世界の終わりまで、あと十日
2018年4月12日
Paul Craig Roberts
犯罪的に狂ったアメリカとイギリスとフランスの政府は、ロシアによる警告にもかかわらず、シリアを攻撃するために、ミサイル艦船と潜水艦と航空母艦の船団を派遣しつつある。でっちあげられた真っ赤なウソだけに基づいた、この言語道断の侵略行為、あの悪魔化されているドイツ・ナチス政権によって行われたあらゆるものより遥かに無責任で、遥かに危険な無謀な侵略行為でありそうな結果は、一体何だろう?
ヨーロッパ政府からの抗議は皆無だ。ヨーロッパやアメリカの都市の街頭に、抗議行動参加者は皆無だ。戦争を、可能性としては第三次世界大戦引き起こしかねない、主権国家に対する軍事攻撃を開始する権限が、議会から彼に与えられていないことを、議会はトランプに気付かせていない。全員が世界の終わりの可能性に満足しているように見える。愚かなアメリカ売女マスコミは、それをけしかけている。
あり得る結果はこうだ。
(1) 欧米にとって、事実と証拠が重要で、常識が最後は勝つはずだという勘違いした思い込みにはまっているロシアは、攻撃を受け入れる。この結果は、ロシアが窮地に追い詰められ、対アメリカ直接核攻撃以外、選択の余地が無くなるまで、更なる攻撃を奨励することになるので、この結果はあらゆるものの中で最も危険だ。
(2) 起こりつつある紛争で、ロシアが率先して行動し、攻撃船団が到着し、そこを越えれば、欧米の船団が攻撃の標的になる境界線を宣言する前に、アメリカ・ミサイル駆逐艦ドナルド・クックを警護して、シリアの攻撃範囲の外に出す。これは、トランプの戦争屋政府とアメリカ議会との対決を強い、一方的にアメリカに戦争をさせるトランプの能力に異議を唱えることになる。
(3) ロシアが駆逐艦ドナルド・クックを警護して現場から去らせ、同時にサウジアラビアとイスラエルの軍事能力を殲滅し、シリア攻撃における、付近のワシントン同盟諸国を除去し、ロシアの勝算が増すこととなり、ロシアは、先制攻撃に反撃するのではなく、先制攻撃をするつもりであることを明らかにする。
(4) 自らが正しいことを証明しなければならないと勘違いして思い込んでいるロシアが、攻撃と、反撃する前のそれによる予想できない損害を受け入れる。アメリカ人に常識を強いて、アメリカ/ロシア対決を阻止する可能性が多少ある選択肢(2)と(3)と対照的に、これは戦争を始めさせてしまうので、この結果は最初のものと同じくらいまずい。
(5) ドイツの有力政治家たちが、メルケルに、アメリカによる対シリア攻撃へのイギリスとフランスによる支持は、NATOをロシアとの戦争に引き込みかねないと進言する。ドイツは、ロシア軍と、一度、壊滅的経験をしており、二度目は無用なのだ。彼らがメルケルに、ドイツNATO脱退の圧力をかける可能性がある。結果として生じるろうばい/混乱が、シリア/ロシアへのアメリカ攻撃を止める可能性がある。
(6) 対シリア攻撃に、ロシアが反撃した場合 、空母を含め船団丸ごと失われかねず、アメリカ軍が屈辱的敗北をすると、アメリカ統合参謀本部は、あっけなく率直な結論を出す可能性があり、この可能性を考慮して、統合参謀本部が、発表した攻撃を止めるよう勧める。これが起きている可能性があり、これで、トランプの心に疑念が湧いたのかも知れないことを示唆するトランプの最新ツイートが説明できる。
(5)や(6)のような望ましい結果となった場合でさえ、アメリカとイギリス政府内の一部の連中が、二つの出来事 -スクリパリ毒ガス攻撃とされるものと、アサドによる化学兵器攻撃とされるもの-を画策し、こうした出来事を、主権国家に対する違法軍事攻撃を正当化するため、ロシアとシリアに対する裏付けのない非難強化に利用可能だという危険な状況はそのまま残る。このような法外な画策が可能であることが、アメリカとイギリスの政府には、民主主義も、制約も皆無だということを証明している。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/04/12/ten-days-end-world/
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翻訳ゆえ、 話題の展開と時間差が生じることは避けられない。あしからず。
イギリスもフランスも、リビア空爆に進んで参加していた。
これから属国の首脳も、大本営広報部も、アメリカ、フランス、イギリスのシリア攻撃を心から支持するという洗脳言説・呆導を展開するだろう。
小生が2011年9月17日の昔に書いた『腰抜けと売女マスコミ』翻訳後記で引用した森嶋通夫の『なぜ日本は没落するか』を再度貼り付けておく。
いまもし、アジアで戦争が起こり、アメリカがパックス・アメリカーナを維持するために日本の力を必要とする場合には、日本は動員に応じ大活躍するだろう。日本経済は、戦後─戦前もある段階までそうだったが─を通じ戦争とともに栄えた経済である。没落しつつある場合にはなりふり構わず戦争に協力するであろう。
