欧米から姿を消した品位
2018年3月26日
Paul Craig Roberts
欧米政治指導者たちには、ほんのわずかの品位も道徳規範もない。欧米の印刷メディアも、TVメディアも、修復不能なほど、誠意がなく、腐敗している。ところがロシア政府は“ロシアは欧米のパートナーと協力する”という幻想に固執している。ロシアが詐欺師連中と協力する唯一の方法は、詐欺師になることしかない。ロシア政府は、それを望んでいるのだろうか?
トランプが(遅ればせながら)プーチンに電話をかけて、欧米政治指導者の誰も実現できそうもない国民による支持を示す投票の77パーセントを得て再選された彼を祝ったことを巡る政界とマスコミの大騒ぎのばからしさを、フィニアン・カニンガムが書いている。アリゾナ州選出の狂ったアメリカ上院議員は、圧倒的多数の支持票を得た人物を、現代の“独裁者”と呼んだ。ところが本当に血まみれのサウジアラビア独裁者には、ホワイト・ハウスで祝宴を開き、アメリカ大統領がちやほやした。
http://www.informationclearinghouse.info/49069.htm
ロシア大統領本人による命令での、どうでも良いような元スパイへのいかなる証拠の裏付けもない毒ガス攻撃とされるものを巡り、欧米の政治家と売女マスコミare morally 激怒した。世界で最も強力な軍事国家の指導者と、雑駁な欧米諸国とは違い、二十世紀の冷戦中のリスクも超えた核のハルマゲドンの可能性を高められる国、ロシアに、この常軌を逸した侮辱が投げ付けられているのだ。これらの裏付けの無い非難をしている狂気の阿呆連中は、地球上のあらゆる生命を全く無視しているのだ。それなのに、彼らは自らは、地の塩で“例外的で、必要欠くべからざる”国民だと見なしている。
ロシアによるスクリパリ毒ガス攻撃とされるものを考えて頂きたい。これはロシア大統領を悪者扱いするための画策された企て以外にあり得ないではないか? 元二重スパイ、つまり人を欺く人物の死を巡って、欧米がそれほど激怒できるのに、21世紀だけでも、欧米によって破壊された何百万人もの人々に対して全く無関心なのはどういうわけだろう。代理人のサウジアラビアを通して欧米が動いていて、欧米にも責任があるイエメンでの大量死を巡って激怒している人々が欧米のどこにいるだろう? シリア国内の死者を巡って激怒している欧米国民がどこにいるだろう? リビア国内の死者を、ソマリア、パキスタン、ウクライナ、アフガニスタンの? 欧米による他の国々の絶えざる内政への干渉を巡って激怒している人々が欧米のどこにいるだろう? ワシントンは、一体何回、ホンジュラスで、民主的に選ばれた政府を打倒して、ワシントンの傀儡を据えつけただろう?
欧米での腐敗は、政治家、売女マスコミや無頓着な国民を超え、専門家にまで広がっている。ジョージ・W・ブッシュ大統領の国家安全保障問題担当補佐官の不合理なコンディ・ライスが、サダム・フセインの、ありもしない大量破壊兵器が、アメリカ都市上にキノコ雲を立ち上げると言った際、専門家たちは彼女を一笑に付そうとしなかった。そのようなことが起きる可能性は全くゼロだと、あらゆる専門家が知っているのに、堕落した専門家連中は黙っていた。彼らは、もし真実を語れば、TVに出してもらえず、政府助成金をもらえず、政府の役職につける勝算が無くなることを知っているのだ。それで連中はイラクを破壊したアメリカ侵略を正当化するように作られたばかげたウソを受け入れたのだ。
これが欧米だ。ウソと他者の死に対する無関心以外は何もないのだ。激怒は画策され、標的に向けられる。タリバン、サダム・フセイン、カダフィ、イラン、アサド、ロシアとプーチン、中南米の改革派指導者たちに対して。欧米の激怒の標的は決まって、ワシントンから独立して行動する人々や、ワシントンの目的にもはや役に立たなくなった人々だ。
欧米政府内の人々の質は、どん底に落ち込んでいる。イギリスには、実際、そういう人物、余りに下劣で、元イギリス大使は、彼のことを平気で、明確なウソつきと呼んでいる外務大臣のボリス・ジョンソンがいる。http://www.informationclearinghouse.info/49067.htm イギリスのポートンダウン研究所は、ジョンソンの主張に反して、スクリパリ攻撃にまつわる毒ガスを、ロシアのノビチョク毒ガスだと特定していない。もしイギリスの研究所が、ノビチョク毒ガスを特定することができるなら、調合法は既にとうの昔に本に掲載されているので、研究所には多くの国が持っている能力である毒ガスを製造する能力もあることに留意願いたい。
