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2018年5月 4日 (金)

ダマスカスは、21世紀のサラエボ?

Finian Cunningham
2018年4月30日
Strategic Culture Foundation

アメリカ人歴史家ダニエル・ラザールが、最近のインタビューで警告したように、ダマスカスが21世紀のサラエボになる運命を避けられるよう願うばかりだ。

サラエボは、1914年、1000万人以上の死者をもたらした第一次世界大戦を引き起こしたきっかけと同義だ。これによって、大量破壊戦争という現代の悪魔が生まれたのだ。

4月14日のアメリカとフランスとイギリスによる空爆は“アメリカ軍による遥かに攻撃的な対シリア作戦の第一歩 ”に過ぎないと、ラザールは主張している

彼は更に書いている。“アメリカはシリアから撤退できない。アメリカは決して、シリアから撤退するまい。アメリカ軍による、より大規模な侵略が行われる… ダマスカスは21世紀のサラエボだ。”

歴史が、そのまま正確に繰り返すことは稀だ。しかし歴史は確かに、言ってみれば韻を踏む、つまりよく似たパターンの繰り返しは識別することが可能だ。

最初の世界規模、産業規模の戦争が1918年に終わって、きっかり一世紀、同様な戦争がシリアで勃発する本当の危険が存在している。ただし、もしそのようなことが起きれば、交戦国となる可能性がある国々が核兵器を保有していることを考えると、エスカレーションの危険はずっと大きい。

歴史が繰り返したり、韻を踏んだりすることが不可避だという訳ではない。シリアの7年にわたる戦争が国際的な戦争に発展することが不可避だという訳ではない。とは言え、危険は差し迫っている。

1914年のサラエボ同様、ライバル大国間で、配置は急に拡大しつつある。各国の軍隊が詰まった火薬だるに点火するには、火花一つで十分なのだ。

そうした火花の一つが、今月初めのアメリカ、フランスとイギリスによるシリア空爆だった。4月7日のダマスカス付近での化学兵器攻撃事件に報復するという口実とされるものが明らかに詐欺的なので、シリアと同盟国のロシアとイランは、この軍事攻撃を、侵略、国際法違反だと強く非難した。

シリアで迫り来る戦争の悲劇は、その結果が実に恐ろしいものになりかねないのがわかっているので、最終的に全面戦争になるのを望む政治家や国民はほとんど皆無なことだ。

シリアにおいて、いかなる偶発的衝突も避けるため、アメリカとロシアの軍司令部が緊密な連絡を維持しており、衝突を避けていると信じる十分な理由がある。

ロシア・マスコミの長いインタビューで、セルゲイ・ラブロフ外務大臣は、モスクワは、ワシントンに対し、シリア国内の“越えてはならない一線”について警告し、今月初めに空爆を行った際、アメリカ側がそれを順守したと述べた。犠牲者はなく、損害が最少だったことが、空爆が、何らかの実際の軍事目的というより、見せびらかすためのものだったことを示唆している。

ラブロフ外務大臣は、現在のアメリカとロシアの指導部が、シリアにおける対立のエスカレーションを許すはずがないと確信しているとも述べた。

外務大臣はこう述べた。“軍事的対立のリスクについて言えば、各国軍隊は、そういうことを許さないし、もちろんプーチン大統領もトランプ大統領も許さないと私は固く信じています。結局、彼らは、国民に選ばれ、国民気平和に責任を負う指導者なのです。”

とはいえ、サラエボの例えの話に戻ると、やっかいで複雑なのは、各軍隊の配置のおかげで、指導者たちが道理をわきまえて語っていることを、戦争の論理が覆しかねないことだ。1914年当時のヨーロッパ指導者たちは、出来事が、制御できない壊滅的な形で展開することを望んでも、予想してもいなかったと言っておくのが公正だろう。

現在、シリアでは、アメリカ、フランスとイギリス軍が、地上と空で活動している。アメリカ航空母艦戦闘群が、シリア攻撃可能距離の地中海に到着した。トルコを含むこれらNATO軍の全てが、違法にシリアを脅かしているのだ言わねばならない。

シリアを脅かしている最近のNATO軍事力強化は、7年間の戦争後、連中の代理テロ集団が、打ち破られた結果であることにほとんど疑念はないようだ。あの戦略的敗北は、ダマスカスの合法的な救援要求を受けた後、同盟国シリア側に立ってのロシアとイランの介入のおかげだったと言えよう。

