シリア - 二都市の陥落
Moon of Alabama
2018年3月11日
トルコ代理部隊のタクフィル主義者連中が、クルド人が占領している都市アフリンをほぼ包囲した。都市への水道は遮断されている。数日中に、陥落しよう。
これは、アフリン地域を支配しているYPGクルド人による巨大な誤算の直接の結果だ。シリアとロシアの政府から明確な提案を受けていたのだ。支配権を正当なシリア政府に引き渡せば、シリア軍がやってきて、あなた方の土地を守る。
彼らはこの申し出を何度も拒否した。十分な航空支援と砲撃支援がある、数の上で優勢な敵による攻撃に耐えられると、彼らは考えていたのだ。ヒズボラならそうできるが、クルド人はヒズボラではない。彼らの防衛ネットワークは、空や地上からすぐ見える掩蔽壕(ビデオ)で、水道や他の必需品の供給もない凡庸なものだ。これら中世の要塞は、構築に何年もかかっただろうが、数時間で落ちる。退却するための第二次防衛戦はなさそうだ。YPG クルド人が示してきた戦術的軍事能力はむしろ素人的だ。発表された東シリアからの強化も効果は無かった。今や彼らの '郡'は極めて敵対的な勢力の手に落ちたのだ。奪還は可能だろうか?
一方、アメリカは、クルド人が占領しているマンビジを今にもトルコに引き渡そうとしている。
2016年、クルドPKKが、東トルコ内の '自治'都心を守り通そうとした。トルコ軍はその地域を砲撃し、瓦礫に変えた。そこでの反乱は、クルド戦士の壊滅的損失で終わった。キルクーク油田を盗み取って、イラク内で土地を拡大しようというクルドの取り組みは完敗した。今アフリンも失おうとしている。
クルド人は自身の国を持つに値すると考える人がいるだろうか? 彼らの指導者は腐敗しており、政治的手腕は皆無だ。彼らはまぼろしの目的に固執して、人生の現実を無視しているのだ。いつの日かクルド人は学ぶのだろうか?
シリア・アラブ軍はダマスカスに隣接する東グータを二分しており、間もなく三分する。
タクフィル主義者が6年間占領していた東グータ地域全体の約70%が現在解放されている。シリア軍は、田舎地方を更に占領し、様々なタクフィル主義者集団が降伏することに同意するか、イドリブ県に移動するまで、発展した地域(ハラスタ、ドゥマ、アルビン、ジョバル)への攻撃を継続するだろう。こうしたサウジアラビアとトルコ代理部隊が、ニセ'革命'権力の座から追われるのは、シリア国民にとって大きな勝利だ。権限委譲交渉は進行中だ。イドリブで、彼らは進行中のトルコが支援する首切り人連中と、アルカイダと連携している絞首刑執行人連中との間の、タクフィル主義者と、タクフィル主義者同士の戦争に参戦できる。
シリア、ロシア、イランと、トルコとの間で、東グータとアフリン'交換'の取り引きが成立するのだろうか? 当事者全員この問題について極めて口が堅いことから、私は何らかのそうしたものが合意されているのではと推測している。
東グータの飛び地問題が無くなれば、この地域を包囲しておくのに必要な多くのシリア軍兵士の手が空くことになる。この軍隊は、都市デラーと、ヨルダン国境に至る全ての土地を解放するため南部に進む可能性が高い。ダマスカス-アンマン道路と国境検問所を解放する十分な経済的理由が存在している。
記事原文のurl:http://www.moonofalabama.org/2018/03/syria-the-fall-of-two-cities.html
----------
この話題では、藤永茂氏『私の闇の奥』の最新記事二つを拝読している。
アフリンで何が起こっているか(1)
アフリンで何が起こっているか(2)
公文書改竄問題。財務大臣も総理大臣も平然風。
岩波文庫・ボオマルシェ作、辰野隆訳『フィガロの結婚』193ページの有名な言葉を思い出す。
