに、ワシントンは、アメリカ国内におけるヨーロッパの利益の方がイランで得られる利益より大きく、属国諸国は過去そうしてきた通り、ワシントンの決定に共同歩調をとるはずだと考えている。

そうなるかも知れなかった。しかし今回は反発された。強い言葉だけでなく、ワシントンと絶好することになるのかは、様子を見てみないとわからない。トランプのネオコン、親イスラエル派国家安全保障担当補佐官のジョン・ボルトンは、ヨーロッパ企業に、イランにおける事業取り引きを破棄するよう命じた。トランプのドイツ大使、リチャード・グレネルは、ドイツ企業に、即座にイラン内の事業を停止するよう命じた。ヨーロッパに対するいじめと、ヨーロッパの利益と主権をアメリカが露骨に無視したことで、ヨーロッパの長年の隷属が、突如あまりに明白な、居心地が悪いものになってしまったのだ。

これまでワシントンの忠実な傀儡だったドイツのアンゲラ・メルケル首相が、ヨーロッパは、もはやワシントンを信じることはできず、“自分たちの運命は自らが決める”べきだと述べた。https://www.msn.com/en-us/news/world/merkel-europe-can-no-longer-rely-on-us-protection/ar-AAx4AwV

欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長は、ワシントン指導部は破綻しており、EUが指導的役割を引き継ぎ、“アメリカ合州国に取って代わる”べき時期だと述べている。様々なフランスやドイツやイギリス政府閣僚も、こうした感情を表明している。

ドイツのニュース誌デア・シュピーゲルの特集記事は“さよなら ヨーロッパ”で、表紙は、突き立てた中指がトランプで、ヨーロッパを侮辱している。https://www.rt.com/news/426550-spiegel-trump-cover-iran/ 同誌は“ヨーロッパが、レジスタンスに加わる時期”と主張している。

ヨーロッパ政治家連中は隷属することに対し、たんまり見返りをもらっているとは言え、彼らも今では、これは、それに値しない不愉快な負担だと考えている可能性がある。

挑発に挑発で応えることを拒否しているプーチンの徳は尊敬するが、プーチンが、挑発をそのまま受け入れてしまうことが、戦争か、ロシアの屈伏が唯一の選択肢になるまで、激しさを増す、更なる挑発を促進してしまうが、もしロシア政府が、挑発に対して、より攻撃的な姿勢をとれば、ワシントンに対するその従順さが、挑発を可能にさせていたヨーロッパ人に、挑発の危険と代償をもたらしかねないという懸念を私は言ってきた。今や、どうやら、トランプ本人が、ヨーロッパ人に、この教訓を与えたように見える。

シリア軍が、シリア政府を打倒するために、ワシントンが送り込んだテロリストをシリアから掃討するのを、ロシアはこれまで数年支援してきた。とは言え、ロシア/シリアの同盟にもかかわらず、イスラエルは、シリアに対する違法軍事攻撃を継続している。もしロシアがシリアにS-300防空システムを売っていれば、こうした攻撃は止められたはずだ。

イスラエルは、シリア攻撃を続けたがっており、アメリカは、シリアが攻撃され続けるのを望んでいるので、イスラエルとアメリカは、S-300防空システムを、ロシアがシリアに売るのを望んでいない。そうでなければ、ワシントンはイスラエルに攻撃をふめさせているはずだ。

シリアを攻撃するため、イスラム主義代理部隊をワシントンが送り込む数年前、ロシアは、シリアに最新の防空システムを売ることに同意したが、ワシントンとイスラエルに屈して、防空システムを売っていない。現在、ネタニヤフ・ロシア訪問の直後、再びプーチン側近のウラジーミル・コジンが、ロシアは最新の防空システムをシリアへ提供することを控えると述べている。

ワシントンの侵略政策にヨーロッパを同調するよう引き込むのに利用しかねない口実を、ワシントンに与えないよう、そうしなければならないと、おそらく、プーチンは考えているのだ。とは言え、こういう見方をしない人々にとっては、またしても、ロシアは、弱々しく、同盟国を守るのを嫌がっているように見えてしまう。

シリアやイランとの和平合意を売り込む上で、ネタニヤフに対して何らかの影響力があると、もしプーチンが考えているのであれば、イスラエルや、中東における、ワシントンによる17年間の戦争の意図を、ロシア政府は全く理解していないのだ。

プーチン戦略が機能することを願っている。もし、そうでなければ、彼は姿勢を、挑発の方向に変えなくてはならなくなる。さもないと、連中は戦争を引き起こすだろう。

Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/05/14/putins-strategy-finally-beginning-work/
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岸井成格氏が亡くなられた。

アメフットの卑劣な暴行。スポーツは、健全な精神と無縁かも知れないと、運動神経皆無ゆえに妄想してしまう。幸いなことに、知人が入れ込んでいるスポーツでは、不祥事をほとんど聞かない。

「健全な精神は健全な肉体に宿る」という言葉、運動能力が欠如していものにはつらい。
正しくは『健全な精神は健全な肉体に宿れかし』だというのを昔読んで安心した。
つまり「健全な精神は健全な肉体に宿るよう願われるべきである。」なのだ。

若い頃、ラテン語原文の前半分を省いて暗記していた。mens sana in corpore sano

ラテン語原文
orandum est ut sit mens sana in corpore sano.

英語訳
You should pray for a healthy mind in a healthy body.

先日の国会討論、田村智子議員の追求が傑出していた。回答のあまりのひどさに、苦笑されていた記憶がある。自眠やら、異神やらのよいしょ茶番は音声を消して、翻訳をしながら、横目で画面を眺めていて、彼女の質問時には、あわてて音声を入れる。精神衛生を維持するのは、なかなか忙しい。

日刊IWJガイド・番組表「イスラエル建国70年という『悲劇』の日、奪われた故郷へ帰りたいという非武装のパレスチナ人の叫びに、イスラエル軍が銃撃で応じるという暴挙! 死者58人、負傷者は2700人以上も/米朝会談の会場はマリーナベイ・サンズが最有力!? オーナーは、イスラエルの極右シオニスト新聞の経営者シェルドン・アデルソン!/【加計学園疑惑】国家戦略特区WGに、都合の悪いものは消し、検証もさせない『暗闇のルール』!? 山本幸三地方創生担当相(当時)が告示の2ヶ月以上前に、京都府に『一校しか認められない』と伝え断念するよう説得! 日本共産党・田村智子議員が当日の面談記録を入手!!/
平和か戦争か!? 運命の前夜の韓国へIWJ記者を特派!十夜配信シリーズ特集・第八夜~ムン・ジェイン政権への失望と希望!キャンドル革命で決定的役割を果たした『民主労総』キム・キョンジャ氏に聞く」2018.5.16日号~No.2071号~

2018年5月15日 (火)

あなたをスパイしているのはCIAだけではない

2018年5月2日
Grete Mautner
New Eastern Outlook

国民に対する完全支配の確立を狙って、諜報機関は、それぞれの国で、国民全員の あらゆるデータを収集しており、これはこれら諸機関の主要目標であり続けており、使える限りのあらゆる手段によって、権力を維持するという課題は、依然あらゆる政治エリートの究極の目的だ。これら業務は、CIA、FBIなどのアメリカ機関や、数多くの他の専門機関によって、首尾よく行われている。これを実現するため、合法的と、半合法的なものそれぞれの装置や手段の多様な持ち駒が使われている。だが、ソーシャル・ネットワーク所有者による支援がなければ、陰の政府は、彼らが既に収集した未曾有の量の個人データを蓄積するのが不可能だったはずであることに疑念の余地はない。だから、欧米諜報機関が、これらのソーシャル・ネットワーク創設に少なからぬ役割を演じており、現在も、これら諸機関は、組織の狙いを追求するため、これらネットワークを活用し続けていることを驚く人は誰もいるまい。

ソーシャル・ネットワークが、自社ユーザーの機微なデータを、アメリカ諜報機関に提供するという、半公式で半合法的ながら、確立された事実に加え、トランプ政権が、現在、アメリカ入国ビザ申請をしたあらゆる人の個人データ収集を公式に開始することを計画していることは注目に値する。

この提案は、アメリカ入国許可を申請する人は、過去五年間の渡航歴と通常情報に加え、ソーシャル・ネットワークのアカウントの提出を要求されるようになることを意味している。個人が申告しなければならないアカウントの中には、国務省が提出した草案に書かれているのは、フェイスブックとツイッターだけではなく、インスタグラム、LinkedIn (リンクトイン) 、Reddit(レディット)や、YouTubeへの登録もある。この新たな監視施策は、年間1470万人以上の個人に影響を与える可能性がある。

ところが、アメリカ諜報機関は、欧米ソーシャル・ネットワークのデータを収集しているだけではなく、彼らは、ロシア、中国、イランで活動しているネットワークにも潜入しようとしている - 最新版のアメリカ安全保障戦略の中で、アメリカ合州国の主たる対抗勢力として規定されている国々。2015年という早い時期に、アメリカ当局は、ロシアを本拠とするソーシャル・ネットワークで活動する予定の特別部局を設置する意図を発表した - “アドノクラスニキ(同級生)”と“VKontakte”から始まり、ロシア側の組織フェイスブックとツイッターに終わる。このいわゆるCIAのメディア部門の主要目的は、ロシア国民のプロフィール収集と、インターネットのこの分野におけるあらゆる種類の工作だ。

近年、ソーシャル・ネットワークの人気は著しく高まっている。そこで、NATO専門家の結論によれば、62%のアメリカ国民が、ソーシャル・ネットワークで得た情報を基に判断をしており、44%は、意見形成にフェイスブックしか使っていない。ソーシャル・ネットワークは、過去数年間に途方もなく急成長しており、あらゆる人々が楽しめるものがある。イヌから、母親から、本好きから買い物客に至るまで。今や、ソーシャル・ネットワークで時間を過ごすのが一種の規範になっているので、大衆が使えるあらゆるソーシャル・メディアのリストを作っているサイトがあるのも不思議ではない。

4月に、フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグが、アメリカ議会で証言し、彼が経営している巨大ハイテク企業の活動に関する多数の奇妙な事実を明らかにしたが、彼は、それでも、政府が自国民に対する完全支配を行うのを可能にするよう、ソーシャル・ネットワークが欧米に提供している全ての能力を開示することは拒否した。

ソーシャル・ネットワークは、巨大独占になっただけではなく、彼らは透明性のない壮大な、巧みな操作道具にもなっている。しかし、ケンブリッジ・アナリティカ事件が示している通り、部外者によっても操作されかねないのだ。そこで、ソーシャル・ネットワークが収集した膨大な量の時には極めて機微な個人データは、これらを、諜報機関や、略奪的企業にとって、データの新たな金の卵へと変えられる、法的関係の境界外にあるのだ。

今では誰もが、フェイスブックがあなたをスパイしていることを知っている。このネットワークの慣行の中には、欧州連合が、2012年という早い時期に停止させるよう要求していた自動顔認識機能さえある。そして最近では、同社のプログラマー連中は、ロボットの、単純な文章やビデオの認識能力を強化した。ソーシャル・ネットワークは、既に2015年に、たとえ、カメラに背中を向けようと決めたとしても、システムが写真中の人物を特定できるようにする技術の実験を始めていた。的中率は驚くほど高く - 80%以上だ。だが事態は更に進んでおり、フェイスブックは、あなたの服や姿勢や体格に関するデータを収集している。つまり、あなたは、自動的に、あらゆる写真で識別されるが、誰もあなたの許可を得ようとしてはいない。

だが、ベルギーのITセキュリティ専門家たちがまとめた研究によれば、フェイスブックは、たとえあなたが、このソーシャル・ネットワークに、アカウントを持っていなくとも、あなたを監視している。ベルギーのデータ保護当局の要求に応じて作成された報告書は、フェイスブックが、あなたのコンピューターを、スパイウェア・クッキーで感染されられるあり得る手法のリストをあげている。どのソーシャル・ネットワークを訪れようと、あるいは、MTV.comで、音楽ビデオを視聴したい気分になろうと、あなたは感染されてしまうことになる。だが一番興味をそそられるのは、ユーザーが、インターネット上で、どうやって追跡されないようにするかの助言を得られる、デジタル広告連合(European Digital Advertising Alliance)が運営しているサイトを訪問しても、依然、あなたはお使いのコンピューに、フェイスブック・クッキーを埋め込まれてしまう結果になることだ。ところが、あなたがアカウントを削除すると決めたとしても、フェイスブックは、集めた情報をデータベースから削除しない。だから、ネットで起きていることは、そのままネットに残るように思える。

ニュージーランド・ヘラルドのジャーナリスト、ニック・ウィガムが行った最近の研究は、フェイスブックは、14億人ユーザーの機微データを収集するのみならず、フェイスブック自身と何の関係もない場合でさえ、あなたが訪れるサイトや行った要求もしっかり追跡していることを示している。このネットワーク・アルゴリズムは、あなたの投稿を追跡し、あなたの趣味や好み、使っているOSのバージョン、IPアドレスや、どこであれ残したコメントを記録する。

フェイスブックが、あなたについて一体どれだけ知っているのか知りたいのであれば、設定で、このオプションを見つけて、フェイスブック上の“あなたの”データのコピー・ダウンロードを試すことができる。ただし、あなたが入手するであろうZIPファイルは、かなり大きいのを覚悟しておかれるよう。それに対して、あなたはどうにも制御できない、あなたに関する情報の量は、実に度肝を抜かれるものである可能性がある。欧米ジャーナリストには、こういうことを書いている人がいる。

すると、フェイスブックは、あなたについて一体何を知っているのだろう? それを見出す過程はかなり単純だ。時間がかかるかも知れない。フォルダーは、解凍すると、かなり大きい可能性がある - 私のものは、224メガバイトで、239のフォルダーに、3,300以上のファイルがあった - だから、携帯電話では試さないほうがよろしいかも知れない。

私が入手したのは、2007年5月に、これに登録して以来、アップロードしたあらゆる写真とビデオと、私の全てのメッセージと近況だ。

我々の個人情報は、余りに長きにわたり、しばしば、かなり無節操な持ち手に所有されているので、ソーシャル・ネットワークを巡る法的枠組みが作られるべき必要性があるのは明らかであることを指摘すべきだ。そして、これはEUのみならず、アメリカ議会においても真剣に取り上げられるべきなのだ。この動きは、他の国々の立法府によっても、支持される可能性が極めて高い。

Grete Mautnerは、ドイツ出身の独立研究者、ジャーナリスト、オンライン誌“New Eastern Outlook”の独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/05/12/it-turns-out-cia-is-not-the-only-one-to-spy-on-you/

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大使館移転という暴挙。

日刊IWJガイド・番組表「<昨日のインタビュー報告>『「大災厄(ナクバ)」の日を目前に在イスラエル米大使館が移転! パレスチナの民族浄化~岩上安身による 東京経済大学 早尾貴紀准教授インタビュー(第3弾)』/本日午後6時より『平和か戦争か!? 運命の前夜の韓国へIWJ記者を特派! 十夜配信シリーズ特集・第七夜~韓国現代史のタブーも直視! 市民に開かれた「歴史問題研究所」のチャン・オナ研究員に聞く』をお送りします!/
<ご報告>5月のご寄付・カンパの金額は11日までで200万5276円です! ご支援くださっている皆様のご厚意に心から感謝申し上げます! 第8期も残り2ヶ月半、IWJに一層のご支援をお願いします!」2018.5.15日号~No.2070号~

2018年5月14日 (月)

スクリパリ親子は決して話すことを許されない可能性が高い

The Vineyard of the Saker
2018年5月11日

[本コラムはUnz Review向けに執筆したもの。]

今週は、プーチンがメドベージェフを首相に再任命し、ビビ・ネタニヤフが訪問直前、ロシア同盟国シリアを爆撃したにもかかわらず、彼を戦勝記念日パレードでモスクワに招待したことを含め大きな進展があったが、全て良くないものだった。モスクワに着くや否や、ネタニヤフは、イランを何とナチス・ドイツになぞらえたのだ。実に独創的で深遠だ! 更に彼はモスクワ滞在中に、二度目のシリア爆撃を命じたのだ。だが、日本の首相に特注の靴で食事を出すのが適切だと考えるような自己崇拝するうぬぼれ屋から他に一体何が期待できよう? この男は明らかに目茶苦茶に狂っている(だからといって、彼のあくどさや危険性が減じるものではない)。しかし、実にうんざりするのはロシアの対応だ。皆無、全く皆無なのだ。他の人々と違い、シリア(あるいはイラン)をイスラエルから“守る”のはロシアの責任ではないと、私ははっきり述べている。しかし、ネタニヤフがあからさまにプーチンを軽蔑し、プーチンがそれを受け入れたと、私は心の中で確信している。私はプーチンを大いに尊敬しているが、今回彼は、トランプがマクロンを扱ったように、ネタニヤフが彼を扱うのを許したのだ。プーチンの場合、自国の首都でそういう扱いを受けたという違いはある。それで事態は一層ひどくなる。

[興味深いことに、“ナチス・イラン”に関してぐずぐず泣き言を言いながら、ネタニヤフは、実に核心を突く、真実を語ったのだ。彼はこう言った。“重要な歴史の教訓は、残忍なイデオロギーが現れたら、人は手遅れになる前にと闘わなければならないということだ。”これは、イスラエルと、そのシオニスト・イデオロギーに関し、実際、まさに世界中の大半の人々が感じていることだが、悲しいかな、彼らの声は、彼らを支配する連中に完璧に無視されている。だから、そう確かに私には“手遅れ”になりつつあるように見え、我々の集団的臆病さの結果として、わがシオニスト最高君主について、ありのままの真実を語ることを我々の大半が完全に恐れており、我々は途方もない代償を負担することになるだろう。]

そして、もちろん、イランが完全順守しているにもかかわらず、またアメリカには、この多国間合意から一方的撤退する権限がない事実にもかかわらず、いわゆる包括的共同作業計画 (JCPOA) から脱退するドナルド・トランプがいる。誇大妄想狂で、言うまでもなく、イスラエル・ロビーの意気地のないお先棒かつぎトランプは、これらをすべて無視し、アメリカと、アメリカが、狂気じみたイスラエル追随で、アメリカ支持を強いようとして、今恐喝し、いじめるだろう世界の他の国々の間に、更なる緊張を作り出した。イスラエルについて言えば、彼らの“高度な”“戦略”は極端なまでに粗野だ。まずトランプに、イランと最大の緊張を作りださせ、更に出来るだけ露骨かつ傲慢に、シリア国内のイラン軍を攻撃して、イランを報復するようおびき出し、そこで“あらまあ!!!”とわめき、声の限りに何度かホロコーストに触れ、“600万人”という人数を投げ入れ、アメリカにシリア攻撃をさせるのだ。

人々が、一体どうしてイスラエルを尊敬、まして称賛できるのかは理解を超えている。イスラエル以上に、より卑劣で、腹黒く、反社会性人格障害の誇大妄想症悪党集団(意で気地なし)を私は思いつくことができない。あなたは思いつけるだろうか?

とは言え、シオニストが、同時に、一国ではなく、二つの(そう思われている)超大国を彼らの要求への屈伏を強いる十分な力をもっていることは否定しようがないように見える。それだけでなく、彼らには、この二つの超大国をお互い、このままでは紛争に突入する路線を進ませながら、そうさせる力があるのだ。少なくとも、これは二つのことを示している。アメリカ合州国は今や完全に主権を失い、今やイスラエル保護国だ。ロシアについては、そう、比較的良くやっているが、ロシア国民が投票で、圧倒的なプーチン支持を示した際の、完全な再主権化は実現しなかった。ロシアのチャットで読んだ、あるコメントにはこうあった。“Путин кинул народ - мы не за Медведева голосовали”翻訳すれば、“プーチンは国民を裏切った - 我々はメドベージェフに投票していない”。“国民を裏切った”が公正な言い方かどうか確信はないが、彼が多くの国民を失望させた事実は実に明白だと私は思う。

現時点で、何らかの結論を出すにはまだ早過ぎ、余りに様々な未知の変数があるが、プーチンの基本的政策に関する大きな疑念で、4年間で初めて、私は非常に懸念していることを認めよう。私は自分が間違っていることを望んでいる。比較的すぐにわかるだろう。それが大戦争という形でないことを願うばかりだ。

とりあえず、スクリパリ事件に再度焦点を当ててみたい。私が当初無視したが、実に気がかりなことになった極めて奇妙なことが一つある。イギリスが、セルゲイとユリア・スクリパリを明らかに監禁している事実だ。言い換えれば、二人は拉致されているのだ。

ユリア・スクリパリと従妹のヴィクトリアはたった一度の電話通話しかしておらず、その中で、ユリアは、自分は大丈夫だと言った(彼女がヴィクトリアを安心させようとしていたのは明らかだった)が、彼女が自由に話せなかったのは明らかだった。しかも、ヴィクトリアがユリアに会いに行きたいと言うと、ユリアは‘誰もあなたにビザを発給しない’と答えた。その後は、完全な沈黙だ。ロシア領事館は、面会できるよう無数の要求を行っているが、以来、イギリスがしたことと言えば、ロンドン警視庁に、ユリアによって書かれたものではないことが明らかな書簡を投稿させたことで、そこにはこうある。

    “私は友達や家族と連絡できますし、ご親切に、何であれ、できる限りの支援を申し出て下さったロシア大使館の具体的な連絡先も承知しています。当面彼らの支援を受けたいとは思っていませんが、考えが変わった場合、彼らとどう連絡をとるか分かっています。”

一体どういうお友達だろう?! 一体どういう家族だろう?! くだらない!

従妹は公式ルートを含め様々な経路で何度も連絡しようとしたが、全く絶望して、
彼女は下記メッセージをFacebookに投稿した。

    “親愛な従妹、ユリア! あなたは私たちと連絡をせず、あなたとセルゲイ・ヴィクトリビッチについて、私たちは何もわかりません。あなた方の承認無しで、あなたがたのことに干渉する権利がないのは分かっていますが、大変心配です。あなたと、あなたの父親のことが心配です。ヌアルのことも心配です。[ヌアルは、イギリス旅行中、ペットホテルに預けておいたユリア・スクリパリの飼い犬]。ヌアルは今ペットホテルにいて、支払いを要求されています。彼をどうするかを決めなければなりません。あなたが帰国するまで、私には彼を引き取って面倒を見る用意があります。ヌアルに加えて、あなたのアパートと自動車も気になっています。この二つの安全と維持について何も決まっていません。私たちが面倒を見てあげることはできますが、私か妹レーナの名前で、あなたの委任状が必要です。もしこうしたものが大切と思われたなら、どこの国であれ、ロシア領事館で委任状を書いてください。もしあなたがそうしなければ、それまでで、あなた方には干渉しません。
    ヴィーカ“

何の返事もない。

グーグルで、 “スクリパリ”という言葉で検索してみた。4月10日には、彼女が病院から退院したという記事があった。それが見つかった最新記事だ。Wikipediaも見てみたが、全く同じで、本当に何もないのだ。

最初にロシアの不平を聞いた際、これは大したことではないと思ったことを認めなければならない。“イギリス人は、スクリパリ親子に、プーチンが二人を毒ガス攻撃しようとしたと言い、二人はたぶん恐れており、たぶん何であれ、二人の体調を悪くしたもののおかげで、まだ具合が悪いのだろうが、イギリス人は、二人の外国人を、決して公然と拉致することはせず、まして、これほど公式な形では、そうするまいと私は考えていた。”

もはや、そういう確信はない。

まず、明らかなことを排除しよう。スクリパリ親子の身の安全に関する懸念だ。これは全くのたわごとだ。イギリスは、イギリス国内で、戦車、SASチームを待機させ、空中のヘリコプター、爆撃機などを用意して、厳重に守られたイギリス施設で、ロシア外交官との面会を手配できるはずだ。ロシア外交官は、防弾ガラス越しに電話で彼らと話せるはずだ。それに、ロシア人は実に危険なので、武器の身体検査もあり得る。スクリパリ親子が、彼なり/彼女なりに言うべきことと言えば“ありがとう、皆様のお世話は無用です”だけだ。それで会話は終わりだ。ところが、イギリスは、それさえ拒んでいる。

スクリパリ親子は悪のロシア人に大いに怯えているので、二人はきっぱり拒否しているとしよう。テレビ会議でさえ。二人にとって、実にトラウマ的なのだ。結構。

ならば、記者会見はどうだろう?