トランプ大統領は最近シリアからのアメリカ軍撤退について語っている。ペンタゴンがまさに、その逆をすると固く決意していることからして、トランプの無意味な大言壮語という可能性がある。また、もしトランプが、アメリカ軍のシリア駐留を多少縮小できた場合、彼は、これら部隊を、サウジアラビアや他の湾岸アラブ諸国政権の軍部隊で置き換えたり、悪名高いブラックウオーター・アメリカ創設者であるお友達エリック・プリンス管理下の民間傭兵を契約したりしたいと述べている。

また、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、今週、イラン軍が、ダマスカスの要求の下、合法的にシリアに駐留している事実にもかかわらず、また、政権転覆のため、テロリスト代理軍を使った、欧米が支援する秘密戦争を、イランはロシアと共に打ち破るのを支援した事実にもかかわらず、イランの影響力が強化するのを欧米諸国は許さないと警告して、アメリカ軍のシリア駐留を維持するよう、トランプに強く促した。マクロンの全くの傲慢さ!

可燃混合気を更にあおっているのは、アメリカ率いる今後のあらゆるシリア空爆に進んで加わりたいと言っているサウジアラビアとイスラエルだ。

サウジアラビアとイスラエルが、自分たちの宿敵だと異常なまでに見なしているイランと戦争をしたくてうずうずしているのは明らかに見える。

4月14日のアメリカ率いる空爆の一週間前、4月8日、イスラエルが空中発射したミサイルが中央シリアのT-4空軍基地に命中するという遥かに危険な出来事が起きていた。死者の中には7人のイラン人顧問がいた。これも火薬だるに飛び散るもう一つの火花だった。

今週、イラン国家安全保障委員会委員長アリ・シャムハニは、イスラエルによる言語道断な戦争行為に対する“結果と報復措置”を警告した

イランによるこの正当な自己防衛の声明に応えて、イスラエルのアヴィグドール・リーベルマン国防相は “イスラエルは戦争を好まないが、もしイランがテルアビブを攻撃すれば、我々は テヘランを攻撃する。”と厚かましくも述べている

リーベルマンの傲慢な不合理さはさておき、彼の声明が意味するところは、シリアとイランに対する更なる侵略の口実をイスラエルに与えるための偽旗事件が強く要求されているということだ。

シリアにおける危険は、兵力が集中していることだけでなく、様々な可動部品の力学だ。イスラエルとイランが関わる出来事が、対立する同盟諸国軍隊に大きな影響を与える爆発の引火点になりかねない。

アメリカとロシアの政治家や軍幹部には全面戦争の意図は皆無かも知れない。彼らはそのようなシナリオを本気で忌み嫌ってさえいるかも知れない。

だがそれこそがダニエル・ラザールが引き合いに出したサラエボの比喩が当たっている理由だ。善意にもかかわらず、諸般の状況から不可避的に破滅的結果が生まれかねないのだ。

これこそが、幾つかの国連決議が要求している通り、シリア内の全ての軍隊が撤退し、自決という政治過程を、シリアに追求させることが必須な理由だ。

何よりもまず、法的、道徳的責任として、アメリカ、フランスとイギリスは軍部隊を撤退し、シリアへの介入を停止することだ。彼らは結局、違法駐留しているのだ。

ところが不気味にも、NATO同盟諸国は国際法を順守する気がないようだ。連中は無謀にも火薬だるを積み上げている。実に恥ずべきことに、国連も欧州連合も、ワシントンと、その同盟諸国のけんか腰を黙認し、意気地なく加担している。国連とEUは、NATO大国諸国に、シリアに対する連中の違法行為を止めるよう、はっきり要求すべきなのだ。ところが、そうはしない。臆病な沈黙だ。

この点で、恐ろしいことに、ダマスカスは益々1914年のサラエボのように見えてくる。

それにもかかわらず、初期キリスト教徒を大量殺害したユダヤ人のサウルが、ある時、神の正しさを示す“天からの光を見て”邪悪な行為を止め、平和を愛するパウロとなった物語の通り、このシリアの都市は“回心”と“悔悛”と同義でもあることを想起しよう。

