オリンピックの炎を地域を焼き焦がすのに利用するワシントン
Finian CUNNINGHAM
2018年2月13日
Strategic Culture Foundation
先週、北朝鮮と韓国の暖かい外交関係について問われ、アメリカのマイク・ペンス副大統領は、ワシントンは、新たな緊張緩和が“オリンピックの炎が消え次第終わって”欲しいと述べた。
これより遥かに露骨な強情さや、けんか腰を見ることはできるまい。アメリカ人は恥を知らないのだろうか?
ペンス副大統領は、その後、アメリカ・マスコミに、ワシントンは“最大の圧力”政策を維持しながら、北朝鮮と外交する可能性があると矛盾することを語っている。平壌に対するトランプ政権のけんか腰の態度という背景からして、遅ればせながらのいかなる外交というアメリカ提案は慎重に扱う必要がある。
つまり第23回冬期オリンピックが今月末に終わり次第、ワシントンは同盟国の韓国に、北朝鮮に対して、より敵対的姿勢をとるよう圧力を強化しかねないと予想されるのだ。
これ以上非生産的なものがあるだろうか?
週末、二つの朝鮮の間で極めて重要な外交上の画期的な出来事が起きた。文在寅韓国大統領は同意し、北朝鮮指導者金正恩の妹、金与正と握手した。金一族の一員が韓国を訪問するのは初めてだった。
文大統領は、北朝鮮人民会議常任委員会委員長金永南にも挨拶した。要人たちは韓国大統領公邸の青瓦台で会ったが、心のこもったやりとりのように見える。
重要な進展は、金正恩との直接会談のため“出来るだけ早く”北朝鮮を訪問するようにという招待を文大統領が受けたことだ。金の妹は個人的メッセージを伝えたと言われている。この来るべき会談は - 今年始め以来、二国間交渉の三度目で - ほぼ間違いなく、朝鮮戦争終結以来 (1950年-53)歴史的和解に向かう最大の外交上の出来事となるだろう。
いかなる対話を進める前に、北朝鮮に核兵器計画を中止するようにというワシントン要求の強硬姿勢からして、ワシントンは両朝鮮指導者のいかなる会談も阻止しようとしかねないと思われる。これはワシントン政策からの韓国の独立度を試す正念場となろう。
朝鮮半島周辺でのアメリカ率いる軍事演習の再会も予想される。定例軍事演習はオリンピックのための和解を促進すべく、今年早々文在寅韓国大統領の要求で延期されていた。ペンス副大統領の好戦的言辞からすれば、アメリカはまたしても軍事演習を強化し、ソウル平壌間で生まれつつある友好関係を挫折はさせないにせよ、必然的に緊張させるだろう。
北朝鮮は朝鮮半島でのアメリカ軍演習を戦争挑発と威嚇だとしてずっと抗議している。
ここで明らかになりつつあるのは、アジア-太平洋において、アメリカ合州国の不安定化させる役割だ。ワシントンの立場は、いかなる平和的対話にも全く反対だ。そうなのだ。地域におけるアメリカの好戦的計画の厚かましい承認だ。
金曜、世界中の国々がオリンピック開会式に集う中、ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官は、より“厳格な経済制裁”というワシントンの挑発的声明は北朝鮮にとって重荷だと厳しく非難した。
“アメリカには、北朝鮮と韓国との間の新たな和平の取り組みに全力を尽くす義務がある”とリャブコフ外務次官を述べ、新たな経済制裁は、ワシントンによって、身勝手にも、南北会談をだいなしにする時期にあわせられたとも語った。
アメリカによる、この身勝手なオリンピック政治利用の厚かましさは驚くほどだ。アメリカはあらゆる手段を利用している。
一方で、でっち上げのドーピング・スキャンダルを巡り、ロシアを中傷し悪者化するのにオリンピックを利用して、アメリカはその狙いを押しつけた。極めてうさんくさい薬物乱用の主張を巡るロシア選手出場禁止は、ロシアの国際的イメージを落とすための画策されたプロパガンダだ。
もう一方で、ワシントンは“スポーツは人々を一体化する”というオリンピックの理念をもみ消すため、出来る限りのあらゆることをしている。
オリンピック前に、上記の通り、ペンス副大統領は日本を訪問し“アメリカは北朝鮮の侵略に対して同盟諸国を守る”と警告した。疲れたアメリカ軍は、事態を軍事化し、関係を対立させることを常に狙っているのだ。更に悪化させるべく、情け容赦ない新経済制裁発表に加えて、ペンス副大統領は、北朝鮮は“地球上で最も専制的な政権”だとそしった。 (犯罪意識の皮肉な投影であるのは確実だ!)
