カダフィの復讐
大佐の呪いが帰ってきて、彼の国を破壊し、彼を殺害させた人物を悩ませている
Abdel Bari Atwan
2018年3月23日
raialyoum
元フランス大統領ニコラ・サルコジが、2007年選挙運動で勝利するための資金として、前リビア指導者ムアマル・アル・カダフィから、5000万ユーロ以上受け取ったかどで、尋問のため拘留され、後に保釈金を納めて釈放されたというニュースを、何百万人ものリビア人や多くのアラブ人やイスラム教徒は嬉しく感じたに違いない。リビアに対してなされ、リビアを破綻国家に変え、何万人もの国民が死亡し、更に何百万人もが出国し、近隣諸国で惨めな暮らしをさせている2011年、NATO爆撃作戦の直接の犠牲者こそ一番そう感じているはずだ。これは祖国に残っている人々の方が暮らし向きが良いことを意味するわけではない。大半の場合、彼らの状況は一層酷い。
フランスのサルコジ取調官は、汚職、資金洗浄とフランス選挙運動資金法違反を含め、彼による犯罪行為の複数訴因の重大な証拠を保持していることを認めた。
カダフィが、サルコジがエリゼ宮殿入りするのを助け、今や彼の破滅と拘留と、長年のスキャンダルにまみれた後の取り調べをもたらしているのは皮肉なことだ。
サルコジは、NATOのリビア空爆を仕掛け、カダフィが捕らわれ、不快で残虐なやり方で即座に殺害されるようにすることで、リビア指導者の秘密を、彼の遺体とともに、リビア砂漠の不明の場所に埋めることができると考えていたのだ。‘大佐の呪い’が帰ってきて、サルコジにつきまとい、彼の政治的、個人的将来を破壊し、歴史のゴミ箱の彼に実にふさわしい場所に閉じ込めるとは知らなかったのだ。
彼の後継者連中がリビアにもたらしたことを目にして、今カダフィ時代を懐かしんでいる何百万人ものリビア国民は、フランス系レバノン人実業家ジアド・タキエッディンに感謝すべきだ。彼は200ユーロと500ユーロ紙幣が詰まった三つのカバンを、サルコジが内務大臣だった時に、彼の補佐官に渡し、内務省で彼と直接会ったことを明かし、それをカダフィ政権が5000万ユーロの現金をサルコジ選挙運動に提供したという、元リビアリビア諜報庁長官、元外務大臣のムーサ・クーサの宣誓供述書で裏付けたのだ。
2001年3月、NATO介入工作におけるサルコジの役割が明らかになった後、カダフィ自身このことを演説で語っていた。“私はサルコジが権力の座につくのを助けた。彼が大統領になれるように金をやった… 彼は内務大臣だった時にやってきて、私のテントを訪問し、支援を求めた。”カダフィの息子サイフ・アル・イスラムは、テレビ・インタビューで“道化師”サルコジは“彼の選挙運動資金にするためリビアから受け取った金を返す”べきだと述べた。
サルコジが有罪判決を受ける可能性は十分ある。カダフィと違い、証人の大半はまだ存命で、証言するよう出頭を命じたり、証人陳述をするよう検事が尋問に赴いたりすることが可能だ。そうした人々には、サイフ・アル・イスラムや、元情報長官アブドゥラ・アル・セヌシ(在リビア)、ムーサ・クーサ(在カタール)も、元カダフィ司令部のトップ、バシール・サレフ (現在、在南アフリカ)などがいる。
日刊紙フィガロによれば、取調官に、サルコジが、自分はカダフィが彼に対して始め、カダフィの子分が継続しているキャンペーンの被害者で、おかげで、2012年選挙で負けたと主張し、あらゆる起訴事由を否定したのは皮肉なことだ。
サルコジは、再選の狙いこそ失敗したかも知れないが、彼の計画のおかげで、リビア国民は国や治安や普通の暮らしを失い、国内、国外の何白万人にとり、国は地獄へと変えられたのだ。
これらリビア国民には、サルコジの当然の報いをうれしく思い、少なくとも彼が投獄されるのを目にしたいと思う権利がある。彼には、誰も想像していなかった、 より深刻なことに、今日まで継続し、おそらく今後も長く続くであろう死と破壊をリビアにもたらした主な責任がある。