しかしながら、アメリカが率いるNATO同盟中の傲慢で欺瞞的な大量殺人犯連中の、そのような時宜を得た回心はありそうもないようだ。

Finian Cunningham(1963年生まれ)は、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。彼は農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。彼は音楽家で、作詞作曲家でもある。20年以上、ミラーや、アイリッシュ・タイムズや、インデペンデント等の大手マスコミ企業で、彼は編集者、著者として働いた。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/04/30/damascus-sarajevo-of-21-century.html
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タレントのセクハラ行為は大騒ぎするが、226や515を連想させる自衛隊幹部の暴言については、何の追求もしない大本営広報部の沈黙は不気味。

斉藤貴男著『戦争経済大国』にあるとおりの状況。

『戦争経済大国』168~169ページに、朝鮮戦争勃発の当時、保守系政治家がマッカーサーに送った手紙が引用されている。

 私の提案は義勇防衛軍を直ちに組織することを要請するものであります。隊員は日本人により構成され、米軍の指揮下で日本の国内の安定化にあたり、必要とあらば合衆国と国連に加担して共産主義との戦いに参加するというものです。
 合衆国の日本占領は世界史の中でも他に類を見ない独特の現象です。高度の理想と民主主義の伝統、更には自由な制度の教義に基づき被占領民に対しこのような同情と思いやりの上に立った占領方針の実施は、古今東西に類を見ないものであります。日本国民の間に湧き起ったマッカーサー元帥への大いなる賛美と尊敬の念、そして信頼感はそこに根づいています。
 今や隣の朝鮮に戦争が起こりました。日本に居た米軍団は朝鮮に投入され、共産主義の侵略に対して生命を犠牲にして戦っております。私たちにとってこのような事態を腕をこまぬき傍観者の立場から見ていることはとても耐えられません。(中略)
出来るだけ早く義勇軍を組織することを私が主張する理由の一つに、この制度の下では諜報活動が大いに改善されると考えていることがあります。この組織を日本政府のみならず、米国側でも利用することによって、反乱の危機を前もって察知し対処することが可能となるでしょう。(原文は英語。袖井林二郎訳)

日付は1950年7月28日。
手紙の主は世耕弘一。現在の自民党広報部長の祖父だ。

「あとがき」には、下記文章と、ラティモアの著書からの引用がある。

取材の過程で「読むといい」と教えていただいたアメリカの中国学者オーウェン・ラティモア(1900~89)が1948年に著した『アジアの情勢』(小川修訳、河出書房、1953年)にあった以下の分析通りの状況が、70年の時を隔てて、完全に的中してしまいつつあることに、堪らなくなったためだ。

 (アメリカの対日政策における)仮説の連鎖の第一環は、日本をアジアの工場とロシアに対する防壁とに仕立て上げることができる、という考えである。この仮説は、アメリカの政策の道具としての日本は、イギリスとドイツとネパール王国とがもつすべての価値を、一身に兼ね備えているというおどろくべき理論の上に立っているのだ。(中略)
 インドから独立しており、インドとイギリスに凶暴なグルカ人傭兵を供給しているネパール王国と同じように、うまれつき訓練された日本人は、「伝統的に反ロシア的」であるから、時とともに、独自の政治をもたず、自国の「作業場」をまかなってくれるアメリカに対して堅い忠誠を致すところの、新しい種類の植民地軍隊を供給する国となるだろう、と期待されているのである。

連休中の大本営広報部白痴製造装置、音声をけしたままでも、見るのがいやになってきた。

大本営広報部ではなく、下記インタビューを拝見したいと思う。

日刊IWJガイド「森友問題での告発を受け大阪地検特捜部が迫田英典・元国税庁長官を任意聴取!/トランプ大統領がイラン核合意から離脱する意思を固めた!? 朝鮮半島の緊張緩和ムードに水を差す中東情勢の緊張!/世界最大の軍事戦略研究所、CSISが子宮頸がんワクチン接種再開を求める不可解! 『HANS(子宮頸がんワクチン関連神経免疫異常症候群)の問題は,現在の医学・医療に対する告発だ! 子宮頸がんワクチン重篤副反応被害と向き合う』明日午後2時30分より、岩上安身による 小児科医・横浜市立大学名誉教授 横田俊平氏インタビューをお送りします!/
平和か戦争か!? 運命の前夜の韓国へIWJ記者を特派!10夜配信シリーズ特集・第三夜~『韓半島の平和と日本の平和憲法擁護のための韓日市民平和会議・第3セッション』を午後5時より録画配信!」2018.5.4日号~No.2059号~

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