更に気がかりなのは、少なくとも私の知るかぎり、欧米商業マスコミの誰も、彼らとのインタビューを要求していないことだ。スノーデンは、ロシアから安全に話せ、大きな会議で講演さえできるのに、スクリパリ親子は誰にも語ることができないのだ。

しかし最悪なことはこれだ。スクリパリ親子をイギリス当局が完全に秘密裏に拘留して既に二カ月だ。二カ月、つまり60日間だ。尋問の専門家や、あらゆる心理学者に、60日間の“専門的治療”が人に一体どのような影響を与えるか尋ねていただきたい。

もう“拉致”に関するロシアの声明をはねつけるてはいない。私の考えはこうだ。実質的に、MH17やドゥーマの化学兵器攻撃と同様に、スクリパリ偽旗作戦は崩壊し、燃え尽きたが、MH17やドゥーマとは違い、スクリパリ親子は、その証言が、メイ政権にとってのみならず、イギリスとの“団結”を示した意気地なしのヨーロッパ人全員にとって、途方もないスキャンダルという結果をもたらす可能性がある証人だ。言い換えれば、スクリパリ親子は、おそらく決して自由に話すことを許されないだろう。二人は殺害されるか、完全に洗脳されるか、行方不明になるかしかないのだ。ほかのどの選択肢も世界規模のスキャンダルという結果を招きかねない。

セルゲイ・スクリパリに同情するようなふりをすることはできない。国に忠誠を誓い、その後、国を裏切り、イギリスに寝返った諜報職員(マスコミが書いている通り、彼はロシア・スパイではなく、イギリス・スパイだ)。現在、彼を確保しているのは、彼の元雇い主だ。だがユリアは? 彼女は完全に無辜で、4月5日時点(彼女が従妹のヴィクトリアに電話した際)、彼女は明らかに元気で、頭もはっきりしていた。今、彼女は行方不明で、彼女が決して再び現れないかも知れないこと、それとも、何カ月ものイギリスによる“カウンセリング”の後、彼女が、ある日、再び現れることのどちらがひどいのか、私には分からない。父親に関しては、彼はすでに裏切りの代償を支払っており、彼も、毒ガス攻撃され、利用され、行方不明にされるより、もっと良い運命に会う資格があるのだ。

巨大な出来事(我々の全世界に対するシオニスト戦争)の中では、セルゲイとユリア・スクリパリのような二人の個人は重要でないのかも知れない。だが、この二人と、その苦境を忘れずにいるくらいは当然だろうと私は思う。

これは我々が一体どのような世界に暮らしているのかという問題も提起する。イギリス国家が、そのような手口(連中はいつもこの手口を利用している)を用いた事実に私は驚かない。自由、多元的共存と“ヨーロッパの価値観”(それが何を意味するのであれ)がある、いわゆる欧米“民主主義”の中で、イギリスが何の罰も受けずに済んでいることに私は驚いている。

多少はスクリパリ親子と“団結”されてはいかがか - ヨーロッパ人のあなた方よ?!

The Saker

The Sakerに寄付する。

記事原文のurl:https://thesaker.is/the-skripals-will-most-likely-never-be-allowed-to-talk/
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昨日のBS-TBS週刊報道LIFEには驚いた。小選挙区制の問題を正面から取り上げたのだ。小林良彰教授のコメントも流された。
猟奇殺人事件やタレント・セクハラではなく、終日、連日、小選挙区制問題こそ報じられるべきだろう。

インチキ・データをもとに無意味な論議を強いていた自民党は、「高度プロフェッショナル制度」を強行採決するだろう。これも、小選挙区制のおかげで成立する悪法。

小選挙区制によって、25%の異様な連中に、我々は永久に搾取されつづけるのだろうか?

大本営広報部、スクリパリ事件でロシア犯行説だけを垂れ流したあと、二人の行方不明という現状を報じているだろうか?虚報を垂れ流し、洗脳するのが商売なら、知的な病気を引き起こす公害企業も同じことではあるまいか?

日刊IWJガイド・番組表「<本日のインタビュー>本日、在イスラエル米大使館がエルサレムへ移転!米国のイラン核合意離脱表明などで中東情勢が大きく揺れ動く中、本日午後4時30分より、『「大災厄」の日を目前に在イスラエル米大使館が移転!~岩上安身による東京経済大学・早尾貴紀准教授インタビュー(第3弾)』を行います!/
<新記事紹介>イスラエル兵の実弾がパレスチナ人の無防備な身体と『衝突』!? BBCはイスラエルがガザで犯した残虐行為を巧妙に正当化!早尾貴紀氏が注目したハミド・ダバシ氏「『西側メディア』と大衆欺瞞」をIWJが仮訳!/北朝鮮・豊渓里の核実験場廃棄発表!トランプ米大統領はツイッターで歓迎の意を示すも、日本は6ヶ国記者団から除外!!/裁量労働制『不適切データ問題』で自民・橋本岳議員が論点をすりかえる圧力! 国会での本格審議を前に論戦を牽制か!? ~上西充子法政大学教授と労働弁護団有志が緊急記者会見で反論!『実務家として震撼』」2018.5.14日号~No.2069号~

2018年5月13日 (日)

トランプは大災厄

2018年5月11日
Paul Craig Roberts

トランプは、環境に、野生生物に、人間に、災いをもたらす。

トランプは、保護地域内の石油採掘権や鉱業権を、公害企業に引き渡してしまった。採掘が、トランプ以前は守られていた保護地域を破壊し、石油掘削が北極野生生物国家保護区を破壊する。彼は環境汚染者連中を環境保護庁(EPA)幹部に任命し、公害産業の欲しい物リストに応じるため、規則適用を控えた。

トランプは、環境保護庁予算の23パーセント削減と、五大湖とチェサピーク湾復旧計画予算の9パーセント削減をしたがっている。彼は国有地の石油とガス探査を拡大して、国立公園の維持費にあてようとしている。しかし彼は環境年間予算と同じ金額を、シリアに対する戦争犯罪ミサイル攻撃や、イラン攻撃計画にあてるのはためらわない。

トランプが、対イラン戦争賛成論を唱えながら、国有財産を私物化し、ごく少数の環境汚染企業が、国有財産を略奪するのを許しているのは明白だ。

環境破壊は、ディック・チェイニー副大統領時代に始まったが、トランプは極端なまでの国有財産の私的略奪を可能にしたのだ。

アメリカ国民が所有する資産が、ワシントン支配層エリートのごく僅かのお友達や支持者たちに、一体どうして引き渡すことが可能なのか誰も説明してなどいない。コネのあるお友達が略奪できるようにするため、大統領や連邦政府機関のトップが、国有財産を接収する権限が、一体どの法律に書いてあるのだろう?

そういう行為を合法化する共和党が支配する最高裁判所のおかげで、公害企業は、選挙献金で競り合い、保護地域や鳥獣保護地区を略奪し荒廃させる認可を得るというのがアメリカの仕組みだ。大企業がアメリカ政府を買い取ってしまうのを、最高裁判所は、憲法上許される、言論の自由の行使だと裁定した。

既存の法律は環境収奪を阻止するものだが、法律はワシントンにとっては何の意味もない。これまでの21世紀丸々、ワシントンが、国際法に完全に違反し、常に、既存の国際法で、戦犯と規定されるものとして振る舞い続けるのを、我々は経験している。

トランプは、今やワシントンの戦争犯罪行為を強化している。イランの核不拡散を保障する多国間合意から、彼は一方的に離脱し、ボーイングなどのアメリカ企業や、無数のヨーロッパ諸国の大企業を罰することになる更なる違法な一方的経済制裁をイランに課した。トランプの外交政策は、イスラエルに支配されている。トランプは、アメリカの利益や、ヨーロッパ、カナダや、オーストラリアなど、ワシントン属国諸国の利益のために行動することができないのだ。

トランプの愚かな決定が、いつもはワシントンの言いなりで、たんまり金をもらっている傀儡、イギリス、フランスとドイツで反乱を引き起こした。ヨーロッパ人は、ヨーロッパが、ワシントンの利益ではなく、自分たちの利益を代表していた時代は、はるか昔のことだと言っている。https://www.msn.com/en-us/news/world/merkel-europe-can-no-longer-rely-on-us-protection/ar-AAx4AwV

トランプの愚かな決定で見える、希望の兆しは、それでヨーロッパが自立し、ワシントンの戦争犯罪を讃える合唱隊でいるのを止めるようになることだ。本質的にワシントンの売女男娼であるヨーロッパ政治家連中が反乱を起こし、帝国を崩壊させ、ヨーロッパの自立に至るのだろうか?

そのような展開は、プーチンがけじめをつけるのを躊躇しているのが正しいことを証明するだろう。

現状、“有志連合”は、ワシントンとイスラエルだけになった。アメリカ国民の大多数さえもが、トランプによる多国間イラン合意からの離脱を支持しておらず、戦犯ハスペルを、CIA長官に任命したことも支持しておらず、イスラエルが、対シリア戦争を継続し、イランを攻撃するのをトランプが認めていることも支持していない。

だが、あらゆる欧米“民主主義”諸国の国民は無力だ。彼らは正しいことしそうな人物を選出することが全く許されていないのだ。彼らの投票結果は、必ず、彼らや他の国々の国民を食い物にする連中を権力の座につけることになる。これが、世界中の他の人々が、欧米を、欧米諸国民自身を含め、全人類にとっての大厄災だと見なしている理由だ。

トランプが、環境に災厄をもたらすことは予想されていた。シリアから撤退し、ロシアとの関係を正常化するという彼の意図を支持して、リベラル/進歩派/左翼が結集するというのが希望だった。ネオコンと軍安保複合体に反対して、トランプを支持することで、リベラル/進歩派/左翼は、トランプによる環境攻撃を和らげるのに使える手だてを多少得られていたはずだった。

残念ながら、リベラル/進歩派/左翼は、ブレナンのCIA、コミーのFBIとヒラリーの民主党全国委員会と同調し、トランプの信頼性を傷つけ、大統領の座から排除することを狙って、巧妙に仕組まれた“ロシアゲート”疑惑にのめりこんだ。トランプに対し巧妙に仕組まれた“ロシアゲート”陰謀に、環境保護運動が加わるのを見て、私は大いに失望した。

その結果、トランプは、環境保護主義者やリベラル/進歩派/左翼から何の恩恵も受けていない。その帰結で、環境や市民的自由と平和が失われることになっている。

Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/05/11/trump-is-a-disaster/

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コネのあるお友達が略奪できるようにするため、首相や政府機関のトップが、国有財産を接収する権限が、一体どの法律に書いてあるのだろう?

洗脳作戦が本業の大本営広報部、猟奇的事件やタレント・セクハラに熱中し、TPPや種子法の深刻な問題を完全に隠蔽している。大本営広報部売国与党の共犯者。

日刊IWJガイド・日曜版「<昨日の岩上さんのインタビュー報告>

米国はイランをめぐる国際関係で孤立!? 北朝鮮の核開発問題でも中国・ロシアの動きが鍵を握る!? 岩上安身による国際情勢解説者・田中宇氏インタビュー/中東情勢関連インタビューは14日東京経済大学の早尾貴紀准教授、17日放送大学の高橋和夫名誉教授と続きます!/【種子法廃止】日本の食を守れ! 予算の確保や新たな法整備などを求め、62地方議会が国会に意見書を提出!! 野党6党は種子法復活法案を衆院に提出!」2018.5.13日号~No.2068号~

2018年5月12日 (土)

欧米は、なぜロシア人を好まないのか

2018年3月8日
Andre Vltchek
Strategic Culture Foundation

ロシアやソ連の話となると、報道や歴史的説明はぼやけてしまう。欧米で、連中はそうしており、結果的に、その全ての‘属国’でもそうだ。

おとぎ話が現実と混ざり合い、世界中の何十億人もの人々の潜在意識に、作り話が巧妙に吹き込まれる。ロシアは巨大な国で、実際領土の点で地球上最大の国だ。人口密度は極めて低い。ロシアは奥が深く、ある古典に書かれている通りだ。“ロシアを頭で理解することは不可能だ。信じるしかない。”

概して欧米精神は、未知で霊的で複雑なものごとを好まない。‘大昔’から、特に十字軍や、ひどい植民地主義者による世界の隅々への探検以来、西洋人は、略奪された土地土地で行った、自らの“高貴な行い”に関するおとぎ話を聞かされてきた。何事も明快で単純でなければならない。“有徳のヨーロッパ人が野蛮人を啓蒙し、キリスト教を流布し、実際、これらの暗く哀れな原始的な連中を救っていたのだ。”

もちろん、更に何千万人もの人々が手かせ足かせをつけられ“新世界”に奴隷としてつれてこられる過程で、何千万人もの人々が亡くなった。金銀や他の略奪品や、奴隷労働が過去(そして今でも)ヨーロッパのあらゆる宮殿、鉄道、大学や劇場をあがなったのだが、虐殺は大半の場合、何か抽象的で、欧米大衆の神経過敏な目から遙かに離れているので、それは問題にならない。

特に“善と悪”の道徳的定義のような話題となると、西洋人は平易さを好む。たとえ真実が体系的に‘改ざん’されていようとも、たとえ現実が完全にでっち上げられようとも全くかまわないのだ。重要なのは、深い罪の意識も、自己省察もないことだ。欧米の支配者たちと世論形成に影響力がある連中は、国民を - 彼らの‘臣民’ - を知り尽くしており、たいていの場合、支配者連中は国民が要求しているものを与えている。支配者と支配される人々は、概して共生しているのだ。彼らはお互いに文句を言い続けているが、だいたい彼らは同じ目的を共有している。他の人々が、その富で、その労働で、そして、往々にして、その血で、彼らために支払いを強いられているかぎり、裕福に暮らすこと、大いに裕福に暮らすことだ。

文化的には、ヨーロッパと北米の国民の大半は、自分たちの贅沢な生活のつけを払うのをいやがっている。生活が極めて‘贅沢’なことを認めることすら彼らはひどく嫌う。彼らは犠牲者のように感じるのが好きなのだ。彼らは自分たちが‘利用されている’と感じるのが好きなのだ。他の人々の為に自らを犠牲にしていると想像するのが好きなのだ.

それに何よりも彼らは本当の犠牲者を憎悪する。何十年も、何世紀にもわたって、彼らが殺害し、強姦し、略奪し、侮辱してきた人々を。

最近の‘難民危機’は、自分たちの犠牲者に対して、ヨーロッパ人が感じている悪意を明らかにした。彼らを豊かにし、その過程であらゆるものを失った人々が屈辱を与えられ、軽蔑され、侮辱された。アフガニスタン人であれ、アフリカ人であれ、中近東人であれ、南アジア人であれ。あるいは、ロシア人は独自の範疇に入れられるのだが、ロシア人であれ。

*

多くのロシア人は白人に見える。彼らの多くはナイフとフォークで食事し、アルコールを飲み、欧米の古典音楽、詩、文学、科学と哲学に秀でている。

欧米の目から見て、彼らは‘普通’に見えるが、実際には、そうではないのだ。

ロシア人は常に‘何か他のもの’を望んでいる。彼らは欧米のルールで動くことを拒否する。

彼らは頑固に違っていることを、そして孤立することを望んでいる。

対立し、攻撃された際には、彼らは戦う。

先に攻撃することはまれで、ほぼ決して侵略しない。

だが脅された場合、攻撃された場合は、彼らはとてつもない決意と力で戦い、そして彼らは決して負けない。村々や都市は侵略者の墓場に変えられる。祖国を防衛する中で、何百万人も亡くなるが、国は生き残る。しかも、決して教訓を学ばず、この誇り高く、固く決心した並外れた国を征服し、支配するという邪悪な夢を決してあきらめずに、西欧人の大群が何世紀もロシアの土地を攻撃し燃やして、それが何度も何度も起きている。

欧米では、自らを守る人々、彼らに対して戦う人々、そして、とりわけ勝利する人々は好まれない。

*

それはもっと酷いものだ。

ロシアには大変な習慣がある… 自らとその国民を守るのみならず、植民地化され略奪された国々や、不当に攻撃されている国々をも守って、他の人々のためにも戦うのだ。

ソ連は世界をナチズムから救った。2500万人の男性、女性と子供という恐ろしい代償を払いながらも、やりとげたのだ。勇敢に、誇り高く、利他主義で。こうしたこと全て、利己的でなく、自己犠牲的で、常に欧米自身の信念と真っ向から衝突し、それゆえ‘極端に危険なので’この壮大な勝利ゆえに、欧米は決してソ連を許さないのだ。

ロシア国民は立ち上がった。1917年革命で戦い勝利した。完全に平等主義の、階級の無い、人種的に偏見のない社会を作りだそうとしていたので、史上の何よりも欧米を恐れさせた出来事だった。私の最近の本書「The Great October Socialist Revolution Impact on the World and the Birth of Internationalism(大10月社会主義革命: 世界に対する衝撃と国際主義の誕生)」で書いた出来事、国際主義も生み出した。

ソビエト国際主義は、第二次世界大戦勝利の直後、直接、間接に、全ての大陸で、何十もの国々が立ち上がり、ヨーロッパ植民地主義と北アメリカ帝国主義と対決するのを大いに助けた。欧米、特にヨーロッパは、ソ連国民総体が、そして特にロシア人が、自分たちの奴隷解放を助けたことを決して許さない。

そこで、人類史における最大のプロパガンダの波が実際うねり始めたのだ。ロンドンからニューヨーク、パリからトロントまで、反ソ連の精巧に作り上げられた蜘蛛の巣や、密かな反ロシア・ヒステリーが、怪物のように破壊的な力で解き放たれた。何万人もの‘ジャーナリスト’、諜報機関職員、心理学者、歴史学者や学者たちが雇われた。いかなるソ連のものも、いかなるロシアのものも(称賛され‘でっちあげられる’ことが多いロシア 反体制派連中を除いて)許されなかった。

大10月社会主義革命と、第二次世界大戦時代前の残虐行為が組織的にねつ造され、誇張され、更に欧米の歴史教科書やマスコミの言説に深く刻みこまれた。そうした話の中では、若いボルシェビキ国家を破壊することを狙って、欧米によって行われた残忍な侵略や攻撃については何も書かれていない。当然、イギリス、フランス、アメリカ、チェコ、ポーランド、日本、ドイツや他の国々のぞっとするような残虐行為には全く触れられていない。

一枚岩の一方的な欧米プロパガンダ言説中に、ソ連とロシアの見解が入り込むことは全く許されないのだ。

従順な羊同様、欧米大衆は、与えられる虚報を受け入れてきた。最終的に、欧米植民地や‘属国’で暮らす多くの人々も、同じことをした。大変な数の植民地化された人々は、その窮状を、自分たちのせいにするよう教えられてきた。

極めて不条理ながらも、どこか論理的なできことが起きた。ソ連に暮らす多くの男性や女性や子供たちまでが欧米プロパガンダに屈したのだ。不完全ながらも、依然、大いに進歩的な自分たちの国を改革しようとするかわりに、彼らはあきらめ、冷笑的になり、積極的に‘幻滅し’、堕落し、素朴にも、しかし、とことん親欧米派になったのだ。

*

これは、歴史上、ロシアが欧米に打ち破られた最初で、最後である可能性が極めて高い。欺瞞によって、恥知らずのウソによって、欧米プロパガンダによって、それが起きた。

続いて起きたことは、大虐殺とさえ表現できよう。

ソ連は、まずアフガニスタンに誘い込まれ、更に現地での戦争によって、アメリカ合州国との軍拡競争によって、そして様々な敵対的な欧米の国営ラジオ局から文字通り溶岩のように流れ出すプロパガンダの最終段階によって、致命的に傷ついた。もちろん国内の‘反体制派’も重要な役割を演じた。

欧米の‘役に立つ馬鹿’ゴルバチョフのもとで、事態はひどく奇怪なことになった。彼が自分の国を破壊するために雇われていたとは思わないが、彼は国を追い詰めるためのありとあらゆることを実行した。まさにワシントンが彼にして欲しいと望んでいたことを。そして、世界の目の前で、強力で誇り高いソビエト社会主義共和国連邦は突然苦痛に身を震わせ、更に大きな叫び声を放って崩壊した。苦しみながらも、すばやく死んだ。

新しい超資本主義、盗賊、オリガルヒ支持で、当惑するほど親欧米のロシアが生まれた。ワシントン、ロンドンや他の欧米の権力中心から愛され、支持されたアル中のボリス・エリツィンに支配されたロシアだ。

それは全く不自然な、病めるロシア - 身勝手で冷酷な、誰か他の連中のアイデアで作りあげられた - ラジオ・リバティとボイス・オブ・アメリカ、BBC、闇市場、オリガルヒと多国籍企業のロシアだった。

欧米は、ロシア人がワシントンで何かに‘干渉している’と今、大胆不敵に言うのだろうか? 連中は狂ったのだろうか?

ワシントンや他の欧米の首都は‘干渉’しただけではない。彼らはあからさまにソ連をばらばらにし、更に連中は、その時点で半ば死んでいたロシアを蹴飛ばし始めた。これは全て忘れさられたのか、それとも欧米の大衆は、あの暗い日々に起きていたことに、またしても全く‘気がつかなかった’のだろうか?

欧米は、困窮し傷ついた国に唾棄し、国際協定や条約を順守することを拒否した。欧米は何の支援もしなかった。多国籍企業が解き放され、ロシア国営企業の‘民営化’を始め、基本的に、何十年にもわたり、ソ連労働者の汗と血によって築き上げられたものを盗みとっていった。

干渉? 繰り返させて頂きたい。それは直接介入、侵略、資源略奪、恥知らずな窃盗だ! それについて読んだり、書いたりしたいのだが、もはやそれについて多くを聞けなくなっているのではなかろうか?

今、ロシアは被害妄想だ、大統領は被害妄想だと言われている! 欧米は真顔でウソをついている。ロシアを殺そうとしてきたのではない振りをしているのだ。

あの時代… あの親欧米時代、ロシアが欧米の準属国、あるいは半植民地と呼ぼうか、になった時代! 外国からは一切、慈悲も、同情もなかった。多くの阿呆連中 - モスクワや地方の台所インテリたちが - 突然目覚めたが遅すぎた。彼らの多くが突然食べるものが無くなったのだ。彼らは要求するように言われていたものを得た。欧米の‘自由と民主主義’と、欧米風資本主義、要するに、完全崩壊を。

‘当時’がどうだったか良く覚えている。私はロシアに帰国するようになり、モスクワ、トムスク、ノヴォシビルスク、レニングラードで働きながら、不快な目にあった。ノヴォシビルスク郊外のアカデム・ゴロドクから来た学者たちが、酷寒の中で、暗いノヴォシビルスクの地下鉄地下道で蔵書を売っていた… 銀行取り付け… 老いた退職者たちが飢えと寒さで亡くなっていた、コンクリート・ブロックのがっしりしたドアの背後で… 給料が支払われず、飢えた炭鉱夫たち、教師たちが…

最初で、願わくは最後に、ロシアは欧米の死の抱擁を受けたのだ! ロシア人の平均余命は突然、サハラ砂漠以南のアフリカ最貧諸国の水準に落ちた。ロシアは酷い屈辱を与えられ、大変な苦痛を味わった。

*

だがこの悪夢は長くは続かなかった。

ゴルバチョフとエリツィンの下で、しかし何よりも欧米による命令下のあの短いながらも恐ろしい年月に起きたことは、決して忘れられず、 決して許されまい。

ロシア人は、もはや決して望まないものを、はっきり理解している!