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ブログ主様、緊迫したニュースが続く中で、沢山の翻訳を有難うございます。
4月に入ってから、皆様のブログを意識的に読んでおり、その中で、Deeply Jyapanさんの4月6日、国連安保理解説記事で、「ロシアの大使が不条理劇にあきれ果て、不思議の国のアリスを朗読した」との内容に、ぷっとふきだしたけれど、動画を見て、背筋が寒くなった。世界のエリート(一応)が集う場で、こんなに馬鹿馬鹿しい茶番が繰り広げられるとは思わなかった。辻褄の合わない事は裏でこっそりやるもだと思っていた。 日本の新聞がWEB記事で、「ロシアがアリスを読んで、恫喝。」と書いているのもあきれた。
ここ数日、私は、子供の頃から感じている戦争に対しての恐怖感を、再度思い出していました。小学生の頃に読んだ はだしのゲン はあまりの辛さ、悲しさに、何度も、夜、怖い夢を見てうなされましたが、中沢啓治さんの反戦の思いを感じていたので、その頃見聞きした、ベトナムや、カンボジアの後遺症、何があったのか、自分なりに知ろうと努めた。 「大事な事」の、自分と他者の意識にギャップを感じ、虚しかったけれど、今このような時代が来て、やっぱり、皆が、きちんと知っていた方が良いのだ、とつくづく思う。
3,4年前から、貴ブログをはじめ、時事問題ブログを読み始めて、その人は隣にいないけど、色々な人が発信する内容に、とても心強く思うようになっていった。
しかし、今回は、言いようのない気持ちになります。
それも、一度は喜んでいた、シリアの人々の心情を思うと、なおさらです。
先日、いつも読むブログに加え、日本のモリカケ追跡隊は、この件にどのような反応だろうか?と思い、見てみると、龍作J氏は、何故か?「アサドがっ!!」のNM教授をリツイート、どうしてー??と思いつつ、(その先の)彼らのつながりでは、どんな会話がされているのかな、と普段見ないエリアに行ってみました。私にとっては、(自分とは逆の)びっくりするような思想、考え方の人達でしたが、この極端な感じが若い子たちに受けているのか、と思った。
世に…様は、反対されていて、ほっ。「NM、それでも大学教授か」だって。私もそう思った。(あの大学の、立派な印象は、米の七光り?学内では、皆、何話てるんだろ。)
自分が、米英仏イ辺りの西側をおかしいと思い続けているのは、読書や読む」ブログの影響もあるけれど、子供の頃から見続けている世界各地の戦争は、いつも彼らがやっているから。米の建国史(インディアン史)、ラテンアメリカ史、アフリカ、アジアの植民地史も、残酷で、血なまぐさいことばかり。チェ ゲバラを読んで知った事は別に、陰謀論ではないし、普通の歴史の本を辿れば明らかな事ばかり。陰謀論は近年の後付けで、読んだけれど、舞台裏の解説、という感じ。 (そういえば、2年前、スイスのゴッタルト峠、大トンネル工事の竣工式で、グロテスクなオカルト儀式をやっていて、あんな異様な行事にヨーロッパ各国首脳陣が参列しているのだから、やっぱり彼らは、ちょっとおかしいのだと感じます。) そして、一握りの人々の、考えられないほどの強欲さ、巨万の富と、趣味かもしれない残酷さ。
http://www.dcsociety.org/2012/info2012/161008.pdf
地球のあらゆる国が犠牲になっていますが、小さな国のやり方が実は国民にとって幸せだから壊されたり、他国の資源収奪のための内政干渉を、助けに行く振りをしてすべて奪ってしまう、とか、(海坊主様が前に書かれていた通り、)日本、アメリカ、ヨーロッパの市井の人々も、それらの国の資源を基に豊かに暮らしているのだから、いい加減、しっかりそのことに目を向けて考えるべき時なんだと思います。もしかしたら、今は、明日をも知れぬ、という感じもするし、さらにぐしゃぐしゃにされてしまうかもしれない。それでも、「何が起こったのかわからなーい!」という大勢を、権力者のいいように統治されるよりも、すべてに抗えるわけではなくても、頭の中では、何が起こっているのかを理解していて、それに対して、どういう社会を望むのか、多くの人が判っているほうが、状況や、選択を間違えないと思うのです。
昨今の情報統制にも、欧米の凶暴な暴力にも、気持ちはまいるけれど、現実がわかっている人よりも自分は無知である分、今尚、人間的な温かさがあって、物事が理に適った社会を切望します。
シリアの人々が、何とか、彼らの国を取り戻して再建するところをこの目で見たい。
パレスチナ、リビア、アフガン、イラク、アフリカ、ラテンアメリカ、東南アジア、(こんなに!もっとか。)の人々も、温かな日常を取り戻してほしい。その為に、我々の暮らしが変わるのは「理に適っている」と思うけれど、
巨万の富のあの人達に吸い取られて変わるのは嫌だ!
投稿: ayako | 2018年4月15日 (日) 02時28分