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2018年4月30日 (月)

サウジアラビアのサルマーン皇太子は改革者ではなく、ただの専制君主に過ぎない

Will Tomer
The Blade
2018年4月27日

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が、彼の“魅力攻勢”とタイム誌が称するものを今月始め継続する中、先週、サウジアラビアが率いる空爆で、北イエメンでの結婚式で20人以上が亡くなった。花嫁を含め、女性や子供が死傷者の大半を占めていた。

あれやこれやの同様の出来事に我々は注意を払ってはいけないでではなあるまいか? 結局、ムハンマド皇太子は、改革者で、アメリカの友だと我々は言い聞かされているのだ。

今年後半、実現すると期待されている変化、サウジアラビア女性に自動車を運転する権利の承認を彼は先導している。一般的にMBSとして知られているムハンマド皇太子は、サウジアラビア最初の映画館を作ったり、シルク・ド・ソレイユのような魅力的な欧米の見せ物を、リヤドに招いたりする上でも功績があるとされている。

アメリカ合州国で、彼は様々な分野で厚遇された。彼は、トランプ政権や、軍需産業や、テキサス州の石油業者に招かれた。最近のアメリカ訪問中、彼はオプラ・ウィンフリー、“ザ・ロック” ことドウェイン・ジョンソンビルとヒラリー・クリントン夫妻ヘンリー・キッシンジャージョン・ケリーや、マイケル・ブルームバーグに拝謁した。彼は、アップルCEO、ティム・クック、アマゾンCEO、ジェフ・ベゾスと親しく付き合い、ハーバードMITの学長と会った。フォックス・ニューズニューヨーク・タイムズ論説欄で彼は称賛されている。

だが、大半の欧米マスコミによる見せ物や誇大広告やへつらいを剥ぎ取れば、MBSの手は血まみれだ。

イエメン人の結婚式を巻き込んだ最近の惨劇は、2015年3月に始まったイエメン軍事介入で、サウジアラビア政府が行ってきた攻撃の一つにすぎない。

国際連合人権高等弁務官事務所によれば、以来、約6,000イエメン人一般市民が殺害された。他団体は死亡者数は10,000人を超え、もっと多い可能性があると推計している。

多数の空爆で、サウジアラビアは、大半、ブラジルと、アメリカ合州国製のクラスター爆弾を使用している。クラスター兵器は、クラスター弾に関する条約に批准した103ヶ国により禁止された。ブラジルとアメリカ合州国とサウジアラビアは、これらの国に含まれていない。

この間、サウジアラビア率いるイエメン封鎖で、2200万人以上のイエメン人- イエメン人口の80パーセント以上が、食料や水や医療を簡単に得られないでいる。

    “イエメンの状況は…まるで黙示録のようだ”と、マーク・ ローコック人道問題担当国連事務次長兼緊急援助調整官が、1月に述べた

100万人以上のイエメン人がコレラに罹り、何百万人もが急性栄養失調に苦しんでおり、昨年だけで  50,000人以上のイエメン人の子供が飢えで亡くなった

サウジアラビア国防相になって以来、彼が陣頭指揮を執っているこの破壊的な介入に、MBSは大いに責任がある。ニューヨーク・タイムズによれば、彼は“2015年3月、あらゆる国防機関との完全な協力を得ずに、戦争開始を主導した。”

ところが、最近ムハンマド皇太子は、国連が今年イエメン支援に必要としている金額の約三分の一、9億3000万ドルを、人道援助用に国連に寄付した。この寄付は財政的に大きいが、彼こそが、イエメンにこれほどの損害をもたらした政策の立案者であることを考えると、皇太子の動機を疑わずにはいられない。

彼が多くの人々から改革者と見なされているMBSの自国では、彼の業績ははかばかしくない。実際、人権侵害で悪名高い国、サウジアラビアは、見方によっては、MBSが権力の座について以来人権という点で後退したのだ。

2017年のサウジアラビア人権実績報告で、ヒューマン・ライツ・ウォッチはこう書いている。

    “サウジアラビア当局は、平和的な反体制派の人々の恣意的な逮捕、裁判、有罪判決を継続している。当局を批判したり、政治や権利改革を主張したりしたかどで、何十人もの人権擁護者や活動家たちが長期の刑に服し続けている。当局は、女性や宗教的少数派に対する差別を継続している。”

国内改革の分野では、2017年末、MBSは、重要なサウジアラビア人の粛清を行い、汚職のかどで、500人以上が逮捕された。サウジアラビアでは汚職が蔓延していることに反論するむきは僅かだが、逮捕の主要な効果は皇太子の経済・政治権力強化だったろう。

ムハンマド皇太子は、ここアメリカ合州国で褒めたたられている。彼はハリウッド有名人とつきあい、アメリカ政府との兵器購入契約をし続けると約束し、人権侵害など知ったことではなく、政治家のイメージを推進し続けている。

一体いつになったら、アメリカ政府、ハイテク業界、エンタテインメント業界、教育界その他の要人たちが進んで、ムハンマド皇太子のご機嫌を取り、称賛することが、アメリカ価値観の信用を傷つけ、わが国が頻繁に公言する国家主権と諸国民の福祉への関心を踏みにじるようになるのだろう?

一体いつになったら、ムハンマド・ビン・サルマーンが“国民の味方”ではなく、彼が奪ったり、脅かしたりしている命を軽視する、権力欲の強い戦争屋にすぎないことが明らかになるのだろう?