ロシアは再び立ち上がった。巨大な、憤って、自分の人生を自分のやり方で生きると固く決意した国が。困窮し、屈辱を受け略奪され、欧米に従属していた国が、わずか数年で自由で独立した国となったロシアは、再び地球上で最も発展した強力な国々に加わった。

そして、ゴルバチョフ以前のように、欧米帝国による、不当で非道な攻撃を受けている国々を、ロシアは再び助けることができるようになった。

このルネサンスを率いている人物、ウラジーミル・プーチン大統領は手強いが、ロシアは大変な脅威を受けており - ひ弱な人物の時期ではない。

プーチン大統領は完璧ではない(実際、完璧な人がいるのだろうか?)が、彼は本物の愛国者で、国際主義者でもあると、あえて言いたい。

現在欧米は、再びロシアと、その指導者の両方を憎悪している。何の不思議もない。ワシントンと、その副官連中にとり、無敗で強く自由なロシアは想像できる限り最悪の敵なのだ。

これは、ロシアではなく、欧米の感じ方だ。これまでロシアに対してなされたあらゆることにも関わらず、何千万人もの命が失われ、破壊されたにもかかわらず、ロシアは常に、妥協し、忘れるのではないにせよ、許しさえする用意ができている。

*

欧米の精神には酷く病的なものがある。欧米は完全無条件服従以外のいかなるものも受け入れることが出来ないのだ。欧米は支配していなければならず、管理していなければならず、あらゆることの頂点でなければならないのだ。自分たちは例外だと感じなければならないのだ。地球全体を殺戮し、破壊する際でさえ、世界の他の国々に対し、自噴たちがより優れていると感じると主張するのだ。

例外主義というこの信念は、もう何十年も、実際には現地でいかなる重要な役割も果たしていないキリスト教以上に、遙かに欧米の本当の宗教なのだ。例外主義は狂信的で、原理主義で、疑問の余地がないものなのだ。

欧米は、自分たちの言説が世界のどこであれ得られる唯一のものだとも主張する。欧米は道徳の指導者、進歩の指針、唯一の資格ある裁判官兼導師と見なされるべきなのだ。

ウソの上にウソが積み重なっている。あらゆる宗教同様、似非現実が不条理であればある程、それを維持するのに使われる手法は益々残酷で過激なものとなる。でっちあげが、ばかばかしければ、ばかばかしい程、真実を抑圧するのに使われる技術は益々強力になる。

現在、何十万人もの‘学者’、教師、ジャーナリスト、芸術家、心理学者や他の高給の専門家が、世界の至るところで、帝国に雇われている、たった二つの目的のために - 欧米の言説を称賛し、その邪魔をするありとあらゆるもの、あえて異議を唱えるものの信頼を損なうために。

ロシアは欧米から最も憎悪されている敵対者で、ロシアの緊密な同盟国中国はほぼ第二位だ。

欧米が仕掛けるプロパガンダ戦争が余りに狂っており、余りに激しいので、ヨーロッパや北米市民の一部の人々さえもが、ワシントンやロンドンや他の場所から発せられる話を疑問視し始めつつある。

どこを見回しても、とんでもないウソ、半ウソ、半真実のちゃんぽんだらけだ。複雑で、先に進みようのない陰謀論の沼だ。アメリカの内政に干渉し、シリアを守っているかどで、無防備で、恫喝されている国々を支持しているかどで、強力なメディアを持っているかどで、運動選手へのドーピングのかどで、依然として共産主義者であるかどで、もはや社会主義ではないかどで、ロシアは攻撃されつつある。要するに、ありとあらゆる想像可能なことや、想像を絶することで。

ロシア批判は実に徹底的に不条理なので、人は極めて正当な疑問を問い始める。“過去はどうなのだろう? 過去のソ連、特に革命後の時期と、二度の世界大戦間の時期に関する欧米の言説は一体どうだったのだろう?”

この現在の欧米の反ロシアと反中国プロパガンダを分析すればするほど、ソ連史に関する欧米の言説について研究し、書きたいという決意が強くなる。将来、この問題を、友人たち、ロシア人とウクライナ人の歴史学者たちと必ず調べることを計画している。

*

欧米の目から見ると、ロシア人は‘反逆者’なのだ。

過去も、現在も、彼らは略奪者に与するのではなく、‘世界の惨めな人々’の側に立ち続けてきた。祖国を売ることを、自国民を奴隷にすることを拒否した。彼らの政府は、ロシアを自給自足の完全に独立した繁栄する誇り高く自由な国にするために、できる限りのあらゆることをしている。

世界の独特な部分では、‘自由’や‘民主主義’や他の多くの言葉が全く違うものを意味することを想起されたい。欧米で起きていることは、ロシアや中国では決して‘自由’とは表現されないし、逆のことも言える。

ヨーロッパや北アメリカの挫折し、崩壊しつつあり、ばらばらになった利己的社会は、もはや自国民すら鼓舞できない。彼らは、毎年何百万人も、アジアや、中南米や、アフリカにまで脱出しつつある。空虚さ、無意味さや、心情的な冷たさから逃れてゆくのだ。だが、彼らに生き方や、良くない生き方を教えるのは、ロシアや中国の仕事ではない!

一方、ロシアや中国のように偉大な文化は、自由とは何かやら、民主主義とは何かなどと、西洋人に教えられる必要もなく、教えられたくもないのだ。

彼らは欧米を攻撃してはおらず、同じ見返りを期待している。

何百もの大虐殺に、あらゆる大陸の、何億人もの殺害された人々に、責任がある国々が、いまだに人に図々しくお説教を垂れているのは実になさけないことだ。

多くの犠牲者たちは、おびえる余り発言できない。

ロシアはそうではない。

優しいながらも、必要とあらば自らを守ると固く決意した人々で構成されている。自分たちも、この美しいながらも、酷く傷つけられた地球上で暮らしている他の多くの人類も。

ロシア文化は壮大だ。詩、文学作品から、音楽、バレー、哲学に至るまで… ロシア人の心は柔らかで、愛と優しさで働きかけられれば容易に溶ける。だが何百万人もの無辜の人々の命が脅かされると、ロシア人の心も筋肉も素早く石と鋼へと変わるのだ。勝利だけが世界を救えるそのような時期、ロシアの拳は固くなるが、ロシア兵器についても同様だ。

加虐的ながら臆病な欧米には、ロシア人の勇気にかなうものはいない。

不可逆的に、希望も未来も東に向かって移動しつつある。

そして、それこそが、ロシアが欧米からしゃにむに憎悪される理由だ。

アンドレ・ヴルチェクは、哲学者、小説家、映画製作者で、調査ジャーナリスト。「Vltchek’s World in Word and Images」の制作者で、革命的小説『オーロラ』や、他に何冊かのの作家。オンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/03/08/why-the-west-cannot-stomach-russians/
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加藤周一『羊の歌』余聞 には、「一九四〇年の想出」という文章がある。
92~96ページ

一部を引用させていただこう。

 近頃しきりに私は一九四〇年を想い出している.その年の初めに、民政党の代議士斉藤隆夫が帝国議会で日本の中国侵略政策を批判した。その少数意見を抹殺しようとして、議会は議事録から演説を消し、斉藤を除名した。そのとき、社会大衆党は、除名決議に反対した八人の同党代議士を除名し、しばらく後に解党する。

中略

翼賛議会の、外では何が起こったか。第一に組合が解散した。まず日本労働総同盟、つづいて大日本農民組合。第二に、文学芸術の世界でも、批判的な言論は一掃された。新協劇団と新築地劇団の強制的解散がその典型である。第三に、学問の自由が奪われ、津田左右吉の『神代史の研究』は発禁処分となり、著者と出版者は起訴された。そういうことがあって、一九四〇年は「紀元二千六百年」の式典で終わる。

中略

 異なる意見を統一しようとするのは、反民主主義的である。民主主義をまもるためには、意見の相違を尊重し、批判的少数意見の表現の自由を保障しなければならない。多数意見が現在の問題であるとすれば、少数意見は未来の問題である。少数意見が多数意見となる他に、現在と異なる未来はあり得ない。たとえば、一九四〇年の少数意見が多数意見となったときに、戦後日本の民主主義は成りたった。一九九四年現在の批判的な少数意見が多数意見となるとき、またそのときにのみ、なしくずしの軍拡と民主主義の後退という現在の延長ではない日本国の未来がひらけるだろう。
しかし分散した個人や小グループの少数意見は、いつ多数意見になるだろうか。それはわからない。しかしそのための必要条件ー十分条件ではないだろうがーの一つは、分散した批判的市民活動の、少くとも情報の交換という面での、横のつながりをつくりだすことである。同じようなことを考えたり、したりしている人々が、他にもいるということの知識ほど、信念や活動を勇気づけるものはない。そのために「パソコン」は利用することができる。「マス・メディア」も利用することができるだろう。そういう条件は一九四〇年にはなかった。私は昔私が若かったときの軍国日本を想い出しながら、夕陽のなかで、このような妄想を抱くのである。

この文章が書かれたのは、1994年11月21日。
もちろん彼が悪いわけではないが、残念なことに、最後の部分現在大きく劣化している。

そのために「パソコン」は利用することができるが、主要検索エンジンは、アルゴリズムを反対派排除のため徹底的に改悪しており、大手ソーシャル・メディアは監視・情報収集・世論誘導機関と化している。大本営広報化した「マス・メディア」には、洗脳されるばかりだろう。そういう条件は一九四〇年にはなかった。私は経験したことのない軍国日本を想いながら、夕陽のなかで、その予兆のような妄想を抱くのである。

というわけで、いつもの通り、IWJにお世話になる。

日刊IWJガイド・番組表「【本日のインタビュー配信に関するお知らせ】本日午後2時30分開始の岩上安身による国際情勢解説者・田中宇氏インタビューは冒頭のみフルオープンで、途中から会員限定で配信します。ご視聴方法は下記よりご確認ください。/<本日の岩上安身のインタビュー>中東関連インタビュー3連発!第1弾!本日午後2時30分より、『米国はイランをめぐる国際関係で孤立!? 北朝鮮の核開発問題でも中国・ロシアの動きが鍵を握る!?岩上安身による国際情勢解説者・田中宇氏インタビュー』を配信します!/
米朝首脳会談の日時をトランプ米大統領がツイッター上で発表! 支持者へ向け『核戦争勃発なんかフェイクニュースだ!』/見逃した方はぜひ会員登録の上、アーカイブ動画で!~裁量労働制「不適切データ問題」で自民・橋本岳議員が論点をすりかえる圧力!国会での本格審議を前に論戦を牽制か!? 5.11上西充子法政大学教授と労働弁護団有志が緊急記者会見で反論! 」2018.5.12日号~No.2067号~

IWJ Independent Web Journal - 岩上安身責任編集

 

 

2018年5月11日 (金)

(‘宥められた’レバノン経由の)イスラエルによる残虐な対シリア攻撃

2018年5月1日
Andre Vltchek

ホムスのシリアT-4空軍基地に対するイスラエル空軍によるきわめて残忍な攻撃で:少なくとも14人が死亡した。

4月9日、イスラエルのF-15戦闘機が、これまで何度もしてきたと同様、国際法を完全に無視してレバノン領空を飛行した。

イスラエルとレバノンは法的には戦争状態にあり、最近の行為は、すぐさま、もう一つの破廉恥な挑発と見なすことが可能だ。どうやら、サウジアラビアやイスラエルなどの欧米の同盟国が、どの様な恐怖を地域中で広めると決めようとも、連中の行動は常に罰されることがないようだ。

踏んだり蹴ったりで、欧米マスコミは、イスラエルを非難するどころか、案の定なさけない奴隷根性で、ダマスカス政府に向かってわめき始め、‘特派員’の中には、アサド大統領を“けもの”呼ばわりするものもいる(The Sun、2018年4月9日)。

過去何度か残虐なイスラエル侵略で苦しめられ、イスラエルが通常‘パレスチナ’と呼んでいるレバノンは、今回の領空侵犯に対し、余り大げさに抗議しないと決めた。シリア攻撃に反対するレバノン外務省声明と並んで、レバノンは国連安全保障理事会に訴えると主張する個別のレバノン政治家による声明がいくつかある。とは言え大半の声明はアラビア語のものしかない。人が期待するような断固とした対応は全くない。

レバノンのベイルートを本拠とする、イラク人教育者で、テレビ司会者のゼイナブ・アル-サッファル女史は、この件について、こう語ってくれた。

“こういうことは今回が初めてではありません。イスラエル軍はレバノンの領空や領土や領海を侵害してきました。[イスラエルによる]レバノン領侵害は、何か‘いつものこと’になっています。彼らはシリア領を攻撃するために、レバノン領空を利用していたのですから、今回起きたことは目に余る侵入であり、おとがめなしで済まされるべきではありません。国連は、報告を書いて、数値を記入すること以上の何かをするべき時だと思います。これは極めて深刻な状況です。第三国を攻撃するために、隣国領空利用は、あからさまな犯罪です。”

*

レバノンの抗議は一体なぜ、もっと大きな反響がないのだろうか?

理由はいくつかある。その一: レバノンは最近、‘パリ会議’で、大半が、欧米から110億ドル以上にのぼる融資で構成される大規模契約を‘手に入れた’のだ。

その二: レバノン‘エリート’のうち、かなりの部分が欧米の指図を受けるのに慣れている。欧米に彼らの別荘があり、親類が暮らし、永住権証明書が発行されている。

遥かに大規模な戦争が近づいているのかも知れない。アメリカもヨーロッパも、シリアを直接攻撃する準備ができている可能性が極めて高い。この重要な時期に、レバノン支配者は日和見的に、誰に忠誠を尽くすかを示している。荒廃した中東の人々にではなく、パリ、ロンドンやワシントンに。

だが最初の点、金に戻ろう。ロイターはこう報じている。

融資パッケージは、102億ドルの融資と、8億6000万ドルの助成金で構成されており、フランスの駐レバノン大使、ブルノ・フーシェは、ツイッターにこう書いた…

融資側は、引き換えに、レバノンには、長いこと停滞していた改革を約束して貰いたい。こうした要求を考慮して、サード・ハリーリー首相は、今後五年間で、GDPの率で、5パーセント予算の赤字を削減すると誓った。

記者会見で、マクロン大統領はハリーリー首相に、支援は、レバノンに新規まき直しの機会を与えることを狙ったものだと語り、これは、レバノン当局にレバノンで、改革を実行し、平和を維持するという“未曾有の責任”を負わせるものだとも述べた。

“今後、改革を継続することが重要だ”とマクロンは述べ、“我々は貴国の味方だ”と言った。

フランスのジャン=イヴ・ル・ドリアン外務大臣は会議で述べた。“… レバノンは、構造的そして分野的な、大規模経済改革が必要だ。”

‘構造改革’が重要な単語だ。レバノンの手を更に縛るだろう、この破廉恥な融資は、レバノンの現状満足を確実にするだろう。欧米が、地域で軍事的猛攻撃の新たな波を始める用意が出来ているまさにその時期の、経済的、政治的服従だ。

レバノンには、ほとんど透明性は無いので、融資が、苦しんでいる国民の生活水準を改善するために使用される保証はほとんどない。レバノンにおける腐敗は蔓延しており - 制度化されていて - もはや‘腐敗’とさえ呼ばれないことが多いくらいだ。

社会事業はほとんど存在していない。ここでの対照は実にすさまじい。フェラーリ やランボルギーニや、法外に高価なヨットが、全くの窮乏と、少なくとも定期的ごみ収集のような社会事業の欠如と並んで共存しているのだ。

多くの欧米諸国のいわゆるテロリスト・リストに載っている組織、ヒズボラは、レバノンで唯一、頼れる社会事業の供給源であることが多い。

今や欧米は、益々多くのネオリベラル‘改革’を要求するだろう。社会目的のものは、ほぼ何も建設されるまい。資金は恥知らずのレバノン人‘エリート’や‘指導者連中’の懐に消えるだろう。レバノンの金持ち連中はほとんど税金を支払わないので、融資の利子を支払うよう期待されているのは、貧しい人々だ。

連中の戦利品と引き替えに、多くのレバノン人政治家は、ワシントンやフランス(レバノンの元宗主国)のシリアや地域の他の国々に対するネオリベラルで、益々新植民地主義的な政策を含め、地域に対する欧米の方針に更に従うことを余儀なくさせられる。

*

そして国境の向こうでは、戦争は依然猛威を振るっている。現在、ワシントンとロンドンは‘懲罰行動'を約束している。この小さいながら、強く誇り高い国への侵略、不安定化、そして最後には破壊を正当化するためだけに、明らかに、ねつ造された/でっちあげられたものに対して‘シリアを叱責するため’。

ベイルートとダマスカスの両方で暮らしている、あるシリア知識人が、この記事のために、彼の分析を聞かせてくれた。ただし、レバノンと欧米双方からの跳ね返りが恐ろしいので、匿名にしておくよう要求された。

攻撃は、シリア軍がダマスカス郊外でテロ集団に対する戦闘で勝利している時に、行われており、攻撃は、こうした勝利に対する、遠回しの答えだとも解釈可能だ。T4空軍基地は、シリア国内のISIS残党に対する戦闘に深く関与しているので、これは危険な動きでもある。この攻撃は主権国家に対する容認しがたい侵略で、国際法違反だ。これは、イスラエルが、シリア領で活動している様々なテロリスト集団を直接、間接に支援していることも示している。

*

ところが、欧米の主要マスコミが広めている注釈は、益々、あらゆる論理を無視している。連中は次第に、人種差別主義者、白人至上主義者になりつつあるのだ。そう、実際、今や連中は、過去何世紀ものヨーロッパによる、次に北アメリカによる植民地主義の間、常にそうであったものになっている。

ガーディアン記事をお読み願いたい - “シリアで、イスラエルは無数の攻撃を行った。目新しいのは、ロシアの対応だ”:

“主に、ゴラン高原でのイランが支援するヒズボラ軍や兵器の増強から国境を守るため、イスラエルは、シリア国内への多数の攻撃を行った。イスラエルは、原則として、シリア国内のアルカイダや「イスラム国」陣地は攻撃していない。

これまでの全ての攻撃で、2015年に、バッシャール・アル・アサド政権を守るため軍隊を派兵して以来、シリア領空を支配しているロシアは見て見ぬ振りをしている。シリア内のイスラエル権益は、主として、シリア南西部でのイランが支援する軍隊の駐留を制限することで、ロシアによって守られるという合意があるのだ。イスラエルの心配は、ゴラン高原のシリア側へのアクセスで、ヒズボラが、イスラエル国内を攻撃するのが可能になることだ。”

少なくとも、ガーディアンは、アサド大統領が自国民を毒ガス攻撃しているという欧米のでっち上げを信じている振りはしていない。

だが、記事は明らかに、独立国家に対する、イスラエルによるテロ攻撃を正当化し、論理を見いだそうとしている。

‘可哀想なイスラエル - ‘ゴラン高原のヒズボラ部隊と兵器’を心配しているのだ。

しかし、ゴラン高原は、国際法上、シリアの不可分の一部だ。繰り返そう。あらゆる国際規範上! 国連安全保障理事会国連決議497を含め。1981年の、いわゆる‘六日戦争’中、ゴラン高原は、イスラエルに攻撃され、占領され、無理矢理(しかも無期限のように見える)併合された。

私はゴラン高原を訪れた。5日ほど前、数日間、密かに、そこで仕事をした。私がそこで見たものは、本物の恐怖だ。古代からの村々は完全に破壊され、元々の住民の大半は自分の土地から追放され、イスラエルが雇ったスパイや工作員が、訪問者に手当たり次第近寄り詮索する。至る所、鉄条網と高いコンクリートの壁で守られた裕福なイスラエル農業企業が散在していた。南アフリカ・アパルトヘイト時代のアンゴラかナンビアで仕事をしているような感じだったが、あるいは、おそらく、それより酷い。分断されたコミュニティー、奪われた土地、電線と、遍在する恐怖と抑圧。

ところが現在‘心配し’‘治安’という名目のもと人々を殺害する権利を持っているのはイスラエルなのだ。欧米の主要定期刊行物が明らかに示唆しているのは、まさにこの調子なのだ。

1981年に、イスラエルは、1000キロ平方以上のシリア領を盗み取り、今や犠牲者を情け容赦なく爆撃しているのだ。レバノン領から、自分の‘安全と治安’を確保するため。イスラエル軍によって何度か侵略された国レバノン領から、イスラエルはこれを行っているのだ。

そして、欧米は喝采している。

*

もちろんイスラエルは、同盟国のアメリカ合州国、イギリスとマクロンのフランスから、支援も激励も享受しているので、全くとがめられることなく行動している。

レバノンはバニックになっている。レバノンの‘エリート連中’は、生き延び、欧米を怒らせないようにしている。

シリアは、鉄の神経を持っているように見えることが良くある。

彼らは懸念しているが、彼らの土地を一インチたりとも侵略者に与えまいと固く決意している。

この記事を投稿するわずか数時間前に、ダマスカスの私の友人がこう書いてきた。

“人々は心配し、絶えずニュースを確認しています。兄が皆で一ヶ月、より安全なサフィタに行こうと言います。我々がそうするかどうかわかりませんが、我々は状況をしっかりモニターしています。”

シリア現地の同僚や同志たちは怒っている。大いに怒っている。彼らは欧米が広めているウソを容易に見破れる。

ベテラン記者のヴァネッサ・ビーリーが、シリア政府が自国民に対して化学兵器を使用しているという非難を、はっきり否定している。私は彼女とその分析を完全に信じている。

イスラエルは勇敢なシリアを爆撃しようとしている。アメリカとヨーロッパも、間もなく、本当に間もなく、この記事が印刷に回る前にさえ、攻撃すると決めるかも知れない。

だが今は2018年で、何のおとがめも無しに、欧米が殺害し、強姦することができた、あの暗黒時代ではない。もし今、攻撃が行われれば、反撃があるだろう。完全に正当化され、断固とした強力なものだ。

そうなれば、ちっぽけなレバノンでさえ、立場を決めなければならなくなるだろう。

アンドレ・ヴルチェクは哲学者、作家、映画制作者、調査ジャーナリスト。彼は、Vltchek’s World in Word and Imagesを制作しており、革命的小説『Aurora』や他のを書いている。オンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/05/01/israels-murderous-strike-on-syria-via-pacified-lebanon/

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彼の記事、どなたか一流の翻訳者によるものを、マスコミで拝読したいと思いながら、ひどい翻訳をお目にかけている。

マレーシアの選挙結果にはびっくり。多少期待はしていたが。

またしても茶番の参考人招致。ウソのオンパレード。
額面通り受け取る人がいれば、正気とは言えまい。

解放された米国人を載せた飛行機は属国の基地で給油。

そして殺人事件。

対照的に、自衛隊幹部が国会議員を罵倒した話題を大きく扱う大本営広報部はない。扱わないのがお仕事だろう。

加藤周一『羊の歌』余聞 ちくま文庫をふと再読し、「それでもお前は日本人か」の内容が相似していることに驚いている。

「それでもお前は日本人か」同書135ページから、139ページ。一部引用させて頂こう。

  昔一九三〇年代の末から四五年まで、日本国では人を罵るのに、「それでもお前は日本人か」と言うことが流行っていた。「それでも」の「それ」は、相手の言葉や行動で、罵る側では「それ」を「日本人」の規格に合わないとみなしたのである。その規格は軍国日本の政府が作ったもので、戦争を行うのに好都合にできていた。

中略

当時東大法学部の学生であった橋川文三とその同級生の一人が、白井─当時海軍軍令部に勤めていた─に食ってかかり、「きみ、それでも日本人か」と言いだした。そのきっかけはわからないが、白井は落ち着いて、「いや、まず人間だよ」と答えたという。そこで自分たちが、「まず日本人だ」という主張と「まず人間だ」という主張が対立して、問答がおよそ次のように続いた。
「まず人間とは何だい。ぼくたち、まず日本人じゃあないか」
「違うねえ、どこの国民でも、まず人間だよ」
「何て非国民!1まず日本人だぞ」
「馬鹿なことをいうなよ。何よりもさきに、人間なんだよ」
というところで、橋川とその友人の二人が殺気だち、「そんな非国民、たたききってやる」と叫ぶ。同席した友人たちが間に入って暴力の行使には到らなかったが、「これはいつまでも記憶に残って消えませんでした」と宗左近氏は書いている。

中略

今あらためて宗左近氏の本を読み、初めて知ったこの問答は、四五年以前の日本国において、実に典型的であった。「それでも日本人か」は修辞的質問にすぎず、実は「それならば日本人ではない」というのと同義である。すなわち「非国民」。相手を「非国民」と称ぶのはほとんど常に、「まず日本人」主義者であり、「まず人間」主義者ではなかった。また論争から暴力による威嚇または暴力の行使へ飛躍することが早いのも、前者の特徴で、後者の特徴ではなかった。

中略

  「まず日本人」主義者と「まず人間」主義者との多数・少数関係は、四五年八月を境として逆転した─ように見える。しかしほんとうに逆転したのだろうか。もしそのとき日本人が変ったのだとすれば、「それでもお前は日本人か」という科白をこの国で再び聞くことはないだろう。もしその変身が単なる見せかけにすぎなかったとすれば、あの懐しい昔の歌が再び聞こえてくるのも時間の問題だろう。あの懐しい歌!「それでもお前は日本人か」をくり返しながら、軍国日本は多数の外国人を殺し、多数の日本人を犠牲にし、国中を焼土として、崩壊した。その反省から成立したのが日本国憲法である。その憲法は人権を尊重する。人権は「まず人間」に備るので、「まず日本人」に備るのではない。国民の多数が「それでも日本人か」と言う代りに「それでも人間か」と言い出すであろうときに、はじめて、憲法は活かされ、人権は尊重され、この国は平和と民主主義への確かな道を見出すだろう。

スネ夫は、いつでも、ジャイアン様がたより。

日刊IWJガイド・番組表「相談や指示など総理の関与はなく、秘書官の独断で官邸での面会に応じた!? 自治体職員は発言しなかったので記憶に残っていなかった!? 柳瀬唯夫元総理秘書官が国会予算委へ参考人招致/米朝首脳会談に向けた一歩!北朝鮮が拘束していた米国人3人を解放 !トランプ夫妻が出迎え!他国頼みの安倍総理に金正恩委員長『なぜ日本は直接言ってこないのか!?』/<新記事紹介>中朝首脳会談は『外交ショー』!? 経済的な安定が金体制の維持につながる!?  それとも、もうひとつの衝撃のシナリオ、米中合意によるタフト・桂覚書バージョン2の実現で台湾と北朝鮮が『交換』される!?」2018.5.11日号~No.2066号~

2018年5月10日 (木)

ワシントンはアルメニアで実際何をしているのか?

