警察国家へと退化したアメリカ
2018年1月10日
Paul Craig Roberts
昨日、私はこのURLを掲載した - https://www.paulcraigroberts.org/2018/01/09/democracy-america-oxymoron/ - 規則にのっとり、教育委員会のメンバーと普通の会話をしていた白人女性教師が、教師たちと教育委員会の公開集会から、一人の黒人警官によって排除され、残忍な仕打ちをされたニュース記事と二つのビデオだ。
教育委員会は、両方の性と両方の人種で構成されている。(そう、現在、性は二つ以上あり、人種は二つ以上あるのを私は知っている。) 教育委員会か、委員会の一部の命令で、教師が排除されたのは明らかだ。
教師は、教育委員会メンバーとの会話を警官に中断させられて驚いた。彼女は会話を続けようとしたが、黒人警官から部屋を出るよう命令された。彼女は黒人警官の違法な命令に従った。彼女が部屋を出る際、黒人警官は彼女を押し倒し、手錠をかけ、支援を呼び、彼女を拘置所に送った。
これはまさに現在のアメリカの姿だ。女性は何もしておらず、法律も教育委員会の規則も破ってはおらず、この黒人警官の言う通りにしたのに、それでも残忍な仕打ちをされ、逮捕された。黒人警官は、彼女に酷い仕打ちをしながら“抵抗は止めろ”と言い続けていた。ビデオから、抵抗は皆無で、警官による一般人に対する明白な犯罪行為の攻撃のみであることは実に明らかだ。
この黒人警官は何の罰も受けずに済むのだろうか。もちろんだ。
これは一体何だったのだろう。
集会は、教師たちは一セントもあげずに、教師の年間給与に等しい教育委員会委員給与引き上げの教育委員会承認に関するものだった。
黒人警官に襲われた白人女性教師は、クラスの人数が約三分の一も増えたので、教室で必要になっている資源が、一体なぜ、かわりに高い給与を受け取る以外実際何もしていない教育委員会の委員に使われるのかを知りたがっていた。
これは公正で率直な疑問だが、教育委員会が聞きたくないものだった。それで教育委員会は、白人に従順な黒人警官に、白人女性教師に酷い仕打ちと逮捕をさせたのだ。
言った通り、これが現在のアメリカだ。
同じことが、至るところで起きている。
例えば、アメリカの大学をお考え願いたい。多数の記事によれば、予算の75パーセントが管理に使われている。私がジョージア工科大学に通っていた頃は、学長と学生部長しかいなかった。現在、大学には膨大な管理事務職員がいる。学長、総長、副総長、学務担当副学長、学務担当副学長補佐、学務担当副学長補佐助手、学部長、副学部長、差別是正措置、政治的に正しい言葉遣いと振る舞い、女性の権利、少数派の権利、同性愛者の権利や、性転換者の権利の担当学部長補佐たち。アメリカの大学は管理職に占領されている。教育はほとんど存在しない。
専任教授陣は縮小しつつある。学生は、常勤教授にではなく、一科目数千ドルを支払われる非常勤教員に教えられている。
ロン・アンスが示している通り、例えばハーバード大学は、全てのハーバード大学生を授業料無しで学べるようにする十分な寄付金収入があるのに、途方もない授業料をとり続けている。ハーバード大学生が支払っているのは教育に対してではない。価値があるのは教育ではなく、コネなのだ。
この教育委員会集会の非道さから学ぶべきことは多々ある。そもそも、黒人を攻撃するのは、白人警官だけではない。黒人であれ、白人であれ、虹色であれ、警官は、一般人、白人、黒人、褐色人種、若者、高齢者、車椅子の身体障害者、飼い犬を攻撃する。警官は、人種に関係なく、一般人に残忍な仕打ちをする。どの人種も安全ではない。警官は、ボス連中に異議を唱えるあらゆる人々の弾圧が唯一の機能である残虐部隊だ。黒人の命だけでなく、全ての命が重要だ。警官は実際黒人を殺害するより多くの白人を殺害している。
警官は1パーセントが行っている窃盗の用心棒だ。アメリカにおける警官の主な役割は市民弾圧だ。この教育委員会集会で白人に迎合する黒人警官がしていたことは、それだ。
アメリカの大いに不都合な点の一つは“法と秩序を主張する保守派”だ。この人々の犯罪に対する被害妄想的不安が、アメリカ警察国家の創生を可能にしたのだ。しかも、この連中は全く筋が通っていない。警官は犯罪行為を防ぐことがあるとしても、きわめてまれだ。警官の役割は、行為を捜査し、無辜な人であれ有罪な人であれ、誰かに負わせることだ。もしアメリカ人が犯罪がそれほど恐ろしいなら、自ら銃を持つ法律が使える。
アメリカ人が武器を持っている事で、毎年200万件の犯罪行為が防げているという揺るぎない事実がある。警官は犯罪を防がない。警官は、この教師に対して同様、大衆に対する罪を犯すが、憲法修正第2条は、毎年200万人の国民を守っている。
アメリカに必要なのは、今あるような腐敗した警察部隊ではなく、憲法修正第2条だ。
アメリカ人が自己防衛の権利を放棄したら、おしまいだ。アメリカ人全員に対する私の助言はこうだ。憲法修正第2条が駄目になるのを目にしたら、出来るだけ早く出国なさい。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/01/10/us-devolved-police-state/