21世紀、アメリカ合州国にとって効果的外交政策の創出は、アメリカが、それを基に建国された、専制政治への根本的反対を含む、多くの価値観への回帰にかかっているという議論もある。イエメン国民を見舞っている類の苦難を、進んで与えるような指導者、ムハンマド皇太子のような専制君主と、わが国が、手を結ぶのを拒否することは、そうした過程の良い出発点になるだろう。

*

Will Tomerとは wtomer@theblade.com、419-724-6404、あるいはTwitter @WillTomerで連絡できる。

記事原文のurl:http://www.toledoblade.com/Will-Tomer/2018/04/27/The-Saudi-Arabia-crown-prince-Mohammed-bin-Salman-is-not-a-reformer-just-another-despot.html

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年初、知人から、時間ができたら、是非、吉田松陰にちなむ場所を尋ねてみたいと言われたので、原田伊織氏の文庫本を送ったことがある。目からうろこだったと、電話がかかってきた。吉田松陰ゆかりの地巡礼の計画は止めたそうだ。

日刊IWJガイド・番組表「本日から『明治を疑う!朝鮮半島と日本』シリーズ特集と題して、原田伊織氏インタビューを3夜連続で再配信! 本日午後8時からは『公文書偽造で始まった明治維新! 現在も続く官軍教育で描かれた「偉人」たちの姿はウソばかり!? 岩上安身による作家・歴史評論家・原田伊織氏インタビュー』前編!/昨日に引き続き、メルマガ『岩上安身のIWJ特報!』発行! 4月は『「メディアは権力を忖度し、司法権力は政治のために動いている」? 加計問題の闇を告発した前川喜平・前文科事務次官に岩上安身がロングインタビュー!「独裁国家に近づいている」と危機感!』中編!
/自民党の野党審議拒否の批判は、野党時代の自民党へのブーメラン!委員会欠席85回!!/不規則発言に理解不能発言・理解不能な閣議決定が次々飛び出す安倍政権~総理の不安定さが危険水域!?」2018.4.30日号~No.2055号~

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コメント

ある程度の学がある人には、明治維新の虚構を示してあげる方が覚醒が早いかもしれませんね。

明治維新とは何であったか?それは誰でも知っている筈なのに誰も気づかない事だった。
まー、一言で言えば、通貨変換ですね。
幕末の志士たちは、その為に利用されただけの存在に過ぎません。

よーく考えてみれば誰でも気づく事です。
江戸時代までの通貨は貨幣で、大判小判は金貨(ゴールド)、一分銀は銀貨です。
つまり最も価値のある金と銀だったのです。
それを明治維新によって、両替という形で価値の低い銅貨や紙幣にすり替えられてしまった訳です。
両替された金貨である大判小判はどこへ消えてしまったのでしょうか。
ここが一番重要なポイントなのに、どの歴史教科書にも載っていないし、歴史書物や小説、ドラマにも余り出てきません。

つまり、そういう事です。(どういう事?)
このシナリオを描いた者たち(恐らくは銀行屋)にとって最も知られたくない事を隠す為に、幕末の志士たちを英雄扱いして人々を欺いてきたという訳。

金銭や通貨に係る内容というのは、露骨で何やら汚らしいイメージがある為に描かれないし、青少年の教育上という理由からか歴史教科書にも記述されない訳ですけれども、本当はそれこそが一番肝心な事なのであって、多くの国民がこれを知らないから政治にも無関心なのではないか?と思う今日この頃です。


ふぅー、それにしても世界情勢は千変万化の様相を呈し、我が国に於いてはもう、何から何まで滅茶苦茶で、普通なら少なくても10回はアウトになっている筈の政権がまだバッターボックスに立っているという有り得ない状況に項垂れるばかりで、言葉を失って半ば放心状態です。
そんな訳で、何時ぞかのつづきはまた落ち着いてからとなりそうです。

で、本日は全く関係ない話にてご免致す。
先ほどツイッターを見ていたら、何やらネトウヨと思しき者がパソコンが壊れてツイートが出来ずにいるとか。
パソコンを買い替えられない程までに生活が苦しいのは誰の所為なの?と言いたくなりますね。
その犯人を熱狂的に妄信し、無理矢理コジツケで擁護している自らを恥じるのが先でしょう。

パソコンと言えば、私もあれから間もなくパソコンを買ったのだったのだったのだ。てへっ
見事9千円でゲット。(送料1500円加えて10500円)セパレートのデスクトップ)
勿論、ヤフオクです。
本当はもっと安いのもあって、1円スタートなんてのもゴロゴロしてます。
しかし大抵の場合、1円スタートの商品は入札者が殺到して競争が激しく、結局は高額になる場合が多いです。
とは言え、それはそれ相当の高性能なので当たり前と言えば当たり前なのですけれど。
(何と、SDD装備でHDDは1000ギガ、メモリー8ギガ)これで3万円程度なら十分に安い。
因みに私がゲットしたのはHDD250ギガでメモリー4ギガ、メーカーはNEC、モニターは富士通22インチ、これに新品のキーボードとマウスが付属というもの。
普通に使うにはこれで十分。
ただし、中古のリカバリー品の為か、前任者のカスタマイズが残っており、扱いに慣れるまで3週間を要し、本日やっとの思いで久しぶりの投稿と相成った次第。


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