2018年5月3日
F. William Engdahl

旧ソ連邦のアルメニア全土で最近続いている抗議行動は、もう一つのワシントンによるカラー革命不安定化なのか、それともセルジ・サルキシャン首相政権下での酷い腐敗と経済発展の欠如にうんざりした単なる国民の怒りの反乱なのかという憶測が、ここしばらく大きな話題になっている。大規模抗議行動が連日続いた後、4月23日、首相は“ニコル・パシニャンが正しかった。私は間違っていた”と宣言して辞任を強いられた。アルメニアは、ロシアのユーラシア経済連合の重要なメンバーであり、それが親NATO野党の支配下におかれるようなことになれば、モスクワにとって、控えめに言っても、戦略的問題が生じかねない。事態は深刻だ。

皮肉にも、形式上、抗議行動を引き起こしたのは、サルキシャンが、トルコのエルドアンが行ったことの逆を、自分で行った結果なのだ。彼と議会の与党が、大統領府から、儀礼的役割以外のあらゆる権限をはぎ取り、実際の決定権限を、首相に与えることに成功していたのだ。彼自身が首相になる前に、彼はこれをやりおおせていた。これまでの所、ロシアはアルメニア内政に干渉しないという声明の後、続行中の抗議行動に対するモスクワの対応は、明らかに沈黙だ。

現時点では、サルキシャンが、首相を辞任し、5月1日の議会選挙で、パシニャンの対抗候補として出馬していない事実にもかかわらず、パシニャンは首相任命に必要な多数決が得られなかった。この記事を書いている時点で、“平和な市民的不服従”による交通と政府庁舎の完全遮断を、彼は呼びかけた。首相承認投票が失敗したことが発表された後、彼は議会前の群衆にこう語った。“明日はゼネストが宣言される。08:15から、我々は全ての道路、通信、地下鉄、空港を封鎖する。我々の戦いは失敗で終わるわけには行かない。”

カラー革命?

一体どのような証拠が、モスクワにとって戦略上重要な国へのワシントンの直接介入を示しているだろう? 第一に、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティー財団-アルメニアのエレバン事務所という確立された存在があることだ。4月17日、反政府抗議行動の規模が拡大する中、いくつかのNGOが、まず確実に政府が支援している抗議行動妨害者連中を突き止めたと警告し、 平和な抗議行動参加者に対して、彼らを配備しないよう警告する政府に対する公開書簡に署名した。

呼びかけには、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティー財団により、一部の資金供給を受けているヘルシンキ委員会の一環、アルメニア・ヘルシンキ委員会も署名した。呼びかけには、ソロスのオープン・ソサエティー財団 - アルメニアも署名した。

2月に、ソロスのソロスのオープン・ソサエティー財団-アルメニアは、“若者、若い活動家やジャーナリストを引きつけることを目指す。アルメニアの確立した人権擁護活動家と、アルメニア共和国国民の権利を擁護する上で、更なる専門知識を得ることに興味がある若い世代の活動家の架け橋として機能する”よう作られた欧州連合との共同プロジェクトを発表した。

対アルメニア政府警告声明への署名者に、自らを「国境なき権利保護NGO」と称するアルメニアNGOがある。このNGOも、ソロスのOSF-アルメニアのみならず、EUや、私が最新刊、Manifest Destiny: Democracy as Cognitive Dissonanceで、アメリカ政府の政権転覆不安定化カラー革命につながっていることが多いと書いた組織アメリカ国務省USAIDからも資金提供を受けていることが判明している。

オープン・ソサエティー財団-アルメニアや他の組織が、エレバンの街頭で展開している出来事に直接つながるそのような声明に署名している事実は、少なくとも、学術的関心以上のものが、拡大する抗議行動にあることを示唆している。

アルメニア国内における他のアメリカを本拠とするNGOの役割はどうだろう? 1980年代に設立された主要なアメリカの政権転覆NGO、創設者の一人、アラン・ワインステインの言葉によれば、CIAが行っていたことを民間で行うものである全米民主主義基金は、助成金という点で、協力的ではなくなっている。とは言え、いくつかの研究で、NEDも、アルメニアにおける法の支配と政府の説明責任推進から、“EUとの連携で、いかにジョージアが恩恵を得ているか、しかしアルメニアが、いかにユーラシア経済連合からは同様な恩恵を得られないか”を示す2017年のアルメニア人ジャーナリスト向けプログラムに至るまで、アルメニア国内の無数のプログラムに資金提供していることが明らかになっている。2017年、別の寛大な助成金で、NEDは彼らに言わせれば、“質を向上させ、独自のニュースを得られるようにする”資金を供給するため、アルメニア・タイムズ新聞に、窮乏したアルメニア経済では、かなりの金額40,000ドル以上を与えた。

ワシントンが資金提供しているNGOの確固とした存在に、最近の抗議行動中、アメリカ国務省が、野党指導者ニコル・パシニャンと積極的に接触している事実を加えると、我々はワシントンによるカラー革命の変種を目撃している可能性が一層高くなる。4月30日、決定的な議会選挙の前日、A. ウェス・ミッチェル国務次官補(ヨーロッパ・ユーラシア担当)が、野党Civil Contract議員、ニコル・パシニャンとの電話対話を開始したと述べた。彼の公式声明で、ミッチェルはただこう述べていた。“アメリカ政府は、何十年にもわたるアメリカ-アルメニア関係を更に深化させることを目指してアルメニア新政権と緊密に協力することを楽しみにしている。”

ウェス・ミッチェルは、オバマの下で、悪名高いネオコン・ウクライナ・カラー革命煽動者ビクトリア・ヌーランドが占めていた地位にある。彼もヌーランドの続きであるように見える。2017年、ミッチェルは、彼が実際設立し、CEOをつとめていたCenter for European Policy Analysis (CEPA)なるものから移り国務省の職についた。これで、事態は興味深くなる。

アメリカがウクライナのオレンジ革命に深く関与していた頃の2004年に設立された、ワシントンのシンクタンクCEPAは、その任務は“アメリカ合州国との密接かつ永続するつながりによって、経済的に活気あり、戦略的に安定し,政治的に自由な中欧と東欧を推進すること”だとされている。CEPAの主要プログラムは“中欧と東欧の国々でのロシアによる偽情報を監視し、暴露することだ。”

実際、ミッチェル国務次官補は、その資金提供団体が、NATO、アメリカ国防省、全米民主主義基金、ロッキード・マーチン、レイセオン、ボーイング、BAEシステム、ベル・ヘリコプターを含む主要巨大軍事企業であるワシントンの反ロシア・シンクタンク出身者なのだ。 特に、ロシア国営のRTによるCEPAへの資金提供情報記事の後に、連中のウェブサイトの、その部分は、サイバー涅槃へと消滅したように見える。

ロシア嫌いのミッチェルが、野党指導者ニコル・パシニャンとの接触を認めているのに加えて、駐アルメニア・アメリカ大使リチャード・ミルズ、元在イラクアメリカ大使館“首席民主主義顧問”(原文通り) ウクライナ同様に、アルメニアを、ロシアから離脱させ、アメリカ勢力圏に引き込むのを支援するべく、ミルズをエレバンに転勤させたとされるビクトリア・ヌーランドのおかげで、その地位にある。電気料金の16%値上げを巡る失敗した2015年のカラー革命抗議行動を引き起こしたアルメニアのヴォロタン水力発電複合体をアメリカ企業への販売を仲立ちする上で、ミルズは、重要な役割を演じたとされている。アメリカが資金提供するNGOは、電気料金値上がりの主な理由は、ガスプロムがアルメニア・エネルギー市場を支配しているロシアのせいだと主張した。抗議行動は当時ソーシャル・メディアのハッシュ・タグ#ElectricYerevanを使って広められた。

今回は、あらゆることが、遥かに精巧なアメリカ・カラー革命のリメイクを示唆している、今回は、42歳のジャーナリストで、パシニャンの以前の反政府活動で投獄経験もあるつわもの、信頼できそうに見える指導者を用意している。パシニャンは、首相になったら、アルメニアをロシアのユーラシア経済連合から離脱させるつもりはないと慎重に宣言している。5月1日、彼はこう宣言した。“ロシアは戦略的に重要な同盟国と考えており、我々の運動は、これを脅威とは見なさない…[首相として]もし私が選ばれたなら、アルメニアは、ユーラシア経済連合と、集団安全保障条約のメンバーであり続ける。”

現段階で、ニコル・パシニャンの気休めの言葉にもかかわらず、アルメニアでの出来事は、当面直接とれる選択肢は限定されているモスクワにとっては決して良いニュースではないことは明らかだ。

なぜアルメニアなのか?

アルメニアは、1991年のソ連崩壊以来、戦略的に極めて重要なモスクワの同盟国だ。アルメニアは、二つの敵対的国家-アゼルバイジャンとトルコと国境を接している。他の隣国に、イランとジョージアがある。2003年に、アメリカがカラー革命を仕組み、親NATOのミヘイル・サアカシュヴィリを権力の座に据えて以来、ジョージアの状況は不安定で、アルメニアが、主要貿易相手国で投資国であるロシア依存から国を引き離すと固く決めている指導者の影響を受けるようなことになれば、ある種の内戦になりかねない。

既に、アゼルバイジャンでは、大喜びで、そのような結果を期待する声が上がっている。5月1日、アルメニア議会が、パシニャンを首相とする投票を拒否した際、アゼルバイジャン議員Gudrat Hasanguliyevは、アルメニアの状況は内戦になりかねないと警告した。彼は、アゼルバイジャンは、内戦を住民の大多数がアルメニア人である分離主義のナゴルノ・カラバフを奪回する好機として利用する準備をしておくべきだと主張した。

1994年、アメリカが支援するアゼルバイジャン軍と、アルメニアとの間のナゴルノ・カラバフ飛び地をめぐる戦争終結をロシアが仲立ちして以来、停戦は不安定だ。2016年に、アゼルバイジャン軍が、撤退を余儀なくされる前に、ナゴルノ・カラバフ軍事占領を試みて一時、停戦が破られた。

現時点のあらゆる証拠が、アルメニア国内の不満につけこみ、ロシアとユーラシア経済連合を弱体化させようとする、少なくとも、アルメニアに不穏と混乱を生み出すアメリカのNGOと国務省の汚い手が入ってきることを示唆している。もし、そうであれば、間もなく明らかになるだろう。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/05/03/what-s-washington-really-doing-in-armenia/
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三国サミット。三人の解放。

日刊IWJガイド・番組表「【米「イラン核合意」離脱】 きな臭さが一挙に高まったのはネタニヤフ首相によるイラン核兵器開発の『証拠』公表から! 最大の関心事はトランプ大統領がどう動くかに!!/史上初の米朝首脳会談を前に、日中韓の3ヶ国首脳が東京に集結! 中国メディアはビジネスサミットを重視!? 韓国メディアは3ヶ国の交流促進に軸足!? 日本人拉致問題は理解された?/『平和か戦争か!? 運命の前夜の韓国へIWJ記者を特派! 十夜配信シリーズ特集・第六夜〜「戦争のない世界」アキ・アン氏、「開かれた軍隊のための市民連帯」パク・ソクジン氏〜連続インタビュー』を午後6時より配信します!」2018.5.10日号~No.2065号~

2018年5月 9日 (水)

アメリカの約束は無価値だ

2018年5月8日
Paul Craig Roberts

シリアからの撤退、ロシアとの関係正常化、アメリカの雇用の海外移転中止というトランプの選挙公約が、アメリカの政策になるだろうというあらゆる希望を今きれいさっぱり忘れることができる。アメリカ政府の約束を拒絶して、イラン核拡散防止合意、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国とイランが署名した合意から撤退して、トランプ大統領は、彼の政権が完全にシオニスト戦争屋の掌中にあることを暴露した。

それは既に明らかだったが、イランとのでっちあげられた対立という世界での、アメリカによるこの更新だけでも、アメリカ外交政策がイスラエルの手中にある証拠になる。ニッキー・ヘイリー・アメリカ国連大使が、AIPECの足元にひれ伏し、ポンペオ国務長官が、ネタニヤフの足元にひれ伏し、イランと対決するという彼の方針が通り実現したネオコン・イスラエル代理人のジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官が満面の笑みを浮かべているのを見るだけでよい。実際、トランプ政権丸々、イスラエルの足元にひれ伏す献身的連中ばかりなので、トランプ政権は諸王の王の前でひれ伏す蛮族のように思えてくる。

ワシントンのヨーロッパ主要属国は合意を順守すると言っている。連中が、圧力と、考えを変えさせるため与えられる大金に耐えられるかどうかは、そのうちわかるだろう。

これはロシアにとっての新たなテストを意味する。ロシア政府は、シリア不安定化に対してはそうでなかったが、イラン不安定化を我慢していられるのだろうか? ロシアは、ロシア南側面を守るという決意を再び奮い起こせるだろうか?

トランプの無分別な決定で、現実にずっと抵抗し続けてきた、プーチンやラブロフや大西洋統合主義者は、彼らが必死にワシントンと結びたがっていた条約が、そもそも締結する前から全く無価値であることに、ようやく気がついただろうか。

ロシアは、とうとう目覚め、異様な優柔不断さで、更なる危険な状況を招いてしまうのを止めるだろうか? もしプーチンが断固拒否しなければ、我々全員が殺害される結果がもたらされることになる。

Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/05/08/americas-word-worthless/
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実際、政権丸々、アメリカの足元にひれ伏す献身的連中ばかりなので、政権は諸王の王の前でひれ伏す蛮族のように思えてくる。

この記事の内容は、先に訳した下記記事と直接つながっている。

これから「植草一秀の『知られざる真実』」の2018年5月 8日記事を拝読する。
与党の横暴と暴走が放置される日本の病理

大本営広報部、といっても、紙媒体は二年以上読んでいないので、電気洗脳番組しか知らないのだが、自衛隊幹部の暴言であれ、財務省丸ごとセクハラ問題であれ、モリカケであれ、偉く腰が引けているようにしか見えない。猟奇事件だけは、安心して、熱心に報じる。大宅壮一の一億総白痴化は、100%的中している。

この勢いで、大本営広報部、壊憲国民投票の際には、賛成大キャンペーンを張る。そして、まんまと属国国民一億総砲弾の餌食壊憲が成立するだろうと下記を読んで確信。

広告が憲法を殺す日 国民投票とプロパガンダCM (集英社新書)

岩波の月刊誌の今月の『世界』6月号 特集は メディア─忖度か対峙か

学びの統制と人格の支配 ─ 新設科目「公共」に注目して という記事がある。

連中の一面的価値観を押しつける道徳教育。

道徳の片鱗もない連中に道徳など説教されたくないと心から思う。

これだけ無茶苦茶な連中が押しつける洗脳教育の結果、日本の将来がどれほど悲惨なことになるか猿でもわかるだろう。森嶋通夫氏の日本の将来予測は恐ろしいほど的確だ。

アメリカ人はイスラエルのために死にたいのだろうか?

2018年5月7日
Paul Craig Roberts

アメリカがイランとの多国間合意から離脱するかどうかをトランプ大統領が発表するまで、あと数日しかない。イランは合意を順守している。https://www.geopolitica.ru/en/article/message-iran

ワシントンの属国、イギリス、フランス、ドイツさえ合意を堅持すると発表している。
https://sputniknews.com/world/201805071064213277-france-germany-uk-iran-deal-us-decision/

イラン核兵器開発を差し控えることに同意した苦心してまとめ上げた合意をトランプに破壊させようとする圧力は一体どこから来るのだろう?

イスラエルと、イスラエルのアメリカ人第五列-ネオコンから来るのだ。

シリアとイランに対するワシントンの敵意の原因はイスラエルだ。イスラエルは、イスラエルが、その水資源を切望している南レバノンを、二度占領しようとしたが、イスラエルは二度とも、ヒズボラ民兵に追い出された。

ヒズボラはシリアとイランから補給を受けている。もしイスラエルが、アメリカ軍を利用して、シリアとイランの不安定化に成功すれば、ヒズボラは補給を絶たれ、イスラエルが南レバノン侵略に成功する可能性がある。

イランについてあらゆるウソが語られている狙いはこれだ。イランを怪物に仕立て上げることで、イスラエルはアメリカによる対イラン軍事行動へのアメリカ国民の支持を作り上げられるのだ。

The Sakerはこう言っている。“アメリカ人は自らに問うべきなのだ-私はイスラエルのために死にたいのだろうか?”https://russia-insider.com/en/americans-should-ask-themselves-do-i-want-die-israel/ri23382

あなたは?

Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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予想通りの、核合意からの離脱発表。

こういう全く理不尽な宗主国に、属国は価値観を共有するとひたすら従うだけ。不思議な価値観があるものだ。

侵略のための海外派兵を防ごうとしている国会議員に暴言をはいた自衛隊3等空佐は形だけの譴責。品格の問題ではない。シビリアン・コントロールの問題だ。もちろん、大本営広報部白痴製造番組は、決して追求しない。

孫崎享氏の今朝のメルマガの題名をコピーさせていただこう。

残念ながら、麻生氏の「セクハラ罪はない」、改ざん問題に「どの組織だってありうる。個人の問題だ」発言に何らの意外性はない。そういう人が副総理、財務相。安倍政権に違和感なし。嘘・詭弁の首相、違法指圧通いの文科相。だがこの安倍内閣を国民支持してきた

素人は思う。日本人は自らに問うべきなのだ-私はアメリカのために死にたいのだろうか?

日刊IWJガイド・番組表「自衛隊OB組織『隊友会』の改憲署名活動についてIWJ記者が質問!小野寺五典防衛相は『目的の範囲内で一定の政治活動をおこなうことは認められている』!?/『記憶が戻った』柳瀬唯夫元首相秘書官が10日に参考人招致へ!/本日午後5時から大飯原発4号機が再稼働! 大飯原発再稼働差し止め判断を下した裁判官が左遷されるのは裁判所の構造上の問題!? 本日、岩上さんが元裁判官で明治大学法科大学院・瀬木比呂志教授にインタビュー収録、後日録画配信!/<平和か戦争か!? 運命の前夜の韓国へIWJ記者を特派!10夜配信シリーズ特集>『日本軍慰安婦問題・水曜デモ』/
大阪府私学審の議事録に安倍昭恵総理夫人の名が見つかる!」2018.5.9日号~No.2064号~

2018年5月 8日 (火)

帝国の征服への道: 和平と軍縮協定

Prof. James Petras

2018年5月1日

はじめに

近年、アメリカ帝国戦略は独立国家を打ち破り打倒する経費の削減をはかっている。

手段と手法は、かなり単刀直入だ。敵対国を悪者として描く世界的プロパガンダ・キャンペーン。ヨーロッパと地域の同盟諸国(イギリス、フランス、サウジアラビアとイスラエル)の援助・協力獲得。“反政府派”、やら‘民主派’と呼ばれる現地人と外国人傭兵の徴募、雇用契約、訓練と武器供与。国内の社会的緊張や政権の政治的不安定を引き起こすための経済制裁。和解交渉の提案。経済制裁を止める約束、外交的承認や平和的共存と引き替えの戦略的兵器の変更を含む非互恵的譲歩を要求する交渉。

戦略的目標は、打倒、占領、政権転覆を実現し、更にその後の軍事的、政治的介入を促進するための武装解除だ。経済資源の略奪と、軍事基地の確保、アメリカ帝国との国際的提携や、更なる近隣諸国や自立した敵対諸国征服のための軍事的踏み台化を推進するための‘従属政権’の押しつけだ。

特に、北アフリカ (リビア)、中東 (イラク、パレスチナ、シリアとイラン)、アジア(北朝鮮)と中南米(コロンビアのFARC)に焦点を当てて、様々な地域における最近と現在の アメリカの戦術的、戦略的帝国構築の例に、このモデルを当てはめて見たい。

ケース 1: リビア

地方部族や君主制主義武装テロリストや国際経済制裁による、人気の高いムアンマル・カダフィのリビア政府打倒の取り組みに数十年失敗した後、アメリカは、交渉と妥協の政策を提案した。


リビア反政府派とヒラリー・クリントン

アメリカは経済制裁を終わらせる交渉を始め、カダフィが軍を解体し、長距離弾道ミサイルや他の効果的な抑止力を含めリビアの戦略的兵器を放棄するのと引き換えに、外交的承認や‘国際社会’への受け入れを申し出た。アメリカは、トリポリを狙って常時準備が出来ている軍事基地を縮小しなかった。

2003年、カダフィはジョージ・W・ブッシュ政権との協定に調印した。大型のアメリカ・リビア石油協定や、外交的合意が調印された。アメリカ軍の支援が武装したアメリカの子分連中に注ぎこまれる中、アメリカの安全保障顧問コンドリーザ・ライスが、平和と友好の象徴として、カダフィを訪問した。

2011年2月、オバマ大統領ヒラリー・クリントン国務長官が率いるアメリカが、EU同盟諸国(フランス、イギリス . . .)と共に、リビア - インフラ 、港湾、交通のセンター、石油施設、病院や学校を爆撃し… アメリカとEUが支援するテロリスト連中が主要都市の支配権を掌握し、カダフィ大佐を捕獲し、拷問し、殺害した。200万人以上の移民労働者がヨーロッパや中東への逃亡や、中央アフリカへの帰還を強いられた。