これは、NATOと、その戦闘機が自由と社会的公正をもたらし、明るい未来のための治安と安定と繁栄のモデルを確立するだろう信じて、リビア史上最大の詐欺を味あわされた善良なリビア国民の呪いだ。この呪いはサルコジに一撃を与えたが、自分たちが何をしたか承知しているリビア人やアラブ人の指導者連中を含め、あの陰惨な陰謀に共謀した他の連中も追求するだろう。
復讐で、カダフィや、35,000人のNATO爆撃犠牲者が生き返ったり、NATO爆撃で権力の座につき、国中に死と破壊を広め、リビアから国有財産としてカダフィが残した3600万ドル以上を略奪した武装集団が追放されたりすることはない。しかし望めることとして一種の最低限の天罰にはなる。
記事原文のurl:https://www.raialyoum.com/index.php/qadhafis-revenge-2/
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リビアで二度と見られなくなる16項目 という 2011年10月26日に翻訳した記事も合わせてお読み頂きたい。
レスリング、パワハラ問題。学長の発言を聞きたいもの。
韓国の元大統領裁判。この属国と余りに対照的な出来事。
大本営広報部にとって、公文書偽造・隠蔽モリカケは済んだ話?レスリング、相撲、野球選手活躍、芸能人分裂以外報じない方針なのだろう。それがお仕事。
明日投票の京都知事選挙の不思議さ。
自民・公明と民進党が相乗り。更に立憲民主党も推薦を決定したという。きつねにつままれる話。国政と地方政治は別なのだろうか?
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「死せるカダフィー生けるサルコジを走らす」
北朝鮮の非核化に対してパキスタン型、リビア型、南アメリカ型のいずれが適用されうるか、とニュース番組で話題になっているわけですが、それぞれの国家が置かれていた状況が異なるので、核放棄に対するアプローチとして区分するのは無理があります。パキスタンはインドという核保有国に隣接していて軍事的脅威に絶えず晒されていました。そのような国家に核兵器を放棄するよう国際社会が押し付けても無理な話です。南アフリカは近隣に自国の存続を脅かす脅威がない代わりに、アパルトヘイト政策に対する国際社会からの制裁を受けていて国家として疲弊していました。彼の国は良い落とし所を探していたのではないかと思います。
核開発の放棄を宣言したリビアはといえば、アラブの春に乗じた反政府勢力の鎮圧を指揮するカダフィー政権に軍事制裁の決議を採択したNATOはリビアを空爆し、カダフィー氏を葬り去りました。ヒラリー・クリントン氏のあの悪魔的メッセージは人間の醜悪さの見本のように私の脳裏にこびりついています。
核開発放棄後のリビアが辿り着いた破滅は、独自の通貨発行権を行使して欧米の軛から逃れ、アフリカ全体の地位を高めようとした事に対する仕置の意味合いがあったと私は理解しています。「核開発を継続していた方がリビアは存続できたかもしれない」、と北朝鮮の金一族は反面教師として受け取ったのではないでしょうか。交渉の過程で態度を軟化させようが北朝鮮は核兵器という駒を相手に渡すことはしないでしょう。最後のカードはいつまでも持っていなければなりません。
大統領になるため資金援助を求めたのに、大統領となるやNATOを使ってそのリビアに介入し、2011年に空爆を仕掛けてカダフィー氏を抹殺する、という全く恩知らずで恥知らずなチンピラを大統領に選出したフランス人は自らを恥じなければなりません。
「もう一つの世界」を目指したカダフィー氏が無駄死であったのならあまりに悲しいことです。少なくとも、カダフィー氏を利用した者がその報いを受けることを願っています。
投稿: 海坊主 | 2018年4月 7日 (土) 22時49分