アメリカ/イギリスが醸成したシリアにおける危機は終わったのか?
2018年4月14日
Paul Craig Roberts
極めて限定されたアメリカ・ミサイル攻撃で、その大半はシリア防空システムにより、迎撃され、破壊され、アメリカ軍が、狂ったジョン・ボルトンに勝ち、ロシアの反撃という結果を招くような攻撃を慎重に避けたのだ。シリアの重要拠点が標的にされたり、ロシア人の誰も危険に晒されたりしたことはなかったように見える。https://www.fort-russ.com/2018/04/in-depth-syria-stuns-world-thwarts-us-attack/
大国間の対決を避けるため、アメリカの攻撃をロシアと調整した、と駐ロシア・アメリカ大使は述べた。https://www.rt.com/news/424132-us-russia-syria-strikes/ ロシア・インサイダーは、あの行為は、トランプの面目を保つためのものだったと結論づけている。https://russia-insider.com/en/out-whimper-trump-blinks-delivers-limited-strikes/ri23132
主な効果は、国連憲章と国際法に違反し、ナチス市民や軍当局者がそのかどで処刑された戦争犯罪である侵略行為をし、トランプ本人とアメリカの信頼を更に損なったことのように見える。ロシアのプーチン大統領は、ワシントンによる理不尽で違法な武力行使は“国際関係全体に対して壊滅的影響を与えた”と述べて、国連安全保障理事会緊急会議を要求した。中国も違法なアメリカ攻撃を非難した。https://www.fort-russ.com/2018/04/china-says-us-led-attacks-against-syria-are-illegal-and-against-international-law/
アメリカとロシア間の恐れられていた衝突はどのようにして避けられたのだろう? 私が知ることができたことによれば、アメリカ統合参謀本部がロシアと衝突する危険を受け入れようとしなかったのだ。統合参謀本部が高徳だったり、それがもたらすであろう死や負傷により配慮していたり、ウソを基に戦争をするのがいやだったりというのが理由ではない。彼らが反対したのは、ロシアの新兵器システムに対するアメリカ海軍艦船保護策が欠如しているのが理由だ。ロシアの反撃を引き起こす攻撃だったら、アメリカ船隊が沈没させられて、アメリカは屈辱的敗北をして、アメリカ軍の力量に対する信用が傷つけられていたはずだ。
プーチンは、これまでのあらゆる場合と同様、何もするはずのない弱虫だというのが、ボルトンの立場だ。ロシアはアメリカ軍の威力を恐れる余り ロシア軍とシリア軍に対する、いかなるアメリカ攻撃にも反撃するはずがないというのがボルトンの立場だ。ロシアは、いつもしていることをするだろうと、ボルトンは言う。ロシアは国連で犯罪について泣き言をいうが、欧米マスコミが、いつも通り、それを無視するのだと。
アメリカ戦争長官マティスは統合参謀本部の意見を代表していた。もしロシアが、もううんざりしていて、彼らに可能なことを実行し、アメリカ艦隊を沈没させたらどうなるとマティスは問うたのだ。トランプは国家安全保障問題担当補佐官が仕組んだ敗北を受け入れる用意があるのだろうか? トランプはあり得るより大規模な衝突の用意があるのだろうか?