ケース 2: イラク

サダム・フセイン支配下のイラクは、イランを攻撃し、侵略するため、ワシントンから武器援助を受けた。この事実上の合意が、民族主義のイラクと帝国主義ワシントンとの協力は、両者共通の政策的狙いを反映するものだとイラク指導者が思い込むよう自信づけた。後にバグダッドは、クウェートとの領土紛争で、自分たちはアメリカによる暗黙の支持を得たと信じるようになった。サダムが侵略した際、アメリカはイラクを爆撃し、荒廃させ、侵略し、占領し、分割した。

アメリカは、クルド人による北部領土占領を支援し、飛行禁止空域を課した。 後に、ウィリアム・クリントン大統領は、何度か爆撃攻撃を行ったが、それで、サダム・フセインを排除することはできなかった。

G. W. ブッシュ大統領の下で、アメリカは、全面戦争をしかけ、侵略し、占領し、数十万人のイラク人を殺害し、イラク丸ごと疎外した。アメリカは、現代的非宗教国家や、その重要な機関を組織的に解体し、シーア派とスンナ派イラク人の間の最も残虐な宗教的、民族的戦争を醸成した。

1980年代、民族主義の隣国イランに対して、ワシントンに協力しようとしたイラクの取り組みが、イラクの侵略、破壊、サダム・フセインを含む何千人もの非宗教的指導者や、非宗教的、科学関係知識人の殺害、イラクの帝国の無力な属国への変身をもたらした。

ケース 3: シリア

カダフィやフセインとは違い、シリアのバッシャール・アサド大統領は、アメリカのレバノン侵攻や、アメリカによる、シリアの主に少数派キリスト教徒や親欧米反政府派支援に妥協しようとしながら、ワシントンの提案から、一定程度の独立を維持した。


2017年8月9日、北シリア、シリア民主軍卒業式の女性訓練生。(出典:Sgt. Mitchell Ryan for US Army)

2011年、アメリカは暗黙の合意を破り、手先である、シリアの地方のイスラム主義者が蜂起するのに兵器提供と財政支援を行い、連中が大半の地方や、ダマスカスの半分を含め主要都市の支配権を掌握した。幸いにも、アサドは、ロシア、イランとレバノンのヒズボラ戦士の支援を得ることができた。その後の7年間、アメリカ、EU、イスラエル、サウジアラビアとトルコからの膨大な軍事、財政、兵站支援にもかかわらず、アメリカ-EUが支援するテロリストは打ち破られ、退却を強いられた。

シリアは生き延び、国の大半を奪還し、リビアとイラクがそうし損ねたが、シリアは戦略的同盟国との武装同盟を形成することができ、国内武装反抗勢力を無力化することに成功した。

ケース 4: FARC (コロンビア革命軍)

FARCは、1960年代初期に、主として農民軍として編成され、主として地方で、200人から、約30,000人の戦士と、何百万人もの支持者にまで成長した。事実上、二重権力体制が主要都市の外部を支配していた。

FARCは、コロンビアの少数独裁政権との和平合意交渉を何度か試みた。1970年代末の、暫定合意でled FARCの一部が武器を放棄し、政党、愛国同盟を形成し、選挙に参加した。選挙で多少議席を得た後、少数独裁者突然合意を破り、テロ作戦を開始し、5,000人の党活動家と、数人の大統領や議員候補者や議員を暗殺した。FARCは武装闘争に戻った。

それに続く、1980年-81年の交渉中、少数独裁者政権は交渉を絶ち、FARC代表暗殺を狙って、会談場所を急襲したが、代表は捕獲を無事免れた。再三の失敗にもかかわらず、2016年、FARCは、2001年-2010年、地方や都市スラムでの殲滅作戦で軍隊を率いていた元国防相フアン・マヌエル・サントス大統領のコロンビア政権と‘和平交渉’に入ることに合意した。ところがFARC内部で大きな政治的変化が起きていたのだ。それまでの十年間で、FARCの歴史的指導者たちが殺害されたり、死亡したりして、再三交渉を阻止し、いわゆる‘和平合意’を取り消してきた信用できない少数支配者政権の万一の場合に備え、兵器を維持しながら、公正に平和を推進する合意を確保する経験にも熱意にも欠ける新世代に置き換えられていた。

やみくもに平和を追求する余り、FARCは革命軍を解体し、武装解除することに同意した。FARCは、土地改革を含む社会-経済改革に対する支配力を確保し損ねた。FARCは、治安維持を、地主、7つのアメリカ軍事基地と、麻薬暗殺部隊とつながる政権の軍隊に任せてしまった。

‘和平合意’はFARCを破壊した。武装解除するやいなや、政権は合意を取り消した。何十人ものFARC戦闘員が暗殺されたり、逃亡を強いられたりした。少数独裁者が、追い立てられた農民に対し、土地、天然資源、公的資金の完全支配を維持し、エリート層が選挙を支配した。FARC指導部や活動家は投獄され、死の恫喝を受け、敵対的な公営、民営マスコミ・プロパガンダによる絶えない集中攻撃にさらされた。

FARCの悲惨な和平合意は内部分裂、分離と孤立化を招いた。2017年末、FARCは崩壊した。各派は我が道を行った。一部は縮小したゲリラ集団に再度加わった。闘争を放棄し、雇用を求めた人々もいた。政権に協力したり、コカ栽培者になったりする機会を求めた人々もいた。

少数独裁者とアメリカは、40年の軍事戦争で実現し損ねていたFARCの降伏と打倒を交渉によって実現したのだ。

ケース 5: イラン: 核合意

2016年、イランは、七つの調印国: アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、ロシアと欧州連合との和平合意に署名した。合意は、イランが、民生用と軍用のデュアル・ユースが可能な濃縮ウラン製造能力を制限し、 国外搬出するよう規定していた。イランは欧米による核施設査察を認め、テヘランが完全に遵守していることが認められた。

それと引き替えに、アメリカと協力諸国が、経済制裁とイラン資産凍結を停止し、貿易、金融と投資への制限を停止することに同意した。

イランは完全に遵守した。ウラン濃縮施設は製造を停止し、残っていた在庫は国外に搬出されたs。査察では、イラン施設への完全なアクセスが認められた。

対照的に、オバマ政権は完全遵守したわけではない。一部の経済制裁は解除されたが、他の制裁は強化され、イランの金融市場へのアクセスは酷く制限された - 明らかな合意違反。それでも、イランは、自分たちの側の合意内容を守りつづけた。

ドナルド・トランプ当選で、アメリカは合意を否定し(‘それは’これまでで最悪の合意だ’)イスラエルのB. ネタニヤフ首相の軍事的狙いに従って、完全な経済制裁復活と、イランの全国防の解体と、中東において、イランが、アメリカ、イスラエルとサウジアラビアの命令に服従することを要求した。

言い換えれば、トランプ大統領は、ヨーロッパとアジアの全ての主要諸国に反対し、孤立化し、武装解除し、イランを攻撃し、テヘランに傀儡政権を押しつけるというイスラエルの要求に有利なように、合意を放棄したのだ。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、イランの新たな軍事的譲歩を確保するため、イランが(1)地域の同盟者(シリア、イラク、イエメン、パレスチナ、レバノン-ヒズボラとイスラム教大衆運動を放棄)、(2) 大陸間弾道ミサイル防衛システムの解体、終焉(3) アメリカ(イスラエル)による、全ての軍事基地と科学施設の監督と査察受け入れを含む、トランプ要求の一部を盛り込むよう合意を‘修正’(原文通り)しようとしていた。

マクロン大統領の姿勢は、内容を破壊し、‘合意’の形式だけ‘維持’するというものだった。彼はトランプの目標を共有していたが、既存合意の‘修正’に基づく段階的な手法を狙ったのだ。トランプはイスラエル方式を選んだ。もしイランが譲歩を拒否し、ワシントンの要求を受け入れることを拒んだら、軍事攻撃をするというあからさまな威嚇を伴う、真っ向からの合意丸ごとの拒絶だ。

ケース 6: パレスチナ

アメリカは、1967年以前の領土的、歴史的権利に基づく双方が合意した二国解決にのっとって、イスラエルがパレスチナを認め、入植を止め、和平調停を狙うイスラエルとパレスチナ間の和平合意を仲介するふりをした。クリントン大統領下、アメリカ合州国は入植に喝采し、更にイスラエルの現在と将来のありとあらゆる違反を支持するにい至っている。600,000人以上のイスラエル人入植者が土地を占領し、何万人ものパレスチナ人を追放した。イスラエルは年中ヨルダン川西岸を侵略し 何万人ものパレスチナ人を暗殺し、投獄してきた。イスラエルはエルサレムを完全支配している。イスラエルによる段階的民族浄化とパレスチナのユダヤ化を、アメリカは是認し、武器を供与し、財政支援してきた。

ケース 7: 北朝鮮

アメリカは最近、北朝鮮の金正恩が提唱した交渉による合意を支持すると述べている。平壌は、半島の非核化と、韓国内のアメリカ軍部隊維持を含む恒久的平和条約交渉のために核計画と実験を停止すると申し出ている。

トランプ大統領は、経済制裁を強化し、韓国内での継続中の軍事演習を行いながら、交渉を‘支持する’戦略を推進している。交渉の準備段階で、アメリカは何ら互恵的譲歩をしていない。トランプは、もし北朝鮮が、武装解除し、国防を解体するというワシントンの主張に従わなければ、交渉は止めると、公然と威嚇している。

言い換えれば、トランプ大統領は、朝鮮を、アメリカに、イラク、リビアとFARCの侵略と軍事征服と破壊の成功をもたらした政策に従わせたいのだ。

ワシントンの朝鮮平和協定交渉は、最近駄目になったイランとの‘核合意’同じ道をたどるだろう。テヘランの一方的武装解除と、それに続く、合意破棄だ。

この全てのケース・スタディーが実証している通り、アメリカのような帝国建設者にとって、交渉は、弱体化させ、攻撃するべく独立国家を武装解除させるための戦術的陽動作戦なのだ。

結論

我々の研究で、ワシントンが帝国構築を強化するために‘交渉’と‘和平プロセス’を戦術的兵器として、どのように利用しているのかを明らかにした。敵対国の武装解除と動員解除によって、政権転覆のような戦略目標追求を促進するのだ。

帝国建設者が不誠実な敵がと分かっていることが、和平プロセスや交渉を拒否すべきことを意味する訳ではない - そうすれば、ワシントンに、プロパガンダ兵器を与えてしまうので。そうではなく、帝国に敵対する国は、下記指針に従うのが良い。

交渉は、一方的、特に非互恵的な兵器計画の縮小ではなく、互譲的なものにするべきだ。

交渉は、決して、脆弱性を増し、電撃作戦を可能にしてしまう武装解除と国防軍動員解除であってはならない。交渉では、帝国の違反や、特に軍事的・経済的同意の突然の破棄に対して高い代償を課すことができる自国の能力を維持すべきなのだ。帝国の違反者は、人的、国家的代償が高くつき、政治的に不人気な場合、侵略をためらうのだ。

帝国に敵対する諸国は、孤立したままであってはならない。軍事的同盟国を確保すべきだ。シリアの場合が明らかだ。アサドは、ロシア、イランとヒズボラとの連合を構築し、それがアメリカ-EU-イスラエル- トルコとサウジアラビアが支援する テロリスト‘反政府派’に効果的に反撃した。

イランは、核能力を廃棄することには合意したが、イスラエルやアメリカによる奇襲攻撃に報復できるICBM計画は維持している。ほぼ確実に、イスラエルは、テルアビブに有利なよう、アメリカが中東戦争の苦痛を負担するよう主張するだろう。

北朝鮮は、アメリカに対して、既に一方的な非互恵的譲歩をし、韓国に対して、より小規模に譲歩をしている。もし北朝鮮が同盟国(中国とロシアのような )を確保することができずに、核抑止力を止めてしまえば、更なる譲歩への圧力を招く。

経済制裁解除に返礼するのは良いが、戦略的軍事防衛を危うくすることであってはならない。

基本原則は、互恵主義と、戦略的防衛と、戦術的経済的柔軟性だ。永久の同盟国は存在せず、あるのは永久の権益だけだというのが指針となる考え方だ。イラク、リビアやパレスチナの場合で明らかで、またシリアでは致命的に近かったように、欧米帝国主義の高尚な‘価値観’への見当違いな信頼や、帝国権益に関する現実的でない認識can自立した指導者たちにとって致命的、国民にとって破壊的なものになりかねない。最新の例はイランの場合だ。アメリカは、2016年に和平合意に署名し、2017年に破棄した。

北朝鮮はイランの経験から学ぶべきなのだ。

協定を破棄する帝国の時間枠は色々だ。リビアは、アメリカとの武装解除協定に、2003年に署名し、ワシントンは、2011年にリビアを爆撃した。

どの場合も、原則は同じだ。紙片の契約に従って帝国権力が権益を放棄した歴史的な例は存在しない。帝国は、他に選択肢が無い場合にのみ協定を守るのだ。

James Petrasは、ニューヨーク、ビンガムトン大学の社会学のBartle Professor (名誉)教授。

本記事初出はGlobal Research
Copyright Prof. James Petras, Global Research, 2018

記事原文のurl:https://www.globalresearch.ca/imperial-road-to-conquest-peace-and-disarmament-agreements/5638573

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孫崎享氏の今朝のメルマガ題名をコピーさせていただこう。

改憲、原発等重要政策激しく対立の中、足して二を国民は望んでない。マスコミ冷たい反応。産経「支持率0%同士がくっついても0%でしかない」日経「規模を優先、政策は曖昧」朝日「続々不参加」、毎日「変な名前」不参加の遠因?」東京「不参加続出」

下記の不穏な壊憲策動、大本営広報部は報じているのだろうか?

日刊IWJガイド・番組表「自衛隊会議室で退職者と予備自衛官の団体が憲法改正運動!? 繰り返される軍事ファシズム!/進水はしたものの…希望に満ちて民とともに進めるか?国民民主党のこれからの航路は?/『平和か戦争か!? 運命の前夜の韓国へIWJ記者を特派!10夜配信シリーズ特集・第四夜~「米国の軍事主義と韓半島の平和」~パク・インギュ氏(元京郷新聞ワシントン支局長)講演会』を午後6時から配信します!/
<新記事紹介>TPP11と日欧EPAが超危険!! 食料自給率が20%を切る!? 種子法廃止で有機栽培できる土地が消える!? 遺伝子組み換え食品ばかりが食卓に?」2018.5.8日号~No.2063号~

2018年5月 7日 (月)

ロシアはワシントンの次の属国?

2018年5月5日
Paul Craig Roberts

もしロシアからの情報が本当なら、ウラジーミル・プーチンは、ロシアの対ワシントン降伏交渉役に、ワシントンの代理人、アレクセイ・クドリンを任命することを検討している。http://johnhelmer.net/vice-president-for-capitulation-putin-decides-what-job-to-give-kudrin/#more-19143

この話を、情報に通じたコネのある専門家たちに確認してみた所、記事でジョン・ヘルマーは、クドリンがフィナンシャル・タイムズに売り込んだ話を信じすぎているかも知れないと言われた。私が判断力を信じているある専門家は、クドリンと他の“親米ロビー”メンバー、つまりThe Sakerが大西洋統合主義者と呼んでいる裏切り者連中が、いつもの駆け引きを演じているのだと言った。イギリスのフィナンシャル・タイムズに、ワシントンに対するロシア降伏交渉役として、来るべき任命を受けるという話を吹き込んだクドリンは、今回やり過ぎたのかも知れない。プーチン政権の全員が、過去の知人に対するプーチンの個人的思いやりにつけこむ彼の悪賢い手口で、人間としても政治家としても、クドリンを実に嫌っていると私が信頼している専門家は言う。プーチンは、もはや彼の役に立っていないクドリンのような古い友人たちを思いやりすぎると、ロシアでは広く言われている。クドリンの少数の盟友がメドベージェフのグループにおり、ワシントンの無能連中は、最近クドリン盟友のロシア人を何人か制裁した。

私が信頼する別の専門家は、ロシアで飛び交っている噂は、いずこでも同じで、野望を持った連中が、マスコミで名を上げようと策を弄しているに過ぎないと答えた。プーチンがロシアの運命をアメリカ工作員に引き渡そうとしているという噂とは対照的に、愛国的な民族主義者や軍に押されて、プーチンがロシアの第五列、クドリンや親ワシントン派を粛正しようとしているという噂を、彼は教えてくれた。

一方、あるロシア人ジャーナリストは、プーチン本人が最大の親欧米派リベラルで、プーチンをサンクトペテルブルクから連れてきて、モスクワの既成支配体制中に据える上で、クドリンが貢献したというのが事の真相だと言った。

おそらく、プーチン就任演説で、クドリンがロシアを降伏させる権限を与えられるのか、それとも親米第五列が、とうとう政府から排除されるのか、それとも何も変わらないのか分かるだろう。

クドリンは、反逆罪のかどで裁判にかけられるべき裏切り者のように見える。プーチンが、クドリンをロシア政府ナンパー・ツーにする可能性はありそうもないように思える。国有財産を“私物化する”ことで富を盗み取った億万長者による、少数独裁者支配の擁護者クドリンは、ロシア国有財産の私物化により、更なる億万長者を生み出すため、ロシア国民に対する緊縮政策擁護でも知られている。

ロシアも、アメリカやヨーロッパ同様、偽ニュースに満ちており、クドリンは取るに足りない人物で、ロシア政府の意思決定における大物ではないというのが真実かも知れない。とは言え、もしクドリンが昇進するとすれば、彼の出世はネオリベラル経済学のおかげだろう。

アメリカ・ネオリベラル経済学、マイケル・ハドソンによる正確な特徴表現によれば“ジャンク経済学”によって洗脳されているロシア中央銀行や大半のロシア人経済学者連中と同様、ロシア経済の成功は、ワシントン帝国体制とつながることにかかっているとクドリンは思い込んでいる。連中は、酷く間違い、大いに愚かなことに、アメリカ投資と経済制裁解除が無ければ、ロシア経済は絶望的だと信じ込んでいる。連中はそう公言している。至る所でのグローバル経済権益と同様、少数独裁者連中は、ロシアの主権ではなく、金のことしか頭にないということなのかも知れない。

マイケル・ハドソンと私が指摘しているように、アメリカ人によって、ロシア人に教え込まれたネオリベラル経済学は、実質的に、ロシア人経済学者を欧米の代理人にしてしまったのだ。ロシア人経済学者たちは、ロシアの利益ではなく、ワシントンの利益のために機能する政策を主張しているのだ。プーチンはクドリンとは逆の方向に動いていると考えているペペ・エスコバールは、ロシア経済と財政政策が、親ワシントン派によって支配されていることを認めている。https://www.strategic-culture.org/news/2018/05/05/popular-putin-prepares-for-cold-war-2.html

プーチンに違う意見を言う経済学者はわずかなので、ロシア経済が欧米と統合されない限り、ロシアは駄目になるという助言を、ロシア政府は受けているのだ。

クドリンは、オリガルヒが国有財産を私物化するために使う外国からの借款に対する利子を支払うべく、金を節約するため、ロシア軍事能力も切り詰めるつもりだ。その結果は、欧米植民地としてのロシアの隷属的地位を恒久化になるだろう。

5月3日の記事で、ロシアは、現状が一体どうなっているのか分かっているのだろうかと、私は問うた。どうやら中東ではそうではない。ロシア政府は、シリアの問題は、テロとの戦いだと考えて、平和的解決をしようと尽力している。だがそれはワシントンとイスラエルが最も嫌がっていることだ。ヒズボラが支援を失ったままになり、イスラエルが南部レバノンを占領できるようにするため、ワシントンとイスラエルは、アサドとイランを打倒したいのだ。おそらく、状況を解読する能力がロシア政府に無いことが、ロシアが平和的解決で、常にワシントンの関与を待望し、シリア国内の戦争を、どうしても決定的に終わらせることができなかった理由だ。今ロシアは、アメリカが占領したシリア地域で、アメリカ、フランスとイギリスの軍隊と、対シリア軍陣地へのイスラエルによる軍事攻撃とに直面している。

もしクドリンが、ロシアをワシントン支配下に置くことが許されれば、その政府が、ロシア同様、直面している本当の状況に鈍感に見える中国は孤立する。国有財産の私物化で、中国よりも、お金に対して忠実な億万長者の少数独裁者を作り出して、中国政府は、中国を無力化するのにワシントンが使える梃子を生み出してしまったのだ。

たとえヘルマーの記事が事実でも、山積するアメリカの諸問題を含め、他の様々な理由から、ワシントンとその盟友クドリンが失敗する可能性は依然ある。とは言え、プーチンが、クドリンと彼の降伏政策を支持することを検討していると言われること自体、ロシア国内の親米勢力によるロシア主権に対する挑戦にロシア人が直面している印だ。

Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/05/05/russia-washingtons-next-vassal/

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就任演説、目がはなせない。

2016年8月の同じ筆者とマイケル・ハドソン氏による「ロシアの弱点は経済政策」と併読いただくと分かりやすいかも知れない。

F. William Engdahl氏による記事では、下記が本記事につながっている。
2016年8月の記事「プーチン: ネオリベラルは、ニェット、国の発展は、ダー

2016年7月の記事「ロシアの泣き所 - サンクト・ペテルブルクで思ったこと

セクハラ、当事者と権力との距離次第で、天と地の差。推進・放置する権力は悪辣だが、悪を黙認する大本営広報部も共犯。

日刊IWJガイド・番組表「『3メートルより浅い部分』の既存データにもとづき、『3メートルより深い部分』のゴミ混入率を想定したって!? 石井啓一国土交通大臣にIWJ記者が迫る!~4.27 国交相記者会見/わいせつ事件のTOKIO・山口メンバーに対してジャニーズ幹部は冷たいが、レイプ疑惑のもう一人の『山口メンバー』とセクハラ常習の『福田メンバー』を自民党・安倍政権は手厚く擁護!!/今年の夏はIWJオリジナル『スローガンTシャツ』を身にまとって、デモに、集会に、街に、旅に出ましょう!」2018.5.7日号~No.2062号~

IWJ Independent Web Journal - 岩上安身責任編集

2018年5月 6日 (日)

ロシアは何が起きているのか理解しているのだろうか?

2018年5月3日
Paul Craig Roberts

和平と理解の交渉をしようとロシアが躍起になっているワシントンの犯罪人のことを、ロシアは理解しているのだろうかと私は不思議に思っている。

“軍拡競争を協力して抑制するために”トランプ大統領がプーチン大統領をホワイト・ハウスに招待した、とロシアのラブロフ外務大臣は大喜びしている。https://www.rt.com/news/425699-lavrov-trump-meet-putin/

もちろんアメリカ軍安保複合体はロシアが30年先行している軍拡競争を抑制したいのだ。アメリカとその傀儡諸国に対する妄想と美化した見方のおかげで、ロシア政府はまたもやロシアが全滅に曝されてしまうことになる無意味な合意に呑み込まれてしまうのだろうか?

ロシアの目の前で、イランのウラン濃縮に関し、アメリカがイランと結んだ合意を、世界でただ一人、アメリカが破棄しつつあるのに、ワシントンなり、ヨーロッパのどこかの国なりとの合意に、何か意味があるなどと、どうしてロシアは期待できるのだろう? https://www.youtube.com/watch?v=fYOnXL6R-B8&feature=youtu.be

クリントン政権以来、ロシアと交渉した他のあらゆる合意と同様に、ワシントンが破棄するであろう、次のワシントンとの合意を、ラブロフ外務大臣は、一体なぜ交渉したがるのだろう。ロシア外務省は経験から学ぶことが困難なのだろうか?