貴方は豪勢な殿様というところから、御自分では偉い人物だと思っていらっしゃる! 貴族、財産、勲章、位階、それやこれやで鼻高々と! だが、それほどの宝を獲られるにつけて、貴方はそもそも何をなされた? 生まれるだけの手間をかけただけじゃありませんか。おまけに、人間としても平々凡々。
« ともあれ、アメリカ軍は一体なぜ韓国に駐留しているのだろう? | トップページ | ティラーソン国務長官解任が意味するもの »
「イラン」カテゴリの記事
- オーストラリアでイランが反ユダヤ主義攻撃を画策したという主張に関する21の疑問(2025.08.30)
- 帝国は我々の知性に対する絶え間ない侮辱だ(2025.07.18)
「イラク」カテゴリの記事
- マイク・ハッカビーは狂気のアルマゲドン信者(2025.06.24)
- イラク侵略後、イランに関する戦争の嘘を信じる口実などありえない(2025.06.20)
- クレイグ・マレー - 中東における多元主義の終焉(2024.12.09)
- 欧米帝国主義は常に嘘の溜まり場だったが、今やメディア・トイレは詰まっている(2024.11.30)
「アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事
- ディック・「ダース・ベイダー」チェイニー死去(2025.11.05)
- 牢獄で孤独に死ぬべきだったチェイニー(2025.11.05)
- 今や最も悪質な戦争屋連中こそトランプ最大のファン(2025.11.07)
「ロシア」カテゴリの記事
- ウクライナ:失敗に終わったポクロフスク封鎖突破を目指して最後の望みをかけた作戦(2025.11.03)
- 核兵器運搬装置は核弾頭ではない(2025.11.01)
- 1万人以上のウクライナ軍兵士を包囲したとロシア軍(2025.10.27)
- 否決に終わった欧州委員会によるウクライナへの「ロシア資産」融資計画(2025.10.26)
「ISISなるもの」カテゴリの記事
- 帝国は我々の知性に対する絶え間ない侮辱だ(2025.07.18)
- アルカイダのシリア支配…連中のテロリスト代理人を新政府だと粉飾するアメリカとNATO(2025.02.18)
- 13年間にわたるアメリカによる国家テロ後のシリア…一体何が期待できよう?(2024.12.14)
- 「テロ組織」は、アメリカがそう呼びたいもののこと(2024.12.16)
- もう一つの国が帝国の塊に吸収された(2024.12.15)
「トルコ」カテゴリの記事
- イスラエルのダマスカス爆撃はトルコが狙い(2025.07.20)
- シリアでは、まずアラウィー派とキリスト教徒を殺し、今ドルーズ派を殺している。次は誰の番?(2025.05.08)
- シリアの新たな流血はアメリカ政策の失敗で引き起こされた。トランプは今後どうするのか?(2025.03.15)
- シリアで虐殺が激化(2025.03.13)
「Moon of Alabama」カテゴリの記事
- ディック・「ダース・ベイダー」チェイニー死去(2025.11.05)
- ウクライナ:失敗に終わったポクロフスク封鎖突破を目指して最後の望みをかけた作戦(2025.11.03)
- 核兵器運搬装置は核弾頭ではない(2025.11.01)
- 否決に終わった欧州委員会によるウクライナへの「ロシア資産」融資計画(2025.10.26)
- EU-NATO、「ウクライナは勝っている」という立場から後退し、停戦を懇願する姿勢に(2025.10.27)
「シリア」カテゴリの記事
- イスラエルのダマスカス爆撃はトルコが狙い(2025.07.20)
- 帝国は我々の知性に対する絶え間ない侮辱だ(2025.07.18)
- テロリストに対するアメリカのいつもの同情(2025.07.17)
- 不条理の頂点に至った「テロリズム」に関する帝国の偽善(2025.07.11)
« ともあれ、アメリカ軍は一体なぜ韓国に駐留しているのだろう? | トップページ | ティラーソン国務長官解任が意味するもの »





コメント