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憲法修正第2条 規律ある民兵は自由な国家の安全保障にとって必要であるから、国民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵して はならない。
学校といえば、某大学、話題の新設学部以外、受験生激減という。誰だって、一生陰口を言われたくはないだろう。既に大学存続の危機?天網恢恢疎にして漏らさず。
アメリカ超名門大学卒業の知人、父親は超巨大企業重役だった。学費を聞いたことがあるが、そうでなければ到底支払えない途方もない金額だった。庶民は到底入れない。両親来日時、わざわざ、拙宅を見せてさしあげた。庶民のウサギ小屋に心から驚いていた。紳士淑女ゆえ詳しい感想は一切語らなかったが。ジャーナリストから金融関係に変わって活躍しているのはコネではなく、実力だろう。
潜水艦、成人式着物、老人暴走事故、大雪情報、冬期オリンピック一辺倒。
地位協定や水道民営化や種子法のような全員に大きな影響がある論ずるべき話題を全く報じず、知らせないのがお仕事。
下記の茂木健一郎氏インタビュー、「ガラパゴス化」という言葉があった記憶がある。
さしさわりないことだけ扱うのに特化した人々、お笑い芸人だけではない。
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米国では民間の私立大学の方が国立より上位らしいですからね。
言わばブランド志向(偏見とやっかみを込めて)こそが価値感となっているのでしょう。
実際に実力もあるでしょうけれど。
そこでこの属国に於いても、特区にて民営の私立大学や専門学校などを優遇する政策が開始されたのでした。
これも麻生がCSISで「公立学校を民営化する」と発言した事と大いに関係がありそうな件です。
これ以外にも、病院の株式会社化なども掲げていいます。
要するに、何でもかんでも株式会社の経営にして、その後ろに鎮座するグローバル投資家様に貢ぎたいと、こういう勘定な訳です。
強い者に媚び諂い、ご機嫌伺いをして自らの居場所を確保したい、との腐り果てた精神の現れですな。
こういうのを難しい言葉(皮肉)でストックホルム症候群と言うのです。
自分が助かる為なら他人を売り飛ばす、悪に加担して弱い者を攻撃する。
そういう卑しい連中なのです。傀儡属国政権の連中というのはね。
さて、主要農産物種子法廃止についてですが、
今回対象となるのはコメ、ムギ、ダイズ、トウモロコシ、ワタである事は知られているとおりです。
その中でも主食であるコメについてですが、これが現在は各都道府県の公的機関で品種改良や種籾の管理、貯蔵が行われており、この公的種子があるお陰で農家は種籾を安く入手できており、それによって稲作を続けられている訳です。
ところが、種子法廃止によって、このシステムを支えてきた国からの交付税が廃止される訳です。
それだけならよいのですが、現在、奨励品種として指定されている300種の品種を数品種だけに絞り、後は廃棄させられる事が大問題なのです。
これまでコメの品種が良好な状態で管理、貯蔵されてきたのは、それだけの設備を備えた施設があったからです。
ところが、これが、例えばこれまで一か所の貯蔵施設で数十種の品種が管理されてきたものが、一種類になってしまったとしたら、その一種類の為だけに膨大な管理コストが掛かってしまう訳です。
しかもそれを地方自治体だけの負担で行わねばならない訳です。
絞られた品種についても、そのノウハウを民間企業に明け渡さなければならない事になっています。
こういった無理な運営は早晩、成り立たなくなるでしょう。
それから、奨励品種以外の雑多な品種については、公的な奨励品種と比べて知名度が低く、販売ルートも限られ、管理の難しさから雑種化したり原種化する恐れもあり、品質が落ち、食感が悪くなったコメは消費者が買わなくなる為、やがて成り立たなくなる訳です。
それと、今のところ規制はないものの、何れ「自家採取禁止法」なるものを出してくる事が予想されます。
こうして公的種子が消え、自家管理の手間が行き届かなくなり、消費者ニーズにも応えられなくなった農家が次に選択する道は、廃業して農地を手放す、化学バイオ企業と契約する、の何れかしか残らない訳です。
農地を手放せば、化学バイオ企業の手に渡るでしょう。
契約すれば、そこから農家は地獄を見る事になるでしょう。
どちらを選択しても、化学バイオ企業にとっては儲かる仕組みとなっているという寸法です。
既に他の野菜等の種子は90%以上を特定の種子企業に独占されている状態であり、この上、主要農作物までもが、それら寡占企業に独占されてしまえば、どんなに価格を吊り上げられても、他に代替えが無い状況に追い込まれている以上、言いなりになるしかなくなる訳です。
そして現在、日本の経済的地位が下降している事。
その国の通貨の価値は、その国の経済力によって決まる事を踏まえるならば、今後、日本の円が通貨としての価値をどれ程、維持できるか、にかかっている訳で、その価値の下落次第では、食料価格は現在の何十倍という数値になる危険性すらある訳です。
果たして、その時、それに耐えられるだけの収入を確保できている人が、どれ程残っているでしょうか。
・・・つづく
投稿: びいとるさいとう | 2018年1月14日 (日) 12時09分