ロシアには勝てる持ち札があるのに、それをどう活用すべきか分かっていないのだ。より断固とした政策なら、挑発を思いとどまらせるはずなのに、ロシア政府の慎重な動きが、更なる挑発を誘発しているのだ。

ワシントンは、ロシアの融和的な振る舞いを弱さだと解釈しており、今イスラエルという小国もそう解釈している。信じられないようなことだが、イスラエルがロシアに最後通告を発したのだ。通常兵器だけで消し去ることが可能なほど小さな国イスラエルが、世界の主要軍事大国に、今やシリアでのイスラエルによる違法軍事攻撃の邪魔をするなと命じたのだ。http://www.investmentwatchblog.com/israeli-defense-minister-asks-russia-to-stand-down-syria-air-defenses-or-they-will-be-attacked-too/

その軍隊が、ちっぽけなレバノン民兵に、二度も完敗し、徹底的に負かされたイスラエルに最後通告を出されてしまう国は、欧米では尊敬が得られない。これがロシアの問題だ。軍事的に無力なイギリスすらもが、まるで何の危険も伴わない事業であるかのごとく、ロシアと戦争することについて語っている。

極端な挑発への対応で、ロシア政府が優柔不断と弱さを示し続ける限り、挑発は世界を第三次世界大戦に追いやりつづけるだろう。

Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/05/03/russia-know-whats/
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遅ればせながら、下記インタビューを拝聴。残念ながら今回は、時間切れで、ほとんどシリアの話題には触れられなかった。

「『板門店宣言』は思った以上に中身がなかった」!? 南北首脳会談に孫崎氏は厳しい指摘!国内政治に関しては「野党は分断を克服し共闘せよ!」~4.27岩上安身による孫崎享氏インタビュー 2018.4.27

道徳と真実と事実が去ってしまった死につつある欧米

2018年5月3日
Paul Craig Roberts

我々は狂った世界に暮らしているのではないとお考えであれば、イスラエルの大量虐殺シオニスト指導者で、ユダヤ人のために、パレスチナ人を、その家や村や国から追放し、パレスチナを破壊し、パレスチナを占拠し、ワシントンとイスラエルによりパレスチナ指導者として選ばれた名目上の指導者アッバースを、ホロコースト否定論者だと非難する侵略者ネタニヤフをご覧願いたい。https://sputniknews.com/middleeast/201805021064078676-netanyahu-abbas-holcaust-denial/

これに拮抗するばかげた話は、トランプ大統領のノーベル平和賞ノミネーションだ。http://www.ronpaulforums.com/showthread.php?521843-Trump-Formally-Nominated-For-Nobel-Peace-Prize

私が読んだ説明では、アッバースはホロコーストについては何も言っていない。ヨーロッパ人のユダヤ人に対する偏見は、なんらかの宗教的敵意によるものではなく、ユダヤ人の厳しい金融慣行にまつわるヨーロッパ人の経験に由来すると彼は言っているのだ。これは、もちろんイスラエルによるパレスチナ植民地占領以前の無数の歴史的説明とも一致する。

ホロコーストとは一体何だったのだろう? シオニストによれば、ホロコーストとは、最初、彼らをガスで殺害し、それから遺体を火葬した、国家社会主義ドイツによる、600万人のユダヤ人抹殺のことだ。限られた減りつつある資源の全てが、結局不首尾に終わったロシア戦線に向けられていた時に、ドイツが一体どのようにしてこの妙技をやりおおせたのかははっきりしない。

ホロコーストを示す写真には、骸骨のように痩せた遺体がある。しかし、これはガスで殺害され、火葬された人々ではない。彼らはチフスと飢えによる死者だ。崩壊しつつあったドイツには、ドイツ国民用、また往々にして兵士用食糧も薬品も無かった。強制収容所の被収容者たちは、階層構造の最下層にいたのだ。

誰もそれを研究することが許されていないので、我々はホロコーストについてはほとんど知らない。ヨーロッパでは、それを研究し、シオニストの言説に対して、ごくわずかでも変更をする人は誰であれ、ホロコースト否定論者として、逮捕され、投獄される。多くのユダヤ人が殺害されたことに疑う余地はないが、使われた様々な手段や、どのプロセスがどの程度計画されたものだったのか、無計画だったのかに関して、様々な見解がある。差異が解決され、整理される前に、この主題は立ち入り禁止にされてしまったのだ。

例えば、ドイツで学者が、国家社会主義ドイツが、300万人のユダヤ人を抹殺したことを証明するこれまで知られていなかった文書を発見したとしよう。600万人というシオニストの公式宣言と矛盾するので、文書を報告したかどで、その学者は逮捕され投獄されるというのが、このホロコーストの証拠発見の報酬だ。文書は偽装だとレッテルを貼られて、廃棄されるだろう。学者の将来は破壊されるだろう。

ホロコーストは研究したり調査したりできる主題ではない。検証したり、変更したり、また決して疑問を抱いたりしてはならない、シオニストによって伝えられる出来事なのだ。我々は、それをそのまま信用しなければならないのだ。もしある学者が信用しなければ彼はホロコースト否定論者であり、ヨーロッパ人だったり、ヨーロッパで逮捕されたりすれば、彼は投獄される。

これは、シオニストの説明を裏付けるはずの出来事の研究は、抑圧されるのではなく、歓迎されるはずなので、多くの人々にとってホロコーストに対する疑問を起こさせる。

ホロコーストは、ほぼ75年前に起きた。ノーマン・フィンケルシュタインや他のユダヤ人学者たちが、イスラエルのパレスチナ人に対する扱いへの批判を逸らすのに、ホロコーストがいかに利用されているかを説明している。我々の目の前で、イスラエルが、パレスチナ人に対して、ホロコーストを行っているのに、それについては何もなされないのだ。抗議することさえ許されないのだ。サウスカロライナ州は最近、いかにとんでもないことであれ、いかなることでも、イスラエルを批判することを非合法とする法律を成立させた。法律は“反ユダヤ主義”と戦うためのものだとされているが、反ユダヤ主義の定義は、イスラエル批判、あるいは、イスラエル・ボイコット支持なのだ。言い換えれば、サウスカロライナ州では、イスラエルに制裁措置を取ることや、パレスチナ人に対するイスラエルの非人道的な政策を批判することは違法なのだ。だが、ロシアやイランや北朝鮮には、ぬれぎぬだけを根拠に制裁措置をとっても良いのだ。http://www.thetower.org/6154-south-carolina-is-first-state-to-pass-law-defining-anti-semitism-countering-on-campus-hate/

三年前、サウスカロライナ州は、イスラエルをボイコットするアメリカ企業と州の契約を禁じる法律を成立させた。https://www.washingtonpost.com/news/volokh-conspiracy/wp/2015/06/05/south-carolina-passes-historic-anti-boycott-law/?noredirect=on&utm_term=.2224f9d85293 サウスカロライナ州政府は、大半の他の州と同様、イスラエルの支配下にあるのだ。州政府と連邦政府は、アメリカ人に対してではなく、イスラエルに応えており、決して道徳的要請に応えているわけではない。

我々は一体どのように結論すべきだろう? ユダヤ人に対するホロコーストは道徳的に容認できないが、パレスチナ人に対するホロコーストは道徳的に容認できるのだろうか?

“欧米民主主義”の神話は、決して何も変えることがない投票に基づいている。トランプは、シリアでの戦争を終わらせ、ロシアとの関係を正常化すると言って選挙運動をしたが、今一体どうなっているだろう? アメリカはシリア軍陣地を攻撃し、ロシアとの戦争を煽っている。ところがそれでも、トランプがノーベル平和賞にノミネートされる妨げにはならないのだ。

元CIA職員フィリップ・ジェラルディは、アメリカのネオコン・ユダヤ人が、イスラエルの利益のために、アメリカの戦争を推進していると言っている。http://www.unz.com/pgiraldi/americas-jews-are-driving-americas-wars/?highlight=Philip+Girandi+America%27s+Jews+are+driving+America%27s+Wars

ネオコンは、ロシアを悪者化し、戦争をあおるための新たなシンクタンクを設立した。https://russia-insider.com/en/boot-applebaum-kristol-and-bunch-other-neocons-form-brand-new-russia-bashing-think-tank/ri23312

アメリカ憲法による言論の自由の保障を覆したり、パレスチナ人に対するイスラエルの非人道的な扱いを批判したかどで、定年まで在職権のある大学教授を、アメリカの大学から排除したりして、イスラエル・ロビーがその権力を示すことが良くある。イスラエル・ロビーが反対すれば、アメリカの大学教授には、言論の自由の権利も、定年までの在職権保護もないのだ。https://www.veteranstoday.com/2014/11/10/the-tragic-case-of-denis-rancourt-and-arthur-topham/

イランには、9/11攻撃と全く何の関係が無いにもかかわらず、ニューヨークの、狂ったか堕落したかしていて、誰から金を貰っているか分からない連邦裁判官が、イランに9/11の犠牲者に対し、60億ドル支払うよう命じた。http://www.unz.com/pgiraldi/americas-jews-are-driving-americas-wars/?highlight=Philip+Girandi+America%27s+Jews+are+driving+America%27s+Wars

明らかに、このでっちあげ判決の狙いは、イランが9/11の黒幕なので、対イラン軍事攻撃へのアメリカ国民の支持を喚起しなければならないと無頓着なアメリカ人に思い込ませるためだ。

一方、ロシア人は、欧米の仲間になりたい願望で混乱する余り、自分たちが加わるはずの退廃が全く分かっていない。

イギリスでは、十代の少女が処女を売り物にしている。150万ドルを得たものがいる。https://www.rt.com/search?q=UK+teens+sell+their+virginity

イギリス閣僚の秘書がオンラインで売春しているのが見つかった。閣僚の机の上で、ことを行うには追加費用が必要だ。https://www.rt.com/search?q=UK+minister%27s+secretary+caught+selling+sex+online

ドイツの大学では、最大の快楽を得るための自慰方法を女性に教えている。https://www.rt.com/search?q=Masturbation+workshops+for+women

欧米文明がセックス・ロボットへと向かう中、人間関係は崩壊している。https://www.theguardian.com/technology/2015/dec/13/sex-love-and-robots-the-end-of-intimacy

様々なことから判断すると、道徳や真実や事実同様、欧米男性は絶滅寸前だ。

https://www.rt.com/uk/423553-school-gender-inclusive-uniforms/

https://www.rt.com/usa/425720-boy-scouts-name-change-girls/

かつて、これらの記事は衝撃的だったはずだ。今では欧米の退廃の中に紛れてしまう。

ワシントンに多少常識があれば、アメリカ男性の去勢で彼らが兵士として不適格になる前に、ロシア人が欧米に加わるのを許して、退廃にすっかりはまり込ませることで、ワシントンはロシアを処分できるはずなのだ。文化が男性の去勢に向かっている欧米は本当にロシアと中国に対して戦争をしたがっているのだろうか? 私には良い判断とは思えない。

Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/05/03/morality-truth-facts-exited-dying-west/
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ノーベル文学賞の発表見送りと、その理由報道には驚いた。いずこも同じ初夏の夕暮れ。

それにつけても、この国の異様さ。大本営広報部にとっては、そうではないだろうが。

日刊IWJガイド・日曜版「セクハラ問題で、スウェーデン・アカデミーはノーベル文学賞の発表見送り! 米アカデミーは、2人のセクハラ加害者の資格を剥奪し追放!! 他方、麻生財務相は国際会議終了後の会見で『セクハラ罪という罪はない』!?/<岩上安身のインタビュー報告>あのブッシュ元大統領もCSISも激しく勧める子宮頸がんワクチン! その副反応被害を『HANS』と命名した小児科医~ 横浜市立大学名誉教授の横田俊平医師に岩上安身がインタビュー」2018.5.6日号~No.2061号~

2018年5月 5日 (土)

イランを不安定化させるのに通貨戦争を利用するワシントン

2018年4月21日
F. William Engdahl

アメリカ大統領を取り巻くネオコンタカ派、とりわけ新たな国家安全保障担当のトップ 、ジョン・ボルトンと、国務長官に指名されたマイク・ポンペオは、イランは、ワシントンにとって、政権転覆あるいは、少なくとも経済制裁や混乱の標的だと公言していることが知られている。言説は口先だけではない。アメリカの威嚇によって 他の調印国によって反対されたが、イランを到底耐えられない深刻な経済危機におち入れるはずの動きである、イラン核合意を5月に更新しない下地は準備されつつある。

ここ何週間、イラン通貨はつるべ落とし状態で、闇市場でのドル買いパニックを引き起こし 国内危機を悪化させている。トランプが5月にイラン核合意を更新しない、新たな公式経済制裁を始めると威嚇しているが、ワシントンの主要同盟国サウジアラビアとUAEによって、リアルを弱体化させる汚いゲームが行われていることを、証拠が示している。

2017年12月、国中で弱い経済と高い失業を問題にした抗議行動の波が起きた。そこで、当初、外国による介入のせいだと非難して(確かにそれはあった)、何千人も逮捕した後、政府は、経済不満は正当なもので、対処する必要があることを認めることを強いられた。アメリカが引き起こした2009年の緑の革命未遂以来、最大の抗議行動だった。欧米経済制裁解除にもかかわらず、2017年の14%という全面的インフレや、25%という若者の失業に、穏健派ハサン・ロウハーニーの政府は、この経済状況に対処すると誓った。

通貨戦争開始

抗議行動は次第に下火になった。しかしながら、現在起きていることは、イランの安定にとって遙かに危険だ。それは、ワシントンが仕掛ける見え透いた金融戦争だ。現時点では、1979年のホメイニ革命以来、リアルが最低に下落する中、ドルを得ようとする必死の取り組みで、リアルの投げ売りに走っているイラン国民のバニックを含む、通貨戦争という形をとっている。

最近のリアル下落の引き金になったのは、次の四半期毎の決定が行われる5月12日に、イランの核協定遵守を認定“したくない気分”だという、トランプ大統領による声明だった。1月に、トランプ大統領が核協定を署名承認した際、イランの弾道ミサイル計画や、シリア戦争における重要な勢力、ヒズボラ支持を止めることを含む、ヨーロッパとイラン間の根本的改善が合意されない限り、承認しないと彼は威嚇した。

2月に、リアルは、アメリカ・ドルに対し下落し始めた。その時点の報道は、ワシントンとサウジアラビアの親密な同盟国UAE内の銀行が、石油生産と輸出が、経済制裁の部分的解除以来、大幅に増加した事実にもかかわらず、イラン石油支払い処理を意図的に遅らせたというものだ。イランの貿易収支は黒字だ。昨年イランは、500億ドルの石油と400億ドルの石油以外のものを輸出し、500億ドルの商品とサービスを輸入した。石油生産は、経済制裁のピーク時、2012年の260万バレル/日から、380万バレル/日へと大幅に増加した。

最新の化学兵器使用という偽りの主張を巡るアメリカ-イギリス-フランスによる対シリア爆撃の数日前、イランの自由両替市場で、リアルは下落しつつあった。4月11日には、1ドル、60,000リアルだった。昨年9月には、1ドル、36,000リアルだった。現在、急激な下落を制御しようとする必死の動きで、ロウハニは、公定相場と私的相場の二重体制を終わらせるよう動き、相場を公式中央銀行相場とまとめて、1ドル、42,000リアル。リアルは、為替管理前の二週間で、20%下落した。

シリア爆撃

現時点では、4月14日のシリア標的 に対する違法なアメリカ-イギリス-フランス爆撃準備中の主要目的が、現在のロシア、シリアと特にイランとの関係の中に、状況を一気に変えるものを仕込むことだったことは明らかだ。現在、トランプの政策と、イスラエルでネタニヤフのリクード党政権を支配しているネオコンの狙いは、イランをシリアから追い出すことだ。爆撃の翌日、4月15日、アメリカ国連大使で、露骨なネオコンのニッキー・ヘイリーは、フォックス・ニューズに、アメリカは、以下の三条件が成立した場合に、シリアから撤退すると述べた。“化学兵器使用停止、ISISの完全打倒、イラン監視”。要するに、アメリカ軍は、現時点では、シリアでの長期駐留を計画しているのだ。

最近の爆撃にもかかわらず、今や、1999年のベオグラード作戦に沿って、いかなる時点でも、アメリカが支援するシリア国内のテロ集団が、新たな遥かに破壊的なシリア爆撃を正当化するための次の偽旗化学兵器攻撃を行う舞台が準備されたのだ。“イラン監視”という言葉で、彼女は一体何を意味していたのだろう?

ルサルや他のロシア企業に対する新たな過酷な経済制裁や、近年のルーブル下落や、スクリパリの神経ガス悪ふざけという欺瞞的なイギリス諜報情報、そして、それに続く同様に欺瞞的なホワイト・ヘルメットによる偽旗グータ化学兵器攻撃の主張との組み合わせによる明らかな結果の一つは、シリア内のイラン軍事駐留に対するロシアによる支持を“軟化させる”ことだった。4月13日、シリア空爆を国民に発表する演説の中で、トランプはこう宣言した。“今夜、犯罪的なアサド政権を支援し、機器を与え、財政援助をする上で、最も責任がある二つの政府にも言いたいことがある。イランとロシアにだ” 彼はそこで、ロシアに焦点を当てた。“ロシアは、この暗黒の道を下り続けるつもりなのか、それとも、安定と平和の勢力として文明諸国に加わるのかを決断しなければならない(原文のまま).”

エネルギー・ニュースレターのOilprice.comによれば、イランの通貨状況は、アメリカの主要同盟国サウジアラビアとUAEによる、イラン石油輸出によるドルの本国送金を妨害する意図的な措置で悪化しつつある。イラン中央銀行総裁のヴァリオッラ・セイフはこう述べた。“我が国境外の敵たちは、様々な姿で、この状況をあおり、国民にとって、状況を悪化させるため色々画策している。”

アメリカ財務省経済制裁再開?

どの標的が攻撃されたのか、されなかったのかとは無関係に、アメリカが率いたシリア爆撃画策で、新たな対イラン経済制裁の劇的なエスカレーションと、2009年には不可能だった、本格的な不安定化のプロパガンダ用の舞台は今や準備されている。

とにかく、ワシントン側で、姿を現しつつあるのは、対イラン経済・金融制裁の新たな波を解き放つ準備だ。

シリア攻撃二日前の4月12日、スティーヴン・マヌーチン財務長官は、アメリカは多国間イラン核合意から脱退しないと主張しながら、イランに対して経済制裁を再度課する可能性は存在するとアメリカ議会に述べた。下院聴聞会で、マヌーチンは述べた。“もし大統領が、あれ(権利放棄)に署名しないと決めても、必ずしも合意から離脱することを意味するわけではない。意味するのは、一次制裁と二次制裁が復活するということだ。”ヨーロッパ外交官が、たとえドイツやフランスやイギリスが合意に残ると決めても、アメリカによる経済制裁の威嚇ゆえに、欧米企業はイランから撤退するだろう”オフレコでロイターに述べた。これはイランを包囲する壊滅的経済防疫線だ。

マヌーチンは更に述べた。“極めて強力な”対イラン経済制裁が可能だ。“もし大統領が、承認に署名しなければ、経済制裁が復活する”とマヌーチンは述べた。“一次制裁と二次制裁はイラン経済に大きな影響があるはずと思うし、大統領は、決定に当たって、これを考慮、考量するだろう。” vii 近年 アメリカ財務省は、国家安全保障会議の一部となっており、“プーチン・オリガルヒ”と彼らの企業を標的にしたもののような”悪魔的な新“賢明な経済制裁”を語るようになっている。

マヌーチンは、議会に、財務省は、核合意とは全く独立に、経済制裁で動いていると語り、イランの核開発計画と全く無関係で、むしろ、イランそのものを、経済的に機能不全にしたり、不安定化したりする狙いという秘密を暴露した。主要ロシア企業に対するアメリカ財務省の最新の経済制裁を子細に見れば、ワシントンは、標的とした国に経済制裁を課すのに、もはや、いかなる真面目なやり方であれ、正当化する必要がないほど大胆になっているのは明らかだ。今や、良きトランプ氏と、お友達によって“この暗黒の道を下り続けるつもり”だと判断され、非難されるだけで犯罪とされるのに十分なのだ。

2012年、オバマ政権財務省は、欧州連合諸国に圧力をかけ、欧州連合が、ベルギーを本拠とするSWIFT、国際銀行間通信協会に、中央銀行を含めイラン銀行との全ての銀行間credit linesを切断させ、イランが石油や他の輸出品でドルを稼ぐ能力に壊滅的打撃を与えた。これは未曾有のことで、SWIFT回線が、2016年の核合意後に再度接続されるまで、四年間続いた。

アメリカ財務省が、一次制裁と二次制裁を今にも“パチンと”復活させるとを話している以上、ワシントンには、SWIFT回線を切断するため、EUに再び圧力をかける計画をしている連中がいることは明らかだ。ただし今回、“正当化の理由”は、アメリカやイギリスやフランスの駐留と違い、正当なシリア政府の要求を受けたイランのシリア駐留だ。

弱体化されたイラン経済の状態を考えると、イランの敵-ワシントン、サウジアラビアとイスラエルが、イラン経済に巨大な損害と混乱をもたらすには、いずれにせよ大変に困難な軍事攻撃は不要なはずだ。1989年に、ユーゴスラビアで、アメリカが経済危機引き起こした時のように、ワシントンが、イランを分裂させ、混乱を広めようとして、全米民主主義基金やソロス財団支配下の偽民主主義NGOを再度解き放つ可能性も高い。

現時点で明らかなことは、ワシントンとロンドンが、連中の戦争行為を正当化するための、国際的な法の支配順守の装いを、すっかりかなぐり捨ており、イランが、事実上の通貨戦争で、何カ月も、弱体化させられた後、壊滅的な新経済戦争に直面しつつあることだ。5月12日以降、中東の状況は実に醜いものになりかねない。これは、中国のユーラシア一帯一路構想、新経済シルク・ロードと、ロシアとの経済協力重要なリンクであるイランを標的にするものだ。もしこれが成功すれば、次は、ロシアや中国攻撃が視野に入るのは確実だ。もしこれらユーラシアの主要戦略的列強が、経済、政治と軍事のレベルで、相互協力を強化し損ねれば、ワシントンがライバルたちを打倒し、争う余地のない唯一の超大国覇権となるのが、樽の中の魚に網を投げるように簡単なことになりかねない。これは世界平和の見通しにとって、決して良いことではあるまい。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/04/21/washington-using-currency-war-to-destabilize-iran/

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「セクハラ罪という罪はない」とのたまう御仁、拝顔するたび「パワハラの権化」と勝手に思っている。

やはり、サウジアラビアも核合意離脱を支持。

日刊IWJガイド「<本日のインタビュー>本日14時30分より『子宮頸がんワクチン被害者と向き合う!「HANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)の問題は現在の医学・医療に対する告発だ」岩上安身による横浜市立大学名誉教授 横田俊平医師インタビュー』をお送りいたします/サウジアラビアもイラン核合意から離脱する米国を支持!シーア派抑圧の思惑でイランに向けて『圧力外交』が進行中!」2018.5.5日号~No.2060号~

2018年5月 4日 (金)

ダマスカスは、21世紀のサラエボ?