スクリパリへのノビチョク毒ガス攻撃が、でっちあげなのは明白だ。事件が起きた瞬間に、説明が用意されていた。何の証拠も無しに、イギリス政府と売女マスコミは“ロシア人がやった”と叫んだ。それでは満足できずに、ボリス・ジョンソンは“プーチンがやった”と叫んだ。ロシア恐怖と憎悪をイギリス人の意識に根付かせるため、イギリスの小学生は、プーチンは、ヒトラーのようなものだと教えられている。https://russia-insider.com/en/uk-schools-ask-students-putin-hitler-discuss-and-develop-video/ri22867
画策がこれほどあからさまなのは、欧米政府が、自国民の知性など尊重していないことを実証している。欧米政府が、こうした異様なウソをついて済んでいるのは、政府が責任を取るのを免れられることを示している。たとえ説明責任は問えても、欧米諸国民が自国政府に責任を取らせることができる兆しは皆無だ。ワシントンが世界を核戦争へと押しやっているのに、どこで抗議が行われているだろう? 唯一の抗議行動は、洗脳された生徒たちによる全米ライフル協会と銃器を保有・所持する権利を保障する憲法修正第2条に対するものだ。
欧米民主主義は作り話だ。カタルーニャをお考え願いたい。住民は独立に賛成投票し、そうしたことで、ヨーロッパの政治家たちから非難された。住民が自分たちの将来に関する意見を示した住民投票は違法だったと主張して、スペイン政府は、カタルーニャを侵略した。ベルギーに逃れたカルラス・プッチダモン以外のカタロニア指導者たちは投獄され、裁判を待っている。ヘルシンキ大学で講演したフィンランドからベルギーへの帰路、今やドイツが、民主主義というより、フランシスコ・フランコに良く似ているスペイン政府のために彼を捕らえ、拘束している。https://www.rt.com/news/422269-catalan-puigdemont-detained-germany/ 欧州連合そのものが、民主主義に対する陰謀だ。
ありもしない自分たちの美徳を作り上げることに欧米プロパガンダが成功したのは、史上最大の広報活動の成果だ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/03/26/integrity-vanished-west/
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最近の学校乱射事件と憲法修正第2条に触れたPaul Craig Roberts氏の記事には、2018年2月18日のものがある。
A Real Solution for School Shootings
証人喚問『佐川氏が答える前に「ございませんでした」とテロップが先に流れた問題』に絶句!本当だろうか。
9/11事件の際に倒壊したのはツイン・タワーだけではない。
飛行機の突入もなかった第7ビルも、敷地内に芸術的に倒壊した。
BBCのジャネット・スタンドレー記者が、「第7ビルが崩壊しました」と、まだ建っているビルを前に報じていたあの事件を思い出す。
9/11、飛行機の操縦もできないサウジアラビア人青年が自力で起こした事件などでありえず、アフガニスタンやイラクへの侵略を含め対テロ戦争推進の口実として実行された茶番だろう。
佐川証人喚問で、活躍した政府御用達弁護士や、立て板に水の元アナウンサーと佐川氏のやりとりを考えると、シナリオが事前に渡されていたのではと思いたくなる。
日本共産党の山下芳生議員によるNHK職員の内部告発文書の話は実に納得がゆく。
森友問題をトップニュースで伝えるな、
トップでも仕方がないが放送尺は3分半以内、
昭恵さんの映像は使うな、
前川前文科次官の講演問題と連続して伝えるな、などというものです。
属国から姿を消した品位
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