統合参謀本部は、退職積立金を駄目にしてしまいかねない戦争をするのではなく、更なる資金を要求するのに、画策された“シリア危機”を、利用するはずだ。統合参謀本部は議会にこう言える。“アメリカは武器の上で負けているので、シリアでの化学兵器使用を巡って、ロシアと衝突する危険をおかすことはできない 。我々はもっと金が必要だ。”高齢世代のアメリカ人はアメリカ国防費を膨らませるのに利用されたニクソン/ケネディの大統領選挙運動での“ミサイル・ギャップ”という空想を覚えているだろう。
常識が勝って、紛争は解決したと結論を下すのは大間違いだ。勝利したのは、統合参謀本部の敗北に対する恐怖だ。ワシントンが仕掛ける次の危機は、ロシアの武力に対して、もっと不利な条件のものになるだろう。
ネオコンのボルトンとイスラエルは、自分たちの利害を、マティスや異議を唱える将軍たちに対して効果を発揮させようとするだろう。マティスの信用を傷つけ、トランプの不信をあおるよう作られた漏洩情報が売女マスコミに現れるだろう。ネオコンは、ネオコンの攻撃性に、より協調的な軍人を、統合参謀本部の要職に着けるだろう。
シリア問題は化学兵器使用とは無関係だ。化学兵器禁止機関事務局長アフメット・ウズムジュが全ての化学兵器がシリアから撤去されたと報告した。“この種の大量破壊兵器の備蓄丸ごと、国内武力紛争状況を経験している国から撤去されたことはかつてないことで、しかも、これは非常に厳しく、きつい時間枠の中で完遂された。” https://www.military.com/daily-news/2014/06/24/last-of-syrias-chemical-weapons-removed.html
シリアの問題は、独裁制やら民主主義構築やらとは無関係だ。70人の化学兵器の犠牲者とも無関係だ。過去17年間に、7カ国で、殺害し、四肢を損ない、孤児を生み出し、何百万人ものイスラム教徒を強制移住させた、ワシントンと、そのヨーロッパ傀儡連中が、70人のイスラム教徒の死を巡り激怒して、ロシアとの戦争の危険も辞さないなどということを信じるのは、全くの阿呆だけだ。
シリアとイランがレバノン民兵ヒズボラを資金と兵器で支援しているがゆえに、シリアとイランが問題なのだ。シリアとイランによるこの支援が、ヒズボラに、イスラエルが水資源を欲しがっている南レバノンのイスラエル占領・併合を防ぐ能力を与えているのだ。
ご自慢のイスラエル軍は、ヒズボラによって、二度もレバノンから追い払われた。ただの民兵に三度目の敗北して、イスラエル軍の評判を危うくするわけには行かず、イスラエルは、アメリカ外交政策に対する支配力と、ネオコンとの揺るぎない同盟を活用して、アメリカがイラクとリビアでしたように、シリアとイランを不安定化にアメリカ軍を使おうとしているのだ。
更に、アメリカ世界覇権という狂ったネオコン・イデオロギーがある。ロシアと中国の権益が、アメリカ覇権の邪魔なのだ。それゆえ、この二国は“脅威”だと規定されているのだ。ロシアと中国は、いずれもそうする兆しを一切見せていないが、両国がアメリカを攻撃しようとしているがゆえに脅威なのではない。両国の主権を踏みつける、アメリカの単独行動主義に反対するがゆえに、両国は脅威なのだ。はっきりさせるために言い換えれば、独自の外交や経済政策を持ったいかなる国にもアメリカは我慢できないのだ。
ロシアと中国に自立した政策があることが、両国が“脅威”だという理由なのだ。
外交が勝利し、ワシントンに常識が戻ったと結論を下すのは誤りだ。それは事実から全く程遠い。問題は解決していない。戦争は差し迫ったままだ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/04/14/us-uk-fomented-crisis-syria/
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大本営広報部、ホワイト・ヘルメット提供の少女証言ビデオをたれ流している。
イラクのクェート侵略時、病院で新生児をイラク軍兵士が殺害していると証言した少女ナイラは、クウェート駐米大使の娘だった。
キオスクのタブロイド紙の、「自衛隊、シリア参戦か」という見出しにギョッとした。
日報隠しの実態からすれば、何人犠牲がでようと、宗主国のため作戦をやめることはないだろうと恐ろしくなる。
それがこの国の軍の実績だった。中国と、宗主国に手ひどく敗北して、敗戦した。その宗主国が煽動するのだから、始まれば、もう、とまるはずはない。
不思議なセクハラ疑惑、音声録音なるものは編集された偽物なのだろうか?セクハラ被害者が名乗りでなければ、認定できないなどという恫喝がまかり通るのだろうか?これが女性が輝く社会の実態だ。
会った記憶がない御仁、宗主国への朝貢拝謁に同行する。今回、何を捧げるのだろう。
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