Finian Cunningham
2018年4月30日
Strategic Culture Foundation

アメリカ人歴史家ダニエル・ラザールが、最近のインタビューで警告したように、ダマスカスが21世紀のサラエボになる運命を避けられるよう願うばかりだ。

サラエボは、1914年、1000万人以上の死者をもたらした第一次世界大戦を引き起こしたきっかけと同義だ。これによって、大量破壊戦争という現代の悪魔が生まれたのだ。

4月14日のアメリカとフランスとイギリスによる空爆は“アメリカ軍による遥かに攻撃的な対シリア作戦の第一歩 ”に過ぎないと、ラザールは主張している

彼は更に書いている。“アメリカはシリアから撤退できない。アメリカは決して、シリアから撤退するまい。アメリカ軍による、より大規模な侵略が行われる… ダマスカスは21世紀のサラエボだ。”

歴史が、そのまま正確に繰り返すことは稀だ。しかし歴史は確かに、言ってみれば韻を踏む、つまりよく似たパターンの繰り返しは識別することが可能だ。

最初の世界規模、産業規模の戦争が1918年に終わって、きっかり一世紀、同様な戦争がシリアで勃発する本当の危険が存在している。ただし、もしそのようなことが起きれば、交戦国となる可能性がある国々が核兵器を保有していることを考えると、エスカレーションの危険はずっと大きい。

歴史が繰り返したり、韻を踏んだりすることが不可避だという訳ではない。シリアの7年にわたる戦争が国際的な戦争に発展することが不可避だという訳ではない。とは言え、危険は差し迫っている。

1914年のサラエボ同様、ライバル大国間で、配置は急に拡大しつつある。各国の軍隊が詰まった火薬だるに点火するには、火花一つで十分なのだ。

そうした火花の一つが、今月初めのアメリカ、フランスとイギリスによるシリア空爆だった。4月7日のダマスカス付近での化学兵器攻撃事件に報復するという口実とされるものが明らかに詐欺的なので、シリアと同盟国のロシアとイランは、この軍事攻撃を、侵略、国際法違反だと強く非難した。

シリアで迫り来る戦争の悲劇は、その結果が実に恐ろしいものになりかねないのがわかっているので、最終的に全面戦争になるのを望む政治家や国民はほとんど皆無なことだ。

シリアにおいて、いかなる偶発的衝突も避けるため、アメリカとロシアの軍司令部が緊密な連絡を維持しており、衝突を避けていると信じる十分な理由がある。

ロシア・マスコミの長いインタビューで、セルゲイ・ラブロフ外務大臣は、モスクワは、ワシントンに対し、シリア国内の“越えてはならない一線”について警告し、今月初めに空爆を行った際、アメリカ側がそれを順守したと述べた。犠牲者はなく、損害が最少だったことが、空爆が、何らかの実際の軍事目的というより、見せびらかすためのものだったことを示唆している。

ラブロフ外務大臣は、現在のアメリカとロシアの指導部が、シリアにおける対立のエスカレーションを許すはずがないと確信しているとも述べた。

外務大臣はこう述べた。“軍事的対立のリスクについて言えば、各国軍隊は、そういうことを許さないし、もちろんプーチン大統領もトランプ大統領も許さないと私は固く信じています。結局、彼らは、国民に選ばれ、国民気平和に責任を負う指導者なのです。”

とはいえ、サラエボの例えの話に戻ると、やっかいで複雑なのは、各軍隊の配置のおかげで、指導者たちが道理をわきまえて語っていることを、戦争の論理が覆しかねないことだ。1914年当時のヨーロッパ指導者たちは、出来事が、制御できない壊滅的な形で展開することを望んでも、予想してもいなかったと言っておくのが公正だろう。

現在、シリアでは、アメリカ、フランスとイギリス軍が、地上と空で活動している。アメリカ航空母艦戦闘群が、シリア攻撃可能距離の地中海に到着した。トルコを含むこれらNATO軍の全てが、違法にシリアを脅かしているのだ言わねばならない。

シリアを脅かしている最近のNATO軍事力強化は、7年間の戦争後、連中の代理テロ集団が、打ち破られた結果であることにほとんど疑念はないようだ。あの戦略的敗北は、ダマスカスの合法的な救援要求を受けた後、同盟国シリア側に立ってのロシアとイランの介入のおかげだったと言えよう。

トランプ大統領は最近シリアからのアメリカ軍撤退について語っている。ペンタゴンがまさに、その逆をすると固く決意していることからして、トランプの無意味な大言壮語という可能性がある。また、もしトランプが、アメリカ軍のシリア駐留を多少縮小できた場合、彼は、これら部隊を、サウジアラビアや他の湾岸アラブ諸国政権の軍部隊で置き換えたり、悪名高いブラックウオーター・アメリカ創設者であるお友達エリック・プリンス管理下の民間傭兵を契約したりしたいと述べている。

また、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、今週、イラン軍が、ダマスカスの要求の下、合法的にシリアに駐留している事実にもかかわらず、また、政権転覆のため、テロリスト代理軍を使った、欧米が支援する秘密戦争を、イランはロシアと共に打ち破るのを支援した事実にもかかわらず、イランの影響力が強化するのを欧米諸国は許さないと警告して、アメリカ軍のシリア駐留を維持するよう、トランプに強く促した。マクロンの全くの傲慢さ!

可燃混合気を更にあおっているのは、アメリカ率いる今後のあらゆるシリア空爆に進んで加わりたいと言っているサウジアラビアとイスラエルだ。

サウジアラビアとイスラエルが、自分たちの宿敵だと異常なまでに見なしているイランと戦争をしたくてうずうずしているのは明らかに見える。

4月14日のアメリカ率いる空爆の一週間前、4月8日、イスラエルが空中発射したミサイルが中央シリアのT-4空軍基地に命中するという遥かに危険な出来事が起きていた。死者の中には7人のイラン人顧問がいた。これも火薬だるに飛び散るもう一つの火花だった。

今週、イラン国家安全保障委員会委員長アリ・シャムハニは、イスラエルによる言語道断な戦争行為に対する“結果と報復措置”を警告した

イランによるこの正当な自己防衛の声明に応えて、イスラエルのアヴィグドール・リーベルマン国防相は “イスラエルは戦争を好まないが、もしイランがテルアビブを攻撃すれば、我々は テヘランを攻撃する。”と厚かましくも述べている

リーベルマンの傲慢な不合理さはさておき、彼の声明が意味するところは、シリアとイランに対する更なる侵略の口実をイスラエルに与えるための偽旗事件が強く要求されているということだ。

シリアにおける危険は、兵力が集中していることだけでなく、様々な可動部品の力学だ。イスラエルとイランが関わる出来事が、対立する同盟諸国軍隊に大きな影響を与える爆発の引火点になりかねない。

アメリカとロシアの政治家や軍幹部には全面戦争の意図は皆無かも知れない。彼らはそのようなシナリオを本気で忌み嫌ってさえいるかも知れない。

だがそれこそがダニエル・ラザールが引き合いに出したサラエボの比喩が当たっている理由だ。善意にもかかわらず、諸般の状況から不可避的に破滅的結果が生まれかねないのだ。

これこそが、幾つかの国連決議が要求している通り、シリア内の全ての軍隊が撤退し、自決という政治過程を、シリアに追求させることが必須な理由だ。

何よりもまず、法的、道徳的責任として、アメリカ、フランスとイギリスは軍部隊を撤退し、シリアへの介入を停止することだ。彼らは結局、違法駐留しているのだ。

ところが不気味にも、NATO同盟諸国は国際法を順守する気がないようだ。連中は無謀にも火薬だるを積み上げている。実に恥ずべきことに、国連も欧州連合も、ワシントンと、その同盟諸国のけんか腰を黙認し、意気地なく加担している。国連とEUは、NATO大国諸国に、シリアに対する連中の違法行為を止めるよう、はっきり要求すべきなのだ。ところが、そうはしない。臆病な沈黙だ。

この点で、恐ろしいことに、ダマスカスは益々1914年のサラエボのように見えてくる。

それにもかかわらず、初期キリスト教徒を大量殺害したユダヤ人のサウルが、ある時、神の正しさを示す“天からの光を見て”邪悪な行為を止め、平和を愛するパウロとなった物語の通り、このシリアの都市は“回心”と“悔悛”と同義でもあることを想起しよう。

しかしながら、アメリカが率いるNATO同盟中の傲慢で欺瞞的な大量殺人犯連中の、そのような時宜を得た回心はありそうもないようだ。

Finian Cunningham(1963年生まれ)は、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。彼は農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。彼は音楽家で、作詞作曲家でもある。20年以上、ミラーや、アイリッシュ・タイムズや、インデペンデント等の大手マスコミ企業で、彼は編集者、著者として働いた。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/04/30/damascus-sarajevo-of-21-century.html
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タレントのセクハラ行為は大騒ぎするが、226や515を連想させる自衛隊幹部の暴言については、何の追求もしない大本営広報部の沈黙は不気味。

斉藤貴男著『戦争経済大国』にあるとおりの状況。

『戦争経済大国』168~169ページに、朝鮮戦争勃発の当時、保守系政治家がマッカーサーに送った手紙が引用されている。

 私の提案は義勇防衛軍を直ちに組織することを要請するものであります。隊員は日本人により構成され、米軍の指揮下で日本の国内の安定化にあたり、必要とあらば合衆国と国連に加担して共産主義との戦いに参加するというものです。
 合衆国の日本占領は世界史の中でも他に類を見ない独特の現象です。高度の理想と民主主義の伝統、更には自由な制度の教義に基づき被占領民に対しこのような同情と思いやりの上に立った占領方針の実施は、古今東西に類を見ないものであります。日本国民の間に湧き起ったマッカーサー元帥への大いなる賛美と尊敬の念、そして信頼感はそこに根づいています。
 今や隣の朝鮮に戦争が起こりました。日本に居た米軍団は朝鮮に投入され、共産主義の侵略に対して生命を犠牲にして戦っております。私たちにとってこのような事態を腕をこまぬき傍観者の立場から見ていることはとても耐えられません。(中略)
出来るだけ早く義勇軍を組織することを私が主張する理由の一つに、この制度の下では諜報活動が大いに改善されると考えていることがあります。この組織を日本政府のみならず、米国側でも利用することによって、反乱の危機を前もって察知し対処することが可能となるでしょう。(原文は英語。袖井林二郎訳)

日付は1950年7月28日。
手紙の主は世耕弘一。現在の自民党広報部長の祖父だ。

「あとがき」には、下記文章と、ラティモアの著書からの引用がある。

取材の過程で「読むといい」と教えていただいたアメリカの中国学者オーウェン・ラティモア(1900~89)が1948年に著した『アジアの情勢』(小川修訳、河出書房、1953年)にあった以下の分析通りの状況が、70年の時を隔てて、完全に的中してしまいつつあることに、堪らなくなったためだ。

 (アメリカの対日政策における)仮説の連鎖の第一環は、日本をアジアの工場とロシアに対する防壁とに仕立て上げることができる、という考えである。この仮説は、アメリカの政策の道具としての日本は、イギリスとドイツとネパール王国とがもつすべての価値を、一身に兼ね備えているというおどろくべき理論の上に立っているのだ。(中略)
 インドから独立しており、インドとイギリスに凶暴なグルカ人傭兵を供給しているネパール王国と同じように、うまれつき訓練された日本人は、「伝統的に反ロシア的」であるから、時とともに、独自の政治をもたず、自国の「作業場」をまかなってくれるアメリカに対して堅い忠誠を致すところの、新しい種類の植民地軍隊を供給する国となるだろう、と期待されているのである。

連休中の大本営広報部白痴製造装置、音声をけしたままでも、見るのがいやになってきた。

大本営広報部ではなく、下記インタビューを拝見したいと思う。

日刊IWJガイド「森友問題での告発を受け大阪地検特捜部が迫田英典・元国税庁長官を任意聴取!/トランプ大統領がイラン核合意から離脱する意思を固めた!? 朝鮮半島の緊張緩和ムードに水を差す中東情勢の緊張!/世界最大の軍事戦略研究所、CSISが子宮頸がんワクチン接種再開を求める不可解! 『HANS(子宮頸がんワクチン関連神経免疫異常症候群)の問題は,現在の医学・医療に対する告発だ! 子宮頸がんワクチン重篤副反応被害と向き合う』明日午後2時30分より、岩上安身による 小児科医・横浜市立大学名誉教授 横田俊平氏インタビューをお送りします!/
平和か戦争か!? 運命の前夜の韓国へIWJ記者を特派!10夜配信シリーズ特集・第三夜~『韓半島の平和と日本の平和憲法擁護のための韓日市民平和会議・第3セッション』を午後5時より録画配信!」2018.5.4日号~No.2059号~

2018年5月 3日 (木)

朝鮮半島に平和の兆しが見えているが、アメリカが我を通せば、そうは行かないかも知れない。

公開日時: 2018年4月28日  12:54
編集日時: 2018年4月28日  13:38
RT

今週、北朝鮮と韓国の指導者が歴史的会談を行い、二国間で何十年も続いた敵意が除かれたが、これは“北朝鮮危機”の終焉を示唆するのだろうか、それとも祝うには早過ぎるのだろうか?

アメリカ合州国は、いつでも、少なくとも7カ国(あるいは8カ国)を爆撃しながら、少なくとも他の2カ国あるいは、3カ国を爆撃すると威嚇している国だ。こうした未曾有の侵略行為にもかかわらず、現在どこの国も爆撃していない北朝鮮が、不思議なことに、かならず、世界の安全保障にとって、手に負えない脅威の国だと広くレッテルを貼られている。

“北朝鮮を爆撃すべき時期だ”と元政府顧問エドワード・ルトワックが、今年1月「Foreign Policy」の論説で書いた。

いや、そうではない。実際、私の記憶が正しければ、アメリカはかつて北朝鮮を既に一度爆撃し、その過程で、戦争犯罪の可能性があることを大量に行っていたのだ。

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朝鮮半島再統一の時、到来

1950年始め、アメリカは、北朝鮮を非常に情け容赦なく爆撃し、朝鮮民主主義人民共和国によれば、アメリカは、8,700以上の工場、5,000の学校、1,000の病院 、600,000軒の家を破壊し、最終的に、おそらく、北朝鮮人口の20パーセントを殺害した。アジア・パシフィック・ジャーナルが書いているように、アメリカは余りに大量の爆弾を投下したので、攻撃すべき標的が足りなくなり、アメリカは、代わりに北朝鮮の灌漑システムを破壊して、現地住民を懲らしめ始めた:

“1952年秋には、アメリカ爆撃機が攻撃するための有効な攻撃目標が無くなった。北朝鮮のあらゆる重要な町、都市や工業地帯が既に爆撃されていた。1953年春には、空軍は、北朝鮮の稲作を破壊し、北朝鮮に更に食糧を供給しなければならなくなる中国に圧力をかけるため、鴨緑江の灌漑ダムを標的にした。五つの貯水池が攻撃され、何千エーカーもの農地が氾濫し、町丸ごと水浸しになり、何百万人もの北朝鮮国民にとって不可欠な食料源がだめになった。”

いわゆる北朝鮮の“脅威”を論じる際に言及すべきこの歴史的な出来事を誰も考えようとしない。しかも、これは酷くなるばかりだ。さほど遠くない昔、ドナルド・トランプ’の現在の国家安全保障問題担当補佐官、ジョン・ボルトンは“対北朝鮮先制攻撃の法的問題”と題するウオール・ストリート・ジャーナル (WSJ)掲載の論説記事を書いた。この発想が余りに途方もないものなので、約一週間後、WSJは“対北朝鮮先制攻撃は、まずい提案”と題するこれに対抗する視点を掲載する以外に選択の余地がなくなった。

北朝鮮指導部を“鼻血攻撃”で攻撃する秘密計画の主要立案者の一人だとも言われている前任の国家安全保障問題担当大統領補佐官H.R. マクマスター大将に、ボルトンが置き換わった。マクマスターが、トランプにとっては、どうやら十分タカ派ではなく、ボルトンのように血に飢えた人物によって取って代わられる必要があったことが、多くを物語っている。

最新の進展は、年内に北朝鮮がアメリカと行う会談にどのような影響を与えるのだろう

今週の北朝鮮の金正恩と韓国大統領文在寅との歴史的会談後、両国は“南北は完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を”“確認した”という共同声明で、両国の新たな関係を正式なものにした。お気づきの通り、これも、地域を完全に非核化する、ワシントンの明らかな目標だ。

ところが、この提案には仕掛けがある。北朝鮮にとって、完全非核化は、半島への到達範囲内にある核搭載可能な全てのアメリカ兵器完全撤去と、28,500人のアメリカ兵士の韓国撤退を意味するのだ。これはワシントンにとって交渉を難航させるこものであり、行き詰まりの原因となる可能性がある。特に、第二次世界大戦終結後の何十年間に、外交関係が良くなり、一部には連続5,000日以上続いている抗議があるにもかかわらず、アメリカ軍が日本からの撤退を依然拒否していることを考えれば。

アメリカが、いまだにドイツに基地を置き、1991年に、アメリカは、フィリピンから正式に追い出されたにもかかわらず、軍駐留の規模を拡大すると想定されるフィリピンにも軍隊を置いているのは同じ理由だ。事実をあるがままに受け入れよう。アメリカは、アメリカ軍が一度駐留を確立した国から去ることはまずない。そもそもそこに駐留する認識可能な法的根拠無しに、アメリカは、シリアの大半の石油豊富な地域を含め、シリアのほぼ三分の一を支配していることをお考え願いたい。

言い換えれば、アメリカは、2015年に、イランと合意した包括的共同作業計画 (JCPOA) と同様の不可避の畳んでしまえる合意を追い求め、究極的に、北朝鮮に、彼らが求めている安全保障を与えないだろう。北朝鮮指導部自身の考え方はさておき、1950年代初期に、北朝鮮の生活を復帰不能なまでに破壊したのはアメリカだった。17年前に行った、主権に対する単独攻撃のよりをもどそうと、アメリカが依然苦闘していることを想起しよう。その文脈の中でこそ、北朝鮮国民の窮状の理解が可能になるだろう。

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ワシントンのタカ派のおかげではなく、タカ派にもかかわらず、朝鮮半島に平和が出現

北朝鮮の本当の“脅威”

北朝鮮は、核兵器計画とされるものゆえに脅威なのではない。世界中に、1,000以上の軍事基地を保有するアメリカには、7000億ドルの軍事予算と、全ての大陸を居住不可能にしてしまえるほどの非常に高機能な核兵器備蓄がある。北朝鮮との戦争は、アメリカにとっては、決して大変な課題ではない。

そうではない。イラク、リビア、アフガニスタン、シリアやイランが脅威なのと同じ理由で、北朝鮮は脅威なのだ。天然資源と、こうした資源開発を、アメリカ・ドルの立場に挑戦するであろう通貨と結びつける能力だ。

おわかりだろうか。北朝鮮には希土類鉱物を含む200以上の鉱物埋蔵があり、その価値は、10兆ドルにものぼると考えられている。北朝鮮の主要同盟国、中国は現在、中国を、中東、ヨーロッパ、アフリカ、そして、アメリカにとって、全く不利なことに、太平洋さえ結びつける一帯一路構想として知られている途方もないプロジェクトを実現する過程にある。

中国は、どの国でも、彼らが提案している構想に貢献できると、公式に言っているが、アメリカにとって不幸なことに、彼らは100パーセント本気だ。昨年5月、中国は、北朝鮮を、国際協力のため、一帯一路フォーラムに招請した。言い換えれば、中国は、実際あと数年で、アメリカを除外したまま、こうした膨大な資源を活用する“シルク・ロード”を実現するかも知れない。

現時点で、中国は既に他の国々と、アメリカ・ドルではなく、中国元使用する協定を調印し始めている。中国は既に、今年早々、石油原油先物市場を立ち上げ、世界金融市場における石油売買への元使用の道を開き、アメリカ・ドル覇権を更に脅かしている。

もしこの提案が実を結び、北朝鮮のように、アメリカの敵国として知られている国を巻き込めば、中国の提案が、ドルの立場に対して持つ影響が想像できよう。

    南北朝鮮は以下に合意している。
    - 朝鮮半島の完全非核化
    - アメリカと中国も加わる多国間交渉の実施
    - 5月の幹部レベルでの軍事交渉
    - '確固とした平和な体制'の確立
    - 金は、二つの朝鮮が再統一することを希望すると述べた

    詳細は: https://t.co/I0RU9xtxxBpic.twitter.com/3kcA9cTC8m
    - RT (@RT_com) 2018年4月27日

北朝鮮交渉の将来: ありのままの真実

彼らが求めてきた見返り無しに、アメリカとの平和交渉で進んで話し合うようなことをすれば、イラクとリビアに起きたことが、究極的には北朝鮮にも起きる(二度目に)のを平壌は知っているというのが厳しい現実だ。

これは憶測ではない。北朝鮮外務省によれば“リビア危機が国際社会に重要な教訓を与えている”2003年の兵器開発計画を放棄するというリビアの決定は明らかに “リビアを武装解除する侵略戦術だ”。かつて、北朝鮮はアメリカに爆撃されており、北朝鮮には、再度それを起こさせる意図は皆無だ。アメリカが彼らに歩み寄った場合にのみ、核兵器計画を放棄することを北朝鮮指導部極めて明確に何度も繰り返している理由はこれだ。

“朝鮮民主主義人民共和国に対する、アメリカの敵対的政策と核の威嚇が確かに終わらない限り、朝鮮民主主義人民共和国は、核と弾道ロケットを交渉のテーブルに載せたり、自ら選んだ核戦力強化の道を、一寸たりとも後退したりすることはない”と2017年7月4日の声明にある

もちろん北朝鮮と韓国はいつでも、アメリカの干渉無しに、両国自身の交政策課題を追求できる。この前向きな動きが、長年朝鮮半島での戦争をあからさまに主張してきたトランプ政権の功績だと認めるのは現実的には困難だとは言え、正式に朝鮮戦争を終わらせる決定はほぼ確実に前進するだろう。

だが既にタカ派のトランプ政権でのジョン・ボルトンの存在は偶然ではあり得ず、もしアメリカが我を通せば、北朝鮮国境にいるアメリカ軍事駐留撤退は無いだろうと思われる。この保証が無ければ、アメリカが、毎年必ず北朝鮮領土侵略をシミュレーションしているのを見ているので、北朝鮮が核兵器を放棄する可能性は低い。

更に読む: トランプにノーベル平和賞?朝鮮合意で、アメリカは人の手柄を自分の手柄にしているとロシア上院議員

現在の難題は、少なくとも、ワシントンの経済権益をより良く代表する政府が平壌に出現するまでは、北朝鮮と韓国との平和な関係の実現を遥かに超える隠された動機を持った余りに多くの連中が舞台裏にいる“最善の結果を期待しながらも、最悪の事態に備える”風シナリオと表現するのが一番適切だろう。

Darius ShahtahmasebiによるRT記事

Darius Shahtahmasebiは、ニュージーランドを本拠とする法律・政治評論家。Twitter @TVsLeakingで彼をフォローする。

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本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

記事原文のurl:https://www.rt.com/op-ed/425400-korea-north-peace-us/

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受刑者逃走の詳細と、有名芸能人のセクハラが、一番大切な話題なのだろうか?

同姓のたいこもちがより悪質な犯罪を犯しても、おとがめなしの不思議。

憲法破壊の本当の狙いを報じないで、壊憲に賛成か、反対か問うのは詐欺だろう。大本営広報は、第二次世界大戦の時と同じ役割を果たしているにすぎない。政府広報。洗脳。

本当の狙いを指摘されている孫崎享氏の今日のメルマガ題名をコピーさせていただこう。

九条改憲は現在の自衛隊を容認ではなく、自衛隊を「米国の要請で」海外の戦闘の場に出せるようにする。米国がこの方針決定は冷戦以降。最初は自衛隊を災害救助で海外に出し、日本国民馴らす。2005年頃より戦闘合意へ。安倍首相がこれを一次、二次内閣で推進

日刊IWJガイド・番組表「自衛隊を明記して違憲論争に終止符を打つことが私たちの責務?モリカケ等不祥事の連続で『改憲どころではない』事態を招いたのは安倍政権だ!/当の安倍総理はあらゆる国内問題を放置して、こちらも汚職疑惑に開戦の委任法成立と、どこかの国とそっくりなイスラエル・ネタニヤフ首相と会談! 核合意更新期限の5月12日が迫る中、まさか米・イ・日の「男たちの悪だくみ」じゃないでしょうね!?/平和か戦争か!? 運命の前夜の韓国へIWJ記者を特派!昨日から10夜配信シリーズ特集・第二夜~「韓半島の平和と日本の平和憲法擁護のための韓日市民平和会議・第2セッション」/
<新記事紹介>安倍政権に働き方改革を語る資格は『断じてない』!共産・志位和夫委員長が『高度プロフェッショナル制度』を必ず廃案に追い込むことを決意!~5.01 第89回中央メーデー」2018.5.3日号~No.2058号~

2018年5月 2日 (水)

何ができるだろうか?