日本滞在中、ペンス副大統領は韓国平昌でのオリンピック開会式中に、北朝鮮代表団と短いやりとりをするかも知れないと、曖昧に示唆した。
結局、文大統領が北朝鮮要人のために主催した晩餐出席を鼻であしらい、ペンス副大統領は元の状態に戻った。
しかも、アメリカ副大統領は、オリンピック開会式に同席するよう、アメリカ国民オットー・ワームビアの父親を当てつけがましく招待した。ワームビアは、北朝鮮で投獄され、昨年、拘留中の健康状態悪化のため、平壌によりアメリカに送還されて間もなく亡くなったアメリカ人学生だ。学生が刑務所で虐待されたのか、それとも彼の健康が悪化しただけなのかは不明だ。しかしワシントンは、この出来事を北朝鮮の国家的残忍性の“証拠”として断固利用している。
いずれにせよ、トランプ政権は最近の朝鮮政策で全く不意をつかれているのは明らかなように見える。北朝鮮を“完全に破壊する”と威嚇する、北朝鮮に対するトランプの煽動的言辞にもかかわらず、平壌は韓国に外交提案で対応している。文在寅韓国大統領には、1990年代と2000年代初期の“太陽政策”にさかのぼる北朝鮮との和解を目指す強い政治的背景がある。
文大統領は、ワシントンの強硬姿勢と敵意にもかかわらず、金正恩との緊張緩和を目指す見事な決意を示した。
オリンピック終了後の次の段取りは極めて重要だ。ワシントンの圧力で、文大統領は、より敵対的になることに専念するのだろうか? それとも、対話が確固たるものになるのを可能にすべく、アメリカが率いる軍事演習は更に延期されるべきだと主張して、アメリカに抵抗するのだろうか?
ワシントンにとって、リスクは大きい。もし二つの朝鮮が画期的な和平和解交渉に入れば、アメリカは、戦略的にアジア-太平洋におけるその帝国主義的狙いにとって極めて大きな利点を失う立場にある。正直なところ、朝鮮半島に関してのみならず、より広範に、ロシアと中国に関し、地域に対するアメリカの利己的な戦略投射の口実を得るために、ワシントンには紛争の継続が必要なのだ。もし両朝鮮が平和に統一できてしまえば、ワシントンはお払い箱になる。大事だ。
そして、それが危険なのだ。両朝鮮が過去二カ月間、オリンピックを巡り、話会い、友好関係を固めつつある一方、ワシントンが、B-52とB-2核爆撃機を地域の太平洋のグアム基地に着実に移動しているのは不穏だ。トランプ政権は対北朝鮮“鼻血”先制攻撃を検討しているという挑発的なアメリカ・マスコミ報道もある。
明らかな矛盾は、好戦的犯罪政権としてのワシントンの本性について極めて示唆に富んでいる。両朝鮮が何らかの平和的共存を見出そうとしているのに、アメリカは無謀にも戦争を煽動している。
ロシアと朝鮮に関する、ワシントンによるオリンピックの醜悪な政治利用が、アメリカの破壊的な狙いについて、目を開かせてくれる。
ワシントンはオリンピックの聖火を消したがっているだけではない。ワシントンは地域全体を焼きたがっているのだ。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/02/13/washington-uses-olympic-flame-torch-region.html
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洗脳呆導をしておいて、世論調査なるものをおこない、支持率が上がっているという。
まことに、我々は、洗脳されるために、視聴料を支払っている。
痴呆番組で和平交渉に反対して駄弁を語る連中、ワシントンお雇い芸人と思って眺めている。音声を消して。
岩上安身氏や孫崎享氏や植草一秀氏らが痴呆番組に招かれることはない。
日本の歴史18 『開国と幕末変革』を読み終えた。決して明治維新万歳ではない。
優れた幕臣たちが、しっかり交渉をしていたのだ。
強引なクーデターが必要なほど、外国からの脅威は高くはなかったという。
『赤松小三郎ともう一つの明治維新 テロに葬られた立憲主義の夢』を思い出した。
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