2018年4月30日
Paul Craig Roberts

核のハルマゲドンで地球が滅亡するか否かは、ヨーロッパにかかっている。

西欧は、第二次世界大戦終結以来、ワシントンの属国であることに慣れきっており、東欧と中欧は、ソ連崩壊以来、ワシントンの臣下という身分を受け入れているため、ヨーロッパ各国政府は、ワシントンの攻撃から、世界を救える自分たちの潜在力を理解していない。全ての代償を計算に入れさえしなければ、隷属状態は実入りが良い。

東欧と中欧はNATOに加盟し、ワシントンがアメリカ軍駐留を、ロシア国境まで進めることを可能にした。このロシア国境での軍駐留で、ワシントンは、ロシアも強要して属国状態にさせることが可能だという過度の確信を得てしまった。これまでに結集された二つの最高の軍隊-ナポレオンの大陸軍と、ナチス・ドイツの国防軍の悲惨な運命にもかかわらず-ワシントン は戦争の二大原則を学んでいない。(1) ロシアに向かって前進するな。(2) ロシアに向かって前進するな。

ヨーロッパがワシントンに隷従しているがゆえに、ワシントンがロシアに向かって前進する前に、ワシントンが教訓を学ぶ可能性は低い。

傲慢な愚かな考えで、ワシントンは既にウクライナでのクーデターや、シリア軍陣地攻撃で、この前進を少しずつ始めている。私が今朝先に書いた通り https://www.paulcraigroberts.org/2018/04/30/syrian-cisis-escalates/ (日本語訳はこちら)ワシントンは シリアにおける危機をエスカレートしている。

これが戦争へと爆発する前に、止めることができるのは、ワシントンによる侵略を可能にする者という立場から離脱するという東欧と中欧の決断だ。

ヨーロッパにとって、NATOに加盟している恩恵は皆無だ。ヨーロッパ人は、ロシアによる侵略によって脅かされているのではなく、ワシントンによる対ロシア侵略で脅かされているのだ. もしアメリカ・ネオコンと、その同盟イスラエルが戦争挑発に成功すれば、全ヨーロッパが破壊されるはずだ。永遠に。

連中が支配している国民と、この危険を冒すヨーロッパ人政治家の一体どこかおかしいのだろう?

ヨーロッパは依然、長年にわたり人間が作り上げてきた、建築物、美術、そして知的な美の在り処で、博物館は破壊されてはならない。ワシントンへの隷属から解放さえされれば、ヨーロッパは、創造的な生活にさえ戻れるだろう。

ワシントンによって、ヨーロッパに押しつけられているワシントンの違法な対ロシア経済制裁で、既に経済的に、また、イスラム教の人々に対するワシントンの違法な戦争、アメリカがイスラエルのために戦うことを強いられている戦争から逃れて、何百万人もの非ヨーロッパ人難民がヨーロッパ諸国に殺到して、ヨーロッパは苦しんでいる。

ワシントンの属国として、彼らに押しつけられる途方もない懲罰で、ヨーロッパ人は一体何を得るのだろう? ハルマゲドンの脅威以外、彼らは何も得られない。極少数のヨーロッパ“指導者”は、ワシントンの違法な策謀を可能にする代償として、ワシントンから膨大な助成金をもらう。イギリス首相に対する普通の報酬ではないトニー・ブレアの膨大な富をご覧願いたい。

“指導者”を含め、ヨーロッパ人は、ロシア/中国シルク・ロード・プロジェクトと結びついた方が遥かに得るものは多い。勃興しつつあるのは欧米ではなく、東だ。シルク・ロードはヨーロッパを勃興する東と結びつける。ロシアには、アメリカ合州国より広い資源豊富な未開発の地域、シベリアがある。購買力平価ベースでは、中国は既に、世界最大の経済だ。軍事的に、ロシア/中国同盟は、到底、ワシントンの手には負えない。

もしヨーロッパに何らかの常識があり、誰か指導者がいれば、ワシントンに別れを告げているはずなのだ。

ヨーロッパにとって、ワシントンの対世界覇権は一体どのような価値があるのだろう? ワシントンから大金の詰まった袋をもらえるごく少数の政治家と対照的に、ワシントンに隷属して、普通のヨーロッパ人に一体どのような恩恵があるのだろう? 一つたりとも、恩恵は思い当たらない。ワシントンを擁護する連中は、ヨーロッパはロシアに支配されるのを恐れているのだと言う。それなら、73年間のワシントンによる支配、特に、彼らをロシアとの軍事衝突へと導いている支配を、ヨーロッパ人は一体なぜ恐れないのだろう?

ヨーロッパ人やロシア人とは異なり、アメリカ人には、戦時の死傷者体験がほとんど無い。第一次世界大戦での、たった一つの戦い、ベルダンの戦いは、イギリスから独立するためのアメリカ革命戦争から始まって、アメリカ建国以来のあらゆる戦争で、アメリカが経験したより多い戦死者をもたらした。

アメリカ参戦前に起きた、第一次世界大戦のベルダンの戦いは人類史上、最長で最も犠牲の大きな戦争だ。2000年の推計では、死傷者数は総計714,231人で、フランス人が377,231人、ドイツ人が337,000人、月平均死傷者数は、70,000人だ。別の最近の推計では、ベルダンでの戦闘中の死傷者数は、976,000人で、負傷者は、1,250,000人に増えている。

対照的に、アメリカ参戦後の、第一次世界大戦におけるアメリカ人死傷者数は、戦死者が、53,402人で、致死的でない負傷者、200,000人だ。

アメリカ革命戦争から、 2017年8月時点での“グローバル対テロ戦争”によるアメリカ人戦死者一覧は下記の通りだ。

アメリカ革命戦争: 4,435人
1812年戦争: 2,260人
対アメリカ先住民戦争 (1817年-1898年) 1,000人
米墨戦争 1,733人
アメリカ南北戦争:
北軍: 104,414人
南軍: 74,524人
米西戦争 385人
第二次世界大戦 291,557人
朝鮮戦争 33,739人
ベトナム戦争 47,434人
湾岸戦争 148人

これで、戦死者は、561,629人だ。

2017年8月時点で世界対テロ戦争での戦死者、6,930人を足せば、全てのアメリカの戦争におけるアメリカ人戦死者は、568,559人だ。https://www.infoplease.com/us/american-wars/americas-wars-us-casualties-and-veteransを参照。
アメリカ兵が参加していなかった、第一次世界大戦中の一つの戦争における戦死者と、致命的でない負傷者や四肢損傷を、現時点では私は分けることができないが、714,231人の死傷者と比較願いたい。

言い換えれば、桁外れの北軍戦争犯罪に苦しんだ南部連合国とアメリカ先住民以外、アメリカ人には戦争体験がない。だからワシントンは易々と戦争を始めることができるのだ。だが次はハルマゲドンで、ワシントンは、もはや存在しなくなる。そして我々全員も。

第一次世界大戦時のアメリカ兵士の死者数が少ない理由は、最後になるまで、アメリカが参戦しなかったためだ。第二次世界大戦でも同じだ。日本は、海軍と空軍の損失と、アメリカ人がほとんど僅かしか戦死しない、東京や他の日本都市への焼夷弾爆撃によって敗北した。広島と長崎への原爆攻撃は、日本が降伏を申し出ようとしていた時に行われた不当なものだった。約200,000人の日本の一般市民が原爆攻撃で死亡したが、両都市で拘留されていた戦争捕虜を除き、アメリカ人死者はいない。ヨーロッパでは、第一次世界大戦時と同様、アメリカ最後にドイツ国防軍が、ソ連赤軍によって、既に粉砕され、打ち破られるまで、対ドイツ戦争に参戦しなかった。全てのドイツ軍がロシア戦線にいたので、ノルマンジー攻撃はほとんど反撃を受けなかった。

もし第三次世界大戦になれば、アメリカと全ての西欧世界は即座に破壊され、欧米と途方もない核能力を保有するロシアとの間には、全くの破壊の可能性以外何もなくなるだろう。もし中国がロシア側について参戦すれば、想像通り欧米世界全体が永遠に破壊されよう。

ヨーロッパは一体なぜ、このシナリオを可能にしているのだろう? ヨーロッパのどこにも、人間性も知性も存在しないのだろうか? ヨーロッパは、狂ったアメリカ・ネオコンの陰謀によって屠殺されるのを待っている家畜の集団に過ぎないのだろうか? 常識や品位の片鱗があるヨーロッパ人政治指導者は皆無なのだろうか?

もしそうなら、ワシントンには人間性も知性も皆無なのだから、我々にはもう希望はない。

ヨーロッパ、特に中欧が主導すべきなのだ。彼らはロシアによって、ナチスから解放され、21世紀に、モスクワによって経験させられているより遥かに酷い攻撃をワシントンの覇権追求によってかけている人々だ。

もしヨーロッパが、ワシントンによる支配から決別すれば、生命の希望はある。もしそうでなければ、我々は死んだも同然だ。

Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/04/30/can-done-paul-craig-roberts/

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「外国人記者は見た」という番組に、村上誠一郎自民党衆議院議員がゲスト出演されていた。小選挙区制度のまずさを指摘されていた。

番組中で、紹介されていた古賀茂明氏との対談本、早速拝読。

断罪~政権の強権支配と霞が関の堕落を撃つ 次世代への日本再建論~

下記IWJインタビューを拝見して、村上誠一郎氏を知ったのだった。

【大義なき解散総選挙13】「たとえ一人でも、やらないといけない」集団的自衛権行使容認に反対した自民党・村上誠一郎衆院議員に岩上安身がインタビュー 時折涙を見せる場面も 2014.7.4

昨年のインタビューもある。

「安倍さんは武士(もののふ)として自ら進退を決めるべきだ」〜ミスター自民党がアベ政治をぶった斬る!「こんな財政状況で改憲の話している場合ではない」村上誠一郎議員に岩上安身が訊く! 2017.8.21

IWJ Independent Web Journal - 岩上安身責任編集

エスカレートするシリア危機

2018年4月30日
Paul Craig Roberts

二週間前に、シリア危機は、危機はまだ始まったばかりに過ぎないと私は書いた。https://www.paulcraigroberts.org/2018/04/17/crisis-beginning-stages/ (日本語訳はこちら)見たところアメリカ/イスラエル作戦らしい昨夜のシリア軍陣地攻撃は危機が拡大し続けている証拠だ。https://www.timesofisrael.com/resonant-syria-strike-suggests-coordinated-us-israel-message-to-russia-and-iran/

危機には、四つのお互いに強化しあっている原因がある。

(1) イスラエル拡張の障害となる、中東における敵を殲滅するのにアメリカ政府を利用するイスラエルの能力。イスラエルは、その水資源をイスラエルが熱望している南レバノン占領に取り組むイスラエルを二度も撃退したレバノン民兵ヒズボラに、この両政府が、補給をしているがゆえに、シリアとイランを標的にしている。

(2) イスラエルの中東政策と相性の良い、アメリカ世界覇権というネオコン・イデオロギーが、ネオコンとイスラエルとの強力な同盟により一層しっくりするものになっている。

(3) その膨大な予算と権限を正当化する、アメリカ軍安保複合体の必要性。

(4) ロシア政府が、上記三つの理由を理解できないこと。

ロシア政府の口ぶりからして、アメリカによるアフガニスタン侵略から始まる過去17年間にわたる中東におけるワシントンの軍事行動、未だ決着のつかない戦争が、テロとの戦いと関係していると、ロシアは信じているようだ。ロシアは、ロシアとアメリカはテロと戦う共通の取り組みで連合すべきだという見解を表明し続けている。どうやら、ロシア政府は、テロはワシントンが作り出したものだということを理解していないようだ。ワシントンのアフガニスタンとイラク侵略の結果である、好ましからぬ結果をもたらしている長い戦争で、リビアとシリアを打倒するため、ワシントンが、テロリストを採用し、送り込むに至ったのだ。明らかに、ワシントンは自分の狙いを実現するために作り出した兵器に対して戦うつもりはないのだ。

ワシントンのテロとの関係に関して、ロシア政府が混乱していることが、継続しているシリア危機の四つ目の原因だ。2015年、シリア政府側に立って、ワシントンの聖戦戦士“反政府派”に対し、ロシアが突然シリア介入をした際、ワシントンはすっかり不意をつかれた。ロシアは状況を完全に支配しており、2016年に戦争を終わらせることができていたはずなのだ。ところが、どうやら、ワシントンをなだめ、ヨーロッパに良い顔をしたくてか、ロシア政府は、2016年3月に時期尚早の勝利と撤退を発表した。この過ちが繰り返され、ロシアがこの間違いをするたびに、アメリカ軍兵士と航空機を送り込み、聖戦戦士傭兵に再補給し、訓練し、対シリア軍事攻撃に、イスラエル、サウジアラビア、フランスやイギリスの参戦を組織する好機をワシントンに与えてしまったのだ。現在、問題は、アメリカ軍兵士が、聖戦戦士傭兵と混在しているため、シリア/ロシア同盟が、ロシアとシリアが、これまでの所、そうすることを避けている、アメリカ人を殺害することなく、外国人侵略者をシリア領土から殲滅するのを困難にしている。ロシアのラブロフ外務大臣は、今ワシントンがシリアを分割しようとしていると非難しているが、シリア分割を招いたのは、ロシアの優柔不断だ。

アメリカ/イスラエル/ネオコン同盟と、それが中東に一体何を意味するかをロシア政府が理解できないことと、シリアに、S-300防空システムを提供することに関するロシア政府の優柔不断があいまって、危機がエスカレートし、実行者がまだ名乗り出ない昨夜のシリア軍陣地に対する“バンカー・バスター(地中貫通)”爆弾によるものと見られる攻撃、 エスカレーションを可能にしたのだ。

昨夜の攻撃はイラン人を殺害したが、次の攻撃は、ロシアの軍事要員を殺害しかねない。いずれかの時点で、ロシア政府が屈辱にうんざりしかねず、その場合、イスラエルとアメリカの軍用機が空から墜落し、対“反政府派”陣地攻撃で、アメリカ兵の命が奪われることになろう。

平和はイスラエル/アメリカが狙っているものではなく、アメリカもイスラエルも、ロシアが、それをもとに、シリアと中東に平和をもたらす合意を構築できるようないかなる善意を持って現地にいるわけではないのを、ロシア政府が理解出来ないことが、戦争が我々の上に迫るまで、危機が高まり続けることを意味している。

Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/04/30/syrian-cisis-escalates/

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電気洗脳箱、脱走、芸能人セクハラ、米朝首脳会談にまつわる憶測。自分の頭のハエは決しておわない。昨日、はじめてハエが出た。

先日、Eテレで、偶然、素晴らしいドキュメンタリーを見た。驚いた。掃き溜めに鶴。ただし、放送時間は人目にふれない時間枠。

ETV特集「平和に生きる権利を求めて~恵庭・長沼事件と憲法~」
2018年5月3日(木) 午前0時00分(75分) に再放送とある。

当時、知人が法学部の学生だったので、偉い裁判官がおられるものだと話し合ったような記憶がおぼろげにある。

戦争経済大国』を拝読中。22ページの発言を読んで、PKO日誌隠蔽の背景が見えたような気がする。

 一体化がここまで進むと、米軍と自衛隊は常に同一歩調であるのが当然で、別行動をとる方が不自然だということになりかねない。事実、私は自民党の出身で内閣特命相(防災担当)や郵政民営化担当相を歴任し、現在は日本維新の会に籍を移している沖縄選出の下地幹郎衆議院議員(1961年生まれ)に、「あなたはどうして米軍と自衛隊を分けて考えるのかなあ。両者は一つのものなんですよ。」と言われたことがある。2017年現在、両者を隔てているのは、日本国憲法だけなのだ。

二つの新聞の、壊憲に関する世論調査結果の大きな乖離。両方が真実のはずはありえない。大本営広報部の洗脳実績を考えると、国民投票になった場合、結果は楽観できない。砲弾の餌食推進側は、その膨大な資金で、虚報宣伝し放題なのだから。

この時期、火薬庫に、わざわざ出かけてゆく不思議。飛んで火に入る初夏の虫。

「あなたはどうして米国と日本を分けて考えるのかなあ。両者は一つのものなんですよ。」と言われているかのような気分。

日刊IWJガイド・番組表「『メーデーの起源に立ち返り、人間らしい働き方に向けた新しい戦い』を! 5月1日は『労働者の日』!IWJは第89回中央メーデー式典を中継!/IWJが韓国取材を敢行! 敵対と不信の関係を続けてきた国家間に平和の扉を開くのは韓国と日本の市民運動!/『政と官』の関係が『いじめの構図』!? 前川喜平氏の講演をめぐる教育現場介入問題で自民党の赤池誠章議員は『池田さんの責任』、池田佳隆議員は雲隠れ!ジャーナリスト・横田一氏による特別寄稿を掲載!/
5.12に何が起きる!? ネタニヤフ首相がイランの核兵器開発に関する大量の資料を公表し、トランプ米大統領にイラン核合意からの離脱を希求!!一方、安倍総理は拉致問題を放り出し、なぜかそのイスラエルへ!!/『売国』『反日』『在日特権』…内閣府『国政モニター』投稿欄に、ネトウヨサイトと見紛う暴言とデマ! 内閣府はこれを『適切』と判断して、拡散したのか!?」2018.5.2日号~No.2057号~

2018年5月 1日 (火)

シリアで、アメリカの本格的戦争になるのか?

スティーブン・レンドマン
2018年4月29日

(stephenlendman.org Home – Stephen Lendman)

2011年3月に、オバマが対シリア戦争を開始して以来、ワシントンの狙いは、当時も今も、政権転覆、欧米寄り政権の樹立、シリア分断、資源略奪、国民搾取、そして、イラン・イスラム共和国を、同様に標的にするのに先立つ、イラン孤立化だ。

こうした狙いの追求で、ワシントンは、NATOやイスラエルや他の地域諸国と同盟しており、人的損失はどうでも良いのだ。

シリアは世界で最も危険なホットスポット、今にも爆発しそうな火薬庫だ。戦争をエスカレートするための口実で、次の化学兵器攻撃偽旗が実行されるのは時間の問題に過ぎない - おそらく、アメリカが率いる全面的な攻撃が続き、主要二大核大国が対抗することになろう。

中東と世界の平和の運命を含め、危険は巨大だ。

土曜日、モスクワで、セルゲイ・ラブロフ外務大臣はこう述べた。

    “人種的、宗教的理由で、シリアを分割する企み(が行われつつあるが)”現在起きていることは“全く容認できない”更に、

    “特に‘現地の’各当事者間の信頼を強化することにより、この状況を克服することを狙っている“

シリアにおける、明白なアメリカの狙いを考えれば、彼がこれが可能だと考えているとは想像しがたい。シリアにおけるアメリカの侵略に対し、ロシアがより力強く対決し損ねたことで、解決しようとする努力を損ない、アメリカによる戦争のエスカレーションを助長した。

“ここ数週間の進展は、全員がシリアにおける平和回復を望んでいるわけではないことを示している”と言うラブロフ外務大臣は、控えめな表現の極みだ。

ワシントンと、NATOと、イスラエルと、連中のならずもの仲間は、紛争解決の取り組みを損なうため総力をあげている。ラブロフ外務大臣が他の表現をしていても、ジュネーブも、アスタナも、ソチ交渉も結実しなかった。

先週の議会証言で、マティス戦争長官は、(テヘラン)が現地で、ヒズボラを通して、代理作戦を継続しているので、シリア国内でのイスラエルとイランとの紛争“の可能性は非常に高いとのべ”更に

    “どのようにして、それが始まるだろうから想像できるが、いつ、どこかは分からない。”彼はシリア国内でのアメリカ軍作戦を“再度活発化”させると誓った。“我々は撤退しない”と彼は強調した。

ワシントンで、イスラエルの戦争大臣アヴィグドール・リーバーマンは、マティスとジョン・ボルトンと会談し - 三人のごろつき連中が、次の行動をたくらんだ。

トランプの外交的でない国務長官として、最初の海外訪問先ブリュッセルで、マイク・ポンペイオは、NATO本部で各国の外務大臣たちにタカ派発言をしたと、同日の記事にある。

イスラエルとヨルダン訪問前のサウジアラビアで、彼に同行したブライアン・フック国務省政策顧問は“イランのミサイル計画に関与している個人や組織の制裁”を主張した。

アメリカが画策しているサウジアラビアによるテロ爆撃を無視し、彼は、テヘランがミサイルをイエメンのフーシ派に供給していると偽って非難した。

彼は頭の中で、真実を逆立ちさせて、こう主張した。

    “イランのミサイルが中東における戦争と苦難を長引かせている。彼らは我々の安全保障と経済権益を脅かしており、とりわけサウジアラビアとイスラエルを脅かしている。”

イランは誰も脅かしていない。ワシントンと、そのならず者仲間が世界平和を脅かしているのだ。

イランのミサイル開発と製造は全く合法的だ。イラン人軍事顧問は、ダマスカスの要求に応じて、シリアにおり、アサドがアメリカが支援するテロリストと戦うのを合法的に支援している。ワシントン軍隊のシリア駐留は目に余る国際法違反だ。

5月12日、あるいは、それ以前に、イラン核合意がどうなるか分からない。現在の形のままで済む可能性は極めて低い。トランプが望んでいる変更は受け入れがたい。

核にまつわる経済制裁を、イランに再度課すか、それとも、これまでのように差し控えるか、彼は決定しなければならない。再度課せば、合意を終わらせる可能性が高い。

もし事態がそういう展開となれば、アメリカが恫喝する経済制裁は本格的な経済的打撃になるので、イランへの外国投資は抑制されるはずだ。

金融戦争は、常備軍同士の戦い同様に、破壊的になり得るが、ワシントンがイランに対して繰り返し演じる汚らしいゲームは、もし核合意が崩壊すれば、エスカレートする可能性が高い。

ワシントンと、そのならず者仲間が、シリアにおける平和と安定性の回復ではなく、果てしない戦争と政権転覆を望む限り、シリアにおける紛争解決は実現不可能だ。

アメリカの覇権に対する渇望には世界戦争の危険がある。シリアにおける全面戦争がその引き金になりかねない。事態が制御しきれなくなって、誰も望んでいないことが起きる可能性がある。

*

私のウェブにおいで願いたい。 stephenlendman.org (Home – Stephen Lendman)。連絡先は  lendmanstephen@sbcglobal.net

編集者、寄稿者としての最新刊の書名は“Flashpoint in Ukraine: How the US Drive for Hegemony Risks WW III”

www.claritypress.com/LendmanIII.html

記事原文のurk:http://stephenlendman.org/2018/04/full-scale-us-war-syria-coming/

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外国の知人から、自分の国も色々多難だが、日本の首相スキャンダルと彼の去就、北朝鮮事情の進展について質問が来た。独断と偏見を書き、文末に森嶋通夫氏の未来予想を引用して返事をしたところ、一行「それにくらべれば、わが国の問題は小さい」と書いて来た。

日刊IWJガイド・番組表「イスラエルがシリア国内のイラン民兵の軍事施設を越境攻撃!? アメリカは核合意破棄の可能性? 同日安倍総理が中東歴訪の理由は?/やっぱりほんとうに『蚊帳の外』?『北朝鮮強硬派』としてラッパを吹いてきた安倍晋三総理の今後の外交方策は?/『明治を疑う!朝鮮半島と日本』シリーズ特集~原田伊織氏インタビューを3夜連続で再配信(第2弾)! 本日午後8時からは『公文書偽造で始まった明治維新! 現在も続く官軍教育で描かれた「偉人」たちの姿はウソばかり!? 岩上安身による作家・歴史評論家・原田伊織氏インタビュー』中編!/
<新記事紹介>スクープ! これが記者クラブの実態!「報道したら取材がしづらくなる」と報道局長が弁明!? オブザーバーで入場のTBS金平茂紀記者に「質問はNHK記者会に来ている人に」と質問NG! 閉ざされたテレ朝社長会見の取材メモをIWJが独自入手!!」2018.5.1日号~No.2056号~

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